JP2001330933A - ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法 - Google Patents

ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法

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JP2001330933A
JP2001330933A JP2000146672A JP2000146672A JP2001330933A JP 2001330933 A JP2001330933 A JP 2001330933A JP 2000146672 A JP2000146672 A JP 2000146672A JP 2000146672 A JP2000146672 A JP 2000146672A JP 2001330933 A JP2001330933 A JP 2001330933A
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JP
Japan
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acid
general formula
processing
solution
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JP2000146672A
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Hiroyuki Seki
裕之 関
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 水洗水中に水酸化物の沈殿が生じることがな
く、感光材料に着色汚れが引き起こされることもない、
生分解性漂白剤を用いたカラー反転感光材料の処理方法
を提供する。 【解決手段】 漂白液が鉄イオン濃度が0.2〜0.4m
ol/Lであって、一般式(I)又は(V)で表わされる化合物
の鉄(III)錯塩を少なくとも1種含有する漂白液であ
り、定着液がモノアミノポリカルボン酸又はジアミノポ
リカルボン酸を0.05〜0.2mol/L含有する定着液
であることを特徴とするハロゲン化銀カラー反転感光材
料の処理方法。 一般式(I) 一般式(V)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化銀カラ
ー反転感光材料(以下、単に感光材料と記すこともある)
の処理方法に関するものであり、特に、漂白液及び定着
液を用いて脱銀処理する方法に関する。とりわけ、環境
保全上の配慮が為され、かつ処理液中の沈殿生成や感光
材料の着色汚れが起こりにくい、優れた現像品質を発揮
する処理方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】感光材料は、画像露光された後、処理され
て画像が得られるが、その処理工程では、現像処理に続
いて漂白液や定着液による処理が行われたのち、水洗が
行われ、乾燥されて写真が得られる。漂白液に含まれる
漂白剤としては、健康安全性の観点からエチレンジアミ
ン四酢酸(EDTA)や1,3-プロピレンジアミン四酢酸
(1,3−PDTA)の鉄(III)錯塩がよく用いられてき
たが、近年の地球環境の保全に対する認識の一層の高ま
りから、健康安全性に加えて環境負荷も少ない処理剤の
開発が求められている。そのために写真業界において
は、生分解が困難なEDTAや1,3−PDTAの鉄(I
II)錯塩に代わる生分解性に富む漂白剤の研究が進めら
れている。この代替用の代表的な化合物として、米国特
許第6,013,422号公報に記載のイミノポリカルボン酸の
鉄(III)錯塩や特開平5−303186号公報に記載の
エチレンジアミンジコハク酸の鉄(III)錯塩が見出され
ている。
【0003】しかしながらこれら生分解性に優れた漂白
剤は、従来から用いられてきた上記のエチレンジアミン
四酢酸(EDTA)や1,3-プロピレンジアミン四酢酸
(1,3−PDTA)の鉄(III)錯塩などに比べて安定度
定数が低いために、処理済みの感光材料中に鉄イオンが
残留して、不要な着色を生じたり、あるいは定着液に鉄
の水酸化物沈殿を生じることがある。この欠陥を解決す
るために、定着液中に鉄イオンに対する錯形成剤を添加
する方法が上記米国特許第6,013,422号公報に記載され
ている。しかしながら、通常、カラー反転処理の場合に
行われているような、感光材料をハンガーで搬送するい
わゆる吊り下げ現像方式では、前の処理槽から次の処理
槽に持ち込まれる前の槽の液浴(キャリーオーバーと呼
ばれる)の成分量が多く、定着槽に続く水洗槽において
は、持ち込まれた多量の定着液のために水洗槽中に水酸
化物の沈殿が発生して循環系に支障をもたらしたり、感
光材料に着色汚れを与えたりして、現像機の管理や保守
作業上及び画像品質上重大な支障を生じる。とりわけ欧
州地域のように炭酸イオンを多量に含む用水を使用して
水洗を行う地域で、このような問題点が顕著に発生し、
その解決策が求められている。欧州地域でこの問題が起
こりやすいのは、おそらく水洗水から炭酸ガスが逃散す
るときに水洗水のpHが高くなり、水酸化鉄の沈殿が発
生しやすくなることが原因と考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、生分解性漂白剤を用いた反転カラー処理において、
水洗水中に水酸化物の沈殿が生じることがなく、感光材
料に着色汚れが引き起こされることもない、優れた写真
品質を与えるカラー反転感光材料の処理方法を提供する
ことである。
【0005】
【課題を達成するための手段】本発明者は上記課題に対
して鋭意検討した結果、漂白液中の生分解性漂白剤と定
着液に添加する鉄イオンに対する錯形成剤の特定の組み
合わせによって上記の沈殿生成を軽減できることを見出
し、この発見に基づいて更に検討を重ねて本発明に至っ
た。すなわち、本発明は、以下に示す処理方法によって
達成される。
【0006】1.漂白液による処理、定着液による処理
及び水洗処理を、各処理の間に他の液による処理を設け
ることなく、上記の順序で続けて行うハロゲン化銀カラ
ー写真感光材料の処理方法において、該漂白液が鉄イオ
ン濃度が0.2〜0.4mol/Lであって、下記一般式(I)
又は一般式(V)で表わされる化合物の鉄(III)錯塩を少な
くとも1種含有する漂白液であり、該定着液がモノアミ
ノポリカルボン酸又はジアミノポリカルボン酸から選ば
れる錯形成剤を0.05〜0.2mol/L含有する定着液
であることを特徴とするハロゲン化銀カラー反転感光材
料の処理方法。
【0007】一般式(I)
【化3】
【0008】一般式(I)において、R1、R2、R3、R4
R5、R6、R7及びR8は、それぞれ水素原子、アルキル基、
芳香族基又はヒドロキシ基を表す。Wは、主鎖の炭素数
が5以下である2価の連結基を表す。X1及びX2はそれぞ
れ水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又はア
ルコキシアルキル基を表す。M1、M2、M3及びM4は、水素
原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はオ
ニウム基を表す。t及びuは1又は0である。
【0009】一般式(V)
【化4】
【0010】一般式(V)において、R11、R12及びR13は、
それぞれアルキレン基を表す。ただしR11、R12及びR13
が#、同時にメチレン基を表すことはない。X11、X12
びX13は、それぞれCOO M5を表す。M5は、水素原子、ア
ルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はオニウム基
を表す。
【0011】2.該水洗処理の補充量が,1000〜7000ml/
m2であることを特徴とする上記1に記載のハロゲン化銀
カラー反転感光材料の処理方法。
【0012】3.該漂白液による処理の直前の処理工程
に用いる処理液が、上記一般式(I)又は一般式(V)で表わ
される化合物の少なくとも1種を含有することを特徴と
する上記1又は2に記載のハロゲン化銀カラー反転感光
材料の処理方法。
【0013】反転カラー感光材料の処理において、第一
(黒白)及び反転(カラー)現像工程に続く脱銀工程は、漂
白液及び定着液によるそれぞれの処理工程からなり、そ
れに続いて水洗処理が行われるが、一般的には漂白液に
よる処理から定着液による処理の工程間には、他の液に
よる処理工程を設けることなく、この順序で続けて処理
が行われる。この処理において、漂白剤として上記一般
式(I)で表わされるポリアミノポリカルボン酸又は上記
一般式(V)で表わされるニトリロトリカルボン酸の鉄(II
I)錯塩を少なくとも1種含有して、鉄イオン濃度が0.
2〜0.4mol/Lである漂白液と、モノアミノポリカル
ボン酸又はジアミノポリカルボン酸から選ばれる錯形成
剤を0.05〜0.2mol/L含有する定着液とを組み合
わせて用いると、前記した沈殿生成や感光材料の汚れが
生じることなく、現像機の管理や保守作業にも、処理品
質上にも問題のない処理が可能となる。
【0014】上記の本発明の方法によれば、水洗槽中の
沈殿生成を効果的に抑制できるので、用水コストの増大
が支障とならない範囲の大量の水生水量から、水洗不足
による欠陥が現れない範囲の節水型の水洗まで広い範囲
の水洗水量を選択することが可能となる。したがって、
本発明において好ましい水洗水の補充量は、1000から70
00ml/m2、より好ましくは、2000〜6000ml/m2であって、
この範囲であれば、沈殿生成や付随する着色汚れの発生
もなく、しかも節水処理であってかつ廃水処理の負荷も
少ないカラー反転感光材料の処理が可能となる。さらに
詳細については後述する。
【0015】反転カラー感光材料の処理では、第一(黒
白)及び反転(カラー)現像処理からなる現像工程と、漂
白液及び定着液による脱銀工程の間には、前漂白又は調
整浴と呼ばれる工程が設けられることが一般的である。
本発明者は、この工程に用いる前漂白液に、上記一般式
(I)又は一般式(V)で表わされる化合物の少なくとも1種
を含有させると、水洗水中の沈殿生成が抑制されて発明
の効果が逸そう顕著となることを見出した。したがっ
て、本発明の好ましい態様としては、、前漂白液に上記
一般式(I)又は一般式(V)で表わされる化合物の少なくと
も1種を含有させるとともに、続く漂白工程ではこれら
の化合物の鉄(III)錯塩を含有する漂白液を使用し、漂
白液処理ののち、続けて定着液による処理とさらに続け
て水洗処理を行う処理方法である。
【0016】なお、本明細書の記述においては、当業界
の用例にしたがって、ハロゲン化銀感光材料の「処理」
の全体も、その処理工程を構成する現像、漂白、定着な
どの各ユニット工程の「処理」も、混乱のおそれのない
限り、いずれも「処理」と呼んでいる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。はじめに、前記一般式(I)で表わされる化
合物及びその鉄(III)錯塩についてさらに説明する。前
記一般式(I)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7
及びR8は、それぞれ水素原子、アルキル基、芳香族基又
はヒドロキシ基であるが、これらの基がアルキル基を表
わす場合、そのアルキル基は、直鎖状、分岐状または環
状のいずれでもよく、炭素数1ないし10のものが好ま
しい。より好ましくは、直鎖状のアルキル基であり、更
に好ましくは炭素数1ないし3のアルキル基が好まし
く、特に好ましくはメチル基及びエチル基である。R1
R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8が芳香族基を表わす場
合、その芳香族基は、単環または2環のアリール基また
は芳香族ヘテロ環基であり、例えばフェニル基、ナフチ
ル基、ピリジル基が挙げられ、フェニル基がより好まし
い。
【0018】これらのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及び
R8で表されるアルキル基及び芳香族基は置換基を有して
いてもよく、その置換基がアルキル基の場合は炭素数1
〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは1
〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、例
えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル
基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、ラウ
リル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、2−エチル
ヘキシル基である。その置換基がアリール基の場合は、
炭素数6〜12、好ましくは炭素数6〜10、より好ま
しくは炭素数6〜8のアリール基であり、例えばフェニ
ル基、トリル基、クレシル基が挙げられる。置換基がア
ミノ基の場合は、その置換基は、炭素数0〜20、好ま
しくは炭素数0〜10、より好ましくは0〜6のアミノ
基であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチル
アミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオ
クチルアミノ基が挙げられる。置換基がアルコキシ基の
場合は、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜6、より
好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、例えば
メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、プロポキシ基、
ラウリルオキシ基が挙げられる。置換基がアリールオキ
シ基の場合は炭素数6〜12、好ましくは炭素数6〜1
0、より好ましくは炭素数6〜8のアリールオキシ基で
あり、例えばフェノキシ基、トリルオキシ基が挙げられ
る。置換基がアシル基の場合は炭素数2〜12、好まし
くは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜8のア
シル基であり、例えばアセチル基、プロパノイル基であ
る。置換基がアルコキシカルボニル基の場合は炭素数2
〜12、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭
素数2〜8のアルコキシカルボニル基であり、例えばメ
トキシカルボニル基が挙げられる。
【0019】その他の置換基としては、アリールオキシ
カルボニル基(炭素数7〜20、好ましくは炭素数7〜
15、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフ
ェニルオキシカルボニル基)、アシルオキシ基(炭素数
2〜12、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは
炭素数2〜8であり、例えばアセトキシ基)、アシルア
ミノ基(炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜6、よ
り好ましくは炭素数2〜4であり、例えばアセチルアミ
ノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(炭素数2〜1
2、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数
