JP2001316837A - 高耐食表面処理鋼板およびその製造方法 - Google Patents
高耐食表面処理鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
著しく抑制するとともに、高温多湿環境下での表面の黒
変化に対しても大きな抑制効果を示し、かつ加工性にも
優れた表面処理鋼板とその製造方法を提供する。 【解決手段】 亜鉛を30wt%以上含む亜鉛系めっき鋼板
の表面に、有機樹脂、Cr、Ca、およびリン酸あるいはリ
ン酸化合物を含み、有機樹脂付着量が50mg/m2以上5000m
g/m2以下、Cr付着量が1mg/m2以上100mg/m2以下、Ca付着
量がCa/有機樹脂(重量比)として0.001以上0.2以下、
リン酸あるいはリン酸化合物のトータル付着量がPO4/
有機樹脂(重量比)として0.001以上0.5以下である皮膜
を有する。
Description
防食性を示し、高温多湿環境でもめっき表面が黒変化す
ることなく、また、加工によりめっきにクラックが生じ
ても優れた防食性を維持できる表面処理鋼板、およびそ
の製造方法に関する。
外の腐食環境の厳しい部材の耐久性を向上させるため、
従来用いられている表面処理鋼板より優れた高耐食性材
料が強く要望されている。また、これらの用途では曲げ
加工等が施されるため、めっきにクラックが生じても鉄
の腐食進行を防止するために犠牲防食性に優れる亜鉛め
っき鋼板が用いられてきた。最近ではこれに加えて、Al
を1〜10%(以下「所謂5%Al系」と称す)または、Alを
40〜70%(以下「所謂55%Al系」と称す)含む耐食性に
優れるAl-Zn系合金めっき鋼板が多く用いられてきてい
る。これら3種類のめっき鋼板は、それぞれに下記のよ
うな特徴がある。
の、活性なめっき表面であるために水分と酸素の存在下
において容易に亜鉛酸化物である白錆が生成し外観品質
が低下するのみならず、亜鉛酸化物には高度な防食性が
期待できないために長期的な耐久性に限界がある。所謂
5%Al系は、Alの効果により亜鉛めっき鋼板より活性度
が低い表面を形成するために亜鉛めっきと比べて白錆が
発生しにくく耐久性にも優れるが、逆にごく薄い酸化物
の形成により表面が黒く変化し、外観品質を著しく低下
する問題がある。所謂55%Al系は、表面が更に安定して
いるために白錆発生が生じにくく、かつ黒変も生じにく
い。ただし、めっき皮膜が硬いために厳しい加工により
めっきにクラックが生じ、その部分からの腐食が進行し
Al成分を主体とした黒錆が発生し、加工部の外観品質が
大きく低下する欠点がある。
等の表面にクロメート処理を施すことにより耐食性を高
めた鋼板が利用されてきたが、めっき皮膜に欠陥が生じ
る加工部の耐食性、あるいは耐黒変性を最終製品として
必要とされているレベルまで改善可能なクロメート皮膜
は未だ見出されていない。
部耐食性を向上させる手段としては、有機樹脂をクロメ
ート皮膜に利用する方法が多く提案されている。この方
法によれば、加工等によるクロメート皮膜の損傷が軽減
されるために向上効果が認められるものの、特に所謂55
%Al系では加工により大きなめっきクラックが発生する
ために十分な効果が得られていない。また、所謂5%Al
系の課題である耐黒変性についても効果が得られていな
い。
酸等の添加は耐食性向上効果があり、一般的に高耐食化
のために用いられる手段であるが、これらでは加工部耐
食性向上に大きな効果が得られず、所謂5%Al系では添
加により耐黒変性が更に低下する傾向すら認められてい
る。
ことは、耐食性向上に効果があるものの、経済的に不利
になるばかりでなく、皮膜からのクロム溶出量が多くな
り、環境に対して悪影響を及ぼす可能性が生じるので避
けるべきである。
程で製造できることは、膨大な設備を必要とせず、かつ
製造が容易となるため最も望ましいといえる。したがっ
て、従来主に耐黒変性、あるいは塗装前処理として行わ
れてきたクロメート処理前にNi,Co,Fe等を付着させる特
殊な前処理を必要とせず、従来から用いられてきた方
