JP2002194371A - 粘度指数向上剤および潤滑油組成物 - Google Patents

粘度指数向上剤および潤滑油組成物

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JP2002194371A
JP2002194371A JP2000393370A JP2000393370A JP2002194371A JP 2002194371 A JP2002194371 A JP 2002194371A JP 2000393370 A JP2000393370 A JP 2000393370A JP 2000393370 A JP2000393370 A JP 2000393370A JP 2002194371 A JP2002194371 A JP 2002194371A
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carbon atoms
alkyl
acid
traction drive
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Takeshi Yuki
剛 由岐
Yoshihisa Ota
義久 太田
Toru Matsuoka
徹 松岡
Tetsuo Okawa
哲夫 大川
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Sanyo Chemical Industries Ltd
Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
Sanyo Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶解度パラメータが8.2〜10.0のトラ
クションドライブ用流体に対し、低温粘度、剪断安定
性、酸化安定性に優れる粘度指数向上剤を提供する。 【解決手段】 溶解度パラメータが8.8〜9.5、H
LB値が1.0〜6.0、重量平均分子量が5,000
〜500,000、示差走査熱量計により測定した結晶
化開始温度が−10℃以下である重合体(A)からなる
トラクションドライブ流体用粘度指数向上剤であって、
該(A)が、構成単位として、下記一般式(I)で示さ
れる単量体(a)を1〜40質量%、及び、アルキル
(メタ)アクリレート(b)を60〜99質量%含有し
てなるものであるトラクションドライブ流体用粘度指数
向上剤。 【化1】 〔Rは脂環式又は複素環式アルコールの残基を表し、
は水素原子又はメチル基を表し、Xは炭素数2〜4
のアルキレン基を表し、nは0又は1〜10を表す。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トラクションドラ
イブ流体用粘度指数向上剤及び潤滑油組成物に関する。
詳しくは、溶解度パラメータが8.2〜10.0のトラ
クションドライブ用流体に対し、低温粘度、剪断安定
性、酸化安定性に優れる粘度指数向上剤及び潤滑油組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、産業用機械の分野では、油膜
を介して動力を伝達するトラクションドライブ式動力伝
達装置にトラクションドライブ用流体が使用されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これを自動車用の無段
変速機に使用する場合、トラクションドライブ用流体に
は、動力伝達能力を示すトラクション係数が高いことお
よび低温粘度、剪断安定性、酸化安定性も要求される。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、トラクションドライブ用流体に使用したと
き、低温粘度、剪断安定性、酸化安定性に優れる粘度指
数向上剤を見出し本発明に至った。すなわち、本発明
は、溶解度パラメータが8.8〜9.5、HLB値が
1.0〜6.0、重量平均分子量が5,000〜50
0,000、示差走査熱量計により測定した結晶化開始
温度が−10℃以下である重合体(A)からなるトラク
ションドライブ流体用粘度指数向上剤であって、前記重
合体(A)が、構成単位として、下記一般式(I)で示
される単量体(a)を1〜40質量%、及び、アルキル
(メタ)アクリレート(b)を60〜99質量%含有し
てなるものであるトラクションドライブ流体用粘度指数
向上剤である。
【0005】
【化2】
【0006】〔Rは脂環式又は複素環式アルコールの
残基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは
炭素数2〜4のアルキレン基を表し、nは0又は1〜1
0を表す。〕 また、本発明は、溶解度パラメータが8.2〜10.0
のトラクションドライブ用流体及び上記粘度指数向上剤
からなる潤滑油組成物であって、前記粘度指数向上剤の
量が前記トラクションドライブ用流体に対して0.05
〜30質量%である潤滑油組成物でもある。以下に本発
明を詳細に説明する。
【0007】本発明の粘度指数向上剤は、重合体(A)
を含有するものである。本発明における重合体(A)の
溶解度パラメータは8.8〜9.5であり、基油への溶
解性の観点から、好ましくは、8.9〜9.4、特に好
ましくは9.0〜9.3である。尚、本発明の溶解度パ
ラメーターは、Fedors法[Poym.Eng.S
ci.14(2)152,(1974)]によって算出
される値である。溶解度パラメータが8.8未満では、
溶解性と粘度指数に乏しく、9.5を超えると溶解性、
耐水抱き込み性に乏しくなる。
【0008】重合体(A)のHLB値は1.0〜6.0
であり、抗乳化性の観点から、好ましくは1.5〜6.
0、特に好ましくは2.0〜5.5である。尚、本HL
B値は無機性と有機性との比率から計算される方法(小
田法)のHLB(「新・界面活性剤入門」三洋化成工業
株式会社発行P197)によって算出される値である。
HLB値が1.0未満では、粘度指数に乏しくなり、
6.0を超えると抗乳化性に乏しくなる。
【0009】重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は
5,000〜500,000であり、増粘効果、せん断
安定性の観点から、好ましくは10,000〜300,
000、特に好ましくは20,000〜100,000
である。尚、本分子量は、ゲルパーミュエーションクロ
マトグラフィーによるポリスチレンに換算した分子量で
ある。Mwが5,000未満では、増粘性に乏しくな
り、500,000を超えると剪断安定性が悪化する。
【0010】重合体(A)の示差走査熱量計による結晶
化開始温度は−10℃以下であり、低温特性の観点か
ら、好ましくは−20℃以下であり、特に好ましくは−
30℃以下である。尚、本発明の示差走査熱量計による
結晶化開始温度は、PERKIN−ELMER社製UN
IXDSC7を使用し、重合体5mgを試料とし、10
℃/分の等温速度で140℃から−80℃まで冷却した
ときに観測される結晶化温度である。結晶化開始温度が
−10℃を超えると低温流動性が悪化する。
【0011】重合体(A)は、構成単位として、上記一
般式(I)で示される単量体(a)を1〜40質量%含
有してなる重合体である。この単位が、重合体中に占め
る割合は、好ましくは3〜35質量%、さらに好ましく
は5〜30質量%である。1質量%未満では酸化安定性
に対する効果に乏しく、40質量%を超えると低温粘度
が悪化する。
【0012】一般式(I)において、Rは脂環式又は
複素環式アルコールの残基(OH基を除いたもの)を示
す。なかでも炭素数3〜12のものが好ましい。脂環式
アルコールの残基としては、シクロペンチル基、シクロ
ヘキシル基、イソボロニル基、アダマンチル基及びt−
ブチルシクロヘキシル基などが挙げられる。複素環式ア
ルコールの残基としては、テトラヒドロフルフリル基及
びテトラヒドロチエニル基などが挙げられる。これらの
うち、好ましくはシクロヘキシル基、イソボロニル基及
びテトラヒドロフルフリル基である。
【0013】Rは水素原子又はメチル基であり、好ま
しくはメチル基である。Xは炭素数2〜4のアルキレン
基であり、エチレン基、プロピレン基及びブチレン基が
挙げられる。これらのうち、好ましくは炭素数2〜3の
アルキレン基である。nは通常0または1〜10の整数
であり、好ましくは0または1〜5、さらに好ましくは
1〜3である。
【0014】重合体(A)は構成単位として、アルキル
(メタ)アクリレート(b)を60〜99質量%含有し
てなる重合体である。この単位が、重合体中に占める割
合は、好ましくは65〜97質量%、さらに好ましくは
70〜95質量%である。アルキル(メタ)アクリレー
ト(b)としては炭素数1〜30のアルキル基(脂環式
もしくは複素環式アルコールの残基は除く)を有するア
ルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル基
としては直鎖状又は分枝状のものが好ましい。
【0015】具体例としては、メチル(メタ)アクリレ
ート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)
アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル
(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)
アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル
(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレー
ト、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル
(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレ
ート、イコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メ
タ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレー
ト、オクタコシル(メタ)アクリレート及びトリアコン
チル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの
うち好ましくは炭素数1〜22のアルキル基を有するア
ルキル(メタ)アクリレートである。
【0016】本発明の粘度指数向上剤は重合体(A)に
加えて、さらに下記(B)及び/又は下記(C)を50
質量%を超えない量含有することが好ましい。 (B); 溶解度パラメータが8.8〜9.5、HLB
値が1.0〜6.0、重量平均分子量が5,000〜5
00,000、示差走査熱量計により測定した結晶化開
始温度が−10℃以下であるポリアルキル(メタ)アク
リレート (C); 重量平均分子量が1,000〜200,0
00であるエチレン−αオレフィン共重合体
【0017】(B)のポリアルキル(メタ)アクリレー
トを構成する単量体としては、炭素数1〜30のアルキ
ル基(脂環式もしくは複素環式アルコールの残基は除
く)を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ
る。アルキル基としては直鎖状又は分枝状のものが好ま
しい。
【0018】具体例としては、メチル(メタ)アクリレ
ート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)
アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル
(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)
アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アク
リレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシ
ル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリ
レート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イコシル
(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレー
ト、テトラコシル(メタ)アクリレート、オクタコシル
(メタ)アクリレート及びトリアコンチル(メタ)アク
リレートなどが挙げられる。これらのうち好ましくは炭
素数1〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)ア
クリレートである。これらは単独でも共重合体でもよ
い。
【0019】(B)には構成単位として、通常10質量
%以下の範囲で、好ましくは5質量%以下の範囲で必要
に応じて窒素原子及び硫黄原子から選ばれる1種以上の
原子を有する単量体を1種以上含有してもよい。この場
合には、粘度指数向上剤に清浄分散性や抗酸化性などを
付与でき好ましい。この例としては、N−ビニルピロリ
ドン、N−ビニルチオピロリドン、ビニルピリジン、
N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレー
ト(アルキル基の炭素数は通常1〜4)、N,N−ジア
ルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキ
ル基の炭素数は、通常1〜4)、ビニルイミダゾール、
モルフォリノアルキレン(メタ)アクリレート等や、ア
ミノフェノチアジン、N−アリールフェニレンジアミ
ン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノイ
ンドール、アミノピロール、アミノイミダゾリン、アミ
ノメルカプトチアゾール、アミノピペリジン残基を有す
る(メタ)アクリレート誘導体などが挙げられる。
【0020】これらのうち好ましいものは、N−ビニル
ピロリドン、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メ
タ)アクリレート(アルキル基の炭素数は通常1〜
4)、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アク
リルアミド(アルキル基の炭素数は、通常1〜4)およ
びN−アリールフェニレンジアミン残基を有する(メ
タ)アクリレート誘導体である。
【0021】(B)の溶解度パラメータは溶解性の観点
から通常8.8〜9.5、好ましくは8.9〜9.3、
さらに好ましくは8.9〜9.2である。(B)のHL
B値は抗乳化性の観点から、通常1.0〜6.0であ
り、好ましくは1.5〜6.0、特に好ましくは2.0
〜5.5である。(B)の重量平均分子量は通常5,0
00〜500,000であり、増粘効果、せん断安定性
の観点から、好ましくは10,000〜300,00
0、特に好ましくは20,000〜100,000であ
る。(B)の示差走査熱量計による結晶化開始温度は低
温特性の観点から通常−10℃以下であり、好ましくは
−20℃以下であり、特に好ましくは−30℃以下であ
る。
【0022】(C)はエチレン−αオレフィンの共重合
体であるが、αオレフィンとしては炭素数3〜6の直鎖
または分岐のαオレフィンが挙げられ、例えばプロピレ
ン、1−ブテン、n−、iso−1−ペンテン、n−、
iso−1−ヘキセンが挙げられる。好ましくは、プロ
ピレン、1−ブテンである。さらに好ましくはプロピレ
ンである。重合体(C)のエチレン−αオレフィンの共
重合比は通常(エチレン):(αオレフィン)=(30
〜80):(70〜20)、好ましくは(エチレン):
(αオレフィン)=(50〜80):(50〜20)で
ある。(C)の重量平均分子量は通常1,000〜20
0,000であり、増粘効果、せん断安定性の観点か
ら、好ましくは2,000〜150,000、特に好ま
しくは5,000〜130,000である。
【0023】本発明の粘度指数向上剤はトラクションド
ライブ用流体に通常0.05〜30質量%添加され、好
ましくは0.5〜25質量%、より好ましくは1〜20
質量%である。この範囲内では低温粘度と高温粘度のバ
ランスが良い。
【0024】本発明の粘度指数向上剤を添加するトラク
ションドライブ用流体は一般にナフテン環含有化合物か
らなり特に限定されるものではないが、溶解度パラメー
タは8.2〜10.0であり、好ましくは8.2〜9.
