JP2612074B2 - 磁気特性及び表面性状の優れた一方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性及び表面性状の優れた一方向性けい素鋼板の製造方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、圧延方向に優れた電磁特性を有する一方
向性けい素鋼板の製造方法に関するものである。
(従来の技術) 方向性けい素鋼板は周知のごとく、変圧器その他の電
気機器の鉄心材料として使用され、板面に{110}面、
圧延方向に〈001〉軸が揃った2次再結晶粒によって構
成されている。このような結晶方位の2次再結晶粒を発
達させるためには、インヒビターとよばれる微細なMnS,
MnSe,AlN等のような析出物を鋼中に分散させ、高温仕上
焼鈍中に他方位の結晶粒成長を効果的に抑制することが
必要である。そのためにはインヒビター分散形態をコン
トロールすることが有利で、このコントロールは熱間圧
延に先立つスラブ加熱中にこれら析出物を一旦固溶さ
せ、この後適当な冷却パターンの熱間圧延を施すことに
より行われる。熱間圧延の役割は、スラブ鋳造組織を再
結晶により微細化し、2次再結晶に最適な集合組織を得
ることにある。
そこで従来はインヒビターの固溶あるいは組織微細化
を個々に達成することに主眼が置かれていた。
例えばインヒビターの固溶に関して特開昭63−10911
号公報には、スラブ表面温度を1420〜1495℃の温度域に
5〜60分保持するに際し、1320℃以上において、1420〜
1495℃の温度域に達するまで8℃/分以上の昇温速度で
昇温することにより、表面欠陥が少なく特性良好な一方
向性けい素鋼板が得られるとの開示がある。この方法に
より確かにインヒビターの完全固溶は達成でき、原理的
にはスラブ表面粒の粗大化も抑制され表面性状も改善で
きるが、しかしスラブのような重量物に対して均一にこ
のような条件を達成することは実際には困難であり、特
にスラブ全長にわたって結晶粒粗大化を完全に抑制する
ことは不可能で、組織の均一性を保証するためには熱間
圧延時に何らかの結晶粒微細化の処置を加えることが必
要である。結晶粒微細化の処置を加えることが必要であ
る。
一方組織微細化に関しては、例えば特開昭54−120214
号公報に開示された1190〜960℃での再結晶高圧下圧延
による方法、特開昭55−119126号公報で開示された、12
30〜960℃でγ相を3%以上含んだ状態での30%以上の
高圧下圧延による方法、特開昭57−11614号公報で開示
された、粗圧延開始温度を1250℃以下にする方法および
特開昭59−93828号公報で開示された、1050〜1200℃で
歪速度15s-1以下、圧下率を15%/パス以上とする方法
などが既に知られている。これらはいずれも1200℃付近
の温度域で、高圧下圧延を行って、組織微細化をはかる
という点で共通している。すなわち、これらはいずれも
「鉄と鋼」67(1981)S1200に発表されている再結晶限
界に関する知見あるいはそれと同一の技術思想に基づい
ている。第3図はこの知見を示すものである。この図の
示すところは、高温での圧延は再結晶には全く寄与せ
ず、低温の再結晶域での大きな歪付加のみが再結晶に寄
与する点にある。すなわち高温加熱したスラブでも再結
晶による組織微細化を狙うためには、1250℃以下に冷却
後圧延することが必須であることを示している。上記の
技術における加熱に関しては、いずれの場合も1250℃以
上としており、上限は特に規定していない。長時間炉内
に保持することにより、インヒビターを固溶して、スラ
ブ粒成長はある程度容認し、熱間圧延により微細粒化す
るという点が共通している。
しかしながらインヒビターを完全固溶させるためにス
ラブを高温加熱するとホットストリップミル上に冷却装
置が必要であり、また低温の熱間圧延のためにミルパワ
ーが余計に必要となるなど、省エネと高生産性を目的と
する、ホットストリップミルの思想と矛盾する。また低
温圧延の効果に関しても必ずしも明確でなかった。
つまりこれらの方法を実工程に適用するには、得られ
