JP2001340756A - 有害陰イオン吸着粒子およびその製造方法 - Google Patents

有害陰イオン吸着粒子およびその製造方法

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JP2001340756A JP2000325384A JP2000325384A JP2001340756A JP 2001340756 A JP2001340756 A JP 2001340756A JP 2000325384 A JP2000325384 A JP 2000325384A JP 2000325384 A JP2000325384 A JP 2000325384A JP 2001340756 A JP2001340756 A JP 2001340756A
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修三 徳永
Katsuhiro Fuchinoue
克宏 淵之上
Tomoo Takayama
智生 高山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有害陰イオンに対して吸着性能を有する希土
類系化合物を、高い吸着性能を有しながらも取り扱いが
容易で連続的な高次処理に適用可能な粒子状に造粒して
なる有害陰イオン吸着粒子およびその製造方法の提供。 【解決手段】 アルギン酸塩水溶液にヒ素吸着剤粉末を
混合した材料原液からなる液滴を、多価金属水溶液中で
凝固ゲル化してゲル球体を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種有害陰イオ
ン、とりわけヒ素、リン酸、フッ素、セレンによる汚染
水の浄化に用いられる有害陰イオン吸着粒子およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ヒ素やリン、フッ素、セレンなど、各種
電子機器等の製造工程で有用な陰イオンはまた有害な水
質汚染物質でもあり、工業排水からの汚染が発生した
り、天然水が始めからこうした天然有害陰イオンで汚染
されていたりすると、多くの場合、代替水源の利用、汚
染源の操業停止等の措置が執られるが、同時に汚染水の
浄化が求められる。浄化処理には、原水の性状、処理
量、処理後水の用途、経済性等の点を考慮して最適な方
法を選択すべきである。
【0003】例えば、沈殿法は操作がシンプルであり、
経済性の高い方法であるが、処理後の水質が強化された
基準を満たさないことがある。そうした場合、さらに高
次な処理技術が必要となる。特に毒性の高いヒ素(III
)に直接有効な方法が望まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現在用いられている有
害陰イオンの高次処理技術としては、陰イオン交換樹脂
によるものがあるが、これはヒ素吸着の選択性において
問題が残る方法である。また、希土類吸着剤の中には、
ヒ素(III )に対しても吸着能を有しているものもあ
り、これらを利用して汚染水から有害陰イオンを吸着除
去する方法も考えられるが、これらの吸着剤で市販され
ているものは粉末状のものであり、吸着、溶離、再生等
の操作を行う上で取り扱いが困難であり、有害陰イオン
用吸着塔へ充填して連続的処理に用いるには適さないも
のである。
【0005】また、セリウムの含水酸化物あるいは活性
アルミナがヒ素イオンの選択吸着剤として有望であるこ
とも報告されているが、これらの含水金属酸化物は微粉
体であって、やはり取り扱い上問題がある。また、ジル
コニウムをキレート樹脂に錯形成により担持したヒ素・
リン吸着樹脂が市販されているが、酸、アルカリを用い
た再生過程で樹脂からジルコニウムが脱離しやすいとい
う問題がある。
【0006】そこで、希土類系化合物を多孔質高分子の
ビーズや活性炭などの多孔質材料に高濃度分散状態で担
持し、加熱処理して結晶化するという造粒する方法も開
発されている。しかしながら、吸着性能が高く、かつ保
持体から脱離しないものを開発することは至難であり、
