JP2001501442A - 調節遺伝子およびその使用 - Google Patents

調節遺伝子およびその使用

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Abstract

(57)【要約】 Fos調節遺伝子によってコードされるタンパク質またはそのフラグメントをコードするヌクレオチド分子。このタンパク質またはそのフラグメントは、図1または2に示されるヌクレオチド配列の任意の1つまたはそのフラグメントによってコードされる。これらには、ヌクレオチド配列の対立遺伝子変形体および種変形体が含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】 調節遺伝子およびその使用 本発明は、Fosによって調節される遺伝子のヌクレオチド配列、その配列によ ってコードされるタンパク質、その配列およびコードされたタンパク質の使用、 ならびにその配列を1つ以上含むトランスジェニック動物に関する。本発明はま た、コードされたタンパク質に対して親和性を有する抗体分子およびその抗体分 子の使用、ならびにアンチセンスヌクレオチド分子およびそのアンチセンスヌク レオチド分子の使用に関する。 転写因子AP-1は、細胞増殖、分化、および神経細胞機能を含む多くの細胞プロ セスに関与する(AngelおよびKarin、1991を参照)。 AP-1は、遺伝子のプロモーターおよびエンハンサー領域に見い出された、AP-1 エレメントとして知られるDNA認識配列に結合することによって、その効果を発 揮すると考えられている。AP-1エレメントは、TGA G/C TCAのコンセンサス配列 を有する。 調節領域中にAP-1エレメントを含む多くの遺伝子が見い出されており、c-Jun( Angelら、1988)、MCP−1(Rollinsら、1988)、ストロメライシン(Kerrら、1988) 、I型コラゲナーゼ(Schonthalら、1988)、およびインターロイキンII(Farrarら 、1989)が挙げられる。 AP-1は、Jun(c-Jun、Jun-BおよびJun D)タンパク質とFos(c-Fos、Fos B、Fra- 1およびFra-2)タンパク質との間で形成された二量体複合体から構成される。AP- lのFos成分は、増殖周期中の細胞においてAP-1活性の制限成分であることが見い 出されている(KovaryおよびBravo、1991を参照)。 c-Fosは、核内ガン原遺伝子であり、これは細胞増殖(Holtら、1986;Riabowol ら、1988)、分化(Distelら、1987;Lordら、1993)、および腫瘍形成(Currenら、 1983;Millerら、1984;Rutherら、1989)を含む多くの重要な細胞事象に関与し ている。 c-Fosは、c-Junとヘテロ二量体を形成する62kDaタンパク質をコードし、AP-1 エレメントにおいてDNAと結合し、そして転写を刺激するAP-1転写因子を形成す る。 Fos遺伝子産物はまた遺伝子発現を抑制し得る。Sassoneら(1988)は、c-Fosが それ自身のプロモーターを阻害することを示し、そしてGiusら(1990)およびHay ら(1989)は、c-Fosが初期応答遺伝子Egr-1およびc-mycを阻害することを示した 。 AP-1因子はまた、MHCクラスI遺伝子およびPEPCK遺伝子の発現を阻害すること が示されている(Gurneyら、1992およびHowcroftら、1993を参照)。 それゆえ、Fos調節遺伝子は、細胞表現型の変化を導く遺伝子の正確な発現に 大変重要であると考えられ得る。Fos遺伝子の重要性は、c-Fos欠損マウスを作製 することによってはっきりと示された(Huら、1994を参照)。c-Fos欠損マウスは 生存可能であったが、大理石骨病、配偶子形成延滞、およびリンパ球減少(lymph ophenia)および行動異常を含む幅広い組織特異的発育不全が現れた。 c-Fos欠損マウスは、線維芽細胞株を作製するために使用され、そして2つの 遺伝子の発現が異常に低いことが見い出された。その2つの遺伝子は、ストロメ ライシンおよびI型コラゲナーゼであった。両遺伝子は、それらの調節配列中に AP-1部位を有するとして以前に同定された(Kerrら、1988およびSchonthalら、19 88を参照)。 ストロメライシンおよびI型コラゲナーゼは、胚の組織発育(Brennerら、1989 )、損傷組織の再構築(Hastyら、1990;WoessnerおよびGunja、1991)、ならびに 腫瘍の進行および転移(LiottaおよびStetler、1990)に関連づけられている。 Superti-Furgaら(1991)は、c-Fos活性が、マウスc-Fosタンパク質とヒトエス トロゲンレセプターのリガンド結合ドメインとが融合することによって、ホルモ ン性に制御され得ることを示した。この融合タンパク質は、厳格なホルモン依存 性様式でAP-1依存性転写を刺激することが見い出された。この融合タンパク質を 使用して、AP-1調節遺伝子であるFit-1が発見された。Fit-1は、スプライシング パターンに依存して、分泌タンパク質または膜結合タンパク質をコードすること が見い出された。 本発明は、2つの新規のFos調節遺伝子をコードするヌクレオチド配列に関す る。 本発明は、Fos調節遺伝子によってコードされるタンパク質またはそのフラグ メントをコードするヌクレオチド分子を提供する。ここで、前記タンパク質また はそのフラグメントは、図1または2に示されるヌクレオチド配列またはそれら のフラグメント(このヌクレオチド配列の対立遺伝子改変体および種改変株を含 む)によってコードされる。 本明細書中で使用される用語「ヌクレオチド分子」とは、任意の長さのヌクレオ チド、リボヌクレオチド、あるいはデオキシリボヌクレオチドのいずれもをいう 。その用語は二本鎖および一本鎖分子の両方を含む。この用語はまた、公知のタ イプの修飾、例えば当該分野で公知の標識、メチル化、「キャップ」、1つまたは それ以上の天然に存在するヌクレオチドとアナログとの置換、ヌクレオチド間修 飾(例えば、非荷電結合を有するもの(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリ エステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)および荷電結合を有するもの( 例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど))、タンパク質(ヌク レアーゼ、トキシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジンなどを含む)の ようなペンダント部分を含むもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、 プソラレンなど)を含むもの、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、 酸化性金属など)を含むもの、アルキル化剤を含むものおよび改変された結合を 含むもの(例えば、αアノマー核酸など)を包含する。 