JP2001328785A - エレベータのかご室 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エレベータのかご室１０内から安全に組み立
てられるエレベータのかご室を提供する。 【解決手段】 エレベータのかご床１と、かご床の周縁
に沿って立設された複数の側板とによって構成されるか
ご室１０を組み立てるに当たり、隣り合う２つの側板４
ｃ，４ｄの一方に、隣接する他方の側板との締結作業の
ために手を差し入れることができる締結作業用の孔１１
を設け、この穴１１から手を差し入れて側板４ｃ，４ｄ
間をボルト１２・ナット１３で連結固定する。そして、
隣接する２つの側板４ｄ，４ｃ間のコーナー部Ｃ１には
表面化粧板１５を取り付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はエレベータのかご室
に関する。

【０００２】

【従来の技術】図８に示すように、一般にエレベータの
かご室５０は、かご床５１とこのかご床５１の周縁に沿
って立設された複数の側板５４ａ〜５４ｈとを備えてい
る。エレベータのかご室５０はこれらの他に、出入口柱
５６ａ，５６ｂと開閉扉５９とを有している。

【０００３】図９を用いて、このようなエレベータのか
ご室５０における側板連結部の従来の構造を説明する。
かご床５１の角部において隣り合う側板５４ｃと側板５
４ｄは、それぞれ端部を重ね合わせた状態で配置され、
側板５４ｃ，５４ｄそれぞれに設けられた締結孔６２に
ボルト６０を通し、ナット６１を締めることによって側
板５４ｃ，５４ｄ同士を締結し固定している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のエレベータのかご室では、かご床の周縁に沿
って立設された複数の側板それぞれを連結して組み立て
るために隣り合う側板間をかごの外側からしか連結作業
ができない構造となっていたため、作業員はエレベータ
昇降路内に出たりかご上に乗って組立作業する必要があ
り、作業に危険が伴う問題点があった。

【０００５】本発明は、このような従来の問題点に鑑み
てなされたもので、エレベータのかご室内から安全に組
み立てられるエレベータのかご室を提供することを目的
とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、エレ
ベータのかご床と、前記かご床の周縁に沿って立設され
た複数の側板とによって構成されるエレベータのかご室
において、隣り合う２つの側板の少なくとも片方に、該
側板と隣接する他方の側板とを締結固定するための締結
作業用の孔を設けたものである。

【０００７】請求項１の発明のエレベータのかご室で
は、作業員がこれを組み立てる際には、かご床に立って
隣接する側板の一方と他方との連結部を突き合わせ、少
なくとも一方の側板に設けられた締結作業用孔から手を
入れてボルト及びナット等によって両側板間を締結固定
する作業をすることができ、かご室内において安全に側
板間の連結作業ができる。

【０００８】請求項２の発明は、請求項１のエレベータ
のかご室において、前記隣接する２つの側板において、
一方の側板のかご室内部側に露呈する連結部と他方の側
板のかご室内部側に露呈する連結部とに、これらの両連
結部を覆うための表面化粧板を設けたものであり、かご
室内の意匠が向上する。

【０００９】請求項３の発明は、請求項２のエレベータ
のかご室において、前記表面化粧板は、少なくとも一方
の側板に対して粘着部材若しくは接着部材にて固定した
ものであり、表面化粧板の取付作業が楽にできる。

【００１０】請求項４の発明は、請求項２又は３のエレ
ベータのかご室において、前記表面化粧板は、前記隣接
する２つの側板うちの前記締結作業用穴が設けられた側
に、当該締結作業用穴の周縁部に嵌合して当該表面化粧
板を固定する突起部を設けたものであり、表面化粧板の
取付が突起部を側板の締結作業用穴に引っ掛ける作業だ
けで済む。

