JPH07173540A - 二方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents

二方向性珪素鋼板の製造方法

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JPH07173540A
JPH07173540A JP5322292A JP32229293A JPH07173540A JP H07173540 A JPH07173540 A JP H07173540A JP 5322292 A JP5322292 A JP 5322292A JP 32229293 A JP32229293 A JP 32229293A JP H07173540 A JPH07173540 A JP H07173540A
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JP
Japan
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rolling
steel sheet
silicon steel
cold rolling
annealing
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JP5322292A
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English (en)
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Takeo Yazawa
武男 矢澤
Atsushi Tomizawa
淳 富澤
Takashi Tanaka
隆 田中
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/12Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
    • H01F1/14Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/147Alloys characterised by their composition
    • H01F1/14766Fe-Si based alloys
    • H01F1/14775Fe-Si based alloys in the form of sheets

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Abstract

(57)【要約】 【目的】磁気特性の優れた二方向性珪素鋼板の製造方法
を提供する。 【構成】 (1)Si:0.3〜6.2 %を含む珪素鋼板の熱間圧延
板素材に、曲面突起部付き曲面ダイスを備えた遊星圧延
機を用いて、幅拡げ率で50〜300 %の幅出し冷間圧延を
施し、その後一次再結晶を目的とする焼鈍、次いで二次
再結晶と純化を目的とする最終焼鈍を施す磁気特性の優
れた二方向性珪素鋼板の製造方法。この方法では、幅出
し冷間圧延の前または後に通常の冷間圧延を施す工程を
加えてもよい。これらの冷間圧延時にはいずれも、素材
を 100〜200 ℃に加熱するのがよい。 (2)Si:0.3〜6.2 %を含む珪素鋼板の圧延板素材に、幅
出し冷間圧延に先立って焼鈍を施す上記(1) の磁気特性
の優れた二方向性珪素鋼板の製造方法。 【効果】方向性に優れた二方向性珪素鋼板を、安定して
製造することができる。本発明方法では、素材コイルを
用いて連続的な圧延と幅方向の圧延を同時に施すことが
でき、この方法は、工業的な量産方法として効率的で優
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気特性の優れた二方向
性珪素鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄系の材料では、ミラー指数<100>
軸の方向に磁化されやすいという特徴がある。この結晶
磁気異方性を利用して、圧延方向にのみ磁気特性が優れ
ている一方向性珪素鋼板が製造されている。
【0003】変圧器等の磁心に用いられる一方向性珪素
鋼板は、ミラー指数で{110}<001> (ゴス方位
と呼ばれる) と称される結晶粒のみを選択的に成長さ
せ、鋼板面内の一方向の透磁率を飛躍的に向上させたも