本発明のヌクレオチド分子は、Fos調節遺伝子のタンパク質またはそのフラグ メントをコードし得る。 タンパク質に関して使用される用語「フラグメント」とは、本発明のタンパク質 に独特である十分な長さ(例えば、10、15、20または25の連続アミノ酸長)のフラ グメントをいう。好ましくは、そのタンパク質フラグメントは、完全なタンパク 質の活性の少なくとも一部を誘発し得る。特に好ましいフラグメントは、他の多 くの遺伝子と相同であることが見い出されている、遺伝子の保存領域を含む。こ のような保存領域は特異的な機能を有すると考えられる。 ほとんどの天然に存在するヌクレオチド配列と同様に、図1および2に示され るヌクレオチド配列は、他の多くの形態(例えば、対立遺伝子改変体および種改 変体)を有する。本発明のヌクレオチド配列のこのような改変体および他の任意 の天然に存在する形態もまた、本発明の一部を形成すると考えられる。そのよう な改変体は、図1または図2に示される配列あるいはそのフラグメントと少なく とも60%、好ましくは80%、そして最も好ましくは90%の配列相同性を有するべ きである。 本発明はまた、本発明のヌクレオチド分子であって、図1または2に示される 配列またはそのフラグメントによってコードされるタンパク質またはそのフラグ メントが変化している、ヌクレオチド分子に関する。 好ましい変化したタンパク質またはそのフラグメントは、依然としてその活性 を保持し、そして図1または図2に示される配列あるいはそのフラグメントによ ってコードされるタンパク質またはそのフラグメントと、好ましくは少なくとも 80%、より好ましくは90%、そして最も好ましくは95%の相同性を有する、タン パク質またはそのフラグメントである。好ましくは、そのような変化したタンパ ク質またはそのフラグメントは、1〜10アミノ酸だけ異なる。さらに好ましくは 、アミノ酸交換は保存的である。 保存交換とは、あるアミノ酸と、それらの側鎖が関連するアミノ酸ファミリー からのアミノ酸とが置き換わることである。例えば、ロイシンとイソロイシンま たはバリンとの、アスパラギン酸とグルタミン酸との、スレオニンとセリンとの 隔離された置換、または構造的に関連するアミノ酸間の同様な保存的置換が、タ ンパク質の生物学的活性に大きな影響を与えないことは容易に予期され得る。 しかしながら、タンパク質の生物学的活性を変化させるために、アミノ酸を変 化させることが時には望まれる。例えば、タンパク質の1つまたはそれ以上の機 能を破壊または増強した変異体は、特に有用であり得る。そのような変異体は、 一般的にタンパク質の任意の保存配列を変化させることによって作製され得る。 タンパク質中の他のアミノ酸とジスルフィド結合を形成し得るアミノ酸の数を増 加させた変異体は、タンパク質の安定性を増加させるためには、特に好ましい。 タンパク質中の他のアミノ酸とジスルフィド結合を形成し得るアミノ酸の数を減 少させた変異体もまた、タンパク質の安定性を減少させることが所望であれば、 作製され得る。このような変化したタンパク質またはそのフラグメントは、図1 または図2に示される配列あるいはそのフラグメントによってコードされるタン パク質またはそのフラグメントと、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましく は90%、そして最も好ましくは95%の相同性を有する。好ましくは、このような 変化したタンパク質またはそのフラグメントは、1〜10アミノ酸だけ異なる。 本発明のヌクレオチド分子は、当該分野で周知の方法によって得られ得る。例 えば、配列は、ゲノムクローニングあるいはcDNAクローニングによって、適切な 細胞株あるいは生物(例えばマウス)の組織に直接由来するDNAまたはcDNAから得 られ得る。適切な細胞株は、Huら(1994)に記載されている3T3細胞株のような任 意の線維芽細胞株を包含する。ポジティブクローンは、望ましいヌクレオチド分 子に適切なプローブを用いてスクリーニングされ得る。PCRクローニングもまた 使用され得る。本発明のヌクレオチド分子によってコードされるタンパク質また はそのフラグメントをコードする配列が本明細書中で与えられれば、プローブお よびプライマーは容易に作製され得る。 分子生物学の分野で公知の多くの標準的な技術が、望ましいヌクレオチド分子 、またはポジティブクローンを同定するためのプローブおよびプライマーを調製 するために使用され得る。ヌクレオチド分子、プローブまたはプライマーは、ホ スホルアミダイト法のような標準的なオリゴヌクレオチド合成法を使用して完全 に合成され得る。 多くの技術が、合成またはクローニング手順によって得られるDNA配列を変化 させるために使用され得、そしてそのような技術は当業者に周知である。例えば 、部位特異的変異誘発、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発およびPCR技術が、D NA配列を変化させるために使用され得る。そのような技術は当業者に周知であり 、そして当業者に公知の膨大な量の文献(例えば、Sambrookら(1989))に記載され ている。 本発明はさらに、本発明のヌクレオチド分子によってコードされるタンパク質 を提供する。 好ましくは、本発明のヌクレオチド分子によってコードされるタンパク質は、 図1または図2に示されるアミノ酸配列あるいはそのフラグメントを有する。 本明細書中で使用される用語「タンパク質」とは、アミノ酸のポリマーをいい、 特定の長さの生成物をいうのではない;したがって、ペプチド、オリゴペプチド およびタンパク質は、用語タンパク質に包含される。その用語はまた、タンパク 質の発現後に修飾(例えば、グリコシル化、アセチル化、およびリン酸化)された ものをいうのではなく、これらを含まない。アミノ酸の1つまたはそれ以上のア ナログ(例えば、非天然アミノ酸を含む)を含有するタンパク質、置換された結合 を有するタンパク質、および当該分野で公知の他の修飾体(天然に生じる修飾体 および合成された修飾体の両方)がその定義に含まれる。 本発明のタンパク質は、線維芽細胞のような天然にこのタンパク質を産生する 細胞から、標準的な精製技術を用いて得られ得る。しかしながら、本発明のヌク レオチド分子の発現に適切な宿主細胞およびベクターシステムを、使用すること が好ましい。本発明のヌクレオチド分子は、様々な異なる発現システム(例えば 、哺乳動物細胞、バキュロウイルス、細菌および酵母のような真核微生物を用い たシステム)において発現され得る。 上記の発現システムはすべて当該分野で公知であり、そしてヌクレオチド配列 を発現させることは、今では、当業者全てに公知の標準的な技術である。 好ましくは、真核生物(例えば哺乳動物)の宿主細胞発現システムが使用される 。特に、適切な哺乳動物宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、H eLa細胞、ベビーハムスター腎(BKH)細胞、HepG2細胞のような肝臓起源の細胞、 およびメラローマまたはハイブリドーマ細胞株を含む。 本発明はさらに、プロモーターおよび本発明のヌクレオチド分子を含む、本発 明のヌクレオチド分子の発現のためのベクターを提供する。 