【００１１】請求項５の発明は、請求項２〜４のエレベ
ータのかご室において、前記表面化粧板のかご室内部側
の表面は、前記隣接する２つの側板のかご室内部側の表
面の各々とほぼ連続するようにしたものであり、側板間
の連結部の意匠性が一層向上する。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に
基づいて詳説する。図１〜図５は、本発明の第１の実施
の形態のエレベータのかご室を示している。図１に示す
ように、この実施の形態のエレベータのかご室１０はか
ご床１と、このかご床１の周縁に沿って立設された複数
の側板４ａ〜４ｈとを備えている。エレベータのかご室
１０はこれらの他に、出入口柱６ａ，６ｂと、開閉扉９
とを有している。

【００１３】かご床１の周縁に沿って立設された複数の
隣り合う側板間、また側板と出入口柱との間がそれぞれ
ボルト及びナットによって締結され、かご室１として組
み立てられる。

【００１４】複数の隣り合う側板間、また側板と出入口
柱との間の締結作業の手順は以下の通りである。図２及
び図３に示すように、かご床１の周囲上面にあらかじめ
（工場出荷段階で、あるいは現場施工段階で）巾木ベー
ス４０を取り付けておく。この巾木ベース４０の上フラ
ンジの適所にはあらかじめボルト穴４１が形成されてお
り、また各ボルト穴４１の部分に作業員が手を差し込め
るように締結作業用穴４２が形成されている。なお、後
述する手順でかご室１０を組み立てた後、巾木ベース４
０に対しては巾木カバー４４をかご室内側から押し当
て、磁石板４５を巾木ベース４０に吸着させることによ
り巾木３として完成することになる。

【００１５】かご床１に対して出入口柱６ａ，６ｂ、側
板４ａ〜４ｈを組み付けるに際しては、まず出入口柱６
ａ、側板４ａ，４ｂ，４ｃを順次連結して側板ユニット
Ｕ１として、かご床１の巾木３の上面に立設して固定す
る。巾木３への固定には、巾木ベース４０の上フランジ
部分にユニットＵ１の下面を当て、巾木ベース４０の締
結作業用穴４２に手を差し入れて巾木ベース４０側のボ
ルト穴４１と側板の下フランジ部分２１のボルト穴（図
示せず）を用いてボルト４３、溶接ナット２０により締
め付けて固定する。なお、溶接ナット２０は、側板の下
フランジ部分２１の裏側（かご外側）にあらかじめ溶接
固定したものである。

【００１６】同様にして、他方の出入口柱６ｂ、側板４
ｈ，４ｇ，４ｆを順次連結し、側板ユニットＵ２とし
て、かご床１の巾木ベース４０の上フランジ部分に立設
して固定する。さらに、側板４ｄ，４ｅをボルト、ナッ
トによって１枚の平面ユニットＵ３となるように連結
し、同じく巾木ベース４０の上フランジ部分に立設して
固定する。これらの巾木ベース４０への固定は、上述し
た図２、図３に示すとおりである。

【００１７】これにより、かご床１の上方４側面が側板
ユニットＵ１，Ｕ２と平板ユニットＵ３により囲繞され
た状態になる。そしてこの後に、図４及び図５に示す方
法によって、ユニットＵ１，Ｕ３間、またユニットＵ
２，Ｕ３間の内コーナー部Ｃ１，Ｃ２を連結する。この
連結手順は、次の通りである。

【００１８】側板ユニットＵ１，Ｕ２の側板４ｃ，４ｆ
それぞれに設けられた締結作業用孔１１を介してかご室
内部から作業者が手を差し入れ、ボルト１２を差し込
み。平板ユニットＵ３の側板４ｄ，４ｅそれぞれに固定
された溶接ナット１３に螺入する。この締結作業用孔１
１は、側板４ｃ，４ｆにあらかじめ形成されており、し
かも高さ方向に数ケ所形成されているものとする。そし
て、最終的には、ラチェットスパナ等の工具を用いて締
結作業用孔１１から挿入したボルト１２を強く締め付け
る。

