JP2003252650A - 高滑水性被膜及びその被覆法 - Google Patents
高滑水性被膜及びその被覆法Info
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Abstract
性と優れた滑水性(水滴滑落性)を有する高滑水性被膜
を得ること。 【解決手段】 被膜のマトリックスとしてのシリカ中
に、アルコキシ末端ジメチルシリコーンと両末端に加水
分解基を有するフルオロアルキルシランとの混合物を滑
水成分として分散させ、アルコキシ基が結合するケイ素
原子とジメチルシロキサン鎖末端のケイ素原子が酸素ま
たはメチレン基を介して結合するジメチルシリコーンに
よりマトリックス中の滑水成分の保持性を向上させると
ともに、該マトリックス中に耐久性に優れたフルオロア
ルキルシランを導入することによりさらに耐久性の優れ
た高滑水性被膜を形成すること。
Description
ス、車両用窓ガラス、鏡、その他産業用ガラス等に用い
ることが可能な、極めて優れた滑水性(水滴滑落性)を
示し、かつ耐久性に優れた高滑水性被膜およびその被覆
法に関する。
リコーン系ワックス、オルガノポリシロキサン、界面活
性剤などを含む組成物について提案されており、例え
ば、特公昭50-15473号公報では、アルキルポリ
シロキサンおよび酸よりなる組成物、特開平5-301
742号公報では、アミノ変性シリコーンオイルと界面
活性剤とを含有する組成物が開示されており、30゜傾
斜において約15μl程度の水滴量で滑落するものが得
られている。また、特開平11-181412号公報で
は、−(CH2)3(CF2)7CH3等の基がオルガノシ
ロキサン単位を形成するケイ素原子に直接結合した単
位、および−(CH2)3SiCl3等の基がオルガノシ
ロキサン単位を形成するケイ素原子に直接結合した単位
を必須とする含フッ素シリコーン化合物および/または
該化合物の部分加水分解物生成物を含むことを特徴とす
る表面処理剤が開示されており、50μlの水滴が約1
0°の傾斜で滑落するものが得られている。また、特開
2000-144056号公報では、末端に加水分解可
能な官能基を有するシリコーン化合物、または末端に加
水分解可能な官能基を有し他端にフルオロアルキル基を
併せ持つシリコーン化合物と、酸と水とを溶剤に溶解
後、混合撹拌によって得られた混合液を、基材表面に塗
布し、ついで乾燥させることにより得られる機能層が、
基材表面とシロキサン結合により化学的に結合されてな
ることを特徴とする水滴滑落性に優れた表面処理基材が
開示されており、50μlの水滴が約1°の傾斜で滑落
するものが得られている。なお、これらの表面処理剤
は、滑水成分を基材上に直接処理して滑水層を形成させ
ており、本願発明のように、滑水成分とマトリックス成
分をハイブリッド化した透明被膜を基材上に形成させる
というものではない。
被膜を基材上に形成させる方法としては、特開平8-1
2375号公報にフルオロアルキル基含有シラン化合物
と、ジメチルシリコーンおよび/またはその誘導体の混
合物を溶媒中で加水分解して得られた溶液と、アルコキ
シシラン化合物を溶媒中で加水分解して得られた溶液と
を混合し、この混合液を基材表面に塗布することにより
形成された、フルオロアルキル基およびメチル基が塗膜
の内層よりも外側表面層において高い濃度で存在する撥
水性物品が開示されている。また、特開2000-26
758号公報には、滑水性被膜を形成可能な被覆組成物
として、水酸基含有ビニルポリマー、エポキシ末端シロ
キサンポリマー、スルホン酸化合物およびブロックされ
ていてもよいポリイソシアネート化合物及びメラミン樹
脂から選ばれる少なくとも1種の架橋剤成分および特定
のジアルキルスルホコハク酸塩及びアルキレンオキシド
シランから選ばれる界面活性剤を含有する滑水性被膜を
形成可能な被覆組成物により、水滴量10μlでの転落
角が5°以下と優れた性能を示すことが開示されてい
る。
−12375号公報記載の撥水性物品は、水滴滑落性が
50μlの水滴が約16°の傾斜で滑落するレベルであ
り、自動車用ウィンドウとして良好な雨滴除去を目的と
する場合には、十分とは言い難いレベルである。また、
前記特開2000-26758号公報記載の撥水性物品
は、透明性が低く、塗料としての用途に限られている。
に鑑みてなされたものであり、両末端にトリアルコキシ
基などの加水分解性基を有するフルオロアルキルシラン
を用いるとコーティング液中のシリカ濃度、シリコーン
