JP3156586B2 - 耐白錆性と耐傷付き性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

耐白錆性と耐傷付き性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法

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JP3156586B2 JP11334496A JP11334496A JP3156586B2 JP 3156586 B2 JP3156586 B2 JP 3156586B2 JP 11334496 A JP11334496 A JP 11334496A JP 11334496 A JP11334496 A JP 11334496A JP 3156586 B2 JP3156586 B2 JP 3156586B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐白錆性、耐傷付
き性に優れ、かつ6価クロムを全く含有しない皮膜を施
した亜鉛系めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、亜鉛系めっき鋼板は、電気め
っき、溶融めっきにより製造され、そのめっき皮膜の犠
牲防食性により地鉄の腐食を大きく抑制することができ
るため、広く使用されてきている。
【0003】しかしながら、亜鉛系めっき鋼板はその使
用過程において亜鉛が腐食して白色の亜鉛錆が生じ、外
観品質が大きく低下してしまう。この白錆を抑制するた
めに、亜鉛系めっき後、種々の後処理が広く行われる。
この後処理の代表的な方法としては、クロム酸またはそ
の塩類を主成分として、その他種々の添加剤を加えたク
ロメート処理法が挙げられる。このクロメート処理法は
耐食性に優れ、かつ、比較的簡単に行うことができる経
済的な処理方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、クロメ
ート処理は毒性の高い6価クロムを使用するものであ
り、処理工程ではクロム酸塩の人体への悪影響や廃水処
理後のクロムスラッジの廃棄処理の問題、また、クロメ
ート処理後の製品からの6価クロムの溶出など種々の問
題を有している。
【0005】このため、亜鉛系めっき鋼板の白錆の発生
を防止するために、クロメート処理によらない無公害の
処理技術が数多く提案されている。
【0006】例えば、無機化合物、有機化合物、有機高
分子、あるいは、これらを組み合わせた溶液を用い、浸
漬、塗布、電解処理などの方法により薄膜を形成する方
法である。具体的には、以下に示すような技術が提案さ
れている。
【0007】(1)モリブデン、タングステンなどポリ
金属酸化物を用いる方法(例えば、特開昭57−587
5号公報) (2)タンニン酸を用いた方法(例えば、特開昭51−
71233号公報) (3)3価クロムを使用し、6価クロムを含まない処理
液を用いた無公害のクロメート処理方法(例えば、特開
昭61−587号公報) しかしながら、上記(1)の方法では、モリブデン、タ
ングステンなどのポリ金属酸化物の腐食に対する安定領
域はクロムのそれより狭く、クロメートと同程度の耐食
性を得ることは不可能である。
【0008】また、上記(2)の方法では、十分な耐食
性を得ようとすると、タンニン酸による着色が生じると
いう問題がある。
【0009】さらに、上記(3)の方法では、処理時間
(反応時間)を比較的長くとる必要があり、また、その
耐食性も十分に高いとはいえない。
【0010】また、耐食性に加え、皮膜が耐傷付き性も
有することが望ましい。近年家電メーカーでは最終製品
に無塗装の化成処理鋼板を使用する割合が増加してい
る。皮膜が耐傷付き性に劣る場合、加工・組立等の作業
解きに鋼板の表面に傷が付き、商品価値が大きく低下し
てしまう。
【0011】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであって、製造工程上および使用過程において安全で
無害な化成処理皮膜を形成し、もって耐白錆性と耐傷付
き性に優れた亜鉛系めっき鋼板を製造することができる
方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、第1に、ケイ酸エステルとアルミニウム
無機塩とをAl/(Al+Si)モル比として0.01
5以上0.75以下とし、さらに樹脂をその固形分の量
がアルミニウム無機塩中のAl量とケイ酸エステル中の
Si量の合計量に対し重量比で0.1以上20以下にな
