JP4599800B2 - 接着シートの製造方法、半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

接着シートの製造方法、半導体装置およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着シートの製造方法、半導体装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材の接合には銀ペーストが主に使用されていた。しかし、近年の半導体素子の小型化・高性能化に伴い、使用される支持部材にも小型化・細密化が要求されるようになってきている。こうした要求に対して、銀ペーストでは、はみ出しや半導体素子の傾きに起因するワイヤボンディング時における不具合の発生、接着剤層の膜厚の制御困難性、及び接着剤層のボイド発生などにより前記要求に対処しきれなくなってきている。
【0003】
そのため、前記要求に対処するべく、近年、フィルム状の接着剤が使用されるようになってきた。このフィルム状接着剤は、個片貼付け方式あるいはウェハ裏面貼付け方式において使用されている。前者の個片貼付け方式のフィルム状接着剤を用いて半導体装置を製造する場合、リール状の接着フィルムをカッティングあるいはパンチングによって個片に切り出した後その個片を支持部材に接着し;前記フィルム状接着剤付き支持部材にダイシング工程によって個片化された半導体素子を接合して半導体素子付き支持部材を作製し;その後必要に応じてワイヤボンド工程、封止工程などを経ることによって半導体装置が得られることとなる。しかし、前記個片貼付け方式のフィルム状接着剤を用いるためには、接着フィルムを切り出して支持部材に接着する専用の組立装置が必要であることから、銀ペーストを使用する方法に比べて製造コストが高くなるという問題があった。
【0004】
一方、後者のウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤を用いて半導体装置を製造する場合、まず半導体ウェハの裏面にフィルム状接着剤を貼付けさらにフィルム状接着剤の他面にダイシングテープを貼り合わせ;その後前記ウェハからダイシングによって半導体素子を個片化し;個片化したフィルム状接着剤付き半導体素子をピックアップしそれを支持部材に接合し;その後の加熱、硬化、ワイヤボンドなどの工程を経ることにより半導体装置が得られることとなる。このウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤は、フィルム状接着剤付き半導体素子を支持部材に接合するためフィルム状接着剤を個片化する装置を必要とせず、従来の銀ペースト用の組立装置をそのままあるいは熱盤を付加するなどの装置の一部を改良することにより使用できる。そのため、フィルム状接着剤を用いた組立方法の中で製造コストが比較的安く抑えられる方法として注目されている。
【0005】
このウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤と共に用いられるダイシングテープは、感圧型とUV型ダイシングテープに大別される。
【0006】
前者の感圧型ダイシングテープは、通常、ポリ塩化ビニル系やポリオレフィン系のベースフィルムに粘着剤を塗布したものである。このダイシングテープは、ダイシング工程における切断時にはダイシングソウによる回転で各素子が飛散しないような十分な粘着力が求められ、ピックアップ時には各素子に接着剤が付着することなくまた素子を傷つけないようにするためにピックアップできる程度の低い粘着力が求められる。ところが、前記のような相反する2つの性能を充分併せ持つ感圧型ダイシングテープがなかったことより、半導体素子のサイズや加工条件毎にダイシングテープを切替える作業が行われていた。また素子のサイズや加工条件にあった各種の粘着力を有する多種多様のダイシングテープが必要になることからダイシングテープの在庫管理が複雑化していた。さらに、近年、特にCPUやメモリの大容量化が進んだ結果半導体素子が大型化する傾向にあり、またICカードあるいはメモリーカードなどの製品にあっては使用されるメモリの薄型化が進んでいる。これらの半導体素子の大型化や薄型化に伴い、前記感圧型ダイシングテープでは、ピックアップ時の接着強度が高いため、ピックアップ時に素子が割れてしまう等の問題が生じ、ダイシング時の固定力(高粘着力)とピックアップ時の剥離力(低粘着力)という相反する要求を満足できなくなりつつある。
【0007】
一方、後者のUV型ダイシングテープはダイシング時には高粘着力を有するものの、ピックアップする前に紫外線(UV)を照射することにより低粘着力になる。そのため、前記感圧型テープが有する課題が改善されることより、ダイシングテープとして広く採用されるに至っている(例えば、特許文献1、2、3,4参照(いずれも古河電気工業(株)))。
【0008】
このUV型ダイシングテープを用いることにより前記感圧型ダイシングテープの課題はある程度改善されるものの充分ではなく、さらにウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤にはさらに改善すべき課題が残されていた。即ち、ウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤を用いる方法にあっては、前記ダイシング工程までに、フィルム状接着剤とダイシングテープを貼付するといった2つの貼付工程が必要であった。またフィルム状接着剤へダイシングテープの粘着剤が転写し、接着性が低下する等の問題があった。そのため、フィルム状接着剤とダイシングテープの機能を併せ持つ接着シートが開発されている(例えば、特許文献5,6,7,8,9参照(いずれもリンテック(株)))。
【0009】
しかし、更なる半導体素子の大型化や薄型化に伴い、ダイシング時には半導体素子が飛散しないよう更に大きい粘着力を、ピックアップ時には各素子を傷つけることがないよう更に低い粘着力を有し、半導体素子と支持部材との接合工程では接続信頼性に優れるるという相反する要求を満足する接着シートが望まれている。
【特許文献1】
特開平5−320587号公報
【特許文献2】
特開平7−29860号公報
【特許文献3】
特開平7−29861号公報
【特許文献4】
特開平7−193028号公報
【特許文献5】
特開平2−32181号公報
【特許文献6】
特開平8−53655号公報
【特許文献7】
特開平8−239636号公報
【特許文献8】
特開平9−100450号公報
【特許文献9】
特開平10−8001号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤、官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分、および放射線照射によって塩基を発生する化合物を含む粘接着剤層を備えたことを特徴とする熱重合性および放射線重合性接着シートが、ダイシング工程ではダイシングテープとして作用し、半導体素子と支持部材との接合工程では接続信頼性に優れ、半導体素子搭載用支持部材に熱膨張係数の差が大きい半導体素子を実装する場合に要求される耐熱性及び耐湿性を有し、かつ作業性に優れる接着シートとして有用であり、さらに、製造工程を簡略化できる半導体装置の製造方法を提供できることを見出している(例えば、特願2001−256285号公報、特願2001−269013号公報、特願2002−37032号公報参照)が、その接着シートの製造方法によって効果の大きさに違いがあった。
【0011】
