JP2001303012A - 接着剤組成物、回路接続用接着剤組成物、接続体及び半導体装置 - Google Patents

接着剤組成物、回路接続用接着剤組成物、接続体及び半導体装置

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JP2001303012A JP2000128938A JP2000128938A JP2001303012A JP 2001303012 A JP2001303012 A JP 2001303012A JP 2000128938 A JP2000128938 A JP 2000128938A JP 2000128938 A JP2000128938 A JP 2000128938A JP 2001303012 A JP2001303012 A JP 2001303012A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属及び無機材質で構成される被着体の腐食
に伴う素子の信頼性低下を防ぎ、かつ低温短時間で接着
可能で、さらに室温での貯蔵安定性に優れる接着剤組成
物、回路接続用接着剤組成物、接続体及び半導体装置を
提供する。 【解決手段】 (a)エポキシ化合物、(b)150〜
750nmの光照射によってエポキシ化合物と反応する
官能基を発生する化合物を含有する接着剤組成物。15
0〜750nmの光照射によってエポキシ化合物と反応
する官能基を発生する化合物は、エポキシ基と反応する
基、すなわちフェノール性水酸基、1級アミノ基または
2級アミノ基、メルカプト基を光照射によって生成する
化合物であると好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着剤組成物、回
路接続用接着剤組成物、接続体及び半導体装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】半導体素子及び液晶表示素子において、
素子中の種々の部材を結合させる目的で従来から種々の
接着剤が使用されている。接着剤に対する要求は、耐熱
性、高温高湿状態における信頼性等多岐に渡るが、半導
体素子の高集積化、液晶表示素子の大型化、高精細化が
進むにつれて、周辺部材への影響を考慮した低温化、ス
ループットを考慮した短時間接着化が要求されている。
従来から、前記半導体素子や液晶表示素子用の接着剤と
しては、高接着性でかつ高信頼性を示すエポキシ樹脂を
用いた熱硬化性樹脂が用いられてきた。樹脂の構成成分
としては、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂と反応性を有す
るフェノール樹脂等の硬化剤、エポキシ樹脂と硬化剤の
反応を促進する熱潜在性触媒が一般に用いられている。
熱潜在性触媒は硬化温度及び硬化速度を決定する重要な
因子となっており、室温での貯蔵安定性と加熱時の硬化
速度の観点から種々の化合物が用いられてきた。実際の
工程での硬化条件は、170〜250℃の温度で1〜3
時間硬化することにより、所望の接着を得ていた。しか
しながら、最近の半導体素子の高集積化、液晶素子の高
精細化に伴い、素子間及び配線間ピッチが狭小化し、硬
化時の加熱によって、周辺部材に悪影響を及ぼす恐れが
出てきた。さらに低コスト化のためには、スループット
を向上させる必要性があり、低温(100〜170℃)、
短時間(1時間以内)、換言すれば低温速硬化での接着が
要求されている。この低温速硬化を達成するためには、
活性化エネルギーの低い熱潜在性触媒を使用する必要が
あり、室温付近での貯蔵安定性を兼備することが非常に
難しい。貯蔵安定性及び低温硬化性を兼備えた接着剤と
して、エポキシ樹脂の光カチオン重合を用いる方法が特
開平11−60899号及び特開平11−116778
号公報に開示されている。これらは、エポキシ樹脂と光
照射によって強酸を発生する光酸発生剤から構成されて
おり、室温で光照射することにより硬化を行う方法であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エポキ
シ樹脂を用いた光カチオン重合では、重合触媒としてブ
レンステッド酸やルイス酸等の強酸が必要であり、硬化
後も系内にこれらが残存してしまう。また、これらの強
酸は、重合後も自由に移動し、被着体である金属基板や
金属及び無機材質で構成される回路電極の腐食を促進し
てしまい接続信頼性の点で劣っている。
【0004】本発明は、金属及び無機材質で構成される
被着体の腐食に伴う素子の信頼性低下を防ぎ、かつ低温
短時間で接着可能で、さらに室温での貯蔵安定性に優れ
る接着剤組成物、回路接続用接着剤組成物、接続体及び
半導体装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)エポキ
