JP2001335956A - Cr含有鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方法 - Google Patents
Cr含有鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方法Info
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Abstract
面に、りん酸マンガン系皮膜を形成するCr含有鋼製油
井管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方法を提供す
る。 【解決手段】 Cr含有鋼で製造された油井管継ぎ手1
0にりん酸マンガン系化成処理を行う方法であって、全
酸度を55〜80ポイント、遊離酸度を4.0〜14.
0ポイント、更に酸比を5.0〜12.0に調整したり
ん酸マンガン系化成処理液を用い、油井管継ぎ手10を
化成処理して、油井管継ぎ手10の表面にりん酸マンガ
ン系皮膜を形成する。
Description
された油井管継ぎ手の表面にりん酸マンガン系皮膜を形
成する化成処理方法に関する。更に詳しく述べるなら
ば、Cr含有鋼で製造されたため、りん酸マンガン系化
成処理が困難であった(皮膜を形成しにくかった)油井
管継ぎ手の表面に、りん酸マンガン系皮膜を形成するC
r含有鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方
法に関する。
はクロムやモリブデンを数wt%含有するCr−Mo鋼
が用いられていた。しかし、近年、油井の条件がますま
す厳しくなるにしたがって、H2 SやCO2 を伴う腐食
環境下でも耐食性等の性能を十分発揮する油井管が求め
られてきている。そのため、Cr含有鋼で製造された油
井管が多く用いられている。この油井管は、例えば石油
掘削に使用されるが、石油掘削に使用される各油井管
(油井用鋼管)は、ネジ部を備えた継ぎ手(油井管継ぎ
手)により接続し使用される。ここで、各継ぎ手は、パ
ワートングと呼ばれる締め付け機を用いることで、各油
井管に接続される。ところが、締め付けの際、各継ぎ手
は、高いトルクで締め付けされるため、ネジ部の表面に
焼き付きを発生する場合がある。焼き付きが発生すると
不完全な締結により、気密性の劣化や継ぎ手強度の低下
を招く問題がある。この焼き付きを防止するため、通
常、ネジ部の表面には銅めっき、亜鉛めっき、又はりん
酸塩系皮膜処理がなされる。このうち、りん酸塩系皮膜
処理は廉価かつ簡便な方法のため、一般に広く採用され
ており、例えば特公平5−40034号公報、特願平5
−134986号、特公平1−12995号公報に開示
されている。
た方法には以下の問題がある。特公平5−40034号
公報には、りん酸マンガン系化成処理液にフッ素を添加
することを開示しているが、Cr含有鋼に対して実施す
ると、フッ素によるエッチング反応が優先しておこって
しまい、必要とするりん酸マンガン系皮膜が形成しにく
い問題がある。また特願平5−134986号には、C
r含有鋼表面にチッ化層を形成してから、りん酸塩処理
を行う方法が開示されている。この技術では、確かにり
ん酸マンガン系皮膜を形成できるが、チッ化処理を行う
ためコストが高いという問題がある。一方、特公平1−
12995号公報では、継ぎ手のネジ部に合金めっきを
施す方法が開示されている。本技術も焼き付き防止に効
果的であるが、やはりコストが高い。従って、1wt%
以上のCrを含有する鋼に対するりん酸塩系皮膜処理に
おいては、安価に、しかも簡便な方法が提案されていな
いのが現状である。本発明はかかる事情に鑑みてなされ
たもので、Cr含有鋼で製造された油井管継ぎ手の表面
に、りん酸マンガン系皮膜を形成するCr含有鋼製油井
管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方法を提供するこ
とを目的とする。
明に係るCr含有鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系
化成処理方法は、Cr含有鋼で製造された油井管継ぎ手
にりん酸マンガン系化成処理を行う方法であって、全酸
度を55〜80ポイント、遊離酸度を4.0〜14.0
ポイント、更に酸比を5.0〜12.0に調整したりん
酸マンガン系化成処理液を用い、油井管継ぎ手を化成処
理して、油井管継ぎ手の表面にりん酸マンガン系皮膜を
形成する。ここで、全酸度(TA:Total Aci
d、単位:ポイント)は、りん酸マンガン系化成処理液
を10mL(ホールピペットで)採り、フェノールフタ
レインを指示薬として、0.1NのNaOH水溶液で滴
