JP2001314194A - 核酸増幅効率の決定方法 - Google Patents
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Abstract
決定する方法と、核酸の最も正確であろう定量方法にお
けるその使用とを提供することを目的とする。 【解決手段】a)標的核酸の希釈系列を調製する工程、
b)標的核酸を予め選択した反応条件下で増幅する工
程、ここで、前記核酸の増幅をリアルタイムで測定す
る、c)シグナル閾値を設定する工程、d)各希釈物に
ついて前記シグナル閾値を超えるサイクル数を決定する
工程、およびe)標的核酸の初期量の関数として増幅効
率を決定する工程、を含む、標的核酸の増幅効率の決定
方法、ならびに増幅反応の効率を前記方法により決定
し、定量に考慮する試料中の標的核酸の定量方法。
Description
ムPCR法による核酸定量の分野に関する。詳しくは、
核酸増幅効率の決定方法に関する。
で、また特に分子診断にとって重要である。これらの方
法は例えばゲノム内で増幅される遺伝子配列のコピー数
をDNAレベルで決定するために使用される。しかし、
核酸定量方法はとりわけmRNA量の決定との関連で使
用される。なぜなら、通常これが各コード遺伝子の発現
の尺度だからである。
ンブロット解析やRNアーゼプロテクションアッセイな
どの従来の方法によって特定のmRNAを定量できる。
しかし、これらの方法の感度は少量しか利用できない試
料や極めて弱く発現する遺伝子には十分でない。
高い方法である。この方法ではまず、解析対象であるm
RNAから逆転写酵素を使って一本鎖cDNAが作成さ
れる。次に、PCRを使って二本鎖DNA増幅産物が作
成される。
る: (1)いわゆる相対定量方法では、いわゆるハウスキー
ピング遺伝子のRNA量に対して、ある標的RNAの発
現量の比が決定される。ハウスキーピング遺伝子は個々
の生理状態とは無関係に全ての細胞で構成的に発現され
ると考えられ、したがって、そのmRNAは全ての細胞
にほぼ同じ量で存在する。
の相違およびRNA調製の方法がその特定の結果に影響
を及ぼさないということである。しかし、この方法では
絶対定量は不可能である。
この標準核酸の対応する希釈系列の増幅とを使って、使
用するRNAの絶対量を決定することができる。これに
は次の2つの選択肢がある:
的核酸とを別個の反応容器で増幅する。この場合は、標
的核酸と同一の配列を持つ標準核酸を使用することがで
きる。しかし、このタイプの定量方法では、解析対象で
あるRNA調製物がその後のPCR反応の効率を損ねる
阻害成分を含有すると、系統誤差が生じうる。そのよう
な誤差は内部標準を使用することによって、すなわち標
準核酸と標的核酸とを1つの反応容器中で増幅すること
によって排除できる。しかし、この方法の短所は、標準
核酸の増幅と標的核酸の増幅とを識別できるように、解
析対象である標的核酸と比較して異なる配列を持つ標準
核酸を使用する必要があるということである。これも定
量における系統誤差につながりうる。なぜなら、配列が
異なる場合はPCR増幅効率の相違を排除することがで
きないからである。
法によって定量できる: a)増幅反応のプラトー期でのPCR産物生成量の終点
決定 この場合、反応終点での核酸の増幅はもはや指数的では
なく飽和に達しているので、PCR産物の生成量は初期
コピー数の量とは相関しない。その結果、異なる初期コ
ピー数でも同じPCR産物生成量を示す。したがって、
通常この方法では競争的PCR法または競争的RT−P
CR法が使用される。これらの方法では特異的標的配列
が既知コピー数の内部標準の希釈系列と共に同時増幅さ
れる。標的配列の初期コピー数は同じPCR産物量の標
準および標的配列を含有する混合物から外挿される(Z
immermannおよびMannhalter、Bi
o−Techniques 21:280−279、1
996)。この方法の短所も測定が増幅反応の飽和領域
で行なわれることである。
イム定量 この場合、PCR産物の生成はPCRの各サイクル毎に
モニターされる。増幅は通常、増幅反応中に蛍光シグナ
ルを測定するための追加装置を備えたサーマルサイクラ
ー中で測定される。この装置の代表例はRoche D
iagnostics LightCycler(カタ
ログ番号2 0110468)である。増幅産物は、例
えば標的核酸に結合した場合にのみ蛍光シグナルを発す
る蛍光標識ハイブリダイゼーションプローブを使って、
またある場合には二本鎖DNAに結合する蛍光色素を使
って検出される。解析対象である全ての反応について所
定のシグナル閾値を決定し、この閾値に達するのに必要
なサイクル数Cpを標的核酸および参照核酸(標準遺伝
子またはハウスキーピング遺伝子など)について決定す
る。標的分子の絶対的または相対的コピー数は標的核酸
および参照核酸について得られたCp値に基づいて決定
できる(Gibsonら、Genome Resear
ch 6:995−1001;Biecheら、Can
cer Research 59:2759−276
5、1999;国際公開第97/46707号パンフレ
ット;国際公開第97/46712号パンフレット;国
際公開第97/46714号パンフレット)。このよう
な方法はリアルタイムPCRとも呼ばれる。
量方法では、どの方法でも、増幅反応中に形成されるコ
ピー数が常に標準またはハウスキーピング遺伝子のRN
Aである参照核酸の生成コピー数に関係づけられる。こ
れに関連して、標的核酸と参照核酸のPCR効率は相違
しないと仮定されている。
倍増に相当する2.00のPCR効率が仮定される(U
ser Bulletin No. 2 ABI Pr
ism 7700、PE Applied Biosy
stems、1997)。
PCR産物の長さ、増幅対象の核酸のG/C含量および
二次構造ならびに試料調製の結果として反応混合物中に
存在しうる阻害因子などといった様々な要因による影響
を受けるので、真のPCR効率は2.00とは相違しう
ることが判明した。このことは、例えばハウスキーピン
グ遺伝子の発現量との比較による相対定量に際して非相
同参照核酸を使用する場合に、とりわけ問題になる。さ
らにまた、検出対象の標的核酸の初期濃度が増幅反応の
効率に有意な影響を及ぼすかどうかまたはどの程度の影
響を及ぼすかもわかっていない。
は、核酸増幅の効率を可能な限り正確に決定する方法
と、核酸の最も正確であろう定量方法におけるその使用
とを提供することであった。すなわち、本発明は、標的
核酸の増幅効率の決定方法を提供することを目的とす
る。また、本発明は、増幅反応の効率を前記方法により