濃度(シリカに対する重量比)およびフルオロアルキシラ
ン(FAS)濃度を高くしても透明性の高い高滑水性被膜
が得られることを見出した。また、フルオロアルキルシ
ランの導入により、高滑水性被膜の耐久性(耐光性や耐
酸性)が向上する。両末端に加水分解性基を有するフル
オロアルキルシランは、高濃度に添加が可能なため、高
滑水性被膜の耐久性をさらに高めることができる。
カマトリックス中に、一般式[1]で表されるアルコキ
シ末端ジメチルシリコーンと一般式[2]で表される両
末端に加水分解性基を有するフルオロアルキルシランと
が分散されてなることを特徴とする。
R)r(CH3)3-r(Rは1価のアルキル基、R'は2価の
アルキレン基)で表されるアルコキシ基またはアルコキ
シ基含有基、p、q、rは1〜3の整数、nは2000
以下の整数を示す。
〜3の整数、Zは加水分解性基を示す。
式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーン
のアルコキシ基の数が3個以上であることを特徴とす
る。
般式[2]で表される両末端に加水分解性基を有するフ
ルオロアルキルシランの加水分解性基の数が3個以上で
あることを特徴とする。
般式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコー
ンは、マトリックスとしてのシリカに対して1〜300
重量%の範囲で存在してなることを特徴とする。
記一般式[2]で表される両末端に加水分解性基を有す
るフルオロアルキルシランは、前記一般式[1]で表さ
れるアルコキシ末端ジメチルシリコーンに対して10〜
3000モル%の範囲で存在してなることを特徴とす
る。
マトリックス中に、前記一般式[1]で表されるアルコ
キシ末端ジメチルシリコーンと前記一般式[2]で表さ
れる両末端に加水分解性基を有するフルオロアルキルシ
ランが結合してなる成分が、分散していることを特徴と
する。
材表面に形成された金属酸化物からなる下地層上に形成
されていることを特徴とする。
下記の工程により行うことを特徴とする。 (1)アルコキシシランを加水分解および重縮合させる
ことによってマトリックス成分としてのシリカゾルを調
製する工程、(2)前記一般式[1]式で表されるアル
コキシ末端ジメチルシリコーン、前記一般式[2]式で
表される両末端に加水分解性基を有するフルオロアルキ
ルシランと上記(1)で調製したシリカゾルを混合して
塗布液を調製する工程、(3)基材表面に前記塗布液を
塗布したのち熱処理を行う工程。
は、前記熱処理は、600℃以下の温度で行うことを特
徴とする。
マトリックス中に、一般式[1]で表されるアルコキシ
末端ジメチルシリコーンと一般式[2]で表される両末
端に加水分解性基を有するフルオロアルキルシランとが
分散されてなることを特徴とする。
R)r(CH3)3-r(Rは1価のアルキル基、R'は2価の
アルキレン基)で表されるアルコキシ基またはアルコキ
シ基含有基、p、q、rは1〜3の整数、nは2000
以下の整数を示す。
〜3の整数、Zは加水分解性基を示す。
クスとしてのシリカは、例えば、アルコキシシランの加
水分解および重縮合反応を進めることにより形成される
シリカゾルを調製したものを用いることができ、該シリ
カゾルの調製は、例えば、アルコキシシラン(例えば、
テトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)4〕)と溶媒を
所定量混合、攪拌(例えば、約30分程度)し溶液Aを
得る。なお、溶媒としては、エチルアルコール、イソプ
ロピルアルコールなどの低級アルコールや、それらの混
合溶媒が望ましいが、その他にもエーテル類やケトン類
を用いることができる。一方、酸性水溶液と前記溶媒を
混合、攪拌(例えば、約30分程度)して溶液Bを得
る。
(例えば、約15時間程度)室温で攪拌してアルコキシ
シランの加水分解および重縮合反応を進めシリカゾルを
得る。以上のようにアルコキシシランの加水分解は、前
記アルコキシシランを出発原料として、少量の水と塩
酸、硝酸、酢酸などの酸触媒を添加し行うことができ、
その加水分解物を室温または加熱しながら攪拌すること
により重縮合させ、シリカゾルを得ることができる。な
お、シリカゾルの調製法としては、上記の方法に限定さ
れるものではないが、上記のようなアルコキシシランを
溶媒で希釈したものに、溶媒で希釈した酸性水溶液を徐
々に混合する方法は、急激な反応を避けることができ、
より均質な反応が得られるので、好ましい。