7、さらに好ましくは8.2〜9.4である。本発明の
粘度指数向上剤との溶解性からこの範囲内が好ましい。
トラクションドライブ用流体の例としては、単環含有化
合物、縮合環化合物(例えばノルボルネンの2量体エチ
ル化物)が挙げられる。好ましくは、単環含有化合物で
あり、下記一般式(II)〜(X)に示される化合物等
が挙げられる。
【0025】
【化3】
【0026】式(II)中、R〜Rのうち、R
炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも良
い)、好ましくは1〜4のアルキル基、さらに好ましく
はメチル基である。R、R、R、R、R、R
、Rはそれぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜8の
アルキル基(ナフテン環を含んでも良い)、好ましくは
水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、さらに好まし
くは水素原子又はメチル基である。
【0027】一般式(II)で表されるナフテン環含有
炭化水素の中でトラクション係数が特に高いという点で
好ましいものとしては、下記一般式(III)で表され
る化合物等が挙げられる。
【0028】
【化4】
【0029】式(III)中、R〜Rのうち、R
が炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも良
い)、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、さらに好
ましくはメチル基である。R、R、R、R、R
、R及びRはそれぞれ個別に水素原子又は炭素数
1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも良い)、好
ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、さら
に好ましくは水素原子又はメチル基であり、かつ、
、R、R及びRから任意に選ばれる少なくと
も1つ、好ましくは少なくとも2つ以上、さらに好まし
くは少なくともR及びRが炭素数1〜8のアルキル
基(ナフテン環を含んでも良い)、好ましくは炭素数1
〜4のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0030】また、一般式(II)で表されるナフテン
環含有炭化水素の中で低温粘度特性に特に優れるという
点で好ましいものとしては、下記一般式(IV)で表さ
れる化合物等が挙げられる。
【0031】
【化5】
【0032】式(IV)中、R〜Rのうち、R
炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも良
い)、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、さらに好
ましくはメチル基である。R、R、R、R、R
、R及びRはそれぞれ個別に水素原子又は炭素数
1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも良い)、好
ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、さら
に好ましくは水素原子又はメチル基であり、かつ、
、R、R、R、R及びRから任意に選ば
れる少なくとも1つが、炭素数1〜8のアルキル基(ナ
フテン環を含んでも良い)、好ましくは炭素数1〜4の
アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。さら
に、一般式(IV)で表されるナフテン環含有炭化水素
の中でも、優れた低温粘度特性を有し、かつ、高いトラ
クション係数を示すという点で、R〜Rのうち、R
が炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも
良い)、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、さらに
好ましくはメチル基であり、R、R 、R、R
及びRがそれぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜
8のアルキル基(ナフテン環を含んでも良い)、好まし
くは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、さらに好
ましくは水素原子又はメチル基であり、かつ、R、R
、R及びRから任意に選ばれる少なくとも1つが
炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも良
い)、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、さらに好
ましくはメチル基であることがより好ましい。
【0033】式(II)、(III)及び(IV)にお
いてR〜Rを示すアルキル基としては、具体的に
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、
直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘプチル
基、直鎖又は分枝のオクチル基、シクロペンチルメチル
基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルプロピル
基、メチルシクロペンチルメチル基、エチルシクロペン
チルメチル基、ジメチルシクロペンチルメチル基、メチ
ルシクロペンチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、
シクロヘキシルエチル基、メチルシクロヘキシルメチル
基、シクロヘプチルメチル基などが挙げられ、これらの
中でも炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、特にメチ
ル基が好ましい。炭素数が9以上の場合は流体の低温粘
度が悪化するので、好ましくない。
【0034】ナフテン環含有炭化水素としては、より具
体的には例えば、以下の化合物等が挙げられる。なお、
化合物中、Aは下記の如きメチルメチレン基又はジメチ
ルメチレン基を示す。
【0035】
【化6】
【0036】(1)シクロヘキサン環に付加しているア
ルキル基の数:0個
【0037】
【化7】
【0038】(2)シクロヘキサン環に付加しているア
ルキル基の数:1個
【0039】
【化8】
【0040】(3)シクロヘキサン環に付加しているア
ルキル基の数:2個
【0041】
【化9】
【0042】
【化10】
【0043】(4)シクロヘキサン環に付加しているア
ルキル基の数:3個
【0044】
【化11】
【0045】
【化12】
【0046】(5)シクロヘキサン環に付加しているア
ルキル基の数:4個
【0047】
【化13】
【0048】
【化14】
【0049】トラクション係数が特に高いという点で、
これら化合物のうちでも、好ましいものは、(2−
1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)、(3−1
1)、(3−12)、(3−13)、(4−6)、(4
−7)、(4−8)、(4−10)、(4−11)、
(4−12)、(4−14)、(4−15)、(4−1
6)、(4−17)、(4−21)、(5−10)、
(5−11)、(5−14)、(5−15)、(5−1
7)及び(5−18)で表される化合物である。より好
ましいものは、(3−10)、(4−2)、(4−
3)、(4−4)、(5−5)及び(5−6)で表され
る化合物である。より一層好ましいものは、(3−
1)、(4−5)、(4−9)、(4−13)、(5−
7)、(5−8)、(5−9)、(5−12)、(5−
13)及び(5−16)で表される化合物である。さら
により一層好ましいものは、(4−1)、(5−2)、
(5−3)及び(5−4)で表される化合物である。最
も好ましいものは(5−1)で表される化合物である。
【0050】
【化15】
【0051】式(V)中、R〜R12は、それぞれ個
別に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン
環を含んでも良い)、好ましくは水素原子又は炭素数1
〜4のアルキル基、さらに好ましくはメチル基であり、
かつ、R、R及びRから任意に選ばれる少なくと
も2つ以上が炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を
含んでも良い)、好ましくは1〜4のアルキル基、さら
に好ましくはメチル基である。
【0052】一般式(V)で表されるナフテン環含有炭
化水素の中で好ましいものとしては、下記一般式(V
I)で表される化合物等が挙げられる。
【0053】
【化16】
【0054】式(VI)中、R〜R12は、それぞれ
個別に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテ
ン環を含んでも良い)、好ましくは水素原子又は炭素数
1〜4のアルキル基、さらに好ましくは水素原子又はメ
チル基であり、かつ、R、R 及びRから任意に選
ばれる少なくとも2つ以上が炭素数1〜8のアルキル基
(ナフテン環を含んでも良い)、好ましくは炭素数1〜
4のアルキル基、さらに好ましくはメチル基であり、R
、R、R10及びR12から任意に選ばれる少なく
とも1つ、好ましくは少なくとも2つ以上、さらに好ま
しくは少なくともR及びR10が炭素数1〜8のアル
キル基(ナフテン環を含んでも良い)、好ましくは炭素
数1〜4のアルキル基、さらに好ましくはメチル基であ
る。
【0055】式(V)及び(VI)においてR〜R
12を示すアルキル基としては、具体的には、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert
−ブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、直鎖又は分枝
のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘプチル基、直鎖又は分
枝のオクチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペン
チルエチル基、シクロペンチルプロピル基、メチルシク
ロペンチルメチル基、エチルシクロペンチルメチル基、
ジメチルシクロペンチルメチル基、メチルシクロペンチ
ルエチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシル
エチル基、メチルシクロヘキシルメチル基、シクロヘプ
チルメチル基などが挙げられ、これらの中でも炭素数1
〜4のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好まし
い。炭素数が9以上の場合は流体の低温粘度が悪化する
ので、好ましくない。
【0056】式(V)で表されるナフテン環含有炭化水
素として、具体的には、上記に示した化学式(1−1)
〜(5−21)のAが
【0057】
【化17】
【0058】である化合物等が挙げられる。トラクショ
ン係数が特に高いという点で、これら化合物のうちで
も、好ましいものは、(2−1)、(3−2)、(3−
3)、(3−4)、(3−11)、(3−12)、(3
−13)、(4−6)、(4−7)、(4−8)、(4
−10)、(4−11)、(4−12)、(4−1
4)、(4−15)、(4−16)、(4−17)、
(4−21)、(5−10)、(5−11)、(5−1
4)、(5−15)、(5−17)及び(5−18)で
表される化合物である。より好ましいものは、(1−
1)、(3−10)、(4−2)、(4−3)、(4−
4)、(5−5)及び(5−6)で表される化合物であ
る。より一層好ましいものは、(3−1)、(4−
5)、(4−9)、(4−13)、(5−7)、(5−
8)、(5−9)、(5−12)、(5−13)及び
(5−16)で表される化合物である。さらにより一層
好ましいものは、(4−1)、(5−2)、(5−3)
及び(5−4)で表される化合物である。最も好ましい
ものは(5−1)で表される化合物である。
【0059】
【化18】
【0060】式(VII)中、R、R、R