且つ工程が複雑になりがちとなる。以上のように、ヒ素
をはじめ、各種有害陰イオンの高次処理技術として未だ
確立されたのものはないと言える。
【0007】本発明の目的は、上記問題点に鑑み、有害
陰イオンに対して吸着性能を有する希土類系化合物を、
高い吸着性能を有しながらも取り扱いが容易で連続的な
高次処理に適用可能な粒子状に造粒してなる有害陰イオ
ンの吸着粒子およびその製造方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明に係る有害陰イオン吸着粒子
は、アルギン酸のゲル化球体内部に有害陰イオン吸着剤
が分散されているものである。
【0009】また、請求項2に記載の発明に係る有害陰
イオン吸着粒子の製造方法は、アルギン酸塩水溶液に有
害陰イオン吸着剤粉末を混合した材料原液からなる液滴
を、多価金属水溶液中で凝固ゲル化してゲル球体を形成
するものである。
【0010】また、請求項3に記載の発明に係る有害陰
イオン吸着粒子の製造方法は、請求項2に記載の有害陰
イオン吸着粒子の製造方法において、前記材料原液に、
可塑剤を添加することを特徴とするものである。
【0011】また、請求項4に記載の発明に係る有害陰
イオン吸着粒子の製造方法は、請求項2または請求項3
に記載の有害陰イオン吸着粒子の製造方法において、
0.1〜5wt%アルギン酸ナトリウム又はアルギン酸
アンモニウムの水溶液に、有害陰イオン吸着能を有する
希土類系化合物粉末を0.1〜60wt%混合撹拌して
材料原液を調整する工程と、前記材料原液を多価金属水
溶液中へ滴下する滴下工程と、前記滴下された液滴を、
多価金属水溶液中で中心まで凝固ゲル化させて湿潤ゲル
球体を得るゲル球体形成工程と、前記ゲル球体を水およ
びエタノールで洗浄する洗浄工程と、前記洗浄済ゲル球
体を乾燥させる乾燥工程と、を有するものである。
【0012】さらに、請求項5に記載の発明に係る有害
陰イオン吸着粒子の製造方法は、請求項4に記載の有害
陰イオン吸着粒子の製造方法において、前記滴下工程
は、振動周波数の変更調節可能な振動ノズルを用いるこ
とを特徴とするものである。
【0013】また、請求項6に記載の発明に係る有害陰
イオン吸着粒子の製造方法は、請求項2に記載の有害陰
イオン吸着粒子の製造方法において、前記有害陰イオン
吸着剤粉末は、炭酸ランタンまたは水酸化ランタンまた
は炭酸イットリウムのうちの一種の粉末あるいは二種以
上の粉末を混合したものである。
【0014】また、請求項7に記載の発明に係る有害陰
イオン吸着粒子の製造方法は、請求項3に記載の有害陰
イオン吸着粒子の製造方法において、前記可塑剤は、ポ
リエチレングリコールまたはエタノールであることを特
徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、本発明者らが種々検討
した結果、バインダーとしてアルギン酸ナトリウムまた
はアルギン酸アンモニウムを使用し、その水溶液が多価
金属によりゲル化する現象を用いることによって有害陰
イオン吸着剤粉末を粒子化し得ることを見出し、本発明
に到ったものである。即ち、本発明による有害陰イオン
吸着粒子は、アルギン酸のゲル化球体内部に有害陰イオ
ン吸着剤粉末が分散されているものであり、その粉末は
脱離することなく球体内に良好に保持され、従来は困難
であった吸着塔への充填が容易に行えるとともに吸着、
溶離、再生等の操作を行う上での取り扱いも簡便とな
り、連続的処理を行うことが可能となる。
【0016】また、本発明の有害陰イオン吸着粒子の製
造方法においては、多価金属との反応で凝固ゲル化しう
るアルギン酸塩水溶液に予め有害陰イオン吸着剤粉末を
混合しておくことによって、内部に有害陰イオン吸着剤
粉末が分散されたゲル体を形成するものである。有害陰
イオン吸着剤粉末が混合された材料原液を液滴状態で多
価金属水溶液中で凝固させれば、ゲル球体からなる有害
陰イオン吸着粒子を得ることができる。
【0017】この粒子中の吸着剤密度は、材料原液中に
混合される吸着剤濃度によって決定されるものであるた
め、その混合量によって任意の高密度のものが調整でき
