JP2001305763A - 電子写真感光体 - Google Patents
電子写真感光体Info
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Abstract
電子写真感光体の基礎特性を高性能に維持しつつ、さら
にフォトメモリー特性を改良した、実用上極めて高性能
な電子写真感光体を提供する。 【解決手段】 導電性支持体上に、下引き層、及び電荷
発生物質と電荷輸送物質とを含有する感光層がこの順に
形成されてなる電子写真感光体であって、該電荷輸送物
質が、PM3パラメータを使った半経験的分子軌道計算
を用いた構造最適化計算(以下「半経験的分子軌道計
算」と称する)による分極率αの計算値αca lが、次式 【数1】αcal>70(Å) を満たし、かつ半経験的分子軌道計算による双極子モー
メントPの計算値Pcalが、次式 【数2】Pcal<1.8(D) を満たすものであることを特徴とする電子写真感光体
Description
関するものである。さらに詳しくは有機系の光導電性物
質を含有する感光層を有する高感度・高性能の電子写真
感光体に関するものである。
レン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機系の光導電性
物質が広く用いられてきた。しかしながら、セレン、硫
化カドミウムは毒物として回収が必要であり、セレンは
熱により結晶化するため耐熱性に劣り、硫化カドミウ
ム、酸化亜鉛は耐湿性に劣り、また酸化亜鉛は耐刷性が
ないなどの欠点を有しており、新規な感光体の開発の努
力が続けられている。最近は、有機系の光導電性物質を
電子写真用感光体の感光層に用いる研究が進み、そのい
くつかが実用化された。有機系の光導電性物質は無機系
のものに比し、軽量である、成膜が容易である、感光体
の製造が容易である、種類によっては透明な感光体を製
造できる等の利点を有する。
真感光体は、電荷輸送層と電荷発生層を積層させた機能
分離型の感光体として利用されることが多い。これは電
気的、機械的双方の特性を満足させる電子写真感光体の
設計が容易だからである。ここで電子写真感光体が満足
すべき電気的、機械的双方の特性には、初期的に優れた
性能を有するだけでなく、繰り返し使用される場合に十
分な耐久性が必要なことも含まれる。
せる、いわゆる反転現像方式の電子写真プロセスにおい
て、初期的に優れた性能とは、使用される電子写真プロ
セスにマッチする最適感度・電気特性を有することをい
い、繰り返し使用される場合の十分な耐久性とは、繰り
返し使用時に電子写真感光体表面に直接加えられる、コ
ロナ又は直接帯電、画像露光、トナー現像、転写工程及
び表面クリーニング等による、電気的、機械的外力によ
る劣化に対する耐久性を有することをいう。
の発生する電気的劣化は、電子写真感光体特性に対し、
繰り返し使用した場合の暗部電位(Vo)の低下や露光電
位(VL)の上昇として現れる他、光が照射された部分に
キャリアーが滞留し光が照射していない部分と電位差を
生じる、いわゆるフォトメモリーの現象としても現れ
る。
せるための一つの手段として、優れた電気的特性、機械
的特性を有する電荷輸送物質の開発が望まれる。このよ
うな電荷輸送物質として、例えば特開平10−3120
71号公報には特定のパラメータを満たす電荷輸送物質
が高感度、低残留電位、高移動度で、高耐久性の電子写
真感光体を提供する旨開示されている。
スの構成によっては、上記開示されている特定のパラメ
ータを有する電荷輸送物質においても、未だフォトメモ
リー特性が不十分であった。さらに、このフォトメモリ
ーの問題は、前記したように電子写真感光体が電子写真
プロセスにおいて繰り返し使用された場合に発生するだ
けでなく、コピー機、プリンターの製造時に電子写真感
光体に照射される光、または、市場においてコピー機・
プリンターのメンテナンス時に電子写真感光体を外部に
取り出したときに照射される光によっても引き起こされ
る場合があり、電子写真感光体の特性上軽視できない技
術的課題であった。
に鑑みて鋭意検討を行った結果、これら、高感度、低残
留電位、高移動度で高耐久性の電子写真感光体を提供す
る特定のパラメータを有する電荷輸送物質を使用し、且
つ電子写真感光体の導電性支持体と感光層との間に下引
き層を設けることによって、前記電荷輸送物質により発
現される高感度、低残留電位、高移動度、高耐久等の種
々の長所を損なうことなく、さらにフォトメモリー特性
を改善できることを見い出し本発明を完成した。
支持体上に、下引き層、及び電荷発生物質と電荷輸送物
質とを含有する感光層がこの順に形成されてなる電子写
真感光体であって、該電荷輸送物質が、PM3パラメー
