JP2574583B2 - 鉄損の良好な方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

鉄損の良好な方向性けい素鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、変圧器その他の電気
機器の鉄心などの用途に用いて好適な鉄損の良好な方向
性けい素鋼の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】方向性けい素鋼の鉄損を低減する方法と
しては、 Si含有量を高める、 二次再結晶粒を微細化する、 不純物含有量を低減する、 二次再結晶粒の方位を<100> に揃える などの方法が挙げられる。そのうちSi含有量を高める方
法は、冷間圧延性が著しく損なわれることから工業的な
生産方法としては適合しない。
【0003】この点、二次再結晶粒を微細化する方法、
中でも冷間圧延に工夫を加えて低鉄損を達成する方法に
ついては、特に多くの方法が開示されている。代表的な
ものとしては、特公昭50-26493号公報に開示されている
圧延時の温度を50〜350 ℃とする方法、特公昭54-13846
号公報、特公昭56−3892号公報に開示されている冷延パ
ス間で50〜350 ℃の温度範囲の熱効果を与える方法及び
特開昭52−202024号公報に開示されている熱延板焼鈍時
における急冷と冷延パス間における50〜500 ℃間での保
持とを組合せた方法などがある。
【0004】これらの技術に共通して言えることは、圧
延時の熱処理によってC,Nを圧延時に導入された転位
に固着させる時効処理の効果を利用しているということ
である。そのために、時効硬化により冷間圧延が困難に
なったり、さらには圧延後の板面粗度が著しく悪化し磁
気特性の向上が不十分になるなど、まだ解決すべき問題
点が多い。
【0005】その他鉄損を低減させる方法として、特開
昭54-71028号公報、特公昭58-55211号公報には溝付ロー
ルにて圧延する方法が、また特公昭58-33296号公報には
ロール粗度が0.20〜2μm であるダルロールを用いて冷
延を行う方法が、それぞれ開示されている。これらの技
術は溝付ロール又はダルロールにて圧延した局所的部分
の変形応力を変化させて一次再結晶集合組織を改善し、
低鉄損を得るという方法であるが、ロールの寿命が非常
に短いことから生産性が阻害されることの他、板面粗度
の劣化が著しいため最終パスを平滑ロールで圧延しても
板面粗度の劣化を引き起こし充分な磁気特性の向上が望
めないという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を有利に解決するもので、生産性を阻害することなく
二次再結晶粒の効果的な微細化を図り、もって低鉄損を
達成した方向性けい素鋼板の有利な製造方法を提案する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】さて発明者らは、二次再
結晶粒の微細化のために、冷間圧延について綿密な検討
を加えたところ、パス間時効温度と圧延温度を適宜に制
御することにより、所期した目的が有利に達成されるこ
との知見を得た。この発明は、上記の知見に立脚するも
のである。
【0008】すなわちこの発明は、C:0.02〜0.10wt%
(以下単に%で示す)、Si:2.0 〜4.5 %と、インヒビ
ター形成元素としてMn:0.02〜0.20%、S及びSeのうち
少なくとも一種:0.010 〜0.040 %を含有するけい素鋼
スラブを、熱間圧延後、1回又は中間焼鈍を含む2回以
上の冷間圧延を施して最終板厚としたのち、脱炭焼鈍
し、ついで鋼板表面に MgOを主成分とする焼鈍分離剤を
塗布してから、二次再結晶焼鈍及び純化焼鈍を施す一連
の工程からなる方向性けい素鋼板の製造方法において、
最終冷延工程のパス間で少なくとも1回、 150〜500 ℃
の温度範囲に30秒以上3時間以下保持する熱処理を施し
た後、1パス以上を 100〜250 ℃で圧延することからな
る鉄損の良好な方向性けい素鋼板の製造方法(第1発
明)である。
【0009】またこの発明は、C:0.02〜0.10%、Si:
2.0 〜4.5 %と、インヒビター形成元素としてMn:0.02
〜0.20%、S及びSeのうち少なくとも一種:0.010 〜0.
