JP2001355165A

JP2001355165A - 弾性経編地

Info

Publication number: JP2001355165A
Application number: JP2000178324A
Authority: JP
Inventors: Makiko Hashimoto; 真規子橋本; Toshiyuki Kondo; 敏之近藤
Original assignee: Asahi Kasei Corp
Current assignee: Asahi Kasei Corp
Priority date: 2000-06-14
Filing date: 2000-06-14
Publication date: 2001-12-26

Abstract

(57)【要約】【課題】軽量・薄地であって、破裂強度や引裂強度が
実着用上問題のないレベルであり、かつ伸度が大きい弾
性経編地を提供する。【解決手段】弾性繊維と非弾性繊維から構成された弾
性経編地であって、弾性繊維の繊度と非弾性繊維の繊度
との比が下記（１）の範囲を満足し、かつ、該非弾性繊
維の繊度が２０ｄｔｅｘ〜４５ｄｔｅｘの範囲であるこ
とを特徴とする弾性経編地。但し、非弾性繊維の繊度と
は、使用されている非弾性繊維のうちループを形成して
編み込まれている非弾性繊維の平均繊度を言う。２０≧（弾性繊維の繊度）／（非弾性繊維の繊度）≧１０ …（１）

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、軽量かつ薄地であ
る弾性経編地に関する。

【０００２】

【従来の技術】弾性繊維と非弾性繊維を交編した弾性経
編地は、主にファンデーション、水着等の身生地として
利用されている。最近は着用時の快適性向上や高級化の
ため、生地の軽量・薄地化の検討が進みつつある。しか
しながら、単に生地密度をおとして仕上げるだけでは、
軽量・薄地にはなるものの伸度が低下し、用途が限られ
るという問題があった。また、軽量・薄地化するため
に、単に主素材である非弾性繊維の繊度を細くすると、
生地の引裂強力や破裂強力が低下し、実着用に適さない
という問題があった。

【０００３】最近ではポリアミド繊維などで高強力糸が
開発されており、特定条件を満足する高強力糸を使用し
て薄地化が試みられている（実公平２−２６９５４号公
報参照）。しかし、このような方法で非弾性繊維を細繊
度化しても十分満足できる生地性能が得られているとは
言い難い。さらに、生地を軽量・薄地化するために弾性
繊維を細くすると、生地の伸縮性が低下し、フィット
性、緊迫力が低下するため、実用性に欠ける。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題を解決し、実着用上問題のない破裂強力や引裂強
力を有し、伸縮性、フィット性に優れた軽量・薄地の弾
性経編地を提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、弾性経編
地を構成する各要素について種々検討した結果、生地の
強度に寄与する主たる要因は弾性繊維の強力であり、生
地の軽量・薄地化に寄与する主たる要因は非弾性繊維の
繊度であることを見出し、弾性繊維の繊度と非弾性繊維
の繊度との比を特定の条件にすることにより、本発明の
目的が達成されることを見出し、本発明に至った。

【０００６】すなわち、本発明は、弾性繊維と非弾性繊
維から構成された弾性経編地であって、弾性繊維の繊度
と非弾性繊維の繊度との比が下記（１）の範囲を満足
し、かつ、該非弾性繊維の繊度が２０ｄｔｅｘ〜４５ｄ
ｔｅｘの範囲であることを特徴とする弾性経編地であ
る。但し、非弾性繊維の繊度とは、使用されている非弾
性繊維のうちループを形成して編み込まれている非弾性
繊維の平均繊度を言う。

【０００７】２０≧（弾性繊維の繊度）／（非弾性繊維の繊度）≧１０ …（１）従来の技術思想では、生地の軽量・薄地化のためには、
弾性経編地を構成する繊維素材を細くする方向がよいと
考えられていた。したがって、本発明のように弾性繊維
を太繊度化することは、従来の技術思想からは軽量・薄
地化の妨げになると考えられており、又、非弾性繊維を
細繊度化し、弾性繊維を太繊度化することは、繊度バラ
ンスが悪く編成しにくいとも考えられてきた。

【０００８】これに対し、本発明は、弾性繊維を太繊度
化しても、特定の要件を満たすことにより、軽量・薄地
の弾性経編地が得られることを見出したものであり、前
記のような従来の技術思想からは全く予測し得ないもの
である。以下、本発明を詳細に説明する。本発明におい
て、弾性繊維としては、ポリウレタン系、ポリエーテル
エステル系等の弾性繊維が使用可能であり、通常のポリ
ウレタン系弾性繊維で、例えば、乾式紡糸又は溶融紡糸
したものが使用でき、ポリマーや紡糸方法は特に限定さ
れない。破断伸度は４００％〜１０００％のもので、伸
縮性に優れ、染色加工時のプレセット工程の通常処理温
度１８０℃近辺で伸縮性を損なわないことが好ましい。

