JP2001329174A - フルオロカーボンシラン加水分解物含有水性エマルジョンおよび耐熱撥水性被覆物 - Google Patents

フルオロカーボンシラン加水分解物含有水性エマルジョンおよび耐熱撥水性被覆物

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JP2001329174A
JP2001329174A JP2000148885A JP2000148885A JP2001329174A JP 2001329174 A JP2001329174 A JP 2001329174A JP 2000148885 A JP2000148885 A JP 2000148885A JP 2000148885 A JP2000148885 A JP 2000148885A JP 2001329174 A JP2001329174 A JP 2001329174A
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fluorocarbon silane
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silane
hydrolyzate
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Mureo Kaku
群雄 賀来
Satoko Iwato
聡子 岩戸
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EI Du Pont de Nemours and Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 用途が制限されず、さらに作業環境上の問題
もない耐熱撥水性の被覆層を形成することができる水性
エマルジョンを提供すること。 【解決手段】 フルオロカーボンシランの加水分解物
と、界面活性剤と、シリケートとを含有し、リン酸また
はホウ酸によりpHを4.5以下に調整したフルオロカ
ーボンシラン加水分解物含有水性エマルジョン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性に優れた耐
熱撥水性被覆層を提供することができるフルオロカーボ
ンシラン加水分解物含有水性エマルジョンに関し、さら
に詳しくは、エマルジョンのpHを特定の酸により調整
したフルオロカーボンシラン加水分解物含有水性エマル
ジョン、およびそのエマルジョンを基材に塗布乾燥する
ことにより形成された、オーブンレンジ・トースターの
ガラス窓、自動車関連の精密部品等の耐熱撥水性被覆物
に関する。
【0002】
【従来の技術】基材の表面に撥水性を提供することがで
きるシラン含有水溶液については種々の提案がなされて
いる。
【0003】シラン含有水溶液の中でも、特別な熱処理
を必要とせずに、基材に撥水性を提供することができる
ものとして、フルオロカーボンシラン加水分解物と、そ
の加水分解物を乳化する界面活性剤とを含有するエマル
ジョンが開発されている(米国特許第5,550,18
4号公報)。
【0004】また、フルオロカーボンシラン加水分解物
と、その加水分解物を乳化する界面活性剤と、特定のシ
リケートとを含有するエマルジョンであって、そのpH
を7以上に調整したものが提案されており、高温条件下
においても優れた撥水性を維持できる特性、すなわち、
耐熱撥水性を基材に提供することができる(特開平11
−181355号公報)。
【0005】さらにまた、同様に優れた耐熱撥水性をも
たらすエマルジョンとして、特定のノニオン系界面活性
剤によって乳化されたフルオロカーボンシランの加水分
解物と、特定のシリケートとを含有するエマルジョンで
あって、そのpHを4以上に調整したエマルジョンも提
案されている(特開平11−181355号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】pHを7以上に調整し
たエマルジョンは優れた耐熱撥水性の被覆層を提供する
ことができるが、pHをアルカリに調整するために水酸
化ナトリウムなどの金属の水酸化物を使用すると、エレ
クトロニクス分野など用途によっては、被覆物への金属
イオンの残留が問題となる。また、アンモニア、ピリジ
ンなどによってもpHを調整することができるが、毒性
があるため、これらの使用は作業環境上問題がある。
【0007】本発明の課題は、用途が制限されず、さら
に作業環境上の問題もない、耐熱撥水性の被覆層を実現
することができるフルオロカーボンシラン加水分解物含
有水性エマルジョンを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題を解決するために、フルオロカーボンシラン加水