2〜8であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基)、
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数
7〜20、より好ましくは炭素数7〜12、特に好まし
くは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカル
ボニルアミノ基)、スルホニルアミノ基(炭素数1〜1
0、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1
〜4であり、例えばメタンスルホニルアミノ基)、スル
ファモイル基(炭素数0〜10、好ましくは炭素数0〜
6、より好ましくは0〜4であり、例えばスルファモイ
ル基、メチルスルファモイル基)、カルバモイル基(炭
素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6、より好ましく
は炭素数1〜4であり、例えばカルバモイル基、メチル
カルバモイル基)、アルキルチオ基(炭素数1〜8、好
ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4で
あり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、カルボキシ
メチルチオ基)、アリールチオ基(炭素数6〜20、好
ましくは炭素数6〜10、より好ましくは炭素数6〜8
であり、例えばフェニルチオ基)、スルホニル基(炭素
数1〜8、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭
素数1〜4であり、例えばメタンスルフィニル基)、ウ
レイド基(炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜6、よ
り好ましくは炭素数1〜4であり、例えばウレイド基、
メチルウレイド基)、ヒドロキシ基、メルカプト基、シ
アノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロ
キサム酸基、ヘテロ環基(例えばイミダゾリル基、ピリ
ジル基)が挙げられる。可能な場合にはその解離体又は
塩であってもよい。これらの置換基はさらに上記した置
換基で置換されてもよい。
【0020】好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7
及びR8は、水素原子またはヒドロキシ基である。より好
ましくはR1、R2、R3、R5、R6、及びR7が水素原子であっ
て、R4及びR8が水素原子又はヒドロキシ基である。最も
好ましくは、R1〜R8の全てが水素原子である。
【0021】一般式(I)において、Wで表される二価
の連結基は、好ましくは下記一般式(W)で表すことが
できる。 一般式(W) −(W1−D)m−(W2)n− 一般式(W)において、W1及びW2は同じであっても異な
っていてもよく、主鎖の炭素数の和が5以下の連結基で
あり、好ましい連結基としては、炭素数2〜5の直鎖又
は炭素数2〜8の分岐のアルキレン基(例えばエチレン
基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、i−ブチレ
ン基、1,2−ヘキシレン基、3−エチルヘキシレン
基)、炭素数5〜10のシクロアルキレン基(例えば
1,2−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレ
ン基)、炭素数6〜10のアリーレン基(例えば1,2
−フェニレン基、1,4−o−トリレン基)、炭素数7
〜10のアラルキレン基(例えばo−キシレニレン基、
2,2−フェネチレン基)又はカルボニレン基を表す。
【0022】Dは−O−、−S−、−N(Rw)−、二
価の含窒素へテロ環基を表し、好ましくは−O−、−S
−、−N(Rw)−である。Rwは水素原子又は−CO
OMa、−PO3MbMc、−OHもしくは−SO3Md
で置換されてもよい炭素数1〜8のアルキル基(例えば
メチル基、ブチル基、ヘキシル基)もしくは炭素数6〜
10のアリール基(例えばフェニル基、トリル基、2−
エチルフェニル基)を表す。好ましくはRwは炭素数1
〜8のアルキル基である。
【0023】Ma、Mb、Mc及びMdはそれぞれ水素
原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はオ
ニウム基を表す。アルカリ金属原子としては、リチウ
ム、ナトリウム、カリウムなどの金属原子、アルカリ土
類金属原子としては、カルシウム、マグネシウムなどの
金属原子、オニウム基としては、アンモニウム基(例え
ばアンモニウム基、テトラエチルアンモニウム基)やピ
リジニウム基などを挙げることができる。
【0024】Wで表される連結基は置換基を有していて
もよく、置換基としてはR1〜R8で表わされるアルキル
基または芳香族基が置換していてもよい基として前記し
た置換基が挙げられる。二価の含窒素へテロ環基として
はヘテロ原子が窒素である5または6員環のものが好ま
しく、イミダゾリル基の如き隣り合った炭素原子にてW1
及びW2と連結しているものが更に好ましい。好ましいW1
及びW2としては、炭素数2〜4のアルキレン基が挙げら
れる。
【0025】mは0〜3の整数を表し、mが2又は3の
時にはW1−Dは同じであっても異なっていてもよい。
mは0〜2が好ましく、0又は1が更に好ましく、0が
特に好ましい。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3
のときにはW2は同じでも異なってもよい。nは好まし
くは1又は2であり、1が特に好ましい。Wの具体例と
しては例えば以下のものが挙げられる。
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】X1及びX2で表されるアルキル基(無置
換)は、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキ
ルを表す。より好ましくは、直鎖アルキル基が好まし
く、更に好ましくはメチル基またはエチル基である。X
1及びX2で表されるアルコキシアルキル基は、アルコキ
シ基の炭素数が1〜6でアルキル基の炭素数が1〜6で
あるのが好ましい。より好ましくはアルコキシ基の炭素
数が1〜3でアルキル基の炭素数が1〜3である。具体
的には、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキ
シエチル基が挙げられる。X1及びX2で表されるヒドロ
キシアルキル基としては炭素数1〜5のものが好まし
く、より好ましくはヒドロキシエチル基である。好まし
いX1及びX2としては、水素原子、メチル基、エチル
基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、メトキシ
エチル基、エトキシエチル基であり、より好ましくは水
素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子であ
る。
【0029】好ましいM1、M2、M3及びM4で表される
カチオンとしては、分子内でそれぞれ同じでも異なって
いてもよく、オニウム基としては例えば、アンモニウム
基(例えばアンモニウム基、テトラエチルアンモニウム
基)、アルカリ金属原子としては、リチウム、ナトリウ
ム、カリウムなどの金属原子)、アルカリ土類金属原子
としては、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどの
金属原子及びピリジニウム等を挙げることができる。よ
り好ましくはアルカリ金属原子である。
【0030】t及びuで表される0〜5の整数のうち、
好ましくは0または1であり、より好ましくは0であ
る。t及びuが2以上のとき、複数個のR2は同じであ
ってもよく、異なっていてもよく、複数個のR6も同様
である。一般式(I)で表される化合物は、好ましくは
下記一般式(II)で表される化合物であり、さらに好
ましくは一般式(III)で表される化合物である。最
も好ましくは一般式(IV)で表される化合物である。
【0031】一般式(II)
【化7】
【0032】一般式(II)において、R1、R2、R3、R4
R5、R6、R7、M1、M2、M3、M4、X1、X2、W、t及びu
は、それぞれ一般式(I)のそれらと同義であり、好ま
しい範囲も同じである。*は不斉炭素の絶対配置がSで
あることを表す。
【0033】一般式(III)
【化8】
【0034】一般式(III)において、R1、R2、R3
R4、R5、R6、R7、M1、M2、M3、M4、t及びuは、それ
ぞれ一般式(I)のそれらと同義であり、好ましい範囲
も同じである。W3はエチレンまたはトリメチレンを表
す。*は不斉炭素の絶対配置がSであることを表す。
【0035】一般式(IV)
【化9】
【0036】一般式(IV)において、M1、M2、M3
びM4は、それぞれ一般式(I)のそれらと同義であ
り、好ましい範囲も同じである。W3はエチレン基または
トリメチレン基を表す。*は不斉炭素の絶対配置がSで
あることを表す。一般式(I)の化合物は、2個の不斉
炭素があるため、SS体、SR体、RR体の3種の異性体が存
在する。好ましくは、SS体とSR体であり、より好ましく
はSS体である。但し、配位子の合成、経時、調液時にラ
セミ化する場合もあるため、SS体と言っても僅かにS
R体あるいはRR体を含む場合もある。SS体の光学純
度としては90%eeが好ましく、より好ましくは95
%ee以上であり、更に好ましくは99%ee以上であ
る。本発明において、上述した一般式(I)で表される
化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定される
ものではない。
【0037】
【化10】
【0038】
【化11】
【0039】
【化12】
【0040】
【化13】
【0041】一般式(I)で表される化合物は、キレー
ト化学(5)上野景平編集 南江堂311頁(エチレン
ジアミン−N,N‘−ジコハク酸の合成)、Inorgnic C
hemistry,7,2405(1968)、Chm.Zvesti.,20,414(1966)、Z
hurnal Obshchei Khinii,49,659(1978)などのほかWO95/
12570、WO96/01802、WO96/01803、WO96/01804、WO96/35
662、US5466867、EP0694528、EP0731171、WO96/32371、
GB2299809、WO96/35662、DE19518150などの各公報に記
載されている方法を参考に合成することもできる。
【0042】本発明にかかわる一般式(I)で表される
化合物の鉄錯塩(以下、単に本発明に関わる鉄錯塩ある
いは鉄キレート化合物と言うこともある)は、一般式
(M-I)で表すことができる。一般式(M-I)のうち好ま
しくは一般式(M-II)で表される化合物であり、更に好
ましくは一般式(M-III)で表される化合物であり、最
も好ましくは一般式(M-IV)で表される化合物である。
【0043】一般式(M-I)
【化14】
【0044】一般式(M−I)において、R1、R2、R3
R4、R5、R6、R7、M1、M2、M3、M4、X1、X2、W、t及
びuは、それぞれ一般式(I)のそれらと同義であり、
好ましい範囲も同じである。M1a、M2a、M3a及びM4aは、
水素原子、カチオン、またはカルボキシレートのアニオ
ンを表す。Mは、カウンターカチオンを表す。pは1/
3から6までの整数または小数を表す。Yは、単座また
は2座の配位子を表す。rは0〜2の整数を表す。q
は、0〜10の整数または小数を表す。
【0045】一般式(M-II)
【化15】
【0046】一般式(M−II)において、R1、R2、R3、
R5、R6、R7、X1、X2、W、t及びuは、それぞれ一般式
(I)のそれらと同義であり、好ましい範囲も同じであ
る。M1 a、M2a、M3a及びM4aは、水素原子、カチオン、ま
たはカルボキシレートのアニオンを表す。Mは、カウン
ターカチオンを表す。pは1/3から6までの整数また
は小数を表す。Yは、単座または2座の配位子を表す。
rは0〜2の整数を表す。qは、0〜10の整数または
小数を表す。*は不斉炭素の絶対配置がSであることを
表す。
【0047】一般式(M-III)
【化16】
【0048】一般式において、R1、R2、R3、R4、R5
R6、R7、t及びuは、それぞれ一般式(I)のそれらと
同義であり、好ましい範囲も同じである。W3は、エチ
レン又はトリメチレン基を表す。M1a、M2a、M3a及びM4a
は、水素原子、カチオン、またはカルボキシレート基の
アニオンを表す。Mは、カウンターカチオンを表す。p
は1/3から6までの整数または小数を表す。Yは、単
座または2座の配位子を表す。rは0〜2の整数を表
す。qは、0〜10の整数または小数を表す。*は不斉
炭素の絶対配置がSであることを表す。
【0049】一般式(M-IV)
【化17】
【0050】一般式(M-IV)においてW3は、エチレン
又はトリメチレン基を表す。Mは、カウンターカチオン
を表す。pは1/3、1/2または1を表す。rは、0
〜10の整数または小数を表す。*は不斉炭素の絶対配
置がSであることを表す。
【0051】M1a、M2a、M3a及びM4aで表されるカチオン
は、一般式(I)のM1、M2、M3及びM 4で表されるカチオ
ンとして挙げたものが適用できる。またM1a、M2a、M3a
及びM4 aで表されるカルボキシレート基のアニオンと
は、−CO2M1aのアニオン部分が-CO 2 -を表すことを指
し、M2a、M3a及びM4aについても同様である。M1a
M2a、M3a及びM4aとして好ましくは、それらのうち少な
くとも2個以上がカルボキシレート基のアニオンである
場合であり、より好ましくは3個以上がカルボキシレー
ト基のアニオンである場合であり、最も好ましくは全て
がカルボキシレート基のアニオンである場合である。
【0052】Mで表されるカウンターカチオンは、一般
式(I)のM1、M2、M3及びM4で表される金属原子あるい
はオニウム基のイオンが適用できる。好ましくは、アン
モニウム、ナトリウム、カリウムの各イオンであり、よ
り好ましくはアンモニウム、ナトリウムの各イオンであ
り、最も好ましくはアンモニウムイオンである。pは1
/3から6までの整数または小数を表し、錯体全体の電
荷を中和するだけの個数が必要である。しかし、Mで表
されるカチオンが2価以上の場合は、小数となる場合が
ある。pとして好ましくは1/3、1/2または1であ
り、より好ましくは1である。
【0053】Yで表される配位子は、単座または2座の
配位子を表す。例えば、蓚酸イオン、アコイオン、ヒド
ロキソイオン、マロン酸イオン、酒石酸イオンである。
配位子の配位基数が3個以上ある場合でも、鉄イオンに
2座配位子として配位するものは全て含まれる。rは0
〜2の整数を表すが、好ましくは0または1であり、よ
り好ましくは0である。qは、0〜10の整数または小
数を表し、好ましくは0〜3であり、より好ましくは0
または1であり、最も好ましくは0である。
【0054】以上で一般式(I)の化合物及びその鉄(III)
錯塩の説明を終わり、一般式(V)の化合物及びその鉄(I
II)錯塩について説明する。一般式(V)において、R11
R12及びR13は、それぞれ炭素数1〜3のアルキレン基を
表す。具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロ
ピレン基、i−プロピレン基である。ただしR11、R12
びR13が#、同時にメチレン基を表すことはない。X11、X
