JP5168717B2 - 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッド、及びインクジェットプリンタ - Google Patents

圧電体素子、インクジェット式記録ヘッド、及びインクジェットプリンタ Download PDF

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Description

本発明は、電気機械変換機能を有する圧電体素子に係り、特に、インクジェット式記録ヘッドに用いた際に、優れた圧電特性が得られる圧電体素子及びその製造方法、この圧電体素子を用いたインクジェット式記録ヘッド及びプリンタに関する。
インクジェット式記録ヘッドは、プリンタのインク吐出の駆動源として圧電体素子を用いる。この圧電体素子は、一般的に、圧電体薄膜とこれを挟んで配置される上部電極および下部電極とを備えて構成される。
従来、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)からなる薄膜の結晶構造を規定したり、下部電極上にTi核を形成させることにより、特性改善を図った圧電体素子が開発されている。たとえば、特開平10−81016号公報には、菱面体晶系の結晶構造を備えかつ所定の配向度を備えたPZT薄膜が開示されている。また、特開平8−335676号公報には、Irの下部電極上にチタン核を形成した圧電体素子が開示されている。
しかし、従来の圧電体素子では、圧電体膜の所定の配向度を安定して再現性良く得ることが困難であるという問題があった。このような圧電体素子は、安定した高い圧電特性を得ることが難しく、インクジェット式記録ヘッドないしはプリンタの印字性能を十分に得られない要因となっている。
特に、振動板膜上に成膜した下部電極を所定形状にパターニングした後に、当該下部電極上に圧電体膜を成膜する場合には、圧電体膜の所定の配向度を安定して再現性よく得ることが困難であった。また、下部電極のパターニング境界付近で、下部電極の膜厚が不均一となったり圧電体膜の結晶が不連続となったりする問題があった。
そこで、本発明は、圧電体膜の所定の配向度を安定して再現性良く得ることにより、安定した高い圧電特性を備えた圧電体素子およびその製造方法を提供することを目的とする。また、下部電極の膜厚を均一化し圧電体膜の結晶の不連続を解消することにより優れた特性を示す圧電体素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
さらには、上記圧電体素子をインク吐出駆動源とするインクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の圧電体素子は、基板上に振動板膜、下部電極、圧電体膜、上部電極を順次積層してなり、酸化がされ且つチタン酸ジルコン酸鉛の拡散がされた前記下部電極は所定形状にパターニングしてなり、前記圧電体膜は、チタン酸ジルコン酸鉛を有し、パターニングにより残された下部電極上及び下部電極が除去された前記振動板膜上に、ゾル・ゲル法により形成され、前記下部電極の厚さが均一であることを特徴とする。
本発明のインクジェット式記録ヘッドは、上記の圧電体素子と、当該圧電体素子の機械的変位によって内容積が変化する圧力室と、当該圧力室に連通してインク滴を吐出する吐出口とを備えることを特徴とする。
本発明のインクジェットプリンタは、上記のインクジェット式記録ヘッドを印字機構に備えることを特徴とする。
なお、本願にいう「100面配向度」とは、X線回折広角法においてCuKα線を用いたときのXYZ面に対応するピーク(2θ)の回折強度をI(XYZ)と表記したとき、I(100)の、I(100)とI(110)とI(111)の和に対する比率を意味する。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
(インクジェットプリンタの全体構成)
図1は、本実施形態の圧電体素子が使用されるプリンタの構造を説明する斜視図である。このプリンタには、本体2に、トレイ3、排出口4および操作ボタン9が設けられている。さらに本体2の内部には、インクジェット式記録ヘッド1、供給機構6、制御回路8が備えられている。