決定し、定量に考慮する試料中の標的核酸の定量方法を
提供することを目的とする。
的は、 a)標的核酸の希釈系列を調製する工程、 b)標的核酸を予め選択した反応条件下で増幅する工
程、ここで、標的核酸の増幅をリアルタイムで測定す
る、 c)シグナル閾値を設定する工程、 d)各希釈物について前記シグナル閾値を超えるサイク
ル数を決定する工程、 e)標的核酸の初期(original)量の関数として増幅効
率を決定する工程、を含む標的核酸の増幅効率の決定方
法によって達成される。
条件は、用いる核酸に応じて任意に選択することができ
る。
えるサイクル数の関数として、増幅に使用した標的核酸
コピー数の対数の非線形連続微分可能関数を作成するこ
とによって決定することができ、増幅効率Eはこの関数
から標的核酸量の関数として計算される。この態様で
は、ある量の標的核酸の増幅効率Eは、工程e)で得ら
れる連続微分可能関数の負の局所一次導関数として決定
されることが好ましい。
ー数の対数の関数として、決定されたサイクル数の非線
形連続微分可能関数を作成し、決定された関数から増幅
効率Eを計算することによって、増幅効率を決定するこ
ともできる。この場合、ある量の標的核酸の増幅効率E
は、工程e)で得られる連続微分可能関数の負の局所一
次導関数の逆数として決定されることが好ましい。
能関数を決定し、増幅効率が標的核酸濃度の対数の関数
として決定される方法またはその逆の方法は、特に有益
であることが明らかになった。これは3次、4次、5
次、6次または7次の多項式フィットであってよく、4
次の多項式フィットが好ましい。
の標的核酸を定量するための方法は以下の工程からな
る: a)予め選択した条件下における標的核酸の増幅効率を
本発明に従って決定する工程、 b)上と同じ反応条件下で試料に含まれる標的核酸の増
幅を行なう工程、 c)上記の増幅をリアルタイムで測定する工程、 d)工程c)で得られた量を、決定した増幅効率を使っ
て補正することにより、試料中の標的核酸の初期量を定
量する工程。
スキーピング遺伝子の発現量との比較による相対定量に
も使用できる。
量方法は以下の工程からなる: a)予め選択した増幅条件下における標的核酸の増幅効
率および内部または外部標準の増幅効率を本発明に従っ
て決定する工程、 b)上と同じ反応条件下で試料に含まれる標的核酸の増
幅および内部または外部標準の増幅を行なう工程、 c)標的核酸および標準の増幅をリアルタイムで測定す
る工程、 d)工程c)で得られたコピー数を、工程a)で決定し
た増幅効率を使って補正することにより、試料中の初期
コピー数を計算する工程。
標的核酸の定量方法は以下の工程からなる: a)予め選択した増幅条件下における標的核酸の増幅効
率および参照核酸の増幅効率を本発明に従って決定する
工程、 b)上と同じ増幅条件下で試料に含まれる標的核酸の増
幅および試料に含まれる参照核酸の増幅を行なう工程、 c)標的核酸の増幅および参照核酸の増幅をリアルタイ
ムで測定する工程、 d)工程c)で得た比を、工程a)で決定した増幅効率
を使って補正することにより、試料中の標的核酸と参照
核酸との初期比を計算する工程。
果に、特に初期濃度に依存する定量結果に、間接的にの
み使用される全ての方法に関する。この意味で本発明は
特に、較正試料を基準として標準化される、参照核酸に
対する標的核酸の相対定量方法であって、以下の工程か
らなる方法に関する: a)標的核酸および参照核酸の共通する1つの希釈系列
または独立した2つの希釈系列を調製する工程、 b)予め選択した反応条件下で標的核酸および参照核酸
の希釈物の増幅を行なう工程、ここで、前記核酸の増幅
をリアルタイムで測定する、 c)標的核酸および参照核酸についてシグナル閾値を設
定する工程、 d)標的核酸および参照核酸ついて前記シグナル閾値を
超えるサイクル数Cpを各希釈物で決定する工程、 e)工程d)で決定したCp値の関数として、使用した
標的核酸量の対数の連続微分可能関数を決定し、かつ決
定したCp値の関数として、使用した参照核酸量の対数
の連続微分可能関数を決定する工程、 f)解析対象である試料中および較正試料中の標的核酸
および参照核酸のCp値を決定する工程、 g)工程f)で測定したCp値を、工程e)で決定した
関数の特定の関数値に割り当てる工程、 h)解析対象である試料および較正試料に関して、標的
核酸と参照核酸の工程g)で得た関数値の商を決定する
工程、 i)工程h)で得た商の比を、試料に含まれる標的DN
Aの初期量に関する尺度として決定する工程。
程、ここで、前記核酸の増幅をリアルタイムで測定す
る、 c)シグナル閾値を設定する工程、 d)各希釈物について前記シグナル閾値を超えるサイク
ル数を決定する工程、ならびに e)標的核酸の初期量の関数として増幅効率を決定する
工程、を含む、標的核酸の増幅効率の決定方法、 〔2〕 a)標的核酸の希釈系列を調製する工程、 b)標的核酸を予め選択した反応条件下で増幅する工
程、ここで、前記核酸の増幅をリアルタイムで測定す
る、 c)シグナル閾値を設定する工程、 d)各希釈物について前記シグナル閾値を超えるサイク
ル数を決定する工程、 e)前記シグナル閾値を超えるサイクル数の関数とし
て、増幅に使用された標的核酸のコピー数の対数の非線
形連続微分可能関数を決定する工程、ならびに f)工程e)で決定した関数から増幅効率Eを計算する
工程、を含む、標的核酸の増幅効率の決定方法、 〔3〕 a)標的核酸の希釈系列を調製する工程、 b)標的核酸を予め選択した反応条件下で増幅する工
程、ここで、前記核酸の増幅をリアルタイムで測定す
る、 c)シグナル閾値を設定する工程、 d)各希釈物について前記シグナル閾値を超えるサイク
ル数を決定する工程、 e)増幅に使用された標的核酸のコピー数の対数の関数
として、工程d)で決定したサイクル数の非線形連続微
分可能関数を決定する工程、ならびに f)工程e)で決定した関数から増幅効率Eを計算する
工程、を含む、標的核酸の増幅効率の決定方法、 〔4〕 増幅効率Eを工程e)で得た非線形連続微分可
能関数の負の局所1次導関数として決定する前記〔2〕
記載の方法、 〔5〕 増幅効率Eを工程e)で得た非線形連続微分可
能関数の局所1次導関数の逆数として決定する前記
〔3〕記載の方法、 〔6〕 工程e)で得た非線形連続微分可能関数を3
次、4次、5次、6次または7次の多項式フィットを用
いて決定する前記〔2〕〜〔5〕いずれか記載の方法、 〔7〕 a)予め選択した増幅条件下での標的核酸の増
幅効率および内部または外部標準の増幅効率を決定する
工程、 b)工程a)と同じ反応条件下で試料に含まれる標的核