定することで得られる。この時の滴定量(mL)をポイ
ントとする。また、遊離酸度(FA:Free Aci
d、単位:ポイント)は、りん酸マンガン系化成処理液
を10mL(ホールピペットで)採り、ブロムフェノー
ルブルーを指示薬として、0.1NのNaOH水溶液で
滴定することで得られる。この時の滴定量(mL)をポ
イントとする。そして、酸比(AR:Acid Rat
io)は、(全酸度(TA))/(遊離酸度(FA))
の算術計算値である。これにより、油井管継ぎ手の表面
とりん酸マンガン系化成処理液との接触部分(界面)で
十分な化学反応を起こすことができるので、従来困難で
あった耐焼き付き性に優れたりん酸マンガン系皮膜を、
油井管継ぎ手の表面に形成することが可能となる。
鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方法は、
Cr含有鋼で製造された油井管継ぎ手にりん酸マンガン
系化成処理を行う方法であって、全酸度を55〜80ポ
イント、遊離酸度を4.0〜14.0ポイント、更に酸
比を5.0〜12.0に調整したりん酸マンガン系化成
処理液を用い、油井管継ぎ手を化成処理して、油井管継
ぎ手の表面に膜厚5〜60μmのりん酸マンガン系皮膜
を形成する。これにより、油井管継ぎ手の表面とりん酸
マンガン系化成処理液との接触部分(界面)で十分な化
学反応を起こすことができ、しかも従来困難であった耐
焼き付き性に優れたりん酸マンガン系皮膜の膜厚を、焼
き付きが発生する恐れがない程度に、油井管継ぎ手の表
面に形成することが可能となる。
鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方法にお
いて、油井管継ぎ手を化成処理する前に、油井管継ぎ手
の表面を表面調整処理してもよい。上記した表面調整処
理とは、通常のりん酸マンガン系化成処理で使用する処
理方法を意味する。これにより、油井管継ぎ手の表面に
形成するりん酸マンガン系皮膜の皮膜結晶を、小さく緻
密にすることが可能となる。また、第1、第2の発明に
係るCr含有鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系化成
処理方法において、油井管継ぎ手を化成処理する前に、
油井管継ぎ手の表面を表面粗化処理してもよい。これに
より、油井管継ぎ手の表面積を広くでき、しかも表面の
酸化膜を除去することが可能となる。
された油井管継ぎ手の表面に、従来困難であったりん酸
マンガン系皮膜(りん酸マンガン系化成皮膜とも言う)
を形成することができる。なお、りん酸マンガン系皮膜
は、以下の順序で形成される。素材(油井管継ぎ手)を
りん酸マンガン系化成処理液(以下、化成処理液とい
う)を用いて化成処理することで、素材表面はエッチン
グ(素材の鉄の溶出)され、その際水素イオンの還元反
応が起こる(水素イオン濃度の減少)。そのため、エッ
チング反応が起きている素材と化成処理液との接触部分
(界面)ではpHの上昇が起こり、続いてりん酸マンガ
ンの沈殿反応が起こる。この沈殿反応が素材表面で起き
れば、皮膜が析出(皮膜形成)したことになる。本発明
は、化成処理液を、上記した条件(全酸度、遊離酸度、
酸比)に調整、管理することで、りん酸マンガン系皮膜
の形成が困難であったCr含有鋼の表面でも、りん酸マ
ンガン系皮膜形成反応(エッチング反応と沈殿反応)を
起こすことが可能であることを見出したものである。
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1は本発明の一実施の形
態に係るCr含有鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系
化成処理方法を適用する油井管継ぎ手の説明図である。
に係るCr含有鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系化
成処理方法を適用する油井管継ぎ手10は、例えばCr
を1.0〜13.0wt%含有する鋼からなり、油井管
11相互(他方の油井管は図示しない)を連結するもの
である。以下、詳しく説明する。この油井管継ぎ手10
は管継ぎ手(カップリング継ぎ手)と呼ばれるもので、
油井管継ぎ手10には、油井管11相互を油井管継ぎ手
10により連結する場合、油井管11のネジ部12が終
り、それより先端が油井管11からみて先細のテーパを
なして接触するメタル−メタルシール部13が形成され
ている。そして、油井管継ぎ手10には、このメタル−
メタルシール部13の入り口部に油井管継ぎ手10側に
曲率中心を有する円弧シール部14が形成されている。
従って、油井管継ぎ手10を回転締め付けすることによ
り、メタル−メタルシール部13、及び円弧シール部1