哺乳動物プロモーターは、哺乳動物RNAポリメラーゼに結合してmRNAへのコー ド配列の転写を開始し得る任意のDNA配列であり得る。特に有用なプロモーター は、SV40初期プロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーターおよび単純ヘ ルペスウイルスプロモーターのような哺乳動物ウイルス遺伝子由来のプロモータ ーである。それに加えて、マウスメタロチオネイン遺伝子由来のような非ウイル ス遺伝子由来の配列もまた、プロモーターとして使用され得る。 本発明のヌクレオチド分子は、哺乳動物細胞において細胞内に発現し得る。プ ロモーター配列は、本発明のヌクレオチド分子と直接結合され得る。この場合、 コードされるタンパク質のN末端の最初のアミノ酸は、開始ATGコドンによりコ ードされるメチオニンである。 あるいは、本発明のヌクレオチド分子によってコードされるタンパク質は、リ ーダー配列をコードするヌクレオチド配列を本発明のヌクレオチド分子と結合す ることによって、細胞から分泌され得る。コードされた融合タンパク質は、リー ダー配列フラグメントおよび本発明のヌクレオチド分子にコードされるタンパク 質を含む。リーダー配列は、融合タンパク質の細胞外への分泌を導く。好ましく は、リーダー配列と本発明のヌクレオチド分子にコードされるタンパク質との間 にプロセシング部位が存在し、リーダー配列を酵素的あるいは化学的に切断する ことが可能である。そのようなリーダー配列の例は、アデノウイルス3分節リー ダーである。 本発明のベクターは、好ましくは、DNAを含む核酸ベクターである。そのベク ターは、当業者に公知の広範囲の文献に発表されているように、直線状または環 状の形状であり得、宿主細胞におけるエピソームとしての存在あるいは組み込ま れた存在に適合され得る。ベクターは、ウイルス性または非ウイルス性送達シス テムを用いて細胞へ送達され得る。送達システムの選択は、DNA分子が細胞ゲノ ム中に取り込まれるかまたはエピソームのままであるかを決定する。 本発明のベクターは、ポリアデニル化シグナル、転写終結シグナル、エンハン サー、遺伝子座制御領域(LCR)などのようなさらなる制御エレメントを含み得る 。 本発明はさらに、本発明のベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。 形質転換とは、外因性ポリヌクレオチドを宿主細胞中へ挿入することをいい、 挿入に使用する方法(例えば、直接取り込み、形質導入、f接合またはエレクト ロポレーション)を問わない。外因性ポリヌクレオチドは、非組み込みベクター( エピソーム)として維持され得るか、あるいは宿主ゲノム中へ組み込まれ得る。 好ましくは、宿主細胞は真核細胞であり、さらに好ましくは、チャイニーズハ ムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎(BKH)細胞、HepG2細胞 のような肝臓起源の細胞、およびメラローマまたはハイブリドーマ細胞株のよう な哺乳動物細胞である。 さらに本発明は、本発明のヌクレオチド分子によってコードされるタンパク質 を産生するための方法を提供する。この方法は、本発明のベクターで宿主細胞を トランスフェクトする工程、そのトランスフェクトした宿主細胞を、DNA分子の 発現および所望のタンパク質の産生を導くために適切な条件下で培養する工程を 包含する。次いで、タンパク質は、そのタンパク質が分泌されるかどうかに応じ て、標準的な技術を用いて、トランスフェクトした細胞または細胞増殖培地から 収集され得る。 さらに本発明は、治療に使用するために本発明のヌクレオチド分子を提供する 。 さらに本発明は、発育障害の処置のための組成物の製造における、本発明のヌ クレオチド分子の使用を提供する。 さらに本発明は、発育障害の処置における、本発明のヌクレオチド分子の使用 を提供する。 Fos調節遺伝子は、発生および細胞分化に関与することが知られている。従っ て、Fosにより調節される遺伝子の発見は、発生および細胞分化の制御において 意味を持つ。 図1および図2に示されるヌクレオチド配列は、血小板増殖因子(PDGF)ファミ リー固有の特徴によって特徴づけられる増殖因子ファミリーの遺伝子に類似する 配列を有することが見い出された。最も明らかに関連する配列は、血管内皮増殖 因子(VEGF)の配列である。VEGFは、血管形成および内皮細胞増殖において活性な 増殖因子であるホモ二量体を形成する(Keckら、1989、およびLeungら、1989を参 照)。VEGFはまた、血管形成を刺激し、それにより治療効果を生じさせるために 使用されてきた(Takeshitaら、1994を参照)。 図1の配列によってコードされるタンパク質は、マウスのタンパク質であり、 そして図2の配列によってコードされるタンパク質は、図1に与えられた配列に よってコードされるマウスタンパク質のヒトホモログである。本明細書中で両タ ンパク質は、c-Fos誘導増殖因子(FIGF)と呼ばれている。 それゆえ、治療における本発明のヌクレオチド分子の使用は、本発明のFos調 節遺伝子配列の重要な適用であると考えられ得る。 図1および図2に示されるヌクレオチド配列は、このヌクレオチド配列が主に 肺で発現されることが見い出されているので、肺疾患に特に重要である。図1ま たは図2に示される配列によってコードされるタンパク質またはそのフラグメン トをコードするヌクレオチド分子を使用して処置され得る特定の肺疾患は、肺炎 および塵肺症を含む。ヌクレオチド分子はまた、肺の再生を助けるために肺摘除 術後に使用され得る。 図2のヌクレオチド配列は、病変である脊椎骨端形成異常(SEDL)に関する遺伝 子座の近くの、ヒト染色体Xp22にマッピングされた。この領域の遺伝子地図は、 Ferreroら(1995)によって記載され、そしてSEDL疾患のマッピングは、Heuertzら (1993)によって記載されている。従って、SEDLは、図1または図2に与えられた 配列によってコードされるタンパク質をコードするヌクレオチド分子、またはそ のフラグメントを使用して処置され得る。 以前に考察されたように、Fos調節遺伝子は、腫瘍進行および転移に関与する ことが、見出されている。Fos調節遺伝子を阻害することによって、腫瘍増殖を 阻害または抑制することが可能である。 以前に、Kimら(1983)は、VEGFに特異的なモノクローナル抗体を注入すること によって、腫瘍増殖を抑制した。以前に記載されたように、VEGFは、図1および 図2に示されるヌクレオチド配列と同様なヌクレオチド配列を有する。従って、 本発明のネイティブなヌクレオチド分子のインビボ発現、翻訳などのいずれかを 阻害することによって、腫瘍増殖が阻害または抑制され得る。 本発明のヌクレオチド分子に対応するFos調節遺伝子の作用は、多数の技術に よって阻害され得る。好ましい技術は、アンチセンスに基づく技術、リボザイム に基づく技術、および抗体に基づく技術を包含する。 本発明のヌクレオチド分子によりコードされるタンパク質に特異性を有する抗 体分子は、タンパク質の機能をブロックし、それにより腫瘍増殖を阻害または抑 制するために、使用され得る。 