JP2001298219A - 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッド、プリンタ、及び圧電体素子の製造方法 - Google Patents

圧電体素子、インクジェット式記録ヘッド、プリンタ、及び圧電体素子の製造方法

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JP2001298219A
JP2001298219A JP2000114310A JP2000114310A JP2001298219A JP 2001298219 A JP2001298219 A JP 2001298219A JP 2000114310 A JP2000114310 A JP 2000114310A JP 2000114310 A JP2000114310 A JP 2000114310A JP 2001298219 A JP2001298219 A JP 2001298219A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波においても高い圧電特性を示す圧電体
素子およびこれを用いたインクジェト式記録ヘッド、プ
リンタを提供する。 【解決手段】 上部電極44および下部電極42に挟ま
れた圧電体膜43は、111面優先配向を持つジルコン
酸チタン酸鉛(PZT)からなり、更に第三成分とし
て、Pb(Ni1/3Nb2/3)O又はPb(Zn
1/3Nb2/3)Oを含む。この圧電体膜43中の第
三成分は、5mol%以上40mol%以下である。また、こ
の圧電体膜43は、柱状結晶粒からなり、結晶構造は菱
面体晶系である。これを製造するには、ZrO膜3
2、Ir層を含む下部電極42、厚さ10nm以上20
nm以下のTi層45の積層構造の上に、圧電体膜43
をゾルゲル法により成膜する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機械変換機能
を有する圧電体素子に係り、特に、高周波で駆動される
インクジェット式記録ヘッド等に用いた際に優れた圧電
特性が得られる圧電体素子に関する。また、上記のよう
な圧電体素子を用いたインクジェット式記録ヘッドおよ
びプリンタ、更には上記のような圧電体素子の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット式記録ヘッドは、プリン
タのインク吐出の駆動源として圧電体素子を用いる。こ
の圧電体素子は、一般的に、圧電体薄膜とこれを挟んで
配置される上部電極および下部電極とを備えて構成され
る。
【0003】従来、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)か
らなる薄膜の結晶構造を規定したり、下部電極上にTi
核を形成させることにより、特性改善を図った圧電体素
子が開発されている。たとえば、特開平10−8101
6号公報には、菱面体晶系の結晶構造を備えかつ111
面又は100面に優先配向したPZT薄膜が開示されて
いる。また、特開平8−335676号公報には、Ir
の下部電極上にチタン層を形成した圧電体素子が開示さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】111面優先配向のP
ZT膜は、高い圧電定数を示す。しかしこれは主として
DC(直流)駆動又は低周波駆動の場合であって、高周
波で駆動させる場合には必ずしも十分な圧電定数を得ら
れないことが分かってきた。従って、従来の圧電体素子
では、例えばインクジェット式記録ヘッドのように高周
波(例えば14.4kHz)で駆動される場合における
圧電特性が、十分に得られないという問題があった。
【0005】本発明の目的は、上記問題点を解消して、
PZT薄膜の結晶配向を111面優先配向に制御し、か
つPZTに対して第三成分を含ませることにより、圧電
素子の高周波における圧電特性を向上させることにあ
る。そして、周波数を問わず安定した高い圧電特性を示
す圧電体素子およびこれを用いたインクジェト式記録ヘ
ッド、プリンタ並びに圧電体素子の製造方法を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の圧電体素子は、
下部電極と、該下部電極上に形成される圧電体膜と、該
圧電体膜上に形成された上部電極とを備えた圧電体素子
であって、前記圧電体膜は、111面優先配向を持つジ
ルコン酸チタン酸鉛(PZT)からなり、更に第三成分
として、Pb(Ni1/3Nb2/3)O又はPb(Z
1/3Nb2/ )Oを含むことを特徴とする。
【0007】また、前記圧電体膜中の前記第三成分の濃
度は、Pb(Ni1/3Nb2/3)OおよびPb(Z
1/3Nb2/3)Oの両者の合計で5mol%以上4
0mol%以下の範囲であることが望ましい。
【0008】また、前記圧電体膜は、柱状結晶粒からな
ることが望ましい。更に、結晶構造が菱面体晶系である
ことが望ましい。
