JP2001354988A - トラクションドライブ用流体組成物 - Google Patents

トラクションドライブ用流体組成物

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JP2001354988A
JP2001354988A JP2000175708A JP2000175708A JP2001354988A JP 2001354988 A JP2001354988 A JP 2001354988A JP 2000175708 A JP2000175708 A JP 2000175708A JP 2000175708 A JP2000175708 A JP 2000175708A JP 2001354988 A JP2001354988 A JP 2001354988A
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traction drive
acid
carbon atoms
fluid composition
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JP2000175708A
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English (en)
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Shinichi Shirahama
真一 白濱
Tetsuo Okawa
哲夫 大川
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動力伝達機構に使用するのみならず、油圧制
御機構および湿式クラッチの摩擦特性制御機構にも適用
可能であるトラクションドライブ用流体組成物を提供す
る。 【解決手段】 (A)トラクション係数が0.05以上
の基油に、(B)下記(B−1)及び(B−2)から選
ばれる1種又は2種以上の油を組成物全量基準で0.0
1〜10質量%配合してなることを特徴とするトラクシ
ョンドライブ用流体組成物。 (B−1):100℃の動粘度が1.5〜5.0mm2
/sであり、かつ流動点が−20℃以下である鉱油 (B−2):100℃の動粘度が1.3〜3.0mm2
/sであり、かつ−40℃における低温粘度が2000
mPa・s以下である合成油

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はトラクションドライ
ブ用流体(トラクションドライブフルード)に関する。
詳しくは、動力伝達機構に使用するのみならず、油圧制
御機構並びに湿式クラッチの摩擦特性制御機構にも使用
可能であるトラクションドライブ用流体に関するもので
あり、特に自動車用トラクションドライブ式無段変速機
に好適に使用されるトラクションドライブ用流体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、産業用機械の分野では、油膜
を介して動力を伝達するトラクションドライブ式動力伝
達装置にトラクションドライブ用流体が使用されてい
る。このトラクションドライブ用流体は、動力伝達能力
を示すトラクション係数が高いことが要求される。近
年、トラクションドライブ用流体は、自動車用の無段変
速機に使用されるべく研究開発が進められており、自動
車用として使用される際には、動力伝達機構だけではな
く油圧制御機構並びに湿式クラッチの摩擦特性制御機構
にも使用されることとなる。
【0003】ところで、自動車用の変速機としては、油
圧制御機構用並びに湿式クラッチの摩擦特性制御機構用
として使用されている潤滑油として自動変速機油(以
下、「ATF」という。)がある。ATFは、油圧制御
機構としての役割を満たすために、高温時の動粘度があ
る程度以上高いこと、並びに低温流動性が優れているこ
とが必要とされていることはよく知られている事実であ
る。また、湿式クラッチの摩擦特性制御機構、特に、ス
リップ制御機構を付加した制御機構としての役割を満た
すために、ATFは、摩擦特性に優れた、特に耐シャダ
ー特性に優れた添加剤を配合することが必要とされてい
ることもまた、よく知られている事実である。よって、
トラクションドライブ用流体を自動車用のトラクション
ドライブ式無段変速機に使用する際には、トラクション
ドライブ用流体は、本来その性能が優れている動力伝達
能力のみならず、ATFに必要とされる油圧制御用流体
としての能力及び湿式クラッチの摩擦特性制御用流体と
しての能力が必要となってくる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】トラクションドライブ
用流体としては、商品名「サントトラック」(日石三菱
(株))が市販されており、これは動力伝達能力に優れ
ることが広く知られている。しかしながら、自動車用の
無段変速機に使用される際には、低温時の流動性、その
他の性能を満たすことが必要とされることから、既存の
流体では低温時の性能が不十分であり、未だ自動車用ト
ラクションドライブ用流体は市販に至っていないのが現
状である。そこで、本発明は、このような実情に鑑みな
されたものであり、その目的は、動力伝達能力に優れて
いるだけでなく、低温時の流動性、すなわち油圧制御用
流体としての能力に優れ、さらには湿式クラッチ制御用
流体としての能力にも優れたトラクションドライブ用流
体を提供することにある。本発明者らは、上記の問題を
解決するために鋭意研究した結果、特に自動車用トラク
ションドライブ式無段変速機に好適に使用され、動力伝
達機構に使用するのに最適であると共に、油圧制御機構
に使用するにも好適なトラクションドライブ用流体組成
物を開発した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(A)トラクション係数が0.05以上の基油に、
(B)下記(B−1)及び(B−2)の中から選ばれる
1種又は2種以上の油を組成物全量基準で0.01〜1
0質量%配合してなることを特徴とするトラクションド
ライブ用流体組成物に関するものである。 (B−1):100℃の動粘度が1.5〜5.0mm2
/sであり、かつ流動点が−20℃以下である鉱油 (B−2):100℃の動粘度が1.3〜3.0mm2
/sであり、かつ−40℃における低温粘度が2000
mPa・s以下である合成油
【0006】また、本発明のトラクションドライブ用流
体組成物は、前記トラクションドライブ用流体組成物
に、さらに(C)粘度指数向上剤を組成物全量基準で
0.1〜10質量%配合してなることを特徴とするもの
である。さらに、本発明のトラクションドライブ用流体
組成物において、上記(B−1)の鉱油がナフテン系鉱
油であることを特徴とするものである。さらに、本発明
のトラクションドライブ用流体組成物において、上記
(B−1)の鉱油が水素化分解鉱油であることを特徴と
するものである。さらに、本発明のトラクションドライ
ブ用流体組成物において、上記(B−2)の合成油が数
平均分子量(Mn)200〜500のα−オレフィンの
オリゴマー又はその水素化物であることを特徴とするも
のである。さらに、本発明のトラクションドライブ用流
体組成物において、上記(C)成分がポリメタクリレー
トであることを特徴とするものである。さらに、本発明
のトラクションドライブ用流体組成物において、(B)
成分が(C)成分の希釈油であることを特徴とするもの
である。さらに、本発明のトラクションドライブ用流体
組成物は、上記の(A)〜(C)成分に、更に、下記の
(D)、(E)および(F)成分の中から選ばれる1種
又は2種以上の添加剤を含有することを特徴とするもの
である。 (D)無灰分散剤及びリン系添加剤 (E)摩擦調整剤 (F)金属系清浄剤
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容をさらに詳細
に説明する。本発明のトラクションドライブ用流体組成
物における(A)成分は、トラクション係数が0.05
以上の基油である。なお、本発明におけるトラクション
係数とは、4円筒トラクション係数試験機を使用し、以
下の条件で測定される値を意味している。 テストピース:内側、外側とも材料としてSUJ−2材
を使用 (内側)半径20mm、クラウニング径200mm (外側)半径20mm、クラウニングなし 試験条件:周速5.23m/s、油温60℃、最大ヘル
ツ圧1.10GPa
【0008】(A)成分の基油として用いられる流体
は、トラクション係数が0.05以上のものであれば任
意の流体が使用可能である。具体的には、イソブテンオ
リゴマー或いはその水素化物、又はシクロペンタジエン
のディールス・アルダー反応により得られるシクロペン
タジエン系縮合炭化水素化合物の3量体化合物を水素化
した化合物をさらに異性化し、流動点を−10℃以下と
した飽和多環式炭化水素化合物、又は以下の一般式
(1)〜(13)で示される化合物等が特に好ましい流
体として挙げられる。
【0009】
【化1】 上記(1)式中、R1〜R8は、それぞれ個別に、水素原
子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んで
もよい)、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアル
キル基、より好ましくは水素原子又はメチル基を示して
いる。
【0010】
【化2】 上記(2)式中、R9〜R18は、それぞれ個別に、水素
原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含ん
でもよい)、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のア
ルキル基、より好ましくは水素原子又はメチル基を示し
ている。
【0011】
【化3】 上記(3)式中、R19〜R30は、それぞれ個別に、水素
原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含ん
でもよい)、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のア
ルキル基、より好ましくは水素原子又はメチル基を示し
ている。
【0012】
【化4】 上記(4)式中、R31〜R36は、それぞれ個別に、水素
原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含ん
でもよい)、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のア
ルキル基、より好ましくは水素原子又はメチル基を示し
ている。
【0013】
【化5】 上記(5)式中、R37〜R42は、それぞれ個別に、水素
原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含ん
でもよい)、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のア
ルキル基、より好ましくは水素原子又はメチル基を示し
ている。
【0014】
【化6】 上記(6)式中、R43〜R48は、それぞれ個別に、水素
原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含ん
でもよい)、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のア
ルキル基、より好ましくは水素原子又はメチル基を示し
ている。
【0015】
【化7】 上記(7)式中、R49及びR50は、共に水素原子又はい
ずれか一方が水素原子で他方がメチル基である基を示
し、R51及びR52は、それぞれ個別に、水素原子又は炭
素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでもよ
い)、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル
基、より好ましくは水素原子又はメチル基を示してい
る。
【0016】
【化8】 上記(8)式中、R53及びR54は、共に水素原子又はい
ずれか一方が水素原子で他方がメチル基である基を示
し、R55及びR56は、それぞれ個別に、水素原子又は炭
素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでもよ
い)、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル
基、より好ましくは水素原子又はメチル基を示してい
る。
【0017】
【化9】 上記(9)式中、R57〜R59は、それぞれ個別に、水素
原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含ん
でもよい)、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のア
ルキル基、より好ましくは水素原子又はメチル基を示し
ている。
【0018】
【化10】 上記(10)式中、R60〜R62は、それぞれ個別に、水
素原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含
んでもよい)、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4の
アルキル基、より好ましくは水素原子又はメチル基を示
している。
【0019】
【化11】 上記(11)式中、R63は、炭素数1〜8のアルキル基
(ナフテン環を含んでもよい)、好ましくは炭素数1〜
4のアルキル基、より好ましくはメチル基を示してい
る。R64〜R69は、それぞれ個別に、水素原子又は炭素
数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでもよい)、
好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、よ
り好ましくは水素原子又はメチル基を示している。
【0020】
【化12】 上記(12)式中、R70は、炭素数1〜8のアルキル基
(ナフテン環を含んでもよい)、好ましくは炭素数1〜
4のアルキル基、より好ましくはメチル基を示してい
る。R71〜R77は、それぞれ個別に、水素原子又は炭素
数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでもよい)、
好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、よ
り好ましくは水素原子又はメチル基を示している。
【0021】
【化13】 上記(13)式中、R78は、炭素数1〜8のアルキル基
(ナフテン環を含んでもよい)、好ましくは炭素数1〜
4のアルキル基、さらに好ましくはメチル基を示し、R
79〜R85は、それぞれ個別に、水素原子又は炭素数1〜
8のアルキル基(ナフテン環を含んでもよい)、好まし
くは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、さらに好
ましくは水素原子又はメチル基を示している。
【0022】一般式(1)〜(13)で表される合成油
において、R1〜R48、R51、R52、及びR55〜R85
おけるナフテン環を含んでもよい炭素数1〜8のアルキ
ル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基等のアルキル基(これらアルキル基は直
鎖状でも分枝状でもよい)及びシクロペンチルメチル
基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルプロピル
基、メチルシクロペンチルメチル基、エチルシクロペン
チルメチル基、ジメチルシクロペンチルメチル基、メチ
ルシクロペンチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、
シクロヘキシルエチル基、メチルシクロヘキシルメチル
基、シクロヘプチルメチル基等の(アルキル)シクロヘ
キシルアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝
状でもよく、またシクロヘキシル基への置換位置も任意
である)等が例示できる。なお、本発明の(A)成分と
しては、これら流体を単品で使用することも可能である
が、また、これらの中から選ばれる2種類以上の流体を
任意の割合で混合した混合流体として使用することも可
能である。
【0023】本発明のトラクションドライブ用流体組成
物における(B)成分として用いられる流体は、以下の
(B−1)及び(B−2)の中から選ばれる1種又は2
種以上の流体である。 (B−1):100℃の動粘度が1.5〜5.0mm2
/sであり、かつ流動点が−20℃以下である鉱油 (B−2):100℃の動粘度が1.3〜3.0mm2
/sであり、かつ−40℃の低温粘度が2000mPa
・s以下である合成油
【0024】(B−1)の100℃の動粘度が1.5〜
5.0mm2/であり、かつ、流動点が−20℃以下で
ある鉱油の具体例としては、原油を常圧蒸留して得られ
る常圧残油を次に減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、
溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触
脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理
等を適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン
系等の油やノルマルパラフィン等が挙げられる。なお、
これらの中でも、その流動点が低いものほど、例えば、
水素化分解鉱油或いはナフテン系鉱油が、流体の低温粘
度特性を改善する効果が高く、より好ましい。
【0025】また、(B−2)の100℃の動粘度が
1.3〜3.0mm2/sであり、かつ、−40℃の低
温粘度が2000mPa・s以下である合成油の具体例
としては、ポリ−α−オレフィン(1−オクテンオリゴ
マー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンオ
リゴマー等)及びその水素化物、イソブテンオリゴマー
及びその水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼ
ン、アルキルナフタレン、ジエステル(ジトリデシルグ
ルタレート、ジ2−エチルヘキシルアジペート、ジイソ
デシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ2−エ
チルヘキシルセバケート等)、ポリオールエステル(ト
リメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプ
ロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチ
ルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネー
ト等)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキル
ジフェニルエーテル、並びにポリフェニルエーテル等が
挙げられる。これら合成油の中でも特に、α−オレフィ
ンのオリゴマー又はその水素化物が流体の低温粘度特性
を改善する効果が高く、より好ましく、その中でも数平
均分子量(Mn)が200以上500以下であるものが
さらに好ましい。また、前記(B)成分の中でも(B−
2)で規定する要件を満たす合成油が、高いトラクショ
ン係数を有し、かつ、低温粘度特性を改善する効果があ
ることから、特に好ましい。
【0026】(B−1)の100℃の動粘度が1.5m
2/sよりも低い場合、(B−2)の100℃の動粘
度が1.3mm2/sよりも低い場合は、組成物の引火
点が低下し、引火の危険性が増大するため好ましくな
い。また(B−1)の100℃の動粘度が5.0mm2
/sを超える場合、(B−2)の100℃の動粘度が
3.0mm2/sを超える場合は、低温粘度特性が悪化
するため好ましくない。(B)成分の配合量は特に限定
されず任意であるが、通常、流体組成物全量基準で0.
01〜10質量%であるが、トラクション係数の低下を
抑えるためには、0.01〜7質量%、好ましくは0.
01〜5質量%、より好ましくは0.01〜3質量%で
あるのが望ましい。
【0027】本発明のトラクションドライブ用流体組成
物は、高温粘度を高く保つために、さらに(C)成分と
して、粘度指数向上剤及び/又は流動点降下剤を配合す
ることが好ましい。ここで言う粘度指数向上剤の具体例
としては、非分散型及び分散型ポリメタクリレート類、
非分散型及び分散型エチレン−α−オレフィン共重合体
及びその水素化物、ポリブテン類及びその水素化物、ス
チレン−ジエン水素化共重合体、スチレン−無水マレイ
ン酸エステル共重合体並びにポリアルキルスチレン等が
挙げられる。また、ここで言う流動点降下剤としては、
具体的には、塩素化パラフィンとナフタリンの縮合物
類、塩素化パラフィンとフェノールの縮合物類、ポリメ
タクリレート類、ポリブテン類、ポリアルキルスチレン
類、ポリビニルアセテート類、ポリアルキルアクリレー
ト類等が挙げられる。本発明における(C)成分として
はポリメタクリレートが好ましい。
【0028】(C)成分の配合量は特に限定されず任意
であるが、通常、流体全量基準で0.01〜10質量
%、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.
1〜3質量%であるのが望ましい。(C)成分を配合す
る際には通常希釈油が必要とされる。該希釈油としては
(C)成分の合成上の溶媒がそのまま使用される場合も
ある。本発明においては、(B)成分が(C)成分の希
釈油であることが好ましい。すなわち、本発明の(B)
成分を希釈油とすることにより、不要なオイルの添加に
よるトラクション係数の低下を抑えることができ、かつ
(B)成分の添加による低温粘度特性の改善も行うこと
ができる。
【0029】また、本発明のトラクションドライブ用流
体は、油圧制御機構に必要な耐摩耗性、酸化安定性並び
に清浄性を付加させるために(D)無灰分散剤及びリン
系添加剤を含有させることができる。(D)成分におけ
る無灰分散剤としては、例えば炭素数40〜400のア
ルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有
する含窒素化合物又はその誘導体、あるいはアルケニル
コハク酸イミドの変性品等が挙げられ、これらの中から
任意に選ばれる1種類あるいは2種類以上を配合するこ
とができる。このアルキル基又はアルケニル基として
は、直鎖状でも分枝状でもよいが、好ましいものとして
は、具体的には、プロピレン、1−ブテン、イソブチレ
ン等のオレフィンのオリゴマーやエチレンとプロピレン
のコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基や分枝
状アルケニル基等が挙げられる。このアルキル基又はア
ルケニル基の炭素数は40〜400、好ましくは60〜
350である。アルキル基又はアルケニル基の炭素数が
40未満の場合は化合物の潤滑油基油に対する溶解性が
低下し、一方、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が
400を越える場合は、トラクションドライブ用流体の
低温流動性が悪化するため、それぞれ好ましくない。
【0030】無灰分散剤の1例として挙げた含窒素化合
物の窒素含有量は任意であるが、耐摩耗性、酸化安定性
及び摩擦特性等の点から、通常、その窒素含有量が0.