【０００９】非弾性繊維としては、公知の繊維種や形態
の繊維を利用することができ、例えば、ウール、絹等の
天然繊維、キュプラ、レーヨン等のセルロース系繊維、
アセテート、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維等の
各種繊維、形態としては、短繊維、長繊維、丸断面や異
型断面、原糸、未延伸糸（ＰＯＹを含む）、高速紡糸糸
条（例えば、スピンテイクアップやスピンドローテイク
アップ）、太細糸、意匠糸、仮撚糸等の捲縮加工糸等が
挙げられる。これらの繊維種や形態のものを一種以上組
み合わせた複合糸（混紡、交絡、交撚、複合仮撚、流体
噴射加工等、公知の複合手段を利用したもの）でもよ
く、希望に応じて選定すればよい。

【００１０】（弾性繊維の繊度）／（非弾性繊維の繊
度）の比は、１０以上、２０以下、より好ましくは１０
以上、１５以下である。繊度比が１０未満の場合は、破
裂強力や引裂強力が低下し、実着用に耐えないかまたは
用途が限定される。また、２０を超えると、本発明の目
的である軽量・薄地は達成されるものの、編成しにく
く、表面品位が良くない。また、１５より大きくなる
と、伸度が若干低下する傾向にあるため、１５以下が好
ましい。

【００１１】よりよい着用快適性を得るためには、編地
の少なくとも一方向において、３．５Ｎ／ｃｍの荷重下
で８０％以上の伸度を有することが好ましい。そのため
には仕上げ性量のうち、ウエル数を３５から５０の範囲
に設定する方がよい。なお、個人差、部位による違いは
あるが、３．５Ｎ／ｃｍという荷重は、人が着用中つっ
ぱり感を感じる平均的な応力である。

【００１２】（弾性繊維の繊度）／（非弾性繊維の繊
度）の比の設定に際して、繊度の異なる弾性繊維が使用
されている場合は、太い方の繊度を、弾性繊維の繊度と
して選択する。例えば、フロントに非弾性繊維、ミドル
とバックに弾性繊維を使用して編成された編地であるよ
うな場合には、ミドルとバックに使用された弾性繊維の
うち、太い方の繊度を弾性繊維の繊度として用いる。

【００１３】また、繊度の異なる非弾性繊維が使用され
ている場合は、使用されている非弾性繊維のうちループ
を形成して編み込まれている非弾性繊維の平均繊度を、
非弾性繊維の繊度として用いる。例えば、フロントに合
成繊維、ミドルにセルロース繊維、バックに弾性繊維を
使用して編成された編地であるような場合、ループを形
成して編み込まれている非弾性繊維がフロントの合成繊
維であるときは、該合成繊維の繊度を、非弾性繊維の繊
度として用いる。ループを形成していないミドルのセル
ロース繊維の繊度は、非弾性繊維の繊度としては用いな
い。

【００１４】非弾性繊維の繊度（即ち、使用されている
非弾性繊維のうちループを形成して編み込まれている非
弾性繊維の平均繊度）は、２０ｄｔｅｘ〜４５ｄｔｅ
ｘ、好ましくは３０ｄｔｅｘ〜４５ｄｔｅｘである。４
５ｄｔｅｘを超えると、市中に流通している同組織の生
地に対して明らかな目付の低下につながらず、軽量化の
効果が小さい。２０ｄｔｅｘ未満では、実着用に耐える
十分な破裂強力や引裂強力が得られない。

【００１５】非弾性繊維を挿入して用いる場合は、特に
制限はないが、一般に２０ｄｔｅｘ〜３００ｄｔｅｘが
好ましい。本発明の弾性経編地は、編組織としては、ト
リコネット、サテンネット、パワーネット等があり、編
機は、ラッセル編機が好ましい。また、編み機のゲージ
は２４Ｇから３２Ｇ、おさ枚数は２枚から４枚が好まし
い。

【００１６】本発明の弾性経編地における弾性繊維の混
率は、組織によっても異なるが、２０〜５０％が好適で
ある。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて本発明を具
体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるも
のではない。なお、測定法、評価法等は次の通りであ
る。（１）厚み厚み計（島津製作所社製）で測定した。