のである。
【0004】この一方向性珪素鋼板に対し、鋼板面内の
直交する2方向に<100>軸を配向させた二方向性珪
素鋼板 (ミラー指数で{110}<001>または{1
00}<011>)があり、これはより理想的な軟質磁
性材料である。
【0005】二方向性珪素鋼板は、圧延方向および圧延
方向と直角な方向に磁化容易軸 (<100>軸) を有
し、これらの二方向で磁気特性が優れている。このた
め、この鋼板は、二方向に磁束を流す必要のある機器、
例えばセグメント取りをする大型回転機用の磁心材料と
して用いると、圧延方向にのみ磁気特性が優れている一
方向性珪素鋼板に比べて有利である。また、EI型の鉄
心を主に用いる小型静止器では一般に、磁化容易軸を高
度に集積させない無方向性珪素鋼板が用いられている
が、二方向性珪素鋼板を用いることにより、さらに小型
化・高効率化が達成できる可能性がある。
【0006】従来の公知の二方向性珪素鋼板の製造方法
には、方向性インゴットを用いる方法 (例えば、特公昭
33−7509、特公昭33−7952の各号公報参照) や表面エネ
ルギーによる方法 (例えば、特公昭36−8554、特公昭38
−16212 の各号公報参照) 等があるが、次に挙げる交叉
圧延法によっても、磁気特性に優れた二方向性珪素鋼板
を製造できることが知られている。
【0007】交叉圧延法は、特公昭35−2657号公報に開
示されているように、珪素鋼板素材を一方向に冷間圧延
し、さらにこの冷延方向と交叉方向に冷間圧延を加えた
後、短時間焼鈍と 900〜1300℃の高温焼鈍を行う方法で
ある。この方法の原理は、交叉冷間圧延により{10
0}<001>方位粒が成長しやすい素地になる集合組
織を発達させ、AlN等の粒成長のインヒビターを利用し
た二次再結晶によって{100}<001>を発現させ
るものである。
【0008】しかし、二方向性珪素鋼板を製造するため
の上記三種類の方法は、今日までほとんど工業化されて
いない。その理由は、製造方法を工業化するのが極めて
困難である上に、十分な結晶方位の集積度が得られない
ことによる。例えば、交叉圧延を用いる方法では、比較
的高い透磁率が期待できるが、相互の直交する2つの方
向に冷間圧延する必要があり、冷間圧延作業上困難を伴
う。
【0009】特開平4−362132号公報には、熱延板焼鈍
後、熱延方向と直角方向に50〜90%の圧下率で1回のみ
の冷間圧延を施し、次いで一次再結晶のための焼鈍、さ
らに最終焼鈍を行う方法が開示されている。この方法
は、冷間圧延の回数を削減することができるものである
が、冷間圧延においては依然として熱延方向と直交する
方向に圧延しなければならないため、実際の圧延作業で
は切り板にしか適用できず、コイルを用いる連続圧延は
不可能であり、量産規模で工業化する目的には適合しな
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】二方向性珪素鋼板は、
三つの磁化容易軸の内、二つを鋼板面内に配向させた理
想的な磁性材料であるにもかかわらず、今日までほとん
ど工業的に使用されていない。これは、前記のようにそ
の製造方法を工業的に実現することが極めて困難である
上に、期待されるほどの結晶方位の集積度が得られない
ことによる。
【0011】交叉圧延法では、高い結晶方位の集積が得
られ、板面内の二方向に高い透磁率が期待できるが、相
互の直交する二つの方向に冷間圧延する必要があるため
に、連続操業上の困難を伴い、生産性が悪い。さらに本
発明者らの再現実験によれば、期待する磁気特性が思う
ように得られなかった。
【0012】本発明は上記の課題を解決するためになさ
れたものである。本発明の目的は、比較的容易に結晶の
方向性を制御し、磁気特性に優れた二方向性珪素鋼板を
製造することができる工業的な連続プロセスを提供する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
(1)重量%でSi:0.3〜6.2 %を含有する珪素鋼板の熱間
圧延板素材に、必要に応じて通常の冷間圧延を施した
後、曲面突起部付き曲面ダイスを備えた遊星圧延機を用
いて、幅拡げ率で50〜300 %の幅出し冷間圧延を施し、
その後一次再結晶を目的とする焼鈍、次いで二次再結晶
と純化を目的とする最終焼鈍を施すことを特徴とする磁
気特性の優れた二方向性珪素鋼板の製造方法。