040%を含有するけい素鋼スラブを、熱間圧延後、1回
又は中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を施して最終板
厚としたのち、脱炭焼鈍し、ついで鋼板表面に MgOを主
成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結晶焼鈍
及び純化焼鈍を施す一連の工程からなる方向性けい素鋼
板の製造方法において、最終冷延前の中間焼鈍後の冷却
を、 800〜100 ℃間の冷却速度が20℃/s以上の条件下
に行うと共に、最終冷延工程のパス間で少なくとも1
回、 150〜500 ℃の温度範囲に30秒以上3時間以下保持
する熱処理を施した後、1パス以上を 100〜250 ℃で圧
延することからなる鉄損の良好な方向性けい素鋼板の製
造方法(第2発明)である。上記の各発明において、イ
ンヒビター形成元素として、MnとS及び/又はSeの他、
Al:0.010 〜0.065 %とN:0.0010〜0.0150%を含有さ
せることが好ましい。
【0010】以下、この発明の基礎になった実験結果に
ついて説明する。C:0.069 %、Si:3.35%、Mn:0.07
8 %、Se:0.025 %、Sb:0.026 %、Al:0.025 %及び
N:0.0088%を含むスラブを、加熱後、2.2 mm厚の熱延
板としたのち、1000℃, 30秒の熱延板焼鈍を行ってか
ら、冷間圧延で1.5 mm厚の中間厚としたのち、1100℃,
60秒の中間焼鈍後、冷間圧延により0.75mmの厚さとし
た。ついで 300℃, 2分の連続熱処理後、種々の温度で
冷間圧延を施して0.22mmの最終仕上げ厚とした。また比
較のために冷間圧延途中の熱処理を省略したコイルを作
製した。その後、湿潤水素中で 840℃, 2分間の脱炭焼
鈍を施したのち、 MgOに10%のTiO2を含有させた焼鈍分
離剤を塗布してから、1200℃,5時間の仕上げ焼鈍を施
した。かくして得られた製品板の磁気特性と圧延温度と
の関係について調べた結果を図1に示す。
【0011】同図より明らかなように、冷間圧延途中に
300℃の熱処理を施し、かつ 100〜250 ℃の温度で冷間
圧延を行ったときのみ、良好な鉄損が得られている。こ
れに対し、熱処理を行わなかった場合には、圧延温度が
300℃以上になると鉄損の向上がみられるけれども、そ
の鉄損特性改善効果は熱処理を行った場合に比べるとは
るかに低い。また圧延時の温度が 300℃以上になると材
料の硬度が増し、圧延時のスピードが上げられず、しか
も板切れトラブルが多発した。
【0012】次に図2に、圧延途中の板を用いて 350℃
までの温度で引張試験を行い、引張強度を測定した結果
を示す。圧延時の温度が 250℃までは常温よりも強度が
下がり、むしろ軟化しているが、300 ℃以上で硬度が急
激に上昇する現象が認められた。
【0013】このようにこの発明は、冷間圧延途中で熱
処理を施し、かつ100〜250 ℃の温度で圧延することに
より鉄損が著しく向上するという全く新しい知見に基づ
いて完成されたものである。ここにこの発明によって鉄
損が向上する理由については、必ずしも明確に解明され
たわけではないが、次のとおりと考えられる。パス間の
熱処理は静的な時効処理であり、CやNが拡散して転位
へ固着するものと思われる。そして静的時効処理を施し
た材料を、軟化する温度( 100〜250℃) で圧延した場
合に鉄損改善の効果が大きく現れることについては以下
のように考えている。すなわち既に静的時効によりC又
はNにより固着されている転位は動きにくく、しかも圧
延中に移動してきた転位がさらにトラップされるため、
その転位の周囲の変形は容易ではなくなる。これに対
し、静的時効後に転位が存在していない部分にも圧延開
始時には応力により転位が生成することになるが、この
新たに生成した転位はCやNによって固着されてなく、
しかも 100〜250 ℃程度の温度では転位の移動が熱的に
活性化するために極めて移動が容易となる。このよう