法、中でも塗布型のクロメート処理方法により皮膜を形
成することが最も好まれている。
に鑑みてなされたものであって、高耐食性を示し、加工
部分からの腐食進行を著しく抑制するとともに、高温多
湿環境下での表面の黒変化に対しても大きな抑制効果を
示し、かつ加工性にも優れた表面処理鋼板とその製造方
法を提供することを課題とする。
を解決するために鋭意研究の結果、新たな添加物とし
て、Caを含有した皮膜を形成することにより、Znを30%
以上含む亜鉛系めっき鋼板の加工部を含む耐食性が向上
できること、更に所謂5%Al系では耐黒変性に優れた皮
膜が形成できること、さらに所謂55%Al系では、Al成分
が多い硬いめっき皮膜であるために厳しい加工によりめ
っきにクラックが生じ、腐食環境でその部分から腐食が
進行して発生する黒錆を著しく抑制する効果のある皮膜
を塗布型クロメート処理工程で形成できる条件を見出
し、本発明を完成するに至った。上記課題を解決する本
発明の要旨は、以下のとおりである。
鋼板の表面に、有機樹脂、Cr、Ca、およびリン酸あるい
はリン酸化合物を含み、有機樹脂付着量が50mg/m2以上5
000mg/m2以下、Cr付着量が1mg/m2以上100mg/m2以下、Ca
付着量がCa/有機樹脂(重量比)として0.001以上0.2以
下、リン酸あるいはリン酸化合物のトータル付着量がPO
4/有機樹脂(重量比)として0.001以上0.5以下である
皮膜を有することを特徴とする高耐食表面処理鋼板(第
一発明)。
鋼板が、Alを1〜10wt%含むZn-Al合金めっき鋼板である
ことを特徴とする前記(1)に記載の高耐食表面処理鋼
板(第二発明)。
鋼板が、Alを40〜70wt%含むZn-Al合金めっき鋼板であ
ることを特徴とする前記(1)に記載の高耐食表面処理
鋼板(第三発明)。
載の表面処理鋼板を製造するにあたり、亜鉛を30wt%以
上含む亜鉛系めっき鋼板の表面に、水溶性あるいは水分
散性の有機樹脂と、水溶性クロム酸あるいはクロム酸塩
と、Ca化合物と、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、縮
合リン酸亜鉛、縮合リン酸アルミニウムから選択される
1種または2種以上のリン酸化合物を含む水系処理液を
塗布し、板温60℃以上250℃以下で乾燥することを特徴
とする高耐食表面処理鋼板の製造方法(第四発明)。
3+)比率(重量比)が0.05〜0.9であることを特徴とする
前記(4)に記載の高耐食表面処理鋼板の製造方法(第
五発明)。
塩が、Cr3+の水溶性クロム酸あるいはクロム酸塩である
ことを特徴とする前記(4)に記載の高耐食表面処理鋼
板の製造方法(第六発明)。
リル−スチレン共重合エマルジョン樹脂であり、該有機
樹脂は、スチレン/有機樹脂(重量比)が0.1〜0.7で、
酸価が1以上50以下であることを特徴とする前記(5)
または(6)に記載の高耐食表面処理鋼板の製造方法
(第七発明)。なお、本明細書において、めっき皮膜の
成分を示す%は全てwt%である。
明する。 (鋼板の種類)本発明において、対象とする鋼板の種類
を限定したのは以下の理由による。すなわち、Znを30%
未満しか含まないめっき鋼板では、Znの犠牲防食性が劣
るためめっき皮膜に微小な欠陥が生じてもFeの腐食生成
物である赤錆が発生しやすい。したがって、鋼板の防食
性の観点よりZnを30%以上含むことが必要であるが、一
方Znは活性な金属であるためにめっき皮膜自体は腐食が
生じ易く、長期的な耐久性の観点からは限界がある。
して、Alとの合金めっき化が検討され、すでに実用化さ
れている。中でも、Alを1〜10%含み、場合によって更
にMg,MM等を添加しためっき鋼板(以下5%Al系と称
す)、Alを40〜70%と1〜3%のSiを含み、場合によって
更にTi等も添加されている合金めっき鋼板(以下55%Al
系と称す)が多く用いられている。本発明では、このよ
うなZnを30%以上含む亜鉛系めっき鋼板について、耐食
性を向上させることを目的とする。これに当てはまる現
在市場で用いられているめっき鋼板としては、電気亜鉛
めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、5%Al系めっき鋼
板、55%Al系めっき鋼板が挙げられる。
とにより耐久性が向上するものの高温多湿環境で表面が
黒変化し商品価値が著しく低下する問題がある。本発明
では、5%Al系の耐黒変性を向上し、係る問題点を解決
する。
性が向上するもののめっき皮膜が硬いため加工によりク
ラックが生じ加工部からの腐食が進行するとともに、Al
が多く含まれているため黒錆が多く発生し外観品質を大
きく低下させる問題がある。本発明では、55%Al系の加
工部耐黒錆性を向上し、係る問題点を解決する。
要に応じて、湯洗、あるいはアルカリ脱脂、場合によっ
ては表面にNi,Co,Fe等を付着させる前処理が施されたも
のであってもよい。
以下)めっき表面の皮膜には、有機樹脂が50mg/m2以上5
000mg/m2以下の範囲で含まれていることが必要である。
有機樹脂は、クロメート皮膜の耐食性を向上させる効果
があり、また加工に伴う表面傷発生を防止する効果もあ
るために必要となる。その効果は、付着量に依存し、有
機樹脂量として50mg/m2未満では耐食性向上効果を認め
られず、逆に5000mg/m2を超えて付着させると、加工時
に皮膜の剥離が生じ、剥離物が新たな表面傷発生の原因
となる場合があるため好ましくない。したがって、有機
樹脂付着量は、50mg/m2以上5000mg/m2以下、好ましくは
200mg/m2以上2500mg/m2以下とすべきである。
膜中にはCrが1mg/m2以上100mg/m2以下含まれていること
が必要である。Crは、安定な不慟態皮膜を形成し、特に
平板部の耐食性を高める効果とともに、めっき表面と皮
膜との密着性を高める効果があるため、必須成分とな
る。Crが1mg/m2未満では耐食性、密着性ともに向上効果
が認められず、100mg/m2を超えると密着性が低下し、厳
しい加工を受けた場合部分的に皮膜が剥離しやすくな
る。したがって、Cr付着量は1mg/m2以上100mg/m2以下に
すべきである。
1以上0.2以下)Caは、クロメート皮膜の耐食性を向上さ
せる効果があるとともに、5%Al系の問題である耐黒変
性、および55%Al系の問題である加工部耐食性を飛躍的
に向上させる効果がある。Caの効果は有機樹脂との比率
によって大きく影響され、Ca/有機樹脂で0.001未満で
は十分な効果が得られない。逆に0.2を超えると加工部
耐食性や耐黒変性は向上するが、長期の腐食環境にされ
されることにより、平板部の耐食性は低下する傾向が認
められる。したがって、Ca/有機樹脂(重量比)として
0.001以上0.2以下、好ましくは0.005以上0.1以下にすべ
きである。
001以上0.5以下)PO4を添加する理由は、クロメート皮
膜中にCaとともに含有させることにより、Caの耐食性向
上、および耐黒変性向上効果を飛躍的に高める作用を有
しているためである。PO4は、皮膜中にPO4/有機樹脂で
0.001以上含まれることにより、Caによる耐食性向上、
あるいは耐黒変性向上効果を高める効果が得られる。ま
た、0.5を超えると加工時に皮膜が剥離しやすくなるた
め、0.5以下にすべきである。
ていることが確認され、たとえばリン酸亜鉛、トリポリ
リン酸Zn、あるいはトリポリリン酸Al、縮合リン酸の状
態となっている。本発明においては皮膜中でのリン酸の
存在状態を規定するものではないが、リン酸亜鉛、ある
いはトリポリリン酸Alを主成分とし、縮合リン酸も一部
含まれている状態が望ましいと考えている。
を製造するにあたり、亜鉛を30%以上含む亜鉛系めっき
鋼板の表面に、水溶性あるいは水分散性の有機樹脂と、
水溶性クロム酸あるいはクロム酸塩とCa化合物、リン酸
亜鉛、リン酸アルミニウム、縮合リン酸亜鉛、縮合リン
酸アルミニウムから選択される1種または2種以上のリ
ン酸化合物を含む水系処理液を塗布し、板温60℃以上25
0℃以下で乾燥する理由について述べる。
Cr、Ca、PO4系化合物を皮膜形成時に所定の含有率を満