、R及びRは、それぞれ個別に水素原子又は炭
素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも良
い)、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル
基、さらに好ましくは水素原子又はメチル基である。一
般式(VII)で表されるナフテン環含有エステルの中
で好ましいものとしては、下記一般式(VIII)で表
される化合物等が挙げられる。
【0061】
【化19】
【0062】式(VIII)中、R〜Rは、それぞ
れ個別に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフ
テン環を含んでも良い)、好ましくは水素原子又は炭素
数1〜4のアルキル基、さらに好ましくは水素原子又は
メチル基であり、かつ、R、R、R及びRから
任意に選ばれる少なくとも1つ、好ましくは少なくとも
2つ以上、さらに好ましくは少なくともR及びR
炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも良
い)、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、さらに好
ましくはメチル基である。
【0063】式(VII)及び(VIII)においてR
〜Rを示すアルキル基としては、具体的には、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ter
t−ブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、直鎖又は分
枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘプチル基、直鎖又は
分枝のオクチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペ
ンチルエチル基、シクロペンチルプロピル基、メチルシ
クロペンチルメチル基、エチルシクロペンチルメチル
基、ジメチルシクロペンチルメチル基、メチルシクロペ
ンチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキ
シルエチル基、メチルシクロヘキシルメチル基、シクロ
ヘプチルメチル基などが挙げられ、これらの中でも炭素
数1〜4のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ま
しい。炭素数が9以上の場合は流体の低温粘度が悪化す
るので、好ましくない。
【0064】式(VII)で表されるナフテン環含有エ
ステルとして、具体的には、上記化学式(1−1)〜
(5−21)のAの構造が
【0065】
【化20】
【0066】である化合物等が挙げられる。トラクショ
ン係数が特に高いという点で、これら化合物のうちで
も、好ましいものは、(2−1)、(3−2)、(3−
3)、(3−4)、(3−11)、(3−12)、(3
−13)、(4−6)、(4−7)、(4−8)、(4
−10)、(4−11)、(4−12)、(4−1
4)、(4−15)、(4−16)、(4−17)、
(4−21)、(5−10)、(5−11)、(5−1
4)、(5−15)、(5−17)及び(5−18)で
表される化合物である。より好ましいものは、(3−1
0)、(4−2)、(4−3)、(4−4)、(5−
5)及び(5−6)で表される化合物である。より一層
好ましいものは、(3−1)、(4−5)、(4−
9)、(4−13)、(5−7)、(5−8)、(5−
9)、(5−12)、(5−13)及び(5−16)で
表される化合物である。さらにより一層好ましいもの
は、(4−1)、(5−2)、(5−3)及び(5−
4)で表される化合物である。最も好ましいものは(5
−1)で表される化合物である。
【0067】
【化21】
【0068】式(IX)中、R、R、R、R
及びRは、それぞれ個別に水素原子又は炭素数1
〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも良い)、好ま
しくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、さらに
好ましくは水素原子又はメチル基である。一般式(I
X)で表されるナフテン環含有カーボネートの中で好ま
しいものとしては、下記一般式(X)で表される化合物
等が挙げられる。
【0069】
【化22】
【0070】式(X)中、R〜Rは、それぞれ個別
に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環
を含んでも良い)、好ましくは水素原子又は炭素数1〜
4のアルキル基、さらに好ましくは水素原子又はメチル
基であり、かつ、R、R、R及びRから任意に
選ばれる少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ以
上、さらに好ましくは少なくともR及びRが炭素数
1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも良い)、好
ましくは炭素数1〜4のアルキル基、さらに好ましくは
メチル基である。
【0071】式(IX)及び(X)においてR〜R
を示すアルキル基としては、具体的には、メチル基、エ
チル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル
基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチ
ル基、直鎖又は分枝のペンチル基、直鎖又は分枝のヘキ
シル基、直鎖又は分枝のヘプチル基、直鎖又は分枝のオ
クチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエ
チル基、シクロペンチルプロピル基、メチルシクロペン
チルメチル基、エチルシクロペンチルメチル基、ジメチ
ルシクロペンチルメチル基、メチルシクロペンチルエチ
ル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル
基、メチルシクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメ
チル基などが挙げられ、これらの中でも炭素数1〜4の
アルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。炭素
数が9以上の場合は流体の低温粘度が悪化するので、好
ましくない。一般式(IX)で表されるナフテン環含有
カーボネートとして、具体的には、上記化学式(1−
1)〜(5−21)のAの構造が
【0072】
【化23】
【0073】である化合物等が挙げられる。トラクショ
ン係数が特に高いという点で、これら化合物のうちで
も、好ましいものは、(2−1)、(3−2)、(3−
3)、(3−4)、(3−11)、(3−12)、(3
−13)、(4−6)、(4−7)、(4−8)、(4
−10)、(4−11)、(4−12)、(4−1
4)、(4−15)、(4−16)、(4−17)、
(4−21)、(5−10)、(5−11)、(5−1
4)、(5−15)、(5−17)及び(5−18)で
表される化合物である。より好ましいものは、(3−1
0)、(4−2)、(4−3)、(4−4)、(5−
5)及び(5−6)で表される化合物である。より一層
好ましいものは、(3−1)、(4−5)、(4−
9)、(4−13)、(5−7)、(5−8)、(5−
9)、(5−12)、(5−13)及び(5−16)で
表される化合物である。さらにより一層好ましいもの
は、(4−1)、(5−2)、(5−3)及び(5−
4)で表される化合物である。最も好ましいものは(5
−1)で表される化合物である。尚、トラクションドラ
イブ用流体として、これらの化合物のうち一種またはそ
れ以上の組み合わせで用いても良い。
【0074】本発明のトラクションドライブ用流体は、
前記ナフテン環含有化合物と、鉱油及び分子量が150
〜800、好ましくは150〜500の合成油の中から
選ばれる少なくとも1つとからなることが好ましい。
【0075】本発明において、鉱油としては、具体的に
は例えば、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤
滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤
脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理
等の精製処理などを適宜組み合わせて精製したパラフィ
ン系、ナフテン系などの油やノルマルパラフィンなどが
使用できる。なお、鉱油を用いる場合の鉱油の動粘度
は、特に限定されず任意であるが、100℃における動
粘度が、通常、1〜10mm/s、好ましくは2〜8
mm/sであるものを用いるのが望ましい。
【0076】本発明において、合成油としては、分子量
が150〜800であることが必要であり、好ましくは
150〜500である。分子量が150未満の場合は蒸
発損失が大きくなり、一方、800を超える場合は低温
流動性が悪化するので、好ましくない。合成油として
は、特に制限はないが、ポリ−α−オレフィン(1−オ
クテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−
プロピレンオリゴマーなど)及びその水素化物、イソブ
テンオリゴマー及びその水素化物、イソパラフィン、ア
ルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(ジ
トリデシルグルタレート、ジ2−エチルヘキシルアジペ
ート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペー
ト、ジ2−エチルヘキシルセバケートなど)、ポリオー
ルエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、ト
リメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリ
トール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトー
ルペラルゴネートなど)、ポリオキシアルキレングリコ
ール、ジアルキルジフェニルエーテル、並びにポリフェ
ニルエーテルなどが使用できる。また、合成油の中で
も、イソブテンオリゴマーが好ましい合成油といえる。
【0077】また、本発明のトラクションドライブ用流
体には、(D)無灰分散剤及び(E)リン系添加剤を含
有するのが好ましい。これら(D)無灰分散剤及び
(E)リン系添加剤の配合により、トラクションドライ
ブ用流体に対して油圧制御機構に必要な耐摩耗性、酸化
安定性並びに清浄性を付加することができる。本発明に
おいて(D)成分としては、例えば炭素数40〜400
のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1
個有する含窒素化合物又はその誘導体、あるいはアルケ
ニルコハク酸イミドの変性品等が挙げられ、これらの中
から任意に選ばれる1種類あるいは2種類以上を配合す
ることができる。
【0078】このアルキル基又はアルケニル基として
は、直鎖状でも分枝状でもよいが、好ましいものとして
は、具体的には、プロピレン、1−ブテン、イソブチレ
ン等のオレフィンのオリゴマーやエチレンとプロピレン
のコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基や分枝
状アルケニル基等が挙げられる。このアルキル基又はア
ルケニル基の炭素数は40〜400、好ましくは60〜
350である。アルキル基又はアルケニル基の炭素数が
40未満の場合は化合物の潤滑油基油に対する溶解性が
低下し、一方、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が
400を超える場合は、トラクションドライブ用流体の
低温流動性が悪化するため、それぞれ好ましくない。
【0079】(D)成分の1例として挙げた含窒素化合
物の窒素含有量は任意であるが、耐摩耗性、酸化安定性
及び摩擦特性等の点から、通常、その窒素含有量が0.