さらに、本発明は、本発明のタンパク質に対して特異性を有する抗体分子を提 供する。抗体分子は、完全なポリクローナルまたはモノクローナル抗体、または Fv、Fab、F(ab')2フラグメント、およびそれらの一本鎖Fvフラグメントのような 、抗原結合フラグメントであり得る。抗体分子は、好ましくは、ヒト定常領域お よびマウス可変領域を有するキメラ抗体分子、ヒト化CDRグラフト抗体分子、ま たはそのフラグメントのような、組換え抗体分子であり得る。このような抗体を 作 製するための方法は、当業者に周知であり、そしてEP-A-0120694およびEP-A-012 5023に記載されている。 本発明はさらに、治療に使用するための本発明の抗体分子を提供する。 本発明はまた、ガンのような増殖性疾患を処置するための組成物の製造におけ る、本発明の抗体分子の使用を提供する。 本発明はさらに、ガンのような増殖性疾患を処置するための本発明の抗体分子 の使用を提供する。 本発明はさらに、本発明のヌクレオチド分子またはそのフラグメントに相補的 な配列を有する、アンチセンスヌクレオチド分子またはそのフラグメントを提供 する。 本発明のアンチセンスヌクレオチド分子は、本発明のヌクレオチド分子につい て用いる方法と同じ標準的な方法を用いて生成され得る。 本発明はさらに、プロモーターおよびアンチセンスヌクレオチド分子を含有す る、本発明のアンチセンスヌクレオチド分子を発現させるための、アンチセンス ベクターを提供する。 アンチセンスベクターは、ベクターが本発明のアンチセンスヌクレオチド分子 を含有すること以外は、本発明の核酸ベクターと同じである。 本発明はさらに、治療における使用のための、本発明のアンチセンスベクター を提供する。 本発明はさらに、ガンのような細胞増殖性疾患を処置するための組成物の製造 における、本発明のアンチセンスベクターの使用を提供する。 本発明はさらに、ガンのような細胞増殖性疾患の処置における、本発明のアン チセンスベクターの使用を提供する。 本発明はさらに、プロモーターおよび本発明のヌクレオチド分子のRNA転写産 物を切断し得るリボザイムをコードするヌクレオチド配列を含有する、リボザイ ムを発現するためのベクターを提供する。 リボザイムをコードするベクターは、このベクターがリボザイムをコードする 以外は、以前に記載したベクターと同じである。リボザイムは、本発明のヌクレ オチド分子のRNA転写産物を切断し得る。このようなリボザイムを産生する技術 は、当業者に公知であり、Cantorら(1993)に記載されている。 本発明はさらに、治療における使用のための、本発明のリボザイムコードベク ターを提供する。 本発明はさらに、ガンのような細胞増殖性疾患を処置するための組成物の製造 における、本発明のリボザイムコードベクターの使用を提供する。 本発明はさらに、ガンのような細胞増殖性疾患の処置における、本発明のリボ ザイムコードベクターの使用を提供する。 本発明のさらなる目的は、本発明のタンパク質のレセプターまたは本発明のタ ンパク質を含有するタンパク質複合体のレセプターを同定することにおける、本 発明のタンパク質の使用である。 レセプターを同定する方法は当業者に周知であり、そして広く文献に記載され ている。しかし、基本的に、レセプターを同定する3つの主な方法がある: i.類似の分子に結合する全ての既知のレセプターをテストする。これ は、VEGFが類似の配列を有することが見出されているので、図1および 図2に示されるDNA配列によってコードされるタンパク質について、特 に有用である。 ii.結合精製工程を行う。例えば、本発明のタンパク質または本発明の タンパク質を含有するタンパク質複合体を、固体支持体上に固定し得、 次いで、多くの可能性のあるレセプター分子(特に、膜タンパク質)をそ の固体支持体上を通過させる。結合精製手順は、Schustedら(1995)に記 載されている。 iii.レセプターを欠損する細胞を見出すために発現ライブラリーをス クリーニングし、次いでSeedおよびAruffo(1987)によって記載されたレ セプタークローニング法を利用することによる。 他の方法もまた、当業者に公知であり、レセプターを見出すために使用され得 る。 レセプターの同定により、レセプターの活性をブロックまたは増強する薬剤を 設計すること、およびレセプターをブロックする抗体分子を作製することが可能 である。一旦、レセプターのDNA配列が公知になると、レセプターにおける誤り を修正するか、またはレセプターの発現をブロックするための多数の遺伝子治療 が、設計され得る。 本発明はさらに、ガンおよび発育障害のそれぞれを処置することにおける薬物 として使用され得る、本発明のタンパク質のアンタゴニストまたはアゴニストを 同定するためのアッセイにおける、本発明のタンパク質の使用を提供する。この ような潜在的な薬物の同定するためのアッセイは頻繁に使用され、当業者に周知 である。このようなアッセイの例は、Tsunodaら(1994)に明確に記載されている 。 本発明はさらに、本発明のヌクレオチド分子、アンチセンスヌクレオチド分子 、タンパク質もしくは抗体分子、またはそれらの任意の組合せの、病理学的状態 または疾患に対する疾病素質を診断するにおける使用を提供する。 本発明のヌクレオチド分子またはアンチセンスヌクレオチド分子は、このヌク レオチド分子に対応する遺伝子の存在を決定することに、またはその遺伝子から 転写されたRNAの量を測定することに、使用され得る。 本発明のタンパク質は、本発明のヌクレオチド分子に対応する遺伝子によりコ ードされるタンパク質の量を測定するためのアッセイにおいて使用され得る。 本発明の抗体分子は、本発明のヌクレオチド分子に対応する遺伝子によりコー ドされるタンパク質の量を測定するためのアッセイにおいて使用され得る。本発 明の抗体分子を使用する、タンパク質の量を測定するためのアッセイの例は、競 合結合アッセイである。 本発明のヌクレオチド分子に対応する遺伝子、または転写RNAまたは遺伝子に コードされるタンパク質の存在を決定することによって、その遺伝子の存在また はこの遺伝子の過剰発現によって引き起こされる病理学的状態または疾患に対す る疾病素質を診断することが可能である。 本発明はさらに、トランスジェニック動物の作製における、本発明のヌクレオ チド分子の使用を提供する。特に、本発明は、非ヒトトランスジェニック動物、 特にトランスジェニックマウスを作製するための、このようなヌクレオチド分子 の使用を提供する。 研究のためのモデルとして適切であるトランスジェニック動物が作製され得る 。例えば、本発明のヌクレオチド分子を過剰発現するトランスジェニック動物は 、 過剰発現がどのような影響を有するかを決定するために使用され得る。あるいは 、本発明のネイティブなヌクレオチド分子が「ノックアウト」されたトランスジェ ニック動物が作製され得る。次いで、本発明のヌクレオチド分子を「ノックアウ ト」する効果が研究され得る。 このようなトランスジェニック動物を作製するための方法は、当業者に周知で あり、過剰発現または「ノックアウト」されるべきヌクレオチド分子が、本明細書 に開示されているので、容易に実施され得る。 