【0009】更に、本発明のインクジェット式記録ヘッ
ドは、上記圧電体素子が、該圧電体素子の設置面である
振動板上に圧電アクチュエータとして設けられているこ
とを特徴とする。
【0010】また、本発明によるプリンタは、上記イン
クジェット式記録ヘッドを印字手段として備えているこ
とを特徴とする。
【0011】更に、本発明による圧電体素子の製造方法
は、基板上に、ZrO膜を形成する工程と; 該Zr
膜上に少なくともIr層を有する下部電極を形成す
る工程と; 該下部電極上に厚さ10nm以上20nm
以下のTi層を形成する工程と; 該Ti層上にジルコ
ン酸チタン酸鉛(PZT)の前駆体膜を形成する工程
と; 焼成工程と; を備える圧電体素子の製造方法で
あって、前記ジルコン酸チタン酸鉛の前駆体膜は、第三
成分として、Pb(Ni1/3Nb2/3)O又はPb
(Zn1/3Nb2/3)Oを含むことを特徴とする。
【0012】また、前記ジルコン酸チタン酸鉛に対す
る、前記Pb(Ni1/3Nb2/3)O及び前記Pb
(Zn1/3Nb2/3)Oの合計濃度が、5mol%以
上40mol%以下となるようにすることが望ましい。
【0013】また、前記ジルコン酸チタン酸鉛は、ゾル
ゲル法又はMOD法により形成することが望ましい。
【0014】また、前記下部電極は、Ir層、又は、前
記ZrO膜側から前記圧電体膜側に向かって、Ir層
/Pt層、Pt層/Ir層、若しくはIr層/Pt層/
Ir層の順に積層した構造であることが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を、図面を参照しながら説明する。
【0016】(実施形態1)図1は、本実施形態におけ
るインクジェット式記録ヘッドの圧電体素子部分を拡大
した層構造断面図である。
【0017】図1に示すように、圧電体素子40は、酸
化膜31上にZrO膜32、下部電極42、圧電体薄
膜43および上部電極44を順次積層して構成されてい
る。
【0018】酸化膜31は、例えば厚さ220μmの単
結晶シリコンからなる圧力室基板20上に形成する。好
適には、酸化ケイ素(SiO)からなる膜を1.0μ
mの厚さに形成して得る。
【0019】ZrO膜32は、弾性を備える層であっ
て、酸化膜31と一体となって振動板30を構成してい
る。このZrO膜32は、弾性を与える機能を備える
ため、好ましくは、200nm以上800nm以下の厚
みを有する。
【0020】ZrO膜32と下部電極42の間には、
双方の層を密着するような金属、好ましくは、チタンま
たはクロムからなる密着層(図示しない)を設けてもよ
い。密着層は、圧電体素子の設置面への密着性が良くす
るために形成するものであり、当該密着性が確保できる
場合には形成しなくてもよい。また、密着層を設ける場
合は、最低限の密着性が確保できるようにするため、好
ましくは、10nm以上の厚みとする。
【0021】下部電極42は、最下層に位置しPtを含
む第二層423と、最上層に位置しIrを含む第一層4
24とから構成されている。下部電極42の積層構造は
これに限らず、Irの単相でもよいし、ZrO膜32
側からIr層/Pt層の順、又は、Ir層/Pt層/I
r層の順に積層してもよい。下部電極42の全体の厚み
は特に制限はなく、例えば400nmとする。
【0022】下部電極42の上にはTi層45が形成さ
れている。Ti層は、10nm以上20nm以下の厚み
である。このように、ZrO膜32の上に少なくとも
Ir層を含む下部電極42を積層し、更に下部電極42
の上にTi層45を積層することにより、その上に形成
されるPZTからなる圧電体薄膜43を、111面優先
配向とすることができる。
【0023】圧電体薄膜43は、圧電性セラミックスの
結晶で構成された強誘電体である。特に本実施形態で
は、良好な圧電特性が確認されている111面優先配向
のジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を用いる。更に、第
三成分としてPb(Ni1/3Nb2/3)O若しくは
Pb(Zn1/3Nb2/3)O、又はこの両者を含ま
せる。このような第三成分をPZTに含ませることによ
り、PZTの高周波における圧電定数の向上を図ること
ができる。また、第三成分を上記組成とすることによ
り、柱状結晶粒にすることが可能となる。
【0024】また、上記第三の成分の圧電体膜中の濃度
は、Pb(Ni1/3Nb2/3)O 及びPb(Zn
1/3Nb2/3)Oの両者合計で、5mol%以上40m
ol%以下とすることが望ましい。上記第三成分を5mol
%以上としたのは、5mol%未満では高周波における圧
電特性向上という効果に乏しいことが実験の結果判明し
ているからである。また、40mol%以下としたのは、
上記第三分が増えると、最適焼成温度が上がってしま
い、40mol%を超えると最適焼成温度が900℃以上
にもなり、基板が酸化してしまうからである。なお、更
に他の成分として、酸化ニオブ、酸化ニッケルまたは酸