る。また、粒子サイズは液滴サイズによって決定するも
のであり、液滴径を小さくすれば微小粒子も形成できる
ため、充分な比表面積を確保して有害陰イオン吸着性能
の高いものが容易に得られる。
【0018】このように、本発明による有害陰イオン吸
着粒子の製造方法では、従来の多孔質材に吸着剤を含浸
させる方法に比べて高密度で比表面積の高いものが製造
可能であると共に、保持体からの脱離もなく取り扱いが
容易であり、連続的な有害陰イオン吸着処理の実用に適
したものが得られる。
【0019】なお、有害陰イオン吸着粒子は、使用状態
に応じて直径、密度だけでなく硬度も調整可能であるこ
とが望ましい。例えば、カラムに充填して有害陰イオン
吸着塔を構成する場合など、或る程度以上の機械的強度
を必要とし、比較的硬い粒子に調整したい場合がある。
【0020】そこで、本発明におけるアルギン酸ゲル球
体を担体としたものでは、請求項3に記載したように、
原材料液に可塑剤を添加することによって硬度が高くな
る傾向である。例えば、ポリエチレングリコールやエタ
ノール等を用いて、その添加量を調整することによって
粒子の硬軟の調整が行える。これは、添加量を増やすこ
とにより、粒子が乾燥した場合のくずれ難さが高まるこ
とや粒子の密度が上昇して機械的強度が向上するなどの
作用をもたらす。
【0021】実際の材料原液の液滴の形成およびゲル球
体の形成の工程としては、材料原液を多価金属水溶液中
に滴下し、液滴の表面から中心まで充分にゲル化させる
ように該多価金属水溶液中に所定時間浸漬状態のままと
するのが簡便である。
【0022】このような滴下工程およびゲル球体形成工
程を経て得られたゲル球体は、洗浄工程で水およびエタ
ノールで洗浄し、乾燥してこれら水やエタノールを除去
してヒ素吸着粒子とする。
【0023】滴下工程には、振動ノズルを用いるのが簡
便である。また、後のヒ素吸着粒子の直径を決定する液
滴の直径dは、Q=π/6・df(Q:滴下原液の流
量、f:振動のノズルの振動周波数)の式から、滴下原
液の流量Q、振動ノズルの振動周波数fを設定すること
により任意の直径に調整できるため、少なくとも振動周
波数の変更調節可能な振動ノズルを用いて、所望の液滴
直径が得られるよう適宜振動周波数を選択すれば良い。
【0024】現在、一般に用いられている振動ノズルで
は、変更可能な振動周波数fの範囲内10〜1000H
zにおいて、液滴直径dを0.1〜3mmの範囲内で調
節できる。これは、有害陰イオン吸着粒子として、下限
近くの直径で高い吸着性能を発揮するのに充分な比表面
積が確保できるものである。
【0025】なお、材料原液に混合される有害陰イオン
吸着剤粉末には、ヒ素やリン、フッ素、セレンなど、一
般的に工業用排水からの除去が望まれている有害な陰イ
オンを吸着する性能を有するものであれば良いが、特に
ヒ素(III )に対して高い吸着能を有するものが望まし
く、例えば、水酸化ランタン、炭酸ランタン、炭酸イッ
トリウムなどの希土類系化合物粉末が挙げられる。これ
らの吸着剤粉末は、一種を単独で用いるのに限らず、二
種以上の粉末を混合して用いても良い。
【0026】また、本発明に用いられる多価金属は、ア
ルギン酸ナトリウムやアルギン酸アンモニウム水溶液に
対してゲル化現象を生じせしめうるものであれば良く、
たとえば、ランタン、イットリウム、カルシウム、アル
ミニウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛等が挙げられ、
主として塩化物の形で用いられる。
【0027】
【実施例】本発明の一実施例として、有害陰イオン吸着
粒子の製造工程の一例を図1に示す。本実施例では、原
料の希土類系化合物粉末としてヒ素吸着能を有する炭酸
ランタン粉末を、バインダーとしてアルギン酸ナトリウ
ムを、ゲル化用の多価金属として塩化ランタンを、それ
ぞれ用いた。
【0028】まず、原液調整工程1として、純水中にア
ルギン酸ナトリウムを1.0wt%と炭酸ランタン粉末
を10wt%を混合攪拌して、材料原液を調整した。次
に滴下工程2として、内径0.4mmの振動ノズルを用
い、振動周波数80Hzで材料原液を液滴として常温の