ば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテト
ラアルコキシシラン類、メチルトリエトキシシラン、メ
チルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、
エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラ
ン、プロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシ
ラン類、またはジアルコキシシラン類等を用いることが
できる。なお上記アルコキシシランの中でもテトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキ
シシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメト
キシシラン、エチルトリエトキシシラン等のトリアルコ
キシシランが好ましい。
端ジメチルシリコーンは、シリカマトリックスや一般式
[2]で表される両末端に加水分解性基を有するフルオ
ロアルキルシランと結合できるアルコキシ基を各末端に
少なくとも1個以上持っているものを用いることができ
る。なお、該アルコキシ末端ジメチルシリコーンが持つ
アルコキシ基の数は3個以上が好ましく、2個以下であ
ると、シリカゾルとの相溶性が低下して成膜性が低下し
たり、シリカ膜中のシリコーンの保持量が減少して高滑
水性被膜の耐久性が低下する。
コキシ末端ジメチルシリコーンの平均重合度nは200
0以下であり、特に5〜1000の範囲が好ましい。2
000以上であるとシリカゾルとの相溶性が低下して、
透明な被膜の形成が困難となる。
端ジメチルシリコーンのRは炭素数1〜6の1価のアル
キル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソ
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シク
ロヘキシル基等のものを用いることができる。なお、こ
れらの中でもメチル基またはエチル基が好ましい。ま
た、R'は炭素数2〜4の2価のアルキレン基であり、
エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレ
ン基等のものを用いることができるが中でもエチレン基
が好ましい。
アルコキシ末端ジメチルシリコーンは、塗布液中におい
て、シリカに対して1〜300重量%の範囲で存在させ
ることが好ましい。1重量%以下であると、シリカ膜中
のシリコーンの存在量が少なくなり高滑水性被膜の滑水
性が低下する。また、300重量%以上であると、シリ
カゾルとの相溶性が低下して透明な被膜の形成が困難と
なる。
に加水分解性基を有するフルオロアルキルシランとして
は、例えばCl3SiCH2CH2(CF2)12CH2CH2
SiCl3、Cl2(CH3)SiCH2CH2(CF2)12
CH2CH2Si(CH3)Cl2、Cl(CH3)2SiC
H2CH2(CF2)12CH2CH2Si(CH3)2Cl、
Cl3SiCH2CH2(CF2)10CH2CH2SiC
l3、Cl2(CH3)SiCH2CH2(CF2)10CH2
CH2Si(CH3)Cl2、Cl(CH3)2SiCH2C
H2(CF2)10CH2CH2Si(CH3)2Cl、Cl3
SiCH2CH2(CF2)8CH2CH2SiCl3、Cl2
(CH3)SiCH2CH2(CF2)8CH2CH2Si
(CH3)Cl2、Cl(CH3)2SiCH2CH2(CF
2)8CH2CH2Si(CH3)2Cl、Cl3SiCH2C
H2(CF2)6CH2CH2SiCl3、Cl2(CH3)S
iCH2CH2(CF2)6CH2CH2Si(CH3)C
l2、Cl(CH3)2SiCH2CH2(CF2)6CH2C
H2Si(CH3)2Cl、Cl3SiCH2CH2CF2C
H2CH2SiCl3、Cl2(CH3)SiCH2CH2C
F2CH2CH2Si(CH3)Cl2、Cl(CH3)2S
iCH2CH2CF2CH2CH2Si(CH3)2Cl、
(CH3O)3SiCH2CH2(CF2)12CH2CH2S
i(OCH3)3、(CH3O)2(CH3)SiCH2CH
2(CF2)12CH2CH2Si(CH3)(OCH3)2、
(CH3O)(CH3)2SiCH2CH2(CF2)12CH
2CH2Si(CH3)2(OCH3)、(CH3O)3Si
CH2CH2(CF2) 10CH2CH2Si(OCH3)3、
