JP3781229B2 - カラー反転処理用反転浴組成物及びカラー反転処理方法 - Google Patents

カラー反転処理用反転浴組成物及びカラー反転処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー写真感光材料用処理液組成物及びカラー反転処理方法に関するもので、具体的にはハロゲン化銀反転カラー写真感光材料の処理に関する改良である。
【0002】
【従来の技術】
現在カラー写真が作られる最も普通の形態には、2通りあり、一つはカラーネガフィルムに撮影して、それを現像し、得られたネガ像をカラーペーパーにプリントしてカラープリントを得るいわゆるネガ・ペーパーシステム(N/Pシステムと呼ぶ)と、カラー反転フィルム(以後カラーリバーサルフィルムと呼ぶ)に撮影して反転現像処理によって直接ポジ画像を得るカラー反転システム(R/Pシステムと呼ぶ)がある。
【0003】
カラー反転システムは、N/Pシステムに較べて処理品質制御要素が限られ、工程も煩雑であるなどの不利があるが、直接にポジ画像が得られることや写真製版適性上の利点などからN/Pシステム同様広く使用されている。
【0004】
凡用のカラーリバーサルフィルムの処理は、第1(黒白)現像、水洗、反転浴(リバーサル浴)、第2(発色)現像、調整浴(コンディショナー)、漂白、定着、水洗、画像安定浴の各工程からなっている。この処理方法の詳細は、L.F.A.Mason 著Photographic Processing Chemistry (1966, Focal Press) の 257〜266 頁、G.M.Haist 著 Modern Photographic Processing (1982) 第2巻第10章(523 〜527 頁) などに記されている。
【0005】
発色現像でポジ型の色素画像を作るためには、第1現像を終了した段階で、現像されなかった部分つまり画像露光されなかった部分を現像可能にすることが必要であり、その方法には、フィルムの全面に光を照射してかぶらせる光かぶらせ方式と、ハロゲン化銀を現像可能にするかぶらせ剤を含んだ反転浴を設けてフィルムを処理する化学的かぶらせ方式がある。化学的かぶらせ方式は、光かぶらせ方式に較べてメンテナンスが容易であり、フィルム面上の第1現像による黒化度の大きい部分にも効果的にかぶらせ作用が及び、その上かぶらせ作用が現像処理液の温度変動や組成の変動などの影響を受けにくい安定性を有しているので、広く採用されてきている。化学的かぶらせ方式の当初は、米国特許第3246987号で開示されたアルカリボロハイドライドをかぶらせ剤とする方法であったが、処理液の経時安定性が乏しいことが欠点であった。
【0006】
その後、アルカリボロハイドライドと同様に還元力が極めて強い無機化合物として知られている錫(II) 化合物をかぶらせ剤として使用する処理浴が米国特許第3617282号で開示されたが、このかぶらせ剤は、上記の化学的かぶらせ方式の利点を有するとともに反転浴の経時安定性もアルカリボロハイドライドよりもはるかにすぐれており、現在では、カラーリバーサルフィルムの処理では最も一般的に用いられている。しかし、錫(II)化合物を用いた反転浴は、著しく改善されたとはいえ、なお空気酸化を受け易くそれに伴って水酸化物などの形の不溶解物の沈殿を生じ易いという欠点を有している。したがって、錫(II) 化合物を含有する反転浴に対しては空気酸化に対する安定性と、水酸化物の沈殿生成を伴わない安定性を併せ有することが望まれており、そのような両面の安定性を高めるキレート剤を錫(II)化合物と組み合わせて使用する反転浴が開示されている。例えば前記米国特許第3617282号が有機ホスホン酸塩をキレート剤としたのに対して、アミノポリカルボン酸塩を用いた英国特許第1209050号、ホスホノカルボン酸塩を用いた特公昭56−32616号をはじめとして数多くの錫(II)イオンに対するキレート剤を用いる提案がなされている。とりわけホスホノカルボン酸塩をキレート剤に用いた反転浴は、強力でかつ均一なかぶらせ作用と処理液の経時安定性の点で優れているが、それでもなお不十分であり、依然として空気酸化に対する安定性とそれに伴う溶解度の低下、沈殿生成に対する耐性の付与が強く望まれている。
【0007】
さらに、錫(II)イオンとホスホン酸類やホスホノカルボン酸類とのキレートを用いる反転浴の使用に伴う別の問題点としては、ホスホン酸類やホスホノカルボン酸類がリン(燐)化合物であり、その処理廃液の排出は水質環境基準、水質汚濁防止法などによって厳しい排出規制があることが挙げられ、その早期解決が強く望まれている。中でもリンの規制は、海域及び河川の富栄養化が進行しつつある現在一般河川、下水道ともにその排出抑制が厳しく要請されている。錫(II) 化合物は他の化学的かぶらせ剤に替わって凡用されてきていることから判るように、強力なかぶらせ作用によって写真性能上はきわめて優れているので、錫(II) 化合物を引き続き使用しつつ上記の問題点を解決することが強く望まれている。
【0008】
現像処理に伴う廃液又は排水の環境安全性の面から、ホスホン酸などの有機リン酸系のキレート剤は、生分解性に乏しい、つまり微生物により分解されにくいというもう一つの問題点を有している。難分解性であることの欠点の一つは、生物学的酸素消費量は少なくても化学的酸素消費量が大きく環境負荷がかかることであり、他の一つは、自然界に排出されたときに錯化している環境的に好ましくない金属を長期間自然界に滞留させ、あるいはあらたに自然界から重金属を抽出する懸念が持たれていることである。この面からも、有機リン酸系のキレート剤に代わる生物分解性のキレート剤が望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとしている課題は、以上に述べたカラーリバーサルフィルムの処理の問題の解決を図ることであり、具体的には、第1に、錫(II) 化合物のかぶらせ作用を損なうことなく、空気酸化に対する安定性を具備し、第2に沈殿生成を生じない十分な溶解性と経時安定性を有し、第3に錫(II) 錯化合物を含む反転浴から排出されるリンの量を低減した反転浴を提供することであり、それによって現像処理に伴う排水中のリン濃度を低減し、環境負荷を軽減したカラーリバーサルフィルム処理方法を提供することである。
本発明の第4の目的は、上記処理廃液、排水の生分解性を向上させ、とくに錫(II) キレート剤に起因する生分解性を改善して環境負荷を低減させたカラーリバーサルフィルム処理方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者たちは、上記の目的を達成するために、鋭意検討の結果、従来のホスホン酸系の有機リン酸化合物のキレート剤に代わる特定のりんを含まないキレート剤が錫(II) 化合物の空気酸化及び沈殿生成に対する安定化作用を有することを見いだし、この発見に基づいてさらにその化合物構造と生分解性の関係についても研究を行った結果、本発明に至った.すなわち、本発明は、下記の通りである。
【0011】
1.少なくとも錫(II) イオンと、下記一般式〔I〕又は〔II〕のいずれかで表されるキレート剤と、を含有することを特徴とするカラー反転処理用の反転浴組成物。
一般式〔I〕
【化3】
Figure 0003781229
(式中、M1 ,M2 及びM3 は、水素原子、アルカリ金属原子又はアンモニウム原子団を表す。m及びnは、1又は2の整数を示し、Xは、水素原子又は置換基を示す。)
一般式〔II〕
【化4】
Figure 0003781229
(式中、M4 ,M5 ,M6 及びM7 は、水素原子、アルカリ金属原子又はアンモニウム原子団を表す。lは、1〜4の整数を示し、Y及びZは、水素原子又は置換基を示す。)
【0012】
2.一般式〔II〕で表される化合物が〔S、S〕体を主成分とする光学異性化合物であることを特長とする上記1の反転浴組成物。
【0013】
3.撮影済みカラー写真感光材料を上記1又は2記載の反転浴組成物を用いて処理することを特徴とするカラー反転処理方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のカラー反転処理において、反転浴はすでに述べたように、第1現像終了後発色現像工程に入る前に設けられ、第1現像で現像されなかった未露光部つまり非画像部のハロゲン化銀をかぶらせて発色現像工程で現像可能にするための処理浴である。本発明に用いる反転浴には少なくとも錫(II) 化合物及び上記一般式〔I〕又は〔II〕のいずれかで表されるキレート剤を含有することを特徴としているが、ここで錫(II) 化合物は、一般式〔I〕又は〔II〕のキレート剤によって錫(II) キレートを形成できる錫(II) イオンを含む任意の錫(II) 化合物を用いることができる。具体的には、水溶性の錫(II) 塩が好ましく、とくに塩化第1錫、臭化第1錫、沃化第1錫及びそれらのハロゲン化錫の2水塩、硝酸第1錫、硫酸第1錫及びその2水塩、酢酸第1錫、クエン酸錫(II) が好ましく、とりわけ塩化第1錫、臭化第1錫、硝酸第1錫、硫酸第1錫が好ましい。