酸の増幅および内部または外部標準の増幅を行なう工
程、 c)標的核酸および標準の増幅をリアルタイムで測定す
る工程、ならびに d)工程c)で得られたコピー数を、工程a)で決定し
た増幅効率を用いて補正することにより、試料中の初期
コピー数を計算する工程、を含む、試料中の標的核酸の
絶対定量方法、 〔8〕 a)予め選択した増幅条件下における標的核酸
の増幅効率および参照核酸の増幅効率を決定する工程、 b)工程a)と同じ増幅条件下で試料に含まれる標的核
酸の増幅および試料に含まれる参照核酸の増幅を行なう
工程、 c)標的核酸の増幅および参照核酸の増幅をリアルタイ
ムで測定する工程、 d)工程c)で得た比を、工程a)で決定した増幅効率
を用いて補正することにより、試料中の標的核酸と参照
核酸との初期比を計算する工程、を含む、参照核酸と比
較した試料中の標的核酸の定量方法、
希釈系列または独立した2つの希釈系列を調製する工
程、 b)予め選択した反応条件下で標的核酸および参照核酸
の希釈物の増幅を行なう工程、ここで、前記核酸の増幅
をリアルタイムで測定する、 c)標的核酸および参照核酸についてシグナル閾値を設
定する工程、 d)標的核酸および参照核酸ついて規定した前記シグナ
ル閾値を超えるサイクル数Cpを各希釈物で決定する工
程、 e)使用した標的核酸量の対数の関数として、工程d)
で決定したCp値の連続微分可能関数を決定し、かつ使
用した参照核酸量の対数の関数として、決定したCp値
の連続微分可能関数を決定する工程、 f)解析対象の試料中および較正試料中の標的核酸およ
び参照核酸のCp値を決定する工程、 g)工程f)で測定したCp値を、工程e)で決定した
関数の特定の関数値に割り当てる工程、 h)解析対象である試料および較正試料に関して、標的
核酸と参照核酸の工程g)で得た関数値の商を決定する
工程、 i)工程h)で得た2つの商の比を、試料に含まれる標
的核酸の初期量に関する尺度として決定する工程、を含
む、較正試料を用いて標準化する、参照核酸に対する標
的核酸の相対定量方法、 〔10〕 a)標的核酸および参照核酸の共通する1つ
の希釈系列または独立した2つの希釈系列を調製する工
程、 b)予め選択した反応条件下で標的核酸および参照核酸
の希釈物の増幅を行なう工程、ここで、前記核酸の増幅
をリアルタイムで測定する、 c)標的核酸および参照核酸についてシグナル閾値を設
定する工程、 d)標的核酸および参照核酸ついて規定した前記シグナ
ル閾値を超えるサイクル数Cpを各希釈物で決定する工
程、 e)工程d)で決定したCp値の関数として、使用した
標的核酸量の対数の連続微分可能関数を決定し、かつ決
定したCp値の関数として、使用した参照核酸量の対数
の連続微分可能関数を決定する工程、 f)解析対象である試料中および較正試料中の標的核酸
および参照核酸のCp値を決定する工程、 g)工程f)で測定したCp値を工程e)で決定した関
数の特定の関数値に割り当てる工程、 h)解析対象である試料および較正試料に関して、標的
核酸と参照核酸の工程g)で得た関数値の商を計算する
工程、 i)工程h)で得た2つの商の比を、試料中に含まれる
標的核酸の初期量に関する尺度として決定する工程、を
含む、較正試料を用いて標準化する、参照核酸に対する
標的核酸の相対定量方法、 〔11〕 工程e)で得た連続微分可能関数を3次、4
次、5次、6次または7次の多項式フィットを用いて決
定する前記
ハイブリダイゼーションプローブを用いて検出する前記
〔1〕〜〔11〕いずれか記載の方法、 〔13〕 増幅された核酸をFRETハイブリダイゼー
ションプローブ、分子ビーコンまたはTaqManプロ
ーブを用いて検出する前記〔12〕記載の方法、ならび
に 〔14〕 増幅された核酸をDNA結合性色素を用いて
検出する前記〔1〕〜〔11〕いずれか記載の方法、に
関する。
を誤差の計算によって例証する。表1は、各サイクル数
に関して増幅効率が2.00でない場合に、決定される
コピー数の平均誤差率の理論的計算値を表す。誤差は次
式に従って計算される:
て決定できる。
ングの場合、これは、各増幅サイクルで増幅される標的
核酸の量を決定し、得られた値から増幅反応の効率を決
定することによって達成できる。
は、その標的核酸の様々な希釈物をまず増幅し、各希釈
物について予め確定しておいたシグナル閾値を超えるサ
イクル数を決定することにより、予め選択した条件下に
おけるリアルタイムPCR法で決定することができる。
クル数に対する使用コピー数の対数の関数の傾きから、
効率が決定される。この方法の利点は、標的核酸の指数
的増幅がもはや起こっていないPCR反応の局面(プラ
トー期)での増幅効率を決定することに起因する系統誤
差が起こりえないことである。
率が標的核酸の初期量にも依存しうることが明らかにな
った。増幅効率の明らかな変化は、対応する実験調製物
において、特に低濃度で認められる。その結果、上記の
効率決定方法では線形関数が得られないので、その場合
は例えば上述した回帰直線の傾きの決定では、決定され
る増幅効率の値が、特に低濃度の標的核酸では低すぎる
ことになるだろう。
で、増幅反応の初期サイクル中はまだ指数期にあるが、
それでも既に増幅効率の変化を除外することは不可能で
ある。しかしこの現象は検出感度の不足が理由で直接実
験的に解析することはできないので、以下の説明では濃
度依存性増幅効率とは各検出時点での経過サイクル数に
よって決定される増幅効率と理解される。
て、増幅効率が、 a)標的核酸の希釈系列を調製する工程、 b)予め選択した反応条件下で標的核酸を増幅する工
程、ここで、標的核酸の増幅をリアルタイムで測定す
る、 c)シグナル閾値を設定する工程、 d)各希釈物について前記シグナル閾値を超えるサイク
ル数Cpを決定する工程、ならびに e)増幅効率を標的核酸量の関数として決定する工程、
から決定される方法に関する。
える時のコピー数の関数としての、増幅に使用した標的
核酸コピー数の対数の非線形連続微分可能関数、または
それぞれの場合に使用した標的核酸コピー数の対数の関
数としての、決定されたサイクル数の非線形連続微分可
能関数と、(2)決定された関数から増幅効率Eを計算
することにより、標的核酸の初期量の関数として決定す
ることができる。個々の増幅効率は、本発明により各々
の場合に使用される標的核酸の量の関数として決定され
る。
ムによって決定される。例えば関数は高次の多項式フィ
ットによって記述することができる。関数を計算するに
は3次、4次、5次、6次または7次の多項式フィット
が適しており、4次の多項式フィットが好ましいことが
明らかになった。