そのため、上記した従来技術の問題に鑑み、ダイシング工程ではダイシングテープとして作用し、半導体素子と支持部材との接合工程では接続信頼性に優れ、また、半導体素子搭載用支持部材に熱膨張係数の差が大きい半導体素子を実装する場合に要求される耐熱性および耐湿性を有し、かつ作業性に優れる接着シートの製造方法が求められていた。また、半導体装置の製造工程を簡略化できる製造方法が求められていた。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定成分即ち(A)熱重合性成分、(B)熱可塑性樹脂および(C)放射線照射によって塩基を発生する化合物を有してなる粘接着組成物を溶剤に溶解あるいは分散してワニスとし、(D)40mN/mを超える表面張力を有する基材層に「直接」塗り、その後に加熱し溶剤を除去することによって、上記課題を解決できることを見いだした。すなわち、上記工程によって製造した接着シートは、ダイシング工程時には半導体素子が飛び散らない程度の充分な粘着力を有し、ピックアップ時には半導体素子に損傷を与えないですむまで粘着力を低下させることが可能で、かつ粘接着剤層を介して半導体素子と被着体とを接着した際には信頼性に優れた半導体装置を得ることが可能なものである。
【0013】
即ち本発明は下記のようなものに関する。
1.粘接着剤層と基材層とを備える接着シートの製造方法であって、
(A)熱重合性成分、(B)熱可塑性樹脂および(C)放射線照射によって塩基を発生する化合物を含む粘接着組成物のワニスを、(D)40mN/mを超える表面張力を有する基材層に直接塗る工程と;
加熱により前記ワニス中の溶剤を除去又は乾燥する工程と;
を有する接着シートの製造方法。
2.前記(C)放射線照射によって塩基を発生する化合物が含窒素化合物である請求項1記載の接着シートの製造方法。
3.前記(A)熱重合性成分がエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤である請求項1あるいは2記載の接着シートの製造方法。
4.前記(B)熱可塑性樹脂が、官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分である請求項1あるいは2記載の接着シートの製造方法。
5.前記官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分が、エポキシ基含有反復単位を0.5〜6重量%含有するエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体である請求項4記載の接着シートの製造方法。
6.前記粘接着組成物が、前記(A)熱重合性成分を100重量部、前記(B)熱可塑性樹脂を10〜400重量部、および前記(C)放射線照射によって塩基を発生する化合物を0.01〜200重量部含有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の接着シートの製造方法。
7.前記(C)放射線照射によって塩基を発生する化合物が、水溶液中におけるpKaが7以上の塩基を放射線照射によって発生するものである請求項1〜6のいずれか1項記載の接着シートの製造方法。
8.前記(C)放射線照射によって塩基を発生する化合物が、α−アミノケトン化合物である請求項1〜7のいずれか1項記載の接着シートの製造方法。
9.前記(D)40mN/mを超える表面張力を有する基材層がポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1〜8のいずれか1項記載の接着シートの製造方法。
10.前記ポリエチレンテレフタレートフィルムが化学的および物理的な表面処理を行っていないものである請求項9記載の接着シートの製造方法。
11.前記粘接着剤層が、25℃で10〜2000MPa、および260℃で3〜50MPaの加熱硬化後の貯蔵弾性率を有する、請求項1〜10のいずれか1項記載の接着シートの製造方法。
12.放射線の照射により、前記粘接着剤層と基材層との間の接着力を制御する、請求項1〜11のいずれか1項記載の接着シートの製造方法。
13.請求項1〜12のいずれか1項記載の接着シートの製造方法を用いて製造された接着シートを用いて、半導体素子と半導体搭載用支持部材とを接着した半導体装置。
14.(1)請求項1〜12のいずれか1項記載の接着シートの製造方法を用いて製造された粘接着剤層と基材層を有してなる接着シートを、前記粘接着剤層を介して半導体ウェハに貼り付ける工程と、
(2)前記半導体ウェハをダイシングして、粘接着剤層付き半導体素子を得る工程と、
(3)ダイシング後において、前記接着シートに放射線を照射して前記粘接着剤層を硬化させ半導体素子を形成、その後前記基材層を剥離する工程と、
(4)前記粘接着剤層付き半導体素子と半導体素子搭載用の支持部材とを、前記接着シートを介して接着する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【0014】
また本発明は以下の発明にも関する。
15.粘接着剤層と基材層とを備える接着シートであって、
前記基材層は40mN/mを超える表面張力を有するものであり、
前記粘接着剤層は前記基材層に(A)熱重合性成分、(B)熱可塑性樹脂および(C)放射線照射によって塩基を発生する化合物を含む粘接着組成物のワニスを直接塗り、加熱によりワニス中の溶剤を除去又は乾燥することにより得られたものである前記接着シート。
かかる接着シートは、粘接着組成物のワニスを基材層に「直接塗る」という構成を有することに起因して、理由は定かではないが粘接着剤層と基材層との界面における前記(C)放射線照射によって塩基を発生する化合物濃度が低下することによって、粘接着剤層と基材層との間に相互作用が働いている。そのため、本発明の接着シートによれば前記課題を解決する作用効果が得られることとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、(A)熱重合性成分、(B)熱可塑性樹脂および(C)放射線照射によって塩基を発生する化合物を有してなる粘接着組成物を溶剤に溶解あるいは分散してワニスとし;得られたワニスを(D)40mN/mを超える表面張力を有する基材層に直接塗布し;加熱により前記ワニス中の溶剤を除去する工程を備える接着シートの製造方法に関する。
【0016】
本発明の接着シートの製造方法は、上記粘接着組成物を溶剤に溶解あるいは分散してワニスを40mN/mを超える表面張力を有する基材層に「直接」塗布することによってダイシング時には半導体素子が飛散しない十分な粘着力を有し、その後放射線を照射して、前記粘接着剤層と基材との間の接着力を制御することにより、ピックアップ時には各素子を傷つけることがないような低い粘着力を有する、という相反する要求を満足するものであり、ダイシングおよびダイボンドの各工程を、一枚のフィルムで完了することができる。
【0017】
(熱重合性成分)
本発明に使用する(A)熱重合性成分としては、熱により重合するものであれば特に制限は無く、例えば、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基等の官能基を持つ化合物が挙げられ、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができるが、接着シートとしての耐熱性を考慮すると、熱によって硬化し接着作用を及ぼす熱硬化性樹脂を使用することが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられ、特に、耐熱性、作業性、信頼性に優れる接着シートが得られる点でエポキシ樹脂を使用することが最も好ましい。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂硬化剤を合わせて使用することが好ましい。
【0018】