01〜10質量%、好ましくは0.1〜10質量%のも
のが望ましく用いられる。
【0031】無灰分散剤の具体的としては、例えば、 (D−1):炭素数40〜400のアルキル基又はアル
ケニル基を分子中に少なくとも1個有するコハク酸イミ
ド、あるいはその誘導体 (D−2):炭素数40〜400のアルキル基又はアル
ケニル基を分子中に少なくとも1個有するベンジルアミ
ン、あるいはその誘導体 (D−3):炭素数40〜400のアルキル基又はアル
ケニル基を分子中に少なくとも1個有するポリアミン、
あるいはその誘導体 の中から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が挙げら
れる。
【0032】上記の(D−1)コハク酸イミドとして
は、より具体的には、下記の式(14)又は(15)で
示される化合物等が例示できる。
【化14】 上記(14)式中、R87は炭素数40〜400、好まし
くは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示
し、bは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示してい
る。
【0033】
【化15】 上記(15)式中、R88及びR89は、それぞれ個別に、
炭素数40〜400、好ましくは60〜350のアルキ
ル基又はアルケニル基を示し、cは0〜4、好ましくは
1〜3の整数を示している。
【0034】なお、コハク酸イミドとは、イミド化に際
しては、ポリアミンの一端に無水コハク酸が付加した、
式(14)のようないわゆるモノタイプのコハク酸イミ
ドと、ポリアミンの両端に無水コハク酸が付加した、式
(15)のようないわゆるビスタイプのコハク酸イミド
があるが、(D−1)成分としては、そのいずれでも、
またこれらの混合物でも使用可能である。
【0035】上記の(D−2)ベンジルアミンとして
は、より具体的には、下記の式(16)で表せる化合物
等が例示できる。
【化16】 上記(16)式中、R90は、炭素数40〜400、好ま
しくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示
し、dは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示してい
る。
【0036】このベンジルアミンの製造方法は何ら限定
されるものではないが、例えば、プロピレンオリゴマ
ー、ポリブテン、エチレン−α−オレフィン共重合体等
のポリオレフィンをフェノールと反応させてアルキルフ
ェノールとした後、これにホルムアルデヒドとジエチレ
ントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレ
ンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミ
ンをマンニッヒ反応により反応させることにより得るこ
とができる。
【0037】上記の(D−3)ポリアミンとしては、よ
り具体的には、下記の式(17)で表せる化合物等が例
示できる。
【化17】 上記(17)式中、R91は、炭素数40〜400、好ま
しくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示
し、eは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示してい
る。
【0038】このポリアミンの製造法は何ら限定される
ものではないが、例えば、プロピレンオリゴマー、ポリ
ブテン、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオ
レフィンを塩素化した後、これにアンモニアやエチレン
ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラ
ミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキ
サミン等のポリアミンを反応させることにより得ること
ができる。
【0039】また、無灰分散剤の1例として挙げた含窒
素化合物の誘導体としては、具体的には例えば、前述し
たような含窒素化合物に炭素数2〜30のモノカルボン
酸(脂肪酸等)やシュウ酸、フタル酸、トリメリット
酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン
酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基
の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆる
酸変性化合物;前述したような含窒素化合物にホウ酸を
作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一
部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆるホウ
素変性化合物;前述したような含窒素化合物に硫黄化合
物を作用させた硫黄変性化合物;及び前述したような含
窒素化合物に酸変性、ホウ素変性、硫黄変性から選ばれ
た2種以上の変性を組み合わせた変性化合物;等が挙げ
られる。
【0040】本発明のトラクションドライブ用流体にお
いて無灰分散剤を含有させる場合、その含有量は特に限
定されないが、通常、トラクションドライブ用流体全量
基準で、0.01〜10.0質量%であるのが好まし
く、0.1〜7.0質量%であるのがより好ましい。無
灰分散剤の含有量が0.01質量%未満の場合は、清浄
性に対する効果がなくなる。一方、10.0質量%を越
える場合は、トラクションドライブ用流体の低温流動性
が大幅に悪化するため、それぞれ好ましくない。
【0041】また、(D)成分におけるリン系添加剤と
しては、アルキルジチオリン酸亜鉛、リン酸、亜リン
酸、リン酸モノエステル類、リン酸ジエステル類、リン
酸トリエステル類、亜リン酸モノエステル類、亜リン酸
ジエステル類、亜リン酸トリエステル類、(亜)リン酸
エステル類の塩、及びこれらの混合物等が挙げられる。
ここに挙げたリン系添加剤のうち、リン酸、亜リン酸を
除いたものは、通常、炭素数2〜30、好ましくは3〜
20の炭化水素基を含有する化合物である。
【0042】この炭素数2〜30の炭化水素基として
は、具体的には、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニ
ル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシ
ル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル
基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基
(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);ブ
テニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル
基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセ
ニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニ
ル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデ
セニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基(これら
アルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよく、また二重結
合の位置も任意である);シクロペンチル基、シクロヘ
キシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロ
アルキル基;メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロ
ペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチル
シクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチル
シクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジ
エチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジ
メチルシクロヘプチル基、メチルエチルシクロヘプチル
基、ジエチルシクロヘプチル基等の炭素数6〜11のア
ルキルシクロアルキル基(アルキル基のシクロアルキル
基への置換位置も任意である);フェニル基、ナフチル
基等のアリール基:トリル基、キシリル基、エチルフェ
ニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペン
チルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニ
ル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシル
フェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル
基等の炭素数7〜18の各アルキルアリール基(アルキ
ル基は直鎖状でも分枝状でもよく、またアリール基への
置換位置も任意である);ベンジル基、フェニルエチル
基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニル
ペンチル基、フェニルヘキシル基等の炭素数7〜12の
各アリールアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも
分枝状でもよい);等が例示できる。
【0043】リン系添加剤として好ましい化合物として
は、具体的には、リン酸;亜リン酸;ジプロピルジチオ
リン酸亜鉛、ジブチルジチオリン酸亜鉛、ジペンチルジ
チオリン酸亜鉛、ジヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジヘプ
チルジチオリン酸亜鉛、ジオクチルジチオリン酸亜鉛等
のアルキルジチオリン酸亜鉛(アルキル基は直鎖状でも
分枝状でもよい);モノプロピルホスフェート、モノブ
チルホスフェート、モノペンチルホスフェート、モノヘ
キシルホスフェート、モノペプチルホスフェート、モノ
オクチルホスフェート等のリン酸モノアルキルエステル
(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);モノフェ
ニルホスフェート、モノクレジルホスフェート等のリン
酸モノ(アルキル)アリールエステル;ジプロピルホス
フェート、ジブチルホスフェート、ジペンチルホスフェ
ート、ジヘキシルホスフェート、ジペプチルホスフェー
ト、ジオクチルホスフェート等のリン酸ジアルキルエス
テル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);ジフ
ェニルホスフェート、ジクレジルホスフェート等のリン
酸ジ(アルキル)アリールエステル;トリプロピルホス
フェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホス
フェート、トリヘキシルホスフェート、トリペプチルホ
スフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸トリ
アルキルエステル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも
よい);トリフェニルホスフェート、トリクレジルホス
フェート等のリン酸トリ(アルキル)アリールエステ
ル;モノプロピルホスファイト、モノブチルホスファイ
ト、モノペンチルホスファイト、モノヘキシルホスファ
イト、モノペプチルホスファイト、モノオクチルホスフ
ァイト等の亜リン酸モノアルキルエステル(アルキル基
は直鎖状でも分枝状でもよい);モノフェニルホスファ
イト、モノクレジルホスファイト等の亜リン酸モノ(ア
ルキル)アリールエステル;ジプロピルホスファイト、
ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘ
キシルホスファイト、ジペプチルホスファイト、ジオク
チルホスファイト等の亜リン酸ジアルキルエステル(ア
ルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);ジフェニルホ
スファイト、ジクレジルホスファイト等の亜リン酸ジ
(アルキル)アリールエステル;トリプロピルホスファ