【0015】
また、上記において錫(II)塩を反転浴に添加する代わりに予め錫(II) 化合物と一般式〔I〕又は〔II〕のキレート剤と反応させて錫(II)キレートを生成させておき、その錫(II)キレートを反転浴に添加してもよい。
次に一般式〔I〕のキレート剤について説明する。一般式〔I〕においてM1 、M2 及びM3 は、水素原子又はアンモニウム基、テトラエチルアンモニウム基などのアンモニウム基、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属原子を表す。また、m及びnは、1又は2の整数である。
【0016】
Xは、水素原子又は置換基を表すが、Xで表される置換基についてさらに詳細に述べると、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、t−オクチル基)、アラルキル基(例えばフェニルメチル基、トリルメチル基、フェネチル基)、アルケニル基(例えばアリル基、ブテニル基)、アルキニル基(例えばエチニル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、t−ペンチル基)、アリール基(例えばフェニル基、p−トリル基、p−ブチルフェニル基)、アミノ基(例えばジメチルアミノ基)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基などの炭素数1〜5のアルキルスルホニルアミノ基)、ウレイド基、ウレタン基、アリールオキシ基(例えばフェニルオキシ基)、スルファモイル基(例えばメチルスルファモイル基)、カルバモイル基(例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基)、スルフィニル基(例えばメタンスルフィニル基)、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、シアノ基、スルホ基(例えば炭素数1〜5のアルキルスルホ基)、カルボキシ基、ホスホノ基、アリールオキシカルボニル基(例えばフェニルオキシカルボニル)、アシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、ブチリル基)、カルボンアミド基(アセタミド基、プロピオンアミド基など炭素原子数1〜9個のアルキルアミド基)、ニトロ基、ヒドロキサム酸基などが挙げられ、可能な場合にはその解離体又は塩(アンモニウム塩又はアルカリ金属塩)であってもよい。上記のXが炭素原子を有する場合、好ましくは炭素数1ないし14のものである。好ましいXは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、スルフィニル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、ホスホノ基、アシル基、ニトロ基であり、とくに水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基及びアルコキシ基、並びにカルボキシ基が好ましい。
以下に一般式〔I〕で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0017】
【化5】
Figure 0003781229
【0018】
本発明の化合物は、“ブレティン オブ ザ ケミカル ソサイエティ オブジャパン”第42巻 2835−2840頁(1969年)(BULLETIN OF THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN VOL.42 2835−2840(1969))のアスパルティック−N,N−ジアセティック アシッド(Aspartic−N,N−diacetic Acid)、イン オーガニック ケミストリー(Inorganic Chemistry)34(1974)、西独特許3739610号、特開昭63−267751号に記載の合成法及びそれに準じた方法で合成することができる。
【0019】
合成例1. 化合物(I−1)の合成
1リットルの三ツ口フラスコにL−アスパラギン酸26.0g(0.195mol)と水200mlを添加し、良く攪拌しながら炭酸水素ナトリウム35.0g(0.417mol)を少しずつ加えた。また別に、水200mlに、モノクロロ酢酸47.3g(0.501mol)を溶かし炭酸水素ナトリウム42.0g(0.501mol)を加えて中和した。この水溶液を、先の三ツ口フラスコに添加し、湯浴で70〜80℃に加熱した。水50mlに水酸化ナトリウム18.0g(0.450mol)を溶解し、上記水溶液に滴下した。この時pHを9〜11に保った。滴下終了後さらに1時間加熱を続け、反応を完結させた。冷却後、濃塩酸でpH2に調整し、体積が半分になるまで減圧留去した。析出した塩を濾別し、さらに、溶媒を減圧留去した。塩を濾別した後、少量のアセトンを添加し、冷蔵庫に二週間放置した。析出した白色粉末を濾取し、アセトン−水(1:1)で再結晶した。収量11.5g(4.62×10-2mol)収率23.7%
融点 177℃〜徐々に分解。
【0020】
Figure 0003781229
【0021】
次に、一般式〔II〕のキレート剤について説明する。一般式〔II〕においてM4 、M5 、M6 及びM7 は、一般式〔II〕のM1 〜M3 と同義であり、lは、1〜4の整数であり、2又は3が好ましく、2が最も好ましい。Y及びZは、水素原子又は置換基で、その置換基は、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−オクチル基)、アラルキル基(例えばフェニルメチル基、トリルメチル基、フェネチル基)、アルケニル基(例えばアリル基、ブテニル基、ペンテニル基)、アルキニル基(例えばエチニル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、t−ペンチル基)、アリール基(例えばフェニル基、、p−トリル基、p−ブチルフェニル基)、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、上記のY又はZが炭素原子を有する場合、その数は、好ましくは1ないし14である。好ましいY及びZは水素原子及び炭素原子数1〜5のアルキル基である。
以下に一般式〔II〕で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
【化6】
Figure 0003781229
【0023】
本発明の一般式〔II〕で表される化合物は、特開昭63−199295号公報、特開平3−173857号公報等の記載に準じて合成することが出来る。尚、これらの文献に記載されているように、本発明の一般式〔II〕で表される化合物には、光学異性体(〔R,R〕、〔S,S〕、〔S,R〕、〔R,S〕)が存在する(但し、化合物によっては、〔S,R〕体と〔R,S〕体とが構造上同一である場合がある。)。例えば、本発明の一般式〔II〕で表される化合物の例示化合物(II−1)には3つの光学異性体(〔R,R〕、〔S,S〕、〔S,R〕=〔R,S〕)が存在し、これらは個々に合成したり、混合物として合成することもできる。本発明にこれらの個々の光学異性体やこれらの混合物が含まれることは言うまでもない。通常化学的に合成して得られる光学異性体〔R,R〕、〔S,S〕、〔S,R〕、〔R,S〕は、各々約25%ずつ混合されたものである。また、本発明の目的である復色性、熱退色あるいは色汚染が改良されている点で、光学異性体の中で〔S,S〕体を選択的に用いるのが好ましく、この点から光学異性体として主として〔S,S〕体からなるものを用いるのが好ましく、例示化合物(II−1)のように、L体のアミノ酸を原料として合成される化合物が好ましい。また、〔S,S〕体を選択的に得るには、上記の如く生成物に対応するL体のアミノ酸を原料として合成する方法、光学異性体の混合物を市販のカラムを用いて常法により分離する方法などを挙げられる。好ましくは合成による方法であり、この方法はコスト的にも好ましい。
【0024】