シ化合物、(b)150〜750nmの光照射によって
エポキシ化合物と反応する官能基を発生する化合物を含
有することを特徴とする接着剤組成物である。また、本
発明は(b)150〜750nmの光照射によってフェ
ノール性の水酸基を発生する化合物であることを特徴と
する接着剤組成物である。また、本発明は(b)150
〜750nmの光照射によって1級アミノ基または2級
アミノ基を発生する化合物であることを特徴とする接着
剤組成物である。また、本発明は(b)150〜750
nmの光照射によってメルカプト基を発生する化合物で
あることを特徴とする接着剤組成物である。また、本発
明は(a)エポキシ化合物100重量部に対して、
(b)光照射によってエポキシ化合物と反応する官能基
を発生する化合物0.01〜200重量部を含有してな
る接着剤組成物である。また、本発明は上記いずれかに
記載の接着剤組成物中に、さらに導電性粒子を含む接着
剤組成物である。また、本発明は相対向する回路電極を
有する基板間に介在させ、相対向する回路電極を有する
基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続する回
路接続用接着剤組成物であって、前記接着剤は上記のい
ずれかに記載の接着剤組成物である回路接続用接着剤組
成物である。また、前記回路接続用接着剤組成物を用い
て接続された接続体である。また、本発明は半導体素子
の電極と半導体搭載用基板の回路電極間に上記のいずれ
かに記載の接着剤組成物を介在させ、加圧して加圧方向
の電極間を電気的に接続した半導体装置である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において用いる(a)エポ
キシ樹脂は、分子内に2個以上のエポキシ基を有するも
のであれば特に制限なく、公知のものを使用しうる。こ
のような(a)エポキシ樹脂としては、ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、
ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラッ
ク型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹
脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビス
フェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキ
シ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジ
ルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹
脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポ
キシ樹脂等があり、これらのエポキシ樹脂は、ハロゲン
化されていてもよく、水素添加されていてもよい。これ
らのエポキシ樹脂は、2種以上を併用してもよい。これ
らの中で、他の各種のエポキシ化合物と比較すると分子
量の異なるグレードが広く入手可能で、接着性や反応性
等を任意に設定できる点から、ビスフェノール型エポキ
シ樹脂が好ましい。
【0007】本発明に用いる(a)エポキシ樹脂のエポ
キシ当量は43〜1000が好ましく、50〜800が
より好ましく、73〜600が特に好ましい。エポキシ
当量が43未満又は1000を超えると、後に説明する
電極の接続時に、接着強度が低下する傾向がある。これ
らの(a)エポキシ樹脂は、不純物イオン(Na+、Cl
-等)や、加水分解性塩素等を300ppm以下に低減
した高純度品を用いることが、エレクトロンマイグレー
ション防止のために好ましい。
【0008】本発明に用いる(b)150〜750nmの
光照射によってエポキシ化合物と反応する官能基を発生
する化合物は、エポキシ基と反応する基、すなわちフェ
ノール性水酸基、1級アミノ基または2級アミノ基、メ
ルカプト基を光照射によって生成する低分子量化合物で
あれば特に制限は受けない。例えば、高分子論文集、44
巻、745〜751項(1987年)に報告されている
光フリース転位(光Fries転位)を用いることができる。
これは、エステル基やチオエステル基、アミド基を持つ
化合物が、光照射によって分子内転位を起こし、活性水
素を持つ基(図中XH)を生成する反応である。
【0009】
【化1】
【0010】本発明において用いることができる光フリ
ース転位可能な化合物としては、アリールエステル
(1)、アリールアミド(2)、アリールカーボナート
(3)、アリールチオエステル(4)等が挙げられる。
具体的には、下記一般式(1)〜(5)の少なくとも一種
を分子中に含有することが好ましい。
