JP2001323322A - 方向性珪素鋼帯の最終仕上げ焼鈍方法 - Google Patents
方向性珪素鋼帯の最終仕上げ焼鈍方法Info
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Abstract
に生じる側歪の発生を回避し、ひいては製品歩留りを大
幅に向上させるばかりでなく、変圧器に組み込む際の積
層時に、層内に空隙ができ難くする方向性珪素鋼帯の最
終仕上げ焼鈍方法を提供することを目的としている。 【解決手段】コイル状に巻き取った方向性珪素鋼帯を仕
上げ焼鈍炉のコイル受台にアップ・エンドに載置し、最
終仕上げ焼鈍を施すに当たり、前記鋼帯の巻き取り前
に、該鋼帯のコイル受台と接する側になる端部を、長さ
方向に沿い数条にわたって局所的に圧下し、端から最も
離れた1条には、他の数条よりも大きな圧下を加える。
Description
最終仕上げ焼鈍方法に関し、特に、コイル状に巻き取っ
た方向性珪素鋼帯を、焼鈍炉内のコイル受け台にコイル
の巻取り軸を垂直にして載置(アップ・エンドという)
して最終仕上げ焼鈍するに際し、鋼帯の幅方向端部(コ
イル受け台側になる下端から100mm程度までの範囲
をいう)に発生する側歪を効果的に軽減する技術であ
る。
成の熱延鋼帯に、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の
冷間圧延を施し、ついで脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布
してから乾燥し、巻き取り張力の付与下にコイル状に巻
き取り、その後所定の雰囲気ガス中で最終仕上げ焼鈍す
ることによって製造される。ここで、焼鈍分離剤とは、
焼鈍後にコイルを巻き戻す際に、積層した隣り合う鋼帯
同士を容易に引き離す効果を発揮するものであり、具体
的には、MgOを主成分とする無機物質が使用される。
焼鈍炉内のコイル受け台にアップ・エンドにコイル状鋼
帯を載置し、長時間加熱するので、コイル受け台と接す
る側の鋼帯幅方向端部には、自重、その他の力等が作用
して、側歪と呼ばれる歪(耳歪ともいう)が発生する。
この傾向は、特に板厚が0.30mm以下の所謂「薄物
鋼帯」に多く、また、コイルの内周部に比べて外周部に
多く出現する。
積層状態で使用されるが、前記鋼帯幅方向端部に側歪が
存在すると、その部分の磁気特性及び加工性が損なわれ
る。そのため、側歪の多いコイル外周部分は、切り捨て
られて使用しないので、製品歩留が著しく低下すること
になる。従って、方向性珪素鋼帯の最終仕上げ焼鈍時に
は、このような鋼帯幅方向端部(以下、コイル端部と表
現することもある)の側歪の発生を極力低減する必要が
ある。
えば、特開昭55−110721号公報は、ボックス焼
鈍の前に塗布する焼鈍分離剤の量をコイル側縁部で減少
させることによって、該側縁部の変形を小さくする方法
を提案している。しかしながら、コイル側縁部への焼鈍
分離剤の塗布量が少ないと、前記コイル端部の磁気特性
が劣化し易く、さらに被膜欠陥ができ易いという新たな
問題が発生した。
コイル受け台上に焼鈍されるコイル状鋼帯と同じ材質の
敷板を置き、その敷板上にコイル状鋼帯を載置して、該
鋼帯幅方向端部に歪が発生するのを防止する方法を提案
している。この方法では、被処理材が珪素鋼の場合には
敷板の材質も珪素鋼とするが、珪素鋼をはじめとするフ
ェライト鋼は、高温での熱間強度が非常に低く、そのた
め高温での焼鈍時に鋼帯端面が敷板に食い込み易く、コ
イル状鋼帯が敷板に拘束される。そのため、鋼帯コイル
と敷板との熱膨張・熱収縮時の移動量の差異によってや
はり側歪が発生する。
は、コイル状鋼帯とコイル受け台との間に該コイル状鋼
帯よりも固く巻いたフープコイルなるものを別途載置す
る方法を提案している。この方法も、それなりに有効で
はあるが、該フープコイルは、わずか数回の焼鈍で座屈
するため、頻繁な取り替えを必要とし、コストの上昇が
著しいことと、焼鈍中にフープコイルの座屈が起こる
