JP4145034B2 - 高滑水性被膜およびその被覆方法 - Google Patents

高滑水性被膜およびその被覆方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に建築用窓ガラス、車両用窓ガラス、鏡、その他産業用ガラス等に用いることが可能な、極めて優れた滑水性(水滴滑落性)を示す高滑水性被膜およびその被覆方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水滴滑落性を改善する試みとしては、シリコーン系ワックス、オルガノポリシロキサン、界面活性剤などを含む組成物について提案されており、例えば、特公昭50-15473号公報では、アルキルポリシロキサンおよび酸よりなる組成物、特開平5-301742号公報では、アミノ変性シリコーンオイルと界面活性剤とを含有する組成物が開示されており、30゜傾斜において約15μl程度の水滴量で滑落するものが得られている。また、特開平11-181412号公報では、−(CH23(CF27CH3等の基がオルガノシロキサン単位を形成するケイ素原子に直接結合した単位、および−(CH23SiCl3等の基がオルガノシロキサン単位を形成するケイ素原子に直接結合した単位を必須とする含フッ素シリコーン化合物および/または該化合物の部分加水分解物生成物、を含むことを特徴とする表面処理剤が開示されており、50μlの水滴が約10°の傾斜で滑落するものが得られている。また、特開2000−144056号公報では、末端に加水分解可能な官能基を有するシリコーン化合物、または末端に加水分解可能な官能基を有し他端にフルオロアルキル基を併せ持つシリコーン化合物と、酸と、水とを溶剤に溶解後、混合撹拌によって得られた混合液を、基材表面に塗布し、ついで乾燥させることにより得られる機能層が、基材表面とシロキサン結合により化学的に結合されてなることを特徴とする水滴滑落性に優れた表面処理基材が開示されており、50μlの水滴が約1°の傾斜で滑落するもの(本発明より優れた特性)が得られている。なお、これらの表面処理剤は、滑水剤成分を基材上に直接処理して滑水層を形成させており、本願発明のように、滑水剤成分とマトリックス成分をハイブリッド化した透明被膜を基材上に形成させるというものではない。
【0003】
滑水剤成分とマトリックス成分からなる透明被膜を基材上に形成させる方法としては、特開平8−12375号公報にフルオロアルキル基含有シラン化合物と、ジメチルシリコーンおよび/またはその誘導体の混合物を溶媒中で加水分解して得られた溶液と、アルコキシシラン化合物を溶媒中で加水分解して得られた溶液とを混合し、この混合液を基材表面に塗布することにより形成された、フルオロアルキル基およびメチル基が塗膜の内層よりも外側表面層において高い濃度で存在する撥水性物品が開示されている。また、特開2000-26758号公報には、滑水性被膜を形成可能な被覆組成物として、水酸基含有ビニルポリマー、エポキシ末端シロキサンポリマー、スルホン酸化合物およびブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物及びメラミン樹脂から選ばれる少なくとも1種の架橋剤成分および特定のジアルキルスルホコハク酸塩及びアルキレンオキシドシランから選ばれる界面活性剤を含有する滑水性被膜を形成可能な被覆組成物により、水滴量10μlでの転落角が5°以下と非常に優れた性能を示すことが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特開平8−12375号公報記載の撥水性物品は、水滴滑落性が50μlの水滴が約16°の傾斜で滑落するレベルであり、自動車用ウィンドウとして良好な雨滴除去を目的とする場合には、十分とは言い難いレベルである。また、前記特開2000-26758号公報記載の撥水性物品は、透明性が低く、塗料としての用途に限られている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、シリカマトリックスと滑水成分との相溶性を改善するために、ジメチルシリコーンの両端にウレタン結合を介してシランカップリング剤を結合(シラン化)させれば、該滑水成分がうまくシリカ膜にハイブリッド化され、膜中の保持性がよくなり、さらに、該滑水成分中に耐久性に優れたフルオロアルキルシランを導入すれば、高耐久性の高滑水性被膜が形成できることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明の高滑水性被膜は、シリカマトリックス中に、一般式[1]で表されるシラノール末端ジメチルシリコーンと、一般式[2]で表されるイソシアネート基含有アルコキシシランの反応生成物としてのシラン化ジメチルシリコーンと、一般式[3]で表されるフルオロアルキルシランとを結合させてなるフルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンよりなる滑水成分が分散されてなることを特徴とする。
【0007】
【化4】
Figure 0004145034
【0008】
ここで、n:整数
【0009】
【化5】
Figure 0004145034
【0010】
ここで、 m:0〜2の整数、R:メチル、エチル、または、プロピル基
Rx:末端がイソシアネート基である1価の直鎖有機基
【0011】
【化6】
Figure 0004145034
【0012】
ここで、j:0〜11の整数、k:0〜2の整数、X:加水分解性基