【化2】 (ただし、Arはフェニル基、ナフチル基等の芳香族
基、R1は水素、炭素数1〜10のアルキル基、フェニ
ル基、ナフチル基を示す)
【化3】 (ただし、Arはフェニル基、ナフチル基等の芳香族基
を示す)
【化4】 (ただし、Arはフェニル基、ナフチル基等の芳香族
基、R2は水素、炭素数1〜10のアルキル基、フェニ
ル基、ナフチル基を示す)
【化5】 (ただし、Arはフェニル基、ナフチル基等の芳香族
基、R3及びR4は独立に水素、炭素数1〜10のアルキ
ル基、フェニル基、ナフチル基を示す)
【化6】 (ただし、Arはフェニル基、ナフチル基等の芳香族
基、R5は水素、炭素数1〜10のアルキル基、フェニ
ル基、ナフチル基を示す)
【0011】前記光フリース転位の他、アリルフェニル
エーテル基を使用した光クライゼン転位(光Cleisen転
位)やクルチウス転位(Curtius転位)、スチーブンス転位
(Stevens転位)により、フェノール性水酸基、1級アミ
ノ基または2級アミノ基、メルカプト基を光照射により
任意に発生させることができる。
【0012】また、Journal of Ameri
can Chemical Society 113巻
4303項(1991年)に報告されているように、
ニトロベンジルカルバミン酸誘導体を光照射することに
より、アミノ基やメルカプト基を発生させることが可能
である。これらの化合物は、室温で光を照射しない状態
ではエポキシ樹脂と反応性を示さないため、室温での貯
蔵安定性は非常に優れているという特徴を持つ。
【0013】上記の光照射によってエポキシ化合物と反
応する官能基を発生する化合物は、単独で用いても良い
が、硬化密度等を考慮すると、1分子内に多数の上記化
合物を含む多官能分子が好ましい。また、ポリマ中の主
鎖や側鎖に導入して、多官能化して用いてもよい。
【0014】光照射によってエポキシ化合物と反応する
官能基を発生する化合物は、用いるエポキシ樹脂のエポ
キシ当量と発生する官能基当量を一致させることが最も
好ましいが、一般的には(a)エポキシ化合物100重
量部に対して、(b)光照射によってエポキシ化合物と
反応する官能基を発生する化合物0.01〜200重量
部を含有することが好ましい。
【0015】本発明の接着剤組成物には、必要に応じて
硬化促進剤を添加できる。このような硬化促進剤として
は、エポキシ基と光照射によって生成する官能基との反
応を促進する活性を示すものであれば特に制限なく使用
することができ、塩基性物質が好ましい。また、光照射
によって塩基性物質を発生する化合物でもよく、保存安
定性の点からとりわけ好ましい。例えば、分子中にベン
ゾインエーテル結合を持つ(4−モルホリノベンゾイ
ル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(イ
ルガキュア369、Ciba Specialty Chemicals製商品
名)や4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1
−モルホリノエタン(イルガキュア907、Ciba Speci
alty Chemicals製商品名)などが挙げられる。この他、
フェナシル基等の分子内にカルボニル基を有するジアル
キルフェナシルアンモニウム塩等の4級アンモニウム
塩、コバルト・アミン錯体、鉄-アレーン化合物等を使
用することができる。また必要に応じて、例えば2−メ
チルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロ
ピルイミダゾール等のアルキルイミダゾール化合物、フ
ェニルイミダゾール、ナフチルイミダゾール等のアリー
ルイミダゾール化合物、2−アミノエチルイミダゾー
ル、2−アミノプロピルイミダゾール等のアミノアルキ
ルイミダゾール化合物、アジピン酸ジヒドラジド、エイ
コサン2酸ジヒドラジド、7,11−オクタデカジエン
−1,18−ジカルボヒドラジド、1,3−ビス(ヒド
ラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン
等のヒドラジド化合物、アミンイミド、ポリアミン、ジ
シアンジアミド、第三ホスフィン類、第四アンモニウム
塩、第四ホスホニウム塩等を用いることもできる。これ
らは単独又は2種以上を組み合わせて使用される。これ
らの硬化促進剤は、ポリウレタン、ポリエステル等の高
分子物質や、Ni、Cu等の金属薄膜及びケイ酸カルシ
ウム等の無機物で被覆してマイクロカプセル化されたも
のや、等量のエポキシ樹脂と反応させてアダクト体にさ
れたものであってもよく、そのようなものは、可使時間
延長の点から好ましい。
【0016】硬化促進剤を使用する場合、その使用量
は、(A)エポキシ樹脂の100重量部に対して0.0
1〜200重量部とすることが好ましく、0.1〜10
