JP2001358036A - 積層型セラミック電子部品およびその製造方法 - Google Patents

積層型セラミック電子部品およびその製造方法

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JP2001358036A JP2001028469A JP2001028469A JP2001358036A JP 2001358036 A JP2001358036 A JP 2001358036A JP 2001028469 A JP2001028469 A JP 2001028469A JP 2001028469 A JP2001028469 A JP 2001028469A JP 2001358036 A JP2001358036 A JP 2001358036A
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幸司 木村
Koji Kato
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部電極による段差を実質的になくすように
セラミックグリーンシート上に段差吸収用セラミックグ
リーン層を形成した生の積層体を焼成することによって
得られる積層セラミックコンデンサにおける構造欠陥の
発生を一層抑制できるようにする。 【解決手段】 セラミックグリーンシート2のためのセ
ラミックスラリーが第1のセラミック粉末と第1の樹脂
成分とを含み、段差吸収用セラミックグリーン層5のた
めのセラミックペーストが第2のセラミック粉末と第2
の樹脂成分とを含むとき、第1のセラミック粉末に対す
る第1の樹脂成分の体積比と第2のセラミック粉末に対
する第2の樹脂成分の体積比とを互いに実質的に同じに
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、積層型セラミッ
ク電子部品およびその製造方法に関するもので、特に、
セラミック層間に形成される内部回路要素膜の厚みに起
因する段差を吸収するために内部回路要素膜パターンの
ネガティブパターンをもって形成された段差吸収用セラ
ミック層を備える、積層型セラミック電子部品およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえば積層セラミックコンデンサのよ
うな積層型セラミック電子部品を製造しようとすると
き、複数のセラミックグリーンシートが用意され、これ
らセラミックグリーンシートが積み重ねられる。特定の
セラミックグリーンシート上には、得ようとする積層型
セラミック電子部品の機能に応じて、コンデンサ、抵
抗、インダクタ、バリスタ、フィルタ等を構成するため
の導体膜、抵抗体膜のような内部回路要素膜が形成され
ている。
【0003】近年、移動体通信機器をはじめとする電子
機器は、小型化かつ軽量化が進み、このような電子機器
において、たとえば積層型セラミック電子部品が回路素
子として用いられる場合、このような積層型セラミック
電子部品に対しても、小型化あるいは薄型化および軽量
化が強く要求されるようになっている。たとえば、積層
セラミックコンデンサの場合には、小型化あるいは薄型
化かつ大容量化の要求が高まっている。
【0004】積層セラミックコンデンサを製造しようと
する場合、典型的には、誘電体セラミック粉末、有機バ
インダ、可塑剤および有機系または水系溶剤を混合して
セラミックスラリーを作製し、このセラミックスラリー
を、剥離剤としてのシリコーン樹脂等によってコーティ
ングされた、たとえばポリエステルフィルムのような支
持体上で、ドクターブレード法等を適用して、たとえば
厚さ数10μmのシート状となるように成形することに
よって、セラミックグリーンシートが作製され、次い
で、このセラミックグリーンシートが乾燥される。
【0005】次に、上述したセラミックグリーンシート
の主面上に、互いに間隔を隔てた複数のパターンをもっ
て、導電性ペーストをスクリーン印刷によって付与し、
これを乾燥することにより、内部回路要素膜としての内
部電極がセラミックグリーンシート上に形成される。図
7には、上述のように複数箇所に分布して内部電極1が
形成されたセラミックグリーンシート2の一部が平面図
で示されている。
【0006】次に、セラミックグリーンシート2が支持
体から剥離され、適当な大きさに切断された後、図6に
一部を示すように、所定の枚数だけ積み重ねられ、さら
に、この積み重ねの上下に内部電極を形成していないセ
ラミックグリーンシートが所定の枚数だけ積み重ねられ
ることによって、生の積層体3が作製される。
【0007】この生の積層体3は、積層方向にプレスさ
れた後、図8に示すように、個々の積層セラミックコン
デンサのための積層体チップ4となるべき大きさに切断
され、次いで、脱バインダ工程を経た後、焼成工程に付
され、最終的に外部電極が形成されることによって、積
層セラミックコンデンサが完成される。
【0008】このような積層セラミックコンデンサにお
いて、その小型化あるいは薄型化かつ大容量化に対する
要求を満足させるためには、セラミックグリーンシート
2および内部電極1の積層数の増大およびセラミックグ
リーンシート2の薄層化を図ることが必要となってく
る。
【0009】しかしながら、上述のような多層化および
薄層化が進めば進むほど、内部電極1の各厚みの累積の
結果、内部電極1が位置する部分とそうでない部分との
間、あるいは、内部電極1が積層方向に比較的多数配列
されている部分とそうでない部分との間での厚みの差が
より顕著になり、たとえば、図8に示すように、得られ
た積層体チップ4の外観に関しては、その一方主面が凸
状となるような変形が生じてしまう。
【0010】積層体チップ4において図8に示すような
変形が生じていると、内部電極1が位置していない部分
あるいは比較的少数の内部電極1しか積層方向に配列さ
れていない部分においては、プレス工程の際に比較的大
きな歪みがもたらされており、また、セラミックグリー
ンシート2間の密着性が劣っているため、焼成時に引き
起こされる内部ストレスによって、デラミネーションや
微小クラック等の構造欠陥が発生しやすい。
【0011】また、図8に示すような積層体チップ4の
変形は、内部電極1を不所望に変形させる結果を招き、
これによって、ショート不良が生じることがある。
【0012】このような不都合は、積層セラミックコン
デンサの信頼性を低下させる原因となっている。
【0013】上述のような問題を解決するため、たとえ
ば、図2に示すように、セラミックグリーンシート2上
の内部電極1が形成されていない領域に、段差吸収用セ
ラミックグリーン層5を形成し、この段差吸収用セラミ
ックグリーン層5によって、セラミックグリーンシート
2上での内部電極1の厚みによる段差を実質的になくす
ことが、たとえば、特開昭56−94719号公報、特
開平3−74820号公報、特開平9−106925号
公報等に記載されている。
【0014】上述のように、段差吸収用セラミックグリ
ーン層5を形成することによって、図1に一部を示すよ
うに、生の積層体3aを作製したとき、内部電極1が位
置する部分とそうでない部分との間、あるいは内部電極
1が積層方向に比較的多数配列されている部分とそうで
ない部分との間での厚みの差が実質的に生じなくなり、
図3に示すように、得られた積層体チップ4aにおい
て、図8に示すような不所望な変形が生じにくくなる。
【0015】その結果、前述したようなデラミネーショ
ンや微小クラック等の構造欠陥および内部電極1の変形
によるショート不良といった問題を生じにくくすること
ができ、得られた積層セラミックコンデンサの信頼性を
高めることができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上述したような積層セ
ラミックコンデンサを製造するために用意される生の積
層体チップ4aは、セラミックグリーンシート2と内部
電極1と段差吸収用セラミックグリーン層5との3種類
の構成材料からなる。したがって、脱バインダおよびこ
れに続く焼成工程において、これら3種類の構成材料の
各々の体積収縮が生じることになるが、このとき、3種
類の構成材料の物性の差によって、応力が発生し、これ
が、得られた積層セラミックコンデンサにおける構造欠
陥の原因になることがある。
【0017】また、同様の問題は、積層セラミックコン
デンサ以外のたとえば積層インダクタといった他の積層
型セラミック電子部品においても遭遇する。
【0018】そこで、この発明の目的は、上述したよう
な問題を解決し得る、積層型セラミック電子部品の製造
方法およびこの製造方法によって得られた積層型セラミ
ック電子部品を提供しようとすることである。
【0019】
【課題を解決するための手段】この発明は、まず、積層
型セラミック電子部品の製造方法に向けられる。この製
造方法では、基本的に、次のような工程が実施される。
【0020】まず、セラミックスラリー、導電性ペース
トおよびセラミックペーストがそれぞれ用意される。
【0021】次に、セラミックスラリーを成形すること
によって得られたセラミックグリーンシートと、セラミ
ックグリーンシートの主面上にその厚みによる段差をも
たらすように部分的に導電性ペーストを付与することに
よって形成された内部回路要素膜と、内部回路要素膜の
厚みによる段差を実質的になくすようにセラミックグリ
ーンシートの主面上であって内部回路要素膜が形成され
ない領域にセラミックペーストを付与することによって
形成された段差吸収用セラミックグリーン層とを備え
る、複数の複合構造物が作製される。
【0022】次に、これら複数の複合構造物を積み重ね
ることによって、生の積層体が作製される。
【0023】そして、生の積層体が焼成される。
【0024】また、このような基本的工程を備える、積
層型セラミック電子部品の製造方法において、セラミッ
クスラリーは、第1のセラミック粉末と、第1の樹脂成
分とを含み、セラミックペーストは、第2のセラミック
粉末と、第2の樹脂成分とを含んでいる。
【0025】この発明では、上述のような積層型セラミ
ック電子部品の製造方法において、前述した技術的課題
を解決するために、セラミックスラリーにおける第1の
セラミック粉末に対する第1の樹脂成分の体積比で表わ
される第1の樹脂含有率とセラミックペーストにおける
第2のセラミック粉末に対する第2の樹脂成分の体積比
で表わされる第2の樹脂含有率とは、互いに実質的に同
じであることを特徴としている。
【0026】この明細書において、上述したように、第
1の樹脂含有率と第2の樹脂含有率とが互いに実質的に
同じであるとは、これら樹脂含有率の差が約10体積%
以下であることを意味する。
【0027】なお、内部回路要素膜のための導電性ペー
ストの樹脂含有率については、焼結性がセラミックとは
異なるため、セラミックグリーンシートのためのセラミ
ックスラリーの樹脂含有量と同等か、それ以下であれ
ば、焼成後の構造欠陥の問題は生じない。
【0028】この発明において、第1の樹脂成分は、第
1の有機バインダ、第1の有機バインダおよび第1の有
機分散剤、第1の有機バインダおよび第1の有機可塑
剤、または第1の有機バインダ、第1の有機分散剤およ
び第1の有機可塑剤を含み、第2の樹脂成分は、第2の
有機バインダ、第2の有機バインダおよび第2の有機分
散剤、第2の有機バインダおよび第2の有機可塑剤、ま
たは第2の有機バインダ、第2の有機分散剤および第2
の有機可塑剤を含むことが好ましい。
【0029】また、セラミックスラリーにおいて、第1
のセラミック粉末に対して、第1の樹脂成分は、2〜1
5重量%含むことが好ましい。
【0030】また、この発明において、第1のセラミッ
ク粉末は、第2のセラミック粉末と実質的に同じ組成を
有していることが好ましい。
【0031】また、この発明の特定的な実施態様におい
て、セラミックスラリーおよびセラミックペーストにそ
れぞれ含まれる第1および第2のセラミック粉末は、と
もに、誘電体セラミック粉末である。この場合、内部回
路要素膜が、互いの間に静電容量を形成するように配置
される内部電極であるとき、積層セラミックコンデンサ
を製造することができる。
【0032】また、この発明の他の特定的な実施態様に
おいて、セラミックスラリーおよびセラミックペースト
にそれぞれ含まれるセラミック粉末は、ともに、磁性体
セラミック粉末である。この場合、内部回路要素膜が、
コイル状に延びるコイル導体膜であるとき、積層インダ
クタを製造することができる。
【0033】この発明は、また、上述したような製造方
法によって得られた、積層型セラミック電子部品にも向
けられる。
【0034】
【発明の実施の形態】この発明の一実施形態の説明を、
積層セラミックコンデンサの製造方法について行なう。
この実施形態による積層セラミックコンデンサの製造方
法は、前述した図1ないし図3を参照しながら説明する
ことができる。
【0035】この実施形態を実施するにあたり、セラミ
ックグリーンシート2のためのセラミックスラリー、内
部電極1のための導電性ペーストおよび段差吸収用セラ
ミックグリーン層5のためのセラミックペーストがそれ
ぞれ用意される。
【0036】上述のセラミックスラリーからセラミック
グリーンシート2を得るため、剥離剤としてのシリコー
ン樹脂等によってコーティングされた、たとえばポリエ
ステルフィルムのような支持体(図示せず。)上で、セ
ラミックスラリーがドクターブレード法等によって成形
され、次いで乾燥される。セラミックグリーンシート2
の各厚みは、乾燥後において、たとえば数μmとされ
る。
【0037】セラミックグリーンシート2の主面上に
は、複数箇所に分布するように、内部電極1が乾燥後に
おいてたとえば約1μmの厚みをもって形成される。内
部電極1は、たとえば、スクリーン印刷等によって導電
性ペーストを付与し、これを乾燥することによって形成
される。この内部電極1は、それぞれ、所定の厚みを有
していて、したがって、セラミックグリーンシート2上
には、この厚みによる段差がもたらされる。
【0038】次に、上述した内部電極1の厚みによる段
差を実質的になくすように、セラミックグリーンシート
2の主面上であって、内部電極1が形成されていない領
域に、段差吸収用セラミックグリーン層5が形成され
る。段差吸収用セラミックグリーン層5は、内部電極1
のネガティブパターンをもって、前述したセラミックペ
ーストをスクリーン印刷等によって付与することにより
形成され、次いで乾燥される。
【0039】上述した説明では、内部電極1を形成した
後に段差吸収用セラミックグリーン層5を形成したが、
逆に、段差吸収用セラミックグリーン層5を形成した後
に内部電極1を形成するようにしてもよい。
【0040】上述のように、セラミックグリーンシート
2上に内部電極1および段差吸収用セラミックグリーン
層5が形成された、図2に示すような複合構造物6は、
複数用意され、これら複合構造物6は、支持体より剥離
された後、適当な大きさに切断され、所定の枚数だけ積
み重ねられ、さらにその上下に内部電極および段差吸収
用セラミックグリーン層が形成されていないセラミック
グリーンシートを積み重ねることによって、図1に一部
を示すような生の積層体3aが作製される。
【0041】この生の積層体3aは、積層方向にプレス
された後、図3に示すように、個々の積層セラミックコ
ンデンサのための積層体チップ4aとなるべき大きさに