と、製品の鋼帯にかえって大きな側歪が発生するといっ
た欠点があった。
の焼鈍前の結晶粒度を予め15μm以上にしておくこと
によって、歪の発生を防止する方法を提案している。こ
の方法では、コイル端部での座屈歪を低減することはで
きるけれども、コイル端部の磁気特性を著しく劣化させ
てしまう。
状鋼帯とコイル受け台との間に、0.2wt%以上のC
を含有し、且つ変態点を有する鋼材を敷板として介挿さ
せてから高温仕上げ焼鈍をおこなう方法を提案してい
る。この方法は、側歪の低減効果をある程度示すが、二
次再結晶が高温で起きる場合には有効でなかった。
鋼帯幅方向の一端からの任意幅と残りの幅とに異なる熱
的処理を施し、相対的に異なる塑性変形を生じさせて鋼
帯の長さを幅方向で部分的に異ならせ、相対的に強い張
力で巻き取る方法を提示している。この方法では、鋼帯
幅方向で巻取り張力が異なるので、鋼帯のコイル状巻取
りが難しく、コイルが筍状になってしまう。このような
形状のコイルは、アップ・エンドに焼鈍炉内に載置する
通常の方法では、コイル端部が平面になっていないの
で、コイル端部の一部が折れるといった問題が頻繁に発
生した。また、同一コイル内の張力差も最終仕上げ焼鈍
中にはほぼ消滅するため、歪の低減効果が実現しないと
いった欠点があった。
209785号にて、仕上げ焼鈍に先だち、詳しくは、
鋼帯をコイル状に巻き取る前に、焼鈍炉のコイル受け台
と接する側の鋼帯幅方向端部に相当する部分に局所的な
歪を予め付与し、該端部を鋼帯幅方向中央部と同時期又
はより速い時期に二次再結晶させることで側歪を低減す
る方法を提案している。この方法は、鋼帯幅方向の端部
と中央部とでほぼ同じ粒度の結晶粒を形成させると、側
歪の発生が抑制されるという知見に基づくものであり、
ある程度有効であった。しかしながら、事前の歪付与で
焼鈍開始後の速い時期に端部で2次再結晶が起こり、生
じた特性の劣る結晶粒が鋼帯幅方向の中央まで進展し
て、中央部の二次再結晶粒と方位の一致しない部分が生
じる場合があった。このような場合には、得られた製品
鋼帯の特性がかえって劣化するという新しい問題が生じ
た。なお、この事前の歪付与は、コイル状に巻き取る前
の鋼帯端部を、プレス装置やロールで圧下することによ
って行なわれる。また、圧下幅は、線状、点状の局所的
なものであっても良い。さらに、付与する歪の量は、元
の板厚に対するロール等の圧下で減少した板厚量の割合
を%で評価している。
に鑑み、焼鈍時にコイル状鋼帯の幅方向端部に生じる側
歪の発生を回避し、ひいては製品歩留りを大幅に向上さ
せるばかりでなく、変圧器に組み込む際の積層時に、層
内に空隙ができ難くする方向性珪素鋼帯の最終仕上げ焼
鈍方法を提供することを目的としている。
成するため、特願平10―209785号で提案した技
術の改良を図り、その成果を本発明に具現化した。
た方向性珪素鋼帯を仕上げ焼鈍炉のコイル受台にアップ
・エンドに載置し、最終仕上げ焼鈍を施すに当たり、前
記鋼帯の巻き取り前に、該鋼帯のコイル受台と接する側
になる端部を、長さ方向に沿い数条にわたって局所的に
圧下し、端から最も離れた1条は、他の条よりも大きな
圧下率とすることを特徴とする方向性珪素鋼帯の最終仕
上げ焼鈍方法である。
とすることを特徴とする方向性珪素鋼帯の最終仕上げ焼
鈍方法である。
1条の圧下で鋼帯に付与される歪量を板厚の5%以上と
し、残りの数条による歪量を0.05〜3%とすること
を特徴とする方向性珪素鋼帯の最終仕上げ焼鈍方法であ
る。
部に予め付与した歪による二次再結晶で生じる粒成長
は、該鋼帯の中央部へ向かう途中で停止するようにな
る。その結果、焼鈍後に得られる鋼帯は、従来より磁気
特性に優れたものになり、且つ切り捨てる部分が少なく
なるので、製品歩留も向上するようになる。
交え、本発明の実施の形態を説明する。
785号で提案した技術を踏まえ、予め所定成分の珪素
鋼帯端部に、幅が0.2mmの局所的な歪を付与してか
らコイル状に巻き取り、最終仕上げ焼鈍によって生じた
二次再結晶粒の状態を詳細に研究した。