に、静的時効後に固着された転位と圧延開始時に新たに
生成した転位の移動度が大きく異なるため不均一変形
し、鋼板内で活動するすべり系が変化して一次再結晶組
織中のゴス組織が増え、その結果、二次再結晶粒が微細
化し鉄損が向上するものと考えている。
【0014】なお 250℃以上になると硬度が上昇する現
象は、転位の移動に対し、CやNの拡散速度が大きくな
り転位に追随できるようになるために、新たに生成する
転位も固着されるようになるからと考えられる。そのた
め硬化する温度で圧延した場合には、生成した転位にC
やNが速やかに拡散してしまい、時効処理時に固着され
た転位との間に移動度の差がなくなるために、変形の不
均一さはかえって小さくなり、ひいては鉄損向上効果は
小さくなるものと思われる。
【0015】このようにこの発明に従い、静的時効処理
を施したのちに鋼板の軟化温度で圧延すると、時効処理
で生成した転位と圧延開始時の軟化温度で生成した転位
の移動度等に違いが生じ、その結果再結晶粒が微細化さ
れて、著しく鉄損が向上すると考えている。またこの発
明法によれば、軟化温度で圧延するため、実操業上でも
従来の単なる時効処理技術に比べると、圧延性に極めて
優れ生産性が高い技術と言える。
【0016】
【作用】この発明で対象とする素材は、少なくとも、
C:0.02〜0.10%、Si:2.0 〜4.5 %と、インヒビター
形成元素としてMn:0.02〜0.20%、S及び/又はSe:0.
010 〜0.040 %を含有していれば良く、その他の成分に
ついては必要に応じて適宜添加することができる。
【0017】ここに各成分を上記の範囲に限定した理由
は次のとおりである。Siは、製品の電気抵抗を高め渦電
流損を低減させる上で必要な元素であるが、2.0 %に満
たないと最終仕上げ焼鈍中にα‐γ変態によって結晶方
位が損なわれ、一方 4.5%を超えると冷延性に問題が生
じるので、2.0〜4.5 %に限定した。Cは、0.02未満で
は良好な一次再結晶組織が得られず、一方0.10%を超え
ると脱炭不良となり磁気特性が劣化するので、0.02〜0.
10%とする。MnとSe及びSはインヒビターとして機能す
るものであるが、Mnが0.02%未満、あるいはS又は/及
びSeが0.010 %未満ではインヒビター機能が不十分であ
り、一方Mnが0.20%超, S又は/及びSeが0.040 %超で
はスラブ加熱温度に要する温度が高すぎて実用的でない
ので、Mnは0.02〜0.20%、S又は/及びSeは 0.010%〜
0.040 %とする。
【0018】その他、インヒビターとして公知の AlNを
利用することができる。この AlNを利用する場合、良好
な鉄損を得るためには、Al:0.010 〜0.065 %、N:0.
0010〜0.0150%が必要である。というのはこれを超える
量では AlNが粗大化して抑制力を失い、一方これ未満で
は AlNの量が不足し、所望のインヒビター効果が期待で
きないからである。また磁束密度を向上させるためにS
b、Cuを添加させることは可能である。しかしながらSb
が0.20%を超えると脱炭性が悪くなり、一方0.01%未満
では効果がないので0.01〜0.20%が好ましい。Cuは、0.
20%を超えると酸洗性が悪化し、一方0.01%未満では効
果がないので0.01〜0.20%が好ましい。
【0019】さらに表面性状を完全するためにMoを添加
できるが、0.05%を超えると脱炭性が悪くなり、一方0.
01%未満では効果がないので、添加する場合には0.01〜
0.05%が好ましい。またさらに鉄損を向上させるために
Sn、Ge、Niを添加することができる。Snは0.30%を超え
ると脆化し、0.01%未満では効果がないので0.01〜0.30
%が好ましい。Geは0.30%を超えると良好な一次再結晶
組織が得られず、一方 0.005%未満では効果がないので
0.005〜0.30%が好ましい。Niは0.20%を超えると熱間
強度が低下し、0.01%未満では効果がないので0.01〜0.