【００１９】なお、溶接ナット１３は側板４ｄ，４ｅに
溶接固定されているため、ボルト１２の締付けに際して
溶接ナット１３側を固定する必要はなく、ボルト１２側
の締め付け操作だけで連結作業が行える。

【００２０】ユニットＵ１，Ｕ２，Ｕ３の内コーナー部
Ｃ１，Ｃ２の連結作業が完了すれば、次に、後面側板４
ｃと４ｄ，４ｆと４ｅの接するコーナー部Ｃ１，Ｃ２を
覆うように形取った表面化粧板１５をこれらのコーナー
部Ｃ１，Ｃ２に当てつけ、締結作業用穴１１に嵌合させ
るために裏面に設けられた突起部１６を側板４ｃ，４ｆ
それぞれの締結作業用穴１１にはめ込む。

【００２１】これらの表面化粧板１５は、略４分の１円
弧上に曲げた面で構成され、かご室背面の側板４ｄ又は
４ｃに接する側面に突起部１６を具備し、他方、側板４
ｃ又は４ｆに接する側面には接着テープ（あるいは粘着
テープ）１７を具備している。したがって、上述の表面
化粧板１５の取付作業において、この接着テープ１７が
側板４ｃ又は４ｆに貼り付いて仮止め状態となり、突起
部１６の嵌合により最終的に固定されることになる。

【００２２】以上述べたように、第１の実施の形態にお
いては、かご室１０の一連の組立作業をかご室の内部か
ら行うことが可能であり、エレベータの据付現場におけ
る組立作業を簡易かつ効率的に行えると共に、かご室外
壁と昇降路壁との隙間の狭い場所での作業が不要になっ
て作業者が安全に作業できるようになる。

【００２３】また表面化粧板１５は、側板４ｃ，４ｆに
設けられた締結作業用孔１１を含めて側板連結部を覆い
隠すことによってかご室１０の意匠性を向上させ、さら
にその湾曲形状のゆえに見る者に柔らかな印象を与え、
かご室の意匠性を一層向上させる。

【００２４】さらに表面化粧板１５は、樹脂等の高分子
材、アルミニウム、ステンレス等の金属又は鋼板塗装等
によって形成することができるので、形状や材質の選択
の幅が広く、近年のエレベータにおいて要求される意匠
的な多様性に対して柔軟に対応することができる。

【００２５】なお、第１の実施の形態においては、表面
化粧板１５をかご室背面のコーナー部Ｃ１，Ｃ２の２カ
所に設けたが、エレベータのかご室はこれに限定される
ものではなく、かご室の前面の両コーナー部にも表面化
粧板を設けることもできる。

【００２６】また表面化粧板１５の形状は本実施の形態
では、図５に示すような曲率を付与した湾曲形状に限ら
れず、例えば、図６に示したように平板材の両側端部を
やや折り曲げて取付部１８ａ，１８ｂを形成した形状の
表面化粧板１８とすることができる。

【００２７】さらに、表面化粧板の他の例として、図７
に示すように、締結された２面の側面側板４ｃと４ｄ又
は４ｆと４ｅと、表面化粧板２２の裏面とを接着テープ
１７にて貼付固定する構造にすることができる。そして
この構造では、表面化粧板２２の裏面に締結作業用穴１
１に嵌合する突起部が必要でなく、表面化粧板の裏面を
貼付固定するだけで容易に表面化粧板２２を取り付ける
ことができるようになる。

【００２８】このように表面化粧板の形状及び取付け方
法は多様なのものとすることができるので、かご室のデ
ザインの選択の幅が極めて広いものとなり、多様化した
需要者の嗜好を十分に満たし、さらに容易な取付け作業
で意匠性を向上させることができる。

【００２９】

【発明の効果】以上のように請求項１の発明によれば、
作業員が組み立てる際に、かご床に立って隣接する側板
の一方と他方との連結部を突き合わせ、少なくとも一方
の側板に設けられた締結作業用孔から手を入れてボルト
及びナット等によって両側板間を締結固定する作業をす
ることができ、かご室内において安全に側板間の連結作
業ができる。