切断され、次いで、脱バインダ工程を経た後、焼成工程
に付され、最終的に外部電極が形成されることによっ
て、積層コンデンサが完成される。
【0042】上述のように、段差吸収用セラミックグリ
ーン層5を形成することによって、図1に一部を示すよ
うに、生の積層体3aにおいて、内部電極1が位置する
部分とそうでない部分との間、あるいは内部電極1が積
層方向に比較的多数配列されている部分とそうでない部
分との間での厚みの差が実質的に生じなくなり、図3に
示すように、積層体チップ4aにおいて、不所望な変形
が生じにくくなる。その結果、得られた積層セラミック
コンデンサにおいて、デラミネーションや微小クラック
等の構造欠陥およびショート不良といった問題を生じに
くくすることができる。
【0043】この実施形態において、セラミックグリー
ンシート2のためのセラミックスラリーは、第1のセラ
ミック粉末と、第1の樹脂成分とを含んでいる。また、
段差吸収用セラミックグリーン層5のためのセラミック
ペーストは、第2のセラミック粉末と、第2の樹脂成分
とを含んでいる。
【0044】このような各組成を有するセラミックスラ
リーおよびセラミックペーストにおいて、第1のセラミ
ック粉末に対する第1の樹脂成分の体積比で表わされる
第1の樹脂含有率と第2のセラミック粉末に対する第2
の樹脂成分の体積比で表わされる第2の樹脂含有率と
は、互いに実質的に同じとされる。
【0045】これによって、セラミックグリーンシート
2と段差吸収用セラミックグリーン層5との間で、脱バ
インダおよび焼成工程における体積収縮率を実質的に一
致させることができ、体積収縮時に発生する応力を小さ
くすることができ、応じて、積層セラミックコンデンサ
における構造欠陥を生じにくくすることができる。
【0046】通常、上述した第1の樹脂成分は、第1の
有機バインダおよび第1の有機分散剤を含み、第2の樹
脂成分は、第2の有機バインダおよび第2の有機分散剤
を含んでいる。
【0047】前述した第1および第2の樹脂成分を溶解
するため、種々の溶剤が用いられるが、第1および第2
の有機バインダの各々に対する溶解性を考慮して、この
ような種々の溶剤の中から適宜選択すればよい。
【0048】なお、内部電極1を形成するために用いら
れる導電性ペーストは、導電性粉末と、溶剤と、有機バ
インダ等の樹脂成分とを含むが、セラミックペーストに
含まれる溶剤および導電性ペーストに含まれる溶剤とし
ては、スクリーン印刷性を考慮したとき、150℃以上
の沸点を有しているものを用いることが好ましく、20
0〜250℃程度の沸点を有しているものを用いること
がより好ましい。150℃未満では、セラミックペース
トまたは導電性ペーストが乾燥しやすく、そのため、印
刷パターンのメッシュの目詰まりが生じやすく、他方、
250℃を超えると、印刷塗膜が乾燥しにくく、そのた
め、乾燥に長時間要するためである。
【0049】セラミックスラリー、セラミックペースト
および導電性ペーストに含まれる溶剤が有機溶剤である
場合、このような有機溶剤の例としては、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等のケトン
類、トルエン、ベンゼン、キシレン、ノルマルヘキサン
等の炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール、ブタノール、アミルアルコール等のアルコール
類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエス
テル類、ジイソプロピルケトン、エチルセルソルブ、ブ
チルセルソルブ、セルソルブアセテート、メチルセルソ
ルブアセテート、ブチルカルビトール、シクロヘキサノ
ール、パイン油、ジヒドロテルピネオール、イソホロ
ン、テルピネオール、シプロピレングリコール、ジメチ
ルフタレート等のケトン類、エステル類、炭化水素類、
アルコール類、塩化メチレン等の塩化炭化水素類、およ
びこれらの混合物が挙げられる。
【0050】また、分散剤としては、特に限定しない
が、分散性の点からは、分子量は1万以下であることが
好ましい。アニオン系、カチオン系、ノニオン系いずれ
でもよいが、ポリアクリル酸やそのアンモニウム塩、ポ
リアクリル酸エステル共重合体、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリオキシエチレンアルキルアミルエーテル、脂肪
酸ジエタノールアマイド、ポリエチレンイミン、ポリオ
キシプロピレンモノアリルモノブチルエーテルと無水マ
レイン酸(およびスチレン)の共重合体等が好ましい。
【0051】また、有機バインダとしては、それぞれ、
室温において、前述した溶剤に溶解するものが良い。こ
のような有機バインダとしては、たとえば、ポリビニル
ブチラール、ポリブチルブチラール等のポリアセタール
類、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、エチルセルロ
ース等の変性セルロース類、アルキッド類、ビニリデン
類、ポリエーテル類、エポキシ樹脂類、ウレタン樹脂
類、ポリアミド樹脂類、ポリイミド樹脂類、ポリアミド
イミド樹脂類、ポリエステル樹脂類、ポリサルフォン樹
脂類、液晶ポリマー類、ポリイミダゾール樹脂類、ポリ
オキサゾリン樹脂類等がある。
【0052】有機バインダとして上に例示したポリビニ
ルブチラールは、ポリビニルアルコールとブチルアルデ
ヒドとの縮合によって得られるものであり、アセチル基
が6モル%以下で、ブチラール基が62〜82モル%の
低重合品、中重合品および高重合品がある。セラミック
ペーストにおいて第1の有機バインダとして用いられる
ポリビニルブチラールは、有機溶剤に対する溶解粘度お
よび乾燥塗膜の強靱性のバランスから、ブチラール基が
65モル%程度の中重合品であることが好ましい。
【0053】前述したセラミックスラリーにおいて、第
1のセラミック粉末に対して、第1の樹脂成分は、2〜
15重量%含むようにされることが好ましい。これが2
重量%未満であると、セラミックスラリーがシート化し
にくく、15重量%を超えると、脱脂工程において、樹
脂成分、たとえば有機バインダの除去に長時間必要とし
てしまうからである。
【0054】なお、特に、段差吸収用セラミックグリー
ン層5のためのセラミックペーストを製造するにあたっ
ては、次のような方法が採用されることが好ましい。
【0055】すなわち、有機溶剤として、比較的高沸点
の第1の有機溶剤と比較的低沸点の第2の有機溶剤が用
いられ、少なくとも第2のセラミック粉末と第2の有機
溶剤とを含む1次混合物を分散処理する1次分散工程
と、この1次分散工程を経た1次混合物に少なくとも第
2の有機バインダを加えた2次混合物を分散処理する2
次分散工程とが実施される。なお、第1の有機溶剤は、
1次分散工程の段階または2次分散工程の段階、あるい
は1次分散工程の段階および2次分散工程の段階の双方
で添加される。そして、最終的に、2次分散工程の後、
2次混合物を加熱処理することによって、第2の有機溶
剤が選択的に除去される。
【0056】このように、1次分散工程では、第2の有
機バインダを未だ加えていないので、低粘度下での分散
処理を可能とし、そのため、第2のセラミック粉末の分
散性を高めることが容易である。この1次分散工程で
は、第2のセラミック粉末の表面に吸着している空気が
第2の有機溶剤で置換され、第2のセラミック粉末を第
2の有機溶剤で十分に濡らした状態とすることができる
とともに、第2のセラミック粉末の凝集状態を十分に解
砕することができる。
【0057】また、2次分散工程では、上述のように、
1次分散工程で得られた第2のセラミック粉末の高い分
散性を維持したまま、第2の有機バインダを十分かつ均