化マグネシウム等の金属酸化物を適宜添加してもよい。
【0025】圧電体薄膜43の厚みは、製造工程でクラ
ックが発生しない程度に抑え、一方、十分な変位特性を
呈する程度に厚くする必要があり、例えば1500nm
とする。
【0026】上部電極44は、下部電極42と対になる
電極であり、好適には、PtまたはIrにより構成され
る。上部電極44の厚みは、好適には50nm程度であ
る。
【0027】図2は、本発明のインクジェット式記録ヘ
ッドの主要部の構造を示す斜視図一部断面図である。
【0028】図2に示すように、インクジェット式記録
へッドは、ノズル板10、圧力室基板20、振動板30
および圧電体素子40から構成される。
【0029】圧力室基板20は、圧力室(キャビティ)
21、側壁22、リザーバ23および供給口24を備え
ている。圧力室21は、シリコン等の基板をエッチング
することにより、インクなどを吐出するために貯蔵する
空間として形成されたものである。側壁22は、圧力室
21を仕切るよう形成されている。リザーバ23は、イ
ンクを共通して各圧力室21に充たすための流路となっ
ている。供給口24は、リザーバ23から各圧力室21
へインクを導入可能に形成されている。
【0030】ノズル板10は、圧力室基板20に設けら
れた圧力室21の各々に対応する位置にそのノズル11
が配置されるよう、圧力室基板20の一方の面に貼り合
わせられている。
【0031】振動板30は、上述したように酸化膜31
とZrO膜32とを積層して形成されたものである。
本発明の圧電体素子40は、当該振動板30の上に圧電
アクチュエータとして設けられている。各圧力室21に
対応する振動板30上の位置には、それぞれ図1に示す
層構造を備えた圧電体素子40が設けられている。振動
板30には、インクタンク口35が設けられて、図示し
ないインクタンクに貯蔵されているインクを圧力室基板
20内部に供給可能になっている。
【0032】ノズル板10および振動板30が設けられ
た圧力室基板20は、さらに図示しない筐体に収められ
てインクジェット式記録ヘッドを構成している。
【0033】上記構成において、圧電体素子40の下部
電極42と上部電極44との間に電圧が印加されて圧電
体素子40が歪むとその歪みに対応して振動板30が変
形する。その変形により圧力室21内のインクに圧力が
加えられ、ノズル11からインクの液滴が吐出するよう
になっている。
【0034】図3に本実施形態のプリンタ100の構造
を説明する斜視図を示す。図3に示すように、プリンタ
100は、プリンタ本体2に、印字手段である本発明の
インクジェット式記録ヘッド1、トレイ3、排出口4、
給紙機構6、制御回路8および操作パネル9等が設けら
れている。
【0035】トレイ3は、印字前の用紙5を給紙機構6
に供給可能に構成されている。制御回路8は、操作パネ
ル9からの制御または外部から供給される印字情報に基
いて、用紙5の搬送を給紙機構6に行わせる給紙信号S
dや印字をインクジェット式記録ヘッド1に行わせる印
字信号Shを出力するようになっている。給紙機構6
は、用紙5を取り込むローラ601と602およびそれ
らを駆動するモータ600等で構成され、給紙信号Sd
に基いて用紙5を本体2内に取り込むことが可能になっ
ている。インクジェット式記録ヘッド1は、給紙機構6
により供給された用紙5の上を横切って移動可能に構成
され、制御回路8から印字信号Shが供給されると、圧
電体素子40が変形することによりインクが吐出され用
紙5上に印字することが可能になっている。排出口4
は、印字が終了した用紙5を排出可能な出口となってい
る。
【0036】(製造方法)次に、本発明の圧電体素子の
製造方法を説明する。図4及び図6は、本発明の圧電体
素子及びインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す
断面模式図である。
【0037】酸化膜形成工程(S1) この工程は、酸素或いは水蒸気を含む酸化性雰囲気中で
高温処理し、酸化珪素(SiO)からなる酸化膜31
を形成する工程である。この工程には通常用いる熱酸化
法の他、CVD法を使用することもできる。
【0038】ZrO膜を形成する工程(S2) 圧力室基板20上の酸化膜31の上に、ZrO膜32
を形成する工程である。このZrO膜32は、スパッ
タ法または真空蒸着法等によりZrの層を形成したもの
を酸素雰囲気中で高温処理して得られる。
【0039】下部電極を形成する工程(S3) ZrO膜32上に、Ptを含む第二層423を形成す
る工程と、該第二層上にIrを含む第一層424を形成
する工程とからなる。
【0040】各層423、424は、それぞれIrまた
はPtをZrO膜32上に、スパッタ法等で付着させ
て形成する。なお、下部電極42の形成に先立ち、チタ
ン又はクロムからなる密着層(図示せず)をスパッタ法
又は真空蒸着法により形成しても良い。
【0041】Ti層を形成する工程 この工程は、スパッタ法等により、下部電極42上にチ
タン層45を形成する工程である。Ti層45を形成す