さらに、本発明の高滑水性被膜は、前記一般式[1]で表されるシラノール末端ジメチルシリコーンの平均重合度nが10〜300であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の高滑水性被膜の被覆方法は、下記の工程により行うことを特徴とする。
(1)前記[1]式で表されるシラノール末端ジメチルシリコーンと前記[2]式で表されるイソシアネート基含有アルコキシシランとを混合して両者をウレタン結合させ、シラン化ジメチルシリコーンを合成する工程、
(2)シラン化ジメチルシリコーンと前記[3]式で表されるフルオロアルキルシランを反応させ、滑水成分としてのフルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンを合成する工程、
(3)アルコキシシランを加水分解および重縮合させることによってマトリックス成分としてのシリカゾルを調製する工程、
(4)フルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンとシリカゾルを混合して塗布液を調製する工程、
(5)基材表面に前記塗布液を塗布したのち熱処理を行う工程。
【0014】
さらに、本発明の高滑水性被膜の被覆方法は、シラノール末端ジメチルシリコーンとイソシアネート基含有アルコキシシランとを混合しウレタン結合させる際に、シラノール末端ジメチルシリコーンのシラノール基(−SiOH基)とイソシアネート基含有アルコキシシランのイソシアネート基(−N=C=O基)との反応を促進させるための触媒を添加することを特徴とする。
【0015】
さらにまた、本発明の高滑水性被膜の被覆方法は、シラン化ジメチルシリコーンとフルオロアルキルアルコキシシランとを混合し結合させてフルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンを合成する際に、シラン化ジメチルシリコーンとフルオロアルキルアルコキシシランとを加水分解させた後、両者を脱水縮合反応させることを特徴とする。
【0016】
またさらに、本発明の高滑水性被膜の被覆方法は、シラン化ジメチルシリコーンとフルオロアルキルクロロシランとを混合し結合させてフルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンを合成する際に、シラン化ジメチルシリコーンを加水分解させた後、反応溶液から水を除去し、次いでフルオロアルキルクロロシランを添加して、シラン化ジメチルシリコーンのシラノール基とフルオロアルキルクロロシランとを脱HCl反応させることを特徴とする。
【0017】
またさらに、本発明の高滑水性被膜の被覆方法は、前記熱処理は、600℃以下の温度で行うことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の高滑水性被膜は、シリカマトリックス中に、フルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンよりなる滑水成分が分散されてなることを特徴とし、さらに該滑水成分は、一般式[1]で表されるシラノール末端ジメチルシリコーンと、一般式[2]で表されるイソシアネート基含有アルコキシシランの反応生成物としてのシラン化ジメチルシリコーンと、一般式[3]で表されるフルオロアルキルシランとを結合させてなる成分よりなることを特徴とする。
【0019】
【化7】
Figure 0004145034
【0020】
ここで、n:整数
【0021】
【化8】
Figure 0004145034
【0022】
ここで、 m:0〜2の整数、R:メチル、エチル、または、プロピル基
Rx:末端がイソシアネート基である1価の直鎖有機基
【0023】
【化9】
Figure 0004145034
【0024】
ここで、j:0〜11の整数、k:0〜2の整数、X:加水分解性基
高滑水性被膜の膜構成成分であるマトリックスとしてのシリカは、アルコキシシランの加水分解および重縮合反応を進めることにより形成されるシリカゾルを調製したものを用いることができ、該シリカゾルの調製は、例えば、アルコキシシラン(例えば、テトラエトキシシラン〔Si(OC25)4〕)と溶媒を所定量混合、攪拌(例えば、約30分程度)し溶液Aを得る。なお、溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールや、それらの混合溶媒が望ましいが、その他にもエーテル類やケトン類を用いることができる。一方、酸性水溶液と前記溶媒を混合、攪拌(例えば、約30分程度)して溶液Bを得る。 次いで、溶液Aと溶液Bを混合後、長時間(例えば、約15時間程度)室温で攪拌してアルコキシシランの加水分解および重縮合反応を進めシリカゾルを得る。以上のようにアルコキシシランの加水分解は、前記アルコキシシランを出発原料として、少量の水と塩酸、硝酸、酢酸などの酸触媒を添加し行うことができ、その加水分解物を室温または加熱しながら攪拌することにより重縮合させ、シリカゾルを得ることができる。なお、シリカゾルの調製法としては、上記の方法に限定されるものではないが、上記のようなアルコキシシランを溶媒で希釈したものに、溶媒で希釈した酸性水溶液を徐々に混合する方法は、急激な反応を避けることができ、より均質な反応が得られるので、好ましい。
【0025】