【0014】(2)上記(1) の熱間圧延板素材に、上記(1)
の幅出し冷間圧延を施した後、通常の冷間圧延を施
し、その後一次再結晶を目的とする焼鈍、次いで二次再
結晶と純化を目的とする最終焼鈍を施すことを特徴とす
る磁気特性の優れた二方向性珪素鋼板の製造方法。
【0015】(3)重量%でSi:0.3〜6.2 %を含有する珪
素鋼板の熱間圧延板素材に、焼鈍を施すことを特徴とす
る上記(1) または上記(2) の磁気特性の優れた二方向性
珪素鋼板の製造方法。
【0016】(4)珪素鋼板の圧延板素材の幅出し冷間圧
延時または通常の冷間圧延時に、素材の温度を 100〜20
0 ℃に加熱することを特徴とする上記(1) から上記(3)
までのいずれかの磁気特性に優れた二方向性珪素鋼板の
製造方法。
【0017】ここでいう幅広げ率とは、(幅出し冷間圧
延によって増加した板幅/幅出し冷間圧延前の板幅)の
比率である。
【0018】本発明者らは、実操業で素材コイルを用い
て効率的な連続圧延を行うことが可能な二方向性珪素鋼
板の製造方法について検討を行い、幅出し冷間圧延法を
適用すれば、交叉圧延法の場合を超える二方向性珪素鋼
板の特徴である{100}<001>方位を得るととも
に、交叉圧延法よりもさらに工業的な連続製造プロセス
が実現できることを見いだした。
【0019】
【作用】まず、素材鋼板の化学組成を前記のように限定
した理由を説明する。
【0020】Si: 0.3〜6.2 % Si含有量が0.3 %未満では、鉄損を低下させることが困
難である。このため、Si含有量は高い方がよい。しか
し、3.0 %を超えると、後述する冷間圧延時に破断が発
生しやすい傾向が生じ、さらに6.2 %を超えると、後述
する温度範囲に加熱して温間圧延を行っても破断が生じ
るため、上限を6.2 %とした。
【0021】Si以外の成分は特に限定しないが、酸可溶
性AlとN(窒素)については望ましい範囲がある。
【0022】酸可溶性Alは、二次再結晶時に磁束密度が
高くなる結晶を生成するためのインヒビターとして有用
な作用を有するAlN、(Al,Si)N等の窒化物を形成する
成分である。このため、酸可溶性Alは製品の磁束密度が
高くなる 0.008〜0.048 %にするのが望ましい。
【0023】N含有量が0.020 %を超えるとスラブ中の
欠陥が増加し、鋼板にブリスターと呼ばれる空孔欠陥を
生じる。そのため、製鋼段階で望ましいのは 0.010%以
下である。
【0024】しかし、Nは上記のように有用な窒化物を
形成する成分であるために、素材鋼板の段階では0.002
%以上が必要である。さらに、途中工程で窒化すること
により、0.06%以下の範囲で含有させてもよい。
【0025】この他、二次再結晶を安定して生じさせる
ために、インヒビターとして作用するMnS、Cu2S、MnS
e、MnSb、Nb(C,N) などを形成するMn、S、Cu、Nb、
C、Sn、Sbなどから選んだ1種ないし2種以上の成分
を、公知の範囲で含ませることも可能である。
【0026】次に、製造工程と条件およびその限定理由
を説明する。
【0027】前記の成分からなる珪素鋼スラブを加熱
し、熱間で圧延して珪素鋼板素材コイルとし、この熱延
板をそのまま、またはこの熱延板に通常の冷間圧延を施
し、次の幅出し冷間圧延工程に送る。
【0028】この通常の冷間圧延は、幅出し冷間圧延の
みでは目標の板幅まで圧下できない場合に、必要に応じ
て組み込むのがよい。
【0029】本発明方法で用いる幅出し冷間圧延法を図
1〜図4に基づいて説明する図1は、曲面突起部付き曲
面ダイスの一例を示す外観図であり、矢印は圧延方向で
あることを示す。図示するように、曲面突起部付き曲面
ダイス2は、始端部幅B、終端部幅B0 の曲面突起部を
有する。図2は、曲面突起部の形状の一例を示す平面図
である。始端部のa点から突起部を形成し始め、b点で
所定の突起部高さにする。
【0030】この幅出し冷間圧延に用いる曲面ダイス2
の突起部としては、特開平2−80147 号公報に示されて
いるように、加工割れを防止する観点から、先端に始端
部Bの幅を有し、鋼板に連続的に幅拡がりを付与できる
形状とする方が望ましい。しかし、割れが問題とならな
い場合には、特開昭60−6234号公報に開示されているよ
うに、始端部が尖った形状としてもよい。
【0031】図3は、このような曲面ダイスを備えた遊
星圧延機を用いて、幅出し冷間圧延を行う方法の一例を