エポキシ樹脂としては硬化して接着作用を有するものであれば特に限定されない。ビスフェノールA型エポキシなどの二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂などを使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂又は脂環式エポキシ樹脂など、一般に知られているものを適用することができる。
【0019】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製エピコートシリーズ(エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009)、ダウケミカル社製、DER−330、DER−301、DER−361、及び東都化成(株)製、YD8125、YDF8170等が挙げられる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート152、エピコート154、日本化薬(株)製のEPPN−201、ダウケミカル社製のDEN−438等が、またo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬(株)製のEOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1025、EOCN−1027や、東都化成(株)製、YDCN701、YDCN702、YDCN703、YDCN704等が挙げられる。多官能エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のEpon 1031S、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイト0163、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321等が挙げられる。アミン型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート604、東都化成(株)製のYH−434、三菱ガス化学(株)製のTETRAD−X及びTETRAD−C、住友化学(株)製のELM−120等が挙げられる。複素環含有エポキシ樹脂としては、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイトPT810、UCC社製のERL4234、ERL4299、ERL4221、ERL4206等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができる。
【0020】
エポキシ樹脂硬化剤としては、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができ、例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ビスフェノールA、ビスフェノールF,ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂などが挙げられる。特に吸湿時の耐電食性に優れる点で、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂などのフェノール樹脂が好ましい。
【0021】
前記フェノール樹脂硬化剤の中で好ましいものとしては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製、商品名:フェノライトLF2882、フェノライトLF2822、フェノライトTD−2090、フェノライトTD−2149、フェノライトVH−4150、フェノライトVH4170、明和化成(株)製、商品名:H−1、ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピキュアMP402FPY、エピキュアYL6065、エピキュアYLH129B65及び三井化学(株)製、商品名:ミレックスXL、ミレックスXLC、ミレックスRN、ミレックスRS、ミレックスVR等が挙げられる。
【0022】
(熱可塑性樹脂)
本発明に使用する(B)前記熱可塑性樹脂は、熱可塑性を有する樹脂、または少なくとも、未硬化状態において熱可塑性を有し、加熱後に架橋構造を形成する樹脂であれば特に制限はないが、Tg(ガラス転移温度)が−50〜10℃で重量平均分子量が100000〜1000000であるもの、又は、Tgが10〜100℃でかつ重量平均分子量が5000〜200000であることが好ましい。
【0023】
前者の熱可塑性樹脂としては、官能性モノマーを含む重合体を使用することが好ましく、後者の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等が挙げられ、中でもポリイミド樹脂が好ましい。
【0024】
上記官能性モノマーを含む重合体における官能基としては、例えば、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、中でもグリジシル基が好ましい。より具体的には、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートなどの官能性モノマーを含有するグリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体などが好ましく、さらにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と非相溶であることが好ましい。
【0025】
官能性モノマーを含む重合体としては特に制限がなく、例えば、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートなどの官能性モノマーを含有し、かつ重量平均分子量が10万以上であるエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体などが好ましく、さらにエポキシ樹脂と非相溶であることが好ましい。
【0026】
エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体は、例えば、(メタ)アクリルエステル共重合体、アクリルゴムなどを使用することができ、アクリルゴムがより好ましい。アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とし、主として、ブチルアクリレートとアクリロニトリルなどの共重合体や、エチルアクリレートとアクリロニトリルなどの共重合体などからなるゴムである。
【0027】
官能性モノマーとしては、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートなどを使用することが好ましい。このような重量平均分子量が10万以上であるエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、ナガセケムテックス(株)製HTR−860P−3などが挙げられる。
【0028】
グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートなどのエポキシ樹脂含有反復単位の量は、0.5〜6.0重量%が好ましく、0.5〜5.0重量%がより好ましく、0.8〜5.0重量%が特に好ましい。エポキシ基含有反復単位の量がこの範囲にあると、接着力が確保できるとともに、ゲル化を防止することができる。
【0029】
官能性モノマーとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートのほかに、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらは、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することもできる。なお、本発明において、エチル(メタ)アクリレートとは、エチルアクリレートとエチルメタクリレートの両方を示す。官能性モノマーを組み合わせて使用する場合の混合比率は、エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体のガラス転移温度(以下「Tg」という)を考慮して決定し、Tgは−10℃以上であることが好ましい。Tgが−10℃以上であると、Bステージ状態での粘接着剤層のタック性が適当であり、取り扱い性に問題を生じないからである。