なお、アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、またはジアルコキシシラン類等を用いることができる。なお上記アルコキシシランの中でもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシランが好ましい。
【0026】
次に、前記一般式[1]で表されるシラノール末端ジメチルシリコーンとしては、その平均重合度が1000以下の分子量が約10万以下のものを用いることができる。なお、該シラノール末端ジメチルシリコーンの平均重合度は、10〜300の範囲にあることが好ましく、10以下であると揮発性が高く、高滑水性被膜用塗布液中に導入しにくくなり、一方、300以上であればシリカゾルとの相溶性が低下して、透明な被膜の形成が困難となる。
【0027】
また、一般式[2]で表されるイソシアネート基含有アルコキシシランとしては、末端にイソシアネート基を有する3−イソシアネートプロピルトリアルコキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジアルコキシシラン、3−イソシアネートプロピルジメチルアルコキシシラン等のものを用いることが出来る。
【0028】
また、前記一般式[3]で表されるパーフルオロアルキルシランとしては、例えばCF3(CF211CH2CH2SiCl3、CF3(CF211CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF211CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF29CH2CH2SiCl3、CF3(CF29CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF29CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF27CH2CH2SiCl3、CF3(CF27CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF27CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF25CH2CH2SiCl3、CF3(CF25CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF25CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF23CH2CH2SiCl3、CF3(CF23CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF23CH2CH2Si(CH32Cl、CF3CH2CH2SiCl3、CF3CH2CH2SiCH3Cl2、CF3CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF211CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF211CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF211CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF29CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF29CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF29CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF27CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF27CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF27CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF25CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF25CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF25CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF23CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF23CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF23CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3CH2CH2Si(OCH33、CF3CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3CH2CH2Si(CH32OCH3、等をはじめ、フルオロアルキルエトキシシラン類、フルオロアルキルプロポキシシラン類、フルオロアルキルイソシアネートシラン類なども用いることができる。
【0029】
次に、本発明の高滑水性被膜の被覆方法について説明する。
【0030】
本発明の高滑水性被膜は下記の工程により被覆することができる。
(1)前記[1]式で表されるシラノール末端ジメチルシリコーンと前記[2]式で表されるイソシアネート基含有アルコキシシランとを混合して両者をウレタン結合させ、シラン化ジメチルシリコーンを合成する工程、