タを使った半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計
算(以下「半経験的分子軌道計算」と称する)による分
極率αの計算値αcalが、次式
メントPの計算値Pcalが、次式
に存する。また本発明の第二の要旨は、上記電子写真感
光体に500nm以上の光で静電潜像を形成することを
特徴とする電子写真方法、に存する。
る。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、電
荷発生物質及び後述する特定の電荷輸送物質を含有する
感光層を有し、さらに導電性支持体と感光層との間に下
引き層を有するものである。この構成とすることによ
り、高感度、低残留電位、高移動度、高耐久、かつフォ
トメモリー特性に優れる電子写真感光体が得られる。 <導電性支持体>導電性支持体としては公知の電子写真
感光体に採用されているものがいずれも使用できる。具
体的には例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステ
ンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料からなるドラム、
シートあるいはこれらの金属箔のラミネート物、蒸着
物、あるいは表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸
化すず、酸化インジウム等の導電性層を設けたポリエス
テルフィルム、紙等の絶縁性支持体が挙げられる。更
に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電
解質等の導電性物質を適当なバインダーとともに塗布し
て導電処理したプラスチックフィルム、プラスチックド
ラム、紙、紙管等が挙げられる。また、金属粉末、カー
ボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電
性となったプラスチックのシートやドラムが挙げられ
る。又、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化
物で導電処理したプラスチックフィルムやベルトが挙げ
られる。なかでもアルミニウム等の金属のエンドレスパ
イプが好ましい支持体である。 <下引き層>本発明においては、前記導電性支持体と感
光層との間に下引き層が挿入される。 下引き層は、導
電性支持体からの電荷の注入を阻止し、反転現像におけ
る画像黒点・正転現像における画像白点の発生を抑制す
る(印字画像の画質向上させる)ことを目的として挿入
されるのが通常である。しかしながら、本発明では、前
記通常の目的のために使用されるのみならず、さらにフ
ォトメモリー性改良のために使用される。
樹脂単独又は有機珪素化合物で被覆された酸化チタン粒
子とバインダー樹脂とから構成されるが、必要に応じ
て、酸化防止剤、添加剤、導電剤を加えても良い。下引
き層の膜厚は、薄すぎると前記反転現像における画像黒
点・正転現像における画像白点の原因となる、局所的な
帯電不良に対する効果が十分でなく、また逆に厚すぎる
と残留電位の上昇、あるいは導電性基体と感光層間の接
着強度低下の原因となる。本発明の下引き層の膜厚は
0.1〜10μmで、より好ましくは0.3〜5μmで
使用されるのが望ましい。 (1)バインダー樹脂 本発明において、下引き層中に含有されるバインダー樹
脂としては、下記一般式(3)で示されるジアミン成分
を構成成分として有する共重合ポリアミド樹脂を用いる
ことが好ましい。
もよいシクロヘキシル環を表し、R17、R18はそれぞれ
独立して水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基
を表す。) かかる共重合ポリアミドの数平均分子量は
1万〜5万、より好ましくは1万5千〜3万5千であ
る。この範囲を外れると塗布性や保存性に問題を生じる
こともある。又、上記構造で、アミド基がパラ位にあ
り、その他の基が水素原子、メチル基及びエチル基であ
ることがより好ましい。また、かかる共重合ポリアミド
には通常用いられる他のジアミン成分、例えば1,6−
ジアミノヘキサン等を含んでいてもよく、また、アミノ
カルボン酸成分、例えばカプロラクタムの開環重合成分
等を含んでいてもよい。ジカルボン酸成分には特に制限
はなく、ポリアミドに通常用いられるものであればいず
れでもよく、例えばHOOC(CH2)4COOH、HO
OC(CH2)8COOH、HOOC(CH2)10COO
H、HOOC(CH2)18COOH等のポリメチレンジ
カルボン酸が挙げられる。 (2)酸化チタン 酸化チタンは、その1次粒子が100nm以下のものが
好ましく、10〜60nmが特に好ましい。粒径は、均