また、〔S,S〕体は、環境に排出された場合に生分解し易く、環境汚染上にも好ましい化合物である。ここで、「選択的」あるいは「主として」という意味は、他の光学異性体よりも多量に存在することであり、例えば50%以上が〔S,S〕体である。好ましくは、光学異性体の混合物のうち70%以上が〔S,S〕体であることがよく、更に好ましくは90%以上が〔S,S〕体であることがよい。ほとんどが、例えば100%が〔S,S〕体であってもよい。これらの化合物はスプリンガーおよびコベッカの Chem. Zvesti. 20(6):414-422(1966) 記載や特開平3−173857号に記載の方法に基づいて合成することができる。また、〔S,S〕体の選択的な合成方法は、UMEZAWA らにより、THE JOURNAL OF ANTIBIOTICS, 第37巻、第4号、第426頁(APR. 1984)等に記載の方法にて合成することができる。
【0025】
本発明の一般式〔I〕又は一般式〔II〕の化合物のいずれかあるいは両方をキレート剤とする錫(II)キレートを用いた反転浴は、とりわけ下記の点で従来公知の反転浴に対して優れた特徴を有している。即ち、後に示すように反転浴の経時によるかぶらせ作用の低下が少ないこと、経時的に不溶解の沈殿が増加する現象も見られないこと、上記の構造から明らかなようにリン化合物ではないので、リンに対する廃水規制の制約も受けないこと、排出された廃水の生物分解性についても改善されていること、とりわけ光学活性についての〔S,S〕体を用いると一層環境に対して負荷が少ない反転浴となる。
【0026】
本発明の反転浴組成物は、前記により明らかなように、カラー反転処理に用いられる処理剤組成物であり、固形状でも液状でもよい。また、ペースト状でも懸濁状でもよい。
【0027】
以下、上記の本発明の反転浴を用いるカラー反転処理工程について説明する。
まず最初の工程である黒白現像(第1現像)について説明する。
黒白現像液には、従来知られている現像主薬を用いることができる。現像主薬としては、ジヒドロキシベンゼン類(たとえばハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホネート)、3−ピラゾリドン類(たとえば1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン)、アミノフェノール類(たとえばN−メチル−p−アミノフェノール、N−メチル−3−メチル−p−アミノフェノール類)、アスコルビン酸及びその異性体や誘導体などを、単独もしくは組合せて用いることができる。これらの現像主薬の添加量は、現像液1リットル当り1×10-5〜2 mol/リットル程度である。
【0028】
本発明の黒白現像液には、必要により保恒剤を用いることができる。保恒剤としては亜硫酸塩や重亜硫酸塩が一般的に用いられる。これらの添加量は、0.01〜1 mol/リットル、好ましくは0.1〜0.5 mol/リットル。また、アスコルビン酸も有効な保恒剤であり、好ましい添加量は、0.01 mol/リットル〜0.5 mol/リットルである。その他、ヒドロキシルアミン類、糖類、o−ヒドロキシケトン類、ヒドラジン類等も用いることができる。その場合の添加量は0.1mol/リットル以下である。
【0029】
本発明の黒白現像液のpHは8〜12が好ましく,最も好ましくはpH9〜11である。pHを維持するために各種緩衡剤を用いることができる。好ましい緩衡剤は、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、5−スルホサリチル酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリジン塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、バリン塩、リシン塩等をあげることができる。特に炭酸塩、ホウ酸塩、5−スルホサリチル酸塩の使用が上記pH領域をキープし、かつ、安価であるという点で好ましい。これらの緩衡剤は単独で使用しても良く、また、2種以上、併用使用しても良い。更に目的のpHを得るのに、酸及び/又はアルカリを添加しても良い。
酸としては無機・有機の水溶性の酸を用いることができる。例えば、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸、プロピオン酸、アスコルビン酸等である。また、アルカリとしては各種水酸化物、アンモニウム塩を添加することができる。例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア水、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等をあげることができる。
【0030】
本発明に用いる黒白現像液には、現像促進剤としてハロゲン化銀溶剤を含有するのが好ましい。例えば、チオシアン塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、2−メチルイミダゾール、特開昭57−63580号記載のチオエーテル系化合物等が好ましい。これらの化合物の添加量は0.005〜0.5モル/リットル程度が好ましい。その他、現像促進剤として各種4級アミン類、ポリエチレンオキサイド類、1−フェニル−3−ピラゾリドン類、1級アミン類、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン等をあげることができる。
【0031】
本発明の黒白現像工程には現像カブリを防止する目的で種々のカブリ防止剤を添加してもよい。カブリ防止剤としては塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、沃化カリウムの如きアルカリ金属ハロゲン化物及び有機カブリ防止剤が好ましい。有機カブリ防止剤としては、例えばベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、ヒドロキシアザインドリジンの如き含窒素ヘテロ環化合物及び1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールの如きメルカプト置換ヘテロ環化合物、さらにチオサリチル酸の如きメルカプト置換の芳香族化合物を使用することができる。これらのカブリ防止剤は、処理中にカラー反転感光材料中から溶出し、これらの現像液中に蓄積するものを含む。
これらのうち、沃化物の添加濃度は5×10-6〜5×10-4モル/リットル程度である。また臭化物もカブリ防止に好ましく、好ましい濃度は0.001モル/リットル〜0.1モル/リットル、更に好ましくは0.01〜0.05モル/リットル程度である。
【0032】
更に、本発明の黒白現像液には、膨潤抑制剤(例えば硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の無機塩)や、硬水軟化剤を含有させることができる。
硬水軟化剤としては、アミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸、有機無機ホスホン酸等、各種構造のものを用いることができる。以下に具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ3酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ニトリロ−N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N’N’−テトラメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸。これらの硬水軟化剤は2種以上併用しても良い。好ましい添加量は0.1g〜20g/リットル、より好ましくは、0.5g〜10g/リットルである。
【0033】
黒白現像の処理時間は20秒〜10分、好ましくは60秒〜6分である。処理温度は20°〜50℃、好ましくは33°〜45℃である。黒白現像液の補充量は感光材料1m2当り100ml〜5000ml、好ましくは200ml〜2000ml程度である。
【0034】
本発明の処理においては、黒白現像の後に、水洗及び/又はリンス処理され、その後、必要に応じて反転処理工程にて処理され、引きつづき発色現像処理される。
水洗又はリンス浴は1浴でも良いが、補充量を低減する目的で2タンク以上の多段向流方式を採用するのがより好ましい。ここで水洗は比較的多量の水を補充する方式に対し、リンスとは他の処理浴レベルにまで補充量を低減させた方式をいう。水洗水の補充量は感光材料1m2当り3リットル〜20リットル程度が好ましい。又、リンス浴の補充量は50ml〜2リットル、より好ましくは100ml〜500ml程度であり、水洗工程に比べ使用水量が大幅に低減される。