る効果に比べて余りにも問題が多かった。
(発明が解決しようとする課題) そこでこの発明の目的は、ホットストリップミルの量
産性という長所を最大限に生かし、さらにインヒビター
完全固溶及び表面性状改善に有利な高温加熱を適用した
条件下においても、完全微細均一な組織が確実に得られ
る、均一かつ優れた磁気特性及び良好な表面を有する方
向性けい素鋼板の製造方法を提案することにある。
(課題を解決するための手段) この発明は、含けい素鋼スラブを1380℃以上の高温度
に加熱した後、熱間圧延を施し、その後1回あるいは中
間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ
たのち、脱炭焼鈍を施し、次いで鋼板表面に焼鈍分離剤
を塗布してから、仕上焼鈍を施す一連の工程からなる方
向性けい素鋼板の製造方法において、上記熱間圧延工程
の粗圧延における1パス目を1350℃以上のα相温度域で
圧下率3%以上20%未満で行い、次いで粗圧延における
2パス目を圧延温度Tが1350℃以上のα相域でかつ圧下
率Rが次式 60≧R(%)≧−0.2T+300 に従う範囲で行うことを特徴とする磁気特性及び表面性
状の優れた方向性けい素鋼板の製造方法である。
(作 用) 発明者らは高温域での再結晶挙動について多くの研究
を行った結果、従来は歪回復域であるとして、全く検討
の対象とされなかった高温域でも、歪量が十分大きけれ
ば再結晶が十分に進行することを新たに見いだした。
この知見についてはこれまで全く報告はない。という
のは工業的には高温加熱が非常に難しかったからであ
り、実験室的に検討する場合でも、高温圧延を行うのに
不可欠となる高温加熱はスケール生成や実験炉の補修な
どの問題がありその実施は非常に困難であった。また普
通鋼については多数の実験報告があるが、1200℃以上の
高温域は動的復旧領域であり、回復または動的再結晶が
主であるとされ、それ以上の検討が十分なされていなか
った。特に方向性けい素鋼の場合は3wt%(以下単に%
と示す。)程度のSiを含むのでのほとんどがα相であ
り、α相は回復しやすいとされているため、動的再結晶
はおこらないであろうということから、全く検討の対象
とされていなかった。
しかし本発明者らは上記の通説に疑問をもち、超高温
加熱が可能でかつスケールの影響の少ない高温炉を開発
し、実験を行い前述のような結果を初めて見出したので
ある。
次にこの発明を完成するに至った実験結果について説
明する。
C:0.04%、Si:3.36%、Mn:0.05%、Se:0.022%を含み
残部実質的にFeからなるけい素鋼スラブを1350℃で30分
間加熱し、所定の温度に到達した時点で1パスの圧延を
施し、次いで水冷した後、鋼板の断面組織を観察し再結
晶率を測定した。圧延温度及び圧下率を種々に変更して
得られた結果を、第1図に示す。
同図から、従来の知見では全く再結晶しないとされて
いた高温域、例えば1350℃でも、30%以上の圧下率があ
れば再結晶が進むことがわかる。この現象は次のように
理解される。
まず断面組織の観察によれば、圧延後の未再結晶粒内
には粗いネットワーク状の転位組織で構成されるサブグ
レインが形成されているのが確認された。したがって、
回復は圧延後のかなり速い時点で終了していると推定さ
れる。結晶粒間でこのネットワークの粗さ、すなわち転
位密度の差が再結晶の駆動力となり、高温では粒界が熱
活性化されて移動可能となり、その移動した粒界がある
程度以上の曲率をもつとそれは再結晶核となりうる。こ
うした現象が起こるため、従来は動的再結晶を起こすほ
どの歪はたまらないとされていた高温域でも、実際は再
結晶が可能であることが判明した。ただしこの再結晶挙
動は、上述したように未再結晶域の転位密度が低いた
め、その成長の駆動力は非常に小さい。しかし粒界の易
動度が非常に大きいとき、すなわち温度が非常に高いと
き(1300℃以上)には再結晶が十分に可能となるのであ
る。
以上は3%Si含有鋼を1300℃以上の温度域で圧延した
場合、すなわちα相単相の状態での再結晶機構であり、
今回初めて明らかになった点である。これに対して、従