5wt%塩化ランタン水溶液に滴下した。
【0029】滴下後の液滴は、瞬時に表面からゲル化が
始まり球状のゲル体となるが、中心まで充分にゲル化
(熟成)させるため、その後、60℃の5wt%塩化ラ
ンタン水溶液中に1時間浸漬状態とした(ゲル球体形成
工程3)。以上の工程により、炭酸ランタン粉末の分散
したアルギン酸ランタンの湿潤ゲル球体を得た。
【0030】以上の工程で形成された湿潤ゲル球体は、
洗浄工程4において、60℃純水で10分間ずつ2回の
洗浄の後、60℃エタノールで15分間洗浄した。洗浄
後の湿潤ゲル球体を乾燥工程5において、大気中、60
℃で2時間乾燥し、直径1mmの炭酸ランタン粒子を有
害陰イオン吸着粒子として得た。
【0031】図2の断面模式図で示すように、この炭酸
ランタン粒子10は、炭酸ランタン粉末11が高密度で
アルギン酸ランタン12で保持された構造となってい
る。このような本実施例で得られた有害陰イオン吸着粒
子では、従来のような吸着剤の担体からの脱離等の問題
はなく取り扱いやすい。従って、本実施例で得られた有
害陰イオン吸着粒子は、吸着塔への充填も容易で、汚染
水中の有害陰イオンの連続的な吸着除去処理の実用に適
したものである。
【0032】以上の実施例で得られた炭酸ランタン粒子
による各種有害陰イオン吸着試験を行った。その結果を
以下に示す。なお、本炭酸ランタン粒子の物性は、直径
が929.3μm、直径標準偏差44.4μm、水銀置
換法により測定された密度は1.27g/cm、B
ET法により測定された比表面積は5.27m/gで
ある。
【0033】まず、ヒ素(V)を対象に上記炭酸ランタ
ン粒子による吸着試験を行った。即ち、初期濃度1.8
8ppmに調整したヒ素水溶液25mLに対して、炭酸
ランタン粒子を0.05g添加し、所定のpH範囲に亘
る条件下で20℃,16時間、撹拌混合して吸着処理を
行った。
【0034】処理後の炭酸ランタン粒子を除いた水溶液
のヒ素(V)濃度は、pH4.7〜9.96の範囲にお
いて処理を行ったものが4.5ppb以下となってい
た。これは、10ppb以下という水道水質基準を充分
に満足するものであり、処理前のヒ素(V)のうち約9
9%以上が吸着除去されたことになる。
【0035】次に、リン酸を対象に上記炭酸ランタン粒
子による吸着試験を行った。即ち、初期濃度47.5p
pmに調整したリン酸水溶液25mLに対して、上記と
同様に炭酸ランタン粒子を0.05g添加し、所定のp
H範囲に亘る条件下で20℃,16時間、撹拌混合して
吸着処理を行った。その結果、処理後の炭酸ランタン粒
子を除いたリン酸水溶液は、pH3.08〜10.18
の範囲で処理を行ったものにおいては処理前の水溶液中
のリン酸のうち36.0〜99.9%が吸着除去されて
いた。
【0036】次に、フッ素を対象に上記炭酸ランタン粒
子による吸着試験を行った。初期濃度9.5ppmに調
整したフッ素水溶液25mLに対して、上記と同様に炭
酸ランタン粒子を0.05g添加し、所定のpH範囲に
亘る条件下で20℃,16時間、撹拌混合して吸着処理
を行った。その結果、処理後の炭酸ランタン粒子を除い
たフッ素水溶液は、pH3.15〜9.98の範囲で処
理を行ったものにおいては処理前の水溶液中のフッ素の
うち56.0〜70.0%が吸着除去されていた。
【0037】次に、セレン(IV)を対象に上記炭酸ラン
タン粒子による吸着試験を行った。初期濃度1.97p
pmに調整したセレン(IV)水溶液25mLに対して、
上記と同様に炭酸ランタン粒子を0.05g添加し、所
定のpH範囲に亘る条件下で20℃,16時間、撹拌混
合して吸着処理を行った。その結果、処理後の炭酸ラン
タン粒子を除いたセレン水溶液は、pH3.04〜1
0.09の範囲で処理を行ったものにおいては処理前の
水溶液中のセレン(IV)のうち52.0〜85.2%が
吸着除去されていた。
【0038】また、以上の実施例で炭酸ランタン粉末を
用いて有害陰イオン吸着粒子を製造した図1に示す工程
に従って、炭酸ランタン粉末を水酸化ランタン粉末に置
き換えて水酸化ランタン粒子を製造した。得られた水酸
化ランタン粒子は、アルギン酸のゲル化球体内部に水酸