インクジェット式記録ヘッド1は基板上に形成された複数の圧電体素子を備え、制御回路8から供給される吐出信号に対応して、ノズルからインクを吐出可能に構成されている。
本体2は、プリンタの筐体であって、用紙5をトレイ3から供給可能な位置に供給機構6を配置し、用紙5に印字可能なようにインクジェット式記録ヘッド1を配置している。トレイ3は、印字前の用紙5を供給機構6に供給可能に構成され、排出口4は、印刷が終了した用紙5を排出する出口である。
供給機構6は、モータ600、ローラ601・602、その他の図示しない機械構造を備えている。モータ600は、制御回路8から供給される駆動信号に対応して回転可能になっている。機械構造は、モータ600の回転力をローラ601・602に伝達可能に構成されている。ローラ601および602は、モータ600の回転力が伝達されると回転するようになっており、回転によりトレイ3に載置された用紙5を引き込み、ヘッド1によって印刷可能に供給するようになっている。
制御回路8は、図示しないCPU、ROM、RAM、インターフェース回路などを備え、図示しないコネクタを介してコンピュータから供給される印字情報に対応させて、駆動信号を供給機構6に供給したり、吐出信号をインクジェット式記録ヘッド1に供給したりできるようになっている。また、制御回路8は操作パネル9からの操作信号に対応させて動作モードの設定、リセット処理などが行えるようになっている。
本実施形態のプリンタは、後述の安定した高い圧電特性を有し良好な印字性能を有するインクジェット式記録ヘッドを備えているので、性能の高いプリンタとなっている。
(インクジェット式記録ヘッドの構成)
図2は、本実施形態による圧電体素子を備えたインクジェット式記録ヘッドの構造の説明図である。インクジェット式記録ヘッド1は、図に示すように、ノズル板10、圧力室基板20および振動板30を備えて構成されている。
圧力室基板20は、キャビティ(圧力室)21、側壁(隔壁)22、リザーバ23および供給口24を備えている。キャビティ21は、シリコン等の基板をエッチングすることにより形成されたインクなどを吐出するために貯蔵する空間となっている。側壁22はキャビティ21間を仕切るよう形成されている。リザーバ23は、インクを共通して各キャビティ21に充たすための流路となっている。供給口24は、リザーバ23から各キャビティ21にインクを導入可能に形成されている。
ノズル板10は、圧力室基板20に設けられたキャビティ21の各々に対応する位置にそのノズル穴11が配置されるよう、圧力室基板20の一方の面に貼り合わせられている。ノズル板10を貼り合わせた圧力室基板20は、さらに筐体25に納められて、インクジェット式記録ヘッド1を構成している。
振動板30は圧力室基板20の他方の面に貼り合わせられている。振動板30には圧電体素子(図示しない)が設けられている。振動板30には、インクタンク口(図示せず)が設けられて、図示しないインクタンクに貯蔵されているインクを圧力室基板20内部に供給可能になっている。
(圧電体素子の構成)
図3は、上記インクジェット式記録ヘッドの圧電体素子部分を拡大した平面図(a)及びそのi−i線断面図(b)である。図4は、図3(a)のii−ii線断面図である。
これらの図に示すように、圧電体素子は、絶縁膜31上にZrO膜32、下部電極33、圧電体膜43および上部電極44を順次積層して構成されている。
絶縁膜31は、例えば厚さ220μmの単結晶シリコンからなる圧力室基板20上に形成する。好適には、酸化ケイ素(SiO)からなる膜を1.0μmの厚さに形成して得る。
ZrO膜32は、弾性を備える層であって、絶縁膜31と一体となって振動板30を構成している。このZrO膜32は、弾性を与える機能を備えるため、好ましくは、200nm以上800nm以下の厚みを有する。
ZrO膜32と下部電極33の間には、双方の層を密着するような金属、好ましくは、チタンまたはクロムからなる密着層(図示しない)を設けてもよい。密着層を設ける場合は、好ましくは、10nm以上の厚みとする。