【0030】
上記モノマーを重合させて、官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分を製造する場合、その重合方法としては特に制限はなく、例えば、パール重合、溶液重合などの方法を使用することができる。
【0031】
上記官能性モノマーを含む高分子量成分の重量平均分子量は、10万以上であるが、30万〜300万であることが好ましく、50万〜200万であることがより好ましい。重量平均分子量がこの範囲にあると、シート状またはフィルム状としたときの強度、可とう性、およびタック性が適当であり、また、フロー性が適当のため配線の回路充填性が確保できる。なお、本発明において、重量平均分子量とは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
【0032】
また、(B)熱可塑性樹脂の使用量は、(A)熱重合性成分100重量部に対して、10〜400重量部が好ましい。この範囲にあると、弾性率および成型時のフロー性抑制が確保でき、また高温での取り扱い性も十分に得られる。高分子量成分の使用量は、15〜350重量部がより好ましく、20〜300重量部が特に好ましい。
【0033】
(放射線照射によって塩基を発生する化合物)
本発明に使用する(C)放射線照射によって塩基を発生する化合物は、放射線照射時に塩基を発生する化合物であれば特に制限は受けない。発生する塩基としては、反応性、硬化速度の点から強塩基性化合物が好ましい。一般的には、塩基性の指標として酸解離定数の対数であるpKa値が使用され、水溶液中でのpKa値が7以上の塩基が好ましく、さらに9以上の塩基がより好ましい。
【0034】
このような塩基性を示す例としては含窒素化合物が挙げられる。より具体的にはイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン等のピペラジン誘導体、ピペリジン、1,2−ジメチルピペリジン等のピペリジン誘導体、プロリン誘導体、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等のトリアルキルアミン誘導体、4−メチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の4位にアミノ基またはアルキルアミノ基が置換したピリジン誘導体、ピロリジン、n−メチルピロリジン等のピロリジン誘導体、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−1(DBU)等の脂環式アミン誘導体、ベンジルメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等のベンジルアミン誘導体等が挙げられる。
【0035】
前記塩基性化合物を放射線照射によって発生するものとしては、例えば、Journal of Photopolymer Science and Technology 12巻、313〜314項(1999年)やChemistry of Materials 11巻、170〜176項(1999年)等に記載されている4級アンモニウム塩誘導体を用いることができる。これらは、活性光線の照射により高塩基性のトリアルキルアミンを生成するため、エポキシ樹脂の硬化には最適である。
【0036】
また、Journal of American Chemical Society 118巻 12925頁(1996年)やPolymer Journal 28巻 795頁(1996年)等に記載されているカルバミン酸誘導体や、活性光線の照射により1級のアミノ基を発生するオキシム誘導体用いることができる。
また、前記放射線照射により塩基を発生する化合物として、α−アミノケトン化合物が本発明に最も好適に用いることができる。具体的には、光ラジカル発生剤として市販されている2−メチル−1(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Ciba Speciality Chemicals社製イルガキュア907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン(Ciba Speciality Chemicals社製イルガキュア369)、ヘキサアリールビスイミダゾール誘導体(ハロゲン、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等の置換基がフェニル基に置換されていてもよい)、ベンゾイソオキサゾロン誘導体、等を用いることができる。
上記α−アミノケトン化合物は、放射線を照射する前は、立体障害のため熱硬化性樹脂の硬化促進作用を有しないが、放射線を照射することにより、α−アミノケトン化合物が解離して前記立体障害が低下するため、熱硬化性樹脂の硬化促進作用を有すると類推される。
【0037】
前記活性光線による塩基発生剤の他に、光フリース転位、光クライゼン転位(光Cleisen転位)やクルチウス転位(Curtius転位)、スチーブンス転位(Stevens転位)によって塩基性化合物を発生させ、エポキシ樹脂の硬化を行うことができる。
【0038】
前記塩基発生剤は、分子量500以下の低分子化合物として用いる他、高分子の主鎖及び側鎖に導入した化合物を用いても良い。この場合の分子量としては、粘接着剤としての粘接着性、流動性の観点から重量平均分子量1,000〜100,000が好ましく、より好ましくは5,000〜30,000である。
【0039】
これらの化合物は、室温で放射線を照射しない状態ではエポキシ樹脂と反応性を示さないため、室温での貯蔵安定性は非常に優れているという特徴を持つ。
【0040】
(基材層)
本発明で使用する(D)基材層としては、40mN/mを超える表面張力を有して、さらに放射線を透過すれば特に制限は無いが、作業性およびダイシング時には半導体素子が飛散しない十分な粘着力を有し、その後放射線を照射して、前記粘接着剤層と基材との間の接着力を制御することにより、ピックアップ時には各素子を傷つけることがないような低い粘着力を有する、という相反する要求を満足し易いという点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが最も好ましい。具体的には、帝人デュポンフィルム(株)のテイジンテトロンフィルムシリーズや、東レ(株)のルミラーシリーズを使用することができる。
【0041】
また前記基材層は、異なる2種類以上のフィルムを積層したものであっても良い。積層するフィルムとしては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポイエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリビニルアセテートフィルム等のポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルムなどのプラスチックフィルム等が挙げられる。この場合、粘接着剤層に接する側のフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムが最も好ましい。
【0042】