るように混合した溶液を、鋼板上に塗布した後、加熱乾
燥し、付着量が(Al+Si)金属換算で50mg/m
2 以上の皮膜を形成することを特徴とする耐白錆性と耐
傷付き性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法を提供す
る。
【0013】第2に、上記方法において、アルミニウム
無機塩として硝酸アルミニウムを用いることを特徴とす
る耐白錆性と耐傷付き性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製
造方法を提供する。
【0014】第3に、上記いずれかの方法において、加
熱乾燥温度を200℃未満とすることを特徴とする耐白
錆性と耐傷付き性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法
を提供する。
【0015】第4に、上記いずれかの方法において、前
記溶液が、ニッケル、コバルト、マグネシウムの無機塩
の1種または2種以上をAlに対するモル比で0.01
以上、Alと同モル数以下含有することを特徴とする耐
白錆性と耐傷付き性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方
法を提供する。
【0016】第5に、上記第1ないし第3のいずれかの
方法において、前記溶液が、リン酸またはリン酸化合物
を、リン酸のモル数として、アルミニウムとケイ酸エス
テルの合計モル数に対し、5%から200%の範囲にな
るように含有することを特徴とする耐白錆性と耐傷付き
性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法を提供する。
【0017】第6に、上記第1ないし第3のいずれかの
方法において、前記溶液が、3価クロム化合物をクロム
金属モル数として、アルミニウムとケイ酸エステルの合
計モル数に対し、0.1倍から3倍の範囲になるように
含有することを特徴とする耐白錆性と耐傷付き性に優れ
た亜鉛系めっき鋼板の製造方法を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明では、上述のように、ケイ
酸エステル、アルミニウムの無機塩、樹脂を含有した溶
液を鋼板上に塗布することにより、耐食性、耐傷付き性
に優れた皮膜を形成することができる。その理由につい
ては必ずしも明らかではないが、ケイ酸、アルミニウム
酸化物がネットワーク構造を形成し、緻密な複合酸化物
薄膜を形成し、白錆抑制能が得られるものと考えられ
る。また、皮膜中に樹脂を添加することにより皮膜表面
の摺動抵抗が低減し、耐傷付き性が向上するものと考え
られる。
【0019】アルミニウム無機塩としては、硝酸アルミ
ニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどを用
いることができるが、中でも硝酸アルミニウムが望まし
い。その理由は、現状では必ずしも明らかではないが、
硝酸根が皮膜のネットワーク構造を形成することを促進
する、またはこのようなネットワーク構造形成の障害と
ならないことなどが考えられる。
【0020】ケイ酸エステルとしては、例えば、メチル
シリケート、エチルシリケート、n−ブチルシリケート
を使用することができる。コスト面から考慮すると、安
価であるエチルシリケートを用いることが好ましいが、
特に限定されるものではない。
【0021】樹脂としては、例えばポリエステル系、ウ
レタン系、ポリオレフィン系、アクリル系、アルキド
系、ビニル系、シリコン系、レテックス系のものを使用
することができるが、溶液中にて安定して分散すること
ができればよく、特に限定されるものではない。
【0022】ケイ酸エステルとアルミニウム無機塩との
割合は、Al/(Al+Si)モル比で0.015以上
0.75以下の範囲とする。これは、この値が0.01
5より低いと耐食性が大きく低下して白錆抑制能力に問
題が生じ、0.75を超える場合にも同様に白錆抑制能
力が不十分であるからである。ここで、このようにAl
/(Al+Si)モル比によって耐食性が変化する理由
としては、得られた皮膜構造の緻密さに耐食性が依存す
るためと考えられる。
【0023】さらに樹脂をその固形分の量がアルミニウ
ム無機塩中のAl量とケイ酸エステル中のSi量の合計
量に対し重量比で0.1以上20以下になるように混合
する。これは、この添加比が0.1未満であると耐傷付
き性の向上効果はほとんどみられず、逆に添加比が20
を超えてもそれ以上の効果は得られないからである。
【0024】また、本発明では、上記ケイ酸エステル、
