JPH07116508B2 - 磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH07116508B2
JPH07116508B2 JP1050061A JP5006189A JPH07116508B2 JP H07116508 B2 JPH07116508 B2 JP H07116508B2 JP 1050061 A JP1050061 A JP 1050061A JP 5006189 A JP5006189 A JP 5006189A JP H07116508 B2 JPH07116508 B2 JP H07116508B2
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昭彦 西本
佳弘 細谷
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日本鋼管株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板、より詳細
にはJISに規定される50A350〜50A270(35A300〜35A23
0)級の鉄損が非常に低く且つ高磁束密度を有するフル
プロセス無方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
電磁鋼板の磁気特性を改善する場合、最終冷間圧延・焼
鈍前のフエライト組織を十分再結晶、粒成長させ、しか
も冷間圧延条件を適正化し、磁気特性に良好な集合組織
を得るため、下記のような技術が開示されている。
(1)熱延時の圧下率を大きくして熱延板板厚を薄く
し、冷間圧延時の圧下率を小さくすることで集合組織を
良好にし、且つまた冷間圧延前に熱延板を焼鈍し、組織
を十分再結晶させるようにした技術(例えば、特開昭59
−9123号) (2)熱延後、冷間圧延により一旦中間サイズにした
後、連続焼鈍によりフエライト組織を再結晶させ、さら
に冷間圧延、焼鈍する技術(例えば、特開昭53−66816
号) 〔発明が解決しようとする課題〕 しかし、上記のうち(1)の方法は、低冷圧率で1度に
0.5mm或いは0.35mmの再終板厚にしなければならないた
め、熱延板板厚を薄くしなければならず、ミル負荷が増
大するために幅方向での板厚精度が低下し、均一な磁気
特性が得られない。
また、(2)の方法は、中間焼鈍に連続焼鈍を採用して
いるため、フエライトの再結晶は完了するものの、MnS,
AlN等の微細析出物の粗大化が図れず、最終焼鈍時の粒
成長性が低下し、鉄損の低下が抑制される。また連続焼
鈍においては、10℃/s以上の急速加熱となるため、熱延
板焼鈍時にランダム核発生と呼ばれる再結晶反応とな
り、この結果、中間焼鈍時の集合組織がランダム化し、
最終冷間圧延後の焼鈍段階で磁気特性に良好な集合組織
が得られ難い等の問題がある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明はこのような従来の問題に鑑みなされたもので、
低鉄損・高磁束密度の無方向性電磁鋼板を製造するた
め、2回冷圧法による製造において冷圧条件を適正化
し、且つ中間焼鈍時の集合組織制御をすることにより、
最終焼鈍後に磁気特性に良好な集合組織を形成させるよ
うにしたものである。
すなわち本発明は、C:0.0050wt%以下、Si:1.0〜4.0wt
%、Al:0.1〜2.0wt%、残部Feおよび不可避不純物から
なる電磁鋼スラブを熱間圧延して650℃以下で巻取り、
酸洗後、50〜70%の圧延率で冷間圧延して中間厚さと
し、続く中間焼鈍を、加熱速度:40〜200℃/h、均熱温度
T:750〜900℃にて均熱時間t(h)が20時間以下で且つ
均熱温度Tとの関係で、 T−128.5log t+811.3 を満足するようにして実施し、さらに60〜70%圧延率で
冷間圧延して最終板厚とした後、800〜1100℃で1〜5
分の連続焼鈍を行うようにしたものである。
〔作用〕
以下、本発明の詳細をその限定理由とともに説明する。
本発明では圧延の対象とする電磁鋼スラブの組成をC:0.