また、もう一方の、直接粘接着剤層に接しない側の基材層は、フィルムの伸びが大きく、エキスパンド工程での作業性がよい点で、25℃での引張弾性率が1000MPa以下であることが好ましく、800MPa以下であることがより好ましく、600MPa以下であることが特に好ましい。この引張弾性率は、JIS K7113号に準じて測定されたものである。
【0043】
2種以上の基材層を積層した基材層を使用する場合、その積層方法としては特に制限はなく、別々に作製した基材層をラミネートする方法、ある基材層上にもう一方の基材層を押出しラミネートする方法、2種類以上の基材層を押出し塗工しながら貼り合せる方法、ある基材層の原料となるポリマーを溶剤に溶解あるいは分散してワニスとし別の基材層上に塗り、加熱し溶剤を除去する方法、及び接着剤を用いて貼り合わせる方法等公知の方法を使用することができる。
【0044】
また、本発明を形成する粘接着剤層には、硬化促進剤を添加することもできる。硬化促進剤には、特に制限が無く、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7−テトラフェニルボレート等を用いることができる。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0045】
硬化促進剤の添加量は、(A)熱重合性成分100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.2〜3重量部がより好ましい。添加量がこの範囲にあると、硬化性と保存安定性を両立することができる。
【0046】
本発明を形成する粘接着剤層は、加熱硬化した段階で、貯蔵弾性率が25℃で10〜2000MPaであり、260℃で3〜50MPaであることが好ましい。25℃での弾性率は、20〜1900MPaがより好ましく、50〜1800MPaが特に好ましい。また、260℃での弾性率は、5〜50MPaがより好ましく、7〜50MPaが特に好ましい。貯蔵弾性率がこの範囲にあると、半導体素子と支持部材との熱膨張係数の差によって発生する熱応力を緩和させる効果が保たれ、剥離やクラックの発生を抑制できるとともに、接着剤の取り扱い性、接着剤層の厚み精度、リフロークラックの発生を抑制できる。
【0047】
この貯蔵弾性率は、たとえば、動的粘弾性測定装置(レオロジ社製、DVE−V4)を使用し、接着剤硬化物に引張荷重をかけて、周波数10Hz、昇温速度5〜10℃/minの条件で−50℃から300℃まで測定する、温度依存性測定モードによって行うことができる。
【0048】
本発明を形成する粘接着剤層には、可とう性や耐リフロークラック性を向上させる目的で、エポキシ樹脂と相溶性がある高分子量樹脂を添加することができる。このような高分子量樹脂としては、特に限定されず、たとえばフェノキシ樹脂、高分子量エポキシ樹脂、超高分子量エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
【0049】
エポキシ樹脂と相溶性がある高分子量樹脂の使用量は、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤100重量部に対して、40重量部以下とすることが好ましい。この範囲であると、エポキシ樹脂層のTgを確保できる。
【0050】
また、本発明を形成する粘接着剤層には、その取り扱い性向上、熱伝導性向上、溶融粘度の調整およびチキソトロピック性付与などを目的として、無機フィラーを添加することもできる。無機フィラーとしては、特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が挙げられ、フィラーの形状は特に制限されるものではない。これらのフィラーは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0051】
中でも、熱伝導性向上のためには、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。また、溶融粘度の調整やチキソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカなどが好ましい。
【0052】
無機フィラーの使用量は、粘接着剤層100重量部に対して1〜20重量部が好ましい。1重量部未満だと添加効果が得られない傾向があり、20重量部を超えると、接着剤層の貯蔵弾性率の上昇、接着性の低下、ボイド残存による電気特性の低下等の問題を起こす傾向がある。
【0053】
また、本発明を形成する粘接着剤層には、異種材料間の界面結合を良くするために、各種カップリング剤を添加することもできる。カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系、アルミニウム系等が挙げられ、中でも効果が高い点でシラン系カップリング剤が好ましい。
【0054】
上記シラン系カップリング剤としては、特に制限はなく、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N‐フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン、3−4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル−プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、アミルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリ(メタクリロイルオキエトキシ)シラン、メチルトリ(グリシジルオキシ)シラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、トリメチルシリルイソシアネート、ジメチルシリルイソシアネート、メチルシリルトリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、テトライソシアネートシラン、エトキシシランイソシアネートなどを使用することができ、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0055】
また、チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(n−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアエチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタンチリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、テトラメチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネート、テタラプロピルオルソチタネート、テトライソブチルオルソチタネート、ステアリルチタネート、クレシルチタネートモノマー、クレシルチタネートポリマー、ジイソプロポキシ−ビス(2,4−ペンタジオネート)チタニウム(IV)、ジイソプロピル−ビス−トリエタノールアミノチタネート、オクチレングリコールチタネート、テトラ−n−ブトキシチタンポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートなどを使用することができ、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0056】
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトイス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウム=モノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−iso−プロポキシド−モノエチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム−sec−ブチレート、アルミニウムエチレート等のアルミニウムアルコレートなどを使用することができ、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0057】