0重量部とすることがより好ましく、0.5〜50重量
部とすることが特に好ましい。この量が、0.01重量
部未満では、硬化促進効果が不十分となる傾向があり、
200重量部を超えると、相溶性が低下する傾向があ
る。
【0017】本発明に用いる導電性粒子としては、A
u、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン
等が挙げられる。また、非導電性のガラス、セラミッ
ク、プラスチック等を核とし、この核に前記金属、金属
粒子やカーボンを被覆したものでもよい。導電性粒子
が、プラスチックを核とし、この核に前記金属、金属粒
子やカーボンを被覆したものや熱溶融金属粒子の場合、
加熱加圧により変形性を有するので接続時に電極との接
触面積が増加し信頼性が向上するので好ましい。またこ
れらの導電性粒子の表面を、さらに高分子樹脂などで被
覆した微粒子は、導電性粒子の配合量を増加した場合の
粒子同士の接触による短絡を抑制し、電極回路間の絶縁
性が向上できることから、適宜これを単独あるいは導電
性粒子と混合して用いてもよい。
【0018】この導電性粒子の平均粒径は、分散性、導
電性の点から1〜18μmであることが好ましい。導電
性粒子の使用量は、特に制限は受けないが、(A)エポ
キシ樹脂、(B)光照射によって塩基性物質を発生する
化合物、必要に応じて用いる硬化促進剤及び必要に応じ
て用いる添加剤のトータル100体積に対して0.1〜
30体積%とすることが好ましく、0.1〜10体積%
とすることがより好ましい。この値が、0.1体積%未
満であると導電性が劣る傾向があり、30体積%を超え
ると回路の短絡が起こる傾向がある。なお、体積%は2
3℃の硬化前の各成分の体積をもとに決定されるが、各
成分の体積は、比重を利用して重量から体積に換算する
ことができる。また、メスシリンダー等にその成分を溶
解したり膨潤させたりせず、その成分をよくぬらす適当
な溶媒(水、アルコール等)を入れたものに、その成分
を投入し増加した体積をその体積として求めることもで
きる。
【0019】本発明の接着剤組成物には、カップリング
剤等の密着向上剤、レベリング剤などの添加剤を適宜添
加してもよい。さらには、一組成物には(メタ)アクリ
レート誘導体、スチレン誘導体、マレイミド誘導体など
のラジカル重合性モノマと熱あるいは光によりラジカル
を発生する公知のラジカル発生剤及び増感剤を含んでい
てもよい。また、ビニルエーテル誘導体、オキセタン誘
導体等のカチオン重合性モノマとヨードニウム塩、スル
ホニウム塩、鉄-アレーン錯体等の光酸発生剤及び増感
剤を併用することができる。
【0020】本発明の接着剤組成物は、増粘化やフィル
ム化を目的として、種々のポリマを適宜添加してもよ
い。使用するポリマは特に制限を受けないが、(a)エポ
キシ樹脂、(b)光照射によってエポキシ化合物と反応す
る官能基を発生する化合物及び導電性粒子に悪影響を及
ぼさないことが必須である。このようなポリマとして
は、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂やビスフェノー
ルF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA・ビスフェノ
ールF共重合型フェノキシ樹脂等の汎用フェノキシ樹脂
類、ポリメタクリレート類、ポリアクリレート類、ポリ
イミド類、ポリウレタン類、ポリエステル類、ポリビニ
ルブチラール、SBS及びそのエポキシ変性体、SEB
S及びその変性体などを用いることができる。これらは
単独あるいは2種類以上を混合して用いることができ
る。さらに、これらポリマ中にはシロキサン結合やフッ
素置換基が含まれていても良い。これらは、混合する樹
脂同士が完全に相溶するか、もしくはミクロ相分離が生
じて白濁する状態であれば接着剤組成物としては好適に
用いることができる。上記ポリマの分子量は大きいほど
フィルム形成性が容易に得られ、また接着剤としての流
動性に影響する溶融粘度を広範囲に設定できる。分子量
は特に制限を受けるものではないが、一般的な重量平均
分子量としては5,000〜150,000が好まし
く、10,000〜80,000が特に好ましい。この
値が、5,000未満ではフィルム形成性が劣る傾向が
あり、また150,000を超えると他の成分との相溶
性が悪くなる傾向がある。使用量としてはエポキシ樹脂
100重量部に対して20〜320重量部とすることが
好ましい。この使用量が、20重量部未満又は320重
量部を超える場合は、流動性や接着性が低下する傾向が
ある。
【0021】本発明の接着剤組成物は、常温で液状であ
る場合にはペースト状で使用することができる。室温で
固体の場合には、加熱して使用する他、溶剤を使用して
ペースト化してもよい。使用できる溶剤としては、接着