一であってもまた、異なる粒径の複合系でもよい。例え
ば、0.1μmのものと0.03μmのものを混合して
用いてもよい。
できるが、結晶質の場合、その結晶型はアナタース、ル
チル、ブルッカイトのいずれでもよいが、ルチルが一般
的に用いられる。本発明において用いられる酸化チタン
は、無処理の酸化チタンでもよいが、アルミナ、シリ
カ、ジルコニア等の無機物で被覆された酸化チタンでも
良い。
酸化チタンは、有機珪素化合物で表面を被覆されたもの
であることが好ましい。本発明に使用される有機珪素化
合物としてまず挙げられるのは、ジメチルポリシロキサ
ンやメチル水素ポリシロキサン等のシロキサン化合物で
あり、この中でも特にメチル水素ポリシロキサンが、特
性及び溶液安定性の面で好ましい。この場合の有機珪素
化合物被覆は以下のような製造方法により行われる。す
なわち、有機珪素化合物と酸化チタンを粉砕機の中に計
量しながら供給して被覆する乾式法、或いは適当な溶媒
に溶解した有機珪素化合物溶液を酸化チタンスラリーに
加え、有機珪素化合物が均一に付着されるまでよく掻き
混ぜた後、乾燥させる湿式法のいずれかの方法が採用さ
れるのである。
記一般式(4)で表される、単分子有機珪素化合物であ
ってもよい。
れ独立してアルキル基を示す。R21はアルキル基又はア
ルコキシ基を示す。R22は水素原子またはアルキル基も
しくはアルコキシ基を示す。なお、これらの珪素原子に
結合しているアルキル基及びアルコキシ基には、更にア
ルコキシ基が結合していてもよく、R19〜R22のそれぞ
れの全炭素数は1〜6である。母体の酸化チタンと表面
被覆剤との強固な結合を達成するためには、R19〜R22
で示されるアルキル基及びアルコキシ基は小さい方が好
ましく、その全炭素数は1〜4であるのが好ましい。特
に好ましいのは、R19〜R21で示されるアルキル基及び
アルコキシ基が、いずれもメチル基、エチル基、メトキ
シ基及びエトキシ基よりなる群から選ばれたものである
ことである。最も好ましくは、R19及びR20がそれぞれ
独立してメチル基又はエチル基であるものであり、さら
に表面処理に際しての酸化チタンとの反応性、及び表面
処理した酸化チタンを液状媒体中に懸濁させたときの安
定性の点からして、R22は水素原子であるのが好まし
い。
ロキサン化合物を被覆するのと同様に、乾式法及び湿式
法のいずれでも行うことができる。乾式法による場合
は、母体の酸化チタンをヘンシェルミキサー、スーパー
ミキサーなどのような高速攪拌基に仕込み、高速攪拌し
ながらこれに上記した単分子有機珪素化合物の溶液を滴
下ないしは噴霧して均一に付着させた後、乾燥させれば
よい。また湿式法による場合には、溶媒中に母体の酸化
チタンと単分子有機珪素化合物とを加え、ボールミル、
コボールミル、サンドグラインドミル、パールミル等の
ビーズミルで分散したのち、溶媒を蒸発させればよい。
いずれの場合でも、処理中又は処理後に、100〜20
0℃に加熱して母体の酸化チタンと表面処理剤との結合
をより強固なものとするのが好ましい。
の粒径にもよるが、酸化チタンに対して0.1〜10%
重量%程度に調整することが好ましい。特に0.2〜5
重量%が好ましい。また、有機珪素化合物被覆酸化チタ
ン粒子と上述したバインダー樹脂の比率は任意に選ぶこ
とができるが、液の安定性及び特性面からバインダー樹
脂1重量部に対して、0.5〜6重量部の範囲が好まし
い。 (3)下引き層用塗布液の作製方法 有機珪素化合物被覆酸化チタンを共重合ポリアミド樹脂
溶液に分散させた塗布液を得るためには有機珪素化合物
被覆酸化チタンを共重合ポリアミド樹脂溶液に加えてボ
ールミル、サンドミル、ロールミル、ペイントシェーカ
ー、アトライター、超音波などの手段で処理すればよ
い。 (4)下引き層の形成方法 下引き層の塗布は、ある程度均一に塗布できる方法であ
れば、いかなる塗布方法を用いてもよいが、一般的に
は、ワイヤーバー、ドクターブレード、フィルムアプリ
ケータ、浸積、スプレーなどの塗布方法により行われ
る。 <感光層> (1)電荷輸送物質 前述した下引き層の上には、電荷発生物質及び電荷輸送
物質を含有する感光層が形成される。
電荷発生物質を同一の層に含有する単層型であっても、
電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、電荷発生物質を
含有する電荷発生層に分離した積層型でもよいが、何れ
の場合にも以下に詳述する特定の電荷輸送性物質を用い
ることを必要とする。本発明に用いられる電荷輸送物質
は、半経験的分子軌道計算による、分極率αの計算値α
calが、次式
メントPの計算値Pcalが、次式
は、半経験的パラメータとしてPM3パラメータセット
を用い半経験的分子軌道計算プログラムMOPACのバ
ージョンMOPAC93を用いて計算したものである