来知られていた第3図に示す再結晶限界曲線に従うのは
一部γ相を含んだ場合である。つまり従来は圧延実験で
データを揃えてはいるが、その圧延前の熱処理方法が省
略され過ぎていた。すなわち高温、例えば1350℃程度で
溶体化処理したサンプルを室温まで一度冷却してから、
例えば1200℃程度に再加熱してそれを圧延温度として圧
延に供していたのである。この場合組織中には必ずγ相
が一部生成する。γ相はα粒の粒界付近に優先的に生成
し、そこから再結晶が容易に進行する。しかしこの場合
圧延温度が低く再結晶粒径は小さいので、元の粒径がス
ラブ鋳造粒のように粗大な場合に再結晶は完了しがた
く、旧粒中心部にどうしても未再結晶部が残りやすい。
またγ相分率とその分散は温度のみならず、C,Si量や歪
量そして冷却温度(保持時間)にも大きく依存する。し
たがって処理条件のわずかな変化でもその効果が大きく
変化することが知られている。これが従来低温の熱間圧
延による粒の微細化効果が安定して得られなかった大き
な理由であったと推定される。
ところが発明者らが見出した、高温でのα単相の場合
における再結晶挙動は、従来の低温でのγ相存在下の再
結晶と異なり、γ相を再結晶核生成サイトとせず、単に
粒界が該生成サイトとなり、また再結晶粒径も比較的大
きくなりやすいため、未再結晶部が残存しにくく、均一
な再結晶粒組織が得られる。
以上に述べた高温での再結晶条件下では、高温加熱ス
ラブをそのまま圧延しても、粗大粒を微細化することが
可能となる。また熱間圧延の途中で圧延待ちなどにより
低温化する必要もないので、ホットストリップミルのメ
リットを最大限利用できる。
以上の基本的知見を基に、この発明は構成されたもの
である。
次にこの発明の構成要件についてさらに詳述する。
この発明では後述の成分組成からなるけい素鋼スラブ
を加熱炉に装入し加熱するが、加熱温度および加熱時間
はインヒビターの種類や量によって異なり、インヒビタ
ーの完全固溶を達成できる時間が確保されればよい。た
だし炉内での保持が長すぎると多量のスケールが発生す
るので、表面性状に悪影響を及ぼさない程度の時間で加
熱される。こうして高温加熱され、インヒビターが完全
固溶状態となったスラブは、粗圧延に供せられる。
粗圧延は通常3〜5パスで行われるが、特に重要なの
は1パス目と第2パス目であることを知見し、先に特願
平1−1328号明細書にて、1パス目を高温大圧下で行
い、再結晶させることが優れた磁気特性の確保に非常に
重要であることを指摘した。さらにその後の研究によっ
て、1400℃以上の超高温に加熱した場合には、粒界の脆
弱化に起因した圧延中の粒界割れが、成分に依存して一
部ながら発生することも新たに知見した。このような割
れは標準的成分における発生率は非常に低いものの、目
標とする成分範囲内であってもSeやSの含有量がやや高
めになったり、Mn含有量がやや低目になったりすると、
粒界割れに起因する表面欠陥が大量に発生した。表面欠
陥があると、磁気特性が良好であっても製品として価値
がなくなってしまう。したがって良好な磁気特性を得る
ことも重要であるが、製品の表面欠陥を回避することも
非常に重要となる。
そこで磁気特性の劣化を伴わずに1400℃以上の超高温
加熱材の圧延割れを防止する技術について多くの実験を
行ったところ、1パス目の粗圧延を高温でかつ非常に低
圧下率で行い、かつ2パス目に先の知見に基いた、高温
大圧下を行えば、圧延本来の目的である粗大粒の破壊と
表層での熱間割れの防止とを同時にかつ効果的に達成し
うることを見出した。この1パス目の圧下は軽圧下によ
り粒界近傍のみ優先的に部分再結晶させることに意味が
ある。なお、再結晶率は10〜20%程度である。
ここで1パス目の粗圧延における圧下率が20%以上に
なると粒界割れが発生しかつ2パス目の高圧下の効果が
発揮されないため、圧下率は20%未満とする。一方圧下
率が低すぎるとその効果が小さくなるため、圧下率の下
限を3%とする。またこの1パス目の圧延温度は、2パ
ス目で必要とする圧延温度を確保するために1350℃以上
とする。
次の2パス目ではまず再結晶率を高めて結晶粒径を均