01〜10質量%、好ましくは0.1〜10質量%のも
のが望ましく用いられる。(D)成分の具体的として
は、例えば、 (D−1)炭素数40〜400のアルキル基又はアルケ
ニル基を分子中に少なくとも1個有するコハク酸イミ
ド、あるいはその誘導体 (D−2)炭素数40〜400のアルキル基又はアルケ
ニル基を分子中に少なくとも1個有するベンジルアミ
ン、あるいはその誘導体 (D−3)炭素数40〜400のアルキル基又はアルケ
ニル基を分子中に少なくとも1個有するポリアミン、あ
るいはその誘導体 の中から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が挙げら
れる。上記の(D−1)コハク酸イミドとしては、より
具体的には、下記の式(XI)又は(XII)で示され
る化合物等が例示できる。
【0080】
【化24】
【0081】上記(XI)式中、R13は炭素数40〜
400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアル
ケニル基を示し、bは1〜5、好ましくは2〜4の整数
を示している。
【0082】
【化25】
【0083】上記(XII)式中、R14及びR
15は、それぞれ個別に、炭素数40〜400、好まし
くは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示
し、cは0〜4、好ましくは1〜3の整数を示してい
る。
【0084】なお、コハク酸イミドとは、イミド化に際
しては、ポリアミンの一端に無水コハク酸が付加した、
式(XI)のようないわゆるモノタイプのコハク酸イミ
ドと、ポリアミンの両端に無水コハク酸が付加した、式
(XII)のようないわゆるビスタイプのコハク酸イミ
ドがあるが、(D−1)成分としては、そのいずれで
も、またこれらの混合物でも使用可能である。上記の
(D−2)ベンジルアミンとしては、より具体的には、
下記の式(XIII)で表される化合物等が例示でき
る。
【0085】
【化26】
【0086】上記(XIII)式中、R16は、炭素数
40〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又
はアルケニル基を示し、dは1〜5、好ましくは2〜4
の整数を示している。このベンジルアミンの製造方法は
何ら限定されるものではないが、例えば、プロピレンオ
リゴマー、ポリブテン、エチレン−α−オレフィン共重
合体等のポリオレフィンをフェノールと反応させてアル
キルフェノールとした後、これにホルムアルデヒドとジ
エチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラ
エチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポ
リアミンをマンニッヒ反応により反応させることにより
得ることができる。上記の(D−3)ポリアミンとして
は、より具体的には、下記の式(XIV)で表される化
合物等が例示できる。
【0087】
【化27】
【0088】上記(XIV)式中、R17は、炭素数4
0〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又は
アルケニル基を示し、eは1〜5、好ましくは2〜4の
整数を示している。
【0089】このポリアミンの製造法は何ら限定される
物ではないが、例えば、プロピレンオリゴマー、ポリブ
テン、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレ
フィンを塩素化した後、これにアンモニアやエチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサ
ミン等のポリアミンを反応させることにより得ることが
できる。
【0090】また、(D)成分の1例として挙げた含窒
素化合物の誘導体としては、具体的には例えば、前述し
たような含窒素化合物に炭素数2〜30のモノカルボン
酸(脂肪酸等)やシュウ酸、フタル酸、トリメリット
酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン
酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基
の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆる
酸変性化合物;前述したような含窒素化合物にホウ酸を
作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一
部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆるホウ
素変性化合物;前述したような含窒素化合物に硫黄化合
物を作用させた硫黄変性化合物;及び前述したような含
窒素化合物に酸変性、ホウ素変性、硫黄変性から選ばれ
た2種以上の変性を組み合わせた変性化合物;等が挙げ
られる。
【0091】本発明のトラクションドライブ用流体にお
いて(D)成分を含有させる場合、その含有量は特に限
定されないが、通常、トラクションドライブ用流体全量
基準で、0.01〜10.0質量%であるのが好まし
く、0.1〜7.0質量%であるのがより好ましい。
(D)成分の含有量が0.01質量%未満の場合は、清
浄性に対する効果がなくなる。一方、10.0質量%を
超える場合は、トラクションドライブ用流体の低温流動
性が大幅に悪化するため、それぞれ好ましくない。
【0092】本発明において(E)リン系添加剤として
は、アルキルジチオリン酸亜鉛、リン酸、亜リン酸、リ
ン酸モノエステル類、リン酸ジエステル類、リン酸トリ
エステル類、亜リン酸モノエステル類、亜リン酸ジエス
テル類、亜リン酸トリエステル類、(亜)リン酸エステ
ル類の塩、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0093】ここに挙げた(E)成分のうち、リン酸、
亜リン酸を除いたものは、通常、炭素数2〜30、好ま
しくは3〜20の炭化水素基を有する化合物である。こ
の炭素数2〜30の炭化水素基としては、具体的には、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、
ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシ
ル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オクタデシル基等のアルキル基(これらアルキル基
は直鎖状でも分枝状でもよい);ブテニル基、ペンテニ
ル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノ
ネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル
基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニ
ル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデ
セニル基等のアルケニル基(これらアルケニル基は直鎖
状でも分枝状でもよく、また二重結合の位置も任意であ
る);シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘ
プチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基;メチル
シクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチル
エチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、
メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、
メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシ
ル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチ
ル基、メチルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロ
ヘプチル基等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキ
ル基(アルキル基のシクロアルキル基への置換位置も任
意である);フェニル基、ナフチル基等のアリール基:
トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフ
ェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘ
キシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェ
ニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデ
シルフェニル基、ドデシルフェニル基等の炭素数7〜1
8の各アルキルアリール基(アルキル基は直鎖状でも分
枝状でもよく、またアリール基への置換位置も任意であ
る);ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピ
ル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニ
ルヘキシル基等の炭素数7〜12の各アリールアルキル
基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);
等が例示できる。
【0094】(E)成分として好ましい化合物として
は、具体的には、リン酸;亜リン酸;ジプロピルジチオ
リン酸亜鉛、ジブチルジチオリン酸亜鉛、ジペンチルジ
チオリン酸亜鉛、ジヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジヘプ
チルジチオリン酸亜鉛、ジオクチルジチオリン酸亜鉛等
のアルキルジチオリン酸亜鉛(アルキル基は直鎖状でも
分枝状でもよい);モノプロピルホスフェート、モノブ
チルホスフェート、モノペンチルホスフェート、モノヘ
キシルホスフェート、モノヘプチルホスフェート、モノ
オクチルホスフェート等のリン酸モノアルキルエステル
(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);モノフェ
ニルホスフェート、モノクレジルホスフェート等のリン
酸モノ(アルキル)アリールエステル;ジプロピルホス
フェート、ジブチルホスフェート、ジペンチルホスフェ
ート、ジヘキシルホスフェート、ジヘプチルホスフェー
ト、ジオクチルホスフェート等のリン酸ジアルキルエス
テル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);ジフ
ェニルホスフェート、ジクレジルホスフェート等のリン
酸ジ(アルキル)アリールエステル;トリプロピルホス
フェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホス
フェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホ
スフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸トリ
アルキルエステル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも
よい);トリフェニルホスフェート、トリクレジルホス
フェート等のリン酸トリ(アルキル)アリールエステ
ル;モノプロピルホスファイト、モノブチルホスファイ
ト、モノペンチルホスファイト、モノヘキシルホスファ
イト、モノヘプチルホスファイト、モノオクチルホスフ
ァイト等の亜リン酸モノアルキルエステル(アルキル基
は直鎖状でも分枝状でもよい);モノフェニルホスファ
イト、モノクレジルホスファイト等の亜リン酸モノ(ア
ルキル)アリールエステル;ジプロピルホスファイト、
ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘ
キシルホスファイト、ジヘプチルホスファイト、ジオク
チルホスファイト等の亜リン酸ジアルキルエステル(ア
ルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);ジフェニルホ
スファイト、ジクレジルホスファイト等の亜リン酸ジ
(アルキル)アリールエステル;トリプロピルホスファ
イト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファ
イト、トリヘキシルホスファイト、トリヘプチルホスフ
ァイト、トリオクチルホスファイト等の亜リン酸トリア
ルキルエステル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよ
い);トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスフ
ァイト等の亜リン酸トリ(アルキル)アリールエステ
ル;及びこれらの混合物等が例示できる。
【0095】また、上述した(亜)リン酸エステル類の
塩としては、具体的には、リン酸モノエステル、リン酸
ジエステル、亜リン酸モノエステル、亜リン酸ジエステ
ル等に、アンモニアや炭素数1〜8の炭化水素基又は水
酸基含有炭化水素基のみを分子中に有するアミン化合物
等の含窒素化合物を作用させて、残存する酸性水素の一
部又は全部を中和した塩等が例示できる。
【0096】この含窒素化合物としては、具体的には、
アンモニア;モノメチルアミン、モノエチルアミン、モ
ノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノペンチルア
ミン、モノヘキシルアミン、モノヘプチルアミン、モノ
オクチルアミン、ジメチルアミン、メチルエチルアミ
ン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプ
ロピルアミン、ジプロピルアミン、メチルブチルアミ
ン、エチルブチルアミン、プロピルブチルアミン、ジブ
チルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ
ヘプチルアミン、ジオクチルアミン等のアルキルアミン
(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);モノメタ
ノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノー
ルアミン、モノブタノールアミン、モノペンタノールア
ミン、モノヘキサノールアミン、モノヘプタノールアミ
ン、モノオクタノールアミン、モノノナノールアミン、
ジメタノールアミン、メタノールエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、メタノールプロパノールアミン、エ
タノールプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、
メタノールブタノールアミン、エタノールブタノールア
ミン、プロパノールブタノールアミン、ジブタノールア
ミン、ジペンタノールアミン、ジヘキサノールアミン、
ジヘプタノールアミン、ジオクタノールアミン等のアル
カノールアミン(アルカノール基は直鎖状でも分枝状で
もよい);及びこれらの混合物等が例示できる。
【0097】これら(E)成分は、1種類あるいは2種
類以上を任意に配合することができる。また(E)成分
として、後述する(F−2)炭素数6〜30のアルキル
基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有し、か
つ炭素数31以上の炭化水素基を分子中に有しないリン
化合物又はその誘導体に含まれる化合物を使用する場合
には、本発明のトラクションドライブ用流体に対して、
上述したような耐摩耗性だけでなく、さらに湿式クラッ
チにおける最適化された摩擦特性も同時に付与すること
が可能となる。
【0098】本発明のトラクションドライブ用流体にお
いて(E)成分を含有させる場合、その含有量は特に限
定されないが、通常、トラクションドライブ用流体全量
基準で、リン元素として0.005〜0.2質量%であ
るのが好ましい。リン元素として0.005質量%未満
の場合は、耐摩耗性に対して効果がなく、0.2質量%
を超える場合は、酸化安定性が悪化するため、それぞれ
好ましくない。
【0099】また、本発明のトラクションドライブ用流
体は、(F)摩擦調整剤を含有するのが好ましい。この
摩擦調整剤は、炭素数6〜30のアルキル基又はアルケ
ニル基を分子中に少なくとも1個有し、かつ炭素数31
以上の炭化水素基を分子中に有しないものであり、この
(F)摩擦調整剤の配合により、摩擦特性を最適化した
トラクションドライブ用流体が得られる。
【0100】(F)摩擦調整剤のアルキル基又はアルケ
ニル基としては、直鎖状でも分枝状でもよいが、炭素数
は6〜30、好ましくは9〜24の化合物が望ましい。
アルキル基又はアルケニル基の炭素数が6未満や30を
超える場合は、湿式クラッチの摩擦特性が悪化するた
め、それぞれ好ましくない。
【0101】このアルキル基又はアルケニル基として
は、具体的には、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、
トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキ
サデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデ
シル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、ト
リコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサ
コシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシ
ル基、トリアコンチル基等のアルキル基(これらアルキ
ル基は直鎖状でも分枝状でもよい);ヘキセニル基、ヘ
プテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、
ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テト
ラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、
ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル
基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、
トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル
基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセ
ニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基等のアル
ケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でも
よく、また二重結合の位置も任意である);等が例示で
きる。また摩擦調整剤として炭素数が31以上の炭化水
素基を有する場合は、湿式クラッチの摩擦特性が悪化す
るため好ましくない。
【0102】(F)成分としては、具体的には例えば、 (F−1)炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル
基を分子中に少なくとも1個有し、かつ炭素数31以上
の炭化水素基を分子中に有しないアミン化合物、又はそ
の誘導体 (F−2)炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル
基を分子中に少なくとも1個有し、かつ炭素数31以上
の炭化水素基を分子中に有しないリン化合物、又はその
誘導体 (F−3)炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル
基を分子中に少なくとも1個有し、かつ炭素数31以上
の炭化水素基を分子中に有しない脂肪酸のアミド又は金
属塩 の中から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が好まし
い化合物として挙げられる。
【0103】ここでいう(F−1)のアミン化合物とし
ては、より具体的には、下記の式(XV)で表される脂
肪族モノアミン又はそのアルキレンオキシド付加物、下
記の式(XVI)で表される脂肪族ポリアミン、一般式
(XVII)で表されるイミダゾリン化合物等が例示で
きる。
【0104】
【化28】
【0105】上記(XV)式中、R18は、炭素数6〜
30、好ましくは9〜24のアルキル基又はアルケニル
基を示し、R19及びR20は、それぞれ個別に、エチ
レン基又はプロピレン基を示し、R21及びR22は、
それぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素
基を示し、f及びgは、それぞれ個別に0〜10で、か
つf+g=0〜10であり、好ましくはそれぞれ個別に
0〜6で、かつf+g=0〜10である整数を示してい
る。
【0106】
【化29】
【0107】上記(XVI)式中、R23は炭素数6〜
30、好ましくは9〜24のアルキル基又はアルケニル
基を示し、R24はエチレン基又はプロピレン基を示
し、R 及びR26は、それぞれ個別に、水素原子又
は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、hは、1〜5、
好ましくは1〜4の整数を示している。
【0108】
【化30】
【0109】上記(XVII)式中、R27は、炭素数
6〜30、好ましくは9〜24のアルキル基又はアルケ
ニル基を示し、R28は、エチレン基又はプロピレン基
を示し、R29は、水素原子又は炭素数1〜30の炭化
水素基を示し、iは、0〜10、好ましくは0〜6の整
数を示している。
【0110】なお、R18、R23及びR27を示すア
ルキル基又はアルケニル基としては、直鎖状でも分枝状
でもよいが、その炭素数は6〜30、好ましくは9〜2
4が望ましい。アルキル基又はアルケニル基の炭素数が
6未満の場合や30を超える場合は湿式クラッチの摩擦
特性が悪化するため、それぞれ好ましくない。R18
23及びR27を示すアルキル基又はアルケニル基と
しては、具体的には例えば、前述したような各種のアル
キル基やアルケニル基等が挙げられるが、湿式クラッチ
の摩擦特性により優れる点から、ラウリル基、ミリスチ
ル基、パルミチル基、ステアリル基、イソステアリル
基、オレイル基等の炭素数12〜18のアルキル基又は
アルケニル基が特に好ましい。
【0111】また、R21、R22、R25、R26
びR29を示す基としては、具体的には、水素原子;メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、
デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、
テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘ
プタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシ
ル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テ
トラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプ
タコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコ
ンチル基等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状で
も分枝状でもよい);ブテニル基、ペンテニル基、ヘキ
セニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、
デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセ
ニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサ
デセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノ
ナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコ
セニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタ
コセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オ
クタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基
等のアルケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分
枝状でもよく、また二重結合の位置も任意である);シ
クロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基
等の炭素数5〜7のシクロアルキル基;メチルシクロペ
ンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシ
クロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシ
クロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエ
チルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メ
チルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メ
チルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル
基等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基(ア
ルキル基のシクロアルキル基への置換位置も任意であ
る);フェニル基、ナフチル基等のアリール基:トリル
基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル
基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシル
フェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル
基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシル
フェニル基、ドデシルフェニル基等の炭素数7〜18の
各アルキルアリール基(これらアルキル基は直鎖状でも
分枝状でもよく、またアリール基への置換位置も任意で
ある);ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロ
ピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェ
ニルヘキシル基等の炭素数7〜12の各アリールアルキ
ル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよ
い);等が例示できる。
【0112】上記式(XV)で表される脂肪族モノアミ
ン又はそのアルキレンオキシド付加物としては、湿式ク
ラッチの摩擦特性により優れる点から、式(XV)にお
いて、R21及びR22が、それぞれ個別に、水素原子
又は炭素数1〜6のアルキル基であり、かつf=g=0
である脂肪族モノアミンや、R21及びR22が水素原
子であり、かつf及びgが、それぞれ個別に、0〜6で
さらにf+g=1〜6となる整数である、脂肪族モノア
ミンのアルキレンオキシド付加物等がより好ましく用い
られる。
【0113】また、上記式(XVI)で表される脂肪族
ポリアミンとしては、湿式クラッチの摩擦特性により優
れる点から、式(XVI)において、R25及びR27
が、それぞれ個別に、水素原子又は炭素数1〜6のアル
キル基である脂肪族ポリアミン等がより好ましく用いら
れる。また、上記式(XVII)で表されるイミダゾリ
ン化合物としては、湿式クラッチの摩擦特性により優れ
る点から、式(XVII)においてR29が、水素原子
又は炭素数1〜6のアルキル基であるイミダゾリン化合
物等がより好ましく用いられる。
【0114】一方、(F−1)でいうアミン化合物の誘
導体としては、具体的には例えば、上記式(XV)〜
(XVII)のようなアミン化合物に炭素数2〜30の
モノカルボン酸(脂肪酸等)や、シュウ酸、フタル酸、
トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30の
ポリカルボン酸を作用させて、残存するアミノ基及び/
又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化し
た、いわゆる酸変性化合物;式(XV)〜(XVII)
のようなアミン化合物にホウ酸を作用させて、残存する
アミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和し
た、いわゆるホウ酸変性化合物;式(XV)〜(XVI
I)のようなアミン化合物に、その分子中に炭素数1〜
30の炭化水素基を1〜2個有し、炭素数31以上の炭
化水素基を含まず、かつ少なくとも1個の水酸基を有す
る酸性リン酸エステル又は酸性亜リン酸エステルを作用
させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又