るのは、チタン結晶を核としてPZTを成長させること
により、結晶成長が下部電極側から起こり、緻密で柱状
の結晶が得られるとともに、ZrO層と下部電極の組
成との組合せにより、PZT膜を111面優先配向とす
ることができるからである。
【0042】圧電体前駆体膜を形成する工程(S4) この工程は、ゾル・ゲル法により、圧電体前駆体膜4
3’を形成する工程である。
【0043】まず、圧電体膜43を構成する金属を含ん
だ有機金属アルコキシド溶液からなるゾルを用意する。
このゾルをスピンコート等の塗布法によりTi層45上
に塗布する。次いで、一定温度で一定時間乾燥させ、溶
媒を蒸発させる。乾燥後、さらに大気雰囲気下において
所定の高温で一定時間脱脂し、金属に配位している有機
の配位子を熱分解させ、金属酸化物とする。この塗布、
乾燥、脱脂の各工程を所定回数、例えば4回以上繰り返
して4層以上の圧電体前駆体膜を積層する。これらの乾
燥と脱脂処理により、溶液中の金属アルコキシドと酢酸
塩とは配位子の熱分解を経て金属、酸素、金属のネット
ワークを形成する。
【0044】焼成工程(S5) 圧電体前駆体膜43’の形成後、焼成して、圧電体前駆
体膜を結晶化させる工程である。この焼成により、圧電
体前駆体膜43’は、アモルファス状態の前駆体からペ
ロブスカイト結晶構造が形成され、電気機械変換作用を
示す薄膜に変化し、111面優先配向の圧電体薄膜とな
る。
【0045】上部電極形成工程(S6) 最後に、圧電体薄膜43上に、電子ビーム蒸着法または
スパッタ法により上部電極44を形成する。
【0046】以上の工程で得られた圧電性素子40を、
使用箇所に適した形状にエッチングして整形し上下電極
間に電圧を印加可能に製造すれば、本発明の圧電体素子
として動作させることが可能である。
【0047】得られた圧電性素子40を、インクジェッ
ト式記録ヘッドに適合するようにエッチングして、圧電
体素子としての形状に成形する工程について、図5に基
いて、以下に説明する。
【0048】圧電体素子成形工程(S7) まず、圧電体素子40を、各圧力室21に適合させた形
状にマスクし、その周囲をエッチングする。具体的に
は、まずスピンナー法、スプレー法等の方法を用いて均
一な厚さのレジスト材料を上部電極上に塗布する。次い
で、マスクを圧電体素子の形状に形成してから露光・現
像して、レジストパターンを上部電極44上に形成す
る。これに通常用いるイオンミリングまたはドライエッ
チング法等を適用して、上部電極44、圧電体薄膜4
3、下部電極42をエッチング除去し、各圧電体素子4
0を成形する。
【0049】圧力室形成工程(S8) 次に、圧電体素子40が形成された圧力室基板20の他
方の面に、異方性エッチングまたは平行平板型反応性イ
オンエッチング等の活性気体を用いた異方性エッチング
を施し、圧力室21を形成する。エッチングされずに残
された部分が側壁22になる。
【0050】ノズル板貼り合わせ工程(S9) 最後に、エッチング後の圧力室基板20にノズル板10
を接着剤で貼り合わせる。貼り合わせのときに各ノズル
11が圧力室21各々の空間に配置されるよう位置合わ
せする。ノズル板10が貼り合わせられた圧力室基板2
0を図示しない筐体に取り付け、インクジェット式記録
ヘッド1を完成させる。
【0051】(本実施形態による圧電体素子の作用)本
実施形態の圧電体素子は、PZT膜中に第三成分とし
て、Pb(Ni1/3Nb2/3)O又はPb(Zn
1/3Nb2/3)Oを含むことにより、14.4kH
z程度の高周波でも高い圧電定数を示すことが確認され
た。これは、PZTの組成を多成分系とすることによ
り、電圧印加時の分極域の移動速度が大きくなり、応答
性が向上するためであると考えられる。また、上記第三
成分は、圧電体膜中に5mol%以上含んでいることが、
高周波における圧電特性向上のために良好であることが
確認された。
【0052】本実施形態により、高周波駆動における圧
電特性が向上した圧電体素子を提供することができ、こ
れを利用して、印刷性能の高いインクジェット式記録ヘ
ッドおよびプリンタを製造することができる。111面
優先配向のPZTは、上述したようにDC駆動又は低周
波駆動でも高い圧電定数を示すので、本実施形態によれ
ば、高周波における圧電定数も向上したことにより、幅
広い駆動周波数で良好な圧電特性を示す圧電体素子を製
造することができる。
【0053】(その他の変形例)本発明は、上記実施形
態に限らず種々に変形して適応することが可能である。
例えば、本発明で製造した圧電体素子は上記インクジェ
ット式記録ヘッドの圧電体素子のみならず、不揮発性半
導体記憶装置、薄膜コンデンサ、パイロ電気検出器、セ
ンサ、表面弾性波光学導波管、光学記憶装置、空間光変
調器、ダイオードレーザ用周波数二倍器等のような強誘
電体装置、誘電体装置、パイロ電気装置、圧電装置、お
よび電気光学装置の製造に適応することができる。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、高周波においても高い