下部電極33は、ここではPt及びIrを含む層、例えば最下層からIrを含む層/Ptを含む層/Irを含む層の層構造となっている。下部電極33の全体の厚みは、例えば100nmとする。下部電極33の層構造はこれに限らず、Irを含む層/Ptを含む層の2層構成、またはPtを含む層/Irを含む層の2層構造でもよい。また、前記下部電極33はIrを含む層のみで構成してもよい。
圧電体膜43は圧電性セラミックスの結晶であり、好ましくは、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これに酸化ニオブ、酸化ニッケルまたは酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加したものからなる。圧電体膜43の組成は圧電体素子の特性、用途等を考慮して適宜選択する。具体的には、チタン酸鉛(PbTiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)、ジルコニウム酸鉛(PbZrO)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La),TiO)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O)又は、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg,Nb)O)等が好適に用いられる。また、チタン酸鉛やジルコニウム酸鉛にニオブ(Nb)を適宜添加することにより、圧電特性に優れた膜を得ることができる。
圧電体膜43のうち下部電極33上に形成された部分は、良好な圧電特性を示すためにはX線回折広角法により測定した100面配向度が70%以上100以下、より好ましくは80%以上の膜であることが望ましい。そして、110面配向度は10%以下、111面配向度が残部であることが望ましい。但し、100面配向度、110面配向度及び111面配向度の和は100%とする。圧電体膜43の厚みは、例えば1500nmとする。
上部電極44は、下部電極33と対になる電極であり、好適には、PtまたはIrにより構成される。上部電極44の厚みは、好適には50nm程度である。
下部電極33は各圧電体素子に共通な電極となっている。これに対して配線用下電極33aは下部電極33と同じ高さの層に位置するが、下部電極33や他の配線用下電極33aとは分離され、細帯電極45を介して上部電極44に導通可能になっている。
(インクジェット式記録ヘッドの動作)
上記インクジェット式記録ヘッド1の構成において、印刷動作を説明する。制御回路8から駆動信号が出力されると、供給機構6が動作し用紙5がヘッド1によって印刷可能な位置まで搬送される。制御回路8から吐出信号が供給されず圧電体素子の下部電極33と上部電極44との間に電圧が印加されていない場合、圧電体膜43には変形を生じない。吐出信号が供給されていない圧電体素子が設けられているキャビティ21には、圧力変化が生じず、そのノズル穴11からインク滴は吐出されない。
一方、制御回路8から吐出信号が供給され圧電体素子の下部電極33と上部電極44との間に一定電圧が印加された場合、圧電体膜43に変形を生じる。吐出信号が供給された圧電体素子が設けられているキャビティ21ではその振動板30が大きくたわむ。このためキャビティ21内の圧力が瞬間的に高まり、ノズル穴11からインク滴が吐出される。ヘッド中で印刷させたい位置の圧電体素子に吐出信号を個別に供給することで、任意の文字や図形を印刷させることができる。
(製造方法)
次に、本発明の圧電体素子の製造方法を説明する。図5及び図6は、本実施形態の圧電体素子及びインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面模式図である。
振動板形成工程(S1)