分解物含有水性エマルジョンのpHを特定の酸により調
整することにより、耐熱撥水性の被覆層を形成できるエ
マルジョンを提供できることを見出した。
【0009】すなわち、本発明のフルオロカーボンシラ
ン加水分解物含有水性エマルジョンは、フルオロカーボ
ンシラン加水分解物と、界面活性剤と、シリケートと、
リン酸、ホウ酸およびリン酸とホウ酸との混合物から成
る群から選択される酸とを含有する水性エマルジョンで
あり、フルオロカーボンシランは、
【0010】
【化3】 Rf−(CH2p−Si{−(O−CH2CH2n−OR´}3 (1) (Rfは炭素原子が3〜18個のパーフルオロアルキル
基またはそれらの混合物であり、複数のR´は炭素原子
が1〜3個の同一のもしくは異なるアルキル基であり、
そして、p=2〜4およびn=2〜10)により表され
る少なくとも1種の加水分解性フルオロカーボンシラン
であり、界面活性剤は、そのフルオロカーボンシランの
加水分解物を乳化するものであり、フルオロカーボンシ
ランは、水性エマルジョンの総重量に基づいて、0.1
〜20重量%含有され、フルオロカーボンシランと、界
面活性剤との重量比は、1:1〜10:1であり、シリ
ケートは、
【0011】
【化4】Si−R4 (2) (Rは、OCH3、OCH2CH3、および(OCH2CH
2mOCH3(m=1〜10)からなる群から選択され
る1または2以上の基である。)により表されるシリケ
ートであり、シリケートは、フルオロカーボンシランに
対するモル分率が0.3〜10である量で含有され、酸
は、水性エマルジョンのpHを4.5以下に調整する量
で含有されることを特徴とする。
【0012】本発明の他の形態は、耐熱撥水性被覆物で
あり、基材の少なくとも一つの表面に、上記のフルオロ
カーボンシラン加水分解物含有水性エマルジョンを塗布
乾燥することにより形成された被覆層を具えることを特
徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の水性エマルジョンは、フ
ルオロカーボンシランの加水分解物を含有する。
【0014】水性エマルジョンを形成するために用いら
れる加水分解性フルオロカーボンシランとしては、
【0015】
【化5】 Rf−(CH2p−Si{−(O−CH2CH2n−OR´}3 (1) で表され、Rfは炭素原子が3〜18個のパーフルオロ
アルキル基またはそれらの混合物であり、複数のR´は
炭素原子が1〜3個の同一のもしくは異なるアルキル基
であり、そして、p=2〜4およびn=2〜10である
少なくとも1種のフルオロカーボンシランが用いられ
る。好ましくは、Rfは平均で8〜12個の炭素原子を
有する混合されたパーフルオロアルキル基であり、R´
はメチル基であり、そしてp=2およびn=2〜4であ
る。さらに好ましくは、n=2〜3である。
【0016】具体的には、好ましいフルオロカーボンシ
ランは、nが2であるとき、パーフルオロアルキルエチ
ルトリス(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)シ
ランであり、nが3であるとき、(2−(2−(2−メ
トキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)シランである。
このようなフルオロカーボンシランは公知の方法により
製造することができる。2種以上のフルオロカーボンシ
ランを混合して使用してもよい。
【0017】本発明において用いられる界面活性剤は、
フルオロカーボンシラン加水分解物の自己縮合を抑制す
るのに十分に高いHLB値を有する界面活性剤である。
界面活性剤は、アニオン型、カチオン型、非イオン型、
および両性型のいずれのタイプのものでもよいが、好ま
しい界面活性剤は、HLBの値が12より大きく、さら
に好ましくは16より大きいものである。HLBの値が
12〜16の界面活性剤を使用する場合に、エマルジョ
ンを安定化するためには、通常、非常に多量の界面活性
剤を必要とする。フルオロカーボンシラン加水分解物の
自己縮合を抑制するのに十分に高いHLB値を有する界
面活性剤であれば、相溶性を有する2種以上の界面活性
剤を混合して用いてもよい。
【0018】非イオン型界面活性剤のHLB値は、米国
のアトラス社(現在ICIアメリカ社)のグリフィン氏
により創案された計算式などにより計算で求めることが
できるが、アニオン型やカチオン型の場合は、今のとこ
ろHLB値を計算により求める方法がない。しかしなが
ら、アトラス社ではHLB値が変化すると乳化性が敏感
に変化することに着目して、標準の油の乳化実験によっ
て実験的にHLB値を決定する方法を確立して発表して
いる。アトラス社以外にもHLB値を実験的に決定する