20%が好ましい。
【0020】次に、この発明に従う製造方法について具
体的に説明する。この発明の対象としている方向性けい
素鋼の製造においては、従来用いられている製鋼法で得
られた溶鋼を連続鋳造法又は造塊法で鋳造し、必要に応
じて分塊圧延工程を挟んでスラブとし、ついだ熱間圧延
をし、必要に応じて熱延板焼鈍を行った後、1回又は中
間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延
板とする。
【0021】さてこの発明では、上記の冷間圧延工程
中、とくに最終冷延途中のパス間で熱処理を施すことが
重要である。ここに熱処理温度は 150〜500 ℃で30秒〜
3時間とする。というのは熱処理温度が 150℃に満たな
いと鉄損の向上効果に乏しく、逆に 500℃を超えると磁
束密度が劣化するからである。また冷間圧延パス間の熱
処理時間は、高温ほど短くて良いが、30秒未満では鉄損
の向上効果に乏しく、一方低温ほど長時間を必要とする
が、3時間を超えると磁束密度が劣化する。熱処理方法
としては、コイル全体を保熱炉にて保熱する方式、圧延
時の巻取り位置にてバーナー等で加熱する方式、連続焼
鈍ラインを通板させる方式のいずれでも構わない。熱処
理時の板厚は特に限定しないけれども、あまりに最終板
厚に近い場合には効果は小さく、また逆に中間焼鈍直後
でも効果は小さいので、好適には総圧下量の30〜70%の
板厚の時に熱処理を施すことが望ましい。また熱処理は
1回でもよいがパス毎に行う方が一層有利である。
【0022】また熱処理後の冷間圧延において、少なく
とも1パスの圧延温度を 100〜250℃の狭い温度域に制
御する必要がある。温度を確保する方法としては、パス
間の熱処理の直後に温度が下がる前に圧延する方法、ま
たは圧延機の出側の冷却油を切り、圧延時の加工発熱の
みで温度を確保する方法等が好適である。ここに圧延温
度が 100℃未満に満たないと鉄損の改善効果に乏しく、
一方 250℃を超えると硬度が著しく上昇し冷間圧延が困
難になるだけでなく、圧延油の焼き付きにより表面性状
が悪化し磁気特性も悪化するので、 100〜250 ℃の範囲
に限定したのである。
【0023】さらに最終冷延前の焼鈍後における冷却
を、急冷処理とすることにより、この発明の圧延による
鉄損改善効果は増幅される。ここに冷却速度が20℃/s未
満では鉄損の改善効果が不十分なので、急冷処理を行う
場合の冷却速度は20℃/s以上とする必要がある。
【0024】上記の最終冷延に続き脱炭焼鈍を施し、Mg
O を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、ついで1200℃程
度の温度で最終仕上げ焼鈍を行い、必要に応じ張力を付
与するコーチングを施して製品とする。
【0025】
【実施例】
実施例1 C:0.049 %,Si:3.33%,Mn:0.075%,Se:0.020
%及びSb:0.024 %を含み、残部実質的にFeからなるけ
い素鋼スラブを、1430℃で30分間加熱後、熱間圧延して
2.0 mm厚の熱延板とした。ついで1000℃, 1分間の焼鈍
後、0.60mmまで冷延したのち、 950℃, 2分間の中間焼
鈍を施し、さらに冷延を、パス間にコイル全体での保熱
炉による熱処理を含む表1に示される圧延条件で実施し
て、最終板厚:0.20mmに仕上げた。その後、 820℃, 2
分間の脱炭焼鈍を施したのち、 MgOを塗布してから、12
00℃, 5時間の仕上げ焼鈍を施した。かくして得られた
製品の磁気特性について調べた結果を表1に併記する。
【0026】
【表1】
【0027】同表より明らかなように、この発明に従
い、最終冷延のパス間において適正温度で熱処理を施し
たのち、少なくとも1パスを 100〜250 ℃の温度で圧延
した場合に、とりわけ良好な磁気特性が得られている。
【0028】実施例2 C:0.069 %,Si:3.35%,Mn:0.069%,S:0.023
%,Al:0.021 %,N:0.0093%,Cu:0.13%及びSb:
0.027 %を含み、残部実質的にFeからなるけい素鋼スラ
ブを、1430℃, 30分加熱後、熱間圧延して2.2 mm厚の熱
延板とした後、1000℃, 1分間焼鈍してから、1.5 mmま
で冷延し、ついで1100℃, 2分間の中間焼鈍後、表2に
示す速度で 100℃まで冷却し、さらに0.23mm厚まで表2
に表す圧延条件で4パスにて冷延し、最終板厚に仕上げ
た。その後、 840℃, 2分間の脱炭焼鈍を施したのち、
MgO を塗布してから、1200℃, 5時間の仕上げ焼鈍を施
した。かくして得られた製品の磁気特性について調べた
結果を表2に併記する。
【0029】
【表2】
【0030】同表より明らかなように、中間焼鈍後、20
℃/s以上速度で冷却することにより、磁気特性の向上が
図られている。