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2(CF2)10CH
2CH2Si(CH3)(OCH3)2、(CH3O)(CH
3)2SiCH2CH2(CF2)10CH2CH2Si(C
H3)2(OCH3)、(CH3O)3SiCH2CH2(C
F2)8CH2CH2Si(OCH3)3、(CH3O)2(C
H3)SiCH2CH2(CF2)8CH2CH2Si(C
H3)(OCH3)2、(CH3O)(CH3)2SiCH2
CH2(CF2)8CH2CH2Si(CH3)2(OC
H3)、(CH3O)3SiCH2CH2(CF2)6CH2C
H2Si(OCH3)3、(CH3O)2(CH3)SiCH
2CH2(CF2)6CH2CH2Si(CH3)(OCH3)
2、(CH3O)(CH3)2SiCH2CH2(CF2)6C
H2CH2Si(CH3)2(OCH3)、(CH3O)3S
iCH2CH2CF2CH2CH2Si(OCH3)3、(C
H3O)2(CH3)SiCH2CH2CF2CH2CH2Si
(CH3)(OCH3)2、(CH3O)(CH3)2SiC
H2CH2CF2CH2CH2Si(CH3)2(OCH3)等
をはじめ、フルオロアルキルエトキシシラン類、フルオ
ロアルキルプロポキシシラン類、フルオロアルキルイソ
シアネートシラン類などが挙げられ、前記一般式[2]
のZで表される加水分解性基としては、メトキシ基、エ
トキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ
基などのアルコキシ基、または、クロロ基やイソシアネ
ート基等のものを用いることができる。
に加水分解性基を有するフルオロアルキルシランは、塗
布液中においてアルコキシ末端ジメチルシリコーンに対
して10〜3000モル%の範囲で存在させることが好
ましい。10モル%以下であると、シリカ膜中のフルオ
ロアルキルシランの存在量が少なく高滑水性被膜の耐久
性が低下する。また、3000モル%以上であると、シ
リカゾルとの相溶性が低下して透明な被膜の形成が困難
となる。
いて説明する。本発明の高滑水性被膜は下記の工程によ
り被覆することができる。 (1)アルコキシシランを加水分解および重縮合させる
ことによってマトリックス成分としてのシリカゾルを調
製する工程、(2)前記一般式[1]式で表されるアル
コキシ末端ジメチルシリコーンと前記一般式[2]式で
表される両末端に加水分解性基を有するフルオロアルキ
ルシランと上記(1)で調製したシリカゾルを混合して
塗布液を調製する工程、(3)基材表面に前記塗布液を
塗布したのち熱処理を行う工程。すなわち、高滑水性被
膜用の塗布液は、一般式[1]で表されるアルコキシ末
端ジメチルシリコーンと一般式[2]で表される両末端
に加水分解性基を有するフルオロアルキルシランを前記
シリカゾルに添加、混合することにより得ることができ
る。
ール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン
類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエ
ン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素溶媒類、
ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテ
ル類、クロロホルム、四塩化炭素等の塩素系溶媒やそれ
らの混合物を用いることが好ましい。
塗布する。塗布方法としては、手塗り、ノズルフローコ
ート法、ディッピング法、スプレー法、リバースコート
法、フレキソ法、印刷法、フローコート法あるいはスピ
ンコート法、ならびにそれらの併用等既知の被覆手段な
ど各種被覆法が適宜採用し得る。また、簡易なタイプの
スプレー式撥水処理剤などとしても使用することができ
る。
し基材表面に被膜を固着させる。熱処理は、風乾により
自然乾燥させてもよいし、乾燥後または乾燥と同時に室
温を越え600℃以下の温度で熱処理を行うことも出来
る。なお、600℃を越えると滑水成分が熱分解して滑
水性が著しく低下するので好ましくない。
に限定されるものではないが、例えば、ガラス基板の場
合には、建築用窓ガラスや自動車用窓ガラス等に通常使
用されているフロ−トガラスあるいはロ−ルアウト法で
製造されたガラス等無機質の透明性がある板ガラスが好
ましく、無色または着色、ならびにその種類あるいは色