上記カップリング剤の使用量は、その効果や耐熱性及びコストの面から、(A)熱重合性成分100重量部に対して、0.01〜10重量部とするのが好ましい。
【0058】
本発明を形成する粘接着剤層には、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性をよくするために、さらにイオン捕捉剤を添加することもできる。このようなイオン捕捉剤としては、特に制限はなく、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤等の、銅がイオン化して溶け出すのを防止するため銅害防止剤として知られる化合物、ジルコニウム系、アンチモンビスマス系マグネシウムアルミニウム化合物等の無機イオン吸着剤などが挙げられる。
上記イオン捕捉剤の使用量は、添加による効果や耐熱性、コスト等の点から、(A)熱重合性成分100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。
【0059】
(製造方法)
本発明の接着シートの製造方法は、粘接着剤組成物を溶剤に溶解あるいは分散してワニスとし、基材フィルム上に塗り、加熱し溶剤を除去するものである。
上記のワニス化するための溶剤としては、特に限定されないが、フィルム作製時の揮発性などを考慮すると、たとえば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどの比較的低沸点の溶媒を使用するのが好ましい。また、塗膜性を向上させるなどの目的で、たとえば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノンなどの比較的高沸点の溶媒を使用することもできる。これらの溶媒は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0060】
無機フィラーを添加した際のワニスの製造には、無機フィラーの分散性を考慮して、らいかい機、3本ロール、ボールミル及びビーズミルなどを使用するのが好ましく、また、これらを組み合わせて使用することもできる。また、無機フィラーと低分子量の原料をあらかじめ混合した後、高分子量の原料を配合することによって、混合する時間を短縮することもできる。また、ワニスとした後、真空脱気等によってワニス中の気泡を除去することもできる。
【0061】
基材層へワニスを塗る方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
【0062】
接着シートの厚みは、特に制限はないが、粘接着剤層、基材ともに5〜250μmが好ましい。5μmより薄いと応力緩和効果が乏しくなる傾向があり、250μmより厚いと経済的でなくなる上に、半導体装置の小型化の要求に応えられない。
【0063】
また、本発明から成る接着シートは、すでに述べたように少なくとも基材フィルムに直接塗られた粘接着剤層を有していればよい。従って、所望の粘接着剤層厚みを得るために、接着シートの粘接着剤層側(すなわち基材フィルム上に塗布された粘接着剤層の面)に、別途作成した粘接着剤を2枚以上貼り合わせることもできる。この場合には、粘接着剤層同士の剥離が発生しないような貼り合わせ条件が必要である。
【0064】
以上説明したような構成の接着シートに放射線照射すると、放射線照射後には基材の接着力は大きく低下し、容易に半導体素子に接着層を保持したまま該接着シートの基材フィルムからピックアップすることができる。
【0065】
本発明から成る接着シートの粘接着剤層は、放射線照射のみで基材の接着力を低下させる方法以外に放射線照射と同時あるいは放射線照射後に硬化反応を促進する目的で加熱を併用しても良い。加熱を併用することにより、より低温短時間での接着力低下が可能となる。加熱温度は、粘接着剤層の分解点以下であれば特に制限は受けないが、50〜170℃の温度が好ましい。
【0066】
(使用方法)
以下本発明に係る接着シートの使用方法について説明する。接着シート上にダイシング加工すべき半導体ウェハを室温又は加熱しながら圧着し、ダイシング、洗浄、乾燥の工程が加えられる。この際、半導体素子は接着シートに充分に接着保持されているので、上記各工程の間に半導体素子が脱落することはない。
【0067】
次に、放射線を接着シートに照射し、放射線重合性を有する接着シートを重合硬化せしめる。
本発明において照射する放射線は、150〜750nmの波長域を持つ活性光線であり、紫外線、遠紫外線、近紫外線、可視光線、電子線、赤外線、近赤外線などがある。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプを使用して0.01〜10000J/cmの照射することができる。
接着シートへの放射線照射は、放射線重合性を有する接着シート面から行う。
接着シートの基材フィルムは光透過性である必要がある。
【0068】
その後、半導体素子を放射線硬化後の接着シートとともにピックアップし、支持部材に室温又は加熱しながら圧着し加熱する。加熱によって接着シートは信頼性に耐える接着力を発現し、半導体素子と支持部材の接着が完了する。
【0069】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明する。本発明は、これらに限定されるものではない。尚、接着シートについての評価は、各実施例中に特記しない限り後に説明する評価方法の欄で説明する方法に従って行った。
【0070】
(実施例1)
YDCN−703(東都化成(株)製商品名、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210)42.3重量部、フェノライトLF2882(大日本インキ化学工業(株)製商品名、ビスフェノールAノボラック樹脂)23.9重量部、HTR−860P−3(ナガセケムテックス(株)製商品名、エポキシ基含有アクリルゴム、分子量100万、Tg−7℃)44.1重量部、キュアゾール2PZ−CN(四国化成工業(株)製商品名、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)0.4重量部、NUC A−187(日本ユニカー(株)製商品名、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.7重量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン(Ciba Speciality Chemicals社製、商品名:イルガキュア369)0.5重量部からなる組成物に、メチルエチルケトンを加えて攪拌混合し、真空脱気した。この接着剤ワニスを、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンテトロンフィルム:G2−50、表面張力50mN/m)上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥して、基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を備えた膜厚が50μmの接着シート(基材を除いた接着シートの厚みが50μm)(接着シート1)を作製した。
【0071】
この接着シート1を170℃1時間硬化させた場合の貯蔵弾性率を動的粘弾性測定装置(レオロジ社製、DVE−V4)を用いて測定(サンプルサイズ:長さ20mm、幅4mm、膜厚80μm、昇温速度5℃/min、引張りモード、10Hz、自動静荷重)した結果、25℃で350MPa、260℃で25MPaであった。