本発明のトランスジェニック動物はまた、続いて、改変したFos制御の効果を 測定するために、Fos過剰発現マウスまたはFos「ノックアウト」マウスのいずれか と交配し得る。 本発明はまた、図1または図2のいずれかに示される配列の全てまたは一部を 含有するヌクレオチド分子を提供する。 図1または図2のいずれかに示される配列の全てまたは一部を含有するヌクレ オチド分子は、タンパク質をコードしてもよいし、またはコードしなくてもよい 。好ましくは、ヌクレオチド分子は、図1または図2のいずれかに示されるヌク レオチド配列に対応するFos遺伝子の制御配列をさらにコードする。さらに好ま しくは、ヌクレオチド分子は、遺伝子にFos調節を付与する配列をコードする。 特に好ましくは、ヌクレオチド分子は配列TGACTCAを含有する。 本発明は、以下の図面を参照して、添付の実施例において例示される。 図1 Fos調節遺伝子F0401のDNA配列。コードされるタンパク質配列およびVEGFに相 同な領域(下線)も示す。 図2 Fos調節遺伝子HF175のDNA配列(F0401のヒトホモログ)。コードされるタンパク 質も示す。 図3 増殖因子のPDGF/VEGFファミリーの保存ドメインと、FIGFによってコードされ るタンパク質とのアラインメント。点は、これらの増殖因子の特徴であるシステ イン残基を示す。 図4 (A)FIGFタンパク質の免疫沈降アッセイ。ベクターのみでトランスフェクトし たCOS-7細胞(−)、または、CMVプロモーターの制御下にFIGFコード配列を含有す るベクターでトランスフェクトしたCOS-7細胞(+)を、それぞれ、100μCi/mlの 濃度の[35S]メチオニンおよび[35S]システインで、1時間、代謝的に標識した。 1時間または22時間のチェイス後、馴化培地および細胞溶解物を、抗FIGFポリク ローナル抗体で、別々に免疫沈降させた。(FIGFタンパク質は、T5プロモーター の制御下で、E.coliにおいて発現させた。FIGFのコード領域から、cDNAフラグ メントを、+40位のメチオニン残基からのPCRによって作製し、pQE-31ベクター(Q iagen)中にクローニングしてN末端ヒスチジンタグとの融合タンパク質を得た。 このタンパク質を2mMイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドの存在下 で、37℃にて4時間、誘導することによって、TG1細菌(pREP+)において発現させ た。組換えタンパク質は、専ら封入体中に局在し、そして製造者のプロトコル(Q iagen)に従って、変性条件下、Ni−NTA−樹脂カラムで精製した。完全フロイン トアジュバント中の変性タンパク質の形態で200μgの組換えFIGFをウサギに注 射して、抗体を惹起させた。不完全フロイントアジュバントでの3週間間隔で4 回の注射後、血清を調製した。免疫複合体を、プロテイン−Aセファロースビー ズ(Pharmacia)によって回収し、そして3%β−メルカプトエタノールの存在下 での12%SDS-PAGEで分離した。矢印は、FIGFトランスフェクト細胞にのみ存在す る特異的なバンドを示す。 (B)[3H]-チミジン取り込みとして測定された、c-fos(-/-)線維芽細胞中の細 胞分裂促進活性。細胞を、FIGF発現ベクターまたはベクター単独でトランスフェ クトしたCOS-7細胞の馴化培地とともに、インキュベートした。トランスフェク ションの1日後に、それらの細胞を分割して、2%血清中に維持した。120時間 後、馴化培地を回収した。 (C)[3H]-チミジン取り込みとして測定された、c-fos(-/-)線維芽細胞中の細 胞分裂促進活性。CMVプロモーターの制御下で構成的に外因性FIGFを発現する、c -fos(-/-)安定クローン(FH-10.2、FH-10.5、FH-9.3、FH-9.6、FH-10.9と命名)お よびc-fos(-/-)細胞(模擬)から得た馴化培地とともに、細胞をインキュベートし た。馴化培地を、0.5%血清中で48時間培養された細胞から回収した。 (D)[3H]-チミジン取り込みとして測定された、c-fos(-/-)線維芽細胞中の細 胞分裂促進活性。細胞を、部分再生された組換えFIGFとともにインキュベートし た。同一条件下で、PDGF-BB(Sigma)とのインキュベーション(ポジティブコント ロールとして使用)は、約30%高いチミジン取り込みを誘導するが、一方、VEGF( Sigma)は、バックグラウンドを超える取り込みを誘導しない。示されるデータは 、2つの異なるFIGF調製物で実施された6回の実験の平均である。 (E)[3H]-チミジン取り込みとして測定された、マウス胚線維芽細胞における 細胞分裂促進活性。細胞を、部分再生された組換えFIGFとインキュベートした。 MEF細胞を、B6D2F1マウスの13〜15日齢の胚から得た。胚を屠殺して、リンスし 、そして37℃で30分間トリプシン処理した。MEF細胞を、増殖因子を添加する前 に、0.5%血清を含有する培地中で24時間増殖させた。同一条件下で、PDGF-BB(S igma)とのインキュベーション(ポジティブコントロールとして使用)は、約30% 高いチミジン取り込みを誘導するが、一方、VEGF(Sigma)は、バックグラウンド を超える取り込みを誘導しない。示したデータは、2つの異なるFIGF調製物で実 施された6回の実験の平均である。バックグラウンド値を、各実験において差し 引いた。 図5 (A)培養細胞におけるFIGF発現。以下の細胞から得たトータルRNAのノーザン ブロット解析:c-fos(-/-)線維芽細胞(レーン1〜3);外因性c-fosを発現する 、c-fos(-/-)細胞から得た安定細胞株(レーン4〜6)、c-fos(+/+)線維芽細胞( レーン7〜9)。0.5%血清中で48時間、細胞のインキュベーションした後、グア ニジンチオシアネート法によって、細胞性RNAを抽出した(時間0)。血清濃度を1 0%まで増加させ、そして示すように、2時間または4時間でトータルRNAを回収 した。レーン10および11は、ベクター単独(模擬)、または、FBJ-LTR構成プロモ ーター下にc-fosを含有するベクター(c-fos)で、一過性にトランスフェクトした c-fos(-/-)線維芽細胞におけるFIGF発現を示す。一過性にトランスフェクトした 細胞のRNAを、0.5%血清を含有する培地中でこの細胞を培養して30時間後に、回 収した。各レーンに、10μgのトータル細胞性RNAをロードした。 (B)PDGFまたはVEGFの発現。c-fos(-/-)細胞由来のトータル細胞性RNA(レーン 1〜3)、または外因性c-fosを発現する、c-fos(-/-)細胞から得た安定細胞株由 来のトータル細胞性RNA(レーン4〜6)を、パネルAに示すように抽出した。グ リセルアルデヒド−ホスフェート−デヒドロゲナーセ(GAPDH)を、RNAのロードに ついてのコントロールとして使用した。 図6 異なるマウス組織から抽出したRNAポリA+のノーザンブロット解析。 図7 (A)c-fos欠損細胞の形態。細胞を、ベクター単独で安定にトランスフェクト した。 (B)CMVプロモーターの制御下にFIGFを含有する発現ベクターで安定にトラン スフェクトした、c-fos欠損細胞由来の細胞クローンの形態。 (C)CMVプロモーターの制御下にアンチセンス方向でFIGF cDNAを含有する発現 ベクターで安定にトランスフェクトした細胞の形態。 (D)FBJ-LTRプロモーターの制御下にc-fosを含有する発現ベクターで安定にト ランスフェクトした細胞の形態。 (E)CMVプロモーターの制御下にFIGFを含有する発現ベクターでトランスフェ クトした、Dにおける細胞(構成的にc-fosを発現する)と同じ細胞に由来する細 胞クローン。 (F)CMVプロモーターの制御下にアンチセンス方向でFIGF cDNAを含有する発現 ベクターでトランスフェクトした、Dにおける細胞(構成的にc-foscを発現する) と同じ細胞に由来する細胞クローン。 (G)0.5%血清を含有する培地中で120時間培養された、c-fos(-/-)線維芽細胞 。 (H)部分再生された組換えFIGFで120時間処理した以外は、Gと同じ細胞。3 つの独立したトランスフェクションから得た、10の独立したクローンを分析した 。全て、図において観察される変化と同じ形態学的変化を示した。 実施例 細胞培養およびクローン単離 c-Fos発現(+/+)に関するマウス野生型線維芽細胞、およびc-Fos欠損(-/-)3T3 細胞株、ならびに外因性c-Fosを構成的に発現する安定にトランスフェクトした 細胞株を、記載(Huら、1994)のように作製した。全ての細胞株を、10%胎児ウシ 血清(FCS)、グルタミン、およびペニシリン−ストレプトマイシンを補充したダ ルベッコ改変イーグル培地(DMEM)において、5%CO2で、37℃にて増殖させた。 細胞を、約70%集密に達するまで培養し、0.5%FCS含有DMEM中で48時間血清欠乏 させ、そしてRNA単離前の0、2、および4時間、10%FCS含有DMEMで刺激した。 トータルRNAを、グアニジン−イソチオシアネート法を用いて単離した。mRNAデ ィッファレンシアルディスプレイを、Laingらにより記述され、そしてBauerらに より改変された(Bauerら、1993)ように実施した。要するに、抽出したRNAから、 染色体DNA夾雑物を、DNaseI処理により単離した50μgのトータルRNAから除去し た。血清誘導2時間後または4時間後に抽出した0.2μgのRNAを、dT12mNプライ マーおよび300U MMLV逆転写酵素(Promega Corp.,Madison,WI)を使用する、40 μlの反応容量で、37℃にて60分間のインキュベーション時間での逆転写のため に使用した。cDNA増幅用のPCR混合物は、dT12mNプライマー、任意配列を有する 、20の10merデオキシオリゴヌクレオチドプライマーのうち1つ(Kit A-Operon B iotechnology Inc.,Alameda,CA)、33P-dATP(Amersham International plc,Buc kinghamshire,England)、および1U Taqポリメラーゼ(Promega Corp.)を含有し た。試料を、PTC-100サーモサイクラー(MJ Research Inc.,Watertown,MA)を使 用して、40サイクルの増幅に供した。サイクルパラメーターは以下のとおりであ った:94℃で30秒間、42℃で90秒間、72℃で30秒間、そして72℃で10分間のさら なる伸長時間。2μlのPCR混合物を、グリセロールで5%に調整し、尿素を含ま ない6%ポリアクリルアミドゲルに負荷した(Bauerら、1993)。別々に発現したc DNAのバンドを、ゲルから回収し、再度増幅した。再増幅cDNAプローブを、1.5% アガロースゲル上で泳動し、精製し、そしてTAクローニングシステム(Promega C orp.)を使用して、pGEM-Tベクター中ヘクローニングした。ポジティブクローン を、ブルー−ホワイト表現型を使用して選択した。 新規クローンの特徴づけおよび配列分析 典型的には、1つのバンドから1〜3の異なるクローンを得、それらを引き続 いて、ノーザンブロット分析による特徴づけに利用した。cDNAフラグメントを、 ランダムプライマー標識キツト(Amersham International plc)を使用して、32P- dCTPで標識した。ハイブリダイゼーションシグナルをスクリーニングし、Image Quantソフトウエアーを用いるPhosphorImager(Molecular Dynamics,Sunnyvale ,CA)によって定量した。T7またはSP6プライマーのいずれかでのクロ-ニングさ れたcDNAプローブのプラスミドDNA配列分析を、Sequenase V 2.0キット(US Bioc hemical Inc.,Cleveland,Ohio)を使用して、手動で実施した。要するに、細胞 から抽出したRNAを、ランダムプライマーを利用する増幅に供し、そして細胞タ イプのバンドを比較により同定して、単離した。得られたフラグメントを、その 細胞株由来のRNAを用いるノーザンブロットにおいてテストして、対応するmRNA が、Fos発現細胞でアップレギュレートされることを確認した。次に、マウス線 維芽細胞株から、λZAPベクター中に独自のcDNAライブラリーを作製し、cDNA合 成およびクローニングキット(Stratagene)を利用して、完全長クローンを得た。 スクリーニングは、製造業者の指示に従って実施した。ポジティブクローンを、 まず制限地図によって分析し、最も長いものをDNA配列分析に供した。 クローン分析 FO401配列を図1に示し、HF175配列を図2に示す:NIHおよびEMBLデータバン クに対する簡単な検索分析により、FO401およびヒトホモログFIGFが新規遺伝子 であり、それらの配列は、血小板増殖因子(PDGF)ファミリー固有の特徴により特 徴づけられる、増殖因子ファミリーの遺伝子と同様であることが明かとなった。 このファミリーの共通パターンは、C-V-x(3)-R-C-x-G-C-C-Nである。このファミ リーのメンバーは、ジスルフィド連結による二量体を形成し、そして強力なマイ トジェンである。FO401およびHF175に最も類似する配列は、ホモ二量体を形成し 、血管形成および内皮細胞増殖において活性な増殖因子である(Keckら、1989;L eungら、1989)血管内皮増殖因子(VEGF)である。VEGFは増殖因子であるので、そ の過剰発現は、腫瘍血管形成を生じ得る(Plateら、1993)。最近の報文には、腫 瘍 におけるVEGF阻害(Kimら、1993)、および血管形成を刺激するためのVEGF処置(Ta keshitaら、1994)に基づく、可能な治療的使用が示されている。 以下の実験は、FO401を使用して実施された。 FIGF推定タンパク質配列は、シグナルペプチドをコードし得る、N末端に疎水 性配列を有する。この長いN末端領域は、既知タンパク質に対して有意な相同性 を示さない。しかし、この領域には、細胞膜または細胞外マトリックスへのタン パク質の結合を可能にし得る、正に荷電したドメインが存在する。 FIGFが分泌タンパク質であるどうかを証明するために、COS-7細胞を、サイト メガロウイルス(CMV)即時型遺伝子プロモーターの制御下に、FIGF cDANを有する 発現ベクターでトランスフェクトした。