調、他の機能性膜との組み合わせ、ガラスの形状等に特
に限定されるものではなく、さらに曲げ板ガラスとして
はもちろん各種強化ガラスや強度アップガラス、平板や
単板で使用できるとともに、複層ガラスあるいは合わせ
ガラスとしても使用できる。また、被膜はガラス基板の
両面に成膜しても構わない。
属酸化物よりなる下地層が設けられていてもよい。例え
ば、ガラス基板の場合には、下地層は、ケイ素酸化物等
の金属酸化物を主成分とする酸化物薄膜が好ましく、そ
の上に前記塗布液を塗布して高滑水性被膜を被覆するこ
とにより、高耐久性を有する高滑水性ガラスを得ること
が出来る。
膜は、シリカマトリックス中にアルコキシ基が結合した
ケイ素原子とジメチルシロキサン鎖末端のケイ素原子が
酸素またはメチレン基を介して結合したジメチルシリコ
ーンと両末端に加水分解性基を有するフルオロアルキル
シランからなる組成物を滑水成分として用いているの
で、マトリックス中の滑水成分の保持性が向上し、さら
に、該マトリックス中に耐久性に優れたフルオロアルキ
ルシランを導入することで、より高耐久性な高滑水性被
膜が形成できる。
実施例の評価方法で述べるような方法、すなわち、サン
プル表面上に50μlの純水を滴下した後、該サンプル
を徐々に傾けていき、水滴が動き始める時点の傾斜角度
を測定することで評価した。なお、該傾斜角度を転落角
(°)とし、転落角は協和界面科学製CA−A型を用い
て大気中(約25℃)で測定した。なお、本発明の高滑
水性とは、転落角が10°以下のものをいう。
お、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、高滑水性被膜の評価方法を以下に示す。
価方法を以下に記す。 (1)接触角 高滑水性被膜を有するサンプル表面に、純水約2μlを
置いたときの水滴とサンプル表面とのなす角を接触角計
で測定した。なお、接触角計には協和界面科学製CA−
X型を用い、大気中(約25℃)で測定した。 (2)転落角 サンプルを水平に保持した状態で、サンプル表面上に5
0μlの純水を滴下した後、サンプルを徐々に傾けてい
き、水滴が動き始める時点の傾斜角度を転落角(°)と
した。なお、転落角は協和界面科学製CA−A型を用い
て大気中(約25℃)で測定した。なお、転落角が10
°以下を合格とした。 (3)耐酸性試験 サンプル表面上に1mlの25%硫酸水溶液を滴下し、
約25℃で24h放置した。次いで、水道水で表面を洗
浄し、風乾させた後、接触角および転落角を評価した。 (4)耐光性試験 1.5kWメタルハライドランプ(アイグラフィックス
製、M015−L312)を12h照射した後の接触角
および転落角を評価した。
シランとアルコキシ末端ジメチルシリコーンの混合溶液
の調製 図1に両末端に加水分解性基を有するフルオロアルキル
シラン(以下、「両末端加水分解性基含有FAS」と示
す)とアルコキシ末端ジメチルシリコーンとからなる混
合溶液の調製手順と混合割合(重量比)を示す。先ず、
酢酸エチルで10wt%に希釈した平均重合度nが20
0のアルコキシ末端ジメチルシリコーン〔(CH3O)3SiCH2
CH2Si(CH3)2O[Si(CH3)2O]200Si(CH3)2CH2CH2Si(OC
H3)3〕溶液;3.90gと酢酸エチル;21.30gお
よび0.1mol/lの硝酸水溶液;0.02gを混合
し、約5時間室温で攪拌後、モレキュラーシーブ(ユニ
オン昭和製、4AXH−5 8×12);4.20gを
添加し、室温で約20h静置し、反応溶液中の水分を除
去し、溶液Aを得た。次いで、溶液A;22.20gと
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ド
デカフルオロ−1,10−ビス(トリメトキシシリル)
デカン〔(CH3O) 3SiCH2CH2(CF2)6CH2CH2Si(OCH3)3〕;
0.05gを混合し、約24h室温で攪拌することによ
って両末端加水分解性基含有FASとアルコキシ末端ジ
メチルシリコーンの混合溶液Xを得た。
4:TEOS〕の加水分解および重縮合反応を進めるこ
とにより調製した。図2に、シリカゾルの調製手順と各
成分の混合割合(重量比)を示す。先ず、TEOS;3
12.5gとエキネンF1(90重量%のエタノールと
10重量%のイソプロピルアルコールからなる低級アル
コールの混合物);450.0gを混合し、約30分間
攪拌し溶液Bを得た。また、0.1mol/lの硝酸水
溶液;7.5g、H2O;210.0gおよびエキネンF