(2)シラン化ジメチルシリコーンと前記[3]式で表されるフルオロアルキルシランを反応させ、滑水成分としてのフルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンを合成する工程、
(3)アルコキシシランを加水分解および重縮合させることによってマトリックス成分としてのシリカゾルを調製する工程、
(4)フルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンとシリカゾルを混合して塗布液を調製する工程、
(5)基材表面に前記塗布液を塗布したのち熱処理を行う工程。
【0031】
すなわち、高滑水性被膜用の塗布液は、シラノール末端ジメチルシリコーン(一般式[1])とイソシアネート基含有アルコキシシラン(一般式[2])を混合し、触媒下で両者をウレタン結合させてシラン化ジメチルシリコーン溶液を調製する。ついで、該溶液にフルオロアルキルシランを添加し、フルオロアルキルシランとシラン化ジメチルシリコーンを結合させてフルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーン溶液を調製し、これを前記シリカゾルに添加、混合することにより得ることができる。
【0032】
先ず、シラン化ジメチルシリコーン溶液の調製法について説明する。
【0033】
シラン化ジメチルシリコーン溶液は、一般式[1]で表されるシラノール末端ジメチルシリコーンと一般式[2]で表されるイソシアネート基含有アルコキシシラン〔例えば、O=C=N−C36Si(OCH3)3〕と溶媒、場合によっては触媒とを混合、攪拌することによって得ることができ、その際、シラノール末端ジメチルシリコーンの−SiOH基とイソシアネート基含有アルコキシシランの−N=C=O基の反応により、ジメチルシリコーン末端に3個のアルコキシ基を持ったシラン化ジメチルシリコーン組成物が生成すると考えられる。
【0034】
なお、シラノール末端ジメチルシリコーンとイソシアネート基含有アルコキシシランを混合し、ウレタン結合させる際、シラノール末端ジメチルシリコーンのシラノール基(−SiOH基)とイソシアネート基含有アルコキシシランのイソシアネート基(−N=C=O基)との反応を促進させるための触媒を添加することが望ましい。その触媒としては、ルイス塩基、有機金属化合物などがあり、特に、ジブチル錫ジラウレート、トリメチル錫ハイドロオキサイド、ジメチル錫ジクロライド等の有機スズ化合物が好ましい。
【0035】
また、この時の希釈溶媒としては、トルエンの他に、キシレン、ベンゼン等の芳香族系炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸ブチル、酢酸ヘキシル等のエステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、クロロホルム、四塩化炭素等の塩素系溶媒などでもよく、水の溶解度が非常に小さく、溶媒中に実質上水分を含有しないものであればよい。
【0036】
また、シラノール末端ジメチルシリコーンとイソシアネート基含有アルコキシシランのシラン化のための反応条件としては、室温で混合・攪拌する場合、混合後5〜300h攪拌することが望ましく、特に10〜100hの攪拌が好ましい。なお、この攪拌時間は、攪拌温度、使用する触媒、原料濃度等によって、適切な時間に設定するのが必要であることは言うまでもない。
【0037】
次に、フルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーン溶液の調製法について説明する。すなわち、一般式[3]で表されるフルオロアルキルシランとして、反応末端基がアルコキシ基であるフルオロアルキルアルコキシシランを用いる場合には、シラン化ジメチルシリコーン溶液にフルオロアルキルアルコキシシランを添加し、次いで酸性水溶液を添加、攪拌した後に、反応溶液中の水分を除去する。こうして、シラン化ジメチルシリコーンのアルコキシ基およびフルオロアルキルアルコキシシランのアルコキシ基は加水分解反応によってシラノール基となり、次いで反応溶液中の水分を除去することで両者が脱水縮合反応してフルオロアルキル基が導入されたシラン化ジメチルシリコーン組成物(フルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーン)が生成する。
【0038】
一方、一般式[3]で表されるフルオロアルキルシランとして、反応末端基がクロロ基であるフルオロアルキルクロロシランを用いる場合には、先ず前記で調製したシラン化ジメチルシリコーン溶液に酸性水溶液を混合、攪拌して加水分解反応を進めた後に、溶液中の水分を除去してからフルオロアルキルクロロシランを添加、混合することにより得ることができる。その際、シラン化ジメチルシリコーンのアルコキシ基は加水分解反応によってシラノール基となり、次いで添加されるフルオロアルキルクロロシランの反応性基との脱HCl反応により、フルオロアルキル基が導入されたシラン化ジメチルシリコーン組成物が生成する。
【0039】
なお、反応溶液中から水分を除去する方法としては、溶液中に合成ゼオライト、例えば、モレキュラーシーブ3Aや4Aを添加することが有効であるが、これに限るものではない。また、添加するフルオロアルキルシランの量としては、シラン化ジメチルシリコーン1分子に対して0.1〜6分子の範囲であり、後工程のシリカゾルとの混合の際の相溶性を考慮すれば、0.5〜3分子であることが望ましい。