又、本発明のリンス浴には必要に応じて、酸化剤、キレート剤、緩衝剤、殺菌剤、蛍光増白剤等を添加することができる。
【0035】
続いて反転浴工程に入る。本発明においては反転浴には、化学かぶらせ剤として前記した第1スズイオンと一般式〔I〕又は〔II〕のキレート剤、又はそれらから作られた錫(II)キレートを必須成分として含有するが、反転浴処理と光かぶらせ処理を併せ行ってもよい。前記したように、光かぶらせ処理よりも化学的かぶらせ処理による方法が安定したかぶらせ能を持続することが可能であり、メンテナンスに要する手間も省け、光カブラセ方式の場合の電球切れの心配もないなどの点で有利である。化学かぶらせ処理において反転浴に、水素化ホウ素化合物(米国特許第2,984,567号明細書)、複素環アミンボラン化合物(英国特許第1,011,000号明細書)などのホウ素化合物を添加しても良いが、通常はその必要はない。この反転浴(かぶらせ浴ともいう)のpHは、酸性側からアルカリ性側まで広い範囲に亘ってよく、pH2〜12、好ましくは2.5〜10、特に好ましくは3〜9の範囲である。
【0036】
反転浴の錫(II)イオンの濃度は1x10-3〜5x10-2mol/リットル、好ましくは2x10-3〜1.5x10-2mol/リットルである。
また、一般式〔I〕及び一般式〔II〕の化合物の濃度は、1x10-3〜6x10-2mol/リットル、好ましくは2x10-3〜5x10-2mol/リットルであり、錫(II)イオンに対してモル比で1〜10倍の範囲、好ましくは1.01〜2倍、より好ましくは1.1〜1.2倍である。
また、一般式〔I〕及び一般式〔II〕の化合物は併用してもよく、その場合各々の化合物は、単独で使用する場合よりも減量してよいが、好ましい範囲は上記した範囲である。
【0037】
反転浴の時間は、10秒〜3分、好ましくは20秒〜2分であり、より好ましくは30秒〜90秒である。また反転浴の温度は、第1現像、続くリンス又は水洗及びカラー現像のいずれかあるいはそれら各浴の温度範囲内が好ましく、一般に20〜50°C,好ましくは33〜45°Cである。
反転浴の補充量は、感光材料1m2 当たり10〜2000ml、好ましくは20〜500mlが適当である。
【0038】
反転浴の錫(II)キレートは、広いpH範囲にわたって効力を発揮するので、とくにpH緩衝剤を添加する必要はないが、酢酸、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸、ホウ酸、硫酸、塩酸などの無機酸、炭酸アルカリ、カセイアルカリ、ほう砂、メタホウ酸カリなどのpH緩衝性付与のための酸、アルカリ、塩類を加えることを妨げない。また、必要によりアミノポリカルボン酸などの硬水軟化剤や硫酸ナトリウムのような膨潤抑制剤、p−アミノフェノールのような酸化防止剤を添加してもよい。
【0039】
反転浴で処理したのち、発色現像工程に入る。本発明のカラー現像処理に用いる発色現像液は、芳香族第一級アミン系発色現像主薬を主成分とするアルカリ性水溶液である。この発色現像主薬としては、p−フェニレンジアミン系化合物が好ましく使用される。p−フェニレンジアミン系化合物の代表例として3−メチル−4−アミノ−N,N−ジエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メタンスルホンアミドエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メトキシエチルアニリンおよびこれらの硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩、テトラフェニルホウ酸塩、p−(t−オクチル)ベンゼンスルホン酸塩などが挙げられる。これらの現像主薬は必要により、2種以上併用しても良い。好ましい添加量は0.005モル/リットル〜0.1モル/リットル好ましくは0.01モル/リットル〜0.05モル/リットル程度である。
【0040】
本発明のカラー現像液のpHは8〜13の範囲が好ましく、最も好ましくはpH10.0〜12.5である。このpHを維持するのに各種緩衝剤が用いられる。
本発明に用いられるpH8.0以上に緩衝領域を有する緩衡剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、5−スルホサリチル酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリジン塩、N,Nジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロシアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、5−スルホサリチル酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、溶解性、pH10.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、カラー現像液に添加しても写真性能面への悪影響(ステインなど)がなく、安価であるといった利点を有し、これらの緩衝剤を用いることが特に好ましい。
【0041】
これらの緩衝剤の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、5−スルホサリチル酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)などを挙げることができる。しかしながら本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
これらの緩衝剤は、単独で現像液に添加してもよいし、また二種以上を併用して添加してもよく、アルカリ剤又は酸により目的のpHに調整することができる。
該緩衝剤のカラー現像液への添加量は、(併用の場合には全体として)0.1モル/リットル以上であることが好ましく、特に0.1モル/リットル〜0.4モル/リットルであることが特に好ましい。
【0042】
また、本発明においては必要に応じて種々の現像促進剤を併用してもよい。
また、現像促進剤としては、米国特許第2648604号、特公昭44−9503号、米国特許第3171247号で代表される各種のピリジニウム化合物やその他のカチオニック化合物、フェノサフラニンのようなカチオン性色素、硝酸タリウムや硝酸カリウムの如き中性塩、特公昭44−9304号、米国特許第2533990号、同第2531832号、同第2950970号、同第2577127号記載のポリエチレングリコールやその誘導体、ポリチオエーテル類などのノニオン性化合物、米国特許第3201242号記載のチオエーテル系化合物を使用してもよい。
また、必要に応じてベンジルアルコールやその溶剤であるジエチレングリコール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等を用いることができる。但し、環境負荷や液の溶解性、タールの発生等を考慮すると、これらの使用は、極力少ない方が好ましい。
また、黒白現像液と同様のハロゲン化銀溶剤を含有することもできる。例えば、チオシアン酸塩、2−メチルイミダゾール、特開昭57−63580号記載のチオエーテル系化合物等が挙げられる。
【0043】
本発明のカラー現像工程において、現像カブリを防止する必要はないが、カラーフィルムを補充しながらランニングする場合に、液の組成と性能の恒常性を保つ目的で種々のカブリ防止剤を含有させてもよい。これら現像工程におけるカブリ防止剤としては塩化カリウム、塩化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、沃化カリウムの如きアルカリ金属ハロゲン化物及び有機カブリ防止剤が好ましい。有機カブリ防止剤としては、例えばベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、ヒドロキシアザインドリジンの如き含窒素ヘテロ環化合物及び1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールの如きメルカプト置換ヘテロ環化合物、さらにチオサリチル酸の如きメルカプト置換の芳香族化合物を使用することができる。これらのカブリ防止剤は、処理中にカラー反転感光材料中から溶出し、これらの現像液中に蓄積するものを含む。
【0044】