足させる比率に配合した水系処理液を用いる。
機樹脂を用いる。有機樹脂の種類は、アクリル系、アク
リル−スチレン系、ウレタン系、ポリエステル系のもの
を用いることが可能であるが、処理液として、他の成分
と安定して分散させるためにノニオン系の成分を含んだ
樹脂を用いることが望ましい。また、耐食性の観点か
ら、水溶性の樹脂より水分散性の樹脂(エマルジョン樹
脂)を用いることが望ましい。これらの有機樹脂のなか
で、コスト的に有利な乳化重合法による製造が可能で、
かつ耐食性、加工性に優れる樹脂としてアクリル−スチ
レン系樹脂がある。アクリル−スチレン樹脂の中のスチ
レンが占める割合が10%未満では耐食性が低下し、70%
を超えると加工性が低下する。したがって、スチレン/
有機樹脂の比(重量比)が0.1〜0.7のアクリル−スチレ
ン系樹脂を用いることにより、安価で耐食性、可能性に
優れた皮膜を形成することが可能となる。また、酸価は
1未満では液の安定性が劣り、逆に50を超えると耐食性
が低下するため、酸価を1〜50にすることにより、液安
定性と高耐食性を両立させることが可能となる。
は消泡剤等により、皮膜特性(皮膜密着性、耐食性、耐
黒変性、耐水性、塗料密着性、耐滑り性、テープ密着
性、ペフ密着性、発泡ウレタンとの密着性)、液の混和
安定性、あるいは機械的安定性が大きく影響を受ける
が、その他必要とする特性、使用状況に応じてより目的
に合ったものを選択することが重要である。
いるが、処理液中での状態により効果が大きく変わる。
防錆効果を発揮させるためには、処理液中に溶解した状
態で含まれていることが必要であり、難溶性のクロム酸
塩、例えばZnCrO4、SrCrO4、BaCrO4、CuCrO4、FeCrO4、
Ag2CrO4、SnCrO4等を処理液中に添加し、形成した皮膜
は耐食性に劣っており、また皮膜の密着性レベルも低
い。
酸を水に溶解し、一部を還元剤と必要に応じてリン酸等
のアニオンを用いてCr3+に還元した状態になっているも
の、あるいは硝酸Cr、硫酸Cr、酢酸Crなどの可溶性Cr3+
化合物、あるいはこれらの混合した状態のものを用いる
ことが可能である。これらは、液中に溶解していること
により皮膜形成時にめっき表面と反応、あるいは吸着す
ることにより強固な不慟態皮膜を形成し、表面が安定に
なるため耐食性とともに皮膜密着性に対しても向上させ
る効果が得られるものと推定される。したがって、処理
液中には溶解したクロム成分が含まれていることが必要
である。
皮膜特性に大きく影響し、0.05以上0.9以下にすること
により、本皮膜はめっきと強固に付着し、更に耐食性に
優れた皮膜を形成させることが可能となる。ただし、0.
05未満では密着性に劣る皮膜となり、また0.9を超える
と耐食性が低下する。したがって、Cr3+/(Cr6++C
r3+)比率(重量比)は、0.05以上0.9以下に、好ましく
は0.2以上0.6以下にすべきである。
含まない皮膜を形成する価値が高まっている。これに対
応するために本発明はCr6+を含まないCr3+の皮膜を形成
することが可能である。これは、Ca化合物がCr6+の自己
補修効果の代替するためと考えられ、Ca化合物を含まな
いCr3+で形成した皮膜と比べて優れた耐食性を有する皮
膜が形成できる。
あるいはリン酸との複合塩の状態で添加することが可能
であるが、本発明においては特に規定しない。注意すべ
きは添加物により処理液のpHが変化し、混和安定性に悪
影響を及ぼす場合がある。必須成分を安定的に分散させ
るpHとして1以上6.5以下の範囲においては確認されてい
るが、pH1未満、あるいはpH7を超える領域での分散は難
しかった。また、皮膜形成時にCa成分が容易に溶解する
状態では十分な効果が得られないため、皮膜中で容易に
溶解しない化合物となるように処理液に添加しておくこ
とが重要である。ただし、本発明においてはCa化合物の
添加方法を規定するものではない。
る。処理液中にリン酸を添加することにより皮膜形成時
にめっきと反応し、一部Caの耐食性及び耐黒変性を向上