アルミニウム無機塩、有機系固形潤滑剤の他に、ニッケ
ル、コバルト、マグネシウムの無機塩の1種または2種
以上をAlに対するモル比で0.01以上、Alと同モ
ル数以下の範囲で溶液中に含有させることが好ましい。
このようにニッケル、コバルト、マグネシウムの無機塩
を添加することにより、Al−Si系皮膜の欠陥部(成
膜時に生じる欠陥、および鋼板の成形時に生じる比較的
小さい欠陥の両方を含む)における耐食性の低下を著し
く低減することができる。
【0025】ここで、これら1種または2種以上の含有
量をAlに対するモル比で0.01以上としたのは、こ
れより少量であると皮膜欠陥部の耐食性の低下を抑制す
る効果がほとんどみられないからであり、Alと同モル
数以下としたのは、これを超えると皮膜中に占めるAl
およびSiの割合が減少し、ニッケル、コバルト、マグ
ネシウムによってAl−Si系皮膜の造膜作用を妨害す
るようになり、被覆率の乏しい皮膜となって耐食性が劣
化するからである。
【0026】添加するニッケル、コバルト、マグネシウ
ムの無機塩としては、硝酸塩、硫酸塩、塩化物などが挙
げられるが、特に制限されるものではない。
【0027】さらに、本発明では、リン酸またはリン酸
化合物はリン酸のモル数として、アルミニウムとケイ酸
エステルの合計のモル数に対し、5%から200%の範
囲で溶液に含有されることが好ましい。これにより一層
耐白錆性を向上させることができる。
【0028】ここで、この含有量を5%以上200%以
下としたのは、5%未満であるとリン酸化合物添加によ
る効果がほとんど見られず、逆に200%を超えると白
錆抑制効果がみられなくなるからである。この理由は2
00%を超えるとリン酸イオンが緻密なAl−Siネッ
トワーク構造の成長を阻害し、皮膜欠陥を発生させるた
めと推測される。また、リン酸化合物の添加によって効
果が発揮されるメカニズムは、現状では必ずしも明らか
ではないが、リン酸化合物によるめっき表面の不活性化
や、リン酸化合物によるAl−Siネットワーク構造の
強化などが考えられる。
【0029】リン酸化合物としては、例えば、リン酸第
1アンモニウム、リン酸第2アンモニウム、リン酸第3
アンモニウム、リン酸ナトリウムなどを使用することが
可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0030】さらにまた、本発明では、3価クロム化合
物(3価クロムイオン)をクロム金属モル数として、ア
ルミニウムとケイ酸エステルの合計のモル数に対し、
0.1倍から3倍の範囲で溶液に含有されることが好ま
しい。これによっても一層耐白錆性を向上させることが
できる。
【0031】ここで、その含有量を0.1倍から3倍の
範囲としたのは、0.1倍未満であるとクロム化合物添
加効果がほとんど見られず、逆に3倍を超えると白錆抑
制効果がみられなくなるからである。この理由は3倍を
超えるとクロムイオンが緻密なAl−Siネットワーク
構造の成長を阻害し、皮膜欠陥を発生させるためと推測
される。また、3価クロム化合物の添加によって効果が
発揮されるメカニズムは、現状では必ずしも明らかでは
ないが、クロム化合物によるめっき表面の不活性化や、
クロム酸化物によるAl−Siネットワーク構造の強化
などが考えられる。
【0032】3価クロム化合物としては、例えば、硝酸
クロム、塩化クロム、硫酸クロム、酢酸クロムなどを使
用することが可能であるが、これらに限定されるもので
はない。
【0033】溶液を形成するために用いる有機溶媒は特
に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、
ブタノール、プロパノール、メチルセロソルブ、エチル
セロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコール、
ジホルムアルデヒドメトキシエタノールなど、ケイ酸エ
ステル、アルミニウム塩、樹脂を溶解させ得る有機溶媒
を使用することができ、また、1,4ジオキサンのよう
な非極性の溶液でもアルコールのような極性溶媒と組み
合わせて使用することができる。また、水もアルコール
等と組み合わせて使用することができる。
【0034】以上のような溶液を鋼板へ塗布する方法と
しては、ロールコーターを用いる方法、鋼板を溶液に浸
漬するかまたはめっき鋼板に溶液をスプレーした後、ロ
ールにより過剰な溶液を除去する方法を適用することが
できる。
【0035】このようにして溶液を塗布した後、加熱乾
燥を行うが、その際の温度は200℃未満であることが
好ましい。鋼板への塗布後の熱処理温度はAl−Si系
皮膜の耐食性に影響を与え、200℃以上であっても白