剤組成物及び添加剤と反応性がなく、かつ十分な溶解性
を示すものであれば、特に制限は受けないが、常圧での
沸点が50〜150℃であるものが好ましい。沸点が5
0℃以下の場合、室温で放置すると揮発する恐れがあ
り、開放系での使用が制限される。また、沸点が150
℃以上だと、溶剤を揮発させることが難しく、接着後の
信頼性に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0022】本発明の接着剤組成物はフィルム状にして
用いることもできる。接着剤組成物に必要により溶剤等
を加えるなどした溶液を、フッ素樹脂フィルム、ポリエ
チレンテレフタレートフィルム、離形紙等の剥離性基材
上に塗布し、あるいは不織布等の基材に前記溶液を含浸
させて剥離性基材上に載置し、溶剤等を除去してフィル
ムとして使用することができる。フィルムの形状で使用
すると取扱性等の点から一層便利である。
【0023】照射に用いる光は、150〜700nmの
波長域で照射強度を持つランプを使用することができ、
一般に広く使用されている紫外線照射装置を用いること
ができる。例えば、水銀ランプ、メタルハライドラン
プ、無電極ランプ等が挙げられる。光照射時間は、ラン
プの波長域及び照射光強度と密接に関係があり、特に制
限は受けないが、スループットを考慮すると1時間以内
であることが好ましい。
【0024】本発明の接着剤組成物は光照射のみで被着
体と接着させる方法以外に光照射と同時あるいは光照射
後に硬化反応を促進する目的で加熱及び加圧を併用して
接着させても良い。これらを併用することにより、より
低温短時間での接着が可能となる。加熱温度は、接着剤
組成物の分解点以下であれば特に制限は受けないが、5
0〜170℃の温度が好ましい。圧力は、被着体に損傷
を与えない範囲であれば、特に制限は受けないが、一般
的には0.1〜10MPaが好ましい。これらの加熱及
び加圧は、0.5秒〜3時間の範囲で行うことが好まし
い。
【0025】本発明の接着剤組成物は、熱膨張係数の異
なる異種の被着体の接着剤として使用することができ
る。具体的には、異方導電接着剤、銀ペースト、銀フィ
ルム等に代表される回路接続材料、CSP用エラストマ
ー、CSP用アンダーフィル材、LOCテープ等に代表
される半導体素子接着材料として使用することができ
る。
【0026】以下に、本発明の接着剤組成物及び導電粒
子を使用して作製した異方導電フィルムと電極の接続の
一例について説明する。異方導電フィルムを、基板上の
相対時する電極間に存在させ、200〜700nmの光
を照射した後、加熱加圧することにより両電極の接触と
基板間の接着を得、電極との接続を行える。電極を形成
する基板としては、半導体、ガラス、セラミック等の無
機質、ポリイミド、ポリカーボネート等の有機物、ガラ
ス/エポキシ等のこれら複合の各組み合わせが適用でき
る。本発明の接着剤組成物及びこれを電極の接続に用い
る回路接続用接着剤組成物を用いると、従来困難であっ
た、熱膨張係数が大きく異なる材質の接続が可能となる
ことから、広範な材料の接続へ応用できる。
【0027】本発明の接着剤組成物、回路接続用接着剤
組成物は、比較的低温での接続が可能なため、接続時に
熱応力が小さく、微細回路接続後の信頼性を飛躍的に向
上でき、マージンを大きくとれるので、回路の接続作業
の効率が向上し、かつ歩留まりも向上する。
【0028】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 (安息香酸エステル誘導体の合成)500ミリリットルの
ナス型フラスコに3,3'−エチレンジオキシフェノー
ル(東京化成製)30gをテトラヒドロフラン300g、
ピリジン9.9gの混合溶媒中に室温でマグネチックス
ターラーを用いてかくはんして溶解させた。3,3'−
エチレンジオキシフェノールが完全に溶解した後、氷浴
で冷却しながらテトラヒドロフラン70gに塩化ベンゾ
イル17.6gを溶解させた溶液を30分かけて滴下し
た。滴下開始3分後に、ピリジン塩酸塩の析出が認めら
れた。滴下終了後、氷浴中で1時間かくはんした。この
後、リービッヒ冷却管をセットし、オイルバスにて50
℃に加熱しながら2時間反応させた。反応後、室温まで
冷却し、析出したピリジン塩酸塩を吸引ろ過により取り
除いた。この後、ロータリーエバポレーターを用いて濃
縮した。得られた生成物を、真空下60℃で一晩乾燥し
て目的の化合物を得た。収量49.3g(収率89%)で
あった。
【0029】(2-ニトロベンジルカルバミン酸誘導体
の合成)2-ニトロベンジルアルコール(東京化成株式会
社製)30gをテトラヒドロフラン300g中に室温で
マグネチックスターラーを用いてかくはんして溶解させ
た。この溶液に、予め混合しておいた4,4'-ジフェニ
ルメタンジイソシアネート(東京化成株式会社製)24.