イト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファ
イト、トリヘキシルホスファイト、トリペプチルホスフ
ァイト、トリオクチルホスファイト等の亜リン酸トリア
ルキルエステル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよ
い);トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスフ
ァイト等の亜リン酸トリ(アルキル)アリールエステ
ル;及びこれらの混合物等が例示できる。
【0044】また、上述した(亜)リン酸エステル類の
塩としては、具体的には、リン酸モノエステル、リン酸
ジエステル、亜リン酸モノエステル、亜リン酸ジエステ
ル等に、アンモニアや炭素数1〜8の炭化水素基又は水
酸基含有炭化水素基のみを分子中に含有するアミン化合
物等の含窒素化合物を作用させて、残存する酸性水素の
一部又は全部を中和した塩等が例示できる。この含窒素
化合物としては、具体的には、アンモニア;モノメチル
アミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノ
ブチルアミン、モノペンチルアミン、モノヘキシルアミ
ン、モノヘプチルアミン、モノオクチルアミン、ジメチ
ルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチ
ルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、ジプロピル
アミン、メチルブチルアミン、エチルブチルアミン、プ
ロピルブチルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミ
ン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチル
アミン等のアルキルアミン(アルキル基は直鎖状でも分
枝状でもよい);モノメタノールアミン、モノエタノー
ルアミン、モノプロパノールアミン、モノブタノールア
ミン、モノペンタノールアミン、モノヘキサノールアミ
ン、モノヘプタノールアミン、モノオクタノールアミ
ン、モノノナノールアミン、ジメタノールアミン、メタ
ノールエタノールアミン、ジエタノールアミン、メタノ
ールプロパノールアミン、エタノールプロパノールアミ
ン、ジプロパノールアミン、メタノールブタノールアミ
ン、エタノールブタノールアミン、プロパノールブタノ
ールアミン、ジブタノールアミン、ジペンタノールアミ
ン、ジヘキサノールアミン、ジヘプタノールアミン、ジ
オクタノールアミン等のアルカノールアミン(アルカノ
ール基は直鎖状でも分枝状でもよい);及びこれらの混
合物等が例示できる。これらリン系添加剤は、1種類あ
るいは2種類以上を任意に配合することができる。
【0045】またリン系添加剤として、後述する(E−
2)炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基を分
子中に少なくとも1個有し、かつ炭素数31以上の炭化
水素基を分子中に含有しないリン化合物又はその誘導体
に含まれる化合物を使用する場合には、本発明のトラク
ションドライブ用流体に対して、上述したような耐摩耗
性だけでなく、さらに湿式クラッチにおける最適化され
た摩擦特性も同時に付与することが可能となる。本発明
のトラクションドライブ用流体においてリン系添加剤を
含有させる場合、その含有量は特に限定されないが、通
常、トラクションドライブ用流体全量基準で、リン元素
として0.005〜0.2質量%であるのが好ましい。
リン元素として0.005質量%未満の場合は、耐摩耗
性に対して効果がなく、0.2質量%を超える場合は、
酸化安定性が悪化するため、それぞれ好ましくない。
【0046】また、本発明のトラクションドライブ用流
体は、湿式クラッチの摩擦特性を最適化するために
(E)摩擦調整剤を含有するのが好ましい。この摩擦調
整剤((E)成分)は、炭素数6〜30のアルキル基又
はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有し、かつ炭
素数31以上の炭化水素基を分子中に含有しないもので
ある。(E)成分のアルキル基又はアルケニル基として
は、直鎖状でも分枝状でもよいが、炭素数は6〜30、
好ましくは9〜24の化合物が望ましい。アルキル基又
はアルケニル基の炭素数が6未満や30を越える場合
は、湿式クラッチの摩擦特性が悪化するため、それぞれ
好ましくない。
【0047】このアルキル基又はアルケニル基として
は、具体的には、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、
トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキ
サデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデ
シル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、ト
リコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサ
コシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシ
ル基、トリアコンチル基等のアルキル基(これらアルキ
ル基は直鎖状でも分枝状でもよい);ヘキセニル基、ヘ
プテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、
ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テト
ラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、
ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル
基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、
トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル
基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセ
ニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基等のアル
ケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でも
よく、また二重結合の位置も任意である);等が例示で
きる。また摩擦調整剤として炭素数が31以上の炭化水
素基を含有する場合は、湿式クラッチの摩擦特性が悪化
するため好ましくない。
【0048】(E)成分としては、具体的には例えば、 (E−1):炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニ
ル基を分子中に少なくとも1個有し、かつ炭素数31以
上の炭化水素基を分子中に含有しないアミン化合物、又
はその誘導体 (E−2):炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニ
ル基を分子中に少なくとも1個有し、かつ炭素数31以
上の炭化水素基を分子中に含有しないリン化合物、又は
その誘導体 (E−3):炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニ
ル基を分子中に少なくとも1個有し、かつ炭素数31以
上の炭化水素基を分子中に含有しない脂肪酸のアミド又
は金属塩の中から選ばれる1種又は2種以上の化合物等
が好ましい化合物として挙げられる。
【0049】ここでいう(E−1)のアミン化合物とし
ては、より具体的には、下記の式(18)で表される脂
肪族モノアミン又はそのアルキレンオキシド付加物、下
記の式(19)で表される脂肪族ポリアミン、一般式
(20)で表されるイミダゾリン化合物等が例示でき
る。
【化18】 上記(18)式中、R92は、炭素数6〜30、好ましく
は9〜24のアルキル基又はアルケニル基を示し、R93
及びR94は、それぞれ個別に、エチレン基又はプロピレ
ン基を示し、R95及びR96は、それぞれ個別に水素原子
又は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、f及びgは、
それぞれ個別に0〜10で、かつf+g=0〜10であ
り、好ましくはそれぞれ個別に0〜6で、かつf+g=
0〜10である整数を示している。
【0050】
【化19】 上記(19)式中、R97は炭素数6〜30、好ましくは
9〜24のアルキル基又はアルケニル基を示し、R98
エチレン基又はプロピレン基を示し、R99及びR
100は、それぞれ個別に、水素原子又は炭素数1〜30
の炭化水素基を示し、hは、1〜5、好ましくは1〜4
の整数を示している。
【0051】
【化20】 上記(20)式中、R101は、炭素数6〜30、好まし
くは9〜24のアルキル基又はアルケニル基を示し、R
102は、エチレン基又はプロピレン基を示し、R103は、
水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、i
は、0〜10、好ましくは0〜6の整数を示している。
【0052】なお、R92、R97及びR101を示すアルキ
ル基又はアルケニル基としては、直鎖状でも分枝状でも
よいが、その炭素数は6〜30、好ましくは9〜24が
望ましい。アルキル基又はアルケニル基の炭素数が6未
満の場合や30を超える場合は湿式クラッチの摩擦特性
が悪化するため、それぞれ好ましくない。R92、R97
びR101を示すアルキル基又はアルケニル基としては、
具体的には例えば、前述したような各種のアルキル基や
アルケニル基等が挙げられるが、湿式クラッチの摩擦特
性により優れる点から、ラウリル基、ミリスチル基、パ
ルミチル基、ステアリル基、イソステアリル基、オレイ
ル基等の炭素数12〜18のアルキル基又はアルケニル
基が特に好ましい。
【0053】また、R95、R96、R99、R100及びR103
を示す基としては、具体的には、水素原子;メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、
ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシ
ル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘン
イコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル
基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル
基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基
等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状
でもよい);ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル
基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニ
ル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル
基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセ
ニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデ
セニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニ
ル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセ
ニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタ
コセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基等の
アルケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状
でもよく、また二重結合の位置も任意である);シクロ
ペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の
炭素数5〜7のシクロアルキル基;メチルシクロペンチ
ル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロ
ペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロ
ヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチル
シクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチル
シクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メチル
エチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基等
の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基(アルキ
ル基のシクロアルキル基への置換位置も任意である);
フェニル基、ナフチル基等のアリール基:トリル基、キ
シリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブ
チルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニ
ル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニ
ルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル
基、ドデシルフェニル基等の炭素数7〜18の各アルキ
ルアリール基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状で
もよく、またアリール基への置換位置も任意である);
ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、
フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキ
シル基等の炭素数7〜12の各アリールアルキル基(こ
れらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);等が例
示できる。
【0054】上記式(18)で表される脂肪族モノアミ
ン又はそのアルキレンオキシド付加物としては、湿式ク
ラッチの摩擦特性により優れる点から、式(18)にお
いて、R95及びR96が、それぞれ個別に、水素原子又は
炭素数1〜6のアルキル基であり、かつf=g=0であ
る脂肪族モノアミンや、R95及びR96が水素原子であ
り、かつf及びgが、それぞれ個別に、0〜6でさらに
f+g=1〜6となる整数である、脂肪族モノアミンの
アルキレンオキシド付加物等がより好ましく用いられ
る。
【0055】また、上記式(19)で表される脂肪族ポ
リアミンとしては、湿式クラッチの摩擦特性により優れ
る点から、式(19)において、R99及びR100が、そ
れぞれ個別に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基
である脂肪族ポリアミン等がより好ましく用いられる。
また、上記式(20)で表されるイミダゾリン化合物と
しては、湿式クラッチの摩擦特性により優れる点から、
式(20)においてR103が、水素原子又は炭素数1〜
6のアルキル基であるイミダゾリン化合物等がより好ま
しく用いられる。
【0056】一方、(E−1)でいうアミン化合物の誘
導体としては、具体的には例えば、上記式(18)〜
(20)のようなアミン化合物に炭素数2〜30のモノ
カルボン酸(脂肪酸等)や、シュウ酸、フタル酸、トリ
メリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリ
カルボン酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又は
イミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、
いわゆる酸変性化合物;式(18)〜(20)のような
アミン化合物にホウ酸を作用させて、残存するアミノ基
及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和した、いわゆ
るホウ酸変性化合物;式(18)〜(20)のようなア
ミン化合物に、その分子中に炭素数1〜30の炭化水素
基を1〜2個有し、炭素数31以上の炭化水素基を含ま
ず、かつ少なくとも1個の水酸基を有する酸性リン酸エ
ステル又は酸性亜リン酸エステルを作用させて、残存す
るアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和し
た、リン酸エステル塩;式(19)又は(20)のよう
なアミン化合物に、エチレンオキシドやプロピレンオキ
シド等のアルキレンオキシドを反応させた、いわゆるア
ミン化合物のアルキレンオキシド付加物;これらの中か
ら選ばれる2種以上の変性を組み合わせて得られるアミ
ン化合物の変性物;等が挙げられる。
【0057】(E−1)のアミン化合物又はその誘導体
としては、具体的には、湿式クラッチの摩擦特性に優れ
る点から、ラウリルアミン、ラウリルジエチルアミン、
ラウリルジエタノールアミン、ドデシルジプロパノール
アミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ステア
リルテトラエチレンペンタミン、オレイルアミン、オレ
イルプロピレンジアミン、オレイルジエタノールアミ
ン、N−ヒドロキシエチルオレイルイミダゾリン等のア
ミン化合物;これらアミン化合物のアルキレンオキシド
付加物;これらアミン化合物と酸性リン酸エステル(例
えばジ2−エチルヘキシルリン酸エステル)、酸性亜リ
ン酸エステル(例えばジ2−エチルヘキシル亜リン酸エ
ステル)との塩;これらアミン化合物、アミン化合物の
アルキレンオキシド付加物又はアミン化合物の(亜)リ
ン酸エステル塩のホウ酸変性物;又はこれらの混合物等
が特に好ましく用いられる。
【0058】上記(E−2)のリン化合物としては、よ
り具体的には例えば、下記の式(21)で表されるリン
酸エステル及び下記の式(22)で表される亜リン酸エ
ステル等が挙げられる。
【化21】 上記(21)式中、R104は、炭素数6〜30、好まし
くは9〜24のアルキル基又はアルケニル基を示し、R
105及びR106は、それぞれ個別に、水素原子又は炭素数
1〜30の炭化水素基を示し、F1、F2、F3及びF
4は、それぞれ個別に、酸素原子又は硫黄原子であり、
かつ、F1、F2、F3及びF4のうち少なくとも一つが酸
素原子である基を示している。
【0059】
【化22】 上記(22)式中、R107は、炭素数6〜30、好まし
くは9〜24のアルキル基又はアルケニル基を示し、R
108及びR109は、それぞれ個別に、水素原子又は炭素数
1〜30の炭化水素基を示し、F5、F6及びF7は、そ
れぞれ個別に、酸素原子又は硫黄原子であり、かつ、F
5、F6及びF7のうち少なくとも一つは酸素原子である
基を示している。
【0060】なお、R104及びR107を示すアルキル基又
はアルケニル基としては、直鎖状でも分枝状でもよい
が、その炭素数は6〜30、好ましくは9〜24が望ま
しい。アルキル基又はアルケニル基の炭素数が6未満の
場合や30を超える場合は、湿式クラッチの摩擦特性が
悪化するため、それぞれ好ましくない。このアルキル基
又はアルケニル基としては、具体的には例えば、前述し
たような各種のアルキル基やアルケニル基等が挙げられ
るが、特に湿式クラッチの摩擦特性により優れる点か
ら、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステア
リル基、オレイル基等の炭素数12〜18の直鎖アルキ
ル基又はアルケニル基が特に好ましい。
【0061】またR105、R106、R108及びR109を示す
基としては、具体的には、それぞれ個別に、水素原子;
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、
デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、
テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘ
プタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシ
ル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テ
トラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプ
タコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコ
ンチル基等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状で
も分枝状でもよい);ブテニル基、ペンテニル基、ヘキ
セニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、
デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセ
ニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサ
デセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノ
ナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコ
セニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタ
コセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オ
クタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基
等のアルケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分
枝状でもよく、また二重結合の位置も任意である);シ
クロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基
等の炭素数5〜7のシクロアルキル基;メチルシクロペ
ンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシ
クロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシ
クロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエ
チルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メ
チルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メ
チルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル
基等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基(こ
れらアルキル基のシクロアルキル基への置換位置も任意
である);フェニル基、ナフチル基等のアリール基:ト
リル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェ
ニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキ
シルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニ
ル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシ
ルフェニル基、ドデシルフェニル基等の炭素数7〜18
の各アルキルアリール基(これらアルキル基は直鎖状で
も分枝状でもよく、またアリール基への置換位置も任意
である);ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプ
ロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フ
ェニルヘキシル基等の炭素数7〜12の各アリールアル
キル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよ
い);等が例示できる。
【0062】(E−2)のリン化合物としては、湿式ク
ラッチの摩擦特性により優れる点から、上記式(21)
において、R105及びR106の少なくとも1つが水素原子
である酸性リン酸エステルや、上記式(22)におい