錆抑制能は得られるが、熱処理温度を上げていくことに
より耐食性が低下する傾向にある。これは有機溶媒の急
激な蒸発に伴い生じるピンホール数の増加や皮膜の硬質
化に伴うクラックの増加によるものと推測される。加熱
温度は、用いた溶媒が揮発可能であれば問題なく、その
下限は溶剤の揮発度により決定される。
【0036】なお、本発明ではこのような皮膜が亜鉛系
めっき鋼板に施されるが、その処理温度は、亜鉛めっき
およびその基板である鋼板の熱拡散が急速に生じない温
度にする必要があり、約350℃が事実上の上限になる
と考えられる。
【0037】加熱乾燥後形成された皮膜の付着量は、
(Al+Si)金属換算で50mg/m2 以上である。
これは、50mg/m2 未満では耐食性が不十分である
からである。付着量の上限は特に存在しないが、付着量
が多くなりすぎると可撓性が劣化し、クラックや剥離が
生じやすくなるため、膜厚がおよそ1.0μmとなる
1.0g/m2 程度以下が好ましい。
【0038】本発明で適用される鋼板としては、各種亜
鉛系めっき鋼板を使用することができ、特に限定される
ものではない。例えば電気めっき法による亜鉛めっき鋼
板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、溶融めっき法によ
る亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛系合金めっき鋼
板などが挙げられる。
【0039】
【実施例】
(第1実施例)板厚0.7mmの付着量片面あたり20
g/m2 の電気亜鉛めっき鋼板、板厚0.7mmの付着
量片面あたり20g/m2 の電気亜鉛−ニッケル合金め
っき鋼板(ニッケル含有量13%)、板厚0.7mmの
付着量片面あたり60g/m2の溶融亜鉛めっき鋼板、
板厚0.7mmの付着量片面あたり45g/m2 の合金
化溶融亜鉛めっき鋼板、板厚0.7mmの付着量片面あ
たり80g/m2 の溶融アルミニウム−亜鉛合金めっき
鋼板(アルミニウム含有量55%)を用意し、表1に示
すケイ酸エステル、アルミニウム塩、樹脂を表2に示す
組成で溶解させたメチルセロソルブ溶液をロールコータ
ーによって塗布した後に、熱風乾燥炉により加熱温度を
変えて加熱処理を施し、実施例1〜36および比較例1
〜8の皮膜を形成した。その際の加熱温度を表2に併記
した。この際の化成処理皮膜付着量は、処理液中の固形
成分量、またはロールコーターなどの塗布条件によって
変えることができる。
【0040】鋼板に関しては、上記鋼板のうち、実施例
1〜30、比較例1〜8は電気亜鉛めっき鋼板、実施例
31〜33は溶融亜鉛めっき鋼板、実施例34は電気亜
鉛−ニッケル合金めっき鋼板、実施例35は溶融アルミ
ニウム−亜鉛めっき鋼板、実施例36は合金化溶融亜鉛
めっき鋼板を用いた。
【0041】次に、このようにして作成したサンプルの
耐食性および耐傷付き性を以下に示す方法で評価し、併
せて表2に示した。
【0042】(1)耐食性 各サンプルについて、塩水噴霧試験(JIS−Z−23
71)を実施し、24時間、48時間後の白錆発生面積
率を調べ、これにより耐白錆性を評価した。
【0043】なお、耐白錆性は以下の基準により評価し
た。
【0044】 白錆発生面積率 評価 0%〜5%未満 ◎ 5%〜25%未満 ○ 25%〜50%未満 △ 50%〜80%未満 × 80%〜100% ×× (2)耐傷付き性試験 ドロービード試験機(雄ダイスの先端:10R、水平押
し付け荷重:50kg/m2 、変形高さ:1mm)によ
り、各サンプルを変形させながら引き抜き、皮膜の剥離
状態およびサンプルに生じた傷の有無を目視により調
べ、以下の基準で評価した。
【0045】 状態 評価 剥離なし傷なし ◎ 剥離なし傷若干あり ○ 僅かに剥離かつ鋼板に傷発生 △ 著しく剥離かつ鋼板に傷発生 ×
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】表2に示すように、本発明の範囲内である
実施例1〜36はいずれも良好な耐白錆性および耐傷付
き性を示したのに対し、比較例1〜8はいずれも耐白錆
性、耐傷付き性が悪いことが確認された。
【0048】(第2実施例)板厚0.7mmの付着量片
面あたり20g/m2 の電気亜鉛めっき鋼板上に、表3
に示すような、ケイ酸エステル、アルミニウム塩、樹脂
を用い、溶媒として表3に示す種々のものを用いて、か
つ表4に示すようにAl/(Al+Si)のモル比が
0.2、樹脂の固形分の量がアルミニウム無機塩中のA
l量とケイ酸エステル中のSi量の合計量に対し重量比