対数の関数としてのCp値の連続微分可能関数F(C
p)の導関数またはその逆によって決定できる。
きる:
的核酸の増幅効率Eが、先に決定した連続微分可能関数
の負の局所一次導関数として決定される。
することもできる:
的核酸の増幅効率Eは、先に決定した連続微分可能関数
の負の局所一次導関数の逆数として決定される。
定量は原則として絶対定量方法にも相対定量方法にも使
用できる。さらにこのような効率補正は、標的核酸と参
照核酸に関する検出感度の相違の影響を排除するため
に、いわゆる較正試料に基づいて相対定量が標準化され
る方法でも特に有益である(ABI Prism 77
00 Application Manual、Per
kin Elmer)。
定しようとする場合、本発明による試料中の標的核酸定
量方法は、以下の工程からなる: a)標的核酸の増幅効率および内部または外部標準の増
幅効率を、それぞれの初期濃度の関数として、予め選択
した増幅条件下で決定する工程、 b)試料に含まれる標的核酸の増幅および内部または外
部標準の増幅を、上と同じ反応条件下で行なう工程、 c)標的核酸および標準の増幅をリアルタイムで測定す
る工程、 d)工程c)で得られたコピー数を、工程a)で決定し
た増幅効率を使って補正することにより、試料中の初期
コピー数を計算する工程。
に同一であることが有利である。しかし内部標準の配列
を選択する場合、利用可能な検出系が標準と標的核酸と
を識別できることを考慮しなければならない。例えばこ
れは、標的核酸と内部標準の検出に異なる標識を持つハ
イブリダイゼーションプローブを使用することによって
達成できる。これには、点突然変異などの最低限の配列
相違を識別するために使用できるオリゴヌクレオチドを
検出プローブとして使用することが理想的である。
に存在する阻害因子が標準の増幅にも影響することであ
る。したがって増幅効率の相違を最小にすることができ
る。
酸と標準の増幅反応がその効率に関して互いに競争的に
干渉し合うことがあり得ないという利点がある。さらに
また、標準の増幅生成物と標的核酸の増幅生成物を並行
反応混合物中で、同じ検出系を使って、例えば同じハイ
ブリダイゼーションプローブを使って検出することがで
きる。短所は、試料中の阻害因子によるPCR効率の相
違が考えられることである。しかしこれによって起こる
定量誤差は本発明の効率補正によって排除することがで
きる。
酸と比較した試料中の標的核酸の定量方法であって、以
下の工程を含む方法である: a)標的核酸の増幅効率と参照核酸の増幅効率を、それ
ぞれの初期濃度の関数として、予め選択した増幅条件下
で決定する工程、 b)試料に含まれる標的核酸の増幅と試料に含まれる参
照核酸の増幅とを、上と同じ増幅条件下で行なう工程、 c)標的核酸の増幅と参照核酸の増幅をリアルタイムで
測定する工程、 d)工程c)で得られた比を、工程a)で決定した増幅
効率を使って補正することにより、試料中の標的核酸と
参照核酸の初期比を計算する工程。
試料中に存在するかもしれない阻害因子の影響を排除
し、他方では標的核酸と参照核酸とで増幅効率が異なる
結果として起こるかもしれない誤差を補正するものであ
る。
できない要件は、標的核酸の増幅効率と参照核酸の増幅
効率とが、最初に存在した標的核酸量および参照核酸量
の関数として決定されることである。これらの決定はど
ちらも、上述の方法により、一定のシグナル閾値を超え
るサイクル数を決定することによって行なわれることが
好ましい。
2等分し、標的核酸および参照核酸の増幅のリアルタイ
ム測定を別個の反応容器で行なう。これにより、標的核
酸の増幅反応と参照核酸の増幅反応とが、例えばデオキ
シヌクレオチドまたはTaqポリメラーゼに関する競争
などによってその効率に関して干渉し合うことが防止さ
れる。さらに標的核酸と参照核酸とを同じ検出系を使っ
て、例えば同じDNA結合性色素を使って検出すること
ができる。
参照核酸の増幅のリアルタイム測定を、異なる標識がな
されたハイブリダイゼーションプローブを使って、同じ
反応容器中で1つの試料から行なうこともできる。こう
することで必要なPCR反応の数を半分にすることがで
きるので、これは少量の試料しか利用できない場合は特
に有利である。
する並行混合物で行なうことが有利である。較正試料
は、各測定で一定である、所定の比率の標的核酸と参照
核酸を含有する試料である。次に、試料と較正試料につ
いてそれぞれ決定された商の比を、試料中の標的核酸の
初期量の尺度として決定する。これには、さらに標的核
酸と参照核酸との検出感度の相違による他の系統誤差も
排除されるという利点がある。このような系統誤差は例
えばハイブリダイゼーションプローブのハイブリダイゼ
ーション特性の相違、また蛍光標識プローブの場合は、
励起効率、量子収率またはプローブへの色素のカップリ
ング効率の相違の結果などとして起こりうる。したがっ
て、試験対象の試料と較正試料とは、各実験毎に同じ検
出試薬を使って、すなわち同じバッチの蛍光標識ハイブ
リダイゼーションプローブを使って解析しなければなら
ない。
て多くの異なる方法で標識することができるハイブリダ
イゼーションプローブによって増幅産物が検出される、
上記効率補正核酸定量方法の態様に関する。
幅効率自体の決定に欠くことのできない条件は、シグナ
ル閾値を設定し、次に各増幅反応について、あるシグナ
ル閾値に達するサイクル数を決定することである。シグ
ナル閾値は先行技術に従って様々な方法で決定できる。
ックグラウンドシグナルの統計的分散の一定倍に相当す
るシグナルとすることができる(ABI Prism
7700 Application Manual、P
erkin Elmer)。
超えるサイクル数を、いわゆる「フィットポイントアバ
ーブスレショルド(fit point above
threshold)」法(LightCycler
Operators Manual、B59−B68、
Roche Molecular Biochemic
als、1999)に従って決定することもできる。
とは無関係に増幅反応の経過がサイクル数の関数として
決定され、次いでn次導関数が計算される場合は、閾値
を絶対値ではなく相対値として決定することもできる。
この場合は、一定の極値の超過を、あるシグナル閾値の
超過と定義することができる(欧州特許出願番号001
06523.4)。したがって、この閾値決定方法は例
えば蛍光シグナルなどの絶対シグナル強度とは無関係で
ある。したがってこれは、標的核酸と参照核酸とが同じ
反応容器中で増幅され異なる蛍光標識を使って検出され
る態様に特に適している。二次導関数の極大をシグナル