一に混合させることができ、また、第2のセラミック粉
末のさらなる粉砕効果も期待できる。
【0058】また、第2の有機溶剤の除去が、2次分散
工程の後に実施されるので、2次分散工程の段階におい
ても、2次混合物の粘度を比較的低くしておくことが可
能であり、したがって、分散効率を比較的高く維持して
おくことができるとともに、前述したような2次分散工
程の段階で加えられる第2の有機バインダの溶解性を高
めることができる。
【0059】なお、上述した第2の有機溶剤としては、
第1の有機溶剤の沸点との関係を考慮しながら、たとえ
ば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ア
セトン、トルエン、ベンゼン、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸イソブチル、
酢酸ブチル、およびこれらの混合物を有利に用いること
ができる。
【0060】また、セラミックグリーンシート2のため
のセラミックスラリーに含まれる第1のセラミック粉末
は、段差吸収用セラミックグリーン層5のためのセラミ
ックペーストに含まれる第2のセラミック粉末と実質的
に同じ組成を有するものであることが好ましい。段差吸
収用セラミックグリーン層5とセラミックグリーンシー
ト2との間で焼結性を一致させるためである。
【0061】なお、上述の実質的に同じ組成を有すると
は、主成分が同じであるということである。たとえば、
微量添加金属酸化物やガラス等の副成分が異なっても、
実質的に同じ組成を有するということができる。また、
セラミックグリーンシート2に含まれるセラミック粉末
が、静電容量の温度特性についてJIS規格で規定する
B特性およびEIA規格で規定するX7R特性を満足す
る範囲のものであれば、段差吸収用セラミックグリーン
層5のためのセラミックペーストに含まれるセラミック
粉末も、主成分が同じでB特性およびX7R特性を満足
するものであれば、副成分が違っていてもよい。
【0062】また、セラミックグリーンシート2のため
のセラミックスラリーや段差吸収用セラミックグリーン
層5のためのセラミックペーストにおいて、前述した分
散剤の他、添加剤として、可塑剤、帯電防止剤、消泡剤
等を必要に応じて添加してもよい。
【0063】図4は、この発明の他の実施形態としての
積層インダクタの製造方法を説明するためのものであ
り、図5に外観を斜視図で示した、この製造方法によっ
て製造された積層インダクタ11に備える積層体チップ
12を得るために用意される生の積層体13を構成する
要素を分解して示す斜視図である。
【0064】生の積層体13は、複数のセラミックグリ
ーンシート14、15、16、17、…、18および1
9を備え、これらセラミックグリーンシート14〜19
を積層することによって得られるものである。
【0065】セラミックグリーンシート14〜19は、
磁性体セラミック粉末を含むセラミックスラリーを、ド
クターブレード法等によって成形し、乾燥することによ
って得られる。セラミックグリーンシート14〜19の
各厚みは、乾燥後において、たとえば10〜30μmと
される。
【0066】セラミックグリーンシート14〜19のう
ち、中間に位置するセラミックグリーンシート15〜1
8には、以下に詳細に説明するように、コイル状に延び
るコイル導体膜および段差吸収用セラミックグリーン層
が形成される。
【0067】まず、セラミックグリーンシート15上に
は、コイル導体膜20が形成される。コイル導体膜20
は、その第1の端部がセラミックグリーンシート15の
端縁にまで届くように形成される。コイル導体膜20の
第2の端部には、ビアホール導体21が形成される。
【0068】このようなコイル導体膜20およびビアホ
ール導体21を形成するため、たとえば、セラミックグ
リーンシート15にビアホール導体21のための貫通孔
をレーザまたはパンチングなどの方法により形成した
後、コイル導体膜20およびビアホール導体21となる
導電性ペーストを、スクリーン印刷等によって付与し、
乾燥することが行なわれる。
【0069】また、上述したコイル導体膜20の厚みに
よる段差を実質的になくすように、セラミックグリーン
シート15の主面上であって、コイル導体膜20が形成
されていない領域に、段差吸収用セラミックグリーン層
22が形成される。段差吸収用セラミックグリーン層2
2は、前述した、この発明において特徴となる磁性体セ
ラミック粉末を含むセラミックペーストを、スクリーン
印刷等によって付与し、乾燥することによって形成され
る。
【0070】次に、セラミックグリーンシート16上に
は、上述した方法と同様の方法によって、コイル導体膜
23、ビアホール導体24および段差吸収用セラミック
グリーン層25が形成される。コイル導体膜23の第1
の端部は、前述したビアホール導体21を介して、コイ
ル導体膜20の第2の端部に接続される。ビアホール導
体24は、コイル導体膜23の第2の端部に形成され
る。
【0071】次に、セラミックグリーンシート17上に
は、同様に、コイル導体膜26、ビアホール導体27お
よび段差吸収用セラミックグリーン層28が形成され
る。コイル導体膜26の第1の端部は、前述したビアホ
ール導体24を介して、コイル導体膜23の第2の端部
に接続される。ビアホール導体27は、コイル導体膜2
6の第2の端部に形成される。
【0072】上述したセラミックグリーンシート16お
よび17の積層は、必要に応じて、複数回繰り返され
る。
【0073】次に、セラミックグリーンシート18上に
は、コイル導体膜29および段差吸収用セラミックグリ
ーン層30が形成される。コイル導体膜29の第1の端
部は、前述したビアホール導体27を介して、コイル導
体膜26の第2の端部に接続される。コイル導体膜29
は、その第2の端部がセラミックグリーンシート18の
端縁にまで届くように形成される。
【0074】なお、上述したコイル導体膜20、23、
26および29の各厚みは、乾燥後において、たとえば
約30μm程度とされる。
【0075】このようなセラミックグリーンシート14
〜19をそれぞれ含む複数の複合構造物を積層して得ら
れた生の積層体13において、各々コイル状に延びる複
数のコイル導体膜20、23、26および29が、ビア
ホール導体21、24および27を介して順次接続され
ることによって、全体として複数ターンのコイル導体が
形成される。
【0076】生の積層体13が焼成されることによっ
て、図5に示す積層インダクタ11のための積層体チッ
プ12が得られる。なお、生の積層体13は、図4で
は、1個の積層体チップ12を得るためのものとして図
示されているが、複数の積層体チップを得るためのもの
として作製され、これを切断することによって、複数の
積層体チップを取り出すようにしてもよい。
【0077】次いで、図5に示すように、積層体チップ
12の相対向する各端部には、前述したコイル導体膜2
0の第1の端部およびコイル導体膜29の第2の端部に
それぞれ接続されるように、外部電極30および31が
形成され、それによって、積層インダクタ11が完成さ
れる。
【0078】図1ないし図3を参照して説明した積層セ
ラミックコンデンサまたは図4および図5を参照して説
明した積層インダクタ11のような積層型セラミック電
子部品において、セラミックグリーンシートあるいは段
差吸収用セラミックグリーン層に含まれるセラミック粉
末としては、代表的には、アルミナ、ジルコニア、マグ
ネシア、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ジル
コン酸鉛、フェライト−マンガン等の酸化物系セラミッ