示す側面方向の概略断面図である。太い矢印は圧延方向
を示す。
【0032】図2に示すような曲面突起部を付与した曲
面ダイス2を、図3に示すバックアップロール4とその
周囲に遊星状に配列されたワークロール3を備えた遊星
圧延機5の外側(図3では上部)に配置し、この曲面ダ
イス2とワークロール3で形成された隙間に巻き戻しリ
ール9から珪素鋼板1を挿入して、曲面ダイス2とワー
クロール3の作用で珪素鋼板1を幅方向に広げながら圧
延し、巻き取りリール10で巻き取る。図3において、6
は遊星圧延機5のバックアップブロック、7は押し込み
ロール、8はピンチロールである。
【0033】遊星圧延機5は、図示するようにバックア
ップロール4、その周囲に遊星上に配列された多数のワ
ークロール3、およびこのワークロール3をバックアッ
プロール4に接するように支持するバックアップブロッ
ク6を備えている。ワークロール3は回転自由なケージ
(図示せず)に保持され、ケージにセットされたバネな
どによりバックアップロール4に押し当てられている。
なお、バックアップブロック6は必ずしも必要ではない
が、圧延力を受け止めるとともに、圧延荷重が軽い場合
あるいは無荷重の場合でも、ワークロール3を押圧して
公転させる働きをするため、装備する方が望ましい。
【0034】図4は、図2に示すような曲面突起部を有
する曲面ダイス2を用いて幅出し冷間圧延を行う場合
の、素材珪素鋼板の断面形状の変化の例を示す図であ
る。図3(a) の素材珪素鋼板1は、曲面突起部付き曲面
ダイス2により、図示するように順次局部的に減肉され
ると同時に幅広げを受け、最終的には図2に示すc点
で、図3(e) に示すような幅拡げを受けた板となる。
【0035】上記の遊星圧延機と曲面ダイスを用いる幅
出し冷間圧延では、多数のワークロールを一方向に高速
で回転させて圧延するため、強圧下が可能であり、非常
に効率よく幅出し冷間圧延を行うことができる。
【0036】幅出し冷間圧延における幅広げ率は、熱間
圧延方向と直角方向(板幅方向)に十分な変形状態が得
られる50%以上300 %以下とすることが必須である。幅
広げ率が50%未満では、圧延方向の伸び率が板幅方向に
対して過大になるため、磁気特性が低下する。一方、30
0 %を超えると、逆に板幅方向の伸び率が圧延方向方向
に対して過大になり、同様に磁気特性が低下する。
【0037】幅出し冷間圧延で一回当たりの幅広げ率が
大きすぎて、破断等のため板幅方向の変形が十分得られ
ない場合には、この圧延を小さい幅拡げ率で数回に分け
て行い、最終的に合計で上記の幅拡げ率の範囲になるよ
うにしてもよい。この幅出し冷間圧延を終了した鋼板
に、一次再結晶を目的とした短時間焼鈍を行う。温度範
囲は特に限定しないが、一次再結晶を完全に行わせるた
めに700 ℃以上とすることが望ましい。この焼鈍では、
珪素鋼板の磁性を悪化させるC(炭素)を除去する目的
を兼ねるために、酸化雰囲気とすることも可能である。
【0038】次いで二次再結晶と純化を目的とした最終
焼鈍を行う。この焼鈍の温度範囲は特に限定しないが、
二次再結晶の発現と純化を完全に行うために900 ℃以上
の高温焼鈍とし、焼鈍時間は1時間以上、最終焼鈍の雰
囲気は、一般には純化のため水素のみの雰囲気とするこ
とが望ましい。
【0039】さらに、二次再結晶を安定させるために、
一次再結晶終了から二次再結晶開始前までに、N含有量
が0.06%以下の範囲で鋼板を窒化することも可能であ
る。この窒化の方法は、最終焼鈍の雰囲気にN2、NH3
の窒化能のあるガスを混入する方法、最終焼鈍時の焼鈍
分離材に窒化フェロマンガン等の窒化能のある物質を加
える方法、一次再結晶焼鈍の均熱過程以降において NH3
等の窒化能のあるガスを含む雰囲気中で処理する方法等
何れでもかまわない。
【0040】以上の工程と条件によって、板面内の直交
する二つの方向に高い<100>軸の集積度を有する二
方向性珪素鋼板を得ることができる。
【0041】上記の遊星圧延機を使用する幅出し冷間圧
延法により、従来の交叉圧延の場合を超える磁気特性が
得られる原因は明確ではないが、遊星圧延機の多数の小
径ワークロールが短時間に材料に接触して圧延するとい
う一種の鍛造効果と、それと同時の本発明方法に特有の
曲面突起部付き曲面ダイスによる幅出し圧延効果との相
乗効果が大きな役割を果していると考えられる。
【0042】本発明の他の方法では、幅出し冷間圧延