本発明に係わる発色現像液には、各種保恒剤を用いることができる。
代表的な保恒剤としては、ヒドロキシルアミン類と亜硫酸塩を用いることができる。これらの添加量は0〜0.1モル/リットル程度である。
本発明に用いられるカラー現像液は、前記ヒドロキシルアミンや亜硫酸イオンに替えて有機保恒剤を含有することがより好ましい場合がある。
【0045】
ここで有機保恒剤とは、カラー写真感光材料の処理液へ添加することで、芳香族第一級アミンカラー現像主薬の劣化速度を減じる有機化合物全般を指す。即ち、カラー現像主薬の空気などによる酸化を防止する機能を有する有機化合物類であるが、中でもヒドロキシルアミン誘導体(ヒドロキシルアミンを除く。)、ヒドロキサム酸類、ヒドラジン類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などが特に有効な有機保恒剤である。これらは、特公昭48−30496号、特開昭52−143020号、同63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3615503号、同2494903号、特開平1−97953号、同1−186939号、同1−186940号、同1−187557号、同2−306244号などに開示されている。その他保恒剤として、特開昭57−44148号及び同57−53749号に記載の各種金属類、特開昭59−180588号記載のサリチル酸類、特開昭63−239447号、特開昭63−128340号、特開平1−186939号や同1−187557号に記載されたようなアミン類、特開昭54−3532号記載のアルカノールアミン類、特開昭56−94349号記載のポリエチレンイミン類、米国特許第3,746,544号等記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて用いても良い。特にトリエタノールアミンのようなアルカノールアミン類、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンやN,N−ジ(スルホエチル)ヒドロキシルアミンのようなジアルキルヒドロキシルアミン、N,N−ビス(カルボキシメチル)ヒドラジンのようなヒドラジン誘導体(ヒドラジンを除く。)あるいはカテコール−3,5−ジスルホン酸ソーダに代表される芳香族ポリヒドロキシ化合物の添加が好ましい。
【0046】
これらの有機保恒剤の添加量は、好ましくは0.02モル/リットル〜0.5モル/リットルより好ましくは0.05モル/リットル〜0.2モル/リットル程度であり必要により2種以上併用しても良い。
【0047】
その他、本発明に係わる発色現像液は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールのような有機溶剤;色素形成カプラー;シトラジン酸、J酸、H酸のような競争カプラー;ナトリウムボロンハイドライドのような造核剤;1−フェニル−3−ピラゾリドンのような補助現像薬;粘性付与剤;エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、N−ヒドロキシメチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸および、特開昭58−195845号記載の化合物などに代表されるアミノポリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、リサーチ・ディスクロージャーNo. 18170(1979年5月)記載の有機ホスホン酸、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラメチレンホスホン酸などのアミノホスホン酸、特開昭52−102726号、同53−42730号、同54−121127号、同55−4024号、同55−4025号、同55−126241号、同55−65955号、同55−65956号、およびリサーチ・ディスクロージャー No.18170号(1979年5月)記載のホスホノカルボン酸などのキレート剤を含有することができる。これらのキレート剤の添加量は0.05g/リットル〜20g/リットル好ましくは0.1g〜5g/リットル程度であり、必要により2種以上併用しても良い。
【0048】
又、必要に応じてアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸ポリアルキレンイミン等の各種界面活性剤を添加しても良い。
本発明に適用されうる発色現像液の処理温度は20〜50℃好ましくは33〜45℃である。処理時間は20秒〜5分、好ましくは20秒〜4分である。補充量は活性を維持できる限り少ない方が好ましいが、感光材料1m2当たり100〜2000mlが適当であり、好ましくは200ml〜1000mlである。
【0049】
発色現像を終えたカラー反転感光材料は、次いで脱銀処理される。脱銀工程は通常以下のような形の工程により行なわれる。
1.(発色現像)−調整−漂白−定着
2.(発色現像)−水洗−漂白−定着
3.(発色現像)−漂白−定着
4.(発色現像)−水洗−漂白−水洗−定着
5.(発色現像)−漂白−水洗−定着
6.(発色現像)−水洗−漂白定着
7.(発色現像)−調整−漂白定着
8.(発色現像)−漂白定着
9.(発色現像)−水洗−漂白−漂白定着
10.(発色現像)−漂白−漂白定着
11.(発色現像)−水洗−漂白−漂白定着−定着
【0050】
上記工程の中でも、特に1、3が好ましい。
上記の処理工程における補充方法は、従来のように、各浴の補充液を個々に該当する処理浴に補充してもよいし、工程9、10においては、漂白液のオーバーフロー液を漂白定着浴に導入し、漂白定着浴には定着液組成だけを補充してもよい。また、工程11においては、漂白液のオーバーフロー液を漂白定着液に導入し、定着液のオーバーフロー液を向流方式で漂白定着液に導入し、両者を漂白定着浴よりオーバーフローさせるような方法を行なってもよい。
本発明の漂白浴もしくは漂白定着浴の漂白剤としては、現在最も一般に使用されているのは、アミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩である。これらのアミノポリ
【0051】
カルボン酸及びその塩の代表例としては、
A−1 エチレンジアミンテトラ酢酸
A−2 エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム塩
A−3 エチレンジアミンテトラ酢酸ジアンモニウム塩
A−4 ジエチレントリアミンペンタ酢酸
A−5 シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸
A−6 シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム塩
A−7 イミノジ酢酸
A−8 1,3−ジアミノプロパンテトラ酢酸
A−9 メチルイミノジ酢酸
A−10 ヒドロキシエチルイミノジ酢酸
A−11 グリコールエーテルジアミンテトラ酢酸
A−12 エチレンジアミンテトラプロピオン酸
A−13 N−(2−カルボキシエチル)−イミノジ酢酸
A−14 エチレンジアミンジプロピオン酸
A−15 β−アラニンジ酢酸
A−16 エチレンジアミンジマロン酸
A−17 エチレンジアミンジコハク酸
等をあげることができる。
【0052】
アミノポリカルボン酸第2鉄錯塩は錯塩の形で使用しても良いし、第2鉄塩とアミノポリカルボン酸を用いて溶液中で第2鉄イオン錯塩を形成させてもよい。更にアミノポリカルボン酸を1種類又は2種類以上使用してもよい。また、いずれの場合にも、アミノポリカルボン酸を第2鉄イオン錯塩を形成する以上に過剰に用いてもよい。
また上記の第2鉄イオン錯体を含む漂白液又は漂白定着液には鉄以外のコバルト、銅等の金属イオン錯塩が入っていてもよい。
これらの漂白剤の添加量は漂白能を有する浴1リットルあたり0.02モル〜0.5モル、好ましくは0.05モル〜0.3モルである。
【0053】
本発明の漂白浴、漂白定着浴、もしくはそれらの前浴である調整浴には、種々の漂白定着促進剤を添加することができる。