ク粉末、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サイアロン等の非酸
化物系セラミック粉末の中から適宜選択して用いること
ができる。粉末粒径としては、好ましくは、平均5μm
以下、より好ましくは、1μmの球形または粉砕状のも
のが使用される。
【0079】また、不純物として含まれるアルカリ金属
酸化物の含有量が0.1重量%以下のチタン酸バリウム
をセラミック粉末として用いる場合、このセラミック粉
末に対して、微量成分として以下のような金属酸化物や
ガラス成分を含有させてもよい。
【0080】金属酸化物としては、酸化テルビウム、酸
化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、
酸化イッテルビウム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸
化ニッケル、または酸化マグネシウム等がある。
【0081】また、ガラス成分としては、Li2 −(S
iTi)O2 −MO(ただし、MOはAl2 3 または
ZrO2 )、SiO2 −TiO2 −MO(ただし、MO
はBaO、CaO、SrO、MgO、ZnOまたはMn
O)、Li2 O−B2 3 −(SiTi)O2 +MO
(ただし、MOはAl2 3 またはZrO2 )、B2
3 −Al2 3 −MO(ただし、MOはBaO、Ca
O、SrOまたはMgO)、またはSiO2 等がある。
【0082】また、図1ないし図3を参照して説明した
積層セラミックコンデンサまたは図4および図5を参照
して説明した積層インダクタ11において、内部電極1
またはコイル導体膜20、23、26および29ならび
にビアホール導体21、24および27の形成のための
用いられる導電性ペーストとしては、たとえば、次のよ
うなものを用いることができる。
【0083】積層セラミックコンデンサにおいて用いら
れる導電性ペーストとしては、平均粒径が0.02μm
〜3μm、好ましくは0.05〜0.5μmであって、
Ag/Pdが60重量%/40重量%〜80重量%/2
0重量%の合金からなる導電性粉末、ニッケル金属粉末
または銅金属粉末等を含み、この粉末を100重量部
と、有機バインダを2〜20重量部(好ましくは5〜1
0重量部)と、焼結抑制剤としてのAg、Au、Pt、
Ti、Si、NiまたはCu等の金属レジネートを金属
換算で約0.1〜3重量部(好ましくは0.5〜1重量
部)と、有機溶剤を約35重量部とを、3本ロールで混
練した後、同じまたは別の有機溶剤をさらに加えて粘度
調整を行なうことによって得られた導電性ペーストを用
いることができる。
【0084】積層インダクタ11において用いられる導
電性ペーストとしては、Ag/Pdが80重量%/20
重量%〜100重量%/0重量%の合金またはAgから
なる導電性粉末を含み、この粉末が100重量部に対し
て、上述した積層セラミックコンデンサのための導電性
ペーストの場合と同様の有機バインダと焼結抑制剤と有
機溶剤とを同様の比率で3本ロールで混練した後、同じ
または別の有機溶剤をさらに加えて粘度調整を行なうこ
とによって得られた導電性ペーストを用いることができ
る。
【0085】以下に、この発明を、実験例に基づいて、
より具体的に説明する。
【0086】
【実験例1】実験例1は、積層セラミックコンデンサに
関するものである。
【0087】1.誘電体セラミック粉末の準備 まず、炭酸バリウム(BaCO3 )および酸化チタン
(TiO2 )を1:1のモル比となるように秤量し、ボ
ールミルを用いて湿式混合した後、脱水乾燥させた。次
いで、温度1000℃で2時間仮焼した後、粉砕するこ
とによって、誘電体セラミック粉末を得た。
【0088】2.セラミックスラリーの準備およびセラ
ミックグリーンシートの作製 先に準備したセラミック粉末100重量部と、ポリビニ
ルブチラール(中重合品)7重量部と、可塑剤としてD
OP(フタル酸ジオクチル)3重量部と、メチルエチル
ケトン30重量部と、エタノール20重量部と、トルエ
ン20重量部とを、直径1mmのジルコニア製玉石60
0重量部とともに、ボールミルに投入し、20時間湿式
混合を行なって、セラミックスラリーを得た。
【0089】このセラミックスラリーにおいて、セラミ
ック粉末100重量部に対して、樹脂成分は、ポリビニ
ルブチラール7重量部とDOP3重量部との合計である
10重量部含んでいることになる。
【0090】そして、このセラミックスラリーに対し
て、ドクターブレード法を適用して、厚さ3μm(焼成
後の厚みは2μm)のセラミックグリーンシートを成形
した。乾燥は、80℃で、5分間行なった。
【0091】3.導電性ペーストの準備 Ag/Pd=70/30の金属粉末100重量部と、エ
チルセルロース4重量部と、アルキッド樹脂2重量部
と、Ag金属レジネート3重量部(Agとして17.5
重量部)と、ブチルカルビトールアセテート35重量部
とを、3本ロールで混練した後、テルピネオール35重
量部を加えて粘度調整を行なった。
【0092】4.段差吸収用セラミックグリーン層のた
めのセラミックペーストの準備 −試料1(実施例)− 先に準備した誘電体セラミック粉末100重量部と、メ
チルエチルケトン(相対蒸発速度465)70重量部
と、直径1mmのジルコニア製玉石600重量部とを、
ボールミルに投入し、16時間湿式混合を行なった。次
に、同じポットに、沸点220℃のテルピネオール(相
対蒸発速度10以下)40重量部と、ポリビニルブチラ
ール(中重合品)10重量部とを添加し、さらに、16
時間混合することによって、セラミックスラリー混合物
を得た。
【0093】次いで、上述のセラミックスラリー混合物
を、60℃の温浴中でエバポレータにより2時間減圧蒸
留することにより、メチルエチルケトンを完全に除去し
て、セラミックペーストを得た。次いで、粘度調整用の
ために、テルピネオール10〜20重量部添加して、自
動乳鉢により分散・調整した。
【0094】このセラミックペーストにおいて、セラミ
ック粉末100重量部に対して、樹脂成分として、ポリ
ビニルブチラールを10重量部含んでいることになる。
【0095】なお、ポリビニルブチラールとDOPと
は、比重が互いにほぼ同じであるため、前述したセラミ
ックスラリーにおける樹脂成分の含有率である10重量
部とこのセラミックペーストにおける樹脂成分の含有率
である10重量部とは、体積比においても、実質的に同
じであると言うことができる。
【0096】−試料2(実施例)− 先に準備した誘電体セラミック粉末100重量部と、メ
チルエチルケトン70重量部と、ポリアクリル酸4級ア
ンモニウム塩分散剤(重量平均分子量1000)0.5
重量部と、直径1mmのジルコニア製玉石600重量部
とを、ボールミルに投入し、16時間湿式混合を行なっ
た。次に、同じポットに、沸点220℃のテルピネオー
ル10重量部と、ポリビニルブチラール(中重合品)
9.5重量部とを添加し、さらに、16時間混合するこ
とによって、セラミックスラリー混合物を得た。
【0097】次いで、上述のセラミックスラリー混合物
を、60℃の温浴中でエバポレータにより2時間減圧蒸
留することにより、メチルエチルケトンを完全に除去し
て、セラミックペーストを得た。次いで、粘度調整用の
ために、テルピネオール10〜20重量部添加して、自
動乳鉢により分散・調整した。
【0098】このセラミックペーストにおいて、セラミ
ック粉末100重量部に対して、樹脂成分は、ポリアク
リル酸4級アンモニウム塩分散剤0.5重量部とポリビ
ニルブチラール9.5重量部との合計である10重量部
含んでいることになる。
【0099】この場合においても、ポリアクリル酸4級
アンモニウム塩分散剤とポリビニルブチラールとは、比