と、さらにその後の通常の冷間圧延とを組み合わせるこ
とによっても、磁気特性に優れた二方向性珪素鋼板を製
造することができる。例えば、幅出し冷間圧延のみで
は、なお目標の板厚まで圧下できない場合等には、幅出
し冷間圧延を施した後に通常の冷間圧延を施してもよ
い。
【0043】前述のように、素材鋼板のSi含有量が3.0
%を超え6.2 %までの範囲では、冷間圧延時に破断を生
じる懸念があるので、珪素鋼板を100 ℃から 200℃まで
の範囲に加熱した後、温間域で幅出し圧延または通常の
圧延を行うと、珪素鋼板を破断させずに圧延することが
でき、さらに、圧延時の固溶炭素と転位の相互作用によ
り磁気特性も向上する傾向がある。上記温度条件は、繰
り返し温間域で圧延を施す場合も同様であり、特に、前
記の幅出し圧延のように、素材鋼板の幅方向の流れ(メ
タルフロー)が従来圧延とは全く異なる圧延において
は、圧延温度を上昇させることが有効である。
【0044】加熱する手段としては、誘導加熱、還元ガ
ス加熱、直接通電加熱方式などがあるが、いずれを採用
しても割れ防止効果に差異は認められない。
【0045】本発明の他の方法では、熱間圧延した後の
酸洗後または酸洗前の素材コイルに熱延板焼鈍を施す。
その温度範囲は 700〜1000℃、時間は30秒〜24時間とす
るのがよい。焼鈍したコイルは次の幅出し冷間圧延工程
に送る。
【0046】珪素鋼板の熱間圧延素材コイルに焼鈍を施
して再結晶させた後、前記幅出し冷間圧延を行うと、さ
らに{100}<001>方位に結晶粒が揃いやすくな
り、磁気特性が向上する。この詳細なメカニズムについ
ては不明であるが、熱延板焼鈍を施すことによる珪素鋼
板の磁気特性の向上には、結晶粒の再結晶が大きく寄与
する。
【0047】図5は、板厚を2.3mm から0.35mmに圧延し
た場合の、熱延板焼鈍温度と幅広げ率を変化させた場合
の磁気特性曲線〔圧延方向の磁気特性B8(T) と板幅方
向の磁気特性B8(T) の低い方をプロットした曲線〕を
示す概念図である。
【0048】図5に示すように、焼鈍温度が750 ℃以上
の場合、幅広げ率が150 %で最も磁気特性が向上し、焼
鈍温度が上昇するほど磁気特性が向上する。焼鈍温度が
700〜750 ℃の場合、最適な幅広げ率における磁気特性
は、750 ℃で焼鈍した場合とほとんど同じであるが、最
適な幅広げ率は焼鈍温度の低下とともに大きくなり、71
0 ℃の場合の最適幅広げ率は170 %となる。700 ℃以下
の焼鈍では、ピークの磁気特性、最適幅広げ率ともにほ
とんど同じであり、コスト面を考慮すると700℃以下で
の熱延板焼鈍は行わない方がよい。
【0049】図5は、板厚を2.3mm から0.35mmに圧延し
た場合の磁気特性曲線の変化を示したものであるが、圧
下代が変化した場合はこの曲線は縦横に移動する。しか
し、磁気特性曲線の相対的な位置関係は変わらない。
【0050】以上のように、化学組成、圧延方法と条件
および熱処理条件を最適化した方法により、磁気特性に
優れた二方向性珪素鋼板を得ることができる。本発明方
法により、コイルを用いる連続圧延が可能となり、工業
的に簡易なプロセスで、生産性を損ねることなく、磁気
特性に優れた二方向性珪素鋼板を製造することができ
る。
【0051】
【実施例】
(実施例1)重量%で、Si:3.2%、C:0.070%、Al:0.0
34%、N:0.008%を含み、残部Feおよび不可避的不純物
からなる珪素鋼スラブを1300℃に加熱し、熱間圧延して
得られた厚さ2.3mm の熱延板コイルに、表1に示す仕様
の遊星圧延機を用い、表2に示す圧延パススケジュール
で幅出し冷間圧延を施した。曲面ダイスの曲面突起部は
表3に示す形状のものを用いた。
【0052】比較例として、上記熱延板コイルから切り
出した鋼板を対象とし、通常の冷間圧延機を用いて、表
2に示す圧延条件で交叉圧延を行った。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】これらの冷延コイルまたは板に、湿水素中
で770 ℃×1時間で脱炭と一次再結晶を兼ねた焼鈍を施
し、次いでMgO を主体とする焼鈍分離材を塗布後、1230
℃×19時間で二次再結晶と純化のための最終焼鈍を行っ
た。
【0057】以上の方法で得られた二方向性珪素鋼板
の、圧延方向および直角方向の磁束密度(ただし、磁化
力 800A/mのとき)を表4に示す。
【0058】