て、R108及びR109の少なくとも1つが水素原子である
酸性亜リン酸エステルがより好ましく用いられる。ま
た、(E−2)でいうリン化合物の誘導体としては、具
体的には、上記式(21)においてR105及びR106の少
なくとも1つが水素原子である酸性リン酸エステルや、
上記式(22)においてR108及びR109の少なくとも1
つが水素原子である酸性亜リン酸エステルに、アンモニ
アや炭素数1〜8の炭化水素基又は水酸基含有炭化水素
基のみを分子中に含有するアミン化合物等の含窒素化合
物を作用させて、残存する酸性水素の一部又は全部を中
和した塩等が例示できる。
【0063】この含窒素化合物としては、具体的には、
アンモニア;モノメチルアミン、モノエチルアミン、モ
ノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノペンチルア
ミン、モノヘキシルアミン、モノヘプチルアミン、モノ
オクチルアミン、ジメチルアミン、メチルエチルアミ
ン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプ
ロピルアミン、ジプロピルアミン、メチルブチルアミ
ン、エチルブチルアミン、プロピルブチルアミン、ジブ
チルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ
ヘプチルアミン、ジオクチルアミン等のアルキルアミン
(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);モノメタ
ノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノー
ルアミン、モノブタノールアミン、モノペンタノールア
ミン、モノヘキサノールアミン、モノヘプタノールアミ
ン、モノオクタノールアミン、モノノナノールアミン、
ジメタノールアミン、メタノールエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、メタノールプロパノールアミン、エ
タノールプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、
メタノールブタノールアミン、エタノールブタノールア
ミン、プロパノールブタノールアミン、ジブタノールア
ミン、ジペンタノールアミン、ジヘキサノールアミン、
ジヘプタノールアミン、ジオクタノールアミン等のアル
カノールアミン(アルカノール基は直鎖状でも分枝状で
もよい);及びこれらの混合物等が例示できる。
【0064】(E−2)のリン化合物又はその誘導体と
しては、具体的には、湿式クラッチの摩擦特性に優れる
点から、モノラウリルリン酸エステル、ジラウリルリン
酸エステル、モノステアリルリン酸エステル、ジステア
リルリン酸エステル、モノオレイルリン酸エステル、ジ
オレイルリン酸エステル、モノラウリル亜リン酸エステ
ル、ジラウリル亜リン酸エステル、モノステアリル亜リ
ン酸エステル、ジステアリル亜リン酸エステル、モノオ
レイル亜リン酸エステル、ジオレイル亜リン酸エステ
ル、モノラウリルチオリン酸エステル、ジラウリルチオ
リン酸エステル、モノステアリルチオリン酸エステル、
ジステアリルチオリン酸エステル、モノオレイルチオリ
ン酸エステル、ジオレイルチオリン酸エステル、モノラ
ウリルチオ亜リン酸エステル、ジラウリルチオ亜リン酸
エステル、モノステアリルチオ亜リン酸エステル、ジス
テアリルチオ亜リン酸エステル、モノオレイルチオ亜リ
ン酸エステル、ジオレイルチオ亜リン酸エステル、及び
これらリン酸エステル、亜リン酸エステル、チオリン酸
エステル、チオ亜リン酸エステルのアミン塩(モノ2−
エチルヘキシルアミン塩等)、及びこれらの混合物等が
特に好ましく用いられる。
【0065】上記(E−3)の脂肪酸アミド又は脂肪酸
金属塩における脂肪酸としては、直鎖脂肪酸でも分枝脂
肪酸でもよく、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよい
が、そのアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、6〜
30、好ましくは9〜24が望ましい。脂肪酸のアルキ
ル基又はアルケニル基の炭素数が6未満の場合や30を
超える場合は、湿式クラッチの摩擦特性が悪化するた
め、それぞれ好ましくない。
【0066】この脂肪酸としては、具体的には例えば、
ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデ
カン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、
ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オ
クタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、ヘンイコサ
ン酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、ペ
ンタコサン酸、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オク
タコサン酸、ノナコサン酸、トリアコンチル基等の飽和
脂肪酸(これら飽和脂肪酸は直鎖状でも分枝状でもよ
い);ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、
ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセ
ン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン
酸、オクタデセン酸、ノナデセン酸、イコセン酸、ヘン
イコセン酸、ドコセン酸、トリコセン酸、テトラコセン
酸、ペンタコセン酸、ヘキサコセン酸、ヘプタコセン
酸、オクタコセン酸、ノナコセン酸、トリアコンテン酸
等の不飽和脂肪酸(これら不飽和脂肪酸は直鎖状でも分
枝状でもよく、また二重結合の位置も任意である);等
が挙げられるが、特に湿式クラッチの摩擦特性により優
れる点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、オレイン酸、各種油脂から誘導され
る直鎖脂肪酸(ヤシ油脂肪酸等)の直鎖脂肪酸やオキソ
法等で合成される直鎖脂肪酸と分枝脂肪酸の混合物等が
好ましく用いられる。
【0067】(E−3)でいう脂肪酸アミドとしては、
具体的には例えば、上記脂肪酸やその酸塩化物をアンモ
ニアや炭素数1〜8の炭化水素基又は水酸基含有炭化水
素基のみを分子中に含有するアミン化合物等の含窒素化
合物を反応させて得られるアミド等が挙げられる。この
含窒素化合物としては、具体的には、アンモニア;モノ
メチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミ
ン、モノブチルアミン、モノペンチルアミン、モノヘキ
シルアミン、モノヘプチルアミン、モノオクチルアミ
ン、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルア
ミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、
ジプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチルブチル
アミン、プロピルブチルアミン、ジブチルアミン、ジペ
ンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、
ジオクチルアミン等のアルキルアミン(アルキル基は直
鎖状でも分枝状でもよい);モノメタノールアミン、モ
ノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノブ
タノールアミン、モノペンタノールアミン、モノヘキサ
ノールアミン、モノヘプタノールアミン、モノオクタノ
ールアミン、モノノナノールアミン、ジメタノールアミ
ン、メタノールエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、メタノールプロパノールアミン、エタノールプロパ
ノールアミン、ジプロパノールアミン、メタノールブタ
ノールアミン、エタノールブタノールアミン、プロパノ
ールブタノールアミン、ジブタノールアミン、ジペンタ
ノールアミン、ジヘキサノールアミン、ジヘプタノール
アミン、ジオクタノールアミン等のアルカノールアミン
(アルカノール基は直鎖状でも分枝状でもよい);及び
これらの混合物等が例示できる。
【0068】(E−3)の脂肪酸アミドとしては、具体
的には、湿式クラッチの摩擦特性により優れる点から、
ラウリン酸アミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラ
ウリン酸モノプロパノールアミド、ミリスチン酸アミ
ド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸モ
ノプロパノールアミド、パルミチン酸アミド、パルミチ
ン酸ジエタノールアミド、パルミチン酸モノプロパノー
ルアミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ジエタノ
ールアミド、ステアリン酸モノプロパノールアミド、オ
レイン酸アミド、オレイン酸ジエタノールアミド、オレ
イン酸モノプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸アミド、
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノプ
ロパノールアミド、炭素数12〜13の合成混合脂肪酸
アミド、炭素数12〜13の合成混合脂肪酸ジエタノー
ルアミド、炭素数12〜13の合成混合脂肪酸モノプロ
パノールアミド、及びこれらの混合物等が特に好ましく
用いられる。
【0069】一方、(E−3)でいう脂肪酸金属塩とし
ては、具体的には、上記脂肪酸のアルカリ土類金属塩
(マグネシウム塩、カルシウム塩等)や亜鉛塩等が例示
できる。(E−3)の脂肪酸金属塩としては、具体的に
は、湿式クラッチの摩擦特性により優れる点から、ラウ
リン酸カルシウム、ミリスチン酸カルシウム、パルミチ
ン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸
カルシウム、ヤシ油脂肪酸カルシウム、炭素数12〜1
3の合成混合脂肪酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ミリ
スチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、
オレイン酸亜鉛、ヤシ油脂肪酸亜鉛、炭素数12〜13
の合成混合脂肪酸亜鉛、及びこれらの混合物等が特に好
ましく用いられる。
【0070】任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上
の(E)成分は、他の性能、例えば酸化安定性等に影響
を与えない限り、任意の量を配合することができる。摩
擦特性の耐久性を高くするためには、(E)成分の劣化
による摩擦特性の劣化を防ぐことが必要であり、(E)
成分を多量に配合することは、摩擦特性の耐久性を高く
するためには効果的である。しかし多量に配合しすぎる
と、湿式クラッチの結合を維持するために高いことが必
要である静摩擦係数も低下してしまう。したがって、
(E)成分の配合量には限界がある。従って、本発明の
トラクションドライブ用流体において(E)成分を含有
させる場合、その含有量は特に限定されないが、通常、
トラクションドライブ用流体全量基準で、0.005〜
3.0質量%であるのが好ましく、0.01〜2.0質
量%であるのがより好ましい。
【0071】また、摩擦特性の耐久性を高くするため
に、この限界量以上の(E)成分を配合することが必要
となった際には、静摩擦係数を高くする添加剤
((E’)成分)を配合するこができる。ここでいう
(E’)成分としては、以下のようなものがある。 (E’−1) 同一分子内に、(E)成分で示した極性
基を持ち、かつ親油基が、炭素数100以下の炭化水素
基である化合物。(E’−1)成分の使用にあたって
は、その極性基は、使用する(E)成分と同一であって
も異なっていてもよい。 (E’−2) 炭素数が60以下の炭化水素基をもつ、
窒素含有化合物(例えばコハク酸イミドやアミド化合物
等)、あるいは、そのホウ素化合物(例えばホウ酸等)
や硫黄化合物等による変性品である化合物。
【0072】本発明のトラクションドライブ用流体にお
いて、(E)成分と(E’)成分を併用する場合、
(E’)成分の含有量は特に限定されないが、通常、ト
ラクションドライブ用流体全量基準で、0.1〜10.