【００３０】請求項２の発明によれば、請求項１の発明
の効果に加えて、隣接する２つの側板において一方の側
板のかご室内部側に露呈する連結部と他方の側板のかご
室内部側に露呈する連結部とにこれらの両連結部を覆う
ための表面化粧板を設けたので、かご室内の意匠が向上
する。

【００３１】請求項３の発明によれば、請求項２の発明
の効果に加えて、表面化粧板を少なくとも一方の側板に
対して粘着部材若しくは接着部材にて固定するようにし
たので、表面化粧板の取付作業が楽にできる。

【００３２】請求項４の発明によれば、請求項２又は３
の発明の効果に加えて、表面化粧板には隣接する２つの
側板うちの締結作業用穴が設けられた側に当該締結作業
用穴の周縁部に嵌合して表面化粧板を固定する突起部を
設けたので、表面化粧板の取付が突起部を側板の締結作
業用穴に引っ掛ける作業だけで済む。

【００３３】請求項５の発明によれば、請求項２〜４の
発明の効果に加えて、表面化粧板のかご室内部側の表面
を隣接する２つの側板のかご室内部側の表面の各々とほ
ぼ連続するようにしたので、側板間の連結部の意匠性が
一層向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１つの実施の形態の概略平面図。

【図２】上記の実施の形態において使用する巾木ベース
の斜視図。

【図３】上記の実施の形態において使用する巾木と側板
との連結部分の拡大断面図。

【図４】上記の実施の形態における側板連結部分の拡大
正面図。

【図５】図４におけるＶ−Ｖ線断面図。

【図６】上記の実施の形態において側板連結部分に別の
形状の表面化粧板を取り付けた状態の拡大断面図。

【図７】上記の実施の形態において側板連結部分にさら
に別の形状の表面化粧板を取り付けた状態の拡大断面
図。

【図８】従来のエレベータのかご室の概略平面図。

【図９】従来のエレベータの側板連結部分の拡大断面
図。

【符号の説明】

１ かご床 ３ 巾木 ４ａ〜４ｈ 側板 ６ａ，６ｂ 出入口柱 ９ 開閉扉 １０ かご室 １１ 締結作業用穴 １２ ボルト １３ 溶接ナット １４ ボルト穴 １５ 表面化粧板 １６ 突起部 １７ 接着テープ １８ 表面化粧板 ２２ 表面化粧板

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エレベータのかご床と、前記かご床の周
   縁に沿って立設された複数の側板とによって構成される
   エレベータのかご室において、 隣り合う２つの側板の少なくとも片方に、該側板と隣接
   する他方の側板とを締結固定するための締結作業用の孔
   を設けたことを特徴とするエレベータのかご室。
2. 【請求項２】 前記隣接する２つの側板において、一方
   の側板のかご室内部側に露呈する連結部と他方の側板の
   かご室内部側に露呈する連結部とに、これらの両連結部
   を覆うための表面化粧板を設けたことを特徴とする請求
   項１に記載のエレベータのかご室。
3. 【請求項３】 前記表面化粧板は、少なくとも一方の側
   板に対して粘着部材若しくは接着部材にて固定したこと
   を特徴とする請求項２に記載のエレベータのかご室。
4. 【請求項４】 前記表面化粧板は、前記隣接する２つの
   側板うちの前記締結作業用穴が設けられた側に、当該締
   結作業用穴の周縁部に嵌合して当該表面化粧板を固定す
   る突起部を設けたことを特徴とする請求項２又は３に記
   載のエレベータのかご室。
5. 【請求項５】 前記表面化粧板のかご室内部側の表面
   は、前記隣接する２つの側板のかご室内部側の表面の各
   々とほぼ連続するようにしたことを特徴とする請求項２
   〜４のいずれかに記載のエレベータのかご室。