5g、テトラヒドロフラン100gからなる溶液を30
分かけて滴下し、室温で1時間かくはんした。この後、
リービッヒ冷却管をセットし、オイルバスにて60℃に
加熱しながら2時間反応させた。反応後、室温まで冷却
し、ロータリーエバポレーターを用いて反応液が半分に
なるまで濃縮した。得られた濃縮液を1000重量部の
n-へキサン中に添加すると、白色沈殿物を得た。この
沈殿物を吸引ろ過し、真空下60℃で一晩乾燥して目的
の2−ニトロベンジルカルバミン酸誘導体を得た。収量
49.5g(収率91%)であった。
【0030】(実施例1)フェノキシ樹脂(PKHC、
ユニオンカーバイド社製商品名、平均分子量45,00
0)40gを、重量比でトルエン/酢酸エチル=50/
50の混合溶剤60gに溶解して、固形分40重量%の
溶液とした。エポキシ樹脂として、ビスフェノール型液
状エポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキ
シ株式会社製商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹
脂、エポキシ当量184)を用い、光照射によってフェ
ノール性水酸基を生成する安息香酸エステル誘導体及び
反応促進剤としてイミダゾール化合物(キュアゾール2P
Z-CN、四国化成工業株式会社製商品名)を用いた。ま
たポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μ
mのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み
0.02μmの金層を設け、平均粒径5μm、比重2.
5の導電性粒子を作製した。固形重量比でフェノキシ樹
脂50、エポキシ樹脂50、安息香酸エステル誘導体6
0、反応促進剤2となるように配合し、さらに導電性粒
子を1.5体積%配合分散させ、厚み80μmのフッ素
樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、10
分の熱風乾燥によって接着剤層の厚みが20μmのフィ
ルム状接着剤を得た。上記製法によって得たフィルム状
接着剤を用いて、ライン幅50μm、ピッチ100μ
m、厚み18μmの銅回路を500本有するフレキシブ
ル回路板(FPC)と、0.2μmの酸化インジウム
(ITO)の薄層を形成したガラス(厚み1.1mm、
表面抵抗20Ω/□)とを、紫外線照射併用型熱圧着装
置(加熱方式:コンスタントヒート型、東レエンジニア
リング株式会社製)を用いて140℃、2MPaで20
秒間の加熱加圧およびITOガラス側からの紫外線照射
を同時に行って幅2mmにわたり接続し、時間経過後圧
力開放して、接続体を作製した。接着剤に照射される紫
外線照射量は2.0J/cm2(366nm換算)とし
た。この時、あらかじめITOガラス上に、フィルム状
回路接続材料の接着面を貼り付けた後、70℃、0.5
MPaで5秒間加熱加圧して仮接続し、その後、フッ素
樹脂フィルムを剥離してもう一方の被着体であるFPC
と接続した。また20秒間の接続の際、加熱加圧のみを
開始して3秒経過した後17秒間の紫外線照射を開始
し、加熱加圧20秒後に2工程が同時に終了するように
した。
【0031】(実施例2)実施例1で使用したフィルム
状接着剤を、ITOガラス上に70℃、0.5MPaで
5秒間加熱加圧して仮接続した後、フッ素樹脂フィルム
を剥離して高圧水銀灯を用いて3.0J/cm2(366n
m換算)の紫外線を照射した。この後、実施例1と同様
のFPCを熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート
型、東レエンジニアリング株式会社製)を用いて140
℃、2MPaで20秒間の加熱加圧を行って幅2mmに
わたり接続し、時間経過後圧力開放して、接続体を作製
した。もう一方の被着体であるFPCと接続した。
【0032】(実施例3)フェノキシ樹脂(PKHC、
ユニオンカーバイド社製商品名、平均分子量45,00
0)40gを、重量比でトルエン/酢酸エチル=50/