閾値の尺度として決定する方法が、PCR産物の効率補
正定量には特に適していることが明らかになった。
ーションプローブは通常、増幅反応のアニーリング温度
で標的核酸にハイブリダイズする一本鎖DNAまたはR
NAなどの一本鎖核酸もしくはその誘導体またはPNA
である。これらのオリゴヌクレオチドは通常20〜10
0ヌクレオチドの長さを持つ。
オチドの任意のリボース基またはリン酸基に導入でき
る。核酸分子の5’および3’末端の標識が好ましい。
応で検出されなければならない。これは例えばNMRに
よって検出できる標識を使って行なうことも原則として
可能である(ただしこれに限るわけではない)。
識ハイブリダイゼーションプローブを使って検出される
方法が特に好ましい。
の検出形式は本発明との関連で特に適していることが明
らかになった:
ローブ この試験形式の場合、増幅された標的核酸の同じ鎖の隣
り合った部位に相補的な2本の一本鎖ハイブリダイゼー
ションプローブを同時に使用する。双方のプローブは異
なる蛍光成分で標識される。適切な波長の光で励起する
と、蛍光共鳴エネルギー移動の原理に従って、第一成分
が吸収されたエネルギーを第二成分に伝達するので、両
方のハイブリダイゼーションプローブが検出対象の標的
分子の隣り合った位置に結合すると、第二成分の蛍光放
射を測定できる。
マーと1本の標識オリゴヌクレオチドプローブだけを使
用することも可能である(Bernardら、Anal
ytical Biochemistry 235、1
001−107頁(1998))。
ョンプローブ 1つの一本鎖ハイブリダイゼーションプローブを2つの
成分で標識する。第一成分を適切な波長の光で励起する
と、吸収されたエネルギーが蛍光共鳴エネルギー移動の
原理に従っていわゆる消光成分である第二成分に移動す
る。このハイブリダイゼーションプローブはPCR反応
のアニーリング工程で標的DNAに結合し、それに続く
伸長期にTaqポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレ
アーゼ活性によって分解される。その結果、励起された
蛍光成分と消光成分は空間的に互いに分離されるので、
第一成分の蛍光放射を測定することができる。
よび消光成分で標識され、これらの標識はそのプローブ
の両端に位置することが好ましい。プローブの二次構造
の結果、両成分は溶液状態では空間的に近傍にある。標
的核酸へのハイブリダイゼーション後は、両成分が互い
に分離されるので、適切な波長の光による励起後に、第
一成分の蛍光放射を測定することができる(Lizar
diら、米国出願第5,118,801号)。
標準だけがそれぞれ1つの反応容器で増幅される上記の
態様では、二本鎖核酸と相互作用すると適切な波長の光
での励起後に対応する蛍光シグナルを放射するDNA結
合性色素によって、各増幅産物を本発明に従って検出す
ることもできる。色素SybrGreen(好ましく
は、SybrGreenI)およびSybrGold
(Molecular Probes)はこの用途に特
に適していることがわかった。これに代えて挿入性色素
を使用することもできる。
して、本発明の方法は以下の工程からなる: a)標的核酸の増幅効率および内部または外部標準の増
幅効率を、各初期量の関数として、予め選択した増幅条
件下で決定する工程、 b)試料に含まれる標的核酸の増幅および内部または外
部標準の増幅を上と同じ反応条件下で行なう工程、 c)標的核酸および標準の増幅をリアルタイムで測定す
る工程、 d)シグナル閾値を決定する工程、 e)標的核酸および標準の増幅中にそれぞれシグナル閾
値を超えるサイクル数を決定する工程、 f)試料中の標的核酸の初期コピー数N(T)0 を次式
に従って決定する工程:
り、
設定したので、これは次式にほぼ等しくなる。
初期コピー数は次式に従って計算される。
の一態様として、本発明の方法は以下の工程からなる: a)標的核酸の増幅効率および内部または外部標準の増
幅効率を、各初期量の関数として、予め選択した増幅条
件下で決定する工程、 b)試料に含まれる標的核酸の増幅および内部または外
部標準の増幅を上と同じ反応条件下で行なう工程、 c)標的核酸および標準の増幅をリアルタイムで測定す
る工程、 d)シグナル閾値を決定する工程、 e)標的核酸および標準の増幅中にそれぞれシグナル閾
値を超えるサイクル数を決定する工程、 f)試料中の標的核酸の初期コピー数N(T)0 を次式
に従って決定する工程:
の増幅効率は、一定のシグナル閾値を超えるサイクル数
を決定することにより、上記のように決定されることが
好ましい。
算される:
設定したので、これは次式にほぼ等しくなる:
初期コピー数は次式に従って計算される。
先行技術で利用できるどの検出系の検出限界よりもさら
に低いために、各増幅反応の初期サイクルの効率を決定
できないことである。
後のサイクルについて決定される全ての効率の相乗平均
Πとして近似することができる。あるいは、ある初期サ
イクルの決定不可能な効率は、増幅産物が検出可能にな
った最初のサイクルについて決定される効率に等しいと
考えることもできる。
らなる、参照核酸と比較した試料中の標的核酸の定量方
法である: a)標的核酸の増幅効率および参照核酸の増幅効率を、
各初期量の関数として、予め選択した増幅条件下で決定
する工程、 b)試料に含まれる標的核酸の増幅と試料に含まれる参
照核酸の増幅を上と同じ増幅条件下で行なう工程、 c)標的核酸および参照核酸の増幅をリアルタイムで測
定する工程、 d)シグナル閾値を決定する工程、 e)標的核酸および参照核酸の増幅の際にそれぞれシグ
ナル閾値を超えるサイクル数を決定する工程、 f)試料中の標的核酸および参照核酸の初期比を次式に
従って計算する工程:
り、
設定したので、これは次式にほぼ等しくなる:
初期コピー数は次式に従って計算される。
の一態様として、本発明の方法は以下の工程からなる: a)標的核酸の増幅効率および参照核酸の増幅効率を、
初期量の関数として、予め選択した増幅条件下で決定す
る工程、 b)試料に含まれる標的核酸の増幅と試料に含まれる参
照核酸の増幅を上と同じ増幅条件下で行なう工程、 c)標的核酸および参照核酸の増幅をリアルタイムで測
定する工程、 d)シグナル閾値を決定する工程、 e)標的核酸および参照核酸の増幅の際にそれぞれシグ
ナル閾値を超えるサイクル数を決定する工程、 f)試料中の標的核酸と参照核酸の初期比を次式に従っ
て決定する工程:
に決定される:
閾値を設定するので、近似的に
比に関する式(4)から出発すると、これは次式を与え
る。
できない初期の一サイクルの効率は、その後のサイクル