一化することが重要である。
Si:3.2%、C:0.06%、Mn:0.08%、Se:0.025%を含み
残部実質的にFeよりなる、工場で製造されたスラブを実
験圧延機で種々の温度と圧下率で熱間圧延した時の実験
結果を第2図に示す。同図から、75%以上の再結晶率を
得るためにはかなりの高温大圧下が必要であることがわ
かる。なお再結晶は、次の圧延パスまでには粗圧延の場
合数秒の時間を要するので、その間にさらに進行する
が、第2図に示した再結晶率は圧延後の値である。従っ
て2パス目までは1350℃以上の温度域で圧延されなけれ
ばならない。
またこの圧延温度T(℃)における再結晶に必要な圧
下率R(%)は第2図に示した結果等より、下式に示す
条件を満足することが必要である。
この場合の温度は回復と再結晶の進行速度に寄与し圧
下率は歪の導入程度に関連する。尚この式の境界は最終
的には研究及び工場の実験データから回帰式により決定
した。
60≧R(%)≧−0.2T+300 さらに2パス目までに再結晶が完全に完了すれば、表
層での熱間割れに起因するヘゲ発生はかなり抑制される
こと、また未再結晶部の残存による最終焼鈍後のリジン
グ発生の抑制に顕著な効果があることも判明した。な
お、1または2パス目以降の圧延での圧下率を確保する
必要があるため、粗圧延における圧下率の上限は、1パ
ス目および2パス目とも60%以下とする必要がある。
引続く熱間圧延工程における仕上圧延条件は通常と特
に変わるところはない。仕上圧延前に均一な組織(未再
結晶粒なし)を得ていれば、仕上圧延前段において、
(α+γ)2相域での再結晶が起こり組織の微細化は容
易に達成できる。仕上圧延された熱延鋼帯は必要に応じ
て焼鈍後酸洗され、1回ないし中間焼鈍をはさむ2回の
冷間圧延で0.15〜0.50mm厚程度の最終板厚とする。
この発明の素材である含けい素鋼としては、従来公知
の成分組成のものいずれもが適合するが、代表組織を掲
げると次のとおりである。
C:0.01〜0.10% Cは、熱間圧延、冷間圧延中の組織の均一微細化のみ
ならず、ゴス方位の発達に有用な元素であり、少なくと
も0.01%以上の添加が好ましい。しかしながら0.10%超
えて含有されるとかえってゴス方位に乱れが生じるので
上限は0.10%程度が好ましい。
Si:2.0〜4.5% Siは、鋼板の比抵抗を高め鉄損の低減に有効に寄与す
るが、4.5%を上回ると冷延性が損なわれ、一方2.0%に
満たないと比抵抗が低下するだけでなく、2次再結晶・
鈍化のために行われる最終高温焼鈍中にα−γ変態によ
って結晶方位のランダム化を生じ、十分な鉄損改善効果
が得られないので、Si量は2.0〜4.5%程度とするのが好
ましい。
Mn:0.02〜0.12% Mnは、熱間脆化を防止するため少なくとも0.02%程度
を必要とするが、あまりに多すぎると磁気特性を劣化さ
せるので上限は0.12%程度に定めるのが好ましい。
インヒビターとしては、いわゆるMnS,MnSe系とAlN系
とがある。MnS,MnSe系の場合は、Se,Sのうちから選ばれ
る少なくとも1種:0.005〜0.006% Se,Sはいずれも、方向性けい素鋼板の2次再結晶を制
御するインヒビターとして有力な元素である。抑制力確
保の観点からは、少なくとも0.005%程度を必要とする
が、0.06%を超えるとその効果が損なわれるので、その
下限、上限はそれぞれ0.01%,0.06%程度とするのが好
ましい。
AlN系の場合は、 Al:0.005〜0.10%,N:0.004〜0.015% AlおよびNの範囲についても、上述したMnS,MnSe系の
場合と同様な理由により、上記の範囲に定めた。ここに
上記したMnS,MnSe系およびAlN系はそれぞれ併用が可能
である。
インヒビター成分としては上記したS,Se,Alの他、Cu,
Sn,Cr、Ge,Sb,Mo,Te,BiおよびPなども有利に適合する
ので、それぞれ少量併せて含有させることもできる。こ
こに上記成分の好適添加範囲はそれぞれ、Cu,Sn,Cr:0.0
1〜0.15%、Ge,Sb,Mo,Te,Bi:0.005〜0.1%、P:0.01〜0.