組換えFIGFに対して惹起させた(以前に 記載されたように)ポリクローナル抗体は、FIGFトランスフェクトCOS-7細胞の細 胞溶解物および馴化培地の両方において観察される特異バンドを免疫沈降させた (図4A)。1時間の標識に続いて1時間のチェイス後、特異バンドは、主に細胞溶 解物に存在したが、4時間より長いチェイス後には、タンパク質は細胞上清に蓄 積した。非変性条件下では、FIGFは多量体形態に凝集した。β-メルカプトエタ ノールの添加は、66kDaバンドとして主に移動したタンパク質の部分変性を生じ 、タンパク質のわずかな画分のみが、推定分子量33kDaの単量体として見出され 得る(図4A)。これらの結果は、FIGFが分泌タンパク質であり、二量体を形成し得 ることを示す。FIGFの中心ドメインが高度に保存され、PDGFおよびVEGFの両方の 二量体化に関与するシステイン残基を含有するので、FIGFの二量体化は予測され 得る。FIGF産生細胞の馴化培地が、インビトロで細胞増殖を促進し得るかどうか をさらに研究し、[3H]-チミジン取り込み(Vaziriら、(1995))としてアッセイし た。馴化培地を、一過性トランスフェクトCOS-7細胞、またはCMVプロモーターの 制御下でFIGFを発現する、c-fos(-/-)線維芽細胞由来の安定なクローンのいずれ かから得た。FIGFを含有する培地の細胞分裂促進活性を、c-fos(-/-)線維芽細胞 についてテストした。トランスフェクトCOS-7細胞(図4B)またはFIGFを過剰発現 する安定な線維芽細胞クローン(図4C)の両方からの馴化培地は、c-fos(-/-)線維 芽細胞でのDNA合成を誘導する。哺乳動物細胞において、FIGF発現が、他の増殖 因子の活性化を誘導し得、これが、次に、測定した[3H]-チミジン取り込みを担 うの で、E.coliにおいて発現された組換えFIGFタンパク質の細胞分裂促進活性をテ ストした(以前に記載されたように)。生物学的に活性な組換えタンパク質を得る ために、E.coli由来の精製FIGFタンパク質を、還元グルタチオンおよび酸化グ ルタチオン混合物の存在下で、部分的に再生した。精製組換えタンパク質を0.4m g/mlに調整し、8M尿素、2%β-メルカプトエタノールの存在下に、370℃で1 時間、完全に還元した。還元タンパク質を、Hoppeら、Biochemistry,28,pp 29 56-2960(1989);Hoppeら、Eur.J.Biochem.,187,pp 207-214(1990)に記載さ れているように、50m MTrls-Cl(pH 8.0)、1M尿素、5mM還元グルタチオン、お よび0.5mM酸化グルタチオンを含有する溶液に対して2日間透析し、そして20mM Tris-Cl(pH 7.5)、0.7M NaClを含有する溶液に対して1日透析した。部分的に再 度折り畳まれた組換えFIGFは、用量依存的な様式で、c-fos(-/-)線維芽細胞にDN A合成を誘導した(図4D)。予測されるように、c-fos(-/-)細胞はまた、PDGF-BBに 対して応答性であり、一方、VEGFによる処理は、これらの細胞において[3H]-チ ミジン取り込みを誘導しなかった。DNA合成の最高活性は2μgの精製FIGFで得ら れた。観察された組換えFIGFの外見上低い比活性は、おそらく、FIGFの正確な再 折り畳みの効率が低いことに起因するであろう。なぜなら、FIGFは、358アミノ 酸中の29システイン残基を有するからである。さらに、マウス胚線維芽細胞(MEF )に対する組換えFIGFの細胞分裂促進活性もまたテストした。FIGFは、マウス胚 線維芽細胞に、用量依存的な様式で、DNA合成を誘導した(図4E)。FIGF cDNAを、 c-fos発現についてのみ異なる細胞由来のRNAの鑑別スクリーニングにより単離し た。ノーザンブロットによるFIGF遺伝子発現の分析により、FIGFメッセンジャー は、c-fos(-/-)線維芽細胞ではほとんど検出され得ないが、その発現は野生型c- fos(+/+)線維芽細胞において高いことが示された(図5A、レーン1〜3とレーン 7〜9を比較のこと)。FIGF発現は、FBJ-LTR構成プロモーター(Huら、(1994))の 制御下で外因性c-fosを発現する、c-fos(-/-)細胞由来の安定クローンにおいて 、完全に元に戻った(図5A、レーン1〜3とレーン4〜6を比較のこと)。外因性 c-fosの一過性トランスフェクションは、c-fos(-/-)細胞においてFIGF誘導を生 じるが、トランスフェクション細胞の数がより少ないため、観察される誘導は顕 著ではない(図5A、レーン10および11)。従って、FIGF発現はc-fosに依存する。 さ らに、FIGFは、構成的AP-1酵母ホモログGCN4によって誘導されない。哺乳動物細 胞において、GCN4は、ほとんどのAP-1標的遺伝子を活性化し得るが、それは非ガ ン原性である。野生型線維芽細胞において、c-Fosは、血清誘導後最初の1時間 以内に、c-JunまたはJun Bと会合する、主要Fosタンパク質である。その後、c-F osは、もはや検出され得ず、それは、AP-1複合体中でFraJ1およびFraJ2により置 換される。c-fos発現細胞では、FIGFは、細胞が低血清条件に維持される場合、 高度に発現され、血清誘導後6時間以内に、検出不可能なレベルに減少する(図5 A)。このパターンのFIGF発現は、野生型細胞およびc-fosを構成的に発現する細 胞の両方において観察された(図5A)。従って、c-fos発現の推定ピークとFIGFの 出現(FIGFのメッセンジャーは静止期に蓄積する)と間の不一致が観察される。調 節のFIGFパターンは、c-fos発現に加えて、その活性化のためのさらなる調節制 御が必要であることを示唆する。FIGFは、PDGF/VEGFファミリーの増殖因子に属 するが、その発現は、増殖停止特異(gas)遺伝子の発現とほぼ同様である。興味 深いことに、それらの1つであるgas6は、増殖因子として作用する。PDGFおよび VEGFの両増殖因子は腫瘍形成に関与する(Kimら、(1993))。さらに、PDGFは、c-f osの転写活性化を誘導する主要な血清マイトジェンである。FIGFに関して、これ らの増殖因子の発現パターンを比較するために、c-fos発現について異なる線維 芽細胞中の、PDGFおよびVEGFのメッセンジャーレベルを測定した。図5Bに認めら れ得るように、PDGFおよびVEGFの両メッセンジャーの調節は、FIGFのメッセンジ ャー調節とは異なる。これらの増殖因子は、血清誘導後に迅速に誘導され、そし てそれらの発現はc-fos非依存的である。腫瘍の進行は、変異細胞を、元の隣接 細胞への付着力を失わせ、元の組織から逃れるように導く、腫瘍の形態学的変化 によって特徴づけられる。c-fosは腫瘍進行に関連づけられており、その過剰発 現が、線維芽細胞および上皮細胞において形質転換細胞の形態を誘導する。FIGF はc-fos依存性増殖因子であるので、その過剰発現が、線維芽細胞の形態学的形 質転換を誘導し得るかどうかを分析した。