で3.0の一定値となるようにして含有した溶液をロー
ルコーターによって塗布した後に、熱風乾燥炉により加
熱処理を施し、実施例37〜43の皮膜を形成した。
【0049】これらのサンプルについて、第1実施例と
同様、塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)を実施
し、24時間、48時間後の白錆発生面積率を調べ、こ
れにより耐白錆を評価した。またさらに、各サンプルに
ついて、第1実施例と同様に耐傷付き性を評価した。そ
の結果を表4に示す。なお、評価基準は第1実施例と同
様とした。
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】表4に示すように、本発明の範囲内であれ
ば、溶媒の種類にほとんど影響されずに良好な耐白錆性
および耐傷付き性を示すことが確認された。
【0053】(第3実施例)板厚0.7mmの付着量片
面あたり20g/m2 の電気亜鉛めっき鋼板を用意し、
表5に示すケイ酸エステル、アルミニウム塩、樹脂を溶
解させ、さらにマグネシウム、ニッケル、コバルトの無
機塩のいずれかを表6に示す組成で溶解させたメチルセ
ロソルブ溶液をロールコーターによって塗布した後に、
熱風乾燥炉により加熱温度を変えて加熱処理を施し、実
施例44〜58および比較例9〜16の皮膜を形成し
た。その際の加熱温度を表6に併記した。この際の化成
処理皮膜付着量は、処理液中の固形成分量、またはロー
ルコーターなどの塗布条件によって変えることができ
る。
【0054】次いで、これら各サンプルに対し第1実施
例と同様、耐食性、耐傷付き性を評価した。また、カッ
ト部の耐食性を評価するために、化成処理後のサンプル
表面にカッターナイフで地鉄に達する傷をつけ、塩水噴
霧試験24時間後の白錆発生程度を調べた、その結果も
表6に併記する。
【0055】なお、カット部の耐食性は、以下の基準で
評価した。
【0056】 カット部の錆発生状況 評価 ・白錆発生なし ◎ ・カット部の一部に白錆発生 ○ ・カット部の一部に白錆発生し △ 白錆が流れ始める ・カット部の一部に白錆発生し × 白錆が多量に流れる
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】表6に示すように、本発明の範囲内である
実施例44〜58はいずれも良好な耐白錆性およびカッ
ト部の耐食性ならびに良好な耐傷付き性を示したのに対
し、比較例9〜16はいずれも耐白錆性、カット部の耐
食性、耐傷付き性が悪いことが確認された。
【0059】(第4実施例)板厚0.7mmの付着量片
面あたり20g/m2 の電気亜鉛めっき鋼板を用意し、
表7に示すケイ酸エステル、アルミニウム塩、樹脂、リ
ン酸化合物を表8に示す組成で溶解させたメチルセロソ
ルブ溶液をロールコーターによって塗布した後に、熱風
乾燥炉により加熱温度を変えて加熱処理を施し、実施例
59〜73および比較例17〜22の皮膜を形成した。
その際の加熱温度を表8に併記した。この際の化成処理
皮膜付着量は、処理液中の固形成分量、またはロールコ
ーターなどの塗布条件によって変えることができる。
【0060】これらサンプルについて、第1実施例と同
様、塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)を実施し、
48時間、72時間後の白錆発生面積率を調べ、これに
より耐白錆性を評価した。またさらに、各サンプルに対
し、第1実施例と同様に耐傷付き性を評価した。その結
果を表8に示す。なお、評価基準は第1実施例と同様と
した。
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】表8に示すように、本発明の範囲内である
実施例59〜73はいずれも良好な耐白錆性および耐傷
付き性を示した。これに対して比較例のうちリン酸化合
物が適正範囲外である比較例17〜19は耐白錆性が悪
く、また樹脂が適正範囲外である比較例20〜22は耐
傷付き性が悪いことが確認された。
【0064】(第5実施例)板厚0.7mmの付着量片
面あたり20g/m2 の電気亜鉛めっき鋼板を用意し、
表9に示すケイ酸エステル、アルミニウム塩、樹脂、3
価クロム化合物を表10に示す組成で溶解させたメチル
セロソルブ溶液をロールコーターによって塗布した後
に、熱風乾燥炉により加熱温度を変えて加熱処理を施
し、実施例74〜87および比較例23〜28の皮膜を
形成した。その際の加熱温度を表10に併記した。この
際の化成処理皮膜付着量は、処理液中の固形成分量、ま
たはロールコーターなどの塗布条件によって変えること
ができる。