方法が確立されているが、いずれの実験方法を採用して
もアニオン型やカチオン型のHLB値は16より大きく
なることが明らかにされている。
【0019】具体的には、Rf´−CH2CH2−O−
(CH2CH2O)11−H、C919−C 64−O−(C
2CH2O)50−Hなどのノニオン系界面活性剤、Rf
´−CH2CH2SCH2CH(OH)CH2N(CH33
+Cl-などのカチオン系界面活性剤、C1225(OCH
2CH24OSO3 -NH4 +、C1227−C64−SO3 -
Na+などのアニオン系界面活性剤を挙げることができ
る。Rf´はパーフルオロアルキル基であり、通常、3
〜18個の炭素原子を有する。
【0020】好ましい界面活性剤は、分子鎖中にポリエ
チレングリコールを有するノニオン系界面活性剤などで
ある。
【0021】水性エマルジョン中のフルオロカーボンシ
ランの含有量は、エマルジョンの総重量に基づいて、少
なくとも0.1重量%であり、好ましくは2〜20重量
%、さらに好ましくは7〜15重量%である。0.1重
量%より少ないと撥水性が不十分であり、一方、20重
量%より多くなると水性エマルジョンの安定性が損なわ
れる傾向がある。
【0022】フルオロカーボンシランと界面活性剤との
重量比は、1:1〜10:1であり、好ましくは10:
2〜10:5であり、さらに好ましくは10:3であ
る。界面活性剤の割合が低すぎると水性エマルジョンを
安定に保つことができず、一方、その割合が高すぎると
乾燥後も親水性基が基材上に残ることがあり、良好な撥
水性をもたらすことができない。
【0023】本発明の水性エマルジョンは、耐熱撥水性
を向上させるために、フルオロカーボンシラン加水分解
物と共重合する成分を含有する。
【0024】水中で溶化するという点から、本発明にお
いては、
【0025】
【化6】Si−R4 (2) で表され、Rは、OCH3、OCH2CH3、および(O
CH2CH2mOCH3(m=1〜10)からなる群から
選択される1または2以上の基であるシリケートが用い
られる。
【0026】Si−{(OCH2CH2mOCH3
4(m=1〜3)で表されるシリケートは水溶性である
ため、フルオロカーボンシラン加水分解物を含有する水
性エマルジョンにおいて短い攪拌時間で溶解する。特
に、Si−{(OCH2CH22OCH34で表される
シリケートが好ましい。
【0027】シリケートは、フルオロカーボンシランに
対するモル分率で0.3〜10である量で用いられる。
モル分率が0.3より小さいと被覆層の耐熱撥水性が不
十分であり、一方、10より大きいと水性エマルジョン
がゲル化してしまって被覆層の耐熱撥水性が損なわれて
しまう。
【0028】水性エマルジョンの取り扱いやすさという
点から、安定であることが好ましく、安定なエマルジョ
ンを得るためには、フルオロカーボンシランに対するシ
リケートのモル分率は、0.3〜5が好ましく、0.4
〜2がさらに好ましい。
【0029】本発明者らは、フルオロカーボンシランの
加水分解物と、界面活性剤と、シリケートとから成る水
性エマルジョンのpHと、被覆層の耐熱撥水性との関係
について検討を行った結果、一般的には、アルカリ性に
調整した水性エマルジョンは、塩酸、硫酸、酢酸などに
より酸性に調整した水性エマルジョンよりも優れた耐熱
撥水性をもたらすが、驚くべきことに、リン酸、ホウ
酸、またはリン酸とホウ酸との混合物を用いて水性エマ
ルジョンを酸性にした場合には、アルカリ性の水性エマ
ルジョンと同等の耐熱撥水性をもたらすことを見出し
た。
【0030】したがって、本発明の水性エマルジョン
は、そのpHを4.5以下に調整する量だけリン酸、ホ
ウ酸およびリン酸とホウ酸との混合物から成る群から選
択される酸を含有する。
【0031】本発明の水性エマルジョンは、顔料、殺生
物剤、紫外線吸収剤、および酸化防止剤などの慣用の添
加剤を、エマルジョンの安定性、およびその被覆層の耐
熱撥水性に影響を及ぼさない範囲で含有することができ
る。
【0032】本発明の水性エマルジョンの調整方法は特
に制限されるものではないが、水に界面活性剤を溶解し
た後にフルオロカーボンシランを添加し、必要に応じて
他の添加剤を添加し、そして上記の酸を添加してpHを
調整した後にシリケートを添加する方法が好ましい。シ
リケートを添加することによるpHへの影響はほとんど
ないため、エマルジョンのpHを調整した後にシリケー
トを添加してもpHに変動がないと考えられる。
【0033】また、フルオロカーボンシランの自己縮合
を抑制し加水分解された状態に保つためには、界面活性
剤を溶解した後にフルオロカーボンシランを添加するこ
とが好ましく、さらに、慣用の攪拌技術により攪拌しな
がらフルオロカーボンシランをゆっくり添加することが
好ましい。