0質量%であるのが好ましく、0.5〜3.0質量%で
あるのがより好ましい。(E’)成分の含有量が0.1
質量%未満の場合は(E’)成分併用による静摩擦係数
の増加効果に乏しく、一方、10.0質量%を越える場
合は、低温流動性および酸化安定性が悪化するため、好
ましくない。
【0073】また、本発明のトラクションドライブ用流
体は、(F)金属系清浄剤を配合することができる。こ
の金属系清浄剤((F)成分)の配合により、湿式クラ
ッチの摩擦特性を最適化し、かつ繰り返し圧縮に対する
強度低下を抑えることができる。(F)金属系清浄剤と
しては、その全塩基価が20〜450mgKOH/g、
好ましくは50〜400mgKOH/gの塩基性金属系
清浄剤が望ましい。なおここで言う全塩基価とは、JI
S K2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験法」
の7.に準拠して測定される過塩素酸法による全塩基価
を意味している。金属系清浄剤の全塩基価が20mgK
OH/g未満の場合は、湿式クラッチの繰り返し圧縮に
対する強度低下を抑制する効果が不十分であり、一方、
全塩基価が450mgKOH/gを越える場合は構造的
に不安定であり、組成物の貯蔵安定性が悪化するため、
それぞれ好ましくない。
【0074】(F)成分の具体例としては、例えば (F−1):全塩基価が20〜450mgKOH/gの
アルカリ土類金属スルフォネート (F−2):全塩基価が20〜450mgKOH/gの
アルカリ土類金属フェネート (F−3):全塩基価が20〜450mgKOH/gの
アルカリ土類金属サリシレート の中から選ばれる1種類又は2種類以上の金属系清浄剤
等が挙げられる。
【0075】ここでいう(F−1)アルカリ土類金属ス
ルフォネートとしては、より具体的には、例えば分子量
100〜1500、好ましくは200〜700のアルキ
ル芳香族化合物をスルフォン化することによって得られ
るアルキル芳香族スルフォン酸のアルカリ土類金属塩、
特にマグネシウム塩及び/又はカルシウム塩が好ましく
用いられ、アルキル芳香族スルフォン酸としては、具体
的にはいわゆる石油スルフォン酸や合成スルフォン酸等
が挙げられる。石油スルフォン酸としては、一般に鉱油
の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルフォン化し
たものやホワイトオイル製造時に副生する、いわゆるマ
ホガニー酸等が用いられる。また合成スルフォン酸とし
ては、例えば洗剤の原料となるアルキルベンゼン製造プ
ラントから副生したり、ポリオレフィンをベンゼンにア
ルキル化することにより得られる、直鎖状や分枝状のア
ルキル基を有するアルキルベンゼンを原料とし、これを
スルフォン化したもの、あるいはジノニルナフタレンを
スルフォン化したもの等が用いられる。またこれらアル
キル芳香族化合物をスルフォン化する際のスルフォン化
剤としては特に制限はないが、通常、発煙硫酸や硫酸が
用いられる。
【0076】また、ここでいう(F−2)アルカリ土類
金属フェネートとしては、より具体的には、炭素数4〜
30、好ましくは6〜18の直鎖状又は分枝状のアルキ
ル基を少なくとも1個有するアルキルフェノール、この
アルキルフェノールと元素硫黄を反応させて得られるア
ルキルフェノールサルファイド又はこのアルキルフェノ
ールとホルムアルデヒドを反応させて得られるアルキル
フェノールのマンニッヒ反応生成物のアルカリ土類金属
塩、特にマグネシウム塩及び/又はカルシウム塩等が好
ましく用いられる。
【0077】また、ここでいう(F−3)アルカリ土類
金属サリシレートとしては、より具体的には、炭素数4
〜30、好ましくは6〜18の直鎖状又は分枝状のアル
キル基を少なくとも1個有するアルキルサリチル酸のア
ルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び/又はカル
シウム塩等が好ましく用いられる。また、アルカリ土類
金属スルフォネート、アルカリ土類金属フェネート及び
アルカリ土類金属サリシレートには、その金属塩が20
〜450mgKOH/gの範囲にある限りにおいて、ア
ルキル芳香族スルフォン酸、アルキルフェノール、アル
キルフェノールサルファイド、アルキルフェノールのマ
ンニッヒ反応生成物、アルキルサリチル酸等を、直接、
マグネシウム及び/又はカルシウムのアルカリ土類金属
の酸化物や水酸化物等のアルカリ土類金属塩基と反応さ
せたり、又は一度ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカ
リ金属塩としてからアルカリ土類金属塩と置換させるこ
と等により得られる中性塩(正塩)だけでなく、さらに
これら中性塩(正塩)と過剰のアルカリ土類金属塩やア
ルカリ土類金属塩基(アルカリ土類金属の水酸化物や酸
化物)を水の存在下で加熱することにより得られる塩基
性塩や、炭酸ガスの存在下で中性塩(正塩)をアルカリ
土類金属の塩基と反応させることにより得られる過塩基
性塩(超塩基性塩)も含まれる。
【0078】なお、これらの反応は、通常、溶媒(ヘキ
サン等の脂肪族炭化水素溶剤、キシレン等の芳香族炭化
水素溶剤、軽質潤滑油基油等)中で行われる。また、金
属系清浄剤は通常、軽質潤滑油基油等で希釈された状態
で市販されており、また、入手可能であるが、一般的
に、その金属含有量が1.0〜20質量%、好ましくは
2.0〜16質量%のものを用いるのが望ましい。本発
明のトラクションドライブ用流体において、(F)成分
を含有させる場合、(F)成分の含有量は特に限定され
ないが、通常、トラクションドライブ用流体全量基準
で、0.01〜5.0質量%であるのが好ましく、0.
05〜4.0質量%であるのがより好ましい。(F)成
分の含有量が0.01質量%未満の場合は湿式クラッチ
の繰り返し圧縮に対する強度低下を抑制する効果が不十
分であり、一方、5.0質量%を越えると、組成物の酸
化安定性が低下するため、それぞれ好ましくない。
(D)〜(F)成分を配合する場合、(B)成分を希釈
油とすることが好ましい。すなわち、本発明の(B)成
分を希釈油とすることにより、不要なオイルの添加によ
るトラクション係数の低下を抑えることができ、かつ
(B)成分の添加による低温粘度特性の改善も行うこと
ができる。
【0079】なお、(D)、(E)、(E’)及び
(F)成分を含有させることで、本発明のトラクション
ドライブ用流体に、油圧制御機構に必要な耐摩耗性、酸
化安定性及び清浄性と湿式クラッチの摩擦特性制御機構
に必要な湿式クラッチに対する摩擦特性、湿式クラッチ
の繰り返し圧縮に対する強度等を付加することが可能と
なるが、これらの性能を更に向上させ、かつ、銅系材料
等の非鉄金属に対する耐腐食性、及びナイロン材等の樹
脂類の耐久性等を向上させる目的で、必要に応じて、さ
らに酸化防止剤、極圧添加剤、腐食防止剤、ゴム膨潤
剤、消泡剤、着色剤等を単独あるいは数種類組み合わせ
て含有させてもよい。
【0080】酸化防止剤としては、フェノール系化合物
やアミン系化合物等、潤滑油に一般的に使用されている
ものであれば使用可能である。具体的には、2,6−ジ
−tert−ブチル−4−メチルフェノール等のアルキ
ルフェノール類、メチレン−4、4−ビスフェノール
(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノー
ル)等のビスフェノール類、フェニル−α−ナフチルア
ミン等のナフチルアミン類、ジアルキルジフェニルアミ
ン類、ジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛等のジ
アルキルジチオリン酸亜鉛類、(3,5−ジ−tert
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)脂肪酸(プロピオ
ン酸等)と1価又は多価アルコール、例えばメタノー
ル、オクタデカノール、1,6ヘキサジオール、ネオペ
ンチルグリコール、チオジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、ペンタエリスリトール等とのエステ
ル等が挙げられる。これらの中から任意に選ばれた1種
類あるいは2種類以上の化合物は、任意の量を含有させ
ることができるが、通常、その含有量は、トラクション
ドライブ用流体全量基準で0.01〜5.0質量%であ
るのが望ましい。
【0081】極圧添加剤としては、例えば、ジスルフィ
ド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等の硫黄系化合物
等が挙げられる。これらの中から任意に選ばれた1種類
あるいは2種類以上の化合物は、任意の量を含有させる
ことができるが、通常、その含有量は、トラクションド
ライブ用流体全量基準で0.01〜5.0質量%である
のが望ましい。
【0082】腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリ
アゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール
系、イミダゾール系化合物等が挙げられる。これらの中
から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物
は、任意の量を含有させることができるが、通常、その
含有量は、トラクションドライブ用流体全量基準で0.