2%であり、これらの各インヒビター成分についても、
単独使用および複合使用いずれもが可能である。
なおスラブは、連続鋳造されたものもしくはインゴッ
トより分塊されたものを対象とするが、連続鋳造された
後に、分塊再圧されたスラブも対象に含まれることはい
うまでもない。
(実施例) 実施例1 C:0.045%、Si:3.10%、Mn:0.050%、Se:0.025%及び
Sb:0.024%を含有し残部実質的にFeよりなる連鋳スラブ
を、まず加熱炉に装入しN2雰囲気中で均熱保持し、均熱
終了後直ちに粗圧延に供した。以上の工程における条件
は、表1に示す。粗圧延終了後は30mm厚のシートバーと
し、以後は仕上げタンデムミルで2.0mm厚の熱延鋼板と
した。この熱延鋼板を酸洗後1次冷間圧延で0.60mm厚に
し、950℃、3分間の中間焼鈍の後、2次冷間圧延で0.2
3mm厚の製品厚に仕上げた。その後湿水素中で800℃、4
分間の脱単焼鈍を行いMgOを主成分とする焼鈍分離剤を
塗布した後、850℃での一次保定後、乾燥水素中で1200
℃、5時間の鈍化焼鈍を施し最終製品とした。製品の特
性および表面性状を表1に併わせて示した。ここで欠陥
発生率は、シートバーを5m切断し、その切断片の表面を
観察した結果である。尚シートバーで観察される表面割
れは深いもので、その一部は製品の表面欠陥の原因とな
るとともに製品内部で部分的に2次再結晶不良をひきお
こすことが確認された。表1から明らかなように、粗圧
延を1パス目は軽圧下で2パス目は高温大圧下で行った
ものは、磁気特性および表面性状の点で優れていること
がわかる。
実施例2 表2に示す化学成分の鋼を含有し残部実質的にFeより
なるスラグを、A(発明法)およびB(比較法)の条件
で粗圧延した。
A(発明法) スラブ加熱温度:1410℃ 粗圧延1パス目 温度:1390℃ 圧下率:12% 粗圧延2パス目 温度:1380℃ 圧下率:51% B(比較法) スラフ加熱温度1410℃ 粗圧延1パス目 温度:1390℃ 圧下率:62% 粗圧延2パス目 温度:1380℃ 圧下率:45% 粗圧延終了後は35mm厚のシートバーとし、以後は仕上
げタンデムミルで2.4mm厚の熱延鋼板とした。この熱延
鋼板を酸洗後1次冷間圧延で0.85mm厚にし、950℃、2
分間の中間焼鈍の後、2次冷間圧延で0.30mm厚の製品厚
に仕上げた。その後湿水素中で820℃、3分の脱炭焼鈍
を行いMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布乾燥後、乾
燥水素中で1180℃、7時間の最終仕上焼鈍を施して最終
製品とした。製品の特性は表3に併記した。
表2の鋼1,3,4は、表面欠陥が発生し易い成分であ
る。鋼2はSe含有量が少なく、通常の条件でも表面欠陥
があまり発生しない成分である。それぞれの鋼をAとB
の条件で処理した結果を、表3にまとめた。表面欠陥な
シートバーを5m切断し、その切断片の表面観察により判
定した。鋼2ではその差が小さかったが、他の鋼ではB
の比較法で圧延した場合には表面欠陥が非常に多かった
が、Aの発明法を適用することにより欠陥は皆無となっ
た。磁気特性に関してもこの発明を適用することにより
向上することが確認された。
(発明の効果) この発明方法により、ホットストリップミルのメリッ
トを最大限に生かし、かつ、安定的に磁気特性及び表面
性状の優れた方向性けい素鋼板が製造できる。
【図面の簡単な説明】
第1図はα単相での再結晶限界の実験結果を示すグラ
フ、 第2図はスラブ加熱直後の単相での再結晶限界を示すグ
ラフ、 第3図はα+γ2相域での再結晶限界を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅 孝宏 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内 (72)発明者 藤山 寿郎 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 小出 正人 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (56)参考文献 特開 昭63−100128(JP,A) 特開 昭61−246317(JP,A) 特開 平1−165722(JP,A) 特開 昭60−56021(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】含けい素鋼スラブを1380℃以上の高温度に
    加熱した後、熱間圧延を施し、その後1回あるいは中間
    焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げた
    のち、脱炭焼鈍を施し、次いで鋼板表面に焼鈍分離剤を
    塗布してから、仕上焼鈍を施す一連の工程からなる方向
    性けい素鋼板の製造方法において、 上記熱間圧延工程の粗圧延における1パス目を1350℃以
    上のα相温度域で圧下率3%以上20%未満で行い、次い
    で粗圧延における2パス目を圧延温度Tが1350℃以上の
    α相域でかつ圧下率Rが次式 60≧R(%)≧−0.2T+300 に従う範囲で行うことを特徴とする磁気特性及び表面性
    状の優れた方向性けい素鋼板の製造方法。
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