4に圧入代を与えて、接触面に高面圧を発生させシール
を図ることが可能となる。なお、円弧シール部14の曲
率半径rとしては、従来、高気密用(1000〜200
0気圧)では1〜4mmが、中気密用(数百気圧)では
200〜300mmが採用されている。
含有鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方法
を、上記した油井管継ぎ手10を用いて説明する。本発
明の一実施の形態に係るCr含有鋼製油井管継ぎ手のり
ん酸マンガン系化成処理方法は、Cr含有鋼で製造され
た油井管継ぎ手10にりん酸マンガン系化成処理を行う
方法である。Cr含有鋼で製造された油井管継ぎ手10
は、通常防錆油を塗油し保管される。従って、本実施の
形態のりん酸マンガン系化成処理を行うためには、処理
する油井管継ぎ手10の表面が水濡れする必要があり、
塗油された防錆油を除去する工程が必要である。そこ
で、油井管継ぎ手10の表面の脱脂(防錆油除去)を、
アルカリ脱脂、湯洗、溶剤脱脂、溶剤蒸気脱脂等を用い
て行う。ただし、十分水塗れ性を確保するためには、ア
ルカリ脱脂が好適である。脱脂後には、水洗、湯洗等で
余分なアルカリ脱脂液や溶剤を除去する。
に、使用環境等の条件に応じて、油井管継ぎ手10の表
面を表面粗化処理することも可能である。この表面粗化
処理としては、ショットブラスト、サンドブラスト、ス
コッチブライト(登録商標)等の物理的な方法と、塩酸
や硝フッ酸等を使用した酸洗と呼ばれるような化学的な
方法が挙げられる。ただし、物理的粗化方法の場合は、
研磨カス、研磨剤を除去するため、油井管継ぎ手10の
表面の脱脂処理を行ったり、酸洗の場合には、水洗や湯
洗を行って、油井管継ぎ手10の表面の余分な酸を除去
する工程が必要である。これにより、油井管継ぎ手10
の表面積を広くしたり、また油井管継ぎ手10の表面の
酸化膜を除去することができるので、本実施の形態のり
ん酸マンガン系化成処理性(化成処理時間の短縮)を向
上できたり、更に焼き付き性を向上できる。
る前、即ち油井管継ぎ手10の表面の脱脂後、又は上記
した表面粗化処理後に、油井管継ぎ手10の表面を表面
調整処理することも可能である。この表面調整処理に
は、通常のりん酸マンガン系化成処理で使用する処理方
法を採用してよい。本処理により、りん酸マンガン系化
成皮膜の皮膜結晶を小さく緻密にし、膜厚調整を行うこ
とができ、更にりん酸マンガン系化成処理性を向上する
ことができる。
化成処理であるが、前記したように、全酸度を55〜8
0ポイント、遊離酸度を4.0〜14.0ポイント、更
に酸比を5.0〜12.0に調整したりん酸マンガン系
化成処理液、即ち、化成処理液を、まず60℃〜沸騰す
る温度に加温する。この加温した化成処理液に油井管継
ぎ手10を浸漬するか、又はこの化成処理液をスプレー
で吹いて油井管継ぎ手10を化成処理する。なお、化成
処理時間は5〜120分であるが、実際に必要な化成処
理の時間は、表面粗化処理、表面調整処理、化成処理液
の温度によって変わる。そのため、これらの条件は、形
成されるりん酸マンガン系皮膜の状況を見て、工業的に
採算のとれる条件を任意に選択することが好ましい。こ
れにより、油井管継ぎ手10の表面に膜厚5〜60μm
のりん酸マンガン系皮膜を形成する。そして、りん酸マ
ンガン系皮膜を形成させた油井管継ぎ手10を、水洗、
又は湯洗し、余分な化成処理液を洗い流した後、乾燥す
る。乾燥は、水切り乾燥程度で十分であるが、60〜1
20℃の雰囲気のオーブンの中に入れて、水分を除くこ
とが好ましい。水分が残存すると、油井管継ぎ手10を
使用する前に、油井管継ぎ手10の表面に錆が発生する
場合がある。
処理液を構成する全酸度、遊離酸度、酸比、及びりん酸
マンガン系皮膜の膜厚の数値限定理由等について、以
下、詳しく説明する。本実施の形態の化成処理液には、
第一りん酸マンガンを主成分として含有する(PO4 3-
−NO3 - −Mn2+−Ni2+)系と、(PO4 3-−NO
3 - −Mn2+−Zn2+−Ni2+)系とがある。全酸度は
これら成分のうちPO4 3-、NO3 - の酸(アニオン)
の濃度に依存し、遊離酸度はPO4 3-、NO3 - などの
アニオンと、Mn2+、Zn2+、Ni2+等のカチオンとの
バランスに依存し、酸比は化成処理液全体のバランスに
依存する。従って、化成処理液の製造においては、本実
施の形態のように、これらの数値を適正に調整すること
が重要である。
度は、前記したように55〜80ポイントとすることが
好ましい。これは、全酸度が下限値未満であると、素材
に対して皮膜形成が十分に行えなかったり、皮膜形成が
できたとしても多大な時間がかかり、工業的に採算がと
れないため好ましくないことに起因する。一方、上限を