【0065】これらサンプルについて、第1実施例と同
様、塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)を実施し、
48時間、72時間後の白錆発生面積率を調べ、これに
より耐白錆性を評価した。またさらに、各サンプルに対
し、第1実施例と同様に耐傷付き性を評価した。その結
果を表10に示す。なお、評価基準は第1実施例と同様
とした。
【0066】
【表9】
【0067】
【表10】
【0068】表10に示すように、本発明の範囲内であ
る実施例74〜87はいずれも良好な耐白錆性および耐
傷付き性を示した。これに対して比較例のうち3価クロ
ム化合物が適正範囲外である比較例23〜25は耐白錆
性が悪く、また樹脂が適正範囲外である比較例26〜2
8は耐傷付き性が悪いことが確認された。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ケイ酸エステル、アルミニウムの無機塩、樹脂を一定範
囲内で含有した溶液を鋼板に塗布し、その後加熱乾燥す
る工程により化成処理皮膜を形成するので、製造工程上
および使用過程において安全で無害かつ衛生的であり、
またこのようにして形成された化成処理皮膜は皮膜健全
部における白錆抑制能力および耐傷付き性に優れる。し
たがって、本発明は工業上極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−118989(JP,A) 特開 昭59−177377(JP,A) 特開 昭53−102934(JP,A) 特開 昭59−35682(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/86 B05D 7/14

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケイ酸エステルとアルミニウム無機塩と
    をAl/(Al+Si)モル比として0.015以上
    0.75以下とし、さらに樹脂をその固形分の量がアル
    ミニウム無機塩中のAl量とケイ酸エステル中のSi量
    の合計量に対し重量比で0.1以上20以下になるよう
    に混合した溶液を、鋼板上に塗布した後、加熱乾燥し、
    付着量が(Al+Si)金属換算で50mg/m2 以上
    の皮膜を形成することを特徴とする耐白錆性と耐傷付き
    性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 アルミニウム無機塩として硝酸アルミニ
    ウムを用いることを特徴とする請求項1に記載の耐白錆
    性と耐傷付きつき性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 加熱乾燥温度を200℃未満とすること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の耐白錆性
    と耐傷付きつき性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記溶液が、ニッケル、コバルト、マグ
    ネシウムの無機塩の1種または2種以上をAlに対する
    モル比で0.01以上、Alと同モル数以下含有するこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項
    に記載の耐白錆性と耐傷付き性に優れた亜鉛系めっき鋼
    板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記溶液が、リン酸またはリン酸化合物
    を、リン酸のモル数として、アルミニウムとケイ酸エス
    テルの合計モル数に対し、5%から200%の範囲にな
    るように含有することを特徴とする請求項1ないし請求
    項3のいずれか1項に記載の耐白錆性と耐傷付き性に優
    れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記溶液が、3価クロム化合物をクロム
    金属モル数として、アルミニウムとケイ酸エステルの合
    計モル数に対し、0.1倍から3倍の範囲になるように
    含有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のい
    ずれか1項に記載の耐白錆性と耐傷付き性に優れた亜鉛
    系めっき鋼板の製造方法。
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