【0034】本発明の水性エマルジョンは、どのような
基材に対しても塗布することができ、優れた撥水性を提
供することができる。本発明の水性エマルジョンは、耐
熱撥水性の被覆層を提供するものであるから、特に、ア
ルミニウム、ステンレスなどの金属板、ガラス板、セラ
ミックタイル、煉瓦、コンクリート、石などの高温条件
下で使用可能な基材に塗布されて、優れた耐熱撥水性を
長期にわたって維持できる被覆物を形成することができ
る。
【0035】基材への水性エマルジョンの塗布は、ディ
ッピング法、スプレー法、スピンコート法、ロールコー
ト法などの公知の方法により行うことができる。特に、
ガラス基材に対しては、透明性を損なわずに被覆層を形
成することが要求されることがしばしばであるから、透
明性を損なわないという点で、ディッピング法が好まし
い。
【0036】乾燥工程を促進するために加熱してもよ
い。通常、乾燥は100〜350℃の温度範囲で5分〜
24時間にわたり行われる。
【0037】また、本発明の水性エマルジョンを基材に
塗布する前に、ケイ素化合物を塗布して下地層を形成
し、その下地層の上にエマルジョンを塗布することによ
り、耐熱撥水性をさらに長期にわたって維持することが
可能となる。
【0038】水性エマルジョンを塗布した基材は、必要
に応じて、乾燥後に水で洗浄され残留している界面活性
剤が除去される。
【0039】
【実施例】本発明を、以下に実施例を挙げて説明する
が、本発明は本実施例にのみ限定されるものではない。
【0040】以下の実施例及び比較例において使用され
た成分は以下のとおりである。
【0041】フルオロカーボンシランは、Rf−(C
22−Si{−(O−CH2CH22−OCH33
表され、Rfは、F(CH2kCH2CH2(k=6、1
〜2重量%;k=8、62〜64重量%;k=10、2
3〜30重量%;k=12〜18、2〜6重量%)であ
るパーフルオロアルキルの混合物である。
【0042】界面活性剤は、Rf´−CH2CH2−O−
(CH2CH2O)11−Hで表され、Rf´は、3〜18
個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基であるノ
ニオン系界面活性剤である。
【0043】シリケートは、テトラキス[2−(2−メ
トキシエトキシ)エチル]シリケート(Si(DEG
M)4)である。
【0044】(実施例1)フルオロカーボンシラン10
0重量部に対して30重量部となる量の界面活性剤を水
に溶解し、ついで、水性エマルジョンの総重量に基づい
て10重量%のフルオロカーボンシランを慣用の攪拌技
術により攪拌しながらゆっくりと添加してフルオロカー
ボンシランの自己縮合を抑制し加水分解された状態に保
ち、ついで、pHメーターでエマルジョンのpHを測定
しながら、リン酸を加えpHが2.0になったところで
リン酸の添加を終了した。さらに、フルオロカーボンシ
ランに対するSi(DEGM)4のモル分率が0.45
となるようにSi(DEGM)4を加え、水性エマルジ
ョンを調製した。
【0045】その後、水性エマルジョンを2から4時間
攪拌した後、アルミニウム板(2.5cm×5.0cm、厚
さ1mmのJIS1100)に塗布して試験片を作成した。
【0046】水性エマルジョンの塗布はディップコーテ
ィングにより行った。ディップコーティングは、試験片
を300mm/分の速度で水性エマルジョンに下ろし、そ
の状態で5分間保持し、50mm/分の速度で引き上げる
ことにより行った。塗布後の乾燥は、200℃で60分
間にわたって行った。
【0047】得られた試験片の被覆層表面に純水を2μ
l滴下し、接触角計(協和界面科学製)により接触角を
測定した。測定結果を表1に示す。
【0048】さらに、試験片を375℃のオーブンに入
れ、表1に示す時間経過後に、同様に接触角を測定し
た。測定結果を表1に示す。
【0049】(実施例2)実施例2では、実施例1のリ
ン酸に代えてホウ酸を用いてpHを4.0に調整した以
外は、実施例1と同様な組成のフルオロカーボンシラン
加水分解物含有水性エマルジョンを同様の手順にしたが
って調製し、試験片を作成し、同様に撥水試験を行っ
た。接触角の測定結果を表1に示す。
【0050】(比較例1〜5)比較例1〜5では、実施
例1のリン酸に代えて塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、ギ酸を
それぞれ用いてpHを2.0に調整した以外は、それぞ
れ実施例1と同様な組成のフルオロカーボンシラン加水
分解物含有水性エマルジョンを同様の手順にしたがって
調製し、試験片を作成し、同様に撥水試験を行った。接
触角の測定結果を表1に示す。
【0051】(比較例6〜9)比較例6〜9では、実施