させるリン酸亜鉛等の化合物が生成するが、十分な効果
が得られるまでに添加量を増やすと未反応のリン酸が皮
膜中に多く残存するため、耐黒変性等に十分な効果が得
られない皮膜となる。したがって、リン酸亜鉛、リン酸
アルミニウム、トリポリリン酸亜鉛、トリポリリン酸ア
ルミニウム等のリン酸化合物の状態で添加する、あるい
は必要に応じてリン酸化合物とリン酸を合せて添加する
ことが望ましい。これらのリン酸化合物は、処理液中に
おいて粒子として分散した状態で存在し、かつ皮膜にお
いても粒子が分散した状態となり存在するために、液の
安定性、および皮膜特性に粒子径が大きく影響し、微粒
子化により特性が向上する。通常、平均粒子径で3μm以
下0.01μm以上のものを用いることが可能である。
ター等を用いて塗布し、加熱乾燥、あるいは熱風乾燥す
ることにより皮膜を形成する。皮膜形成温度は60℃以上
とすることが必要であり、それ未満では、皮膜中に残存
する水分に由来する影響で耐食性、密着性に劣る皮膜と
なる。また、最高到達板温が250℃を超えても特性上に
改善効果を認められることなく、逆に耐食性に劣る皮膜
を形成する傾向がある。したがって、皮膜形成のための
乾燥板温は、60℃以上250℃以下にすべきである。
すように、各種のめっき鋼板の表面に所定の組成に調整
した処理液を塗布し、表1〜3に示す最高到達板温で加熱
乾燥し、表1〜3に示す付着量の皮膜を形成したものを供
試材とした。表中のめっき欄の記号および以下の記載中
の同様の記号は以下のめっき鋼板を表す。 GI;溶融亜鉛めっき鋼板(めっき量;Z27、板厚0.5mm) 5Al;5%Al-Zn合金めっき鋼板(めっき量;Y22、板厚0.
5mm) 55Al;55%Al-Zn合金めっき鋼板(めっき量;AZ-150、
板厚0.5mm) Al;溶融Alめっき鋼板(めっき量;200g/m2、板厚0.5m
m)
塩水噴霧試験(JIS Z 2371)を実施し、白錆発生面積が
10%以上となる時間で評価を行った。また、加工部の耐
食性を評価するために3T曲げ加工を施したサンプルにつ
いて塩水噴霧試験240時間を行い、曲げ部の錆発生程度
を下記に示す基準に基づいて評価を行った。
8;白錆発生面積10%以上50%未満、黒錆発生面積10%
未満、6;白錆発生面積50%以上、黒錆発生面積10%未
満、4;黒錆発生面積10%以上50%未満、2;黒錆発生面
積50%以上、1;赤錆発生有
時間後の黒変化程度を下記に示す基準に基づいて評価を
行った。
25%未満、3;斜めから観察し、確認できる黒変部分25
%以上、2;正面から観察し、確認できる黒変部分有り
(25%未満)、1;正面から観察し、確認できる黒変部
分25%以上
mの平面になっているビードを一定荷重で供試材表面に
押付けた状態で幅30mmの供試材を一定速度で引抜く平板
摺動を実施した。押付け荷重の水準を変えて試験を行
い、めっき表面にかじりが生じる限界押付け荷重により
評価を行った。評価結果を表4,5に示す。
2は55Alに、No.13はAlにそれぞれ皮膜形成を行った例で
ある。本範囲内の皮膜を形成したNo.4,No.8,No.12は、Z
nを30%以上含むGI,5Al,55Alでは、それぞれのめっきの
課題である、平板部耐食性、耐黒変性、加工部耐食性を
従来のクロメート皮膜では達成できないレベルに向上さ
せる効果があり、かつ優れた加工性も有している。一
方、亜鉛を含まないNo.13は、加工部から赤錆が発生
し、加工部耐食性に劣る皮膜が形成される。
〜20はCr付着量の影響、No.21〜24はCa/樹脂、また、N
o.25〜28はPO4/樹脂の影響を55Alを下地として検討し
た例である。樹脂付着量が本発明範囲外では、特に加工
性が低下し、Cr量が少ない場合はすべての特性が低下す
る。また、過剰にCrが付着すると、耐食性、耐黒変性、
加工性については良好な特性を有する皮膜となるが、着
色が著しく外観品質の点で問題が生じる。また、Ca、あ
るいはPO4の添加量は平板部と加工部の耐食性に大きく
影響し、本発明範囲外ではいずれかの耐食性が低下し、
両立が困難である。