シリコン基板20に絶縁膜31を形成する。シリコン基板20の厚みは、例えば200μm程度のものを使用する。絶縁膜の製造には酸素或いは水蒸気を含む酸化性雰囲気中で高温処理し、例えば厚さ1μm程度の二酸化珪素(SiO)の膜を形成する。この工程には通常用いる熱酸化法の他、CVD法を使用することもできる。
更に、絶縁膜31の上に、厚さ400nm程度のZrO膜32を更に形成する。このZrO膜32は、スパッタ法または真空蒸着法等によりZrの層を成膜したものを酸素雰囲気中で高温処理して得られる。
下部電極を成膜する工程(S2)
次に、ZrO膜32上に下部電極33を成膜する。下部電極33は、例えばIrを含む第三層を成膜する工程と、該第三層上に、Ptを含む第二層を成膜する工程と、該第二層上にIrを含む第一層を成膜する工程とからなる。
上記第1層乃至第3層は、それぞれIrまたはPtをZrO膜32上に、スパッタ法等で付着させて成膜する。なお、下部電極33の成膜に先立ち、チタン又はクロムからなる密着層(図示せず)をスパッタ法又は真空蒸着法により成膜しても良い。
下部電極33の成膜後、連続して下部電極33上にTi層(核)を形成することが好ましい。例えばスパッタ法等により、Ti層を3nm以上20nm以下の厚みに成膜する。Ti層は下部電極33上に均一に成膜するが、場合によって島状となっても構わない。
圧電体成膜第1工程(S3)
次に、下部電極33上に圧電体膜を成膜する。この第1工程では、圧電体膜43の所望の厚さ以下、好ましくは所望の厚さの半分以下の厚さに圧電体膜43aを成膜する。例えば全体の膜厚1.5μmの圧電体膜43を7層で構成する場合、この第1工程では少なくとも1層からなる0.2μmの圧電体膜43aを成膜する。
具体的には、ゾル・ゲル法により、圧電体前駆体膜を成膜する。すなわち、有機金属アルコキシド溶液からなるゾルをスピンコート等の塗布法により下部電極上に塗布する。次いで、一定温度で一定時間乾燥させ、溶媒を蒸発させる。乾燥後、さらに大気雰囲気下において所定の高温で一定時間脱脂し、金属に配位している有機の配位子を熱分解させ、金属酸化物とする。この塗布、乾燥、脱脂の各工程を所定回数、例えば2回繰り返して圧電体前駆体膜を積層する。これらの乾燥と脱脂処理により、溶液中の金属アルコキシドと酢酸塩とは配位子の熱分解を経て金属、酸素、金属のネットワークを形成する。
次に、圧電体前駆体膜を焼成して圧電体膜を結晶化させる。この焼成により、圧電体前駆体膜は、アモルファス状態から菱面体結晶構造をとるようになり、電気機械変換作用を示す膜へと変化する。以上の圧電体前駆体膜の成膜および焼成の工程を1回行うことにより、1層からなる圧電体膜43aが成膜される。
こうして成膜された圧電体膜43aは、下部電極33の組成および上記Ti層の影響を受け、X線回折広角法により測定した100面配向度が約80%となる。
上記の焼成に伴い、下部電極33も一部酸化し、及びPZTの成分が一部拡散することにより膜厚が増加する。下部電極をパターニングしてから圧電体膜を成膜する方法では、下部電極のパターニング境界付近の膜厚の増加が他の部分より少ないため膜厚が不均一となるが、本実施形態の方法によれば下部電極33をパターニングする前に圧電体膜43aを成膜するので、下部電極の膜厚は全体的に増加し、不均一となることがない。
下部電極及び圧電体膜のパターニング工程(S4)
次に、圧電体膜43aを所望の形状にマスクし、その周辺をエッチングすることで圧電体膜43a及び下部電極33のパターニングを行い、下部電極33から配線用下電極33aを分離させる。具体的には、まずスピンナー法、スプレー法等により均一な厚みのレジスト材料を圧電体膜43a上に塗布し(図示せず)、次いで、マスクを所定の形状に形成してから露光・現像して、レジストパターンを圧電体膜上に形成する(図示せず)。これに通常用いるイオンミリング又はドライエッチング法等により圧電体膜43a及び下部電極33をエッチング除去しZrO膜32を露出させる。
次に、スパッタ法等により、圧電体膜43a及びZrO膜32上にTi層(核)を成膜する。ここで成膜するTi層は、1nm以上4nm以下の膜厚とすることが好ましい。Ti層の膜厚が1nm未満であると種層としての作用が少なく、4nmを超えるとPZT結晶の成長がTi層を境に分断されてしまい、結晶が不連続となったり層間剥離が生じたりする可能性がある。より好ましくはTi層を2nm程度の厚みとする。