このような漂白促進剤の例としては、例えば米国特許第3,893,858号明細書、英国特許第1,388,42号明細書、特開昭53−141623号公報に記載されている如き種々のメルカプト化合物、特開昭53−95630号公報に記載されている如きジスルフイド結合を有する化合物、特公昭53−9854号公報に記載されている如きチアゾリジン誘導体、特開昭53−94927号公報に記載されている如きイソチオ尿素誘導体、特公昭45−8506号公報、特公昭49−26586号公報に記載されている如きチオ尿素誘導体、特開昭49−42349号公報に記載されている如きチオアミド化合物、特開昭55−26506号公報に記載されている如きジチオカルバミン酸塩類等が挙げられる。漂白促進剤のさらなる例には、無置換もしくは、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、(アルキル基、アセトキシアルキル基などの置換を有していてもよい)アミノ基などで置換されたアルキルメルカプト化合物を用いることができる。例えば、トリチオグリセリン、α,α’- チオジプロピオン酸、δ−メルカプト酪酸などをあげることができる。さらに米国特許第4,552,834号記載の化合物を使用することもできる。
【0054】
上記の分子中にメルカプト基またはジスルフィド結合を有する化合物、チアゾリン誘導体またはイソチオ尿素誘導体を漂白液に含有せしめる際の添加量は処理する写真材料の種類、処理温度、目的とする処理に要する時間等によって相違するが、処理液1リットル当り1×10-5〜10-1モルで適当であり、好ましくは1×10-4〜5×10-2モルである。
【0055】
本発明に用いられる漂白液には、漂白剤及び上記化合物の他に、臭化物、例えば臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化アンモニウム又は塩化物、例えば塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウムなどの再ハロゲン化剤を含むことができる。他に、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸塩、ほう酸、ほう砂、メタほう酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、亜燐酸、燐酸、燐酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸などのpH緩衝能を有する1種以上の無機酸、有機酸及びこれらの塩など通常漂白液に用いることが公知の添加剤を添加することができる。
また漂白能を有する液のpHは、使用に際して4.0〜8.0、特に5.0〜7.0になることが好ましい。
【0056】
また漂白定着液中には定着剤としてチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムの如きチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸カリウムの如きチオシアン酸塩、エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物、チオ尿素類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを1種あるいは2種以上混合して使用することができる。さらに特開昭55−155354号に記載された定着剤と多量の沃化カリウムの如きハロゲン化物などの組み合わせからなる特殊な漂白定着液等も用いることができる。これら定着剤の量は定着能を有する浴1リットル当り0.1モル〜3モル、好ましくは0.2モル〜2モルである。
【0057】
本発明で定着液を使用する場合、その定着剤も公知の定着剤即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムの如きチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸カリウムの如きチオシアン酸塩、エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物、チオ尿素類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを1種あるいは2種以上混合して使用することができる。その定着剤の濃度は定着液1リットル当り0.1モル〜3モル、好ましくは0.2モル〜2モルである。定着能を有する液には、前述の添加剤以外に保恒剤として亜硫酸塩(例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム)、重亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、アルデヒド化合物の重亜硫酸塩付加物(例えばアセトアルデヒド重亜硫酸ナトリウム)などを含有させることができる。またスルフィン酸類(ベンゼンスルフィン酸等)やアスコルビン酸も有効な保恒剤である。更に、各種の蛍光増白剤や消泡剤あるいは界面活性剤、ポリビニルピロリドン、防菌、防バイ剤、メタノール等の有機溶媒を含有させることができる。
【0058】
本発明における漂白液、定着液、漂白定着液等の補充量は、それぞれの処理浴の機能を満たすかぎり各々任意に設定できるが、好ましくは感光材料1m2当り30ml〜2000mlである。更に好ましくは50ml〜1000mlである。
また、処理温度は好ましくは20℃〜50℃、更に好ましくは33℃〜45℃である。処理時間は10秒〜10分、好ましくは20秒〜6分である。
【0059】
定着又は漂白定着等の脱銀処理後、水洗及び/又は安定化処理をするのが一般的である。
水洗工程での水洗水量は、感光材料の特性(例えばカプラー等使用素材による)や用途、水洗水温、水洗タンクの数(段数)、その他種々の条件によって広範囲に設定し得る。このうち、多段向流方式における水洗タンク数と水量の関係は、ジャーナル・オブ・ザ・ソサエティ・オブ・モーション・ピクチャー・アンド・テレヴィジョン・エンジニアズ(Journal of the Society of Motion Picture and Television Engineers)第64巻、p.248 〜253 (1955 年5月号)に記載の方法で、求めることができる。通常多段向流方式における段数は2〜15が好ましく、特に2〜10が好ましい。
【0060】
多段向流方式によれば、水洗水量を大巾に減少でき、タンク内での水の滞留時間増加により、バクテリアが繁殖し、生成した浮遊物が感光材料に付着する等の問題が生じる。この様な問題の解決策として、特開昭62−288838号公報に記載のカルシウム、マグネシウムを低減させる方法を極めて有効に用いることができる。また、特開昭57−8542号公報に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、同61−120145号公報に記載の塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤、特開昭61−267761号公報に記載のベンゾトリアゾール、銅イオン、その他堀口博著「防菌防黴の化学」(1986年)三共出版、衛生技術会編、「微生物の減菌、殺菌、防黴技術」(1982年)工業技術会、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」(1986年)に記載の殺菌剤を用いることもできる。
【0061】
また、残存するマゼンタカプラーを不活性化して色素の褪色やステインの生成を防止するホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ピルビンアルデヒドなどのアルデヒド類、米国特許第4786583号に記載のメチロール化合物やヘキサメチレンテトラミン、特開平2−153348号に記載のヘキサヒドロトリアジン類、米国特許第4921779号に記載のホルムアルデヒド重亜硫酸付加物、欧州特許公開公報第504609号、同519190号などに記載のアゾリルメチルアミン類などが添加される。
又、US4960687号、US4975356号、US5037725号記載のように漂白浴の前浴に画像安定化剤やその前駆体を添加することも可能である。
【0062】
更に、水洗水には、水切り剤として界面活性剤や、硬水軟化剤としてEDTAに代表されるキレート剤を用いることができる。
以上の水洗工程に続くか、又は水洗工程を経ずに直接画像安定液で処理することも出来る。画像安定液には、画像安定化機能を有する化合物を含んでおり、それらの例としては、ホルマリンに代表されるアルデヒド化合物、色素安定化に適した膜pHに調製するための緩衝剤及びアンモニウム化合物があげられる。又、液中でのバクテリアの繁殖防止や処理後の感光材料に防黴性を付与するため、前記した各種殺菌剤や防黴剤を用いることができる。更に、界面活性剤、蛍光増白剤、硬膜剤を加えることもできる。
【0063】