【表4】
【0059】(実施例2)重量%で、Si:2.9%、C:0.0
50%、Al:0.027%、N: 0.0075%を含み、残部Fe及び不
可避的不純物からなる珪素鋼スラブを1250℃に加熱し、
熱間圧延して得られた厚さ2.3 mmの熱延板コイルに、表
5に示す温度条件で熱延板焼鈍を施した。
【0060】ただし、一例は焼鈍なしである。これらの
熱延板コイルに、実施例1と同じ遊星圧延機を用い、表
5に示す圧延パススケジュールで幅出し冷間圧延を施し
た。曲面ダイスの曲面突起部は表6に示す形状のものを
用いた。このときの幅出し冷間圧延の総幅広げ率は、図
5に示す磁気特性曲線に従い、それぞれの焼鈍温度に対
する最適幅広げ率とした。
【0061】比較例として、750 ℃で熱延板焼鈍を施し
たコイルから切り出した板を対象として、通常の冷間圧
延機を用い、表5に示す圧延条件で交叉圧延を行った。
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】このようにして得られた冷延コイルまたは
板に、湿水素中で840 ℃×5分間で脱炭と一次再結晶を
兼ねた焼鈍を施し、次いでMgO を主体とする焼鈍分離材
を塗布後、1200℃×20時間で二次再結晶と純化のための
最終焼鈍を行った。
【0065】以上の方法と条件によって得られた二方向
性珪素鋼板について、実施例1と同じ磁束密度を測定し
た。これらを表7に示す。
【0066】
【表7】
【0067】(実施例3)重量%で、Si:2.6%、C:0.0
30%、Al:0.006%、N: 0.0024%を含み、残部Feおよび
不可避的不純物よりなる珪素鋼スラブを1200℃に加熱
し、熱間圧延して得られた厚さ2.3 mmの熱延板コイルの
一方には熱延板焼鈍を施さず、他方には 750℃で熱延板
焼鈍を施した。これらの熱延板コイルに、実施例1と同
じ遊星圧延機を用い、表8に示す圧延パススケジュール
で幅出し冷間圧延と通常冷間圧延を組み合わせて圧延を
施した。曲面ダイスの曲面突起部は、表9に示す形状の
ものを用いた。
【0068】比較例として、この珪素鋼板薄鋼片(焼鈍
あり、なしともに)の交叉圧延を表8に示す圧延パスス
ケジュールで行った。
【0069】
【表8】
【0070】
【表9】
【0071】これらの冷延コイルに、湿水素中で870 ℃
×3分間で脱炭と一次再結晶を兼ねた焼鈍を施し、次い
でMgO を主体とする焼鈍分離材を塗布後、H2+N2混合雰
囲気中、900 ℃×24時間で二次再結晶と純化のための最
終焼鈍を行った。
【0072】以上の方法と条件によって得られた二方向
性珪素鋼板について、実施例1と同じ磁束密度を測定し
た。これらを表10に示す。また同表に比較例として交叉
圧延を行った場合の結果も併せて示した。
【0073】
【表10】
【0074】(実施例4)重量%で、Si:3.2%、C:0.0
35%、Al:0.023%、N: 0.0025%を含み、残部Feおよ
び不可避的不純物よりなる珪素鋼スラブを1250℃に
加熱し、熱間圧延して得られた厚さ2.3 mmの熱延板コイ
ルに900 ℃で熱延板焼鈍を施した。このコイルを通電加
熱方式を用いて150 ℃に加熱した後、実施例1と同じ遊
星圧延機を用い、表11に示す圧延パススケジュールで幅
出し冷間圧延を施した。曲面ダイスの曲面突起部は、表
12に示す形状のものを用いた。
【0075】比較例として、熱延板焼鈍を施したコイル
から切り出した板を対象として、通電加熱方式を用いて
150 ℃に加熱した後、通常の冷間圧延機を用いて、表11
に示す圧延条件で交叉圧延を行った。
【0076】
【表11】
【0077】
【表12】
【0078】このようにして得られた冷延コイルまたは
板に、湿水素中で870 ℃×3分間で脱炭と一次再結晶を
兼ねた焼鈍を施し、次いで MgOを主体とする焼鈍分離材
を塗布後、1150℃×24時間で二次再結晶と純化のための
焼鈍を行った。
【0079】以上の方法と条件によって得られた二方向
性珪素鋼板について、実施例1と同じ磁束密度を測定し
た。これらを表13に示す。
【0080】
【表13】
【0081】表4、表7、表10および表13から明らかな
ように、本発明方法により、従来の交又圧延法によるも
のと比較し、圧延方向と板幅方向の磁束密度に優れた二
方向性珪素鋼板が得られていることがわかる。
【0082】
【発明の効果】本発明方法によれば、方向性に優れた二