化ランタン粉末が高密度で分散保持されたものである。
【0039】この水酸化ランタン粒子の物性は、直径7
93.6μm、直径標準偏差57.9μm、水銀置換法
により測定した密度は2.03g/cm、BET法
により測定した比表面積は16.46m/g であっ
た。以下に、この水酸化ランタン粒子による各種有害陰
イオン吸着試験を行った結果を示す。
【0040】まず、ヒ素(V)を対象に上記水酸化ラン
タン粒子による吸着試験を行った。初期濃度1.88p
pmに調整したヒ素水溶液25mLに対して、炭酸ラン
タン粒子を0.05g添加し、所定のpH範囲に亘る条
件下で20℃,16時間、撹拌混合して吸着処理を行っ
た。
【0041】処理後の水酸化ランタン粒子を除いた水溶
液のヒ素(V)濃度は、pH3.38〜10.43の範
囲において処理を行ったものが0.22〜2.85pp
b以下となっていた。この処理水は、10ppb以下と
いう水道水質基準を充分に満足するものであり、処理前
の水溶液中のヒ素(V)のうち約99%以上が吸着除去
されたことになる。
【0042】次に、リン酸を対象に上記水酸化ランタン
粒子による吸着試験を行った。初期濃度47.5ppm
に調整したリン酸水溶液25mLに対して、上記と同様
に炭酸ランタン粒子を0.05g添加し、所定のpH範
囲に亘る条件下で20℃,16時間、撹拌混合して吸着
処理を行った。その結果、処理後の水酸化ランタン粒子
を除いたリン酸水溶液は、pH3.38〜10.43の
範囲で処理を行ったものにおいては処理前の水溶液中の
リン酸のうち32.2〜99.9%が吸着除去されてい
た。
【0043】次に、フッ素を対象に上記水酸化ランタン
粒子による吸着試験を行った。初期濃度9.5ppmに
調整したフッ素水溶液25mLに対して、上記と同様に
炭酸ランタン粒子を0.05g添加し、所定のpH範囲
に亘る条件下で20℃,16時間、撹拌混合して吸着処
理を行った。その結果、処理後の水酸化ランタン粒子を
除いたフッ素水溶液は、pH3.15〜9.98の範囲
で処理を行ったものにおいては処理前の水溶液中のフッ
素のうち42.0〜58.0%が吸着除去されていた。
【0044】次に、セレン(IV)を対象に上記水酸化ラ
ンタン粒子による吸着試験を行った。初期濃度1.97
ppmに調整したセレン(IV)水溶液25mLに対し
て、上記と同様に炭酸ランタン粒子を0.05g添加
し、所定のpH範囲に亘る条件下で20℃,16時間、
撹拌混合して吸着処理を行った。その結果、処理後の炭
酸ランタン粒子を除いたセレン水溶液は、pH3.04
〜10.09の範囲で処理を行ったものにおいては処理
前の水溶液中のセレン(IV)のうち88.4〜93.2
%が吸着除去されていた。
【0045】以上のように、アルギン酸のゲル化球体内
部に有害陰イオン吸着剤粉末が分散保持されてなる有害
陰イオン吸着粒子によれば、吸着剤粉末の脱離もなくヒ
素を始め各種の有害陰イオンを良好に吸着でき、汚染水
から簡便に除去できる。このような吸着粒子は、上記の
実施例のように、バッチ式の除去処理だけでなく、吸着
塔内に充填しておこなう連続処理にも適用できる。
【0046】なお、同じ吸着剤粉末が内部に分散保持さ
れた吸着粒子であっても、除去対象イオンによって異な
る吸着性能を示し、また同じ除去対象イオンであっても
吸着剤粉末によってその吸着性能は異なるため、処理対
象水の汚染物質に応じて適宜吸着剤粉末を選択して吸着
粒子を製造すれば良い。
【0047】また、除去対象となる有害陰イオンが一種
であれば、それに対して高い吸着性能を有する吸着剤粉
末一種を単独で用いて吸着粒子を製造し、除去処理を行
うのが好ましいが、汚染水中の除去対象となる有害陰イ
オンが複数種であれば、それぞれに高い吸着性能を有す
る吸着剤粉末を複数種混合したものを用いて吸着粒子を
製造し、除去処理を行うのが効率的である。
【0048】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の製造方法
によれば、有害陰イオンに対して吸着性能を有する希土
類系化合物を、容易に粒子状に造粒できるという効果が