に関して決定されるすべての効率の相乗平均Πと考える
ことができる。あるいは、初期の一サイクルの効率は増
幅産物が検出可能になった最初のサイクルについて決定
された効率に等しいと考えることもできる。
化 しかし、N(T)n =N(R)n という近似は標的核酸
と参照核酸が異なる感度で検出される場合にしか当ては
まらない。
誤差を排除するには、上述した方法の工程b)、c)、
e)およびf)をさらに較正試料を使って行ない、次い
で試料について決定した商と較正試料について決定した
商の比を、試料中の標的核酸の初期量の尺度として決定
することが有利である。
応混合物で測定し、試料中の標的核酸の初期量の尺度と
して、試料と較正試料に関して商N(T)0 /N(R)
0 の比を決定する。
に「A 」、較正試料に「K 」という添字を用いて式
(4)から次の式が得られる。
グナル閾値を定めたことならびに試料中および較正試料
中の標識アンプリコンと参照アンプリコンの検出には同
じ薬剤を使用することから、試料と較正試料に関して決
定される商の比は次の通りである:
料の商の比は、
数に関して、増幅効率の相違および検出感度の相違によ
る系統誤差が排除された相対値を得ることができる。決
定される値が正確であるための唯一の必要条件は、完全
に同一な緩衝液条件の下では増幅効率および検出効率も
様々な反応容器で同一であるという妥当な仮定である。
補正 さらに本発明による濃度依存性効率補正は、増幅効率が
直接的に決定されるのではなく定量結果に間接的に組み
込まれる定量方法にも適している。
違の影響を排除するために較正試料に基づいて結果が標
準化される相対定量方法などが、これに当てはまりう
る。
標準化される、参照核酸に対する標的核酸の相対定量方
法であって、以下の工程からなる方法をも包含する: a)標的核酸および参照核酸の共通する1つの希釈系列
または独立した2つの希釈系列を調製する工程、 b)予め選択した反応条件下で標的核酸および参照核酸
の様々な希釈物の増幅を行なう工程、ここで、前記核酸
の増幅をリアルタイムで測定する、 c)標的核酸および参照核酸についてシグナル閾値を設
定する工程、 d)標的核酸および参照核酸ついて前記シグナル閾値を
超えるサイクル数Cpを各希釈物で決定する工程、 e)工程d)で決定したCp値の連続微分可能関数を、
使用した標的核酸量の対数の関数として決定し、決定し
たCp値の連続微分可能関数を、使用した参照核酸量の
対数の関数として決定する工程、 f)解析対象である試料中および較正試料中の標的核酸
および参照核酸についてCp値を決定する工程、 g)工程f)で測定したCp値を工程e)で決定した関
数の特定の関数値に割り当てる工程、 h)解析対象である試料および較正試料に関して、標的
核酸と参照核酸の工程g)で得た関数値の商を計算する
工程、 i)工程h)で得た商の比を、試料中に最初に存在した
標的DNA量に関する尺度として決定する工程。
明の方法は、較正試料に基づいて標準化される、参照核
酸に対する標的核酸の、以下の工程からなる相対定量に
も使用できる: a)標的核酸および参照核酸の共通する1つの希釈系列
または独立した2つの希釈系列を調製する工程、 b)予め選択した反応条件下で標的核酸および参照核酸
の様々な希釈物の増幅を行なう工程、ここで、前記核酸
の増幅をリアルタイムで測定する、 c)標的核酸および参照核酸についてシグナル閾値を設
定する工程、 d)標的核酸および参照核酸ついて前記シグナル閾値を
超えるサイクル数Cpを各希釈物で決定する工程、 e)使用した参照核酸量の対数の連続微分可能関数を、
工程d)で決定したCp値の関数として決定し、使用し
た参照核酸量の対数の連続微分可能関数を、決定したC
p値の関数として決定する工程、 f)解析対象である試料中および較正試料中の標的核酸
および参照核酸についてCp値を決定する工程、 g)工程f)で測定したCp値を工程e)で決定した関
数の特定の関数値に割り当てる工程、 h)解析対象である試料および較正試料に関して、標的
核酸と参照核酸の工程g)で得た関数値の商を計算する
工程、 i)工程h)で得た商の比を、試料中に最初に存在した
標的DNA量に関する尺度として決定する工程。
ありうる工程e)の連続微分関数は、好ましくは3次、
4次、5次、6次または7次の多項式フィットを使って
決定される。
である程度は、希釈系列中の標的核酸および参照核酸の
初期濃度に依存する。低い初期濃度では、各濃度の対数
と各濃度で測定されるCp値の間に線形関係はないと仮
定できるだろう。これとは別に、上記の関数の形状は各
実験条件および各標的配列にも依存し、したがってこれ
らの関数は実験的に決定する必要があり、理論的考察に
基づいて引き出すことはできない。
増幅効率が解析対象である標的核酸または参照核酸の初
期量と関係して変化する場合にも使用できる。その結
果、標的核酸および参照核酸の各初期コピー数に対する
増幅効率の依存性が間接的に考慮される。したがって本
発明の定量方法により、決定すべき標的核酸の初期濃度
が低くても、それを高い正確度で決定することができ
る。
得られる:
列について測定されるサイクル数(Cp値)に基づい
て、関数(以下、これを較正曲線という)が作成され
る。この較正曲線は個々の測定値から数学的方法を使っ
て(例えば多項式フィットを使って)計算される。標的
核酸の初期濃度が異なっても効率が一定のままであるな
ら、較正曲線は線形関数である。
る。所定のシグナル閾値を超えるサイクル数をグラフの
横軸にプロットする。ある相対濃度の対数をグラフの縦
軸にプロットする(対数の底数は、各実験反応内で変え
ない限り、無作為に選択できる)。ちなみに相対濃度と
は、各検出効率に依存するが実際に使用された標的核酸
および参照核酸の量に比例する、単位を持たない次元で
あると理解される。(図1の例では、参照核酸の増幅効
率は様々な希釈物で一定のままである。しかし、これに
比して、標的核酸の増幅効率は低濃度では増加してい
る。)
は、確定したシグナル閾値を越えるサイクル数(Cp
値)が標的核酸と参照核酸に関して決定される(それぞ
れCp (TAR) およびCp(REF) )。先に決定した較正曲
線に基づいて、関数値log(Rconc(Tar))
およびlog(Rconc(Ref))が、試料に関し
て決定されたサイクル数Cp(TAR) およびCp(REF) に
割り当てられる。
酸に関する検出効率の相違の影響を排除することが有利
である。これはいわゆる較正試料を使って達成すること
ができる。したがって標的核酸と参照核酸に関するCp
値は較正試料についても解析対象である試料と同じ方法