例1のリン酸に代えてアンモニア水、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、ピリジンをそれぞれ用いてpHを
8〜11に調整した以外は、それぞれ実施例1と同様な
組成のフルオロカーボンシラン加水分解物含有水性エマ
ルジョンを同様の手順にしたがって調製し、試験片を作
成し、同様に撥水試験を行った。接触角の測定結果を表
1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】実施例1〜2と比較例1〜5とを比較する
と、水性エマルジョンを酸性に調整した場合にも撥水性
に優れる被覆層が得られたが、酸性に調整するためにリ
ン酸またはホウ酸を用いた場合には、375℃で15時
間経過後も、被覆層表面の撥水角の値がエージング前と
同程度またはそれ以上であった。このことから、pHの
調整にリン酸またはホウ酸を用いた場合には、単に撥水
性を有するだけでなく、優れた耐熱撥水性を有する被覆
層が得られることがわかる。
【0054】実施例1〜2と比較例6〜9とを比較する
と、水性エマルジョンをリン酸またはホウ酸により酸性
にした場合も、アルカリ性に調整した場合も、いずれも
優れた耐熱撥水性の被覆層が得られたが、リン酸または
ホウ酸を用いて酸性に調整した場合には、375℃で2
0時間経過後も被覆層表面の撥水角の値が100度以上
であった。このことから、pHの調整にリン酸またはホ
ウ酸を用いた場合には、アルカリ性の水性エマルジョン
よりも被覆層の耐熱撥水性の耐久性が若干改良されるこ
とがわかる。
【0055】
【発明の効果】本発明のフルオロカーボンシラン加水分
解物含有水性エマルジョンは、用途が制限されず、さら
に作業環境上の問題もない耐熱撥水性の被覆層を実現す
ることができる。したがって、本発明の水性エマルジョ
ンが塗布されて形成された被覆物は、長期間にわたって
高温条件下で使用されても優れた撥水性を維持すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/00 C09D 5/00 Z 183/02 183/02 183/08 183/08 (72)発明者 岩戸 聡子 栃木県宇都宮市清原工業団地19番地2 デ ュポン株式会社 先端技術研究所内 Fターム(参考) 4J002 CH022 CH052 CP081 DH027 DK007 EX036 FD312 GH00 HA07 4J038 DL021 DL022 DL071 DL072 GA16 HA416 HA476 KA04 KA09 LA03 MA08 MA10 NA07 NA14 NA27 PB07 PB09 PC02 PC03 PC04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フルオロカーボンシランの加水分解物
    と、界面活性剤と、シリケートと、リン酸、ホウ酸およ
    びリン酸とホウ酸との混合物から成る群から選択される
    酸とを含有する水性エマルジョンであり、 前記フルオロカーボンシランは、 【化1】 Rf−(CH2p−Si{−(O−CH2CH2n−OR´}3 (1) (Rfは炭素原子が3〜18個のパーフルオロアルキル
    基またはそれらの混合物であり、複数のR´は炭素原子
    が1〜3個の同一のもしくは異なるアルキル基であり、
    そして、p=2〜4およびn=2〜10)により表され
    る少なくとも1種の加水分解性フルオロカーボンシラン
    であり、 前記界面活性剤は、前記フルオロカーボンシランの加水
    分解物を乳化するものであり、 前記フルオロカーボンシランは、水性エマルジョンの総
    重量に基づいて、0.1〜20重量%含有され、 前記フルオロカーボンシランと、前記界面活性剤との重
    量比は、1:1〜10:1であり、 前記シリケートは、 【化2】Si−R4 (2) (Rは、OCH3、OCH2CH3、および(OCH2CH
    2mOCH3(m=1〜10)からなる群から選択され
    る1または2以上の基である。)により表されるシリケ
    ートであり、 前記シリケートは、前記フルオロカーボンシランに対す
    るモル分率が0.3〜10である量で含有され、 前記酸は、水性エマルジョンのpHを4.5以下に調整
    する量で含有されることを特徴とするフルオロカーボン
    シラン加水分解物含有水性エマルジョン。
  2. 【請求項2】 基材の少なくとも一つの表面に、請求項
    1に記載のフルオロカーボンシラン加水分解物含有水性
    エマルジョンを塗布乾燥することにより形成された被覆
    層を具えることを特徴とする耐熱撥水性被覆物。
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