50の混合溶剤60gに溶解して、固形分40重量%の
溶液とした。エポキシ樹脂として、ビスフェノール型液
状エポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキ
シ株式会社製商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹
脂、エポキシ当量184)を用い、光照射によって1級
のアミノ基を生成する2-ニトロベンジルカルバミン酸誘
導体を用いた。またポリスチレンを核とする粒子の表面
に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル
層の外側に、厚み0.02μmの金層を設け、平均粒径
5μm、比重2.5の導電性粒子を作製した。固形重量
比でフェノキシ樹脂50、エポキシ樹脂50、2-ニト
ロベンジルカルバミン酸誘導体75となるように配合
し、さらに導電性粒子を1.5体積%配合分散させ、厚
み80μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗
布し、70℃、10分の熱風乾燥によって接着剤層の厚
みが20μmのフィルム状接着剤を得た。実施例2と同
様にフィルム状接着剤を、ITOガラス上に70℃、
0.5MPaで5秒間加熱加圧して仮接続した後、フッ
素樹脂フィルムを剥離して高圧水銀灯を用いて10.0
J/cm2(366nm換算)の紫外線を照射した。この
後、FPCを熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒー
ト型、東レエンジニアリング株式会社製)を用いて13
0℃、2MPaで20秒間の加熱加圧を行って幅2mm
にわたり接続し、時間経過後圧力開放して、もう一方の
被着体であるFPCと接続した接続体を作製した。。
【0033】(比較例1)フェノキシ樹脂(PKHC、
ユニオンカーバイド社製商品名、平均分子量45,00
0)40gを、重量比でトルエン/酢酸エチル=50/
50の混合溶剤60gに溶解して、固形分40重量%の
溶液とした。光カチオン重合性化合物として、脂環式エ
ポキシ樹脂(EPHE3150、ダイセル化学工業株式
会社社製商品名、エポキシ当量185)を用いた。光カ
チオン重合開始剤としてはトリアリールスルホニウムの
ヘキサフルオロリン塩混合物(サイラキュアUVI−6
990、ユニオンカーバイド社製商品名)を用いた。ま
たポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μ
mのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み
0.02μmの金層を設け、平均粒径5μm、比重2.
5の導電性粒子を作製した。固形重量比でフェノキシ樹
脂50、光カチオン重合性化合物50、光カチオン重合
開始剤5となるように配合し、さらに導電性粒子を3体
積%配合分散させ、厚み80μmのフッ素樹脂フィルム
に塗工装置を用いて塗布し、70℃、10分の熱風乾燥
によって接着剤層の厚みが20μmのフィルム状接着剤
を得た。上記によって得たフィルム状接着剤を用いて、
実施例1と同様にITO及びFPCと接着させた。
【0034】(比較例2)フェノキシ樹脂(PKHC、
ユニオンカーバイド社製商品名、平均分子量45,00
0)40gを、重量比でトルエン/酢酸エチル=50/
50の混合溶剤60gに溶解して、固形分40重量%の
溶液とした。光カチオン重合性化合物として、脂環式エ
ポキシ樹脂(EPHE3150、ダイセル化学工業株式
会社製商品名、エポキシ当量185)を用いた。光カチ
オン重合開始剤としてはトリアリールスルホニウムのヘ
キサフルオロリン塩混合物(サイラキュアUVI−69
90、ユニオンカーバイド社製商品名)を用いた。また
ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μm
のニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み
0.02μmの金層を設け、平均粒径5μm、比重2.