圧電特性を示す圧電体素子およびこれを用いたインクジ
ェト式記録ヘッド、プリンタ並びに圧電体素子の製造方
法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施形態による圧電体素子の断面
【図2】 インクジェット式記録ヘッドの主要部の構造
を示す斜視図一部断面図
【図3】 本発明のインクジェット式記録ヘッドを使用
したプリンタの構造を示す斜視図
【図4】 本発明のインクジェット式記録ヘッドの製造
方法を示す断面模式図
【図5】 本発明のインクジェット式記録ヘッドの製造
方法を示す断面模式図
【符号の説明】
20 圧力室基板 30 振動板 31 酸化膜 32 ZrO膜 40 圧電体素子 42 下部電極 423 第二層(Pt) 424 第一層(Ir) 43 圧電体薄膜 44 上部電極 45 Ti層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 35/49 H01L 41/08 U H01L 41/187 41/18 101F 41/22 41/22 Z

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部電極と、該下部電極上に形成される
    圧電体膜と、該圧電体膜上に形成された上部電極とを備
    えた圧電体素子であって、 前記圧電体膜は、111面優先配向を持つジルコン酸チ
    タン酸鉛(PZT)からなり、更に第三成分として、P
    b(Ni1/3Nb2/3)O又はPb(Zn 1/3
    2/3)Oを含むことを特徴とする圧電体素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の圧電体素子であって、 前記圧電体膜中の前記第三成分の濃度は、Pb(Ni
    1/3Nb2/3)OおよびPb(Zn1/3
    2/3)Oの両者の合計で5mol%以上40mol%以
    下の範囲であることを特徴とする圧電体素子。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の圧電体素
    子であって、 前記圧電体膜は、柱状結晶粒からなることを特徴とする
    圧電体素子。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記
    載の圧電体素子であって、 前記圧電体膜は、結晶構造が菱面体晶系であることを特
    徴とする圧電体素子。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の
    圧電体素子が、該圧電体素子の設置面である振動板上に
    圧電アクチュエータとして設けられていることを特徴と
    するインクジェット式記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のインクジェット式記録
    ヘッドを印字手段として備えていることを特徴とするプ
    リンタ。
  7. 【請求項7】 基板上に、ZrO膜を形成する工程
    と、 該ZrO膜上に少なくともIr層を有する下部電極を
    形成する工程と、 該下部電極上に厚さ10nm以上20nm以下のTi層
    を形成する工程と、 該Ti層上にジルコン酸チタン酸鉛(PZT)の前駆体
    膜を形成する工程と、 焼成工程と、を備える圧電体素子の製造方法であって、 前記ジルコン酸チタン酸鉛の前駆体膜は、第三成分とし
    て、Pb(Ni1/3Nb2/3)O又はPb(Zn
    1/3Nb2/3)Oを含むことを特徴とする圧電体素
    子の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の圧電体素子の製造方法
    であって、 前記ジルコン酸チタン酸鉛に対する、前記Pb(Ni
    1/3Nb2/3)O及び前記Pb(Zn1/3Nb
    2/3)Oの合計濃度が、5mol%以上40mol%以下
    となるようにすることを特徴とする圧電体素子の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項7又は請求項8に記載の圧電体素
    子の製造方法であって、 前記ジルコン酸チタン酸鉛は、ゾルゲル法又はMOD法
    により形成することを特徴とする圧電体素子の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項7乃至請求項9の何れか一項に
    記載の圧電体素子の製造方法であって、 前記下部電極は、Ir層、又は、前記ZrO膜側から
    前記圧電体膜側に向かって、Ir層/Pt層、Pt層/
    Ir層、若しくはIr層/Pt層/Ir層の順に積層し
    た構造であることを特徴とする圧電体素子の製造方法。
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