で決定され、やはり対応する関数値に割り当てられる。
効率が一定のままである、すなわち実験的に決定される
相対濃度は各試料中に実際に存在する標的および参照核
酸のコピー数に比例すると考える。したがって、まず以
下の式が較正試料を含む任意の試料に当てはまる:
検出効率に依存する量である。言い換えると、これらの
定数は蛍光標識の量子収率の相違またはハイブリダイゼ
ーションプローブのハイブリダイゼーション速度の相違
などといった因子を考慮するものであり、したがって通
常は同一ではない。
形成させる。
出試薬を使用するので、この等式はどちらの試料にも等
しく当てはまる。
決定した2つの商の比を決定する:
除することができる:
対濃度の比を、較正試料における参照核酸に対する標的
核酸の相対濃度の比に基づいて標準化したものは、解析
対象である個々の試料中の標的核酸と参照核酸の絶対コ
ピー数の比に等しいことになる。
方で、PCR反応の効率の相違が、その効率を直接決定
する必要なく考慮され、ならびに(2)他方では、制御
できない様々な因子に依存する検出効率の影響が較正試
料を使用することで排除される、という、核酸の正確な
相対定量方法である。
る。
とポルホビリノゲンデアミナーゼ(PBGD)cDNA
の増幅 HeLa細胞株、副腎組織および脳組織から単離された
3種類の市販(Clontech社製)の全RNAか
ら、以下の条件で、逆転写酵素反応を使ってcDNAを
合成した: 1μg 全RNA 1×AMV反応緩衝液 5mM MgCl2 1mM デオキシヌクレオチド混合物 0.0625mM 無作為化ヘキサマー 50ユニット RNアーゼ 10ユニット AMV逆転写酵素 H2 Oで20μl
℃で10分間、42℃で60分間および95℃で5分間
インキュベートした。次に、それらを4℃に冷却した。
oche DiagnosticsGmbH社製)で増
幅反応を行ない、その増幅反応をFRET HybPr
obe形式にてリアルタイムで測定した。各混合物を次
の条件で増幅した: 1×LC−ファーストスタートDNA−マスターハイブ
リダイゼーションプローブズ(Roche Diagn
ostics GmbH社製) 3mM MgCl2 0.5mMの各プライマー 0.2μM フルオレセインプローブ 0.2μM LC−RED640プローブ H2 Oで20μl
には配列番号:1および配列番号:2のプライマーを使
用した。CycA産物を配列番号:3のフルオレセイン
標識プローブと配列番号:4のLC−RED640標識
プローブとを使って検出した。PBGD配列(ポルホビ
リノゲンデアミナーゼ)の増幅には配列番号:5および
配列番号:6のプライマーを使用した。PBGD産物は
配列番号:7のフルオレセイン標識プローブと配列番
号:8のLC−RED640標識プローブとを使って検
出した。
PCR条件で増幅した:
造者の使用説明書に従って蛍光測定を行なった。シグナ
ル閾値(Cp値)をサイクル数の関数としての増幅反応
の2次導関数の最大値として決定した。
効率の決定 CycAおよびPBGDの増幅効率を決定するために、
HeLa全RNAから合成したcDNAを1:5倍段階
希釈(合計5希釈段階)した。LightCycerで
各希釈段階についてシグナル閾値(Cp値)の三重決定
を行なった。これをCycAとPBGDの両方について
行なった。
数Cpが各濃度について使用したcDNA濃度の常用対
数の関数として決定される2つの異なる関数を作成し
た。
て、標的核酸と参照核酸に関する2つの各増幅効率を次
式に従って決定した。
図2および3に示す関数の回帰直線の傾きとして決定し
た。このようにして標的核酸CysAについては効率E
=2.62が決定され、参照核酸PBGDについては効
率E=1.97が決定された。
を使った非線形関数の作成 同じ測定値を使って、4次の多項式フィットを計算する
ことにより、決定された相対濃度の対数−対−測定され
たCp値の標的核酸関数および参照核酸関数を作成し
た。これらの関数を図4(標的核酸)および5(参照核
酸)に示す。
フィットパラメーターは: A(オフセット)=11.3974946 B(一次)=−0.1 C(二次)=−0.0721349 D=0.0044516 E=−8.214E−05 であった。
メーターは: A(オフセット)=9.98347024 B(一次)=−0.29359011 C=0 D=0 E=0 であった。
からわかるように、これは参照核酸に関してほとんど線
形の関数をもたらす。その結果、測定した濃度範囲での
参照核酸の増幅はほとんど一定の効率で起こる。
Cp値では非線形関数が決定された。したがって測定し
たCycA濃度範囲での増幅反応の効率は試料中に存在
する初期コピー数に有意に依存する。
び増幅効率の間接的補正なしの較正試料で標準化した標
的核酸と参照核酸の初期比の決定 実施例1に記載の条件では、決定されるCycAとPB
GDの初期量の比は使用する試料の各増幅量とは無関係
であるべきである。したがって様々な量の試料RNAの
比の決定を使用して、得られる測定値に基づいて、効率
補正の効果を調べた。
酸(CycA)と参照核酸(PBGD)の初期比を、そ
れぞれのcDNAについて3つの希釈段階を使用して決
定した(各希釈段階について二重決定を行なった)。測
定データから解析試料と較正試料の間でCycAとPB
GDの相対濃度の比の商を決定した。HeLa細胞から
得られた全RNAを較正試料として使用した。この決定
は、一方ではCycAとPBGDについて2.00の増
幅効率を仮定して、また他方では実施例2で決定した線
形および非線形関数を使って行なった。
酸の比を示す。
腎組織および脳組織)について本発明の非線形効率補正
後に決定された値は、効率補正なしの同じ値と比較して
約1/3の変動係数を持ち、線形効率補正を行なった同
じ値と比較して約1/2の変動係数を持つ。また、初期
濃度の関数としての較正試料標準化標的/参照比の最大
誤差率も、2つの標的RNAに関する本発明の非線形効
率補正により、線形効率補正と比較してまたは効率補正
なしの方法と比較して有意に減少する。これらの結果
は、本発明の方法が、較正試料を使って標準化が行なわ
れる方法で特に有利であることを示している。
れたプライマーである。
づいて設計されたプライマーである。
づいて設計されたプローブである。
づいて設計されたプローブである。
づいて設計されたプライマーである。
づいて設計されたプライマーである。
づいて設計されたプローブである。
づいて設計されたプローブである。
な限り正確に決定する方法と、核酸の最も正確であろう
定量方法におけるその使用とが提供される。
度の対数を決定するための較正曲線の例示である。