(PM3及びMOPACに関しては、J.J.P St
ewart, Journal of Compute
r−Aided Molecular Design,
4,1(1990)ならびにその中の引用文献を参
照)。
好ましくは、
は、
輸送物質が高性能な電子写真特性を示す考察について
は、特開平10−312071号公報参照)。
(1)で表されるアリールアミン系化合物が挙げられ
る。
R5及びR6は、それぞれ、ハロゲン原子、置換基を有し
てもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ
基、置換基を有してもよいアリール基、又は、置換アミ
ノ基を表し、これらはお互いに同一でも異なっていても
よい。k、l、m、n、o及びpは、それぞれ、0〜4
の整数を表し、2以上の整数の場合に複数存在するR1
〜R6のそれぞれは、同一でも異なっていてもよい。ま
た、一般式(1)中、X1は、下記一般式(2)を、X2
は、下記一般式(2’)を表す。)
は2の整数を表し;hは0〜2の整数を表し:R7、
R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、及び
R16は、それぞれ、水素原子、置換基を有してもよいア
ルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基
を有してもよいアリール基、又は、置換基を有してもよ
い複素環基を表し、これらは互いに同一でも異なってい
てもよい。さらにR10とR 11からなる対、又はR15とR
16からなる対は縮合して炭素環基または複素環基を形成
してもよい。但しR10とR11からなる対、又はR15とR
16からなる対は、どちらか一方が水素原子またはアルキ
ル基の場合は、もう一方はアリール基、又は複素環基で
ある。i=2の場合、それぞれのR7とR8は同一でも異
なっていてもよく、またh=2の場合、それぞれのR15
とR16は同一でも異なっていてもよい。X1及びX2は同
一でも異なっていてもよい。) 上記アリールアミン系化合物の具体的な構造例として
は、以下のようなものが挙げられる。構造は、考え得る
種々の初期構造から出発し、最安定構造を求めた。単一
の構造にならない場合は、これらの平均値を求めた。
値αcal、双極子モーメントPの計算値Pcalを表−1に
示す。
ものでも、電荷輸送層の上に電荷発生層を積層したもの
でもよい。はじめに電荷発生層について説明する。前記
下引き層の上には、好ましくは電荷発生層が形成され
る。電荷発生層は、電荷発生物質を蒸着することによっ
ても形成することができるが、電荷発生物質および必要
に応じ他の有機光導電性化合物、色素、電子吸引性化合
物等をバインダー樹脂と共に溶剤に溶解あるいは分散
し、得られた塗布液をワイヤーバー、ドクターブレー
ド、フィルムアプリケータ、浸積、スプレーなどの公知
の塗布方法により塗工し乾燥させることにより形成する
ことができる。
テルル合金、セレンーヒ素合金、硫化カドミウム,アモ
ルファスシリコン等の無機光伝導性粒子、無金属フタロ
シアニン、金属含有フタロシアニン、ペリノン系顔料、
チオインジゴ、キクリドン、ペリレン系顔料、アントラ
キノン系顔料、アゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスア
ゾ系顔料、テトラキス系アゾ顔料、シアニン系顔料等の
有機光伝導性粒子が挙げられる。更に、多環キノン、ピ
リリウム塩、チオピリリウム塩、インジゴ、アントアン
トロン、ピラントロン等の各種有機顔料、染料が使用で
きる。中でも無金属フタロシアニン、銅、塩化インジウ
ム,塩化ガリウム、錫、オキシチタニウム、亜鉛、バナ
ジウム等の金属又は、その酸化物、塩化物の配位したフ
タロシアニン類、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポ
リアゾ類等のアゾ顔料及びペリレン系顔料が好ましく、
さらにオキシチタニウムフタロシアニンが好ましい。
ポリビニルアセテート、ポリカーボネート、ポリビニル
アセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビ
ニルブチラール、フェノキシ、エポキシ、ウレタン、セ
ルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バイ
ンダー樹脂で結着した形の分散層で使用してもよい。更
に、バインダー樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、
塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニ
ル化合物の重合体および共重合体、ポリアミド、けい素
樹脂等が挙げられる。
ンダー樹脂100重量部に対して通常20〜2000重
量部、好ましくは30〜500重量部、より好ましくは
33〜500重量部の範囲より使用され、電荷発生層の
膜厚は通常0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μ
m、より好ましくは0.15〜0.8μmが好適であ
る。また電荷発生層は塗布性を改善するためのレベリン
グ剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいて
もよい。 電荷輸送層 積層型の場合、電荷発生層の上に、主として本発明に用
いられる上述した電荷輸送物質及びバインダー樹脂から
なる電荷輸送層が形成される。
テル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ
塩化ビニルなどのビニル重合体、及びその共重合体、ポ
リカーボネイト、ポリエステル、ポリエステルカーボネ
ート、ポリスルホン、ポリイミド、フェノキシ、エポキ
シ、シリコーン樹脂など重合体、及びその共重合体でも
よく、又これらの部分的架橋硬化物も使用できる。さら
に、前記バインダー樹脂の2種以上をブレンドして用い
てもよい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、
バインダー樹脂100重量部に対して30〜90重量
部、好ましくは40〜70重量部の範囲で使用される。
また電荷輸送層には、必要に応じて酸化防止剤、増感剤
等の各種添加剤を含んでいてもよい。電荷輸送層の膜厚
は10〜60μm、好ましくは10〜45μm、さらに好
ましくは25um〜40umの厚みで使用されるのがよい。
させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液
をワイヤーバー、ドクターブレード、フィルムアプリケ
ータ、浸積、スプレーなどの公知の塗布方法により塗工
し乾燥させることにより形成することができる。 (3)単層型感光層 次に感光層が単層型の場合について説明する。キャステ
ィング法で単層感光層を設ける場合、多くは電荷発生物
質と電荷輸送物質よりなる機能分離型のものが挙げられ
る。即ち、電荷発生物質と電荷輸送物質には、前出の材
料を用いることができる。特に本発明においては、電荷
輸送物質は、前記材料が用いられる。単層感光層は、電
荷発生物質及び前記電荷輸送物資及びバインダー樹脂を
適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥する
ことにより形成できる。また、必要により可塑剤やレベ
リング剤、酸化防止剤、電子輸送剤等を添加することも
できる。バインダー樹脂としては、先に積層型の電荷輸
送層で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いる他に、前
出の積層型の電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合
して用いてもよい。
電荷輸送物質及びバインダー樹脂をテトラヒドロフラ
ン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、
ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、
サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗
布することにより形成できる。塗布は、ワイヤバー、ド
クターブレード、フィルムアプリケータ、浸漬やスプレ
ーなどの公知の塗布方法を用いて行うことができる。ビ
リリウム系染料、ビスフェノールA系ポリカーボネイト
から形成される非晶錯体に、電荷輸送物質を添加した感
光体も、適当な溶媒から同様な塗工法で形成できる。単
層感光体の膜厚は、5〜100um程度が適当である。
体は、上述したように導電性支持体上に少なくとも下引
き層及び感光層を設けてなるものであるが、必要に応じ
て、さらに、中間層、透明絶縁層、表面保護層等を有し
ていてもよいことは言うまでもない。例えば、本感光体
に表面保護層を設ける場合、保護層の厚みは0.01〜
20μmが可能であり、好ましくは0.1〜10μmであ
る。保護層には前記のバインダーを用いることができる
が、前記の電荷発生剤、電荷輸送剤、添加剤、金属、金
属酸化物などの導電材料、滑剤等を含有しても良い。さ
らには、従来公知の例えば熱可塑性或いは熱硬化性ポリ
マーを主体とする表面保護層を設けても良い。
長期間にわたって優れた耐刷性を維持する感光体であ
り、複写機、プリンター、ファックス、製版機等の電子