12及びX13は、それぞれCOO M5を表す。M5は、水素原子
又はLi,Na,K,Csなどのアルカり金属原子、ア
ンモニウム基、テトラメチルアンモニウム基、スルホニ
ウム基などのオニウム基、カルシウム、マグネシウムな
どのアルカリ土類金属原子を表す。以下に、一般式(V)
で表わされる化合物を例示するが、本発明において一般
式(V)の化合物は、これらに限定されるものではない。
【0055】
【化18】
【0056】本発明にかかわる一般式(V)で表される
化合物の鉄錯塩は、一般式(M-V)で表される鉄(III)
イオンと一般式(V)の化合物の1:1錯塩が好ましい。
しかしながら鉄(III)イオンと一般式(V)の化合物の1:
2錯塩や1:2錯塩などの複核錯塩であっても本発明に
用いることができる。一般式(M-V)においてR11、R12
及びR13は、一般式(V)の化合物に関して説明したものと
同義である。
【0057】一般式(M-V)
【化19】
【0058】一般式(I)又は一般式(V)で表される化
合物の鉄キレート化合物(すなわち一般式(M-I)又は
一般式(M-V))は、単離した固体状態(例えば粉状、
顆粒状、固形状)だけでなく、単離しない溶液状態(例
えば水溶液)であってもよい。一般式(M-I)又は一般
式(M-V)で表される鉄キレート化合物については、特
開平11−130741、特開平10−279544、
特開平8−34764、特開平7−291984、特開
平7−2745、米国特許5717123号、米国特許
5763634の各公報を参考にして合成することがで
きる。
【0059】鉄キレート化合物は、一般式(I)又は一
般式(V)で表される化合物と鉄塩とを溶液中で反応させ
て合成することができ、一般式(I)又は一般式(V)で
表される化合物としては、アンモニウム塩やアルカリ金
属塩(例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩)
を用いてもよい。鉄キレート化合物を単離しない溶液状
態で使用する場合には、反応で生成した溶液中の余分な
塩を除去することが好ましい。本発明においては、塩の
除去方法としては、限外濾過法や電気透析法、溶媒濃縮
による塩の濾別、貧溶媒添加による塩の濾別などが挙げ
られるが、好ましくは電気透析法である。また溶媒が水
の場合、一般式(I)又は一般式(V)で表される化合物の
鉄キレート化合物の溶液の好ましいpHは2〜9であり、
より好ましくはpH3〜8であり、特に好ましくはpH6〜
8である。鉄キレート化合物の濃度としては、1〜80
質量%が好ましく、より好ましくは1〜50質量%であ
り、さらに好ましくは3〜35質量%である。単離しな
い鉄キレート化合物溶液の溶媒としては、水が好まし
い。また鉄イオンに対する一般式(I)又は一般式(V)
で表される化合物の割合は、モル比で1.0以上が好ま
しい。より好ましくは1.05以上2以下であり、特に
好ましくは1.1以上1.2以下である。
【0060】本発明にかかわる一般式(I)又は一般式
(V)で表される化合物の鉄キレート化合物を合成する
際、鉄(III)成分の原料としてはどんな塩または単体で
もよいが、無機塩としては硫酸第二鉄塩、塩化第二鉄
塩、硝酸第二鉄塩、硫酸第二鉄アンモニウム、燐酸第二
鉄塩、硫酸第一鉄塩、塩化第一鉄塩、硝酸第一鉄塩、硫
酸第一鉄アンモニウム、燐酸第一鉄塩、四三酸化鉄、三
二酸化鉄、水酸化鉄、有機塩としては酢酸鉄、また、単
体としては鉄粉、スチールウールを用いることができ
る。これらの鉄(III)成分原料類は、単独で用いてもよ
く、二種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。鉄
キレート化合物の合成に使用できる溶媒としては、反応
に関与しないものであれば何れの化合物を用いてもよい
が、水が最も好ましい
【0061】本発明においては、一般式(I) 又は一般式
(V)で表わされる化合物の供給形態が、予め鉄(III)錯塩
を形成したものであり、且つその供給形態における鉄(I
II)錯塩以外の塩が、鉄(III)錯塩に対して0〜10重量
%であることが好ましく、より好ましくは0〜7重量%
であり、特には0〜5重量%である。より具体的には、
一般式(I) 又は一般式(V)で表わされる化合物と三二酸
化鉄とを反応させて得た鉄錯塩含有化合物や、あるいは
一般式(I) 又は一般式(V)で表わされる化合物と塩化鉄
(III)とを反応させた後、所望の状態まで脱塩した鉄錯
塩含有化合物を用いることが好ましい。ここでいう鉄(I
II)錯塩以外の塩とは、一般式(I) 又は一般式(V)で表わ
される化合物と鉄塩とを反応させて生じる副生成物のこ
とであり、上述した一般式(M-1) 又は一般式(M-V)で表
わされる化合物以外の塩のことを指す。
【0062】本発明において、上述した一般式(M-I)
又は一般式(M-V)で表される化合物の具体例を示す
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0063】
【化20】
【0064】
【化21】
【0065】
【化22】
【0066】
【化23】
【0067】鉄キレートの具体的合成例 (M-1の合成)500mlの三口フラスコに温度計、攪拌機を
取り付け、その中に化合物I-2を75g(0.257m
ol)、水190ml、27質量%アンモニア水(和光
純薬製濃度25.0〜27.9質量%)30gを添加し
て十分に攪拌した。さらに四三酸化鉄(アルドリッチ社
製、純度98質量%)20.0gを添加し、85℃で4
5分間加熱攪拌を行った。室温に冷却した後、アンモニ
ア水でpH8に調製し、この反応液にボールフィルターを
通して空気を10リットル/分の速度で3時間吹き込ん
だ。反応液を濾布および濾紙で濾過し、硝酸でpH4.5
に調製した。この溶液を加温しながら体積が1/3にな
るまで減圧濃縮した。冷蔵庫で一晩放置し、析出した結
晶を濾取し、これを僅かな量の冷水で洗浄した。得られ
た結晶を温度50℃で一晩乾燥させ、目的とするM-1を
得た。収量は77.1g(0.213mol、収率83
%(I-2に対して) )であった。元素分析によって求め
た純度は以下のとおりであった。 元素分析値(%)(M-1を分子量(MW)を362.1として) C H N Fe 計算値 33.17 4.45 11.60 15.42 測定値 33.43 4.53 11.75 15.31
【0068】(M-1の合成 その2)500mlの三口フラス
コに温度計、攪拌機を取り付け、その中に化合物I-2を
75g(0.257mol)、水190ml、27%ア
ンモニア水(和光純薬製、純度25.0〜27.9質量
%)30gを添加し、十分に攪拌した。さらに三二酸化
鉄(アルドリッチ社製 純度99質量%)20.7gを
添加し、85℃で45分加熱攪拌した。室温に冷却後、
アンモニア水でpH8に調製し、この反応液にボールフィ
ルターを通して空気を10リットル/分の流速で0.5
時間吹き込んだ。反応液を濾布および濾紙で濾過し、硝
酸でpH4.5に調製した。この溶液を加温しながら体積
が1/3になるまで減圧濃縮した。冷蔵庫で一晩放置
し、析出した結晶を濾取し、その結晶を僅かな量の冷水
で洗浄した。得られた結晶を温度50℃で一晩乾燥さ
せ、目的とするM-1を得た。収量は、61.3g(0.
169mol、収率66%(I-2に対して))であった。
【0069】(M-1の合成 その3)500mlの三口フラス
コに温度計、攪拌機を取り付け、その中に化合物I-2を
75g(0.257mol)と水50mlを添加した。
この反応液を27%アンモニア水(和光純薬製 純度2
5.0〜27.9%)でpH5に調製し完溶させた。硝酸
鉄(III)9水和物(アルドリッチ社製 純度98%)
103.8g(0.257mol)を水100mlに溶
解し、前述のI-2水溶液に加えた。この時pHが3〜7の
間に来るようにアンモニア水を調節しながら滴下した。
よく攪拌した後、アンモニア水あるいは硝酸でpH4.5
に調整し、反応液を濾布および濾紙で濾過した。この濾
液を電気透析で脱塩後、加温しながら体積が1/3にな
るまで減圧濃縮した。冷蔵庫で一晩放置し、析出した結
晶を濾取し、それを僅かな量の冷水で洗浄した。得られ
た結晶を温度50℃で一晩乾燥させ、目的とするM-1を
86.5g(0.239mol、収率93%(I-2に対
して) )得ることができた。
【0070】(MV-1の合成)500mlの三口フラスコに温
度計、攪拌機を取り付け、その中に化合物V-1を44
g(0.257mol)、水190ml、27%アンモ
ニア水(和光純薬製、純度25.0〜27.9質量%)
30gを添加し、十分に攪拌した。さらに三二酸化鉄
(アルドリッチ社製 純度99質量%)34.0gを添
加し、85℃で45分加熱攪拌した。室温に冷却後、ア
ンモニア水でpH8に調製し、この反応液にボールフィル
ターを通して空気を10リットル/分の流速で0.5時
間吹き込んだ。反応液を濾布および濾紙で濾過し、硝酸
でpH4.5に調製した。この溶液を加温しながら体積が
1/3になるまで減圧濃縮した。冷蔵庫で一晩放置し、
析出した結晶を濾取し、その結晶を僅かな量の冷水で洗
浄した。得られた結晶を温度50℃で一晩乾燥させ、目
的とするM-1を得た。収量は、23.0g(0.14m
ol、収率70%(V−1に対して))であった。
【0071】本発明において漂白液に使用される鉄(II
I)錯塩は、上記の合成例の鉄錯塩化合物のように予め錯
形成化合物と鉄(III)化合物(例えば、酸化鉄(III)、硫
酸第二鉄、塩化第二鉄、臭化第二鉄、硝酸鉄(III)など)
とを反応させて錯形成された鉄錯塩として添加して溶解
してもよく、また、錯形成化合物と鉄(III)塩(例えば、
硫酸第二鉄、塩化第二鉄、臭化第二鉄、硝酸鉄(III)な
ど)とを漂白液に添加して漂白液中で錯形成させて鉄錯
塩水溶液としてもよい。漂白液中で錯塩形成を行わせる
場合には錯形成化合物は、鉄(III)イオンの錯形成に必
要とする量よりもやや過剰にしてもよく、過剰に添加す
るときには通常0.01〜20%の範囲で過剰にすることが好
ましい。
【0072】本発明の漂白液中の鉄(III)錯塩を形成す
る化合物としては、好ましくはその50モル%以上が前記
した一般式(I)又は一般式(V)で表わされる化合物であ
り、より好ましくは80モル%以上を占めるとよい。尚、
本発明において、漂白液中の鉄(III)錯塩を形成する化
合物としては上述した一般式(I) 又は一般式(V)で表わ
される化合物を、単独で使用しても、2種以上併用して
もよい。また、本発明の範囲内であれば、漂白液中の鉄
(III)錯塩を形成する化合物としては、前記した一般式
(I) 又は一般式(V)で表わされる化合物以外の化合物を
併用しても構わない。このような化合物としては、ED
TA、1,3−PDTA、ジエチレントリアミン五酢
酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノ二
酢酸、メイチルイミノニ酢酸、N−(2−アセトアミ
ド)イミノニ酢酸、ニトリロ三酢酸、N−(2−カルボ
キシラートエチル)−L−アスパラギン酸などが挙げら
れるが、特にこれらに限定されない。
【0073】本発明において、漂白液中の漂白剤として
は、上述した鉄(III)錯塩に加え、無機酸化剤を漂白剤
として併用してもよい。このような無機酸化剤としては
過酸化水素、あるいは次亜塩素酸塩、過硫酸塩及び臭素
酸塩(塩の形としてはアルカリ金属炎又はアルカリ土類
金属塩)などが挙げられるが、特これらに限定されるも
のではない。本発明の漂白液中の漂白剤の濃度としては
0.003〜3.0モル/リットルの範囲が適当であり、0.02〜
1.50モル/リットルの範囲が好ましく、より好ましくは
0.05〜0.50モル/リットルの範囲であるが、上述したよ
うな無機酸化剤を併用する場合は、鉄(III)濃度として
は0.005〜0.03モル/リットルの範囲が好ましい。
【0074】本発明において、漂白液は、銀の酸化を促
進するための再ハロゲン化剤として、塩化物、臭化物、
沃化物のごときハロゲン化物を加えるのが好ましい。ま
た、ハロゲン化物の代わりに難溶性銀塩を形成する有機
性配位子を加えてもよい。ハロゲン化物としては、アル
カリ金属塩、アンモニウム塩として、有機性の配位子と
してはグアニジン、アミン等の塩として添加するのが好
ましい。具体的には臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭
化アンモニウム、塩化カリウム、塩酸グアニジンなどが
挙げられる。この中では特に臭化アンモニウムが好まし
い。漂白液中の臭化物イオン濃度は、好ましくは0.05〜
2.0モル/リットルであり、より好ましくは0.5〜1.5モ
ル/リットルの範囲である。また、上述したような無機
酸化剤を併用する場合は、臭化物イオン濃度は、好まし
くは0.05〜0.1モル/リットルの範囲である。また、鉄(I
II)錯塩及び多価カルボン酸の濃度との間に前記した関
係が成り立つときに発明の効果が特に顕著に現れる。
【0075】本発明において、漂白液の好ましいpHは3.
0〜8.0であり、特に3.5〜7.0であることが好ましい。漂
白液を上記pHの範囲に調整するには、公知の無機酸及び
有機酸を単独又は組み合わせて使用することが出来る。
とくに漂白液にはpKaが2.0〜5.5である有機酸を、0.1〜
2モル/リットル含んでもよい。このpKa値は酸解離定数
の逆数の絶対値であり、イオン強度0.1モル/リットル、
25℃の条件下で求められた値を示す。本発明に用いるpK
a2.0〜5.5の有機酸は一塩基酸であっても多塩基酸であ
ってもよく、それらの金属塩(例えばナトリウム塩やカ
リウム塩)やアンモニウム塩として使用しても構わな
い。この有機酸の好ましい例としては、ギ酸、酢酸、モ
ノクロル酢酸、モノブロモ酢酸、グリコール酸、プロピ
オン酸、モノクロルプロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、
アクリル酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸、アミノ酪酸、
吉草酸、イソ吉草酸等の、脂肪族一塩基性酸;アスパラ
ギン、アラニン、アルギニン、エチオニン、グリシン、
グルタミン、システイン、セリン、メチオニン、ロイシ
ンなどのアミノ酸化合物;安息香酸およびクロロ、ヒド
ロキシ等のモノ置換安息香酸、ニコチン酸等の芳香族一
塩基性酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リ
ンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、オキサロ酢酸、グルタ
ル酸、アジピン酸等の脂肪族ニ塩基性酸;アスパラギン
酸、グルタミン酸、シスチン、アスコルビン酸等のアミ
ノ酸系ニ塩基性酸;フタル酸、テレフタル酸等の芳香族
ニ塩基性酸;クエン酸などの他塩基性酸など、各種有機
酸を列挙することが出来る。本発明においてはこれらの
中でも特に酢酸、グリコール酸、コハク酸の使用が好ま
しく、特にグリコール酸、コハク酸が好ましい。本発明
においてはこれらpKaが2.0〜5.5の有機酸の他、イミダ
ゾール類を添加することが好ましい。イミダゾール類と
しては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−
メチルイミダゾール、4−メチル−5−(ヒドロキシメ
チル)イミダゾール、イミダゾール−4,5−ジカルボ
ン酸などが挙げられ、本発明においては特にイミダゾー
ル、2−メチルイミダゾール、イミダゾール−4,5−
ジカルボン酸が好ましく、特にイミダゾールが好まし
い。これらイミダゾール類は漂白液中に0.01〜3.0モル/
リットルの範囲で含まれることが好ましく、更に好まし
い範囲として、0.1〜2.0モル/リットル、特には0.5〜1.