重が互いにほぼ同じであるため、前述したセラミックス
ラリーにおける樹脂成分の含有率である10重量部とこ
のセラミックペーストにおける樹脂成分の含有率である
10重量部とは、体積比においても、実質的に同じであ
ると言うことができる。
【0100】−試料3(実施例)− 先に準備した誘電体セラミック粉末100重量部と、沸
点220℃のテルピネオール40重量部と、ポリビニル
ブチラール(中重合品)10重量部とを、自動乳鉢で混
合した後、3本ロールで良く混練し、さらに、粘度調整
用のために、テルピネオール10〜20重量部添加し
て、自動乳鉢により分散・調整して、セラミックペース
トを得た。
【0101】この場合においても、樹脂成分であるポリ
ビニルブチラールが、セラミック粉末100重量部に対
して、10重量部含んでおり、前述したセラミックスラ
リーにおける樹脂成分の含有率である10重量部と同じ
であり、体積比においても、実質的に同じである。
【0102】−試料4(比較例)− ポリビニルブチラール(中重合品)を15重量部添加し
たことを除いて、試料1と同様にして、セラミックペー
ストを得た。
【0103】この場合、セラミックペースト中の樹脂成
分の含有率である15重量部は、前述したセラミックス
ラリーにおける樹脂成分の含有率である10重量部と比
較的大きく異なっている。
【0104】−試料5(比較例)− ポリビニルブチラール(中重合品)を15重量部添加し
たことを除いて、試料3と同様にして、セラミックペー
ストを得た。
【0105】この場合においても、セラミックペースト
中の樹脂成分の含有率である15重量部は、前述したセ
ラミックスラリーにおける樹脂成分の含有率である10
重量部と比較的大きく異なっている。
【0106】5.積層セラミックコンデンサの作製 先に用意したセラミックグリーンシートの主面上に内部
電極を形成するため、導電性ペーストをスクリーン印刷
し、80℃で10分間乾燥した。なお、内部電極の寸
法、形状および位置は、後の工程で得られる積層体チッ
プに適合するように設定した。次に、セラミックグリー
ンシートの主面上に段差吸収用セラミックグリーン層を
形成するため、試料1ないし5に係る各セラミックペー
ストをスクリーン印刷し、80℃で10分間乾燥した。
内部電極および段差吸収用セラミックグリーン層の各厚
みは、乾燥後において、1.5μm(焼成後の厚みは
0.8μm)になるようにした。
【0107】次に、上述のように内部電極および段差吸
収用セラミックグリーン層を形成している200枚のセ
ラミックグリーンシートを、内部電極等が付与されてい
ない数10枚のセラミックグリーンシートで挟み込むよ
うに積み重ねて、生の積層体を作製し、この積層体を、
80℃で1000Kg/cm2 の加圧条件で熱プレスし
た。
【0108】次に、焼成後において長さ3.2mm×幅
1.6mm×厚み1.6mmの寸法となるように、上述
の生の積層体を切断刃にて切断することによって、複数
の積層体チップを得た。
【0109】次に、ジルコニア粉末が少量散布された焼
成用セッター上に、上述の複数の積層体チップを整列さ
せ、室温から250℃まで24時間かけて昇温させ、有
機バインダを除去した。次に、積層体チップを、焼成炉
に投入し、最高1300℃で約20時間のプロファイル
にて焼成を行なった。
【0110】次に、得られた焼結体チップをバレルに投
入し、端面研磨を施した後、焼結体の両端部に外部電極
を設けて、試料となる積層セラミックコンデンサを完成
させた。
【0111】6.特性の評価 上述した試料1〜5の各々に係るセラミックペーストお
よび積層セラミックコンデンサについて、各種特性を評
価した。その結果が表1に示されている。
【0112】
【表1】
【0113】表1における特性評価は、次のように行な
った。
【0114】「固形分」:セラミックペースト約1gを
精秤し、熱対流式オーブンにおいて、150℃で3時間
放置した後の重量から算出した。
【0115】「粘度」:セラミックペーストの粘度を、
東京計器製E型粘度計を用いて、20℃において、2.
5rpmの回転を付与して測定した。
【0116】「分散度」:セラミック粉末の粒度分布を
光回折式粒度分布測定装置を用いて測定し、得られた粒
度分布から算出した。すなわち、先に準備したセラミッ
ク粉末を、超音波ホモジナイザーを用いて水中で分散さ
せ、粒経がこれ以上小さくならないところまで超音波を
印加し、そのときのD90の粒経を記録して、これを限
界粒経とした。他方、セラミックペーストをエタノール
中で希釈し、粒度分布のD90の粒経を記録して、これ
をペーストの粒経とした。そして、 分散度=(ペーストの粒経/限界粒経)−1 の式に基づき、分散度を算出した。この分散度は、数値
が+であれば、値が0に近いほど、分散性が良いことを
示し、数値が−であれば、絶対値が大きいほど、分散性
が良いことを示している。
【0117】「印刷厚み」:96%アルミナ基板上に、
400メッシュで厚み50μmのステンレス鋼製スクリ
ーンを用いて、乳剤厚み20μmで印刷し、80℃で1
0分間乾燥することにより、評価用印刷塗膜を形成し、
その厚みを、比接触式のレーザ表面粗さ計による測定結
果から求めた。
【0118】「Ra(表面粗さ)」:上記「印刷厚み」
の場合と同様の評価用印刷塗膜を形成し、その表面粗さ
Ra、すなわち、うねりを平均化した中心線と粗さ曲線
との偏差の絶対値を平均化した値を、比接触式のレーザ
表面粗さ計による測定結果から求めた。
【0119】「構造欠陥不良率」:得られた積層セラミ
ックコンデンサのための焼結体チップの外観検査、超音
波顕微鏡による検査で異常が見られた場合、研磨により
内部の構造欠陥を確認し、(構造欠陥のある焼結体チッ
プ数)/(焼結体チップの総数)を構造欠陥不良率とし
た。
【0120】表1において、実施例となる試料1〜3と
比較例となる試料4および5との間で、「分散度」が同
等の試料、すなわち、試料1と試料4、あるいは試料3
と試料5とをそれぞれ比較すると、実施例に係る試料1
および3が、それぞれ、比較例に係る試料4および5に
比べて、「構造欠陥不良率」において優れた結果を示し
ていることがわかる。
【0121】また、実施例1〜3の間で比較すると、1
次分散工程と2次分散工程とを採用し、2次分散工程に
おいて有機バインダを添加した、試料1および2によれ
ば、このようなことを行なわなかった試料3に比べて、
優れた「分散度」を得ることができ、また、「構造欠陥
不良率」の項目においても優れた結果を示していること
がわかる。
【0122】
【実験例2】実験例2は、積層インダクタに関するもの
である。この実験例2の説明において表2および表3を
参照する。
【0123】なお、表2および表3において、「グリー
ンシート」および「ペースト」の各欄に記載された「分
散剤」、「バインダ」および「可塑剤」の各々の含有量
を示す「重量部」を単位とする数値は、磁性体セラミッ
ク粉末100重量部に対する重量部を示し、かっこ内の
「体積部」を単位とする数値は、「グリーンシート」ま
たは「ペースト」すなわち磁性体セラミック粉末および
当該樹脂成分の合計100体積部に対する体積部を示し
ている。
【0124】また、表2および表3では、「グリーンシ
ート」および「ペースト」の各々についての「樹脂含有
率」の欄が設けられている。この「樹脂含有率」は、
「グリーンシート」および「ペースト」の各々における
樹脂成分(分散剤、バインダおよび可塑剤)の含有量を
表わすもので、磁性体セラミック粉末に対する樹脂成分
の比率を百分率で示したもの、すなわち、(樹脂成分/
磁性体セラミック粉末)×100に式に基づいて求めた
数値を示している。
【0125】1.磁性体セラミック粉末の準備 まず、酸化第二鉄が49.0モル%、酸化亜鉛が29.