は全部を中和した、リン酸エステル塩;式(XVI)又
は(XVII)のようなアミン化合物に、エチレンオキ
シドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを反
応させた、いわゆるアミン化合物のアルキレンオキシド
付加物;これらの中から選ばれる2種以上の変性を組み
合わせて得られるアミン化合物の変性物;等が挙げられ
る。
【0115】(F−1)のアミン化合物又はその誘導体
としては、具体的には、湿式クラッチの摩擦特性に優れ
る点から、ラウリルアミン、ラウリルジエチルアミン、
ラウリルジエタノールアミン、ドデシルジプロパノール
アミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ステア
リルテトラエチレンペンタミン、オレイルアミン、オレ
イルプロピレンジアミン、オレイルジエタノールアミ
ン、N−ヒドロキシエチルオレイルイミダゾリン等のア
ミン化合物;これらアミン化合物のアルキレンオキシド
付加物;これらアミン化合物と酸性リン酸エステル(例
えばジ2−エチルヘキシルリン酸エステル)、酸性亜リ
ン酸エステル(例えばジ2−エチルヘキシル亜リン酸エ
ステル)との塩;これらアミン化合物、アミン化合物の
アルキレンオキシド付加物又はアミン化合物の(亜)リ
ン酸エステル塩のホウ酸変性物;又はこれらの混合物等
が特に好ましく用いられる。
【0116】上記(F−2)のリン化合物としては、よ
り具体的には例えば、下記の式(XVIII)で表され
るリン酸エステル及び下記の式(XIX)で表される亜
リン酸エステル等が挙げられる。
【0117】
【化31】
【0118】上記(XVIII)式中、R30は、炭素
数6〜30、好ましくは9〜24のアルキル基又はアル
ケニル基を示し、R31及びR32は、それぞれ個別
に、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、
、F、F及びFは、それぞれ個別に、酸素原
子又は硫黄原子であり、かつ、F、F、F及びF
のうち少なくとも一つが酸素原子である基を示してい
る。
【0119】
【化32】
【0120】上記(XIX)式中、R33は、炭素数6
〜30、好ましくは9〜24のアルキル基又はアルケニ
ル基を示し、R34及びR35は、それぞれ個別に、水
素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、F
及びFは、それぞれ個別に、酸素原子又は硫黄原
子であり、かつ、F、F及びFのうち少なくとも
一つは酸素原子である基を示している。
【0121】なお、R30及びR33を示すアルキル基
又はアルケニル基としては、直鎖状でも分枝状でもよい
が、その炭素数は6〜30、好ましくは9〜24が望ま
しい。アルキル基又はアルケニル基の炭素数が6未満の
場合や30を超える場合は、湿式クラッチの摩擦特性が
悪化するため、それぞれ好ましくない。
【0122】このアルキル基又はアルケニル基として
は、具体的には例えば、前述したような各種のアルキル
基やアルケニル基等が挙げられるが、特に湿式クラッチ
の摩擦特性により優れる点から、ラウリル基、ミリスチ
ル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基等の炭
素数12〜18の直鎖アルキル基又はアルケニル基が特
に好ましい。
【0123】またR31、R32、R34及びR35
示す基としては、具体的には、それぞれ個別に、水素原
子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル
基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル
基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、
イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル
基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル
基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、
トリアコンチル基等のアルキル基(これらアルキル基は
直鎖状でも分枝状でもよい);ブテニル基、ペンテニル
基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネ
ニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、
トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル
基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセ
ニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニ
ル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル
基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセ
ニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコ
ンテニル基等のアルケニル基(これらアルケニル基は直
鎖状でも分枝状でもよく、また二重結合の位置も任意で
ある);シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロ
ヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基;メチ
ルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチ
ルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル
基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル
基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘ
キシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘ
プチル基、メチルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシ
クロヘプチル基等の炭素数6〜11のアルキルシクロア
ルキル基(これらアルキル基のシクロアルキル基への置
換位置も任意である);フェニル基、ナフチル基等のア
リール基:トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、
プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェ
ニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オ
クチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル
基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等の炭
素数7〜18の各アルキルアリール基(これらアルキル
基は直鎖状でも分枝状でもよく、またアリール基への置
換位置も任意である);ベンジル基、フェニルエチル
基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニル
ペンチル基、フェニルヘキシル基等の炭素数7〜12の
各アリールアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも
分枝状でもよい);等が例示できる。
【0124】(F−2)のリン化合物としては、湿式ク
ラッチの摩擦特性により優れる点から、上記式(XVI
II)において、R31及びR32の少なくとも1つが
水素原子である酸性リン酸エステルや、上記式(XI
X)において、R34及びR35の少なくとも1つが水
素原子である酸性亜リン酸エステルがより好ましく用い
られる。
【0125】また、(F−2)でいうリン化合物の誘導
体としては、具体的には、上記式(XVIII)におい
てR31及びR32の少なくとも1つが水素原子である
酸性リン酸エステルや、上記式(XIX)においてR
34及びR35の少なくとも1つが水素原子である酸性
亜リン酸エステルに、アンモニアや炭素数1〜8の炭化
水素基又は水酸基含有炭化水素基のみを分子中に有する
アミン化合物等の含窒素化合物を作用させて、残存する
酸性水素の一部又は全部を中和した塩等が例示できる。
【0126】この含窒素化合物としては、具体的には、
アンモニア;モノメチルアミン、モノエチルアミン、モ
ノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノペンチルア
ミン、モノヘキシルアミン、モノヘプチルアミン、モノ
オクチルアミン、ジメチルアミン、メチルエチルアミ
ン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプ
ロピルアミン、ジプロピルアミン、メチルブチルアミ
ン、エチルブチルアミン、プロピルブチルアミン、ジブ
チルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ
ヘプチルアミン、ジオクチルアミン等のアルキルアミン
(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);モノメタ
ノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノー
ルアミン、モノブタノールアミン、モノペンタノールア
ミン、モノヘキサノールアミン、モノヘプタノールアミ
ン、モノオクタノールアミン、モノノナノールアミン、
ジメタノールアミン、メタノールエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、メタノールプロパノールアミン、エ
タノールプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、
メタノールブタノールアミン、エタノールブタノールア
ミン、プロパノールブタノールアミン、ジブタノールア
ミン、ジペンタノールアミン、ジヘキサノールアミン、
ジヘプタノールアミン、ジオクタノールアミン等のアル
カノールアミン(アルカノール基は直鎖状でも分枝状で
もよい);及びこれらの混合物等が例示できる。
【0127】(F−2)のリン化合物又はその誘導体と
しては、具体的には、湿式クラッチの摩擦特性に優れる
点から、モノラウリルリン酸エステル、ジラウリルリン
酸エステル、モノステアリルリン酸エステル、ジステア
リルリン酸エステル、モノオレイルリン酸エステル、ジ
オレイルリン酸エステル、モノラウリル亜リン酸エステ
ル、ジラウリル亜リン酸エステル、モノステアリル亜リ
ン酸エステル、ジステアリル亜リン酸エステル、モノオ
レイル亜リン酸エステル、ジオレイル亜リン酸エステ
ル、モノラウリルチオリン酸エステル、ジラウリルチオ
リン酸エステル、モノステアリルチオリン酸エステル、
ジステアリルチオリン酸エステル、モノオレイルチオリ
ン酸エステル、ジオレイルチオリン酸エステル、モノラ
ウリルチオ亜リン酸エステル、ジラウリルチオ亜リン酸
エステル、モノステアリルチオ亜リン酸エステル、ジス
テアリルチオ亜リン酸エステル、モノオレイルチオ亜リ
ン酸エステル、ジオレイルチオ亜リン酸エステル、及び
これらリン酸エステル、亜リン酸エステル、チオリン酸
エステル、チオ亜リン酸エステルのアミン塩(モノ2−
エチルヘキシルアミン塩等)、及びこれらの混合物等が
特に好ましく用いられる。
【0128】上記(F−3)の脂肪酸アミド又は脂肪酸
金属塩における脂肪酸としては、直鎖脂肪酸でも分枝脂
肪酸でもよく、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよい
が、そのアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、6〜
30、好ましくは9〜24が望ましい。脂肪酸のアルキ
ル基又はアルケニル基の炭素数が6未満の場合や30を
超える場合は、湿式クラッチの摩擦特性が悪化するた
め、それぞれ好ましくない。
【0129】この脂肪酸としては、具体的には例えば、
ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデ
カン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、
ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オ
クタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、ヘンイコサ
ン酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、ペ
ンタコサン酸、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オク
タコサン酸、ノナコサン酸、トリアコンチル基等の飽和
脂肪酸(これら飽和脂肪酸は直鎖状でも分枝状でもよ
い);ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、
ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセ
ン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン
酸、オクタデセン酸、ノナデセン酸、イコセン酸、ヘン
イコセン酸、ドコセン酸、トリコセン酸、テトラコセン
酸、ペンタコセン酸、ヘキサコセン酸、ヘプタコセン
酸、オクタコセン酸、ノナコセン酸、トリアコンテン酸
等の不飽和脂肪酸(これら不飽和脂肪酸は直鎖状でも分
枝状でもよく、また二重結合の位置も任意である);等
が挙げられるが、特に湿式クラッチの摩擦特性により優
れる点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、オレイン酸、各種油脂から誘導され
る直鎖脂肪酸(ヤシ油脂肪酸等)の直鎖脂肪酸やオキソ
法等で合成される直鎖脂肪酸と分枝脂肪酸の混合物等が
好ましく用いられる。
【0130】(F−3)でいう脂肪酸アミドとしては、
具体的には例えば、上記脂肪酸やその酸塩化物をアンモ
ニアや炭素数1〜8の炭化水素基又は水酸基含有炭化水
素基のみを分子中に有するアミン化合物等の含窒素化合
物を反応させて得られるアミド等が挙げられる。
【0131】この含窒素化合物としては、具体的には、
アンモニア;モノメチルアミン、モノエチルアミン、モ
ノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノペンチルア
ミン、モノヘキシルアミン、モノヘプチルアミン、モノ
オクチルアミン、ジメチルアミン、メチルエチルアミ
ン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプ
ロピルアミン、ジプロピルアミン、メチルブチルアミ
ン、エチルブチルアミン、プロピルブチルアミン、ジブ
チルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ
ヘプチルアミン、ジオクチルアミン等のアルキルアミン
(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);モノメタ
ノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノー
ルアミン、モノブタノールアミン、モノペンタノールア
ミン、モノヘキサノールアミン、モノヘプタノールアミ
ン、モノオクタノールアミン、モノノナノールアミン、
ジメタノールアミン、メタノールエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、メタノールプロパノールアミン、エ
タノールプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、
メタノールブタノールアミン、エタノールブタノールア
ミン、プロパノールブタノールアミン、ジブタノールア
ミン、ジペンタノールアミン、ジヘキサノールアミン、
ジヘプタノールアミン、ジオクタノールアミン等のアル
カノールアミン(アルカノール基は直鎖状でも分枝状で
もよい);及びこれらの混合物等が例示できる。
【0132】(F−3)の脂肪酸アミドとしては、具体
的には、湿式クラッチの摩擦特性により優れる点から、
ラウリン酸アミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラ
ウリン酸モノプロパノールアミド、ミリスチン酸アミ
ド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸モ
ノプロパノールアミド、パルミチン酸アミド、パルミチ
ン酸ジエタノールアミド、パルミチン酸モノプロパノー
ルアミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ジエタノ
ールアミド、ステアリン酸モノプロパノールアミド、オ
レイン酸アミド、オレイン酸ジエタノールアミド、オレ
イン酸モノプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸アミド、
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノプ
ロパノールアミド、炭素数12〜13の合成混合脂肪酸
アミド、炭素数12〜13の合成混合脂肪酸ジエタノー
ルアミド、炭素数12〜13の合成混合脂肪酸モノプロ
パノールアミド、及びこれらの混合物等が特に好ましく
用いられる。
【0133】一方、(F−3)でいう脂肪酸金属塩とし
ては、具体的には、上記脂肪酸のアルカリ土類金属塩
(マグネシウム塩、カルシウム塩等)や亜鉛塩等が例示
できる。(F−3)の脂肪酸金属塩としては、具体的に
は、湿式クラッチの摩擦特性により優れる点から、ラウ
リン酸カルシウム、ミリスチン酸カルシウム、パルミチ
ン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸
カルシウム、ヤシ油脂肪酸カルシウム、炭素数12〜1
3の合成混合脂肪酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ミリ
スチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、
オレイン酸亜鉛、ヤシ油脂肪酸亜鉛、炭素数12〜13
の合成混合脂肪酸亜鉛、及びこれらの混合物等が特に好
ましく用いられる。
【0134】任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上
の(F)成分は、他の性能、例えば酸化安定性等に影響
を与えない限り、任意の量を配合することができる。摩
擦特性の耐久性を高くするためには、(F)成分の劣化
による摩擦特性の劣化を防ぐことが必要であり、(F)
成分を多量に配合することは、摩擦特性の耐久性を高く
するためには効果的である。しかし多量に配合しすぎる
と、湿式クラッチの結合を維持するために高いことが必
要である静摩擦係数も低下してしまう。したがって、
(F)成分の配合量には限界がある。従って、本発明の
トラクションドライブ用流体において(F)成分を含有
させる場合、その含有量は特に限定されないが、通常、
トラクションドライブ用流体全量基準で、0.005〜
3.0質量%であるのが好ましく、0.01〜2.0質
量%であるのがより好ましい。
【0135】また、摩擦特性の耐久性を高くするため
に、この限界量以上の(F)成分を配合することが必要
となった際には、静摩擦係数を高くする添加剤((H)
成分)を配合するこができる。ここでいう(H)成分と
しては、以下のようなものがある。 (H−1) 同一分子内に、(F)成分で示した極性基
を持ち、かつ親油基が、炭素数100以下の炭化水素基
である化合物。(H−1)成分の使用にあたっては、そ
の極性基は、使用する(F)成分と同一であっても異な
っていてもよい。 (H−2) 炭素数が60以下の炭化水素基をもつ、窒
素含有化合物(例えば炭素数6〜60、好ましくは炭素
数6〜30のアルキル基又はアルケニル基を持つコハク
酸イミドやアミド化合物等)、あるいはその誘導体(例
えばホウ酸、リン酸、カルボン酸、硫黄化合物等による
変性品)。
【0136】本発明のトラクションドライブ用流体にお
いて、(F)成分と(H)成分を併用する場合、(H)
成分の含有量は特に限定されないが、通常、トラクショ
ンドライブ用流体全量基準で、0.1〜10.0質量%
であるのが好ましく、0.5〜3.0質量%であるのが
より好ましい。(H)成分の含有量が0.1質量%未満
の場合は(H)成分併用による静摩擦係数の増加効果に
乏しく、一方、10.0質量%を超える場合は、低温流
動性および酸化安定性が悪化するため、好ましくない。
【0137】また、本発明のトラクションドライブ用流
体は、(G)金属系清浄剤を配合することが好ましい。
この(G)金属系清浄剤の配合により、湿式クラッチの
摩擦特性を最適化し、かつ繰り返し圧縮に対する強度低
下を抑えることができる。(G)金属系清浄剤として
は、その全塩基価が20〜450mgKOH/g、好ま
しくは50〜400mgKOH/gの塩基性金属系清浄
剤が望ましい。なおここで言う全塩基価とは、JIS
K2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験法」の
7.に準拠して測定される過塩素酸法による全塩基価を
意味している。金属系清浄剤の全塩基価が20mgKO
H/g未満の場合は、湿式クラッチの繰り返し圧縮に対
する強度低下を抑制する効果が不十分であり、一方、全
塩基価が450mgKOH/gを超える場合は構造的に
不安定であり、組成物の貯蔵安定性が悪化するため、そ
れぞれ好ましくない。
【0138】(G)成分の具体例としては、例えば (G−1)全塩基価が20〜450mgKOH/gのア
ルカリ土類金属スルフォネート (G−2)全塩基価が20〜450mgKOH/gのア
ルカリ土類金属フェネート (G−3)全塩基価が20〜450mgKOH/gのア
ルカリ土類金属サリシレート の中から選ばれる1種類又は2種類以上の金属系清浄剤
等が挙げられる。
【0139】ここでいう(G−1)アルカリ土類金属ス
ルフォネートとしては、より具体的には、例えば分子量
100〜1500、好ましくは200〜700のアルキ
ル芳香族化合物をスルフォン化することによって得られ
るアルキル芳香族スルフォン酸のアルカリ土類金属塩、
特にマグネシウム塩及び/又はカルシウム塩が好ましく
用いられ、アルキル芳香族スルフォン酸としては、具体
的にはいわゆる石油スルフォン酸や合成スルフォン酸等
が挙げられる。
【0140】石油スルフォン酸としては、一般に鉱油の
潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルフォン化した
ものやホワイトオイル製造時に副生する、いわゆるマホ
ガニー酸等が用いられる。また合成スルフォン酸として
は、例えば洗剤の原料となるアルキルベンゼン製造プラ
ントから副生したり、ポリオレフィンをベンゼンにアル
キル化することにより得られる、直鎖状や分枝状のアル
キル基を有するアルキルベンゼンを原料とし、これをス
ルフォン化したもの、あるいはジノニルナフタレンをス
ルフォン化したもの等が用いられる。またこれらアルキ
ル芳香族化合物をスルフォン化する際のスルフォン化剤
としては特に制限はないが、通常、発煙硫酸や硫酸が用
いられる。
【0141】また、ここでいう(G−2)アルカリ土類
金属フェネートとしては、より具体的には、炭素数4〜
30、好ましくは6〜18の直鎖状又は分枝状のアルキ
ル基を少なくとも1個有するアルキルフェノール、この
アルキルフェノールと元素硫黄を反応させて得られるア
ルキルフェノールサルファイド又はこのアルキルフェノ
ールとホルムアルデヒドを反応させて得られるアルキル
フェノールのマンニッヒ反応生成物のアルカリ土類金属
塩、特にマグネシウム塩及び/又はカルシウム塩等が好
ましく用いられる。
【0142】また、ここでいう(G−3)アルカリ土類
金属サリシレートとしては、より具体的には、炭素数4
〜30、好ましくは6〜18の直鎖状又は分枝状のアル
キル基を少なくとも1個有するアルキルサリチル酸のア
ルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び/又はカル
シウム塩等が好ましく用いられる。
【0143】また、アルカリ土類金属スルフォネート、
アルカリ土類金属フェネート及びアルカリ土類金属サリ
シレートには、その金属塩が20〜450mgKOH/
gの範囲にある限りにおいて、アルキル芳香族スルフォ
ン酸、アルキルフェノール、アルキルフェノールサルフ
ァイド、アルキルフェノールのマンニッヒ反応生成物、
アルキルサリチル酸等を、直接、マグネシウム及び/又
はカルシウムのアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物等
のアルカリ土類金属塩基と反応させたり、又は一度ナト
リウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩としてからア
ルカリ土類金属塩と置換させること等により得られる中
性塩(正塩)だけでなく、さらにこれら中性塩(正塩)
と過剰のアルカリ土類金属塩やアルカリ土類金属塩基
(アルカリ土類金属の水酸化物や酸化物)を水の存在下
で加熱することにより得られる塩基性塩や、炭酸ガスの
存在下で中性塩(正塩)をアルカリ土類金属の塩基と反
応させることにより得られる過塩基性塩(超塩基性塩)
も含まれる。
【0144】なお、これらの反応は、通常、溶媒(ヘキ
サン等の脂肪族炭化水素溶剤、キシレン等の芳香族炭化
水素溶剤、軽質潤滑油基油等)中で行われる。また、金
属系清浄剤は通常、軽質潤滑油基油等で希釈された状態
で市販されており、また、入手可能であるが、一般的
に、その金属含有量が1.0〜20質量%、好ましくは
2.0〜16質量%のものを用いるのが望ましい。
【0145】本発明のトラクションドライブ用流体にお
いて、(G)成分を含有させる場合、(G)成分の含有
量は特に限定されないが、通常、トラクションドライブ
用流体全量基準で、0.01〜5.0質量%であるのが
好ましく、0.05〜4.0質量%であるのがより好ま
しい。(G)成分の含有量が0.01質量%未満の場合
は湿式クラッチの繰り返し圧縮に対する強度低下を抑制
する効果が不十分であり、一方、5.0質量%を超える
と、組成物の酸化安定性が低下するため、それぞれ好ま
しくない。
【0146】なお、(D)、(E)、(F)及び(G)
成分を含有させることで、本発明のトラクションドライ
ブ用流体に、油圧制御機構に必要な耐摩耗性、酸化安定
性及び清浄性と湿式クラッチの摩擦特性制御機構に必要
な湿式クラッチに対する摩擦特性、湿式クラッチの繰り
返し圧縮に対する強度等を付加することが可能となる
が、これらの性能を更に向上させ、かつ、銅系材料等の
非鉄金属に対する耐腐食性、及びナイロン材等の樹脂類
の耐久性等を向上させる目的で、必要に応じて、さらに
酸化防止剤、極圧添加剤、腐食防止剤、ゴム膨潤剤、消
泡剤、着色剤等を単独あるいは数種類組み合わせて含有
させてもよい。
【0147】酸化防止剤としては、フェノール系化合物
やアミン系化合物等、潤滑油に一般的に使用されている
ものであれば使用可能である。具体的には、2−6−ジ
−tert−ブチル−4−メチルフェノール等のアルキ
ルフェノール類、メチレン−4,4−ビスフェノール
(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノー
ル)等のビスフェノール類、フェニル−α−ナフチルア
ミン等のナフチルアミン類、ジアルキルジフェニルアミ
ン類、ジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛等のジ
アルキルジチオリン酸亜鉛類、(3,5−ジ−tert
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)脂肪酸(プロピオ
ン酸等)と1価又は多価アルコール、例えばメタノー
ル、オクタデカノール、1,6−ヘキサジオール、ネオ
ペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ペンタエリスリトール等とのエス
テル等が挙げられる。これらの中から任意に選ばれた1
種類あるいは2種類以上の化合物は、任意の量を含有さ
せることができるが、通常、その含有量は、トラクショ
ンドライブ用流体全量基準で0.01〜5.0質量%で
あるのが望ましい。
【0148】極圧添加剤としては、例えば、ジスルフィ
ド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等の硫黄系化合物
等が挙げられる。これらの中から任意に選ばれた1種類
あるいは2種類以上の化合物は、任意の量を含有させる
ことができるが、通常、その含有量は、トラクションド
ライブ用流体全量基準で0.01〜5.0質量%である
のが望ましい。腐食防止剤としては、例えば、ベンゾト
リアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール
系、イミダゾール系化合物等が挙げられる。これらの中
から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物
は、任意の量を含有させることができるが、通常、その
含有量は、トラクションドライブ用流体全量基準で0.