5モル/リットルの範囲が好ましい。
【0076】本発明の漂白液は、処理後のオーバーフロ
ー液を回収し、成分を添加して組成を修正した後、再使
用することが出来る。このような使用方法は通常「再
生」と呼ばれるが、この再生法については特開平5-3031
86号公報の段落[0033]〜[0034]の記載に従って用いる
ことができる。
【0077】本発明に用いる漂白液の説明に続いて、以
下、本発明のカラー反転処理工程の全般について説明す
る。まず最初の工程である黒白現像(第1現像)につい
て説明する。黒白現像液には、従来知られている現像主
薬を用いることができる。現像主薬としては、ジヒドロ
キシベンゼン類(たとえばハイドロキノン、ハイドロキ
ノンモノスルホネート)、3−ピラゾリドン類(たとえ
ば1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4
−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリド
ン)、アミノフェノール類(たとえばN−メチル−p−
アミノフェノール、N−メチル−3−メチル−p−アミ
ノフェノール類)、アスコルビン酸及びその異性体や誘
導体などを、単独もしくは組合せて用いることができ
る。好ましい現像主薬はハイドロキノンモノスルホン酸
カリウムまたはハイドロキノンモノスルホン酸ナトリウ
ムである。これらの現像主薬の添加量は、現像液1リッ
トル当り1×10-5〜2 mol/リットルである。
【0078】本発明に用いる黒白現像液には、必要によ
り保恒剤を用いることができる。保恒剤としては亜硫酸
塩や重亜硫酸塩が一般的に用いられる。これらの添加量
は、0.01〜1 mol/リットル、好ましくは0.1〜
0.5 mol/リットル。また、アスコルビン酸も有効な
保恒剤であり、好ましい添加量は、0.01 mol/リッ
トル〜0.5 mol/リットルである。その他、特開昭3
−144446号公報の一般式(I)に記載のヒドロキ
シルアミン類、糖類、o−ヒドロキシケトン類、ヒドラ
ジン類等も用いることができる。その場合の添加量は
0.1mol/リットル以下である。
【0079】本発明の黒白現像液のpHは8〜12の範
囲にあることが好ましく,最も好ましくはpH9〜11
の範囲である。pHを維持するために各種緩衡剤を用い
ることができる。好ましい緩衡剤は、炭酸塩、リン酸
塩、ホウ酸塩、5−スルホサリチル酸塩、ヒドロキシ安
息香酸塩、グリジン塩、N,N−ジメチルグリシン塩、
ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジ
ヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪
酸塩、バリン塩、リシン塩等をあげることができる。特
に炭酸塩、ホウ酸塩、5−スルホサリチル酸塩の使用が
上記pH領域を維持し、かつ、安価であるという点で好
ましい。これらの緩衡剤は単独で使用しても良く、ま
た、2種以上、併用しても良い。更に目的のpHを得る
のに、酸及び/又はアルカリを添加しても良い。酸剤と
しては無機・有機の水溶性の酸を用いることができる。
例えば、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸、プロピオン酸、アス
コルビン酸等が好ましい。また、アルカリ剤としては各
種水酸化物、アンモニウム塩を添加することができる。
例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア
水、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等を好
ましい例としてあげることができる。
【0080】本発明に用いる黒白現像液には、現像促進
剤としてハロゲン化銀溶剤を含有するのが好ましい。例
えば、チオシアン塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、2−メチ
ルイミダゾール、特開昭57−63580号記載のチオ
エーテル系化合物等が好ましい。これらの化合物の添加
量は0.005〜0.5モル/リットルが好ましい。そ
の他、現像促進剤として各種4級アミン類、ポリエチレ
ンオキサイド類、1−フェニル−3−ピラゾリドン類、
1級アミン類、N,N,N’,N’−テトラメチル−p
−フェニレンジアミン等をあげることができる。
【0081】また本発明に用いる黒白現像液には溶解補
助剤として、ジエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、その他ポリエチレングリコール類やジエタノール
アミン、トリエタノールアミンのようなアミン類を、増
感剤として4級アンモニウム塩を、また各種界面活性
剤、硬膜剤を使用することができる。
【0082】本発明に用いる黒白現像工程には現像カブ
リを防止する目的で種々のカブリ防止剤を添加してもよ
い。カブリ防止剤としては塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、沃化カリウムの如
きアルカリ金属ハロゲン化物及び有機カブリ防止剤が好
ましい。有機カブリ防止剤としては、例えばベンゾトリ
アゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロ
イソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5
−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリ
アゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−
チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、ヒドロキシア
ザインドリジンの如き含窒素ヘテロ環化合物及び1−フ
ェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプト
ベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール
の如きメルカプト置換ヘテロ環化合物、さらにチオサリ
チル酸の如きメルカプト置換の芳香族化合物を使用する
ことができる。これらのカブリ防止剤は、処理中にカラ
ー反転感光材料中から溶出し、これらの現像液中に蓄積
するものを含む。これらのうち、沃化物の添加濃度は5
×10-6〜5×10-4モル/リットル程度である。また
臭化物もカブリ防止に好ましく、好ましい濃度は0.0
01モル/リットル〜0.1モル/リットル、更に好ま
しくは0.01〜0.05モル/リットルである。
【0083】更に、本発明に用いる黒白現像液には、膨
潤抑制剤(例えば硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の無
機塩)や、硬水軟化剤を含有させることができる。硬水
軟化剤としては、アミノポリカルボン酸、アミノポリホ
スホン酸、ホスホノカルボン酸、有機無機ホスホン酸、
上述した本発明に関わる一般式(I)の化合物等、各種構
造のものを用いることができる。以下にその具体例を示
すが、これらに限定されるものではない。エチレンジア
ミン四酢酸、ニトリロ3酢酸、ヒドロキシエチルイミノ
ジ酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ジエチレントリア
ミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ニトリロ
−N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジア
ミン−N,N,N’N’−テトラメチレンホスホン酸、
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸。こ
れらの硬水軟化剤は2種以上併用しても良い。これらの
硬水軟化剤の好ましい添加量は0.1g〜20g/リッ
トル、より好ましくは、0.5g〜10g/リットルで
ある。
【0084】黒白現像の標準的処理時間は、多くの場合
4から8分、特に6分を中心としているが、撮影条件が
適正でない感光材料に対して該処理時間を適宜に変更す
ることにより、感度を高くあるいは低く(両者をまとめ
て増減感処理と呼ぶ)することができる。通常は2分〜
18分の間で処理時間を変更して感度調節することがで
きる。処理温度は20〜50℃、好ましくは33〜45
℃である。黒白現像液の補充量は感光材料1m2当り1
00ml〜5000ml、好ましくは200ml〜2500ml
である。
【0085】本発明の処理においては、黒白現像の後
に、必要に応じて水洗及び/又はリンス処理され、その
後、反転処理工程の処理がなされ、引きつづき発色現像
処理される。水洗又はリンス浴は1浴でも良いが、補充
量を低減する目的で2タンク以上の多段向流方式を採用
するのがより好ましい。ここで水洗は比較的多量の水を
補充する方式に対し、リンスとは他の処理浴レベルにま
で補充量を低減させた方式をいう。水洗水の補充量は感
光材料1平米当り3リットル〜20リットル程度が好ま
しい。又、リンス浴の補充量は50ml〜2リットル、よ
り好ましくは100ml〜500ml程度であり、水洗工程
に比べ使用水量が大幅に低減される。又、本発明のリン
ス浴には必要に応じて、酸化剤、キレート剤、緩衝剤、
殺菌剤、蛍光増白剤等を添加することができる。
【0086】続いて反転浴または光カブラセ工程に入
る。反転浴には、化学かぶらせ剤として公知のかぶらし
剤、すなわち第1スズイオン−有機リン酸錯塩(米国特
許第3,617,282号)、第1スズイオン有機ホス
ホノカルボン酸錯塩(特公昭56−32616号)、第
1スズイオン−アミノポリカルボン酸錯塩(米国特許第
1,209,050号)などの第1スズイオン錯塩、特
開平11−109573号公報に一般式(II)または一
般式(III)として記載されている第1スズイオン錯
塩、並びに水素化ホウ素化合物(米国特許第2,98
4,567号)、複素環アミンボラン化合物(英国特許
第1,011,000号)などのホウ素化合物などが用
いられる。反転浴のpHは、かぶらし剤の種類によって
酸性側からアルカリ性側まで広い範囲に亘っており、p
H2〜12、多くは2.5〜10、特に3〜9の範囲に
あることが好ましい。
【0087】反転浴の錫(II)イオンの濃度は、1x10
-3〜5x10-2mol/リットル、好ましくは2x10-3
〜1.5x10-2mol/リットルである。また、反転浴
にホウ素系のかぶらし剤を用いたときは、その濃度は、
1x10-3〜5x10-2mol/リットル、好ましくは2
x10-3〜1.5x10-2mol/リットルである。
【0088】また、反転浴は錫(II)キレートの溶解性を
高めるために、プロピオン酸、酢酸、または特開平11
−109572号公報の一般式(I)に記載のアルキレ
ンジカルボン酸化合物を含有することが好ましい。更
に、防菌剤として、ソルビン酸塩、米国特許第5,81
1,225号に記載の4級アンモニウム化合物を含有す
ることが好ましい。
【0089】反転浴の時間は、10秒〜3分、好ましく
は20秒〜2分であり、より好ましくは30秒〜90秒
である。また反転浴の温度は、第1現像、続くリンス又
は水洗及びカラー現像のいずれかあるいはそれら各浴の
温度範囲内が好ましく、一般に20〜50°C,好まし
くは33〜45°Cである。反転浴の補充量は、感光材
料1平米当たり10〜2000ml、好ましくは200〜
1500mlが適当である。
【0090】反転浴の錫(II)キレート及びホウ素系のか
ぶらし剤は、広いpH範囲にわたって効力を発揮するの
で、とくにpH緩衝剤を添加する必要はないが、クエン
酸、リンゴ酸などの有機酸、ホウ酸、硫酸、塩酸などの
無機酸、炭酸アルカリ、カセイアルカリ、ほう砂、メタ
ホウ酸カリなどのpH緩衝性付与のための酸、アルカ
リ、塩類を加えることを妨げない。また、必要によりア
ミノポリカルボン酸などの硬水軟化剤や硫酸ナトリウム
のような膨潤抑制剤、p−アミノフェノールのような酸
化防止剤を添加してもよい。
【0091】反転浴で処理した感光材料は、発色現像工
程に入る。本発明のカラー現像処理に用いる発色現像液
は、芳香族第一級アミン型の発色現像主薬を主成分とす
るアルカリ性水溶液である。この発色現像主薬として
は、p−フェニレンジアミン系化合物が好ましく使用さ
れる。p−フェニレンジアミン系化合物の代表例として
3−メチル−4−アミノ−N,N−ジエチルアニリン、
3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロ
キシエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エ
チル−N−β−メタンスルホンアミドエチルアニリン、
3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メトキ
シエチルアニリンおよびこれらの硫酸塩、塩酸塩、リン
酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩、テトラフェニ
ルホウ酸塩、p−(t−オクチル)ベンゼンスルホン酸
塩などが挙げられる。これらの現像主薬は必要により、
2種以上併用しても良い。好ましい現像主薬濃度は、
0.005モル/リットル〜0.1モル/リットル、好
ましくは0.01モル/リットル〜0.05モル/リッ
トルである。
【0092】本発明のカラー現像液のpHは8〜13の
範囲が好ましく、より好ましくはpH10.0〜12.