【００１８】（２）破裂強度ＪＩＳＬ−１０１８Ａ法に準拠した。（３）引裂強度（経）ＪＩＳＬ−１０１８Ａ法に準拠した。（４）３．５Ｎ／ｃｍ荷重時の伸度試料を１４０ｍｍ×１６５ｍｍ（引張側×拘束側）に裁
断し、一軸固定二軸伸張試験機（ＳＴＲＩＰＢＩＡＸ
ＩＡＬＴＥＮＳＩＬＥＴＥＳＴＥＲＫＥＳ−Ｇ２
−ＳＢ１：カトーテック社製）に取り付ける。このと
き、応力がかかる試料の有効寸法は１００ｍｍ×１００
ｍｍである。伸度を換算する有効試料長は１１．５ｃｍ
である。

【００１９】引張速度３００ｍｍ／分で定荷重伸張を行
い、３．５Ｎ／ｃｍ荷重における伸張側の伸度（％）を
読みとり、ｎ＝２の平均値を求めた。（５）ワライラッセル経編地の経方向１３０ｍｍ×緯方向９０ｍｍの
長さに裁断し、緯方向に縫い代７ｍｍの２本針オーバー
ロックで縫合する。この時ミシン糸は、ウーリーナイロ
ン２３０ｄｔｅｘ、運針数は、１３針／２．５４ｃｍと
して試験片を作成する。

【００２０】次に、この試験片を弱アルカリ性合成洗剤
の０．１３％水溶液に充分浸漬した後、縫い目を中心
に、チャック間隔７０ｍｍの伸縮疲労試験機にかけ、所
定の伸長量（後記）で伸縮を１００００回（２００回／
分）繰り返した後、試験片を取り外し、以下の判定によ
り評価する。 ○…試験片は、伸縮疲労試験機にかける前とほとんど変
化がない。

【００２１】 △…試験片は、若干変化があるが、実用上問題のないレ
ベル。 ×…試験片は、幅が入り、組織ずれ、あるいは弾性糸の
断糸など、かなり外観が荒れ、商品としては不適切であ
る。なお、伸縮疲労試験機にかける際の、試験片の伸長量を
次のようにして決めた。ラッセル経編地を経２００ｍ
ｍ、緯２５．４ｍｍの大きさに裁断し、オリエンテック
社製のテンシロン引張試験機にて、試験片の初荷重５
ｇ、チャック間隔１００ｍｍ、引張速度３００ｍｍ／分
にて伸長し、荷重９．８Ｎ時の伸長率と、荷重１４．７
Ｎ時の伸長率とを求め、次式にて、伸長量を決定する。

【００２２】伸張量（％）＝｛（荷重９．８Ｎ時の伸張
率）＋（荷重１４．７Ｎ時の伸張率）｝／２（６）表面品位仕上がった生地のループの均一さを目視にて判定した。良…編地中のループが均一で、生地が平滑である。

【００２３】悪…編地中のループに不均一な部分があ
る。〔実施例１〕３３ｄｔｅｘ／１０ｆのナイロン６をフロ
ントガイドに、ポリウレタン系弾性繊維（ロイカＳタイ
プ；旭化成工業（株）製）４７０ｄｔｅｘをミドルガイ
ドに、綿１００／２をバックガイドに配置して、下記条
件にて編地を編成した。

【００２４】なお、ポリウレタン弾性繊維は１００％伸
長して整経した。用いた非弾性繊維のうち、ナイロン６
はループを形成し、綿はループを形成していないため、
定義された非弾性繊維の繊度は３３ｄｔｅｘとなる。得られた編地を、９０℃温水中で５分リラックスし、１
９０℃で６０秒プレセット後、染色を９５℃で３０分行
い、１７０℃で６０秒仕上げセットを行って、表１に示
したようなＣ／Ｗに仕上げた。なお、Ｃはコース、Ｗは
ウェールである。

【００２５】〔実施例２〕３３ｄｔｅｘ／１０ｆのナイ
ロン６をフロントガイドに、ポリウレタン系弾性繊維
（ロイカＳタイプ；旭化成工業（株）製）６２０ｄｔｅ
ｘをミドルガイドに、綿１００／２をバックガイドに配
置して、フロントランナー長を１１８ｃｍ／４８０コー
ス、ミドルランナー長を１２ｃｍ／４８０コース、バッ
クランナー長を１４ｃｍ／４８０コースとして編地を編
成し、実施例１と同様の方法で仕上げを行って表１に示
したようなＣ／Ｗに仕上げた。

【００２６】なお、ポリウレタン弾性繊維は１００％伸
長して整経した。用いた非弾性繊維のうち、ナイロン６
はループを形成し、綿はループを形成していないため、
定義された非弾性繊維の繊度は３３ｄｔｅｘとなる。〔比較例１〕５６ｄｔｅｘ／１７ｆのナイロン６をフロ
ントガイドに、ポリウレタン系弾性繊維（ロイカＳタイ
プ；旭化成工業（株）製）３１０ｄｔｅｘをミドルガイ
ドに、綿１００／２をバックガイドに配置して、実施例
１と同様の条件で編地を編成し、仕上げを行い表１に示
したＣ／Ｗに仕上げた。