ある。また、本発明の有害陰イオン吸着粒子は、高い吸
着性能を有しながらも取り扱いが容易で連続的な高次処
理に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるヒ素吸着粒子の製造工
程の一例を説明するフローチャート図である。
【図2】図1で示した製造工程で得られたヒ素吸着粒子
の構成を示す概略断面模式図である。
【符号の説明】
1:原液調整工程 2:滴下工程 3:ゲル球体形成工程 4:洗浄工程 5:乾燥工程 10:炭酸ランタン粒子 11:炭酸ランタン粉末 12:アルギン酸ランタン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/28 C02F 1/28 B (72)発明者 淵之上 克宏 茨城県那珂郡東海村村松1220−496 (72)発明者 高山 智生 茨城県那珂郡東海村村松1220−496 Fターム(参考) 4D024 AA04 AB11 AB12 AB14 AB17 BA01 BB01 BB05 4G066 AA02B AA43B AB26C AB29C BA11 BA28 CA30 CA31 CA41 CA45 CA46 DA08 FA03 FA11 FA21 FA26 FA37 FA38 FA39

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルギン酸のゲル化球体内部に有害陰イ
    オン吸着剤が分散されていることを特徴とする有害陰イ
    オン吸着粒子。
  2. 【請求項2】 アルギン酸塩水溶液に有害陰イオン吸着
    剤粉末を混合した材料原液からなる液滴を、多価金属水
    溶液中で凝固ゲル化してゲル球体を形成することを特徴
    とする有害陰イオン吸着粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記材料原液に、可塑剤を添加すること
    を特徴とする請求項2に記載の有害陰イオン吸着粒子の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 0.1〜5wt%アルギン酸ナトリウム
    又はアルギン酸アンモニウムの水溶液に、有害陰イオン
    吸着能を有する希土類系化合物粉末を0.1〜60wt
    %混合撹拌して材料原液を調整する工程と、 前記材料原液を多価金属水溶液中へ滴下する滴下工程
    と、 前記滴下された液滴を多価金属水溶液中で中心まで凝固
    ゲル化させ、湿潤ゲル球体を得るゲル球体形成工程と、 前記ゲル球体を水およびエタノールで洗浄する洗浄工程
    と、 前記洗浄済ゲル球体を乾燥させる乾燥工程と、を有する
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の有害陰
    イオン吸着粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記滴下工程は、振動周波数の変更調節
    可能な振動ノズルを用いることを特徴とする請求項4に
    記載の有害陰イオン吸着粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記有害陰イオン吸着剤粉末は、炭酸ラ
    ンタンまたは水酸化ランタンまたは炭酸イットリウムの
    うちの一種の粉末あるいは二種以上の粉末を混合させた
    ものであることを特徴とする請求項2に記載の有害陰イ
    オン吸着粒子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記可塑剤は、ポリエチレングリコール
    またはエタノールであることを特徴とする請求項3に記
    載の有害陰イオンの製造方法。
JP2000325384A 2000-03-27 2000-10-25 有害陰イオン吸着粒子の製造方法 Expired - Lifetime JP3932797B2 (ja)

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