【0040】
次に、前記で調製したフルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーン溶液とシリカゾルを混合し、混合ゾルを調製することにより、塗布液を得る。なお、調製する場合に、シラノール末端ジメチルシリコーン、イソシアネート基含有アルコキシシランおよび該シリカゾルを同時に混合した場合には、滑水性の耐久性が著しく低下するので、実用上好ましくない。また、シラン化ジメチルシリコーン溶液にシリカゾルを混合する場合においても、該シリカゾルを該シラン化ジメチルシリコーン溶液に混合させるまでの時間が短い場合には、シラノール末端ジメチルシリコーンとイソシアネート基含有アルコキシシランがウレタン結合してなる成分が生成しないので、滑水性の耐久性が著しく低下し、実用上好ましくない。
【0041】
上記で用いる溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素溶媒類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、クロロホルム、四塩化炭素等の塩素系溶媒やそれらの混合物を用いることが好ましい。
【0042】
次に、上記で得られた塗布液を基材表面に塗布する。
塗布方法としては、手塗り、ノズルフローコート法、ディッピング法、スプレー法、リバースコート法、フレキソ法、印刷法、フローコート法あるいはスピンコート法、ならびにそれらの併用等既知の被覆手段など各種被覆法が適宜採用し得る。また、簡易なタイプのスプレー式撥水処理剤などとしても使用することができる。
【0043】
次に、基材表面に塗布した塗布液を熱処理し基材表面に被膜を固着させる。
該熱処理は、風乾により自然乾燥させてもよいし、乾燥後または乾燥と同時に室温を越え600℃以下の温度で熱処理を行うことも出来る。なお、600℃を越えると滑水成分が熱分解して滑水性が著しく低下するので好ましくない。
【0044】
基材としては、ガラス、プラスチック等特に限定されるものではないが、例えば、ガラス基板の場合には、建築用窓ガラスや自動車用窓ガラス等に通常使用されているフロ−トガラスあるいはロ−ルアウト法で製造されたガラス等無機質の透明性がある板ガラスが好ましく、無色または着色、ならびにその種類あるいは色調、他の機能性膜との組み合わせ、ガラスの形状等に特に限定されるものではなく、さらに曲げ板ガラスとしてはもちろん各種強化ガラスや強度アップガラスであり、平板や単板で使用できるとともに、複層ガラスあるいは合わせガラスとしても使用できる。また、被膜はガラス基板の両面に成膜しても構わない。
【0045】
なお、滑水液が塗布される基材表面は、金属酸化物よりなる下地層を設けられていてもよい。例えば、ガラス基板の場合には、下地層は、ケイ素酸化物等の金属酸化物を主成分とする酸化物薄膜が好ましく、その上に前記表面処理剤を塗布して高滑水性被膜を被覆することにより、高耐久性を有する高滑水性ガラスを得ることが出来る。
【0046】
以上に述べたように、本発明の滑水性被膜は、シラノール末端ジメチルシリコーンとイソシアネート基含有アルコキシシランがウレタン結合し、シリコーン末端に1〜3個のアルコキシ基を持ったシラン化ジメチルシリコーン組成物を生成し、これがシリカマトリックスへの相溶性を向上させることによって、多くの滑水成分をシリカマトリックス中に分散または保持させることができるので、高滑水性が得られ、かつ滑水性の高耐久性が得られる。さらに、シラン化ジメチルシリコーン中に耐久性に優れたフルオロアルキル基を導入することによって、耐久性を向上させることができる。
【0047】
また、本発明についての滑水性とは、後述の実施例の評価方法で述べるような方法、例えば、前記で得られた滑水性被膜を有するサンプルを30°に傾斜させた状態で、該サンプル表面上にゆっくりとマイクロシリンジで純水を滴下する。このとき、水滴が2mm/sec以上の速度で動き始める時点の水滴量(体積)を滑水性(水滴転落性)とし、「μl」で示すものである。また、滑水性の代わりに転落角で評価することも有用である。すなわち、サンプルを水平に保持した状態で、サンプル表面上に50μlの純水を滴下した後、サンプルを徐々に傾けていき、水滴が動き始める時点の傾斜角度を転落角(#)とした。なお、転落角は協和界面科学製CA−A型を用いて大気中(約25℃)で測定した。本発明の高滑水性とは前記方法により得られる滑水性が20μl以下、または、転落角が10゜以下のものをいう。
【0048】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、滑水性被膜の評価方法を以下に示す。
【0049】
〔滑水性被膜の評価〕
滑水性被膜の評価方法を以下に記す。なお、実施例、比較例の各サンプルの評価結果を表1に示す。
【0050】
(1)接触角
高滑水性被膜のサンプル表面に、純水約2μlを置いたときの水滴とサンプル表面とのなす角を接触角計で測定した。なお、接触角計には協和界面科学製CA−X型を用い、大気中(約25℃)で測定した。
【0051】
(2)滑水性
サンプルを30゜に傾斜させた状態で、サンプル表面上にマイクロシリンジで純水をゆっくりと滴下し、水滴が2mm/sec以上の速度で動き始める時点の水滴量(体積)を滑水性(μl)とした。
【0052】
(3)転落角