【００２７】なお、ポリウレタン弾性繊維は１００％伸
長して整経した。用いた非弾性繊維のうち、ナイロン６
はループを形成し、綿はループを形成していないため、
定義された非弾性繊維の繊度は５６ｄｔｅｘとなる。〔比較例２〕２２ｄｔｅｘ／７ｆのナイロン６をフロン
トガイドに、ポリウレタン系弾性繊維（ロイカＳタイ
プ；旭化成工業（株）製）４７０ｄｔｅｘをミドルガイ
ドに、綿１００／２をバックガイドに配置して、実施例
１と同様の条件で編地を編成し、仕上げを行い表１に示
したＣ／Ｗに仕上げた。

【００２８】なお、ポリウレタン弾性繊維は１００％伸
長して整経した。用いた非弾性繊維のうち、ナイロン６
はループを形成し、綿はループを形成していないため、
定義された非弾性繊維の繊度は２２ｄｔｅｘとなる。〔比較例３〕１７ｄｔｅｘ／５ｆのナイロン６をフロン
トガイドに、ポリウレタン系弾性繊維（ロイカＳタイ
プ；旭化成工業（株）製）３１０ｄｔｅｘをミドルガイ
ドに、綿１００／２をバックガイドに配置して、実施例
１と同様の条件で編地を編成し、仕上げを行い表１に示
したＣ／Ｗに仕上げた。

【００２９】なお、ポリウレタン弾性繊維は１００％伸
長して整経した。用いた非弾性繊維のうち、ナイロン６
はループを形成し、綿はループを形成していないため、
定義された非弾性繊維の繊度は１７ｄｔｅｘとなる。〔実施例３〕３３ｄｔｅｘ／１０ｆのナイロン６をフロ
ントガイドに、キュプラ（ベンベルグ；旭化成工業
（株）製）５６ｄｔｅｘ／３０ｆをミドルガイドに、ポ
リウレタン系弾性繊維（ロイカＳタイプ；旭化成工業
（株）製）４７０ｄｔｅｘをバックガイドに配置して、
下記条件にて編地を編成した。

【００３０】なお、ポリウレタン弾性繊維は１００％伸
長して整経した。用いた非弾性繊維はいずれもループを
形成しているため、定義された非弾性繊維の繊度は４５
ｄｔｅｘとなる。得られた編地を実施例１と同様に仕上げを行って、表２
に示したようなＣ／Ｗに仕上げた。

【００３１】〔比較例４〕５６ｄｔｅｘ／１０ｆのナイ
ロン６をフロントガイドに、キュプラ（ベンベルグ；旭
化成工業（株）製）５６ｄｔｅｘ／３０ｆをミドルガイ
ドに、ポリウレタン系弾性繊維（ロイカＳタイプ；旭化
成工業（株）製）４７０ｄｔｅｘをバックガイドに配置
して、実施例３と同様の条件にて編地を編成し、実施例
１と同様の仕上げを行って、表１に示したようなＣ／Ｗ
に仕上げた。

【００３２】なお、ポリウレタン弾性繊維は１００％伸
長して整経した。用いた非弾性繊維はいずれもループを
形成しているため、定義された非弾性繊維の繊度は５６
ｄｔｅｘとなる。以上の結果をまとめて表１に示す。

【００３３】

【表１】

【００３４】表１から明らかなように、本発明の弾性経
編地（実施例）は、軽量で厚みが薄く、かつ、実用上問
題のないレベルとされている破裂強度や引裂強度を有
し、また、伸度も大きい。

【００３５】

【発明の効果】本発明の弾性経編地は、軽量・薄地であ
って、かつ、破裂強度や引裂強度が実着用上問題のない
レベルであり、また伸度が大きいという優れた弾性経編
地である。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】弾性繊維と非弾性繊維から構成された弾
性経編地であって、弾性繊維の繊度と非弾性繊維の繊度
との比が下記（１）の範囲を満足し、かつ、該非弾性繊
維の繊度が２０ｄｔｅｘ〜４５ｄｔｅｘの範囲であるこ
とを特徴とする弾性経編地。但し、非弾性繊維の繊度と
は、使用されている非弾性繊維のうちループを形成して
編み込まれている非弾性繊維の平均繊度を言う。２０≧（弾性繊維の繊度）／（非弾性繊維の繊度）≧１０ …（１）