01〜3.0質量%であるのが望ましい。
【0149】消泡剤としては、例えば、ジメチルシリコ
ーン、フルオロシリコーン等のシリコーン類が挙げられ
る。これらの中から任意に選ばれた1種類あるいは2種
類以上の化合物は、任意の量を含有させることができる
が、通常、その含有量は、トラクションドライブ用流体
全量基準で0.001〜0.05質量%であるのが望ま
しい。着色剤は任意の量を含有させることができるが、
通常、その含有量は、トラクションドライブ用流体全量
基準で0.001〜1.0質量%であるのが望ましい。
【0150】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実
施例、比較例中の%および部は質量%および重量部を表
す。 (GPCによる重量平均分子量の測定法) 装置 : 東洋曹達製 HLC−802A カラム : TSK gel GMH6 2本 測定温度 : 40℃ 試料溶液 : 0.5質量%のTHF溶液 溶液注入量 : 200μl 検出装置 : 屈折率検出器 標準 : ポリスチレン
【0151】(低温粘度の試験方法)JPI−5S−2
6−99の方法で−30℃の粘度を測定した。 (動粘度の試験方法)JIS K2283の方法で10
0℃の粘度を測定した。 (酸化安定性試験方法)JIS−K2514に従い、1
65.5℃で72時間酸化安定性試験を実施した。試験
前後での全酸価の増加量を測定し、全酸化の増加が0〜
2の場合は○、2〜5では△、5〜10では×とした。 (トラクション係数の測定法)4ローラートラクション
係数試験機を用いて計測した。試験条件は、周速3.1
4m/s、油温100℃、最大ヘルツ圧1.49GP
a、すべり率2%である。 (剪断安定性の試験法)JPI−5S−29−88の超
音波法
【0152】実施例における使用原料の略号の意味は以
下の通りである。 C12MA:ドデシルメタクリレート C16MA:ヘキサデシルメタクリレート CYHMA:シクロヘキシルメタクリレート CYHGMA:シクロヘキシルグリコールメタクリレー
ト C1MA:メチルメタクリレート 無灰分散剤A:アルケニルコハク酸イミド(ビスタイ
プ、アルケニル基炭素数平均220) 無灰分散剤B:ホウソ化アルケニルコハク酸イミド(モ
ノタイプ、アルケニル基炭素数平均260) リン系添加剤A:ジフェニルハイドロジェンホスファイ
【0153】(重合体の合成例) 合成例1 撹拌装置、加熱装置、温度計、窒素吹き込み管を備えた
反応器に、トルエンを100g仕込み窒素雰囲気とし8
4℃とする。反応器は撹拌しながら単量体(CYHM
A:200g、C12MA:600g、C16MA:2
00g)及び、開始剤として2,2’−アゾビス−
2’,4−ジメチルバレロニトリルを3.0g、ドデシ
ルメルカプタン4.5gを、それぞれ反応器に4時間か
けて等速度で全量を仕込み、仕込み終了から4時間80
℃で重合反応を行なった。反応終了後、130℃でトル
エンを減圧除去し、重合体1を得た。
【0154】合成例2 重合体1の合成例の単量体をCYHGMA:200g、
C12MA:600g、C16MA:200gに変える
以外は同様にして重合体2を得た。
【0155】合成例3 重合体1の合成例の単量体をC1MA:100g、CY
HMA:200g、C12MA:500g、C16M
A:200g、に変える以外は同様にして重合体3を得
た。
【0156】合成例4 重合体1の合成例の単量体をC1MA:100g、C1
2MA:900gに変える以外は同様にして重合体4を
得た。
【0157】合成例5 重合体1の合成例の単量体をC16MA:800g、C
12MA:200gに変える以外は同様にして重合体5
を得た。
【0158】得られた重合体の溶解度パラメータ、HL
B値、重量平均分子量、結晶化開始温度を表1に示す。
【0159】
【表1】
【0160】実施例1 重合体1を粘度指数向上剤(B成分)として使用し、ト
ラクションドライブ流体(A成分;式(VI)のR
、R〜R、R10〜R12=水素原子、R
メチル基;トラクション係数:0.089、溶解度パラ
メータ:8.3)に溶解し、100℃における動粘度が
4.9mm/sになるよう粘度指数向上剤の量を調整
し、流体1とし低温粘度、粘度指数、剪断安定性および
酸化安定性の試験を行った。
【0161】実施例2 粘度指数向上剤に重合体2を用いる以外は実施例1と同
様に流体2を調整し試験した。
【0162】実施例3 粘度指数向上剤に重合体3を用いる以外は実施例1と同
様に流体3を調整し試験した。
【0163】実施例4 粘度指数向上剤に重合体3と重合体4を80:20の重
量比で用いる以外は実施例1と同様に流体4を調整し試
験した。
【0164】実施例5 粘度指数向上剤に重合体3とエチレン・プロピレン共重
合体(UNIROYALCHEMICAL COMPA
NY,INC.,TRILENE CP−40、重量平
均分子量=16000)を80:20の重量比で用いる
以外は実施例1と同様に流体5を調整し試験した。
【0165】比較例1 粘度指数向上剤に重合体4を用いる以外は実施例1と同
様に流体6を調整し試験した。
【0166】比較例2 粘度指数向上剤に重合体5を用いる以外は実施例1と同
様に流体7を調整し試験した。
【0167】比較例3 粘度指数向上剤にエチレン・プロピレン共重合体(UN
IROYAL CHEMICAL COMPANY,I
NC.,TRILENE CP−40、重量平均分子
量:16000)を用いる以外は実施例1と同様に流体
8を調整し試験した。
【0168】
【表2】
【0169】実施例1の(A成分)トラクションドライ
ブ流体、(B成分)粘度指数向上剤、(D成分)無灰分
散剤及び(E成分)リン系添加剤等を表3の各例に示す
ような割合で配合したものを調製した(流体9〜1
5)。これら調整した流体9〜15について、それぞ
れ、耐摩耗性及び酸化安定性の評価を行った。その結果
を表3に示す。なお、耐摩耗性は、ASTM D226
6に準拠し、80℃、1800rpm、294N(30
kgf)、60分の条件でShell四球試験を行い、
試験後の鋼球の摩耗痕径で評価した。また、酸化安定性
は、JIS K2514の潤滑油酸価安定度試験に準拠
し、150℃、96時間の条件で酸化試験を行って評価
した。
【0170】
【表3】
【0171】表3における用語は以下の通りである。 (1)トラクションドライブ流体(トラクション係数:
0.089、溶解度パラメータ:8.3) (2)粘度指数向上剤:重合体1 (3)無灰分散剤A:アルケニルコハク酸イミド(ビス
タイプ、アルケニル基炭素数平均220) (4)無灰分散剤B:ホウ素化アルケニルコハク酸イミ
ド(モノタイプ、アルケニル基炭素数平均260) (5)リン系添加剤A:ジフェニルハイドロジェンホス
ファイト (6)酸化防止剤A:ビスフェノール系酸化防止剤
【0172】表3の結果から明らかなとおり、(D)無
灰分散剤と(E)リン系添加剤を併用して配合すること
により、トラクションドライブ用流体に必要な耐摩耗性
や酸化安定性・清浄性を付与することが可能となる。
【0173】上記のトラクションドライブ流体、(D)
無灰分散剤、(E)リン系添加剤、(F)摩擦調整剤、
(G)金属系清浄剤等の添加剤を表4の各例に示すよう
な割合で配合したものを調製した(流体16〜21)。
これら調整した流体16〜21並びに流体1及び流体9
について、それぞれ、スリップ試験機を用いて以下の条
件で低速滑り試験を実施し、摩擦係数のすべり速度の依
存性(μ(1rpm)/μ(50rpm)の値:この値
が1を超える場合は正勾配、1未満の場合は負勾配とす
る)を測定した。その結果を表4に示す。
【0174】[低速滑り試験] (1)試験条件:JASO M349−95(自動変速
機油シャダー防止性能試験方法)に準拠 (2)油 量 :0.2リットル (3)油 温 :80℃ (4)面 圧 :0.98MPa
【0175】
【表4】
【0176】表4における用語は以下の化合物を示す。 (1)トラクションドライブ流体:表3のトラクション
ドライブ流体と同一 (2)粘度指数向上剤:表3の粘度指数向上剤と同一 (3)無灰分散剤A:表3の無灰分散剤Aと同一 (4)無灰分散剤B:表3の無灰分散剤Bと同一 (5)リン系添加剤A:表3のリン系添加剤Aと同一 (6)酸化防止剤A:表3の酸化防止剤Aと同一 (7)摩擦調整剤A:エトキシ化オレイルアミン (8)摩擦調整剤B:オレイルアミン (9)MgスルフォネートA:石油系、全塩基価(過塩
素酸法) 300mgKOH/g、Mg含有量 6.9
質量% (10)CaスルフォネートA:石油系、全塩基価(過
塩素酸法)300mgKOH/g、Mg含有量 12.
0質量%
【0177】表4の結果から明らかなとおり、摩擦調整
剤及び/又は金属系清浄剤を配合することにより、変速
クラッチやスリップロックアップクラッチ等の湿式クラ
ッチにおける最適化された摩擦特性を付与することが可
能となる。
【0178】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発
明の粘度指数向上剤を使用したトラクションドライブ用
流体は、高温粘度と低温粘度のバランスが良好であり、
かつ酸化安定性、剪断安定性が良好である。さらに無灰
分散剤、リン系添加剤、摩擦調整剤、金属系清浄剤を添
加することにより耐摩耗性、酸化安定性、清浄性が良好
で、摩擦特性にも優れることから自動車用の無段変速機
などに使用することができる。さらに、本発明の粘度指
数向上剤は、上記特徴があることから、トラクションド
ライブ用流体以外の潤滑油(例えばエンジン油、ギア
油、ATF、ショックアブソーバー油)の粘度数向上剤
としても、極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 129/32 C10M 129/32 129/40 129/40 133/06 133/06 133/16 133/16 133/44 133/44 133/54 133/54 133/56 133/56 137/02 137/02 137/04 137/04 137/08 137/08 137/10 137/10 A 143/00 143/00 149/02 149/02 151/02 151/02 159/22 159/22 159/24 159/24 // C10N 10:04 C10N 10:04 20:00 20:00 A Z 20:04 20:04 30:02 30:02 30:04 30:04 30:06 30:06 30:10 30:10 40:04 40:04 40:08 40:08 40:25 40:25 (72)発明者 太田 義久 京都府京都市東山区一橋野本町11番地の1 三洋化成工業株式会社内 (72)発明者 松岡 徹 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社潤滑油部潤滑油研究所内 (72)発明者 大川 哲夫 東京都港区西新橋一丁目3番12号 日石三 菱株式会社潤滑油部内 Fターム(参考) 4H104 AA20C BA02A BB15C BB33A BB37A BE02C BE11C BE29C BF01C BF03C BH02C BH03C BH05C BH07C CA03C CA04C CA05C CB08C CE01C CE03C CE05C CG01C DB06C DB07C EA01A EA01C EA03C EA04C EA22C FA02 LA01 LA02 LA03 LA05 PA02 PA03 PA05 PA41

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶解度パラメータが8.8〜9.5、H
    LB値が1.0〜6.0、重量平均分子量が5,000
    〜500,000、示差走査熱量計により測定した結晶
    化開始温度が−10℃以下である重合体(A)からなる
    トラクションドライブ流体用粘度指数向上剤であって、
    前記重合体(A)が、構成単位として、下記一般式
    (I)で示される単量体(a)を1〜40質量%、及
    び、アルキル(メタ)アクリレート(b)を60〜99
    質量%含有してなるものであるトラクションドライブ流
    体用粘度指数向上剤。 【化1】 〔Rは脂環式又は複素環式アルコールの残基を表し、
    は水素原子又はメチル基を表し、Xは炭素数2〜4
    のアルキレン基を表し、nは0又は1〜10を表す。〕
  2. 【請求項2】 一般式(I)において、Rが、シクロ
    ヘキシル基、イソボロニル基又はテトラヒドロフルフリ
    ル基である請求項1記載の粘度指数向上剤。
  3. 【請求項3】 さらに、下記(B)及び/又は下記
    (C)を50質量%を超えない量含有する請求項1又は
    2記載の粘度指数向上剤。 (B); 溶解度パラメータが8.8〜9.5、HLB
    値が1.0〜6.0、重量平均分子量が5,000〜5
    00,000、示差走査熱量計により測定した結晶化開
    始温度が−10℃以下であるポリアルキル(メタ)アク
    リレート (C); 重量平均分子量が1,000〜200,0
    00であるエチレン−αオレフィン共重合体
  4. 【請求項4】 溶解度パラメータが8.2〜10.0の
    トラクションドライブ用流体及び請求項1〜3のいずれ
    か記載の粘度指数向上剤からなる潤滑油組成物であっ
    て、前記粘度指数向上剤の量が前記トラクションドライ
    ブ用流体に対して0.05〜30質量%である潤滑油組
    成物。
  5. 【請求項5】 トラクションドライブ流体が、さらに
    無灰分散剤(D)及びリン系添加剤(E)を含有してな
    るものである請求項4記載の潤滑油組成物。
  6. 【請求項6】 トラクションドライブ流体が、さら
    に、炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基を分
    子中に少なくとも1個有し、かつ炭素数31以上の炭化
    水素基を分子中に有しない摩擦調整剤(F)を含有して
    なるものである請求項4又は5記載の潤滑油組成物。
  7. 【請求項7】 トラクションドライブ流体が、さらに、
    全塩基価が20〜450mgKOH/gの金属系清浄剤
    (G)を含有してなるものである請求項4〜6のいずれ
    か記載の潤滑油組成物。
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