0050wt%以下、Si:1.0〜4.0wt%、Al:0.1〜2.0wt%と規
定する。
Cは0.0050wt%を超えると磁気特性が劣化し、また磁気
時効上も問題を生じるため、0.0050wt%以下とする。
Siは、1.0wt%未満であると固有抵抗の減少により鉄損
値の向上が少なく、一方、4.0wt%を超えると、冷間圧
延性が極端に悪くなり、このため1.0〜4.0wt%の範囲と
する。
Alは、0.1wt%未満では製鋼段階で残存したNがAlとと
もに微細に析出するため、最終焼鈍時に良好な粒成長性
が得られず、磁気特性が劣化する。Alが0.1wt%以上で
あれば、たとえ残存Nが存在したとしても、AlN粒子が
粗大となるため特性の劣化を防ぐことができる。しか
し、Alが2.0wt%を超えると冷延性が悪くなる。このた
めAlは0.1〜2.0wt%の範囲とする。
なお、Nは中間焼鈍段階におけるAlN粒子の析出制御に
よる(110)〔001〕成分の再結晶粒(Goss粒)の優先核
発生反応を促すために0.0010wt%以上が必要であるが、
0.0050wt%を超えると、AlN粒子の核発生数が増加する
ため粒成長性を著しく低下させるので、0.0050wt%以下
が望ましい。
以上のような成分組成の電磁鋼スラブは熱間圧延された
後、650℃で巻取られる。
ここで、巻取温度が650℃を超えると表層スケールが厚
く生成するため酸洗性が低下し、完全な脱スケールが難
しくなる。残存したスケールは、中間焼鈍時に鋼板表面
からの窒化反応を引き起し、以降の焼鈍での粒成長を抑
え、鉄損の低下を抑制してしまう。また、650℃以上で
巻取ると、巻取後の冷却段階でAlN粒子の析出が完了し
てしまう。本発明においては、中間焼鈍時の加熱段階で
のAlN粒子の析出による(110)〔001〕成分の再結粒(G
oss粒)の優先核反応が重要であり、このため650℃以下
で巻取り、中間焼鈍前の熱延板においてAlN粒子をある
程度固溶状態にしておかなければならない。
熱間圧延された鋼板には、酸洗後、中間焼鈍を挾む2回
冷圧が施される。
中間焼鈍におけるGoss粒の優先核発生反応においては、
前述のようにAlN粒子の析出反応とフエライト組織の再
結晶反応のタイミングが重要であり、これには加熱速度
が重要な鍵を握つている。すなわち、連続焼鈍のように
加熱速度が大きいと、急激に再結晶反応が起るため、そ
の集合組織はランダム化してしまう。一方、加熱速度が
小さいと、高Si鋼の場合、AlN析出温度が再結晶温度よ
りも低く、先にAlN粒子が凝集粗大化してしまい、Goss
粒の核発生場所が激減してしまう。第1図は中間焼鈍時
の加熱速度が仕上焼鈍後の鋼板の磁気特性に及ぼす影響
を示したもので、中間焼鈍時のGossの発達を促し、磁気
特性を向上させるためには、40〜200℃/hの加熱速度と
する必要がある。
また、中間焼鈍は均熱温度Tが750〜900℃、均熱時間t
(h)が20時間以下で且つ均熱温度Tとの関係で、 T−128.5log t+811.3 ……(1) を満すようにして行われる。第2図は磁気特性との関係
で適正な均熱温度および均熱時間の範囲を調べたもの
で、均熱温度が750℃未満や均熱温度Tが均熱時間tと
の関係で上記(1)式を満足しない範囲ではフェライト
組織が十分再結晶せず、一方、均熱温度が900℃超や均
熱時間が20時間の範囲では、フエライト粒の粒成長が大
きく、粒が粗大化して冷間圧延時にリジング状の表面欠
陥が発生し、いずれの場合も磁気特性が悪い。
以上のような中間焼鈍条件を満足する焼鈍方法としては
種々のプロセスを採ることができるが、上記条件を考慮
するとコイル状焼鈍(バツチ焼鈍、UAS焼鈍等を含
む)、特にコイル長手方向の均一加熱という観点から、
オープンコイル焼鈍が好ましい。また焼鈍は窒化を防止
するという観点からH2濃度の高い雰囲気で行うことが望
ましく、特に100%H2または100%Ar中での焼鈍が好まし
い。
中間焼鈍を挾んで行われる1次冷圧および2次冷圧はそ
れぞれ50〜70%、60〜70%の圧延率で実施される。第3
図は1次冷圧および2次冷圧の圧延率が仕上焼鈍後の鋼
板の磁気特性に及ぼす影響を調べたもので、各冷圧時の