01〜3.0質量%であるのが望ましい。
【0083】消泡剤としては、例えば、ジメチルシリコ
ーン、フルオロシリコーン等のシリコーン類が挙げられ
る。これらの中から任意に選ばれた1種類あるいは2種
類以上の化合物は、任意の量を含有させることができる
が、通常、その含有量は、トラクションドライブ用流体
全量基準で0.001〜0.05質量%であるのが望ま
しい。着色剤は任意の量を含有させることができるが、
通常、その含有量は、トラクションドライブ用流体全量
基準で0.001〜1.0質量%であるのが望ましい。
【0084】
【発明の効果】以上のように本発明のトラクションドラ
イブ用流体は、動力伝達能力に優れているだけではな
く、市販されている従来のトラクションドライブ用流体
には備わっていない、油圧制御用流体としての能力、湿
式クラッチの摩擦特性制御用流体としての能力を得るこ
とが可能となり、自動車用トラクションドライブ用流体
として、特に自動車用無段変速機用流体として、その性
能をいかんなく発揮させることが可能となった。
【0085】
【実施例】以下、本発明の内容を実施例及び比較例によ
りさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによりな
んら限定されるものではない。
【0086】(実施例1〜5)2−メチル−2,4−ジ
シクロヘキシルヘプタン(流体A−1)に、表1に示す
各種流体((B)成分、流体R−1)を配合して得られ
る流体組成物(流体1〜5、比較流体1)に関して、−
40℃における低温粘度(BF法)を測定した。その結
果を表1に示す。なお、比較流体1のトラクション係数
は0.099であった。表1の結果から明らかなよう
に、本発明の(A)成分に(B)成分を配合することに
より低温粘度を低下することができ、低温流動性が向上
することがわかる。
【0087】
【表1】
【0088】表1における用語は以下のものを示す。 (1) 流体A−1:2−メチル−2,4ジシクロヘキシルペンタン トラクション係数 0.099 (2) 流体B−1:溶剤精製鉱油 動粘度(100℃)2.0mm2/s、流動点−20℃ (3) 流体B−2:ナフテン系鉱油 動粘度(100℃)2.2mm2/s、流動点−50℃ (4) 流体B−3:水素化分解鉱油 動粘度(100℃)2.0mm2/s、流動点−32.5℃ (5) 流体B−4:1−メチルシクロヘキシル−1−シクロヘキシルペンタン 動粘度(100℃)1.6mm2/s、 低温粘度(−40℃)550mPa・s (6) 流体B−5:α−オレフィンオリゴマー 動粘度(100℃)2.0mm2/s、 低温粘度(−40℃)700mPa・s (7) 流体R−1:溶剤精製鉱油 動粘度(100℃)7.0mm2/s、流動点−15℃
【0089】(実施例6〜9)流体A−1((A)成
分)に流体B−5((B)成分)を配合した組成物に、
さらに表2に示す各種粘度指数向上剤および/または流
動点降下剤((C)成分)を配合して得られる流体組成
物(流体6〜9)に関して、100℃における動粘度、
及び−30℃における低温粘度(BF法)を測定した。
それらの結果を表2に示す。表2の結果から明らかなよ
うに、(C)成分を配合することにより低温粘度を一層
低下させることができ、低温流動性をより一層向上させ
ることができる。
【0090】
【表2】
【0091】表2における用語は以下のものを示す。 (1) 流体A−1:表1の流体A−1と同一 (2) OCP−1:粘度指数向上剤 溶質:OCP−A、 希釈溶媒:なし (3) PMA−1:粘度指数向上剤/流動点降下剤 溶質:PMA−A(65質量%)、 希釈溶媒:流体B−1(35質量%) (4) PMA−2:粘度指数向上剤/流動点降下剤 溶質:PMA−A(65質量%)、 希釈溶媒:流体B−2(35質量%) (5) PMA−3:粘度指数向上剤/流動点降下剤 溶質:PMA−A(65質量%)、 希釈溶媒:流体B−5(35質量%) (6) OCP−A:エチレン−α−オレフィン共重合体 数平均分子量(Mn)9900 (7) PMA−A:ポリメタクリレート 数平均分子量(Mn)67000 (8) 流体B−1:表1の流体B−1と同一 (9) 流体B−2:表1の流体B−2と同一 (10)流体B−5:表1の流体B−5と同一
【0092】(実施例10〜15)流体A−1((A)
成分)、流体B−5((B)成分)およびOCP−1
((C)成分)を配合した組成物(流体6)に、さらに
(D)無灰分散剤及びリン系添加剤、(E)摩擦調整
剤、(F)金属系清浄剤等の各種添加剤を表3に示す割
合で配合したものを調整した(流体10〜15)。これ
らの流体について、耐摩耗性、酸化安定性、清浄性及び
湿式クラッチの摩擦特性を以下に示す方法で評価した。
【0093】[耐摩耗性] Shell四球試験:ASTM D2266に準拠 80℃、1800rpm、294N(30kgf)、6
0分後の鋼球の摩耗痕径で評価。 [酸化安定性・清浄性] 潤滑油安定度試験:JIS K2514に準拠 150℃、96時間の酸化安定性試験を実施して、供試
油の性状及びラッカー度で評価した。 [湿式クラッチの摩擦特性] 低速滑り試験:JASO M349−95「自動変速機
油シャダー防止性能試験方法」に準拠 摩擦係数のすべり速度の依存性(μ(1rpm) /μ(50rpm)
の値が1を越える場合は正勾配、1未満の場合は負勾配
とする。
【0094】
【表3】
【0095】(実施例16〜21)流体A−1((A)
成分)にPMA−3((B)成分を希釈油とする(C)
成分)を配合した組成物(流体9)に、さらに(D)無
灰分散剤及びリン系添加剤、(E)摩擦調整剤、(F)
金属系清浄剤等の各種添加剤を表4に示す割合で配合し
たものを調整した(流体15〜21)。これらの流体に
ついても同様に、耐摩耗性、酸化安定性、清浄性及び湿
式クラッチの摩擦特性を評価した。
【0096】表3および表4の結果から明らかなよう
に、これらの添加剤を配合することによりトラクション
ドライブ用流体に必要な耐摩耗性、酸化安定性、清浄性
等を付与することができる。
【0097】
【表4】
【0098】表3および表4における用語は以下のもの
を示す。 (1) 流体A−1:表1の流体A−1と同一 (2) OCP−1:表2のOCP−1と同一 (3) PMA−3:表2のPMA−3と同一 (4) OCP−A:表2のOCP−Aと同一 (5) PMA−A:表2のPMA−Aと同一 (6) 流体B−5:表1の流体B−5と同一 (7) 無灰分散剤A:アルケニルコハク酸イミド ビスタイプ、数平均分子量5500 (8) 無灰分散剤B:ホウソ化アルケニルコハク酸イミド モノタイプ、数平均分子量4500 (9) リン系添加剤A:ジフェニルハイドロジェンホスフ
ァイト (10)摩擦調整剤A:エトキシ化オレイルアミン (11)CaスルフォネートA 石油系,全塩基価(過塩素酸法)300mgKOH/
g、Ca含有量12.0質量% (12)酸化防止剤A:ビスフェノール系酸化防止剤
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 105/48 C10M 105/48 107/02 107/02 125/24 125/24 129/32 129/32 129/40 129/40 133/06 133/06 133/08 133/08 133/16 133/16 133/44 133/44 133/54 133/54 133/56 133/56 133/58 133/58 137/02 137/02 137/04 137/04 137/08 137/08 137/10 137/10 A // C10N 10:04 C10N 10:04 20:00 20:00 A Z 20:02 20:02 20:04 20:04 30:04 30:04 30:06 30:06 30:10 30:10 40:04 40:04 Fターム(参考) 4H104 AA20C BA02A BA07A BB16C BB32A BB33A BB37A BE02C BE04C BE11C BE29C BE36C BF01C BF03C BH02C BH03C BH05C BH07C CA01A CB08C DA02A DB06C DB07C EA01A EA02A EA03A EA04A EB07 FA02 LA02 LA03 LA05 PA03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)トラクション係数が0.05以上
    の基油に、(B)下記(B−1)及び(B−2)から選
    ばれる1種又は2種以上の油を組成物全量基準で0.0
    1〜10質量%配合してなることを特徴とするトラクシ
    ョンドライブ用流体組成物。 (B−1):100℃の動粘度が1.5〜5.0mm2
    /sであり、かつ流動点が−20℃以下である鉱油 (B−2):100℃の動粘度が1.3〜3.0mm2
    /sであり、かつ−40℃における低温粘度が2000
    mPa・s以下である合成油
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のトラクションドライブ
    用流体組成物に、さらに(C)粘度指数向上剤及び/又
    は流動点降下剤を組成物全量基準で0.01〜10質量
    %配合してなることを特徴とするトラクションドライブ
    用流体組成物。
  3. 【請求項3】 (B−1)の鉱油がナフテン系鉱油であ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載のトラクショ
    ンドライブ用流体組成物。
  4. 【請求項4】 (B−1)の鉱油が水素化分解鉱油であ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載のトラクショ
    ンドライブ用流体組成物。
  5. 【請求項5】 (B−2)の合成油が数平均分子量20
    0〜500のα−オレフィンのオリゴマー又はその水素
    化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のト
    ラクションドライブ用流体組成物。
  6. 【請求項6】 (C)成分がポリメタクリレートである
    ことを特徴とする請求項2に記載のトラクションドライ
    ブ用流体組成物。
  7. 【請求項7】 (B)成分が(C)成分の希釈油である
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記
    載のトラクションドライブ用流体組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5、6又は7に
    記載のトラクションドライブ用流体組成物が、更に下記
    の(D)、(E)および(F)の中から選ばれる1種又
    は2種以上の添加剤を含有することを特徴とするトラク
    ションドライブ用流体組成物。 (D)無灰分散剤及びリン系添加剤 (E)摩擦調整剤 (F)金属系清浄剤
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