5である。このpHを維持するのに各種アルカリ剤及び
緩衝剤が用いられる。本発明に用いられるpH8.0以
上に緩衝領域を有するアルカリ剤及び緩衡剤としては、
炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、5−スルホサリチル酸
塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリジン塩、
N,Nジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン
塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニ
ン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メ
チル−1,3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリ
ン塩、トリスヒドロシアミノメタン塩、リシン塩などを
用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、5−スル
ホサリチル酸塩は、溶解性、pH10.0以上の高pH
領域での緩衝能に優れ、カラー現像液に添加しても写真
性能面への悪影響(ステインなど)がなく、安価である
といった利点を有し、これらの緩衝剤を用いることが特
に好ましい。
【0093】これらのアルカリ剤及び緩衝剤の具体例と
しては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリ
ウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三
カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、5
−スルホサリチル酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホ
ウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ
酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリ
チル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウ
ム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム
(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2
−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸
カリウム)などを挙げることができ、好ましくはリン酸
三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウ
ム、リン酸二カリウム、5−スルホサリチル酸二カリウ
ム、5−スルホサリチル酸二ナトリウムである。これら
の緩衝剤は、単独で現像液に添加してもよいし、また二
種以上を併用してもよく、アルカリ剤又は酸により目的
のpHに調整することができる。該緩衝剤のカラー現像
液への添加量は、(併用の場合には全体として)0.1
モル/リットル以上であることが好ましく、特に0.1
モル/リットル〜0.4モル/リットルであることが特
に好ましい。
【0094】また、本発明においては必要に応じて種々
の現像促進剤を併用してもよい。また、現像促進剤とし
ては、米国特許第2648604号、特公昭44−95
03号、米国特許第3171247号の各公報で代表さ
れる各種のピリジニウム化合物やその他のカチオニック
化合物、フェノサフラニンのようなカチオン性色素、硝
酸タリウムや硝酸カリウムの如き中性塩、特公昭44−
9304号、米国特許第2533990号、同第253
1832号、同第2950970号、同第257712
7号などの各公報に記載のポリエチレングリコールやそ
の誘導体、ポリチオエーテル類などのノニオン性化合
物、米国特許第3201242号記載のチオエーテル系
化合物を使用してもよい。また、必要に応じてベンジル
アルコールやその溶剤であるジエチレングリコール、ト
リエタノールアミン、ジエタノールアミン等を用いるこ
とができる。但し、環境負荷や液の溶解性、タールの発
生等を考慮すると、これらの使用は、極力少ない方が好
ましい。また、黒白現像液と同様のハロゲン化銀溶剤を
含有することもできる。例えば、チオシアン酸のアルカ
リ金属塩、2−メチルイミダゾール、特開昭57−63
580号などの各公報に記載のチオエーテル系化合物等
が挙げられる。特に好ましくは、3,6−ジチアオクタ
ン−1,8−ジオールが好ましい。これらのハロゲン化
銀溶剤類の好ましい添加量も黒白(第一)現像の項に述べ
た好ましい範囲が当てはまる。
【0095】本発明のカラー現像工程において、現像カ
ブリを防止する必要はないが、カラーフィルムを補充し
ながら定常的に処理する、すなわちランニングする場合
に、現像液の組成と性能の恒常性を保つ目的で種々のカ
ブリ防止剤を含有させてもよい。これら現像工程におけ
るカブリ防止剤としては塩化カリウム、塩化ナトリウ
ム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、沃化カリウムの如
きアルカリ金属ハロゲン化物及び有機カブリ防止剤が好
ましい。有機カブリ防止剤としては、例えばベンゾトリ
アゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロ
イソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5
−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリ
アゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−
チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、ヒドロキシア
ザインドリジンの如き含窒素ヘテロ環化合物及び1−フ
ェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプト
ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール
の如きメルカプト置換ヘテロ環化合物、さらにチオサリ
チル酸の如きメルカプト置換の芳香族化合物を使用する
ことができる。これらのカブリ防止剤は、処理中にカラ
ー反転感光材料中から溶出し、これらの現像液中に蓄積
するものを含む。これらのかぶり防止剤の濃度は、カラ
ー反転現像の場合は写真性能への影響は低く通常濃度管
理する必要はない。
【0096】本発明に係わる発色現像液には、各種保恒
剤を用いることができる。代表的な保恒剤としては、ヒ
ドロキシルアミン類と亜硫酸塩を用いることができ、好
ましくは亜硫酸塩である。これらの添加量は0〜0.1
モル/リットルである。本発明に用いられるカラー現像
液は、前記ヒドロキシルアミンや亜硫酸イオンに替えて
有機保恒剤を含有させることもできる。
【0097】ここで有機保恒剤とは、カラー写真感光材
料の処理液へ添加することで、芳香族第一級アミンカラ
ー現像主薬の劣化速度を減じる有機化合物全般を指す。
即ち、カラー現像主薬の空気などによる酸化を防止する
機能を有する有機化合物類であるが、中でもヒドロキシ
ルアミン誘導体(ヒドロキシルアミンを除く。)、ヒド
ロキサム酸類、ヒドラジン類、ヒドラジド類、フェノー
ル類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、
糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級
アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール
類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類な
どが特に有効な有機保恒剤である。これらは、特公昭4
8−30496号、特開昭52−143020号、同6
3−4235号、同63−30845号、同63−21
647号、同63−44655号、同63−53551
号、同63−43140号、同63−56654号、同
63−58346号、同63−43138号、同63−
146041号、同63−44657号、同63−44
656号、米国特許第3615503号、同24949
03号、特開平1−97953号、同1−186939
号、同1−186940号、同1−187557号、同
2−306244号などの各公報に開示されている。そ
の他保恒剤として、特開昭57−44148号及び同5
7−53749号に記載の各種金属類、特開昭59−1
80588号記載のサリチル酸類、特開昭63−239
447号、特開昭63−128340号、特開平1−1
86939号や同1−187557号に記載されたよう
なアミン類、特開昭54−3532号記載のアルカノー
ルアミン類、特開昭56−94349号記載のポリエチ
レンイミン類、米国特許第3,746,544号等記載
の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて用いて
も良い。特にトリエタノールアミンのようなアルカノー
ルアミン類、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンや
N,N−ジ(スルホエチル)ヒドロキシルアミンのよう
なジアルキルヒドロキシルアミン、N,N−ビス(カル
ボキシメチル)ヒドラジンのようなヒドラジン誘導体
(ヒドラジンを除く。)あるいはカテコール−3,5−
ジスルホン酸ソーダに代表される芳香族ポリヒドロキシ
化合物の添加が好ましい。
【0098】これらの有機保恒剤の添加量は、好ましく
は0.02モル/リットル〜0.5モル/リットルより
好ましくは0.05モル/リットル〜0.2モル/リッ
トル程度であり必要により2種以上併用しても良い。
【0099】その他、本発明に係わる発色現像液は、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコールのような
有機溶剤;色素形成カプラー;シトラジン酸、J酸、H
酸のような競争カプラー;ナトリウムボロンハイドライ
ドのような造核剤;1−フェニル−3−ピラゾリドンの
ような補助現像薬;粘性付与剤;エチレンジアミン四酢
酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、
ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、N−ヒ
ドロキシメチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレント
リアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸およ
び、特開昭58−195845号記載の化合物などに代
表されるアミノポリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリ
デン−1,1’−ジホスホン酸、リサーチ・ディスクロ
ージャーNo. 18170(1979年5月)記載の有機
ホスホン酸、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エ
チレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラメチレン
ホスホン酸などのアミノホスホン酸、特開昭52−10
2726号、同53−42730号、同54−1211
27号、同55−4024号、同55−4025号、同
55−126241号、同55−65955号、同55
−65956号、およびリサーチ・ディスクロージャー
No.18170号(1979年5月)記載のホスホノカ
ルボン酸などのキレート剤を含有することができる。こ
れらのキレート剤の添加量は0.05g/リットル〜2
0g/リットル好ましくは0.1g〜5g/リットル程
度であり、必要により2種以上併用しても良い。
【0100】又、必要に応じてアルキルスルホン酸、ア
リールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン
酸ポリアルキレンイミン等の各種界面活性剤を添加して
も良い。本発明に適用されうる発色現像液の処理温度は
20〜50℃、好ましくは33〜45℃である。処理時
間は20秒〜5分、好ましくは20秒〜4分である。補
充量は活性を維持できる限り少ない方が好ましいが、感
光材料1m2当たり100〜2500mlが適当であり、
好ましくは400ml〜1200mlである。
【0101】発色現像を終えたカラー反転感光材料は、
次いで脱銀処理される。本発明において脱銀工程は、以
下のような形の工程により行なわれる。 1.(発色現像)−調整−漂白−定着 2.(発色現像)−水洗−漂白−定着 3.(発色現像)−漂白−定着 4.(発色現像)−水洗−漂白−漂白定着−定着 5.(発色現像)−調整−漂白−漂白定着−定着
【0102】上記工程において、調整は前漂白とも呼
ぶ。上記形態の処理工程の中でも、特に1及び3として
示した工程が好ましい。上記の処理工程における補充方
法は、従来のように、各浴の補充液を個々に該当する処
理浴に補充してもよいし、工程4、5においては、漂白
液及び定着液のオーバーフロー液を漂白定着浴に導入し
手行われるが、必要に応じて漂白定着浴には定着液成分
をさらに補充してもよい。このような形で漂白工程と定
着工程がの間に漂白定着工程が組み入れられても、実質
的に漂白工程に続いて定着工程が行われるので、本発明
の対象の反転カラー処理に含まれることはいうまでもな
い。工程4及び5においては、漂白液のオーバーフロー
液を漂白定着液に導入し、定着液のオーバーフロー液を
向流方式で漂白定着液に導入し、両者を漂白定着浴より
オーバーフローさせるような方法を行なってもよい。
【0103】本発明の漂白液、定着液あるいは漂白定着
液、もしくはそれらの前浴である調整液(前漂白液)に
は、種々の漂白定着促進剤を添加することができる。こ
のような漂白促進剤の例としては、例えば米国特許第
3,893,858号、英国特許第1,138,842
号、特開昭53−141623号の各公報に記載されて
いる如き種々のメルカプト化合物、特開昭53−956
30号公報に記載されているジスルフイド結合を有する
化合物、特公昭53−9854号公報に記載されている
チアゾリジン誘導体、特開昭53−94927号公報に
記載されているイソチオ尿素誘導体、特公昭45−85
06号公報、特公昭49−26586号公報に記載され
ているチオ尿素誘導体、特開昭49−42349号公報
に記載されているチオアミド化合物、特開昭55−26
506号公報に記載されているジチオカルバミン酸塩類
等が挙げられる。 漂白促進剤のさらなる例には、無置
換もしくは、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、
(アルキル基、アセトキシアルキル基などの置換を有し
ていてもよい)アミノ基などで置換されたアルキルメル
カプト化合物を用いることができる。例えば、トリチオ
グリセリン、α,α’- チオジプロピオン酸、δ−メル
カプト酪酸などをあげることができる。さらに米国特許
第4,552,834号公報記載の化合物を使用するこ
ともできる。
【0104】上記の分子中にメルカプト基またはジスル
フィド結合を有する化合物、チアゾリン誘導体またはイ
ソチオ尿素誘導体を調整液または漂白液に含有せしめる
際の添加量は処理する写真材料の種類、処理温度、目的
とする処理に要する時間等によって相違するが、処理液
1リットル当り1×10-5〜10-1モルが適当であり、
好ましくは1×10-4〜5×10-2モルである。
【0105】調整液には、一般式(I)又は一般式(V)で
表される化合物を添加することによって、さらに水洗槽
中の沈殿生成や定着液のにごりの発生を抑制することが
でき、したがって着色汚れ防止の観点からも好都合であ
る。調整液中へのこれら一般式(I)又は一般式(V)で表
される化合物の添加量は、調整液1リットルあたり0.
005〜0.3mol,好ましくは0.01〜0.2m
ol,より好ましくは0.02〜0.1molである。
また、調整液中には後述する画像安定化剤を含有させる
ことが好ましく、特に本発明においては米国特許第5,
037,725号に記載のホルムアルデヒド重亜硫酸付
加物を含有することが好ましい。また、米国特許第5,
523,195号に記載の2級アミンを含有することも
できる。調整液のpHは、通常3〜11の範囲で用いら
れるが、好ましくは4〜9、更に好ましくは4.5〜7
である。調整液での処理時間は、20秒〜3分であるこ
とが好ましく、より好ましくは20秒〜2分であり、最
も好ましくは30秒〜60秒である。また、調整液の補
充量は、感材1m2当たり30ml〜2000mlが好まし
いが、特に50ml〜1500mlであることが好ましい。
調整液の処理温度は20℃〜50℃が好ましいが、特に
30℃〜40℃であることが好ましい。
【0106】また漂白定着液中には定着剤としてチオ硫
酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムの如きチオ硫酸
塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウ
ム、チオシアン酸カリウムの如きチオシアン酸塩、エチ
レンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−
オクタンジオールなどのチオエーテル化合物、チオ尿素
類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを
1種あるいは2種以上混合して使用することができる。
さらに特開昭55−155354号に記載された定着剤
と多量の沃化カリウムの如きハロゲン化物などの組み合
わせからなる特殊な漂白定着液等も用いることができ
る。これら定着剤の量は定着能を有する浴1リットル当
り0.1モル〜3モル、好ましくは0.2モル〜2モル
である。
【0107】本発明に用いられる定着液について説明す
る。定着液には、モノアミノポリカルボン酸又はジアミ
ノポリカルボン酸を含有させるが、本発明にかかわる定
着液には公知のいずれのモノ又はポリアミノポリカルボ
ン酸も用いることができる。好ましいモノアミノポリカ
ルボン酸又はジアミノポリカルボン酸の具体例を以下に
示すが、これらに限定されるものではない。エチレンジ
アミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチルイミ
ノジ酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ジエチレントリ
アミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、エチレ
ンジアミンーN,N’−ジ琥珀酸、エチレンジアミンー
N,N’−ジグルタミン酸、エチレンジアミンーN,
N’−ジマロン酸、1,3−プロピレンジアミンーN,
N’−ジ琥珀酸、1,3−プロピレンジアミンーN,
N,N’,N’−四酢酸、1,3−プロピレンジアミン
ーN,N’−ジマロン酸、エレンジアミンーN,N’−
ビスオルトヒドロキシフェニルジ酢酸、N,N’−ジカ
ルボキシラートーL−グルタミン酸、1,2−ジアミノ
プロパン四酢酸、1,4−ブチレンジアミン四酢酸、o
−キシレンジアミン四酢酸、ジエチレンチオエーテルジ
アミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ
二酢酸、N−ヒドロキシメチルエチレンジアミン三酢
酸、βアラニンジ酢酸、βアラニンモノ琥珀酸、エチレ
ンジアミンモノ琥珀酸、トリエチレンテトラミンモノ琥
珀酸、トリエチレンテトラミン六酢酸および特開昭58
−195845号記載の化合物などに代表されるアミノ
ポリカルボン酸などが挙げられ、これらの化合物は酸、
アルカリ金属塩、あるいはアンモニウム塩などの形で用
いられる。これらのモノ又はポリアミノポリカルボン酸
は2種以上併用しても良い。これらのモノ又はポリアミ
ノポリカルボン酸の中でもエチレンジアミン四酢酸、ジ
エチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミンーN,
N’−ジ琥珀酸、βアラニンジ酢酸が好ましく、とくに
生分解性の観点から、エチレンジアミンーN,N’−ジ
琥珀酸、βアラニンジ酢酸が好ましい。これらのモノ又
はポアミノポリカルボン酸の好ましい添加量は0.01
〜0.20mol/L、より好ましくは0.02〜0.