1;20.0gを混合し、約30分間攪拌し溶液Cを得
た。次いで、溶液Bと溶液Cを混合後、約15時間室温
で攪拌することによってシリカゾルYを得た。
コキシ末端ジメチルシリコーンの混合溶液Xと上記シリ
カゾルYを混合することによって得た。図3に塗布液の
調製手順と各薬液の混合割合(重量比)を示す。先ず、
両末端加水分解性基含有FASとアルコキシ末端ジメチ
ルシリコーンの混合溶液X;1.46gとメチルエチル
ケトン;3.00gとイソプロピルアルコール;3.0
0gを混合し、約5分間攪拌した。次いで、上記シリカ
ゾルY;0.39gを添加し、約15時間室温で攪拌し
た。次いで、メチルエチルケトン;13.5gとイソプ
ロピルアルコール;13.5gを添加し、30分間撹拌
した。以上の方法により、シリカ濃度が0.1重量%、
シリカに対するアルコキシ末端ジメチルシリコーンの重
量比(以下、「シリコーン濃度」と示す)が62.5重
量%、アルコキシ末端ジメチルシリコーンに対する両末
端加水分解性基含有FASのモル比(以下、「FAS濃
度」と示す)が400モル%の高滑水性被膜用塗布液を
調製した。
ートガラスの表面を研摩液を用いて研摩し、ガラス洗浄
機(当所製作品)にて水洗および乾燥した。なお、ここ
で用いた研摩液は、約1%のガラス用研摩剤ミレークE
(三井金属鉱業製)を水に混合した懸濁液を用いた。
記(4)で準備したガラス基板上に塗布した。先ず、ス
ピンコーター上に塗膜用ガラス基板である上記ガラス基
板を設置し、回転速度が100rpmの速度で回転させ
ながら約25〜30mlの塗布液を滴下し、30秒間回
転速度を維持して塗膜の乾燥を行い、良好な成膜性の透
明ゲル膜を得た。次いで、280℃で10分間熱処理を
行い、室温まで冷却させた後、流水中、ネル(綿300
番)で水洗後、風乾して高滑水性被膜付きガラスサンプ
ルを得た。
により得られた高滑水性被膜付きガラスサンプルの初期
性能および耐久性を評価した結果、初期接触角は108
°、初期転落角は5°と良好な水滴転落性を示し、耐酸
性試験後の接触角は89°、転落角は12°、耐光性試
験後の接触角は88°、転落角は13°と高い撥水性を
維持していた。なお、実施例および比較例で作製したサ
ンプルの作製条件を表1に、また初期性能、耐久性試験
結果を表2に示す。
%、FAS濃度を200モル%とした塗布液を調製し
た。結果、初期接触角は106°、初期転落角は6°と
良好な水滴転落性を示し、耐酸性試験後の接触角は81
°、転落角は17°、耐光性試験後の接触角は80°、
転落角は18°と高い撥水性を維持していた。
ーン〔(CH3O)3SiCH2CH 2Si(CH3)2O[Si(CH3)2O]150Si(C
H3)2CH2CH2Si(OCH3)3〕を用いた以外はすべて実施例1
と同じとした。結果、初期接触角は106°、初期転落
角は8°と良好な水滴転落性を示し、耐酸性試験後の接
触角は86°転落角は14°、耐光性試験後の接触角は
84°、転落角は15°、と高い撥水性を維持してい
た。
ルオロアルキルシランとアルコキシ末端ジメチルシリコ
ーンの混合溶液の調製」において、両末端加水分解性基
含有FASの代わりに、片末端のみに加水分解性基を有
するドデカフルオロオクチルトリクロロシラン〔CF
3(CF2)5CH2CH2SiCl3:C6FASC〕を用い
混合溶液Xを調製したことを除けば、実施例1に記載し
た濃度で塗布液を調製した。結果、均質で透明な膜は得
られなかった。
ルオロアルキルシランとアルコキシ末端ジメチルシリコ
ーンの混合溶液の調製」において、両末端加水分解性基
含有FASの代わりに、片末端のみに加水分解性基を有
するドデカフルオロオクチルトリクロロシラン〔CF
3(CF2)5CH2CH2SiCl3:C6FASC〕を用い
て混合溶液Xを調製したことを除けば、実施例2に記載
した濃度で塗布液を調製した。結果、得られた高滑水性
被膜の初期接触角は106°、初期転落角は8°と良好
な水滴転落性を示したが、耐酸性試験後の接触角は54
°、転落角は30°以上、耐光性試験後の接触角は57
°、転落角は30°以上と耐久性は悪かった。
性と優れた滑水性を兼ね備えているので、例えば、車両
用の窓ガラス等に用いた場合には、雨天時に前方、側
方、後方の視界確保が容易となりドライビングの安全性
が向上し、さらにこの効果が長期間にわたり維持できる
等の著効を奏する。
ルコキシ末端ジメチルシリコーンの混合溶液Xの調製手
順を示す図である。
す図である。
ある。
Claims (9)
- 【請求項1】シリカマトリックス中に、一般式[1]で