得られた接着シート1の厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンテトロンフィルム:G2−50、表面張力50mN/m)と接している面の(C)放射線照射によって塩基を発生する化合物である2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン濃度を測定するため、X線光電子分析装置(X-ray Photoelectron Spectroscopy)を使用して、下記条件で最表面の元素分析を行った。結果を表1に示す。
装置:(株)島津製作所/kratos製
AXIS-165 Al-kα 75-150w(5-10mA-15kV)
検出角度:90°
測定面積:0.3×0.7mm
定性スペクトルPE=160eV
定量スペクトルPE=20eV
適宜中和銃による帯電中和
【0072】
また、得られた接着シート1を用いて、半導体チップと厚み25μmのポリイミドフィルムを基材に用いた配線基板を接着シートで貼り合せた半導体装置サンプル(片面にはんだボールを形成)を作製し、耐熱性及び耐湿性を調べた。耐熱性の評価方法には、耐リフロークラック性と温度サイクル試験を適用した。耐リフロークラック性の評価は、サンプル表面の最高温度が240℃でこの温度を20秒間保持するように温度設定したIRリフロー炉にサンプルを通し、室温で放置することにより冷却する処理を2回繰り返したサンプル中のクラックを目視と超音波顕微鏡で視察した。クラックの発生していない確率(%/100チップ)で示した。耐温度サイクル性は、サンプルを−55℃雰囲気に30分間放置し、その後125℃の雰囲気に30分間放置する工程を1サイクルとして、1000サイクル後において超音波顕微鏡を用いて剥離やクラック等の破壊が発生していない確率(%/100チップ)で示した。また、耐湿性評価は、温度121℃、湿度100%、2.03×10Paの雰囲気(プレッシャークッカ−テスト:PCT処理)で72時間処理後に剥離を観察することにより行った。剥離の発生していない確率(%/100チップ)で示した。
【0073】
一方、接着シート1を厚さ150μmのシリコンウェハ上に貼付け、接着シート付きシリコンウェハをダイシング装置上に載置した。次いで、半導体ウェハをダイシング装置上に固定して、100mm/secの速度で5mm×5mmにダイシングした後、(株)オーク製作所製UV−330 HQP−2型露光機を使用して、500mJ/cmの露光量で接着シートの支持体フィルム側から露光し、ピックアップ装置にてダイシングしたチップをピックアップし、ダイシング時のチップ飛び及びピックアップ性を評価した。ダイシング時にチップが飛んだ確率(%/100チップ)でダイシング時のチップ飛びを、ピックアップダイボンダ−により、ダイシング後のチップをピックアップしたときのピックアップできた確率(%/100チップ)でピックアップ性を示した。
【0074】
さらに、上記接着シート付きシリコンウェハに500mJ/cmの露光量で接着シートの支持体フィルム側から露光し、露光前後の接着シート/基材界面の接着強度を、90°ピール強度で測定した(引張り速度 50mm/min)。
これらの評価結果をまとめて表2に示す。
【0075】
(実施例2)
デナコール EX−411(ナガセケムテックス(株)製商品名、脂肪族エポキシ樹脂、4官能、エポキシ当量231)76.0重量部、フェノライトLF2882(大日本インキ化学工業(株)製商品名、ビスフェノールAノボラック樹脂)39.0重量部、HTR−860P−3)ナガセケムテックス(株)製商品名、エポキシ基含有アクリルゴム、分子量100万、Tg−7℃)76.7重量部、キュアゾール2PZ−CN(四国化成工業(株)製商品名、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)0.5重量部、NUC A−187(日本ユニカー(株)製商品名、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.7重量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン(Ciba Speciality Chemicals社製、商品名:イルガキュア369)1.0重量部からなる組成物に、メチルエチルケトンを加えて攪拌混合し、真空脱気した。この接着剤ワニスを、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンテトロンフィルム:G2−50、表面張力50mN/m)上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥して、基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を備えた膜厚が50μmの接着シート(基材を除いた接着シートの厚みが50μm)(接着シート2)を作製した。
この接着シート2を170℃1時間硬化させた場合の貯蔵弾性率を動的粘弾性測定装置(レオロジ社製、DVE−V4)を用いて測定(サンプルサイズ:長さ20mm、幅4mm、膜厚80μm、昇温速度5℃/min、引張りモード、10Hz、自動静荷重)した結果、25℃で360MPa、260℃で10MPaであった。また得られた接着シート2を実施例1と同様の条件で評価した結果を表2に示す。
【0076】
(実施例3)
エピコート828(ジャパンエポキシレジン(株)製商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量190)45.0重量部、ESCN195(住友化学工業(株)商品名、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量195)15.0重量部、プライオーフェンLF2882(大日本インキ化学工業(株)製商品名、ビスフェノールAノボラック樹脂)40.0重量部、HTR−860P−3(ナガセケムテックス(株)製商品名、エポキシ基含有アクリルゴム、分子量100万、Tg−7℃)66.7重量部、キュアゾール2PZ−CN(四国化成工業(株)製商品名、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)0.5重量部、NUC A−187(日本ユニカー(株)製商品名、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.7重量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン(Ciba Speciality Chemicals社製、商品名:イルガキュア369)1.0重量部からなる組成物に、メチルエチルケトンを加えて攪拌混合し、真空脱気した。この接着剤ワニスを、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンテトロンフィルム:G2−50、表面張力50mN/m)上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥して、基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を備えた膜厚が50μmの接着シート(基材を除いた接着シートの厚みが50μm)(接着シート3)を作製した。
この接着シート4を170℃1時間硬化させた場合の貯蔵弾性率を動的粘弾性測定装置(レオロジ社製、DVE−V4)を用いて測定(サンプルサイズ:長さ20mm、幅4mm、膜厚80μm、昇温速度5℃/min、引張りモード、10Hz、自動静荷重)した結果、25℃で360MPa、260℃で14MPaであった。また得られた接着シート3を実施例1と同様の条件で評価した結果を表2に示す。