結果の一例を示す。No.29,30は、水溶液状態でないクロ
ム酸を用いた例であるが、No.12と比較し耐食性、耐黒
変性において劣る傾向がある。No.31〜34は乾燥温度の
検討例であり、乾燥温度が本発明範囲外では耐黒変性が
劣る傾向が認められる。No.35〜37はクロム還元率を検
討した例であり、還元率が過剰に低いと還元率が本発明
範囲内にある場合に比べて耐食性が低下し、逆に過剰に
高いと皮膜として好ましい特性が得られるものの、処理
液がゲル化しやすい状態になっており、液安定性に問題
が生じる。
膜を形成した例であるが、皮膜として高いレベルの特性
が得られるとともに液安定性においても優れている。N
o.39〜44は樹脂の組成の影響を検討した例であり、アク
リル樹脂No.39と比較し、アクリル−スチレン系樹脂で
スチレン共重合率(スチレン/有機樹脂の重量比)と酸
価が本発明範囲内の樹脂を用いた条件において、加工部
耐食性により優れた特性を示している。また、No.43は
酸価が本発明範囲より低いため処理液安定性が幾分劣っ
ている。
30%以上含むめっき鋼板の表面に有することにより、無
塗装で用いられても高耐食性を発揮できる表面処理鋼板
が得られる。
めっき鋼板の表面に有することにより更に高耐食となる
とともに従来本めっきで問題となっていた耐黒変性にお
いても飛躍的に向上させることが可能となる。
めっき鋼板の表面に有することにより、更に高レベルの
耐食性が得られるとともに、従来の課題であった加工部
耐食性も飛躍的な高耐食化が可能となる。
とにより前記鋼板の高性能な皮膜を安定して製造するこ
とができる。
Claims (7)
- 【請求項1】 亜鉛を30wt%以上含む亜鉛系めっき鋼板
の表面に、有機樹脂、Cr、Ca、およびリン酸あるいはリ
ン酸化合物を含み、有機樹脂付着量が50mg/m 2以上5000m
g/m2以下、Cr付着量が1mg/m2以上100mg/m2以下、Ca付着
量がCa/有機樹脂(重量比)として0.001以上0.2以下、
リン酸あるいはリン酸化合物のトータル付着量がPO4/
有機樹脂(重量比)として0.001以上0.5以下である皮膜
を有することを特徴とする高耐食表面処理鋼板。 - 【請求項2】 亜鉛を30wt%以上含む亜鉛系めっき鋼板
が、Alを1〜10wt%含むZn-Al合金めっき鋼板であるこ
とを特徴とする請求項1に記載の高耐食表面処理鋼板。 - 【請求項3】 亜鉛を30wt%以上含む亜鉛系めっき鋼板
が、Alを40〜70wt%含むZn-Al合金めっき鋼板であるこ
とを特徴とする請求項1に記載の高耐食表面処理鋼板。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の表面処
理鋼板を製造するにあたり、亜鉛を30wt%以上含む亜鉛
系めっき鋼板の表面に、水溶性あるいは水分散性の有機
樹脂と、水溶性クロム酸あるいはクロム酸塩と、Ca化合
物と、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、縮合リン酸亜
鉛、縮合リン酸アルミニウムから選択される1種または
2種以上のリン酸化合物を含む水系処理液を塗布し、板
温60℃以上250℃以下で乾燥することを特徴とする高耐
食表面処理鋼板の製造方法。 - 【請求項5】 前記水系処理液中のCr3+/(Cr6++Cr3+)
比率(重量比)が0.05〜0.9であることを特徴とする請
求項4に記載の高耐食表面処理鋼板の製造方法。 - 【請求項6】 前記水系処理液中の水溶性クロム酸塩
が、Cr3+の水溶性クロム酸あるいはクロム酸塩であるこ
とを特徴とする請求項4に記載の高耐食表面処理鋼板の
製造方法。 - 【請求項7】 前記水系処理液中の有機樹脂がアクリル
−スチレン共重合エマルジョン樹脂であり、該有機樹脂
は、スチレン/有機樹脂(重量比)が0.1〜0.7で、酸価
が1以上50以下であることを特徴とする請求項5または
6に記載の高耐食表面処理鋼板の製造方法。
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