表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンと一般式
[2]で表される両末端に加水分解性基を有するフルオ
ロアルキルシランとが分散されてなることを特徴とする
高滑水性被膜。 【化1】 ここで、Xは−ORまたは−R'Si(OR)r(CH3)3-r
(Rは1価のアルキル基、R'は2価のアルキレン基)
で表されるアルコキシ基またはアルコキシ基含有基、
p、q、rは1〜3の整数、nは2000以下の整数を
示す。 【化2】 ここで、sは0〜12の整数、t,uは1〜3の整数、
Zは加水分解性基を示す。 - 【請求項2】前記一般式[1]で表されるアルコキシ末
端ジメチルシリコーンのアルコキシ基の数が3個以上で
あることを特徴とする請求項1記載の高滑水性被膜。 - 【請求項3】前記一般式[2]で表される両末端に加水
分解性基を有するフルオロアルキルシランの加水分解性
基の数が3個以上であることを特徴とする請求項1記載
の高滑水性被膜。 - 【請求項4】前記一般式[1]で表されるアルコキシ末
端ジメチルシリコーンは、マトリックスとしてのシリカ
に対して1〜300重量%の範囲で存在してなることを
特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の高滑水性
被膜。 - 【請求項5】前記一般式[2]で表される両末端に加水
分解性基を有するフルオロアルキルシランは、前記一般
式[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーン
に対して10〜3000モル%の範囲で存在してなるこ
とを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の高滑
水性被膜。 - 【請求項6】シリカマトリックス中に、前記一般式
[1]で表されるアルコキシ末端ジメチルシリコーンと
前記一般式[2]で表される両末端に加水分解性基を有
するフルオロアルキルシランが結合してなる成分が、分
散していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか
に記載の高滑水性被膜。 - 【請求項7】高滑水性被膜は、基材表面に形成された金
属酸化物からなる下地層上に形成されていることを特徴
とする請求項1乃至6のいずれかに記載の高滑水性被
膜。 - 【請求項8】下記の工程により行うことを特徴とする高
滑水性被膜の被覆法。 (1)アルコキシシランを加水分解および重縮合させる
ことによってマトリックス成分としてのシリカゾルを調
製する工程、(2)前記一般式[1]式で表されるアル
コキシ末端ジメチルシリコーン、前記一般式[2]式で
表される両末端に加水分解性基を有するフルオロアルキ
ルシランと上記(1)で調製したシリカゾルを混合して
塗布液を調製する工程、(3)基材表面に前記塗布液を
塗布したのち熱処理を行う工程。 - 【請求項9】前記熱処理は、600℃以下の温度で行う
ことを特徴とする請求項8記載の高滑水性被膜の被覆
法。
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EP20030028242 EP1398362A1 (en) | 2001-03-30 | 2002-03-28 | Hydrophobic article |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006144019A (ja) * | 2004-08-27 | 2006-06-08 | Central Glass Co Ltd | 滑水性被膜を得るための処理剤及び滑水性被膜の作製法 |
JP2006290923A (ja) * | 2005-04-06 | 2006-10-26 | Central Glass Co Ltd | 滑水性物品の製法 |
JP2013147573A (ja) * | 2012-01-19 | 2013-08-01 | Sumitomo Light Metal Ind Ltd | 滑水性コーティング組成物及びそれを適用した熱交換器用アルミニウムフィン材並びに熱交換器 |
-
2002
- 2002-03-05 JP JP2002058562A patent/JP3929328B2/ja not_active Expired - Lifetime
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