【0077】
(比較例1)
実施例1において、粘接着剤組成物を塗布する基材を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンテトロンフィルム:G2−50、表面張力50mN/m)から、片面離型処理ポリエチレンテレフタレート(帝人デュポンフィルム(株)製、ピュ−レックスS−31、厚さ50μm、表面張力25mN/m)にし、その離型処理面に塗布した以外は実施例1と全く同様の操作を行い、膜厚が50μmの接着シート(基材を除いた接着シートの厚みが50μm)(接着シート4)を得た。得られた接着シート4の片面離型処理ポリエチレンテレフタレート(帝人デュポンフィルム(株)製、ピュ−レックスS−31、厚さ50μm、表面張力25mN/m)と接している面の(C)放射線照射によって塩基を発生する化合物である2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン濃度を実施例1と同様の条件で測定した結果を表1に示す。また、得られた接着シート4を実施例1と同様の条件で評価した結果を表2に示す。
【0078】
(比較例2)
比較例1で得られた接着シート5の粘接着剤層上に厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンテトロンフィルム:G2−50、表面張力50mN/m)を貼合せた後、片面離型処理ポリエチレンテレフタレート(帝人デュポンフィルム(株)製、ピュ−レックスS−31、厚さ50μm、表面張力25mN/m)をはく離して、膜厚が50μmの接着シート(基材を除いた接着シートの厚みが50μm)(接着シート5)を得た。得られた接着シート5を実施例1と同様の条件で評価した結果を表2に示す。
【0079】
(比較例3)
比較例1で得られた接着シート5から片面離型処理ポリエチレンテレフタレート(帝人デュポンフィルム(株)製、ピュ−レックスS−31、厚さ50μm、表面張力25mN/m)をはく離し、ピュ−レックスS−31が接していた面上に厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンテトロンフィルム:G2−50、表面張力50mN/m)を貼合せ膜厚が50μmの接着シート(基材を除いた接着シートの厚みが50μm)(接着シート6)を得た。得られた接着シート6を実施例1と同様の条件で評価した結果を表2に示す。
【0080】
【表1】
Figure 0004599800
【0081】
【表2】
Figure 0004599800
【0082】
表1から、本発明から成る接着シートは、基材フィルムとの界面における窒素元素量が少なく、光塩基発生剤濃度が低下しているのが分かる。
表2から、本発明から成る接着シートは耐熱性及び耐湿性に優れ、ダイシング時のチップ飛びも無く、ピックアップ性も良好であることが分かった。さらに、露光前後の接着強度差が大きいため、作業条件裕度が大きく、作業性に優れるものであることが分かった。
【0083】
【発明の効果】
本発明の製造方法から得られる接着シートは、ダイシング工程ではダイシングテープとして、半導体素子と支持部材の接合工程では接続信頼性に優れる接着剤として使用することができ、また、半導体搭載用支持部材に熱膨張係数の差が大きい半導体素子を実装する場合に必要な耐熱性、耐湿性を有し、かつ作業性に優れるものである。また、本発明の製造方法から得られる接着シートを使用した半導体装置の製造方法は、製造工程を簡略化でき、しかも製造した半導体装置は、半導体搭載用支持部材に熱膨張係数の差が大きい半導体素子を実装する場合に必要な耐熱性、耐湿性および作業性を兼ね備えるものである。

Claims (14)

  1. 粘接着剤層と基材層とを備える接着シートの製造方法であって、
    (A)熱重合性成分、(B)熱可塑性樹脂および(C)放射線照射によって塩基を発生し前記熱重合性成分の硬化促進を図る化合物を含む粘接着組成物のワニスを、(D)40mN/mを超える表面張力を有する基材層に直接塗る工程と;加熱により前記ワニス中の溶剤を除去又は乾燥する工程と;を有する接着シートの製造方法。
  2. 前記(C)放射線照射によって塩基を発生し前記熱重合性成分の硬化促進を図る化合物が含窒素化合物である請求項1記載の接着シートの製造方法。
  3. 前記(A)熱重合性成分がエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤である請求項1あるいは2記載の接着シートの製造方法。
  4. 前記(B)熱可塑性樹脂が、官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分である請求項1あるいは2記載の接着シートの製造方法。
  5. 前記官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分が、エポキシ基含有反復単位を0.5〜6重量%含有するエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体である請求項4記載の接着シートの製造方法。
  6. 前記粘接着組成物が、前記(A)熱重合性成分を100重量部、前記(B)熱可塑性樹脂を10〜400重量部、および前記(C)放射線照射によって塩基を発生する化合物を0.01〜200重量部含有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の接着シートの製造方法。
  7. 前記(C)放射線照射によって塩基を発生し前記熱重合性成分の硬化促進を図る化合物が、水溶液中におけるpKaが7以上の塩基を放射線照射によって発生するものである請求項1〜6のいずれか1項記載の接着シートの製造方法。
  8. 前記(C)放射線照射によって塩基を発生発生し前記熱重合性成分の硬化促進を図る化合物が、α−アミノケトン化合物である請求項1〜7のいずれか1項記載の接着シートの製造方法。
  9. 前記(D)40mN/mを超える表面張力を有する基材層がポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1〜8のいずれか1項記載の接着シートの製造方法。
  10. 前記ポリエチレンテレフタレートフィルムが化学的および物理的な表面処理を行っていないものである請求項9記載の接着シートの製造方法。
  11. 前記粘接着剤層が、25℃で10〜2000MPa、および260℃で3〜50MPaの加熱硬化後の貯蔵弾性率を有する、請求項1〜10のいずれか1項記載の接着シートの製造方法。
  12. 放射線の照射により、前記粘接着剤層と基材層との間の接着力を制御する、請求項1〜11のいずれか1項記載の接着シートの製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項記載の接着シートの製造方法を用いて製造された接着シートを用いて、半導体素子と半導体搭載用支持部材とを接着した半導体装置。
  14. (1)請求項1〜12のいずれか1項記載の接着シートの製造方法を用いて製造された粘接着剤層と基材層を有してなる接着シートを、前記粘接着剤層を介して半導体ウェハに貼り付ける工程と、
    (2)前記半導体ウェハをダイシングして、粘接着剤層付き半導体素子を得る工程と、
    (3)ダイシング後において、前記接着シートに放射線を照射して、前記熱重合性成分の硬化促進を図ることにより前記粘接着剤層を硬化させ半導体素子を形成、その後前記基材層を剥離する工程と、
    (4)前記粘接着剤層付き半導体素子と半導体素子搭載用の支持部材とを、前記接着シートを介して接着する工程と、
    を含む半導体装置の製造方法。
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