写真分野に好適である。 <電子写真装置及び電子写真方法>本発明の電子写真感
光体を使用する複写機・プリンター等の電子写真装置
は、少なくとも帯電、露光、現像、転写の各プロセスを
含むが、どのプロセスも通常用いられる方法のいずれを
用いても良い。
ナ放電を利用したコロトロンあるいはスコロトロン帯
電、導電性ローラーあるいはブラシ、フィルムなどによ
る接触帯電などいずれを用いても良い。このうち、コロ
ナ放電を利用した帯電方法では暗部電位を一定に保つた
めにスコロトロン帯電が用いられることが多い。本発明
において、露光は、通常、波長500nm以上のものを
用い、具体的には、He−Ne等のレーザー光、あるい
は、ハロゲンランプ、蛍光灯等が用いられるが、レーザ
ー光を用いることがより好ましい。
一成分現像剤、二成分現像剤などを接触あるいは非接触
させて現像する一般的な方法が用いられる。転写方法と
しては、コロナ放電によるもの、転写ローラーあるいは
転写ベルトを用いた方法等いずれでもよい。転写は、紙
やOHP用フィルム等に対して直接行っても良いし、一
旦中間転写体(ベルト状あるいはドラム状)に転写した
のちに、紙やOHP用フィルム上に転写しても良い。
せる定着プロセスが用いられ、定着手段としては一般的
に用いられる熱定着、圧力定着などを用いることができ
る。これらのプロセスのほかに、通常用いられるクリー
ニング、除電等のプロセスを有しても良い。
更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例中「重量部」とは「重量%」を示す。 実施例1 実験にはメチル水素ポリシロキサン表面酸化処理酸化チ
タンを用いた。その製造方法は以下の通りである。ま
ず、酸化チタンとして石原産業(株)製 製品名TTO
−55N(結晶型 ルチル 1次粒径0.03〜0.0
5μm)を用い、この表面にメチル水素ポリシロキサン
を3重量%均一に施して調製した。このようにして得た
メチル水素ポリシロキサン処理酸化チタンは、混合アル
コール(メタノール/1−プロパノール=7/3)とと
もにボールミルで16時間分散した。次に、得られた酸
化チタン分散液を特開平4−31870号公報の実施例
で記載された製造法により製造された下記構造のランダ
ム共重合体ポリアミドの混合アルコール(メタノール/
1−プロパノール=70/30)溶液に加えた。最終的
に酸化チタン/ナイロン比3/1(重量比)で固形分濃
度16重量%の分散液を調製した。
着したアルミニウム蒸着面上にバーコーターにより乾燥
後の膜厚が1.5μmとなるように下引き層を設けた
(以下これを「下引き層a」と呼ぶ)。粉末X線回折スペ
クトルにおいて、ブラック角(2θ±0.2°)27.
3°に最大回折ピークを示し、7.4°、9.7°及び
24.2°に回折ピークを示す結晶系のオキシチタニウ
ムフタロシアニン10重量部を200重量部の4−メト
キシ−4−メチルペンタノン−2に加え、サンドクライ
ンドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散予備液を調
整した。これを、ポリビニルブチラール(電気化学工業
(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)
5重量部の10%メタノール溶液と混合し分散液を作成
した。
にバーコーターにより乾燥後の膜厚が0.4μmとなる
ように電荷発生層を設けた。この電荷発生層の上に、特
開平9−244278号公報に開示された方法で製造さ
れた、前記した電荷輸送物質(No.1)を60重量
部、および、下記のシアン化合物0.25重量部
T)8重量部、特開平3−221962号公報の実施例
中に記載された製造法により製造された、2つの繰り返
し構造単位を有する下記ポリカーボネート樹脂(モノマ
ーモル比1:1)100重量部
1000重量部で溶解させた溶液をフィルムアプリケ
ータにより塗布し、乾燥後の膜厚が25μmとなるよう
に電荷輸送層を設けた。この様にして作成した感光体を
「感光体A」とする。 実施例2 下引き層中に含有される酸化チタン粒子を下記方法で表
面被覆して得た以外は実施例1と同様にして感光体を作
成した。すなわち、表面被覆は、酸化チタンとして石原
産業(株)製 製品名TTO−55N(結晶型:ルチ
ル、1次粒径0.03〜0.05μm)100重量部、
メチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製品、TS
L8117)3重量部、及びメタノール267重量部を
ボールミル分散処理後、メタノールを蒸発させ、酸化チ
タンを140℃で焼成することによって得られた。この
様にして表面被覆した酸化チタンを含有する下引き層を