方向性珪素鋼板を安定して製造することができる。この
方法では、交又圧延法を用いることなく、素材コイルを
用いて連続的な圧延と幅方向の圧延を同時に施すことが
でき、本発明方法は、工業的な量産方法として効率的で
優れた製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】幅出し冷間圧延を行う遊星圧延機に用いる曲面
突起部付き曲面ダイスの例を示す外観図である。
【図2】曲面突起部の形状の例を示す平面図である。
【図3】幅出し冷間圧延を施す方法の例を説明する側面
方向の概略断面図である。
【図4】幅出し冷間圧延中の素材鋼板の形状の変化を示
す断面図である。
【図5】製品珪素鋼板の磁気特性に及ぼす熱延板焼鈍温
度と幅広げ率の影響を示す図である。
【符号の説明】
1:珪素鋼板、 2:曲面突起部付き曲面ダ
イス、3:ワークロール、 4:バックアップロ
ール、 5:遊星圧延機、6:バックアップブロック、
7:押し込みロール、 8:ピンチロール、9:巻
き戻しリール、 10:巻き取りリール
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%でSi:0.3〜6.2 %を含有する珪素鋼
    板の熱間圧延板素材に、必要に応じて通常の冷間圧延を
    施した後、曲面突起部付き曲面ダイスを備えた遊星圧延
    機を用いて、幅拡げ率で50〜300 %の幅出し冷間圧延を
    施し、その後一次再結晶を目的とする焼鈍、次いで二次
    再結晶と純化を目的とする最終焼鈍を施すことを特徴と
    する磁気特性の優れた二方向性珪素鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】重量%でSi:0.3〜6.2 %を含有する珪素鋼
    板の熱間圧延板素材に、曲面突起部付き曲面ダイスを備
    えた遊星圧延機を用いて幅拡げ率で50〜300 %の幅出し
    冷間圧延を施した後、通常の冷間圧延を施し、その後一
    次再結晶を目的とする焼鈍、次いで二次再結晶と純化を
    目的とする最終焼鈍を施すことを特徴とする磁気特性の
    優れた二方向性珪素鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】重量%でSi:0.3〜6.2 %を含有する珪素鋼
    板の熱間圧延板素材に、焼鈍を施すことを特徴とする請
    求項1または請求項2記載の磁気特性の優れた二方向性
    珪素鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】珪素鋼板の圧延板素材の幅出し冷間圧延時
    または通常の冷間圧延時に、素材の温度を 100〜200 ℃
    に加熱することを特徴とする請求項1から請求項3まで
    のいずれかに記載の磁気特性に優れた二方向性珪素鋼板
    の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AT510957B1 (de) * 2011-03-10 2012-08-15 Voestalpine Krems Gmbh Verfahren und vorrichtung zum herstellen eines metallischen bandes
EP2584054A4 (en) * 2010-06-18 2017-06-14 JFE Steel Corporation Oriented electromagnetic steel plate production method

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2584054A4 (en) * 2010-06-18 2017-06-14 JFE Steel Corporation Oriented electromagnetic steel plate production method
AT510957B1 (de) * 2011-03-10 2012-08-15 Voestalpine Krems Gmbh Verfahren und vorrichtung zum herstellen eines metallischen bandes
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