図7に認められ得るように、線維芽細 胞でのFIGFの構成的発現は、形質転換表現型を誘導する。FIGFを構成的に発現す るc-fos(-/-)細胞由来の安定クローンは、紡錘型の形態を獲得し、より屈折的に なり、プレートから脱離する(図7、BとAとを比較)。対照的に、FIGFアンチセ ンスメッセンジャーを発現する安定クローンは、平坦で、より屈折性でない表現 型を獲得し(図7C)、これは、低血清条件で維持されたc-fos(-/-)細胞の表現型( 図7G)とほとんど同様である。c-fosの過剰発現は、c-fos(-/-)細胞の形態を、FI GFの過剰発現によって観察される形態と同様に変化させるが、表現型はさほど顕 著ではない(図7D)。c-fosおよびFIGFの両方の過剰発現は、線維芽細胞において 極端な表現型を導く:細胞はより長くなり、組織が崩壊し、連絡を失う(図7E)。 c-fosを構成的に発現する細胞におけるFIGFアンチセンスメッセンジャーの発現 は、形質転換表現型の復帰を誘導する(図7F)。従って、c-fosを発現するがFIGF を枯渇させた細胞は、ほとんどの形質転換表現型を失い、このことは、c-fosを 構成的に発現する細胞において観察される形態が、FIGFに起因することを示唆す る。同様の形態学的変化はまた、精製組換えFIGFでの細胞の処理によって得られ る。0.5%血清を含有する培地中で120時間、増殖を停止され続けたc-fos(-/-)線 維芽細胞は、平坦で大きくなり、そしてより屈折性でなくなる(図7G)。組換えFI GFでの細胞処理は、屈折性で、長く伸びた、非付着性表現型を誘導する(図7H)。 c-fos欠損細胞から得た腫瘍は、それが活性化v-H-Rasを有している場合でさえ も、悪性進行を経験し得ない。従って、c-fos発現は、悪性表現型を担う標的遺 伝子の活性化に必須である。FIGFは、線維芽細胞において、細胞分裂エントリー を導き、そして過剰発現される場合には形質転換表現型を導き得る、c-fos依存 性オートクリン増殖因子である。これらのデータは、悪性表現型の活性化におけ るc-fosの役割が、FIGFの活性化に起因することを示唆する。 マウス組織由来のRNAのノーザンブロット分析における、FIGFに対して特異的 なプローブを使用する、FIGFについてのさらなる実験は、FIGF遺伝子が、Fosを 発現する細胞でのみ発現し、Fosガン遺伝子を欠く細胞では貧弱な発現すること を示す(図5)。ノーザンアッセイで使用されるRNAブロットをClontecから得た。 マウス組織におけるその発現の分析は、FIGFが、主に肺で発現され(図6)、マウ ス胚胎期7日目にすでに存在することを示す(図示せず)。 従って、FIGFは、ガン遺伝子Fosによってポジティブに調節される、増殖因子V EGFに関連する分子である。これは腫瘍および発生に関与し得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 A61K 39/395 D 48/00 48/00 C07K 14/52 C07K 14/52 16/22 16/22 C12N 5/10 C12Q 1/68 Z C12Q 1/68 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 33/53 D 33/53 33/566 33/566 33/574 A 33/574 C12P 21/08 // C12P 21/08 C12N 5/00 B (C12N 15/09 ZNA C12R 1:91) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ, VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 図1に示されるタンパク質または図2に示されるヌクレオチド218位〜130 2位のタンパク質、または完全タンパク質の活性の少なくとも一部を示し得るそ のフラグメントをコードする、Fos調節ヌクレオチド分子。 2. 請求項1に記載のヌクレオチド分子であって、図1、または図2のヌクレ オチド218位〜1302位に示される前記タンパク質またはそのフラグメントが、改 変されているが、依然として、該タンパク質またはそのフラグメントに対して少 なくとも80%の相同性を有する、図1、または図2のヌクレオチド218位〜1302 位に示される、ヌクレオチド分子。 3. 請求項1または請求項2に記載のヌクレオチド分子によってコードされる タンパク質。 4. 請求項1または請求項2に記載のヌクレオチド分子の発現のためのベクタ ーであって、プロモーターおよび該ヌクレオチド分子を含む、ベクター。 5. 請求項4に記載のベクターを用いて形質転換された宿主細胞。 6. チャイニーズハムスター卵巣細胞である、請求項5に記載の宿主細胞。 7. 請求項3に記載のタンパク質を産生するための方法であって、該タンパク 質の産生を導く条件下で、請求項5または請求項6に記載の宿主細胞を培養する 工程、および該タンパク質を収集する工程を包含する、方法。 8. 治療に使用するための、請求項1または請求項2に記載のヌクレオチド分 子。 9. 発育障害の処置のための組成物の製造における、請求項1または請求項2 に記載のヌクレオチド分子の使用。 10. 請求項3に記載のタンパク質に対して特異性を有する抗体分子。 11. 治療に使用するための、請求項10に記載の抗体分子。 12. 増殖性疾患の処置のための組成物の製造における、請求項10に記載の 抗体分子の使用。 13. 請求項1または請求項2に記載のヌクレオチド分子と相補的な配列を有 するアンチセンスヌクレオチド分子。 14. 請求項13に記載のアンチセンスヌクレオチド分子の発現のためのアン チセンスベクターであって、プロモーターおよび該アンチセンス分子を含む、ベ クター。 15. 治療に使用するための、請求項14に記載のアンチセンスベクター。 16. 増殖性疾患の処置のための組成物の製造における、請求項14に記載の アンチセンスベクターの使用。 17. リボザイムの発現のためのベクターであって、プロモーター、および請 求項1または請求項2に記載のヌクレオチド分子のRNA転写物を切断し得るリボ ザイムをコードするヌクレオチド配列を含む、ベクター。 18. 治療に使用するための請求項17に記載のベクター。 19. 増殖性疾患の処置のための組成物の製造における、請求項17に記載の ベクターの使用。 20. 前記増殖性疾患がガンである、請求項12、16または19に記載の使 用。 21. 前記タンパク質のレセプターを同定することにおける、請求項3に記載 のタンパク質の使用。 22. 前記タンパク質のアンタゴニストまたはアゴニストの同定のためのアッ セイにおける、請求項3に記載のタンパク質の使用。 23. 疾患に対する病理学的状態または疾病素質を診断することにおける、請 求項1または請求項2に記載のヌクレオチド分子、請求項3に記載のタンパク質 、あるいは請求項10に記載の抗体分子の使用。 24. トランスジェニック動物の作製における、請求項1または請求項2に記 載のヌクレオチド配列の使用。
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