0モル%、酸化ニッケルが14.0モル%、および酸化
銅が8.0モル%となるように秤量し、ボールミルを用
いて湿式混合した後、脱水乾燥させた。次いで、750
℃で1時間仮焼した後、粉砕することによって、磁性体
セラミック粉末を得た。
【0126】2.セラミックスラリーの準備およびセラ
ミックグリーンシートの作製 −試料11〜15,20,22(実施例)および試料2
1,23(比較例)−先に準備した100重量部の磁性
体セラミック粉末と、表2および表3の「グリーンシー
ト」の欄であって「分散剤」の項に示した重量部のマレ
イン酸共重合体からなる分散剤と、30重量部のメチル
エチルケトンおよび20重量部のトルエンからなる溶剤
とを、直径1mmのジルコニア製玉石600重量部とと
もに、ボールミルに投入し、4時間、攪拌した後、表2
および表3の「グリーンシート」の欄であって「バイン
ダ」の項に示した重量部の有機バインダと、同じく「可
塑剤」の項に示した重量部のDOP(フタル酸ジオクチ
ル)からなる可塑剤と、20重量部のエタノールとを添
加し、20時間、湿式混合を行なって、磁性体セラミッ
クスラリーを得た。
【0127】なお、表2および表3において、「PV
B」は、ポリビニルブチラール(中重合品)である。
【0128】そして、このセラミックスラリーに対し
て、ドクターブレード法を適用して、厚さ20μm(焼
成後の厚みは15μm)の磁性体セラミックグリーンシ
ートを成形した。乾燥は、80℃で、5分間行なった。
【0129】−試料16〜19(実施例)および試料2
4(比較例)− 先に準備した100重量部の磁性体セラミック粉末と、
表2および表3の「グリーンシート」の欄であって「分
散剤」の項に示した重量部のアクリル酸共重合体(平均
分子量5万)からなる分散剤と、60重量部のイオン交
換水からなる溶剤とを、直径1mmのジルコニア製玉石
600重量部とともに、ボールミルに投入し、4時間、
攪拌した後、表2および表3の「グリーンシート」の欄
であって「バインダ」の項に示した重量部の有機バイン
ダと、同じく「可塑剤」の項に示した重量部のジプロピ
レングリコールからなる可塑剤と、微量のシリコーン系
消泡剤とを添加し、20時間、湿式混合を行なって、磁
性体セラミックスラリーを得た。
【0130】なお、表2および表3において、「アクリ
ルエマルジョン」は、アクリル酸共重合体エマルジョン
(固形分濃度50重量%)であり、「ポリビニルアルコ
ール」は、クラレ製「PVA−117」である。
【0131】そして、このセラミックスラリーに対し
て、ドクターブレード法を適用して、厚さ20μm(焼
成後の厚みは15μm)の磁性体セラミックグリーンシ
ートを成形した。乾燥は、80℃で、5分間行なった。
【0132】3.導電性ペーストの準備 Ag金属粉末80重量部と、Pd金属粉末20重量部
と、エチルセルロース4重量部と、アルキッド樹脂2重
量部と、ブチルカルビトール35重量部とを、3本ロー
ルで混練した後、テルピネオールを35重量部加えて粘
度調整を行なって、導電性ペーストを得た。
【0133】4.段差吸収用セラミックグリーン層のた
めのセラミックペーストの準備 先に準備した100重量部の磁性体セラミック粉末と、
表2および表3の「ペースト」の欄であって「分散剤」
の項に示した重量部のマレイン酸共重合体からなる分散
剤と、70重量部のメチルエチルケトン(相対蒸発速度
465)からなる溶剤とを、直径1mmのジルコニア製
玉石600重量部とともに、ボールミルに投入し、16
時間、湿式混合を行なった。
【0134】次に、同じポットに、沸点220℃のテル
ピネオール(相対蒸発速度10以下)を40重量部とと
もに、表2および表3の「ペースト」の欄であって「バ
インダ」の項に示した重量部の有機バインダと、同じく
「可塑剤」の項に示した重量部のDOP(フタル酸ジオ
クチル)からなる可塑剤とを添加し、さらに、16時
間、混合することによって、磁性体セラミックスラリー
混合物を得た。
【0135】次いで、上述のセラミックスラリー混合物
を、60℃の温浴中でエバポレータにより2時間減圧蒸
留することにより、メチルエチルケトンを完全に除去し
た後、さらに、テルピネオールを10〜20重量部添加
し、自動乳鉢で混合することによって粘度調整して、磁
性体セラミックペーストを得た。
【0136】なお、表2および表3において、「アクリ
ル樹脂」は、アクリル酸共重合体(平均分子量5万)で
ある。
【0137】5.積層インダクタの作製 複数の磁性体セラミックグリーンシートの積層後にコイ
ル状に延びるコイル導体が形成できるように、先に用意
した磁性体セラミックグリーンシートの所定の位置に、
ビアホール導体のための貫通孔を形成するとともに、磁
性体セラミックグリーンシートの主面上にコイル導体膜
および貫通孔内にビアホール導体を形成するため、導電
性ペーストをスクリーン印刷し、80℃で10分間乾燥
した。次に、磁性体セラミックグリーンシート上に、段
差吸収用磁性体セラミックグリーン層を形成するため、
磁性体セラミックペーストをスクリーン印刷し、80℃
で10分間乾燥した。コイル導体膜および段差吸収用磁
性体セラミックグリーン層の各厚みは、乾燥後におい
て、30μm(焼成後の厚みは20μm)になるように
した。
【0138】次に、上述のようにコイル導体膜およびビ
アホール導体ならびに段差吸収用セラミックグリーン層
を形成している11枚の磁性体セラミックグリーンシー
トを、コイル導体が形成されるように重ねるとともに、
その上下にコイル導体膜等を形成していない磁性体セラ
ミックグリーンシートを重ねて、生の積層体を作製し、
この積層体を、80℃で1000Kg/cm2 の加圧下
で熱プレスした。
【0139】次に、焼成後において長さ3.2mm×幅
1.6mm×厚み1.6mmの寸法となるように、上述
の生の積層体を切断刃にて切断することによって、複数
の積層体チップを得た。
【0140】次に、上述の積層体チップを400℃で2
時間加熱することによって、有機バインダを除去した
後、900℃で90分間の焼成を行なった。
【0141】次に、得られた焼結体チップをバレルに投
入し、端面研磨を施した後、焼結体の両端部に主成分が
銀である外部電極を設けて、試料となるチップ状の積層
インダクタを完成させた。
【0142】6.特性の評価 上述した試料に係る積層インダクタについて、実験例1
の場合と同様の要領で、「構造欠陥不良率」を評価し
た。その結果が表2および表3に示されている。
【0143】
【表2】
【0144】
【表3】
【0145】表2および表3からわかるように、「グリ
ーンシート」における樹脂成分量と「ペースト」におけ
る樹脂成分量とが同等である、試料11〜19(実施
例)によれば、構造欠陥が生じておらず、優れた結果が
得られている。
【0146】また、「グリーンシート」における樹脂成
分量と「ペースト」における樹脂成分量とが異なるもの
の、これらの樹脂成分量の差が10体積%以下である、
試料20および22(実施例)によれば、構造欠陥不良
が発生するものの、その「構造欠陥不良率」は非常に低
いものとなっている。
【0147】これに対して、「グリーンシート」におけ
る樹脂成分量と「ペースト」における樹脂成分量との差
が10体積%より大きくなる、試料21、23および2
4(比較例)によれば、「構造欠陥不良率」が10%ま
たはそれを超えるほどに高くなっている。
【0148】以上、この発明に係るセラミックペースト
に含まれるセラミック粉末として、誘電体セラミック粉
末または磁性体セラミック粉末が用いられる場合につい
て説明したが、この発明では、用いられるセラミック粉
末の電気的特性に左右されるものではなく、したがっ
て、たとえば、絶縁体セラミック粉末あるいは圧電体セ
ラミック粉末等を用いても、同様の効果を期待できるセ
ラミックペーストを得ることができる。
【0149】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、セラ
ミックグリーンシートのためのセラミックスラリーの樹
脂含有率と段差吸収用セラミックグリーン層のためのセ
ラミックペーストの樹脂含有率とが、互いに実質的に同
じにされるので、焼成工程におけるセラミックグリーン
シートと段差吸収用セラミックグリーン層との体積収縮
を実質的に同じにすることができ、したがって、体積収
縮の差による応力の発生を抑制でき、得られた積層型セ
ラミック電子部品において構造欠陥を生じにくくするこ
とができる。
【0150】したがって、積層型セラミック電子部品を
製造するために用いられるセラミックグリーンシートを
有利に薄層化することができ、このような薄層化が進ん