【0031】実施例3 表3に示される成分組成になるけい素鋼スラブを、1430
℃, 30分間加熱後、熱間圧延により2.2 mm厚の熱延板と
したのち、1000℃, 1分間の焼鈍を施し、ついで1.5 mm
厚まで冷延したのち、1100℃, 2分間の中間焼鈍後、40
℃/sの速度で冷却した。さらに冷間圧延にて0.75mm厚と
したのち、 300℃, 2分の連続焼鈍を施してから、圧延
時に出側の冷却油を切ることによって圧延時の温度を 1
30〜180℃の範囲に制御して、4パスにて0.23mmの最終
板厚に仕上げた。その後、 840℃, 2分間の脱炭焼鈍を
施し、MgO を塗布してから、1200℃, 5時間の仕上げ焼
鈍を施した。かくして得られた製品の磁気特性について
調べた結果を表3に併記する。
【0032】
【表3】
【0033】同表より明らかなように、、いずれの成分
系でも優れた磁気特性が得られている。
【0034】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、生産性を損
なうことなしに、二次再結晶粒を効果的に微細化して、
磁気特性とくに鉄損特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】最終冷延工程における圧延温度との関係を示し
たグラフである。
【図2】圧延途中の板の引張試験における試験温度と引
張強度との関係を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福田 文二郎 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社 技術研究本部内 (72)発明者 山田 政孝 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通2番88号 川崎製鉄株式会社 阪神製造所内

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.02〜0.10wt%、Si:2.0 〜4.5 wt
    %と、インヒビター形成元素としてMn:0.02〜0.20wt
    %、S及びSeのうち少なくとも一種:0.010 〜0.040 wt
    %を含有するけい素鋼スラブを、熱間圧延後、1回又は
    中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚と
    したのち、脱炭焼鈍し、ついで鋼板表面に MgOを主成分
    とする焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結晶焼鈍及び
    純化焼鈍を施す一連の工程からなる方向性けい素鋼板の
    製造方法において、 最終冷延工程のパス間で少なくとも1回、 150〜500 ℃
    の温度範囲に30秒以上3時間以下保持する熱処理を施し
    た後、1パス以上を 100〜250 ℃で圧延することを特徴
    とする鉄損の良好な方向性けい素鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 C:0.02〜0.10wt%、Si:2.0 〜4.5 wt
    %と、インヒビター形成元素としてMn:0.02〜0.20wt
    %、S及びSeのうち少なくとも一種:0.010 〜0.040 wt
    %を含有するけい素鋼スラブを、熱間圧延後、1回又は
    中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚と
    したのち、脱炭焼鈍し、ついで鋼板表面に MgOを主成分
    とする焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結晶焼鈍及び
    純化焼鈍を施す一連の工程からなる方向性けい素鋼板の
    製造方法において、 最終冷延前の中間焼鈍後の冷却を、 800〜100 ℃間の冷
    却速度が20℃/s以上の条件下に行うと共に、最終冷延
    工程のパス間で少なくとも1回、 150〜500 ℃の温度範
    囲に30秒以上3時間以下保持する熱処理を施した後、1
    パス以上を 100〜250 ℃で圧延することを特徴とする鉄
    損の良好な方向性けい素鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、けい素鋼ス
    ラブが、インヒビター形成元素としてMnとS及び/又は
    Seの他、Al:0.010 〜0.065 wt%とN:0.0010〜0.0150
    wt%を含有する組成になる鉄損の良好な方向性けい素鋼
    板の製造方法。
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