5の導電性粒子を作製した。固形重量比でフェノキシ樹
脂50、光カチオン重合性化合物50、光カチオン重合
開始剤5となるように配合し、さらに導電性粒子を3体
積%配合分散させ、厚み80μmのフッ素樹脂フィルム
に塗工装置を用いて塗布し、70℃、10分の熱風乾燥
によって接着剤層の厚みが20μmのフィルム状接着剤
を得た。上記によって得たフィルム状接着剤を用いて、
実施例2と同様にITO及びFPCと接着させ接続体を
作製した。
【0035】実施例1〜3、比較例1〜2で作製した接
続体について接続直後の初期抵抗及び80℃、95%R
Hの条件で240時間、高温高湿状態に曝した後の接続
抵抗を評価した。接続抵抗の評価は、フィルム状接着剤
を用いて接続した後、上記接続部を含むFPCの隣接回
路間の抵抗値を、マルチメータで測定した。測定電流は
1mAとし、抵抗値は隣接回路間の抵抗150点の平均
で示した。その結果を表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】実施例1〜3で得た接続体については、耐
湿試験後も初期の接続抵抗を持続しており、良好な接着
剤であることを示した。これに対して、光カチオン重合
を用いていた比較例1の場合、耐湿試験後の接続抵抗は
初期の接続抵抗を維持できず、高い値となり信頼性が低
いことが分かる。また、比較例2の場合、光照射後に接
着剤が硬化し、接着効果を発現していないことを示し
た。
【0038】(実施例4)実施例1〜3で得たフィルム
化前の配合物をサンプル管中に保管し、室温で3日間放
置してその流動性を目視で観察した。この結果、いずれ
の配合物も配合直後の流動性を確保していた。
【0039】(比較例3)安息香酸エステル誘導体の代
わりに3,3'−エチレンジオキシフェノールを用いた
以外は実施例1と同様の配合を行い、フィルム化前の配
合物を得た。これを実施例4と同様に室温における流動
性を観察したところ、室温放置1日後に流動性が低下
し、3日後には流動性を失っていた。
【0040】(比較例4)2-ニトロベンジルカルバミ
ン酸誘導体の替わりに4,4'-ジフェニルメタンジアミ
ンを用いた以外は実施例3と同様の配合を行い、フィル
ム化前の配合物を得た。これを実施例4と同様に室温に
おける流動性を観察したところ、配合直後から流動性の
低下を確認し、室温放置1日後には流動性を失ってい
た。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、エポキシ樹脂の光カチ
オン重合のように重合触媒として強酸を用いる必要がな
いため回路電極の腐食が無く、しかも低温短時間で接着
可能となり、接続信頼性に優れる。また、貯蔵安定性に
優れる接着剤組成物、回路接続用接着剤組成物を提供す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 湯佐 正己 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社総合研究所内 Fターム(参考) 2H092 GA48 HA21 HA22 HA27 MA31 MA35 NA18 NA27 4J040 EC061 EC071 EC081 EC091 EC121 EC131 EC151 EC171 EC261 HB30 HB31 HB33 HC07 HC11 HD07 JB08 JB10 KA32 LA05 LA07 LA09 MA02 MA04 MA05 MA10 NA20 PA32 PA33 5F044 LL11 5F047 BA21 BA51 BA52 BB03 BB11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)エポキシ化合物、(b)150〜
    750nmの光照射によってエポキシ化合物と反応する
    官能基を発生する化合物を含有することを特徴とする接
    着剤組成物。
  2. 【請求項2】 (b)150〜750nmの光照射によ
    ってフェノール性の水酸基を発生する化合物であること
    を特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 【請求項3】 (b)150〜750nmの光照射によ
    って1級アミノ基または2級アミノ基を発生する化合物
    であることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成
    物。
  4. 【請求項4】 (b)150〜750nmの光照射によ
    ってメルカプト基を発生する化合物であることを特徴と
    する請求項1に記載の接着剤組成物。
  5. 【請求項5】 (a)エポキシ化合物100重量部に対
    して、(b)光照射によってエポキシ化合物と反応する
    官能基を発生する化合物0.01〜200重量部を含有
    してなる請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の接
    着剤組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれかに記
    載の接着剤組成物中に、さらに導電性粒子を含む接着剤
    組成物。
  7. 【請求項7】 相対向する回路電極を有する基板間に介
    在させ、相対向する回路電極を有する基板を加圧して加
    圧方向の電極間を電気的に接続する接着剤組成物であっ
    て、前記接着剤は請求項1ないし請求項6のいずれかに
    記載の接着剤組成物である回路接続用接着剤組成物。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の回路接続用接着剤組成
    物を用いて接続された接続体。
  9. 【請求項9】 半導体素子の電極と半導体搭載用基板の
    回路電極間に請求項1ないし請求項6のいずれかに記載
    の接着剤組成物を介在させ、加圧して加圧方向の電極間
    を電気的に接続した半導体装置。
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