圧延率を上記範囲とすることによりB50(T):1.70以上
の高い硫束密度が得られている。一方、第4図は中間焼
鈍の加熱速度が本発明の範囲を超えた場合において、第
3図と同様の影響を調べたもので、この場合には、中間
焼鈍段階での集合組織制御がなされないため、圧延率に
かかわらずB50(T):1.68以下の磁束密度しか得られて
いない。
2回冷圧により最終板厚まで圧延された鋼板は、800〜1
100℃で1〜5分間連続焼鈍される。この仕上焼鈍を箱
焼鈍で実施すると焼鈍時にコイルに巻ぐせがついてしま
い、これを矯正すると鋼板に歪が導入されてしまい、磁
気特性が劣化する。また、焼鈍時間については、実機ラ
インにおける5分以上の加熱はラインスピードを下げね
ばならず不経済であり、一方、1分未満では再結晶に不
充分である。また、加熱温度については、800℃未満で
は1〜5分の短時間焼鈍においては十分粒成長ができ
ず、特性の向上が難しい。一方、加熱温度が1100℃を超
えると、フエライト粒が大きくなり過ぎ、逆に鉄損が増
大してしまう。
〔実施例〕
実施例 1. 第1表に示される組成のスラブを1150℃に加熱して仕上
温度790℃で熱間圧延後610℃で巻取り、酸洗した後1次
冷圧し、次いで75%H2−25%N2(露点−20℃)の雰囲気
中で加熱速度100℃/h、850℃×3hのオープンコイル焼鈍
を行つた後、2次冷圧し、その後25%H2−75%N2(露点
−20℃)の雰囲気中で950℃×2minの仕上焼鈍を実施し
た。得られた鋼板の磁気特性を冷圧率等とともに第2表
に示す。
実施例 2. 第1表中鋼Aのスラブを1150℃に加熱して仕上温度790
℃で板厚3.5mmに熱間圧延後610℃で巻取り、酸洗した後
板厚1.4mm(圧下率60%)に冷圧し、種々の条件にて中
間焼鈍した後、板厚0.5mm(圧下率54%)に冷圧し、次
いで25%H2−75%N2(露点−20℃)の雰囲気中で950℃
×2minの仕上焼鈍を実施した。なお、中間焼鈍雰囲気は
75%H2−25%N2,露点−20℃であつた。得られた鋼板の
磁気特性を中間焼鈍条件とともに第3表に示す。
実施例 3. 第1表中の鋼Aのスラブを1150℃に加熱して仕上温度79
0℃で板厚3.5mmに熱間圧延後610℃で巻取り、酸洗した
後、板厚1.4mm(圧下率60%)に冷圧し、次いで75%H2
−25N2(露点−20℃)の雰囲気中で中間焼鈍を行い、そ
の後板厚0.5mmに冷圧(圧下率54%)し、さらに25%H2
−75%N2(露点−20℃)の雰囲気中で第4表に示す条件
で仕上焼鈍を実施した。得られた鋼板の磁気特性を第4
表に合せて示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は中間焼鈍時の加熱速度が磁気特性に及ぼす影響
を示したものである。第2図は中間焼鈍時の均熱時間と
均熱温度が磁気特性に及ぼす影響を示したものである。
第3図および第4図は1次冷圧および2次冷圧の各圧下
率が磁気特性に及ぼす影響を示したもので、第3図は中
間焼鈍を本発明にしたがつて実施した場合、第4図は中
間焼鈍を本発明にしたがわないで実施した場合をそれぞ
れ示している。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.0050wt%以下、Si:1.0〜4.0wt%、Al:
    0.1〜2.0wt%、残部Feおよび不可避不純物からなる電磁
    鋼スラブを熱間圧延して650℃以下で巻取り、酸洗後、5
    0〜70%の圧延率で冷間圧延して中間厚さとし、続く中
    間焼鈍を、加熱速度:40〜200℃/h、均熱温度T:750〜900
    ℃にて、均熱時間t(h)が20時間以下で且つ均熱温度
    Tとの関係で、 T−128.5log t+811.3 を満足するようにして実施し、さらに60〜70%圧延率で
    冷間圧延して最終板厚とした後、800〜1100℃で1〜5
    分の連続焼鈍を行うことを特徴とする磁気特性の優れた
    無方向性電磁鋼板の製造方法。
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