本発明の方法に係わる感光材料の処理において、安定化が水洗工程を経ることなく直接行われる場合、特開昭57−8543号、同58−14834号、同60−220345号公報等に記載の公知の方法をいずれも用いることができる。その他、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸等のキレート剤、マグネシウムやビスマス化合物を用いることも好ましい態様である。
【0064】
脱銀処理後に用いられる水洗液又は安定化液としていわゆるリンス液も同様に用いられる。
水洗工程又は安定化工程の好ましいpHは4〜10であり、更に好ましくは5〜8である。温度は感光材料の用途・特性等で種々設定し得るが、一般には20℃〜50℃、好ましくは25℃〜45℃である。
水洗及び/又は安定化工程に続いて乾燥が行われる。画像膜への水分の持込み量を減じる観点から水洗浴から出た後すぐにスクイズローラや布などで水を吸収することで乾燥を早めることも可能である。乾燥機側からの改善手段としては、当然のことではあるが、温度を高くすることや吹きつけノズルの形状を変更し乾燥風を強くすることなどで乾燥を早めることが可能である。更に、特開平3−157650号公報に記載されているように、乾燥風の感光材料への送風角度の調整や、排出風の除去方法によっても乾燥を早めることができる。
【0065】
また、本発明に係わる感光材料には、親水性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や細菌を防ぐために、特開昭63−271247号公報に記載のような防黴剤を添加するのが好ましい。
【0066】
次に、本発明に係わるカラーリバーサルフィルムについて説明する。このフィルムは、通常支持体に近い方から赤感性ユニット、緑感性ユニット、青感性ユニットの順に感光性ユニットが配置されており、赤感性ユニットと緑感性ユニットの間、または緑感性ユニットと青感性ユニットの間の少なくとも一方に2層以上の非発色層を有しているハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
【0067】
感光性ユニットが3層構成の感光材料は、支持体に近い側から低感度乳剤層、中感度乳剤層、高感度乳剤層の順で塗布されていることが好ましく、これらの感光性乳剤層の間には、非発色性の中間層またはハロゲン化銀乳剤を含む層が塗布されていても良い。
感光性ユニットは青感性、緑感性、赤感性すべてが3層構成であることが好ましいが、青感性層は2層以下の構成であって緑感性、赤感性層が3層構成であってもよい。
青感性層にはイエローカプラー、緑感性層にはマゼンタカプラー、赤感性層にはシアンカプラーを含むが、色再現性の調節の目的でこのほかの組み合わせのカプラーを混合しても良い。
【0068】
3層構成のユニットのうち、ハロゲン化銀乳剤の塗布量はユニット全体のハロゲン化銀乳剤塗布重量のうち高感度層には10%〜60%、中間度層には10%〜50%、低感度層には30%〜70%が配分されていることが好ましく、またそれぞれの感光性層中での銀/カプラー比は低感度層が最大となるような構成であることが好ましい。
【0069】
感色性の異なるユニットの間には非発色性の中間層を有することが好ましい。非発色性の中間層には感光性、非感光性、または予めかぶらされたハロゲン化銀乳剤が含有されていても良い。
特に中間層が2層以上5層以下の構成であることが好ましいが、この場合支持体から遠い側に位置する層にはコロイド銀粒子、または予め表面または粒子内部がかぶらされたハロゲン化銀乳剤が含有されていることが好ましい。また中間層にハロゲン化銀乳剤を含有させる場合には、該中間層または隣接する層中に混色防止剤を添加することが好ましい。
【0070】
本発明に係わるカラーリバーサルフィルムのより好ましい実施形態には以下のようなものが挙げられる。
支持体に近い側から赤感性ユニット、緑感性ユニット、青感性ユニットが塗布されたおり、少なくとも赤感性ユニット、緑感性ユニットは3層の感光性乳剤層からなっていてそれらは支持体に近い側から低感度、中感度、高感度の順で塗布されている。これら各感光性層中の銀/カプラー比は低感度層で最も大きく、特に色画像の視感度の最も高い緑感性乳剤層の銀/カプラー比は25〜150が好ましい。またその場合中間度層の銀/カプラー比は5〜30、高感度層の銀/カプラー比は2〜20が好ましい。
【0071】
さらに赤感性ユニットと緑感性ユニットの間、緑感性ユニットと青感性ユニットの間には2層以上5層以下の中間層を有しており、前者の緑感性層に隣接する層、後者の青感性層に隣接する層にはコロイド銀粒子または予めかぶらされたハロゲン化銀乳剤が含有されている。前記中間層の膜厚は2層合わせて0.5〜5μmであり、より好ましくは1.0〜3.0μmである。この膜厚は添加物の比重により理論上簡単に求められるし、また実際の塗布物に関しては電子顕微鏡にて断面を観察し容易に測定できる。
また、赤感性ユニットより支持体に近い側にはハレーション防止層、中間層を青感性ユニットより支持体から遠い側には少なくとも1層の保護層を有しており保護層のうち少なくとも1層にはハロゲン化銀乳剤を含んでいることも好ましい。
【0072】
本発明に係わるハロゲン化銀写真乳剤、およびそれを用いたカラーリバーサルフィルムに用いることのできる種々の技術や無機・有機の素材については一般にはリサーチ・ディスクロージャー No.308119(1989年)に記されており、それに加えてさらに同37038(1995年)、欧州特許第436,938A2号の下記の箇所及び下記に引用の特許に記載されている。
【0073】
Figure 0003781229
Figure 0003781229
【0074】
【実施例】
(実施例−1)
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するがこれに限定されるものではない。
試料101の作製
下塗りを施した厚み 127μの三酢酸セルロースフィルム支持体上に、下記の組成の各層より成る多層カラー感光材料を作製し、試料101とした。数字は1m2当りの添加量を表わす。なお添加した化合物の効果は記載した用途に限らない。
【0075】
第1層:ハレーション防止層
黒色コロイド銀 0.15g
ゼラチン 2.00g
紫外線吸収剤U−1 0.10g
紫外線吸収剤U−3 0.040g
紫外線吸収剤U−4 0.10g
高沸点有機溶媒Oil−1 0.10g
染料E−1の微結晶固体分散物 0.10g
【0076】
第2層:中間層
ゼラチン 0.30g
化合物Cpd−C 5.0 mg
化合物Cpd−J 5.0 mg
化合物Cpd−K 5.0 mg
高沸点有機溶媒Oil−3 0.10g
染料D−4 0.80mg
【0077】
Figure 0003781229
【0078】
第4層:低感度赤感性乳剤層
乳剤A 銀量 0.40g
乳剤B 銀量 0.35g
ゼラチン 0.80g
カプラーC−11 0.10g
カプラーC−1 0.05g
カプラーC−9 0.010g
化合物Cpd−C 5.0mg
化合物Cpd−J 5.0mg
高沸点有機溶媒Oil−2 0.10g
高沸点有機溶媒Oil−4 0.05g
添加物P−1 0.10g
【0079】
第5層:中感度赤感性乳剤層
乳剤B 銀量 0.25g
乳剤C 銀量 0.25g
ゼラチン 0.80g
カプラーC−11 0.05g
カプラーC−1 0.10g
カプラーC−2 0.05g
高沸点有機溶媒Oil−2 0.10g
高沸点有機溶媒Oil−1 0.10g
添加物P−1 0.10g
【0080】
第6層:高感度赤感性乳剤層
乳剤D 銀量 0.80g
ゼラチン 1.10g
カプラーC−11 0.20g
カプラーC−2 0.10g
カプラーC−3 0.60g
添加物P−1 0.10g
【0081】
Figure 0003781229
【0082】
Figure 0003781229
【0083】
第9層:中感度緑感性乳剤層
乳剤G 銀量 0.25g
乳剤H 銀量 0.10g
ゼラチン 0.50g
カプラーC−4 0.08g
カプラーC−7 0.08g
カプラーC−8 0.04g
化合物Cpd−B 0.030g
化合物Cpd−D 0.020g
化合物Cpd−E 0.020g
化合物Cpd−F 0.050g
高沸点有機溶媒Oil−2 0.050g
【0084】
第10層:高感度緑感性乳剤層
乳剤I 銀量 0.45g
ゼラチン 1.20g
カプラーC−4 0.25g
カプラーC−7 0.25g
カプラーC−8 0.20g
化合物Cpd−B 0.080g
化合物Cpd−E 0.020g
化合物Cpd−F 0.040g
化合物Cpd−K 5.0mg