サンプルを水平に保持した状態で、サンプル表面上に50μlの純水を滴下した後、サンプルを徐々に傾けていき、水滴が動き始める時点の傾斜角度を転落角(°)とした。なお、転落角は協和界面科学製CA−A型を用いて大気中(約25℃)で測定した。なお、滑水性は20μl以下、または、転落角が10°以下を合格とした。
【0053】
(4)耐光性試験
1.5kWメタルハライドランプ(アイグラフィックス製、M015−L312)を12h照射し、接触角、滑水性および転落角を評価した。
【0054】
(5)耐酸性試験
サンプル表面上に1mlの25%硫酸水溶液を滴下し、約25℃で24h放置した。次いで、水道水で表面を洗浄し、風乾させた後、接触角、滑水性および転落角を評価した。
【0055】
実施例1
(1)シラン化ジメチルシリコーンの合成
シラン化ジメチルシリコーンは、ジブチル錫ジラウレートを触媒とし、平均重合度が70(平均分子量;5200)のシラノール末端ジメチルシリコーン(東芝シリコーン製、YF3800)と3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン〔O=C=N−C36Si(OCH3)3〕とを反応させることによって合成した。
【0056】
図1にシラン化ジメチルシリコーンの合成手順と混合割合(重量比)を示す。先ず、シラノール末端ジメチルシリコーン;2.00gとトルエン;20.00gを混合し、約1分間攪拌した後、ジブチル錫ジラウレート;0.04gを添加し、約5分間攪拌した。さらに、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランを、イソシアネート基(−N=C=O)とシラノール末端ジメチルシリコーンのシラノール基(−SiOH)が1:1当量になるように添加し、室温で2日間攪拌した。得られた溶液のFT−IRスペクトルを測定したところ、約2200cm-1に現れる−N=C=O基の由来のピーク強度が減少していたことから、シラノール末端ジメチルシリコーンの−SiOH基と3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランの−N=C=O基の反応により、末端に3個のアルコキシ基を持ったシラン化ジメチルシリコーンが生成していることが確認できた。
【0057】
(2)フルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンの合成
フルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンは、上記(1)で調製したシラン化ジメチルシリコーン溶液とフルオロアルキルシランとを反応させることによって合成した。
【0058】
図2にフルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンの合成手順と混合割合(重量比)を示す。
先ず、シラン化ジメチルシリコーン溶液;4.08g、酢酸エチル;20.00gおよび0.1mol/lの硝酸水溶液;0.02gを混合し、約5時間室温で攪拌後、モレキュラーシーブ4A(キシダ化学製);4.00gを添加し、約20h静置し、反応溶液中の水分を除去し、溶液Cを得た。次いで、溶液C;22.40gとヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン(CF3(CF2)7CH2CH2SiCl3:C8FASC、信越化学工業製、HFTCS);0.05gを混合し、約24h室温で攪拌することによってフルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンを合成した。
【0059】
(3)シリカゾルの調製
シリカゾルは、テトラエトキシシラン〔Si(OC25)4:TEOS〕の加水分解および重縮合反応を進めることにより調製した。
【0060】
図3に、シリカゾルの調製手順と各成分の混合割合(重量比)を示す。
【0061】
先ず、TEOS;312.5gとエキネンF1;450.0gを混合し、約30分間攪拌し溶液Aを得た。また、0.1mol/lの硝酸水溶液;7.5g、H2O;210.0gおよびエキネンF1;20.0gを混合し、約30分間攪拌し溶液Bを得た。次いで、溶液Aと溶液Bを混合後、約15時間室温で攪拌することによってシリカゾルを得た。
【0062】
(4)塗布液の調製
塗布液は、上記フルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーン溶液と上記シリカゾルを混合することによって得た。
【0063】
図4に塗布液の調製手順と各薬液の混合割合(重量比)を示す。
先ず、フルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーン溶液;1.50gとメチルエチルケトン;7.00gを混合し、約5分間攪拌した。次いで、上記シリカゾル;2.00gを添加し、約15時間室温で攪拌することによって高滑水性被膜用塗布液を調製した。
【0064】
(5)ガラス基板の洗浄
100mm×100mm×2mmtサイズのフロートガラスの表面を研磨液を用いて研磨し、ガラス洗浄機(当所製作品)にて水洗および乾燥した。なお、ここで用いた研磨液は、約1%のガラス用研摩剤ミレークE(三井金属工業製)を水に混合した懸濁液を用いた。
【0065】
(6)高滑水性被膜の被覆