でも、構造欠陥の生じにくいかつ信頼性の高い積層型セ
ラミック電子部品を実現することができる。また、内部
電極やコイル導体膜のような内部回路要素膜の厚肉化に
対しても構造欠陥の生じにくいかつ信頼性の高い積層型
セラミック電子部品を実現することができる。
【0151】このように、この発明によれば、積層型セ
ラミック電子部品の小型化あるいは薄型化かつ軽量化の
要求に十分に対応することが可能となり、この発明が積
層セラミックコンデンサに適用された場合、積層セラミ
ックコンデンサの小型化あるいは薄型化かつ大容量化を
有利に図ることができる。
【0152】この発明に係る積層型セラミック電子部品
の製造方法において、セラミックグリーンシートのため
のセラミックスラリーに含まれる樹脂成分を、セラミッ
ク粉末に対して、2〜15重量%含むようにされると、
セラミックグリーンシートの成形が容易になるととも
に、脱バインダを能率的に済ませることができる。
【0153】また、この発明に係る積層型セラミック電
子部品の製造方法において、セラミックグリーンシート
を成形するために用いられるセラミックスラリーに含ま
れる第1のセラミック粉末が、段差吸収用セラミックグ
リーン層を形成するためのセラミックペーストに含まれ
る第2のセラミック粉末と実質的に同じ組成を有してい
ると、セラミックグリーンシートと段差吸収用セラミッ
クグリーン層との焼結性を一致させることが容易にな
り、このような焼結性の不一致によるクラックやデラミ
ネーションの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にとって興味ある、かつこの発明の一
実施形態による、積層セラミックコンデンサの製造方法
を説明するためのもので、生の積層体3aの一部を図解
的に示す断面図である。
【図2】図1に示した積層セラミックコンデンサの製造
方法において作製される複合構造物6の一部を破断して
示す平面図である。
【図3】図1に示した積層セラミックコンデンサの製造
方法において作製される積層体チップ4aを図解的に示
す断面図である。
【図4】この発明の他の実施形態による積層インダクタ
を製造するために用意される生の積層体13を構成する
要素を分解して示す斜視図である。
【図5】図4に示した生の積層体13を焼成して得られ
た積層体チップ12を備える積層インダクタ11の外観
を示す斜視図である。
【図6】この発明にとって興味ある従来の積層セラミッ
クコンデンサの製造方法を説明するためのもので、生の
積層体3の一部を図解的に示す断面図である。
【図7】図6に示した積層セラミックコンデンサの製造
方法において作製される内部電極1が形成されたセラミ
ックグリーンシート2の一部を示す平面図である。
【図8】図6に示した積層セラミックコンデンサの製造
方法において作製される積層体チップ4を図解的に示す
断面図である。
【符号の説明】
1 内部電極(内部回路要素膜) 2,14〜19 セラミックグリーンシート 3a,13 生の積層体 4a,12 積層体チップ 5,22,25,28,30 段差吸収用セラミックグ
リーン層 6 複合構造物 11 積層インダクタ(積層型セラミック電子部品) 20,23,26,29 コイル導体膜(内部回路要素
膜)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 4/12 364 H01G 4/12 364 (72)発明者 木村 幸司 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 (72)発明者 加藤 浩二 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 Fターム(参考) 5E001 AB03 AH01 AH09 AJ01 AJ02 5E062 DD04 5E070 AA01 AB02 CB03 CB13 5E082 AA01 AB03 BC33 EE04 EE35 FG26 FG46 FG54 LL01 LL02 MM24 PP03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックスラリー、導電性ペーストお
    よびセラミックペーストをそれぞれ用意し、 前記セラミックスラリーを成形することによって得られ
    たセラミックグリーンシートと、前記セラミックグリー
    ンシートの主面上にその厚みによる段差をもたらすよう
    に部分的に前記導電性ペーストを付与することによって
    形成された内部回路要素膜と、前記内部回路要素膜の厚
    みによる段差を実質的になくすように前記セラミックグ
    リーンシートの前記主面上であって前記内部回路要素膜
    が形成されない領域に前記セラミックペーストを付与す
    ることによって形成された段差吸収用セラミックグリー
    ン層とを備える、複数の複合構造物を作製し、 複数の前記複合構造物を積み重ねることによって、生の
    積層体を作製し、 前記生の積層体を焼成する、各工程を備える、積層型セ
    ラミック電子部品の製造方法であって、 前記セラミックスラリーは、第1のセラミック粉末と、
    第1の樹脂成分とを含み、 前記セラミックペーストは、第2のセラミック粉末と、
    第2の樹脂成分とを含み、 前記セラミックスラリーにおける前記第1のセラミック
    粉末に対する前記第1の樹脂成分の体積比で表わされる
    第1の樹脂含有率と前記セラミックペーストにおける前
    記第2のセラミック粉末に対する前記第2の樹脂成分の
    体積比で表わされる第2の樹脂含有率とは、互いに実質
    的に同じである、積層型セラミック電子部品の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記第1の樹脂成分は、第1の有機バイ
    ンダ、第1の有機バインダおよび第1の有機分散剤、第
    1の有機バインダおよび第1の有機可塑剤、または第1
    の有機バインダ、第1の有機分散剤および第1の有機可
    塑剤を含み、前記第2の樹脂成分は、第2の有機バイン
    ダ、第2の有機バインダおよび第2の有機分散剤、第2
    の有機バインダおよび第2の有機可塑剤、または第2の
    有機バインダ、第2の有機分散剤および第2の有機可塑
    剤を含む、請求項1に記載の積層型セラミック電子部品
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記セラミックスラリーにおいて、前記
    第1のセラミック粉末に対して、前記第1の樹脂成分
    は、2〜15重量%含む、請求項1または2に記載の積
    層型セラミック電子部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第1のセラミック粉末は、前記第2
    のセラミック粉末と実質的に同じ組成を有する、請求項
    1ないし3のいずれかに記載の積層型セラミック電子部
    品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第1および第2のセラミック粉末
    は、ともに、誘電体セラミック粉末である、請求項1な
    いし4のいずれかに記載の積層型セラミック電子部品の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記内部回路要素膜は、互いの間に静電
    容量を形成するように配置される内部電極であり、前記
    積層型セラミック電子部品は、積層セラミックコンデン
    サである、請求項5に記載の積層型セラミック電子部品
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第1および第2のセラミック粉末
    は、ともに、磁性体セラミック粉末である、請求項1な
    いし4のいずれかに記載の積層型セラミック電子部品の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記内部回路要素膜は、コイル状に延び
    るコイル導体膜であり、前記積層型セラミック電子部品
    は、積層インダクタである、請求項7に記載の積層型セ
    ラミック電子部品の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかに記載の製
    造方法によって得られた、積層型セラミック電子部品。
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