高沸点有機溶媒Oil−1 0.020g
高沸点有機溶媒Oil−2 0.100g
【0085】
第11層:イエローフィルター層
黄色コロイド銀 銀量 0.010g
ゼラチン 1.70g
高沸点有機溶媒Oil−3 0.10g
染料E−2の微結晶固体分散物 0.030g
染料E−3の微結晶固体分散物 0.020g
【0086】
第12層:低感度青感性乳剤層
乳剤J 銀量 0.30g
乳剤K 銀量 0.30g
ゼラチン 0.80g
カプラーC−5 0.20g
カプラーC−6 0.05g
カプラーC−10 0.30g
化合物Cpd−I 0.02g
【0087】
第13層:中感度青感性乳剤層
乳剤L 銀量 0.25g
乳剤M 銀量 0.25g
ゼラチン 0.90g
カプラーC−5 0.20g
カプラーC−6 0.05g
カプラーC−10 0.60g
【0088】
第14層:高感度青感性乳剤層
乳剤N 銀量 0.20g
乳剤O 銀量 0.15g
ゼラチン 1.20g
カプラーC−5 0.20g
カプラーC−6 0.10g
カプラーC−10 0.60g
高沸点有機溶媒Oil−2 0.15g
【0089】
Figure 0003781229
【0090】
Figure 0003781229
【0091】
Figure 0003781229
【0092】
また、すべての乳剤層には上記組成物の他に添加剤F−1〜F−8を添加した。さらに各層には上記組成物の他にゼラチン硬化剤H−1及び塗布用、乳化用界面活性剤W−3、W−4、W−5、W−6を添加した。
更に防腐、防黴剤としてフェノール、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−フェノキシエタノール、フェネチルアルコール、p−安息香酸ブチルエステルを添加した。
【0093】
【表1】
Figure 0003781229
【0094】
【表2】
Figure 0003781229
【0095】
【表3】
Figure 0003781229
【0096】
【化7】
Figure 0003781229
【0097】
【化8】
Figure 0003781229
【0098】
【化9】
Figure 0003781229
【0099】
【化10】
Figure 0003781229
【0100】
【化11】
Figure 0003781229
【0101】
【化12】
Figure 0003781229
【0102】
【化13】
Figure 0003781229
【0103】
【化14】
Figure 0003781229
【0104】
【化15】
Figure 0003781229
【0105】
【化16】
Figure 0003781229
【0106】
【化17】
Figure 0003781229
【0107】
【化18】
Figure 0003781229
【0108】
【化19】
Figure 0003781229
【0109】
【化20】
Figure 0003781229
【0110】
有機固体分散染料の分散物の調製
染料E−1を以下の方法で分散した。即ち、メタノールを30%含む染料のウェットケーキ1430gに水及びBASF社製 Pluronic F88(エチレンオキシド−プロピレンオキシド ブロック共重合体)200gを加えて攪拌し、染料濃度6%のスラリーとした。次に、アイメックス(株)製ウルトラビスコミル(UVM−2)に平均粒径0.5mmのジルコニアビーズを1700ml充填し、スラリーを通して周速約10m/sec 、吐出量0.5リットル/min で8時間粉砕した。ビーズを濾過して除き、水を加えて染料濃度3%に希釈した後、安定化のために90℃で10時間加熱した。得られた染料微粒子の平均粒径は0.60μmであり、粒径の分布の広さ(粒径標準偏差×100/平均粒径)は18%であった。
【0111】
同様にして、染料E−2、E−3の固体分散物を得た。平均粒径は0.54μmおよび0.56μmであった。
【0112】
露光
以上のようにして得られた試料101を35幅(135フォーマット)に加工し、センシトメトリー用ウエッジを通してCIEイルミナントD65の光で10CMSの露光量の露光を行った。
【0113】
現像
露光済み試料に下記の処理工程のカラー反転処理を施した。
本実施例では全て下記の現像処理を施した。
処理工程 時間 温度
第一現像 6分 38℃
第一水洗 2分 38℃
反 転 2分 38℃
発色現像 6分 38℃
前漂白 2分 38℃
漂 白 6分 38℃
定 着 4分 38℃
第二水洗 4分 38℃
最終リンス 1分 25℃
【0114】
各処理液の組成は以下の通りであった。
Figure 0003781229
pHは硫酸又は水酸化カリウムで調整した。
【0115】
Figure 0003781229
pHは酢酸又は水酸化ナトリウムで調整した。
【0116】
Figure 0003781229
pHは硫酸又は水酸化カリウムで調整した。
【0117】
Figure 0003781229
pHは酢酸又は水酸化ナトリウムで調整した。
【0118】
Figure 0003781229
pHは硝酸又は水酸化ナトリウムで調整した。
【0119】
Figure 0003781229
pHは酢酸又はアンモニア水で調整した。
【0120】
Figure 0003781229
反転浴は、キレート剤を変更して調整し、その各々について処理を行った。反転浴の経時安定性を調べるために、各反転浴をそれぞれポリエチレンボトルに入れて密栓し、40°Cで2週間経時させた後、その浴を用いて再度現像処理を行った。
【0121】
測定
現像済み試料を国際規格(ISO 5-2 及びISO 5-4)の測定条件に従って測定し、その特性曲線を求めた。評価尺度としては、特性曲線の最大濃度(Dmax)部のイエロー濃度(青フィルター光濃度)及び緑フィルター光濃度1.0におけるカラーバランス(Db−Dg及びDr−Dg)を読み取って仕上がり品質(画質)の代表特性とした。なお、Dr、Dg及びDbは、それぞれステータスAの赤、緑、青フィルター光濃度である。
【0122】
結果
結果を表4に示す。
【0123】
【表4】
Figure 0003781229
【0124】
表4において本発明の反転浴は、新液でもDmaxが高いが、経時による濃度低下が少なく、また、カラーバランスの経時による変化も少なく、かぶらせ効果が高くかつ経時安定性もよいことが判る。なお、表4において本発明のキレート剤 II-1 及び II-4 は、〔S,S〕体が98%以上である。
また、比較例(実験番号1〜4)の反転浴は、40°Cで2週間の経時によって程度の差はあるが沈殿又は濁りを生じたが、現像処理には沈殿はすべて液中に分散させて用いた。本発明例(実験番号5〜8)の反転浴は、40°Cで2週間の経時による外見上の変化は認められず、現像所の閑散期であっても実用期間を通して安定に保たれると判定された。
【0125】
【発明の効果】
反転カラー処理において、一般式〔I〕及び〔II〕に示したキレート剤を用いた塩化第一錫キレートを含んだ反転浴は、かぶらせ効果が高くかつ経時安定性も十分で、優れた画質の現像仕上がりを安定に維持することができる。
また、このキレート剤はリン化合物ではないので、反転浴の廃液は、リンに関する排水基準及び下水道の水質規制を満たす。また、従来使用のキレート剤に比較して生分解性が高く、環境汚染に対する負荷が小さい。とりわけ一般式〔II〕の〔S,S〕体化合物は、生分解性がとくに大きい。

Claims (3)

  1. 少なくとも錫(II) イオンと、下記一般式〔I〕又は〔II〕のいずれかで表されるキレート剤と、を含有することを特徴とするカラー反転処理用反転浴組成物。
    一般式〔I〕
    Figure 0003781229
    (式中、M1 ,M2 及びM3 は、水素原子、アルカリ金属原子又はアンモニウム原子団を表す。m及びnは、1又は2の整数を示し、Xは、水素原子又は置換基を示す。)
    一般式〔II〕
    Figure 0003781229
    (式中、M4 ,M5 ,M6 及びM7 は、水素原子、アルカリ金属原子又はアンモニウム原子団を表す。lは、1〜4の整数を示し、Y及びZは、水素原子又は置換基を示す。)
  2. 一般式〔II〕で表される化合物が〔S,S〕体を主成分とする光学異性化合物であることを特長とする請求項1の反転浴組成物。
  3. 撮影済みカラー写真感光材料を請求項1又は2記載の反転浴組成物を用いて処理することを特徴とするカラー反転処理方法。
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