「下引き層b」、感光体を「感光体B」とする。
様にして感光体を作成した。この様にして作成した感光
体を「感光体C」とする。 実施例3 実施例2において、下引き層bの膜厚を0.5μmとし
た以外は、実施例2と同様にして感光体を作成した。こ
の様にして作成した感光体を「感光体D」とする。
ム共重合体ポリアミド単独(有機珪素化合物で表面被覆
された酸化チタンを含有させない)のみで形成し、その
膜厚を0.5μmとすること以外は実施例3と同様にし
た感光体を作成した。この様にして作成した下引き層を
「ポリアミド単独下引き層」、感光体を「感光体E」とす
る。 <感光体の評価>このようにして得た感光層を有する電
子写真感光体を、(株)川口電気製作所製、モデルEP
A−8100を用いて、温度25℃/相対湿度50%
(NN環境)における電気特性を測定した。測定項目は、
暗所での電子写真感光体の初期表面電位(Vo)及び、
半減露光量(E1/2)、残留電位(Vr)である。
より電子写真感光体を負帯電させた場合の表面電位を測
定することによって行った。また、E1/2は、20ルッ
クスの白色光を干渉フィルターに通して得られた780
nmの光(露光エネルギー0.016μW/cm2)で
露光し、表面電位がVoの半分になるまでに照射される
露光量を算出することによって得た。さらに、露光時間
を10秒後の電子写真感光体の表面電位を測定し、これ
をVrとした。その結果を表−2に示す。
電気(株)製、モデルEPA−8100を用いて、前記
帯電・露光の電子写真プロセスを2000回繰り返し行
うことにより、その耐久性を評価した。繰り返し使用の
前後でのVo、Vrを表−3に示す。尚、このとき測定
条件をより過酷にするため、Voに帯電させるためのコ
ロナ電流をで−35μAとした。
光体D、感光体Eについて、フォトメモリ性を測定し
た。フォトメモリ性は3000luxの蛍光灯を5分間
照射する前後での暗部電位(Vo)及び、照射後190
回帯電―露光を繰り返した後のVoを測定することによ
って評価した。尚、フォトメモリ性測定用の評価機とし
て川口電気(株)製、モデルEPA−8100を用い
た。その結果を表−4に示す。表中、括弧内に示された
数字は、照射前Voからの差である。
小さい電子写真感光体の方がフォトメモリー性に優れる
といえる。下引き層を導電性支持体と感光層の間に設け
たもの(感光体A、B、D、E)と設けないもの(感光
体C)について得られた結果を考察すると、下引き層を
設けることによって、3000luxの光を5分間照射
した後のVoの低下量が大幅に軽減され、結果として帯
電―露光を繰り返し行った際のVoの回復も早くなるこ
とがわかる(表−4)。つまり表−4の結果から、下引
き層の挿入によりフォトメモリ性が大幅に改良されるこ
とがわかる。
が見られる。表−2の結果からわかるように、ポリアミ
ド樹脂のみからなる下引き層では、フォトメモリ性は改
善されるものの感光体の残留電位が大幅に上昇してしま
う傾向がある(表−2 感光体E)。従って、本発明が
達成しようとする高性能の感光体を得るためには、下引
き層に酸化チタン粒子を含有させることがより好ましい
ことがわかる。
体と感光層の間に本発明で提供される下引き層を設ける
ことにより、本発明の電子輸送物質の有する、高感度、
低残留電位、高移動度、高耐久等の電子写真感光体の基
礎特性を損なうことなく、さらにフォトメモリー特性を
も改良できることがわかる。下引き層を設けることによ
る、フォトメモリー性の改良の理由は明らかでないが、
一応以下のように考えられる。すなわち、フォトメモリ
ーは、光が照射された部分にキャリアーが滞留し光を照
射していない部分と電位差を生じることにより発生する
と推測される。本発明における、感光層と導電性支持体
の間に挿入される下引き層は、感光層から下引き層さら
には下引き層から導電性支持体へのキャリアーの注入特
性を変化させ、フォトメモリーの発生原因となる、上記
のいわゆる「滞留キャリアー」を導電性支持体へと逃が
しやすくするのではないかと予想される。そして、この
滞留キャリアーが感光層外へと逃れやすくなる結果、光
が照射された部分と照射されない部分の電位差が小さく
なり、フォトメモリー性が改良されると考えられるので
ある。
輸送物質を用い、感光層と導電性支持体の間に所定の下
引き層を設けることによって、該電荷輸送物質の有する
高感度、低残留電位、高移動度、高耐久等の電子写真感
光体の基礎特性を高性能に維持しつつ、さらにフォトメ
モリー特性を改良した、実用上極めて高性能な電子写真
感光体を得ることができる。
Claims (10)
- 【請求項1】 導電性支持体上に、下引き層、及び電荷
発生物質と電荷輸送物質とを含有する感光層がこの順に
形成されてなる電子写真感光体であって、該電荷輸送物