上記(4)で調製した塗布液をスピンコート法により上記(5)で準備したガラス基板上に塗布した。先ず、スピンコーター上に塗膜用ガラス基板である上記ガラス基板を設置し、回転速度が500rpmの速度で回転させながら約1.0〜1.5mlの塗布液を滴下し、30秒間回転速度を維持して塗膜の乾燥を行い、良好な成膜性の透明ゲル膜を得た。次いで、250℃で10分間熱処理を行い、室温まで冷却させた後、流水中、ネル(綿300番)で水洗後、風乾して滑水性被膜付きガラスを得た。
【0066】
上記[滑水性被膜の評価]に記載した要領でサンプルの初期性能および耐久性を評価した結果、表1に示すように初期滑水性は17μl、初期転落角は7°と良好な水滴転落性を示し、耐光性試験後の接触角は83°、耐酸性試験後の接触角は84°と高い撥水性を維持していた。
【0067】
【表1】
Figure 0004145034
【0068】
実施例2
フルオロアルキルシランの出発原料にヘインコサフルオロドデシルトリクロロシラン(CF3(CF2)9CH2CH2SiCl3:C10FASC、信越化学工業製、X88−284)を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。
結果、初期滑水性は13μl、初期転落角は6°と良好な水滴転落性を示し、耐光性試験後の接触角は77°、耐酸性試験後の接触角は92°と高い撥水性を維持していた。
【0069】
実施例3
フルオロアルキルシランの出発原料にノナフルオロヘキシルトリクロロシラン(CF3(CF2)3CH2CH2SiCl3:C4FASC、信越化学工業製、LS−912)を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。
結果、初期滑水性は13μl、初期転落角は6°と良好な水滴転落性を示し、耐光性試験後の接触角は74°、耐酸性試験後の接触角は78°と高い撥水性を維持していた。
【0070】
実施例4
フルオロアルキルシランの出発原料に3,3,3トリフルオロプロピルトリクロロシラン(CF3CH2CH2SiCl3:C1FASC、信越化学工業製、LS−160)を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。
結果、初期滑水性は15μl、初期転落角は8°と良好な水滴転落性を示し、耐光性試験後の接触角は72°と高い撥水性を維持した。また、耐酸性試験後の接触角は64°とフルオロアルキル基を含有していないシラン化ジメチルシリコーンを用いた場合(比較例1)よりも撥水性の維持が良好であった。
【0071】
実施例5
フルオロアルキルシランの出発原料にメチル−3,3,3トリフルオロプロピルジクロロシラン(CF3CH2CH2Si(CH3)Cl2:C1FASMC、信越化学工業製、LS−360)を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。
結果、初期滑水性は20μl、初期転落角は7°と良好な水滴転落性を示し、耐光性試験後の接触角は70°と高い撥水性を維持した。また、耐酸性試験後の接触角は50°とフルオロアルキル基を導入していないシラン化ジメチルシリコーンを用いた場合(比較例1)よりも撥水性の維持が良好であった。
【0072】
実施例6
出発原料に平均重合度が24(平均分子量;1750)のシラノール末端ジメチルシリコーン(Gelest製、DMS−S15)を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。
結果、初期滑水性は20μl、初期転落角は10°と良好な水滴転落性を示し、耐光性試験後の接触角は73°、耐酸性試験後の接触角は100°と高い撥水性を維持していた。
【0073】
実施例7
出発原料に平均重合度が243(平均分子量;18000)のシラノール末端ジメチルシリコーン(Gelest製、DMS−S27)を用いた以外はすべて実施例1と同じとした。
結果、初期滑水性は20μl、初期転落角は10°と良好な水滴転落性を示し、耐光性試験後の接触角は75°、耐酸性試験後の接触角は100°と高い撥水性を維持していた。
【0074】
比較例1
上記「(1)シラン化ジメチルシリコーンの合成」で得た溶液を用いて、上記「(4)塗布液の調製」に記載した要領で塗布液を調製し、上記「(6)高滑水性被膜の被覆」に記載した要領で、透明サンプルを得た。
結果、表1に示すように初期滑水性は12μl、初期転落角は6°と高い水滴転落性を示したが、耐光性試験後の接触角は62°、耐酸性試験後の接触角は39°と耐久性は悪かった。
【0075】
比較例2
平均重合度が70(平均分子量;5200)のシラノール末端ジメチルシリコーン;1.00gを酢酸エチル;10.00gに溶解させ、次いでヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン(CF3(CF2)7CH2CH2SiCl3:C8FASC);1.25gを添加し、室温で約24時間攪拌した。この溶液0.5mlをガラス基板上に滴下し、綿布(商品名;ベンコット)でガラス全面に十分引き伸ばした後、5分程度風乾した。その後、マッフル炉で250℃、10分間の熱処理を行い、白濁して残った余剰な滑水剤をiPAで拭き上げて透明なサンプルを得た。
結果、初期滑水性は65μl、初期転落角は19°と悪かった。
【0076】
比較例3
平均重合度が70(平均分子量;5200)のシラノール末端ジメチルシリコーン;0.04gを酢酸エチル;22.36gに溶解させ、次いでヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン(CF3(CF2)7CH2CH2SiCl3:C8FASC);0.05gを添加し、室温で約24時間攪拌した。この溶液を用いて、上記「(4)塗布液の調製」に記載した要領で塗布液を調製し、上記「(6)高滑水性被膜の被覆」に記載した要領で、サンプルを得た。