05mol/Lである。
【0108】定着液には、定着剤も公知の定着剤即ちチ
オ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムの如きチオ硫
酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニ
ウム、チオシアン酸カリウムの如きチオシアン酸塩、エ
チレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8
−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物、チオ尿
素類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これら
を1種あるいは2種以上混合して使用することができ
る。その定着剤の濃度は定着液1リットル当り0.1モ
ル〜3モル、好ましくは0.2モル〜2モルである。定
着能を有する液には、前述の添加剤以外に保恒剤として
亜硫酸塩(例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、
亜硫酸アンモニウム)、重亜硫酸塩、ヒドロキシルアミ
ン、ヒドラジン、アルデヒド化合物の重亜硫酸塩付加物
(例えばアセトアルデヒド重亜硫酸ナトリウム)などを
含有させることができる。またスルフィン酸類(ベンゼ
ンスルフィン酸等)やアスコルビン酸も有効な保恒剤で
ある。 更に、各種の蛍光増白剤や消泡剤あるいは界面
活性剤、ポリビニルピロリドン、防菌、防バイ剤、メタ
ノール等の有機溶媒を含有させることができる。定着液
には、上記した漂白定着液の成分として述べた成分を含
有させることができる。
【0109】本発明における漂白液、定着液、漂白定着
液等の補充量は、それぞれの処理浴の機能を満たすかぎ
り各々任意に設定できるが、好ましくは感光材料1m2
当り30ml〜2000mlである。更に好ましくは50ml
〜1000mlである。また、処理温度は好ましくは20
℃〜50℃、更に好ましくは33℃〜45℃である。処
理時間は10秒〜10分、好ましくは20秒〜6分であ
る。
【0110】定着又は漂白定着等の脱銀処理後、水洗及
び/又は安定液処理を行うのが一般的である。安定液は
一般に画像安定化剤を含有するが、画像安定化剤を含有
しなくても良く、この場合が安定化剤を含んだ安定液と
区別して水洗代替安定液と呼ぶこともあり、また、その
意味の水洗代替浴はリンス液(洗浄液)ともほぼ同じ機
能を有しているということもできる。したがって本発明
において水洗工程は、これらの水洗処理及び安定液処理
を含んでいるので、以下の説明では、これらをまとめて
説明する。水洗工程での水洗水量は、感光材料の特性
(例えばカプラー等使用素材による)や用途、水洗水
温、水洗タンクの数(段数)、その他種々の条件によっ
て広範囲に設定し得る。このうち、多段向流方式におけ
る水洗タンク数と水量の関係は、ジャーナル・オブ・ザ
・ソサエティ・オブ・モーション・ピクチャー・アンド
・テレヴィジョン・エンジニアズ(Journal of the Soc
iety of Motion Pictureand Television Engineers)第6
4巻、p.248 〜253 (1955 年5月号)に記載の方法で、
求めることができる。通常多段向流方式における段数は
2〜15が好ましく、特に2〜10が好ましい。
【0111】多段向流方式によれば、水洗水量を大巾に
減少でき、タンク内での水の滞留時間増加により、バク
テリアが繁殖し、生成した浮遊物が感光材料に付着する
等の問題が生じる。この様な問題の解決策として、特開
昭62−288838号公報に記載のカルシウム、マグ
ネシウムを低減させる方法を極めて有効に用いることが
できる。また、特開昭57−8542号公報に記載のイ
ソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、同61−
120145号公報に記載の塩素化イソシアヌール酸ナ
トリウム等の塩素系殺菌剤、特開昭61−267761
号公報に記載のベンゾトリアゾール、銅イオン、その他
堀口博著「防菌防黴の化学」(1986年)三共出版、衛生
技術会編、「微生物の減菌、殺菌、防黴技術」(1982
年)工業技術会、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事
典」(1986年)に記載の殺菌剤を用いることもできる。
【0112】また、残存するマゼンタカプラーを不活性
化して色素の褪色やステインの生成を防止するホルムア
ルデヒド、アセトアルデヒド、ピルビンアルデヒドなど
のアルデヒド類、米国特許第4786583号に記載の
メチロール化合物やヘキサメチレンテトラミン、特開平
2−153348号に記載のヘキサヒドロトリアジン
類、米国特許第4921779号に記載のホルムアルデ
ヒド重亜硫酸付加物、欧州特許公開公報第504609
号、同519190号などの各公報に記載のアゾリルメ
チルアミン類などを添加することができる。US496
0687号、US4975356号、US503772
5号に記載のように調整液に画像安定化剤やその前駆体
を添加し、安定液(リンス液)にはこれらの画像安定化
剤を含有しないことが、処理後のフィルム面に発生する
汚れ、ムラを低減するために好ましい。
【0113】更に、水洗水、安定液またはリンス液に
は、水切り剤として界面活性剤や、硬水軟化剤としてE
DTAや上述した前記一般式(I)又は 一般式(V)に代表
されるキレート剤を用いることができる。界面活性剤と
してはポリエチレングリコール型の非イオン性界面活性
剤、多価アルコール型の非イオン性界面活性剤、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩型のアニオン性界面活性剤、高
級アルコール硫酸エステル塩型のアニオン性界面活性
剤、アルキルナフタレンスルホン酸塩型アニオン性界面
活性剤、4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤、
アミン塩型カチオン性界面活性剤、アミノ塩型両性界面
活性剤、ベタイン型両性界面活性剤が挙げられ、これら
の界面活性剤を2種以上を併用して用いることもでき
る。また、米国特許第5,716,765号に記載のフ
ッ素系界面活性剤またはシロキサン系界面活性剤を用い
ることもできる。ノニオン性界面活性剤の内、アルキル
ポリエチレンオキサイド類、アルキルフェノキシポリエ
チレンオキサイド類やアルキルフェノキシポリヒドロキ
シプロピレンオキサイド類のノニオン性界面活性剤が好
ましく、特に好ましくは炭素数8〜15のアルキル−ポ
リ(オキシエチレン)(5〜12)アルコールである。
また、界面活性剤の溶解性を向上させるために、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、
ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグ
リコール類の可溶化剤を含有することも好ましい。
【0114】安定液またはリンス液には、重金属捕集用
のキレート剤を含有させることが、液の安定性を向上
し、汚れの発生を低減するうえで好ましい。キレート剤
としては、前記の現像液及び漂白液に添加したものと同
じ化合物を用いることができる。本発明の安定液または
リンス液は、菌や黴の発生を防止する目的で、防菌・防
黴剤を添加することが好ましく、これらは市販のものを
使用できる。更に、界面活性剤、蛍光増白剤、硬膜剤を
加えることもできる。
【0115】本発明の安定液またはリンス液、及び水洗
水のpHは、4〜9であり、好ましくは5〜8である。
処理温度、処理時間も、感材の特性、用途等で種々設定
し得るが、一般には、15〜45℃で20秒〜10分、
好ましくは25〜40℃で30秒〜2分である。更に、
本発明の安定液またはリンス液は、水洗を行なうことな
く、脱銀処理に引き続き直接安定液またはリンス液で処
理する場合、汚れの防止効果が顕著に現れる。
【0116】本発明の水洗、安定液またはリンス液の補
充量は前記したように感材1m2当たり1000〜70
00mlが好ましい。水洗槽における水酸化物の沈殿生成
は、水洗水量を多くすれば、鉄錯塩の濃度が低下すの
で、起こりにくくなるが,同時に水洗水の使用量の増大
が廃水処理負荷の増大、用水コストの増加、設備の大型
化などの不利を招くので解決策とはならない。本発明の
方法によれば、水洗水量を7000ml/m2としても
沈殿生成が抑制されるので、用水コストなど上記の制約
が起こらない限り水洗水量を増量することも可能であ
る。一方、水洗水量を減量すれば、水洗水中の錯形成剤
の濃度が高く沈殿生成が起こりにくいが、水洗不十分と
なって発色現像主薬や分光増感剤のようなより著しい着
色汚れ成分が残留してしまうので、やはり不利となる。
このような水洗不足が生じるよりも水洗水量の多い領域
において水洗槽内沈殿生成や感光材料の着色汚れが生じ
やすいが、この欠陥は本発明の方法によってその発生を
抑制できるので、用水コストなどの制約が起こる大量水
洗から水洗不足が顕在化する節水型水洗領域まで広い範
囲の水洗水量を選択することができる。しかしながら、
本発明において好ましい水洗水の補充量は、1000から70
00ml/m2、より好ましくは、2000〜6000ml/m2であって、
この範囲であれば、沈殿生成や付随する着色汚れの発生
もなく、しかも節水処理であってかつ廃水処理の負荷も
少ないカラー反転感光材料の処理も可能となる。上記水
洗及び/又は安定液の補充に伴うオーバーフロー液は脱
銀工程等他の工程において再利用することもできる。
【0117】水洗水の使用量を低減するために、イオン
交換、逆浸透あるいは限外濾過を用いてもよく、とくに
限外濾過を用いるのが好ましい。本発明における各種処
理液は10℃〜50℃において使用される。通常は33
℃〜38℃の温度が標準的であるが、より高温にして処
理を促進し処理時間を短縮したり、逆により低温にして
画質の向上や処理液の安定性の改良を達成することがで
きる。
【0118】水洗及び/又は安定化工程に続いて乾燥が
行われる。画像膜への水分の持込み量を減じる観点から
水洗浴から出た後すぐにスクイズローラや布などで水を
吸収することで乾燥を早めることも可能である。乾燥機
側からの改善手段としては、当然のことではあるが、温
度を高くすることや吹きつけノズルの形状を変更し乾燥
風を強くすることなどで乾燥を早めることが可能であ
る。更に、特開平3−157650号公報に記載されて
いるように、乾燥風の感光材料への送風角度の調整や、
排出風の除去方法によっても乾燥を速めることが出来
る。
【0119】次に本発明に用いられるカラー感光材料に
ついて説明する。本発明における現像銀量とは、発色現
像および黒白現像のそれぞれで生じる現像銀量の総量で
あり、現像銀量の総量が3.0〜7.0g/m2となるの
は、実質的には反転カラーフィルムなどの反転カラー感
光材料である。現在市販されているカラーネガ感光材料
や反射型カラー感光材料(例えばカラーペーパー感光材
料、カラー反転ペーパー感光材料)は、露光部分のみが
現像され、したがって現像銀量は殆ど2g/m2以下であ
るのに対して反転カラー感光材料は、露光部分が第一現
像で現像され、残存するハロゲン化銀がカラー現像で現
像されるので、感光材料上の塗布されたハロゲン化銀の
90%以上いう、実質的にはほぼ100%が現像される
ので、現像銀量が多く、したがってカラーネガフィルム
やカラーペーパーよりも漂白負荷が格段に大きく、それ
だけ漂白不完全となり易い。本発明においてはカラーリ
バーサルフィルムの処理においてとくに顕著にその効果
が発揮される。
【0120】このカラーリバーサルフィルムは、通常支
持体に近いほうから赤感性ユニット、緑感性ユニット、
青感性ユニットの順に感光性ユニットが配置されてお
り、赤感性ユニットと緑感性ユニットの間、及び/また
は緑感性ユニットと青完成ユニットの間に一層以上の非
発色性の中間層を有しているハロゲン化銀カラー写真感
光材料である。
【0121】感光性ユニットが三層構成の感光材料は、
支持体に近い側から低感度乳剤層、中感度乳剤層、高感
度乳剤層の順で塗布されていることが好ましく、これら
感光性乳剤層の間には、非感光性の中間層(非感光性ハ
ロゲン化銀乳剤を含んでいてもよい)が塗布されていて
もよい。感光性ユニットは青感性、緑感性、赤感性全て
が三層構成であることが好ましいが、青感性層は二層以
下の構成であって緑感性、赤感性層が三層構成であって
もよい。青感性層にはイエローカプラー、緑感性層には
マゼンタカプラー、赤感性層にはシアンカプラーを含む
が、色再現性の調整の目的でこの他の組み合わせのカプ
ラーを混合してもよい。
【0122】三層構成ユニットの内、ハロゲン化銀乳剤
の塗布量はユニット全体のハロゲン化銀乳剤塗布重量の
うち高感度層には10〜60%、中間度層には10〜50%、低
感度層には30〜70%が配分されていることが好ましく、
また、それぞれの感光性層中での銀/カプラー比は低感
度層が最大となるような構成であることが好ましい。
【0123】感光性の異なるユニットの間には非発色性
の中間層を設けてあることが好ましい。非発色性の中間
層には感光性、非感光性、または予めかぶらされたハロ
ゲン化銀乳剤が含有されていてもよい。中間層は、一層
で構成されている場合や二層以上五層以下の複合構成で
ある場合もあるが、後者の場合支持体から遠い側に位置
する層にはコロイド銀粒子、または予め表面または粒子
内部がかぶらされたハロゲン化銀乳剤が含有されている
ことが好ましい。また、中間層にハロゲン化銀乳剤を含
有させる場合には、該中間層または隣接する層中に混色