超えると皮膜形成の効果が飽和し、工業的に不経済であ
ると共に、化成処理液中にスラッジを多量に発生するた
め好ましくない。従って、化成処理液の全酸度は、55
〜80ポイントとしたが、より好ましくは58〜75ポ
イント、更には60〜70ポイントとすることが最も好
ましい。
4.0ポイントとすることが好ましい。これは、遊離酸
度が下限値未満であると、化成処理液中にスラッジを多
量に発生するため好ましくないことに起因する。一方、
上限を超えると、素材のエッチング反応が多くなり、り
ん酸マンガン系皮膜の形成を阻害するため好ましくな
い。従って、化成処理液の遊離酸度は、4.0〜14.
0ポイントとしたが、より好ましくは5.0〜13.0
ポイント、更には5.0〜12.0ポイントとすること
が最も好ましい。
とすることが好ましい。これは、酸比が下限値未満であ
ると、素材のエッチング反応が多くなり、りん酸マンガ
ン系皮膜の形成を阻害し、場合によってはスマット(例
えば、酸洗時又はアルカリ処理の際に素材表面に残った
黒色異物等)を発生するため好ましくないことに起因す
る。一方、上限を超えると、効果が飽和し工業的に不経
済であると共に、化成処理液中にスラッジを多量に発生
するため好ましくない。従って、化成処理液の酸比は
5.0〜12.0としたが、より好ましくは6.0〜1
0.0、更には6.0〜8.0とすることが好ましい。
整は、特に限定するものではないが、例えば、全酸度、
遊離酸度のポイントを高くするには、りん酸、硝酸など
の酸を添加する。逆に、低下させる場合には、特に限定
するものではないが、アルカリ金属塩や重金属の炭酸塩
(炭酸Mn、炭酸Zn)、塩基性炭酸塩、酸化物、水酸
化物などを添加することが例として挙げられる。これら
の添加により、化成処理液の全酸度、遊離酸度、酸比を
調整することが可能となる。
厚は、前記したように5〜60μmとすることが好まし
い。これは、膜厚が下限値未満であると、りん酸マンガ
ン系皮膜による耐焼き付き性の向上効果が得られないこ
とに起因する。一方、上限を超えると効果が飽和し、経
済的でない。従って、りん酸マンガン系化成皮膜の膜厚
は5〜60μmとしたが、より好ましくは10〜40μ
m、更には10〜30μmであることが最も好ましい。
L以下でフッ素イオンを含んでもよい。ただ、含有量が
0.2g/Lを超えると、素材のエッチング反応が過多
となり、皮膜形成を阻害し、更にスマットが素材表面に
付着するなどの不具合を生じ易くなる。そして、化成処
理液は、更にFe2+を0.3〜5.0g/L含んでもよ
い。この範囲でFe2+を含むと化成処理(反応)が促進
され、化成時間を短くできる。ただ、この範囲を外れる
と、化成スラッジが多くなったり、形成されるりん酸マ
ンガン系皮膜の結晶が大きくなり、耐焼き付き性の低下
を招く場合がある。
ん酸マンガン系化成処理方法を適用し、試験を行った結
果について説明する。0.20wt%C−0.20wt
%Si−3.0wt%Cr−0.5wt%Mo鋼で耐食
性用として製造した外径177.8mm、肉厚11.5
mm、API規格L80の油井用鋼管ネジ継ぎ手(油井
管継ぎ手)に、表1に示した各種条件のりん酸マンガン
系化成処理を行った。なお、これらの条件にて製造され
た油井用鋼管ネジ継ぎ手の締め付け、締め戻し試験を行
った結果も併せて表1に示す。
比較例7及び8は、数回で焼き付きが発生したのに対
し、本発明例1〜6は、いずれも10回まで焼き付きが
発生しなかった。即ち、油井用鋼管ネジ継ぎ手に、本発
明のCr含有鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系化成
処理方法を適用することで、従来Cr含有鋼で製造され
たため、りん酸マンガン系化成処理が困難であった油井
用鋼管ネジ継ぎ手の表面に、耐焼き付き性に優れたりん
酸マンガン系皮膜を安定に形成することが可能となった
ことが分かる。
説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記
載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に
記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施
の形態や変形例も含むものである。
4記載のCr含有鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系
化成処理方法においては、油井管継ぎ手の表面とりん酸
マンガン系化成処理液との接触部分(界面)で十分な化
学反応を起こすことができるので、従来困難であった耐
焼き付き性に優れたりん酸マンガン系皮膜を、油井管継
ぎ手の表面に形成することが可能となる。従って、耐焼