効率の決定を示す図である。
効率の決定を示す図である。
Aの増幅に関する効率補正を示す図である。
Dの増幅に関する効率補正を示す図である。
Claims (14)
- 【請求項1】 a)標的核酸の希釈系列を調製する工
程、 b)標的核酸を予め選択した反応条件下で増幅する工
程、ここで、前記核酸の増幅をリアルタイムで測定す
る、 c)シグナル閾値を設定する工程、 d)各希釈物について前記シグナル閾値を超えるサイク
ル数を決定する工程、ならびに e)標的核酸の初期量の関数として増幅効率を決定する
工程、を含む、標的核酸の増幅効率の決定方法。 - 【請求項2】 a)標的核酸の希釈系列を調製する工
程、 b)標的核酸を予め選択した反応条件下で増幅する工
程、ここで、前記核酸の増幅をリアルタイムで測定す
る、 c)シグナル閾値を設定する工程、 d)各希釈物について前記シグナル閾値を超えるサイク
ル数を決定する工程、 e)前記シグナル閾値を超えるサイクル数の関数とし
て、増幅に使用された標的核酸のコピー数の対数の非線
形連続微分可能関数を決定する工程、ならびに f)工程e)で決定した関数から増幅効率Eを計算する
工程、を含む、標的核酸の増幅効率の決定方法。 - 【請求項3】 a)標的核酸の希釈系列を調製する工
程、 b)標的核酸を予め選択した反応条件下で増幅する工
程、ここで、前記核酸の増幅をリアルタイムで測定す
る、 c)シグナル閾値を設定する工程、 d)各希釈物について前記シグナル閾値を超えるサイク
ル数を決定する工程、 e)増幅に使用された標的核酸のコピー数の対数の関数
として、工程d)で決定したサイクル数の非線形連続微
分可能関数を決定する工程、ならびに f)工程e)で決定した関数から増幅効率Eを計算する
工程、を含む、標的核酸の増幅効率の決定方法。 - 【請求項4】 増幅効率Eを工程e)で得た非線形連続
微分可能関数の負の局所1次導関数として決定する請求
項2記載の方法。 - 【請求項5】 増幅効率Eを工程e)で得た非線形連続
微分可能関数の局所1次導関数の逆数として決定する請
求項3記載の方法。 - 【請求項6】 工程e)で得た非線形連続微分可能関数
を3次、4次、5次、6次または7次の多項式フィット
を用いて決定する請求項2〜5いずれか記載の方法。 - 【請求項7】 a)予め選択した増幅条件下での標的核
酸の増幅効率および内部または外部標準の増幅効率を決
定する工程、 b)工程a)と同じ反応条件下で試料に含まれる標的核
酸の増幅および内部または外部標準の増幅を行なう工
程、 c)標的核酸および標準の増幅をリアルタイムで測定す
る工程、ならびに d)工程c)で得られたコピー数を、工程a)で決定し
た増幅効率を用いて補正することにより、試料中の初期
コピー数を計算する工程、を含む、試料中の標的核酸の
絶対定量方法。 - 【請求項8】 a)予め選択した増幅条件下における標
的核酸の増幅効率および参照核酸の増幅効率を決定する
工程、 b)工程a)と同じ増幅条件下で試料に含まれる標的核
酸の増幅および試料に含まれる参照核酸の増幅を行なう
工程、 c)標的核酸の増幅および参照核酸の増幅をリアルタイ
ムで測定する工程、 d)工程c)で得た比を、工程a)で決定した増幅効率
を用いて補正することにより、試料中の標的核酸と参照
核酸との初期比を計算する工程、を含む、参照核酸と比
較した試料中の標的核酸の定量方法。 - 【請求項9】 a)標的核酸および参照核酸の共通する
1つの希釈系列または独立した2つの希釈系列を調製す
る工程、 b)予め選択した反応条件下で標的核酸および参照核酸
の希釈物の増幅を行なう工程、ここで、前記核酸の増幅
をリアルタイムで測定する、 c)標的核酸および参照核酸についてシグナル閾値を設
定する工程、 d)標的核酸および参照核酸ついて規定した前記シグナ
ル閾値を超えるサイクル数Cpを各希釈物で決定する工
程、 e)使用した標的核酸量の対数の関数として、工程d)
で決定したCp値の連続微分可能関数を決定し、かつ使
用した参照核酸量の対数の関数として、決定したCp値
の連続微分可能関数を決定する工程、 f)解析対象の試料中および較正試料中の標的核酸およ
び参照核酸のCp値を決定する工程、 g)工程f)で測定したCp値を、工程e)で決定した
関数の特定の関数値に割り当てる工程、 h)解析対象である試料および較正試料に関して、標的
核酸と参照核酸の工程g)で得た関数値の商を決定する
工程、 i)工程h)で得た2つの商の比を、試料に含まれる標
的核酸の初期量に関する尺度として決定する工程、を含
む、較正試料を用いて標準化する、参照核酸に対する標
的核酸の相対定量方法。 - 【請求項10】 a)標的核酸および参照核酸の共通す
る1つの希釈系列または独立した2つの希釈系列を調製
する工程、 b)予め選択した反応条件下で標的核酸および参照核酸
の希釈物の増幅を行なう工程、ここで、前記核酸の増幅
をリアルタイムで測定する、 c)標的核酸および参照核酸についてシグナル閾値を設
定する工程、 d)標的核酸および参照核酸ついて規定した前記シグナ
ル閾値を超えるサイクル数Cpを各希釈物で決定する工
程、 e)工程d)で決定したCp値の関数として、使用した
標的核酸量の対数の連続微分可能関数を決定し、かつ決
定したCp値の関数として、使用した参照核酸量の対数
の連続微分可能関数を決定する工程、 f)解析対象である試料中および較正試料中の標的核酸
および参照核酸のCp値を決定する工程、 g)工程f)で測定したCp値を工程e)で決定した関
数の特定の関数値に割り当てる工程、 h)解析対象である試料および較正試料に関して、標的
核酸と参照核酸の工程g)で得た関数値の商を計算する
工程、 i)工程h)で得た2つの商の比を、試料中に含まれる
標的核酸の初期量に関する尺度として決定する工程、を
含む、較正試料を用いて標準化する、参照核酸に対する
標的核酸の相対定量方法。 - 【請求項11】 工程e)で得た連続微分可能関数を3
次、4次、5次、6次または7次の多項式フィットを用
いて決定する請求項9〜10いずれか記載の方法。 - 【請求項12】 増幅された核酸を少なくとも1つの蛍
光標識ハイブリダイゼーションプローブを用いて検出す
る請求項1〜11いずれか記載の方法。 - 【請求項13】 増幅された核酸をFRETハイブリダ
イゼーションプローブ、分子ビーコンまたはTaqMa
nプローブを用いて検出する請求項12記載の方法。 - 【請求項14】 増幅された核酸をDNA結合性色素を
用いて検出する請求項1〜11いずれか記載の方法。
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