質が、PM3パラメータを使った半経験的分子軌道計算
を用いた構造最適化計算(以下「半経験的分子軌道計
算」と称する)による分極率αの計算値αcalが、次式 【数1】αcal>70(Å) を満たし、かつ半経験的分子軌道計算による双極子モー
メントPの計算値Pcalが、次式 【数2】Pcal<1.8(D) を満たすものであることを特徴とする電子写真感光体。 - 【請求項2】 電荷輸送物質が、下記一般式(1)で表
されるアリールアミン系化合物である請求項1に記載の
電子写真感光体。 【化1】 (一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR
6は、それぞれ、ハロゲン原子、置換基を有してもよい
アルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換
基を有してもよいアリール基、又は、置換アミノ基を表
し、これらはお互いに同一でも異なっていてもよい。
k、l、m、n、o及びpは、それぞれ、0〜4の整数
を表し、2以上の整数の場合に複数存在するR1〜R6の
それぞれは、同一でも異なっていてもよい。また、一般
式(1)中、X1は、下記一般式(2)を、X2は、下記
一般式(2’)を表す。) 【化2】 【化3】 (一般式(2)、(2’)中、iは1または2の整数を
表し;hは0〜2の整数を表し:R7、R8、R9、
R10、R11、R12、R13、R14、R15、及びR16は、そ
れぞれ、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、
置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有しても
よいアリール基、又は、置換基を有してもよい複素環基
を表し、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。
さらにR10とR 11からなる対、又はR15とR16からなる
対は縮合して炭素環基または複素環基を形成してもよ
い。但しR10とR11からなる対、又はR15とR16からな
る対は、どちらか一方が水素原子またはアルキル基の場
合は、もう一方はアリール基、又は複素環基である。i
=2の場合、それぞれのR7とR8は同一でも異なってい
てもよく、またh=2の場合、それぞれのR15とR16は
同一でも異なっていてもよい。X1及びX2は同一でも異
なっていてもよい。) - 【請求項3】 下引き層が、有機珪素化合物で被覆され
た酸化チタン粒子と、下記一般式(3)で示されるシ゛アミ
ン成分を構成成分として有する共重合ポリアミドを含む
ものである請求項1又は2に記載の電子写真感光体。 【化4】 (一般式(3)中、 【化5】 は、それぞれ独立して置換基を有していてもよいシクロ
ヘキシル環を表し、R17、R18はそれぞれ独立して水
素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を表す。) - 【請求項4】 酸化チタン粒子の平均一次粒径が100
nm以下(TEM写真からの測定による)である請求項
3に記載の電子写真感光体。 - 【請求項5】 有機珪素化合物が、メチル水素ポリシロ
キサンである請求項3又は4に記載の電子写真感光体。 - 【請求項6】 有機珪素化合物が、下記一般式(4)で
表される化合物である請求項3又は4に記載の電子写真
感光体。 【化6】 (一般式(4)中、R19及びR20は、それぞれ独立し
て、アルコキシ基で置換されていてもよい全炭素数1〜
6アルキル基を示す。R21はアルコキシ基で置換されて
いてもよい全炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシ
基を示す。R22は水素原子又はアルコキシ基で置換され
ていてもよい全炭素数1〜6のアルキル基若しくはアル
コキシ基を示す。) - 【請求項7】 有機珪素化合物が、下記一般式(5)で
表される化合物である請求項3又は4に記載の電子写真
感光体。 【化7】 (一般式(5)中、R23及びR24は、それぞれ独立し
て、メチル基又はエチル基を示す。R25はメチル基、エ
チル基、メトキシ基及びエトキシ基よりなる群から選ば
れる基を示す。) - 【請求項8】 電荷発生物質がオキシチタニウムフタロ
シアニンである請求項1〜7のいずれかに記載の電子写
真感光体。 - 【請求項9】 請求項1〜8に記載の電子写真感光体に
500nm以上の光で静電潜像を形成することを特徴と
する電子写真方法。 - 【請求項10】 電子写真感光体に静電潜像を形成する
光がレーザー光である請求項9に記載の電子写真方法。
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