(鉄損、W17/50で評価;値の小さい方が優れてい
る)は、図4より明らかなように、歪を与えない場合に
比べて劣っていた。この事実は、鋼帯端部で二次再結晶
粒を発達させ過ぎると、かえって磁気特性の低下を招く
ことを示唆するものである。そのため、発明者は、付与
する歪量や付与位置が重要と考え、研究を続けた。そし
て、図5に示すように、歪付与量を元の板厚に対して5
%以上とすると、生ずる2次再結晶粒の成長数が激減
し、5%以上では殆ど成長しないことを知った。さら
に、図6から明らかなように、歪付与量を5%以上とす
ると、二次再結晶粒がその付与部分を超えて鋼帯幅方向
の中央側で成長する割合が激減することも知った。
き、鋼帯の端部に歪を局所的に付与し、二次再結晶粒を
成長させるが、その二次再結晶粒の成長を強い圧下率を
加えた部分で停止できれば、鋼帯の磁気特性の改善に非
常に好ましいと考えた。そして、図1に示すように、鋼
帯2の幅方向端部に、長手方向に沿って3条の歪をロー
ル1で付与するが、端から最も離れた1条については圧
下率を高くし、5%の歪を付与し、残りの2条について
は1%の歪を付与してみた。この鋼帯2に焼鈍分離剤を
塗布してから、コイルに巻き取って最終仕上げ焼鈍を施
した後、歪を付与した端部について、コイル長手方向に
適宜試料を採取し、エッチングにより、結晶組織を調査
した。その結果、端部から発生したと考えられる結晶粒
は、歪を5%付与した位置で停止していることがわか
り、この歪付与方法を要件として本発明を完成させた。
つまり、コイル状に巻き取った方向性珪素鋼帯を仕上げ
焼鈍炉のコイル受台にアップ・エンドに載置し、最終仕
上げ焼鈍を施すに当たり、前記鋼帯の巻き取り前に、該
鋼帯のコイル受台と接する側になる端部を、長さ方向に
沿い数条にわたって局所的に圧下し、端から最も離れた
1条には、他の数条よりも大きな圧下率を加えるのであ
る。圧下手段は、前記特願平10−2097858号で
提案した技術と同様に、ロール、もしくはプレスで良
い。ここで、上記1条の圧下幅は、0.001〜10m
mの範囲にあるのが好ましい。0.001mm未満で
は、歪の付与効果が出現せず、10mm超えだと,逆に
側歪発生部位以外に歪を導入することになるからであ
る。また、鋼帯の最も端から離れた1条については5%
以上の歪量が、残りの条は0.05〜3%の歪量になる
ように圧下するのが好ましい。その理由は、最も端から
離れた1条の歪量が5%未満であると、そこから二次再
結晶粒が別途成長し、障壁の効果が現れないからであ
る。また、残りの条についての上下限は、0.05〜3
%の範囲を外れると、歪付与による2次再結晶粒が成長
せず、磁気特性を改善するという目的が達成できないか
らである。
る前の条件は、特に限定するものでない。しかし、通常
の方向性珪素鋼の製造では、珪素鋼スラブを出発素材と
し、熱間圧延を施した後、一回又は中間に焼鈍を挟む2
回以上の冷間圧延をし、ついで脱炭焼鈍後、MgOを主
成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、コイルに巻き取
って最終仕上げ焼鈍を施している。従って、本発明は、
この焼鈍分離剤を塗布する前に、歪を付与するのが好ま
しい。
反応の焼鈍分離剤を除去し、鋼帯表面に絶縁コーティン
グを塗布して製品となすが、必要に応じコーティング塗
布前に鋼板表面を鏡面化しても良いし、絶縁コーティン
グとして張力コーティングを用いても良い。さらに、コ
ーティングの塗布焼付け処理を平坦化処理と兼ねても良
い。加えて、二次再結晶させた後の鋼帯には、鉄損の低
減効果を得るため、公知の磁区細分化処理、すなわちプ
ラズマジェットやレーザー照射を洗浄領域に施したり、
突起ロールによる該洗浄のへこみ領域を設けたりする処
理を施しても良い。
ss%,Mn:0.065mass%,Se:0.02
4mass%,Al:0.02mass%,N:0.0
09mass%,Sb:0.05mass%及びNi:
0.50mass%を含有し、残部は鉄及び不可避不純