結果、均質で透明な膜は得られなかった。
【0077】
比較例4
上記「(2)フルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンの合成」で調製したフルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーン溶液を用い、「比較例2」に記載した要領でガラスに塗膜し、透明なサンプルを得た。
結果、初期滑水性は40μl、初期転落角は23°と悪かった。
【0078】
【発明の効果】
本発明の高滑水性被膜は、耐摩耗性に優れた高い撥水耐久性と優れた滑水性を兼ね備えているので、例えば車輌用の窓ガラス等に用いた場合には、雨天時に前方、側方、後方の視界が見易くなり安全に運転が出来るとともに長期間にわたり高性能を維持できる等の著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるシラン化ジメチルシリコーン溶液の調製手順を示す図である。
【図2】実施例1におけるフルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーン溶液の調製手順を示す図である。
【図3】実施例1におけるシリカゾルの調製手順を示す図である。
【図4】実施例1における高滑水性被膜用塗布液の調製手順を示す図である。

Claims (7)

  1. アルコキシシランを加水分解及び重縮合反応進めることで得られるシリカマトリックス中に、一般式[1]で表されるシラノール末端ジメチルシリコーンと、一般式[2]で表されるイソシアネート基含有アルコキシシランの反応生成物としてのシラン化ジメチルシリコーンと、一般式[3]で表されるフルオロアルキルシランとを結合させてなるフルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンよりなる滑水成分が分散されてなることを特徴とする高滑水性被膜。
    Figure 0004145034
    ここで、n:整数
    Figure 0004145034
    ここで、 m:0〜2の整数、R:メチル、エチル、または、プロピル基
    Rx:末端がイソシアネート基である1価の直鎖有機基
    Figure 0004145034
    ここで、j:0〜11の整数、k:0〜2の整数、X:加水分解性基
  2. 前記一般式[1]で表されるシラノール末端ジメチルシリコーンの平均重合度nが10〜300であることを特徴とする請求項1記載の高滑水性被膜。
  3. 下記の工程により行うことを特徴とする高滑水性被膜の被覆方法。
    (1)前記[1]式で表されるシラノール末端ジメチルシリコーンと前記[2]
    式で表されるイソシアネート基含有アルコキシシランとを混合して両者をウレタ
    ン結合させ、シラン化ジメチルシリコーンを合成する工程、
    (2)シラン化ジメチルシリコーンと前記[3]式で表されるフルオロアルキル
    シランを反応させ、滑水成分としてのフルオロアルキル基含有シラン化ジメチル
    シリコーンを合成する工程、
    (3)アルコキシシランを加水分解および重縮合させることによってマトリック
    ス成分としてのシリカゾルを調製する工程、
    (4)フルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンとシリカゾルを混合
    して塗布液を調製する工程、
    (5)基材表面に前記塗布液を塗布したのち熱処理を行う工程。
  4. シラノール末端ジメチルシリコーンとイソシアネート基含有アルコキシシランとを混合しウレタン結合させる際に、シラノール末端ジメチルシリコーンのシラノール基(−SiOH基)とイソシアネート基含有アルコキシシランのイソシアネート基(−N=C=O基)との反応を促進させるための触媒を添加することを特徴とする請求項3記載の高滑水性被膜の被覆方法。
  5. シラン化ジメチルシリコーンとフルオロアルキルアルコキシシランとを混合し結合させてフルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンを合成する際に、シラン化ジメチルシリコーンとフルオロアルキルアルコキシシランとを加水分解させた後、両者を脱水縮合反応させることを特徴とする請求項3又は4に記載の高滑水性被膜の被覆方法。
  6. シラン化ジメチルシリコーンとフルオロアルキルクロロシランとを混合し結合させてフルオロアルキル基含有シラン化ジメチルシリコーンを合成する際に、シラン化ジメチルシリコーンを加水分解させた後、反応溶液から水を除去し、次いでフルオロアルキルクロロシランを添加して、シラン化ジメチルシリコーンのシラノール基とフルオロアルキルクロロシランとを脱HCl反応させることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の高滑水性被膜の被覆方法。
  7. 前記熱処理は、600℃以下の温度で行うことを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の高滑水性被膜の被覆方法。
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