き付き性に優れ、しかもH 2 SやCO2 を伴う腐食環境
下でも、耐食性等の性能を十分発揮する油井管継ぎ手を
製造できる。請求項2及びこれに従属する請求項3、4
記載のCr含有鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系化
成処理方法においては、油井管継ぎ手の表面とりん酸マ
ンガン系化成処理液との接触部分(界面)で十分な化学
反応を起こすことができ、しかも従来困難であった耐焼
き付き性に優れたりん酸マンガン系皮膜の膜厚を、焼き
付きが発生する恐れがない程度に、油井管継ぎ手の表面
に形成することが可能となる。従って、経済性や耐焼き
付き性に優れ、しかもH2 SやCO2 を伴う腐食環境下
でも、耐食性等の性能を十分発揮する油井管継ぎ手を製
造できる。
継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方法においては、油
井管継ぎ手の表面に形成するりん酸マンガン系皮膜の皮
膜結晶を小さく緻密にすることが可能となる。従って、
りん酸マンガン系皮膜の膜厚の調整を行うことができ、
しかもりん酸マンガン系化成処理性(化成処理時間の短
縮)を向上させることが可能となる。請求項4記載のC
r含有鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方
法においては、油井管継ぎ手の表面積を広くでき、しか
も表面の酸化膜を除去することが可能となる。従って、
りん酸マンガン系化成処理性を向上でき、しかも耐焼き
付き性を向上させることが可能となる。
管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方法を適用する油
井管継ぎ手の説明図である。
3:メタル−メタルシール部、14:円弧シール部
Claims (4)
- 【請求項1】 Cr含有鋼で製造された油井管継ぎ手に
りん酸マンガン系化成処理を行う方法であって、全酸度
を55〜80ポイント、遊離酸度を4.0〜14.0ポ
イント、更に酸比を5.0〜12.0に調整したりん酸
マンガン系化成処理液を用い、前記油井管継ぎ手を化成
処理して、該油井管継ぎ手の表面にりん酸マンガン系皮
膜を形成することを特徴とするCr含有鋼製油井管継ぎ
手のりん酸マンガン系化成処理方法。 - 【請求項2】 Cr含有鋼で製造された油井管継ぎ手に
りん酸マンガン系化成処理を行う方法であって、全酸度
を55〜80ポイント、遊離酸度を4.0〜14.0ポ
イント、更に酸比を5.0〜12.0に調整したりん酸
マンガン系化成処理液を用い、前記油井管継ぎ手を化成
処理して、該油井管継ぎ手の表面に膜厚5〜60μmの
りん酸マンガン系皮膜を形成することを特徴とするCr
含有鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方
法。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載のCr含有鋼製油井
管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方法において、前
記油井管継ぎ手を前記化成処理する前に、該油井管継ぎ
手の表面を表面調整処理することを特徴とするCr含有
鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方法。 - 【請求項4】 請求項1又は2記載のCr含有鋼製油井
管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方法において、前
記油井管継ぎ手を前記化成処理する前に、該油井管継ぎ
手の表面を表面粗化処理することを特徴とするCr含有
鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2000151111A JP2001335956A (ja) | 2000-05-23 | 2000-05-23 | Cr含有鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方法 |
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JP2000151111A JP2001335956A (ja) | 2000-05-23 | 2000-05-23 | Cr含有鋼製油井管継ぎ手のりん酸マンガン系化成処理方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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