物からなる含珪素鋼鋳片を素材に、方向性珪素鋼帯を製
造した。
焼鈍を挟む2回の冷間圧延によって板厚0.23mm、
板幅1200mmにした。この冷延鋼帯は、直ちに、連
続脱炭焼鈍炉で840℃×140秒の脱炭焼鈍が施され
た。
部(最終仕上げ焼鈍時に、コイル受台に接する側)に、
本発明に係る歪付与を実施した。それは、図1に示した
通りに、厚み0.02mmの3つのロール1を用いて、
鋼帯2の長手方向に沿った局所的な圧下を行なうことで
ある。その際、この圧下は、端から一番離れた1条につ
いては歪量が板厚の5%、残り2条については板厚の1
%となるようにした。その後、該鋼帯2は、MgOを主
成分とする焼鈍分離剤を全面に塗布してから、コイル状
に巻き取られ、歪を加えた側を下方に向けて、最終仕上
げ焼鈍炉内のコイル受台にアップ・エンドに載置され
た。載置後は、直ちに炉内温度を1190℃にまで上昇
させ、水素雰囲気にして20時間保持の最終仕上げ焼鈍
が行なわれた(発明例)。
0.23mmの最終板厚にまで冷間圧延した鋼帯に、端
部を圧下せずそのまま焼鈍分離剤を塗布し、同様の条件
で最終仕上げ焼鈍を行ったものも準備した(比較例
1)。また、端部に0.1%の歪量で1条のみの圧下を
してから、同様の条件で最終仕上げ焼鈍を行ったものも
準備した(比較例2)。
イル状から巻き戻して、幅方向端部に生じている側歪の
幅方向長さ及び全幅方向の磁気特性が調べられた。調査
結果を図2及び図3に一括して示す。図2及び図3よ
り、本発明によれば鋼帯端部の側歪の発生を効果的に抑
制できると共に、良好な磁気特性の得られることが明ら
かである。さらに、前記と異なる成分組成を有する多種
の方向性珪素鋼鋳片についても、同様に本発明に係る焼
鈍方法を実施したが、その結果はいずれも上記図2及び
図3と同様になった。なお、図2に示した焼鈍後の鋼帯
は、コイルの外周端から20m程度の切り捨てで、変圧
器に使用可能であり、これは従来に比べ0.2%の製品
歩留の向上になる。
向性電磁鋼板をコイル状態で最終仕上げ焼鈍するに際し
て、コイル受け台と接する側のコイル端部における側歪
の発生を著しく軽減することができる。その結果、製品
歩留まりの向上が期待できる。
況を示す図である。
長さ(mm)を示す図である。
た二次再結晶粒の磁気特性との関係を示す図である。
た二次再結晶粒の成長割合との関係を示す図である。
与部を越えて鋼帯の幅方向中央側へ成長する割合との関
係を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 コイル状に巻き取った方向性珪素鋼帯を
仕上げ焼鈍炉のコイル受台にアップ・エンドに載置し、
最終仕上げ焼鈍を施すに当たり、 前記鋼帯の巻き取り前に、該鋼帯のコイル受台と接する
側になる端部を、長さ方向に沿い数条にわたって局所的
に圧下し、端から最も離れた1条は、他の数条よりも大
きな圧下率とすることを特徴とする方向性珪素鋼帯の最
終仕上げ焼鈍方法。 - 【請求項2】 前記の数条の圧下を3条とすることを特
徴とする請求項1記載の方向性珪素鋼帯の最終仕上げ焼
鈍方法。 - 【請求項3】 前記端から最も離れた1条の圧下で鋼帯
に付与される歪量を5%以上とし、残りの数条による歪
量を0.05〜3%とすることを特徴とする請求項1又
は2記載の方向性珪素鋼帯の最終仕上げ焼鈍方法。
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JP2000140612A JP4029543B2 (ja) | 2000-05-12 | 2000-05-12 | 方向性珪素鋼帯の最終仕上げ焼鈍方法 |
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- 2000-05-12 JP JP2000140612A patent/JP4029543B2/ja not_active Expired - Fee Related
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