防止剤を添加するのが好ましい。
【0124】本発明にかかわるカラーリバーサルフィル
ムのより好ましい実施形態には以下のようなものが挙げ
られる。支持体に近い側から赤感性ユニット、緑感性ユ
ニット、青感性ユニットが塗布されており、少なくとも
赤感性ユニット、緑感性ユニットは三層の感光性乳剤層
からなっていてそれらは支持体側に近い側から低感度、
中感度、高感度の順で塗布されている。これか各感光性
層中の銀/カプラー比は25〜150が好ましい。またその
場合中感度層の銀/カプラー比は5〜30、高感度層の銀
/カプラー比は2〜20が好ましい。
【0125】さらに赤感性ユニットと緑感性ユニットの
間、緑感性ユニットと青感性ユニットの間には二層以上
五層以下の中間層を有しており、前者の緑感性層に隣接
する層、後者の青感性層に隣接する層にはコロイド銀粒
子または予めかぶらされたハロゲン化銀乳剤が含有され
ていてもよい。この中間層の膜厚(複合構成層の合計厚
み)は、0.5〜5μmであり、より好ましくは1.0〜3.0μ
mである。この膜厚は添加物の比重により理論上簡単に
求められるし、また、実際の塗布物に関しては電子顕微
鏡にて断面を観察し容易に測定できる。また、赤感性ユ
ニットより支持体に近い側はハレーション防止層を、青
感性層ユニットより支持体側から遠い側には少なくとも
一層の保護層を有しており保護層のうち少なくとも一層
にはハロゲン化銀乳剤を含んでいることも好ましい。
【0126】本発明のハロゲン化銀乳剤、およびそれを
用いたハロゲン化銀写真感光材料に用いることの出来る
種々の技術や無機・有機素材については、欧州特許4369
38A2号の下記の個所および下記に引用の特許に記載され
ている。
【0127】 項目 該当箇所 1)層構成 第146頁34行目〜第147頁25行目 2)ハロゲン化銀乳剤 第147頁26行目〜第148頁12行目 3)イエローカプラー 第137頁35行目〜第146頁33行目、 第149頁21行目〜23行目 4)マゼンタカプラー 第149頁24行目〜第28行目;欧州特許第421,453A1号 の第3頁5行目〜第25頁55行目 5)シアンカプラー 第149頁29行目〜第33行目;欧州特許第432,804A2号 の第3頁28行目〜第40頁2行目 6)ポリマーカプラー 第149頁34行目〜第38行目;欧州特許第435,334A1号 の第113頁39行目〜第123頁37行目 7)カラードカプラー 第53頁42行目〜第137頁34行目、 第149頁39行目〜45行目 8)他の機能性カプラー 第7頁1行目〜第53頁41行目、第149頁46行目〜第 150頁3行目;欧州特許第435,334A2号の第3頁1行目 〜第29頁50行目 9)防腐・防黴剤 第150頁25行目〜28行目
【0128】 10)ホルマリン 第149頁15行目〜17行目 スカベンジャー 11)その他の添加剤 第153頁38行目〜47行目;欧州特許第421,453A1号の 第75頁21行目〜第84頁56行目、 第27頁40行目〜第37頁40行目 12)分散方法 第150頁4行目〜24行目 13)支持体 第150頁32行目〜34行目 14)膜厚・膜物性 第150頁35行目〜49行目 15)発色現像・黒白現像 第150頁50行目〜第151頁47行目;欧州特許第 442,323A2号のかぶらせ工程;第34頁11行目〜54行 目、第27頁40行目〜第37頁40行目 16)脱銀工程 第151頁48行目〜第152頁53行目 17)自動現像機 第152頁54行目〜第153頁2行目 18)水洗・安定工程 第153頁3行目〜第153頁37行目
【0129】(実施例−1)以下、本発明を実施例によ
って具体的に説明するがこれに限定されるものではな
い。 (1)感光材料の作製 試料101の作製 下塗りを施した厚み 127μの三酢酸セルロースフィルム
支持体上に、下記の組成の各層より成る多層カラー感光
材料を作製し、試料101とした。数字はm2当りの添
加量を表わす。
【0130】第1層:ハレーション防止層 黒色コロイド銀 0.25g ゼラチン 2.40g 紫外線吸収剤U−1 0.10g 紫外線吸収剤U−3 0.10g 紫外線吸収剤U−4 0.10g 高沸点有機溶媒Oil−1 0.050g 高沸点有機溶媒Oil−2 0.050g 高沸点有機溶媒Oil−5 0.010g 染料D−4 1.0mg 染料D−8 2.5mg 染料E-1の微結晶固体分散物 0.05g
【0131】第2層:中間層 ゼラチン 0.40g 化合物Cpd−A 0.2mg 化合物Cpd−J 1.0mg 化合物Cpd−K 3.0mg 化合物Cpd−M 0.030g 紫外線吸収剤U−6 6.0mg 高沸点有機溶媒Oil−3 0.010g 高沸点有機溶媒Oil−4 0.010g 高沸点有機溶媒Oil−7 2.0mg 高沸点有機溶媒Oil−8 4.0mg 染料D−7 4.0mg
【0132】第3層:中間層 黄色コロイド銀 0.010g ゼラチン 0.50g 化合物Cpd−M 0.010g 高沸点有機溶媒Oil−3 0.010g
【0133】第4層:低感度赤感性乳剤層 乳剤A 銀量 0.20g 乳剤B 銀量 0.20g 乳剤C 銀量 0.15g ゼラチン 0.70g カプラーC−1 0.050g カプラーC−2 0.080g カプラーC−3 0.010g カプラーC−6 6.0mg カプラーC−9 5.0mg カプラーC−11 0.030g 紫外線吸収剤U−1 0.010g 紫外線吸収剤U−2 0.010g 化合物Cpd−A 1.0mg 化合物Cpd−I 0.020g 化合物Cpd−J 2.0mg 高沸点有機溶媒Oil−2 0.10g 高沸点有機溶媒Oil−5 0.010g 添加物P−1 0.020g
【0134】第5層:中感度赤感性乳剤層 乳剤C 銀量 0.25g 乳剤D 銀量 0.25g ゼラチン 0.60g カプラーC−1 0.040g カプラーC−2 0.10g カプラーC−3 0.020g カプラーC−6 7.0mg カプラーC−11 0.050g 紫外線吸収剤U−1 0.010g 紫外線吸収剤U−2 0.010g 高沸点有機溶媒Oil−2 0.10g 添加物P−1 0.020g
【0135】第6層:高感度赤感性乳剤層 乳剤E 銀量 0.25g 乳剤F 銀量 0.35g ゼラチン 1.50g カプラーC−1 0.10g カプラーC−3 0.60g カプラーC−6 0.010g カプラーC−11 0.20g 紫外線吸収剤U−1 0.010g 紫外線吸収剤U−2 0.010g 高沸点有機溶媒Oil−2 0.10g 高沸点有機溶媒Oil−9 0.010g 化合物Cpd−K 1.0mg 化合物Cpd−L 1.0mg 化合物Cpd−F 0.050g 添加物P−1 0.10g
【0136】第7層:中間層 ゼラチン 0.70g 添加P−2 0.10g 化合物Cpd−I 0.010g 染料D−5 0.020g 染料D−9 6.0mg 化合物Cpd−M 0.040g 化合物Cpd−O 3.0mg 化合物Cpd−P 5.0mg 高沸点有機溶媒Oil−6 0.050g
【0137】第8層:中間層 黄色コロイド銀 銀量 0.010g ゼラチン 1.00g 添加物P−2 0.05g 紫外線吸収剤U−1 0.010g 紫外線吸収剤U−3 0.010g 化合物Cpd−A 0.050g 化合物Cpd−M 0.050g 高沸点有機溶媒Oil−3 0.010g 高沸点有機溶媒Oil−6 0.050g
【0138】第9層:低感度緑感性乳剤層 乳剤G 銀量 0.20g 乳剤H 銀量 0.35g 乳剤I 銀量 0.30g ゼラチン 1.50g カプラーC−4 0.020g カプラーC−7 0.070g カプラーC−8 0.070g カプラーC−12 0.020g カプラーC−13 0.010g 化合物Cpd−B 0.030g 化合物Cpd−D 5.0mg 化合物Cpd−E 5.0mg 化合物Cpd−G 2.5mg 化合物Cpd−F 0.010g 化合物Cpd−K 2.0mg 紫外線吸収剤U−6 5.0mg 高沸点有機溶媒Oil−2 0.15g 高沸点有機溶媒Oil−6 0.030g 高沸点有機溶媒Oil−4 8.0mg 添加剤P−1 5.0mg
【0139】第10層:中感度緑感性乳剤層 乳剤I 銀量 0.30g 乳剤J 銀量 0.30g 内部を被らせた臭化銀乳剤(立方体、球相当平均粒子径
0.11μm)銀量 5.0mg ゼラチン 0.70g カプラーC−4 0.30g カプラーC−8 0.020g カプラーC−12 0.020g カプラーC−13 0.010g 化合物Cpd−B 0.030g 化合物Cpd−F 0.010g 化合物Cpd−G 2.0mg 高沸点有機溶媒Oil−2 0.050g 高沸点有機溶媒Oil−5 6.0mg
【0140】第11層:高感度緑感性乳剤層 乳剤K 銀量 0.55g ゼラチン 0.70g カプラーC−3 5.0mg カプラーC−4 0.35g カプラーC−8 0.010g カプラーC−12 0.020g 化合物Cpd−B 0.050g 化合物Cpd−F 0.010g 化合物Cpd−K 2.0mg 高沸点有機溶媒Oil−2 0.050g
【0141】第12層:中間層 ゼラチン 0.30g 化合物Cpd−M 0.05g 高沸点有機溶媒Oil−3 0.025g 高沸点有機溶媒Oil−6 0.025g 染料D−6 5.0mg
【0142】第13層:イエローフィルター層 黄色コロイド銀 銀量 0.050g ゼラチン 0.70g 化合物Cpd−C 0.010g 化合物Cpd−M 0.030g 高沸点有機溶媒Oil−1 0.020g 高沸点有機溶媒Oil−6 0.030g 染料E−2の微結晶固体分散物 0.030g
【0143】第14層:中間層 ゼラチン 0.30g 化合物Cpd−Q 0.20g
【0144】第15層:低感度青感性乳剤層 乳剤L 銀量 0.20g 乳剤M 銀量 0.20g ゼラチン 0.80g カプラーC−5 0.30g カプラーC−6 0.010g カプラーC−10 0.030g 化合物Cpd−I 8.0mg 化合物Cpd−K 1.0mg 化合物Cpd−M 5.0mg 紫外線吸収剤U−6 0.010g 高沸点有機溶媒Oil−2 0.010g 高沸点有機溶媒Oil−3 0.010g
【0145】第16層:中感度青感性乳剤層 乳剤N 銀量 0.20g 乳剤O 銀量 0.20g 内部を被らせた臭化銀乳剤(立方体、球相当平均粒子径
0.11μm)銀量 0.010g ゼラチン 0.90g カプラーC−5 0.50g カプラーC−6 0.020g カプラーC−10 0.060g 化合物Cpd−N 2.0mg 高沸点有機溶媒Oil−2 0.080g
【0146】第17層:高感度青感性乳剤層 乳剤O 銀量 0.20g 乳剤P 銀量 0.25g ゼラチン 2.00g カプラーC−3 5.0mg カプラーC−5 0.20g カプラーC−6 0.020g カプラーC−10 1.00g 高沸点有機溶媒Oil−2 0.10g 高沸点有機溶媒Oil−6 0.020g 紫外線吸収剤U−6 0.10g 化合物Cpd−B 0.20g 化合物Cpd−N 5.0mg
【0147】第18層:第1保護層 ゼラチン 0.80g 紫外線吸収剤U−1 0.10g 紫外線吸収剤U−2 0.050g 紫外線吸収剤U−5 0.20g 化合物Cpd−O 5.0mg 化合物Cpd−A 0.030g 化合物Cpd−H 0.20g 染料D−1 8.0mg 染料D−2 0.010g 染料D−3 0.010g 高沸点有機溶媒Oil−3 0.10g
【0148】第19層:第2保護層 コロイド銀 銀量 0.11mg 微粒子沃臭化銀乳剤(平均粒径0.06μm、AgI含量 1
モル%)銀量 0.10g ゼラチン 0.70g 紫外線吸収剤U−1 0.010g 紫外線吸収剤U−6 0.010g 高沸点有機溶媒Oil−3 0.010g
【0149】 第20層:第3保護層 ゼラチン 1.00g ポリメチルメタクリレート(平均粒径1.5 μm) 0.10g メチルメタクリレートとメタクリル酸の6:4の共重合体 (平均粒径1.5 μ) 0.10g シリコーンオイルSO−1 0.10g 界面活性剤W−1 3.0mg 界面活性剤W−2 8.0mg 界面活性剤W−3 0.040g 界面活性剤W−7 0.015g
【0150】また、すべての乳剤層には上記組成物の他
に添加剤F−1〜F−8を添加した。さらに各層には上
記組成物の他にゼラチン硬化剤H−1及び塗布用、乳化
用界面活性剤W−3、W−4、W−5、W−6を添加し
た。更に防腐、防黴剤としてフェノール、1,2−ベン
ズイソチアゾリン−3−オン、2−フェノキシエタノー
ル、フェネチルアルコール、p−安息香酸ブチルエステ
ルを添加した。
【0151】
【表1】
【0152】
【表2】
【0153】
【表3】
【0154】
【化24】
【0155】
【化25】
【0156】
【化26】
【0157】
【化27】
【0158】
【化28】
【0159】
【化29】
【0160】
【化30】
【0161】
【化31】
【0162】
【化32】
【0163】
【化33】
【0164】
【化34】
【0165】
【化35】
【0166】
【化36】
【0167】
【化37】
【0168】
【化38】
【0169】
【化39】
【0170】
【化40】
【0171】有機固体分散染料の分散物の調製 染料E−1を以下の方法で分散した。即ち、メタノール
を30%含む染料のウェットケーキ1430gに水及び
BASF社製Pluronic F88(エチレンオキシド−プロピ
レンオキシド ブロック共重合体)200gを加えて攪
拌し、染料濃度6%のスラリーとした。次に、アイメッ
クス(株)製ウルトラビスコミル(UVM−2)に平均
粒径0.5mmのジルコニアビースを1700ml充填し、
スラリーを通して周速約10m/sec 、吐出量0.51
/min で8時間粉砕した。ビーズを濾過して除き、水を
加えて染料濃度3%に希釈した後、安定化のために90
℃で10時間加熱した。得られた染料微粒子の平均粒径
は0.60μm であり、粒径の分布の広さ(粒径標準偏
差×100/平均粒径)は18%であった。同様にし
て、染料E−2の固体分散物を得た。平均粒径は0.5
4μm であった。
【0172】(2)露光及び現像処理 処理液のランニング(予備調整):上記で得られた感光
材料試料101にハロゲン化銀粒子の40%が感光する
ように露光を与え、これを用いて下記に示す現像処理工
程で補充を行いながら、現像を行い、補充量が処理タン
クの1.5倍になってから、以下の試験を行った。40%
という感光比率は、カラー反転感光材料の撮影における
ハロゲン化銀粒子の平均的な感光比率である。 センシトメトリー露光と現像処理:処理液の上記の調整
が終了した後、試料101をCIEのD50光源と撮影用
感光材料用光楔(中性色、濃度購買0.4/cm,濃度範
囲4.8)を用いて露光した後、下記に示す現像処理工
程で処理を実施した。 濃度測定:上記の方法で処理された感光材料について国
際規格ISO5に準拠した測定光学系を持つ透過濃度計を
用いて濃度測定を行い、特性曲線を求めた。ステインレ
ベルとしては、青色光(B光)で測定した最低濃度(Dmin
(B))を読み取った。
【0173】 処理工程 時間 温度 タンク容量 補充量 第一現像 6分 38℃ 165リットル 2200ml/m2 第一水洗 2分 38℃ 50リットル 7500ml/m2 反 転 2分 38℃ 86リットル 1100ml/m2 発色現像 6分 38℃ 165リットル 2200ml/m2 前漂白 2分 38℃ 65リットル 1100ml/m2 漂 白 6分 38℃ 150リットル 220ml/m2 定 着 4分 38℃ 108リットル 1100ml/m2 第二水洗 4分 38℃ 55リットル 7500ml/m2 最終リンス 1分 25℃ 44リットル 1100ml/m2
【0174】各処理液の組成は以下の通りであった。 〔第一現像液〕 〔タンク液〕 〔補充液〕 ニトリロ−N,N,N−トリメチレンホスホン酸 ・5ナトリウム塩 1.5 g 1.5 g ジエチレントリアミン五酢酸・5ナトリウム塩 2.0 g 2.0 g 亜硫酸ナトリウム 28 g 30 g ハイドロキノン・モノスルホン酸カリウム 18 g 20 g 炭酸カリウム 20 g 20 g 重炭酸カリウム 15 g 15 g 1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル −3−ピラゾリドン 1.5 g 2.0 g 臭化カリウム 2.5 g 1.4 g チオシアン酸カリウム 1.2 g 1.2 g ヨウ化カリウム 4.0 mg 1.5 mg ジエチレングリコール 15 g 15 g 水を加えて 1000ml 1000ml pH 9.65 9.70 pHは硫酸又は水酸化カリウムで調整した。
【0175】 〔反転液〕 〔タンク液〕 〔補充液〕 ニトリロ−N,N,N−トリメチレンホスホン酸 タンク液 ・5ナトリウム塩 3.0 g に同じ 塩化第一スズ・2水塩 2.0 g p−アミノフェノール 0.001 g 水酸化ナトリウム 8 g プロピオン酸 15ml 水を加えて 1000ml pH 6.00 pHは酢酸又は水酸化ナトリウムで調整した。
【0176】 〔発色現像液〕 〔タンク液〕 〔補充液〕 ニトリロ−N,N,N−トリメチレンホスホン酸 ・5ナトリウム塩 2.0 g 2.0 g 亜硫酸ナトリウム 7.0 g 7.0 g リン酸3ナトリウム・12水塩 36 g 36 g 臭化カリウム 0.7 g − ヨウ化カリウム 40 mg − 水酸化ナトリウム 3.0 g 3.0 g シトラジン酸 0.5 g 0.5 g N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル) −3−メチル−4−アミノアニリン・3/2硫酸・ 1水塩 11 g 11 g 3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオール 1.0 g 1.0 g 水を加えて 1000ml 1000ml pH 11.90 12.10 pHは硫酸又は水酸化カリウムで調整した。
【0177】 〔前漂白〕 〔タンク液〕 〔補充液〕 エチレンジアミン4酢酸・2ナトリウム塩・2水塩 8.0 g 8.0 g 亜硫酸ナトリウム 5.0 g 6.0 g 1−チオグリセロール 0.4 g 0.5 g ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウム付加物 20g 25g 水を加えて 1000ml 1000ml pH 6.30 6.10 pHは酢酸又は水酸化ナトリウムで調整した。
【0178】 〔漂白液〕 〔タンク液〕 〔補充液〕 漂白剤(表4に記載) 0.3モル 0.6モル 臭化カリウム 100 g 200 g 硝酸アンモニウム 80 g 80 g 水を加えて 1000ml 1000ml pH 5.70 5.50 pHは硝酸又は水酸化アンモニウムで調整した。 尚、漂白剤としては錯形成化合物と鉄化合物を予め錯形
成させた鉄錯塩として供給した。
【0179】 〔定着液〕 〔タンク液〕 〔補充液〕 チオ硫酸アンモニウム 80 g タンク液に同じ 亜硫酸ナトリウム 5.0 g 〃 重亜硫酸ナトリウム 5.0 g 〃 錯形成剤 (表4に記載) 0.05モル 0.05モル pH 6.60 pHは酢酸又はアンモニア水で調整した。 〔安定液〕 〔タンク液〕 〔補充液〕 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.06g タンク液に同じ ジプロピレングリコール 0.3 g ポリオキシエチレン−トリデシルエーテル (平均重合度10) 0.3 g 水を加えて 1000ml pH 7.0
【0180】(3)評価 上記処理で得られた各試料について、下記に示す方法に
より、定着液の濁り、水洗槽中の沈殿生成、及び感光材
料のステインを求めて評価を行った。
【0181】ステイン:濃度測定から得られた特性曲線
から青色光(B光)で最小濃度(Dmin(B))を求め、これ
を感光材料の汚れの相対置として、この値によって評価
を行った。この値が0.08(ベース濃度を含む)以下で
れば沈殿物による汚染汚れ(ステイン)は、ないものと
し,0.08から0.15の範囲であれば、ステインは生じてい
るが、許容範囲と評価し,0.15を超える場合には、許容
範囲を超えたと評価した。 定着液の濁り:上記のランニングを行った後の定着槽内
の定着液を視覚によって評価し、濁りが認められないも
のを○、わずかに濁りが認められるが、許容できる場合
を△、濁りの程度が許容範囲を超える場合を×と評価し
た。 水洗水の濁り:上記のランニングを行った後の水洗槽内
の水洗水を視覚によって評価し、濁りが認められないも
のを○、わずかに濁りが認められるが、許容できる場合
を△、沈殿の生成と濁りの程度が許容範囲を超える場合
を×と評価した。
【0182】上記の各評価方法で得られた試験結果を表
4に示す。
【0183】
【表4】
【0184】上記表4より、一般式(I)又は一般式
(V)の化合物の鉄(III)錯塩を漂白液に使用し、ジア
ミノポリカルボン酸又はポリアミノポリカルボン酸を定
着液に含有させた本発明例である試験10〜13、15
〜17及び19〜23は、いすれもステイン、定着液の
濁り、水洗槽の沈殿のすべてに問題がなく良好な結果で
あった。一方、漂白液に本発明以外の鉄(III)錯塩を用
いた比較例2〜4及び6〜8は定着液に錯形成剤を含ま
ない比較例1,5,9,14及び18に比較するとステイ
ン、定着液の濁り、水洗槽の沈殿のすべてにおいてすぐ
れてはいるが、なお不十分であって本発明例に劣る。ま
た、定着液に添加される錯形成剤の中では、一般式
(I)又は一般式(V)の化合物が用いられるととくに
ステインの発生が少なく、好ましいことが示された。
【0185】(実施例―2)定着工程に続く水洗工程の水
洗水量を表5のように変更した以外は、実施例1の試験
10と同じ感光材料、処理工程、処理及び評価方法によ
って水洗水量の影響の試験を行った。さらに、処理済み
の試料を60℃相対湿度70%の空気恒温槽に3週間置
いてから再び青色光(B光)で最小濃度(Dmin(B))を測
定してステインの経時増加を求めた。これらの試験結果
も表5に示した。
【0186】
【表5】
【0187】表5に示した結果はいずれも本発明の範囲
内の条件で行った試験結果であるが、水洗水量が100
0ml/m2以下では、ステインが許容範囲ながらやや
増加傾向であり、特に強制経時させると顕著となること
が示される。これは、前記したように感光材料中に残留
する感光色素や現像液成分の影響と考えられる。また、
水洗水量が7000ml/m2を超えると、強制経時さ
せたときのステインがわずかながら増加傾向である。ア
ンモニウムイオンのような安定性に寄与する成分の流失
効果かと推定される。本発明の処理方法においては水洗
水量が1000〜7000ml/m2が好ましいことが
示された。
【0188】(実施例―3)感光材料試料101を用いて
以下の3通りの試験を行った。実施例1の試験10、
試験10の処理における前漂白液にエチレンジアミン
四酢酸2ナトリウム塩2水塩の代わりに例示化合物I−
2を、及び試験10の処理における前漂白液にエチレ
ンジアミン四酢酸2ナトリウム塩2水塩の代わりに例示
化合物V−1を、それぞれ0.05モル添加した前漂白
液を用いた以外は、試験10と同じ処理を行った。これ
ら〜を試験10A,10B及び10Cとする。試験
10A,10B及び10Cのいずれも定着液のにごり、
水洗水中の沈殿はなく、ステインは0.06という良好
な値を示した。現像機のランニングをさらに1.5ラウ
ンド継続してから再び処理試験を行ったところ、試験1
0Aでは、水洗槽中にわずかな沈殿が認められたが、1
0B及び10Cでは観察されなかった。また、強制経時
させた試験10Aの試料の最小濃度(Dmin(B))には、
0.02の増加が認められたが、試験10B及び10C
ではステインの強制経時増加は認められなかった。すな
わち、前漂白液に本発明にかかわる錯形成材を添加する
ことによって過酷な試験条件においても発明の効果が具
現されることが示された。
【0189】
【発明の効果】発色現像液と漂白液で処理するカラー写
真感光材料の処理方法において、一般式(I)又は一般式
(V)で表わされる化合物の鉄(III)錯塩を0.2から
0.4mol/L含む漂白液による処理と、続いてジア
ミノポリカルボン酸又はポリアミノポリカルボン酸を含
む定着液による処理を行い、さらに水洗に続ける本発明
の処理方法によって水洗水中に水酸化物の沈殿が生じる
ことなく、したがって感光材料にステイン(汚れ)も生
じない、良好な品質の処理が可能となる。また、水洗水
量を1000〜7000ml/m2のときに特にステイ
ンが生じにくく発明の効果が発揮される。同様に前漂白
液に、一般式(I)又は一般式(V)で表わされる化合物
を含んでいると発明の効果が顕著となる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 漂白液による処理、定着液による処理及
    び水洗処理を、各処理の間に他の液による処理を設ける
    ことなく、上記の順序で続けて行うハロゲン化銀カラー
    写真感光材料の処理方法において、該漂白液が鉄イオン
    濃度が0.2〜0.4mol/Lであって、下記一般式(I)又
    は一般式(V)で表わされる化合物の鉄(III)錯塩を少なく
    とも1種含有する漂白液であり、該定着液がモノアミノ
    ポリカルボン酸又はジアミノポリカルボン酸から選ばれ
    る錯形成剤を0.05〜0.2mol/L含有する定着液で
    あることを特徴とするハロゲン化銀カラー反転感光材料
    の処理方法。 一般式(I) 【化1】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞ
    れ水素原子、アルキル基、芳香族基又はヒドロキシ基を
    表す。Wは、主鎖の炭素数が5以下である2価の連結基
    を表す。X1及びX2はそれぞれ水素原子、アルキル基、ヒ
    ドロキシアルキル基又はアルコキシアルキル基を表す。
    M1、M2、M3及びM4は、水素原子、アルカリ金属原子、ア
    ルカリ土類金属原子又はオニウム基を表す。t及びuは
    1又は0である。) 一般式(V) 【化2】 (式中、R11、R12及びR13は、それぞれアルキレン基を
    表す。ただしR11、R12及びR13が#、同時にメチレン基を
    表すことはない。X11、X12及びX13は、それぞれCOOM5
    表す。M5は、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土
    類金属原子又はオニウム基を表す。)
  2. 【請求項2】 該水洗処理の補充量が,1000〜7000ml/m2
    であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀
    カラー反転感光材料の処理方法。
  3. 【請求項3】 該漂白液による処理の直前の処理工程に
    用いる処理液が、上記一般式(I)又は一般式(V)で表わさ
    れる化合物の少なくとも1種を含有していることを特徴
    とする請求項1又は2に記載のハロゲン化銀カラー反転
    感光材料の処理方法。
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