圧電体成膜第2工程(S5)
次に、圧電体膜43a上に更に圧電体膜を成膜する第2工程を実行する。この第2工程では、圧電体膜の所望の厚さに至るまで、上記第1工程と同様の方法により圧電体前駆体膜の焼成の工程を例えば6回繰り返し、合計1.5μmの圧電体膜43を成膜する。
こうして成膜された圧電体膜43のうち下部電極33上の部分は上記第1工程による圧電体膜43aの上に第2工程による圧電体膜が成膜されるため合計7層となり、圧電体膜43a及び下部電極33がパターニングにより除去されZrO膜32が露出した部分に形成された部分は合計6層となる。このように、本実施形態の製法により成膜された圧電体膜43のうち、パターニングにより残された下部電極33上に形成された部分は、振動板膜30上に形成された部分より層の数が多くなるという特徴を有している。
下部電極33は上記の圧電体成膜第1工程における焼成で既に酸化および拡散され、全体的に膜厚が増加しているので、圧電体成膜第2工程で下部電極の膜厚が更に増加することはない。したがって下部電極33の膜厚が不均一になることはないし、下部電極33のパターニング境界付近の圧電体膜43が下部電極33の膜厚変化によってクラックが入ったり結晶が膜面方向に不連続となったりすることはない。
圧電体膜43は、下部電極33上の部分は下層の圧電体膜43aの影響を受け、X線回折広角法により測定した100面配向度が約80%の圧電体膜となる。また、下部電極33がパターニングにより除去されZrO膜32が露出した部分に形成された部分は、上記Ti層の影響を受け、111面に優先配向される。
更に、上記パターニング工程(S4)後に形成するTi層の膜厚を4nm以下としたことにより、圧電体成膜第1工程で成膜された圧電体膜43aと圧電体成膜第2工程で成膜された圧電体膜との間で結晶構造が膜厚方向に連続し、層間剥離が起こりにくいため信頼性の高い圧電体膜43を得ることができる。
図7は、本実施形態により、パターニング工程(S4)後に形成するTi層の膜厚を2nmとした場合の圧電体素子の断面のSEM写真であり、図8はその模写図である。図9は、比較例として、パターニング工程後に形成するTi層の膜厚を5nmとした場合の圧電体素子の断面のSEM写真であり、図10はその模写図である。これらの写真に示されるように、Ti層の膜厚を2nmとしたときはPZTの結晶構造が連続的であった。これに対し、Ti層の膜厚を5nmとしたときは、圧電体成膜第1工程で成膜されたPZT層と圧電体成膜第2工程で成膜されたPZT層との間に、不連続部分すなわち結晶の連続性が他のPZT層間の連続性より低い部分が生じてしまった。
上部電極形成工程(S6)
圧電体膜43上に、電子ビーム蒸着法またはスパッタ法により上部電極44を成膜する。上部電極44としては白金(Pt)、イリジウム(Ir)その他の金属を用い、50nmの膜厚に成膜する。
圧電体膜及び上部電極除去工程(S7)
圧電体膜43及び上部電極44を圧電体素子の所定形状にパターニングする。具体的には、上部電極44上にレジストをスピンコートした後、圧力室が形成されるべき位置に合わせて露光・現像してパターニングする。残ったレジストをマスクとして上部電極44、圧電体膜43をイオンミリング等でエッチングする。以上の工程により圧電体素子40が形成される。
細帯電極形成工程(S8)
次に、上部電極44と配線用下電極33aを導通する細帯電極45を形成する。細帯電極45の材質は剛性が低く、電気抵抗が低い金が好ましい。他に、アルミニウム、銅なども好適である。細帯電極45は約0.2μmの膜厚で成膜し、その後各上部電極と配線用下電極との導通部が残るようにパターニングする。
圧力室形成工程(S9)
次に、圧電体素子40が形成された圧力室基板20の他方の面に、異方性エッチングまたは平行平板型反応性イオンエッチング等の活性気体を用いた異方性エッチングを施し、圧力室21を形成する。エッチングされずに残された部分が側壁22になる。
ノズル板貼り合わせ工程(S10)
最後に、エッチング後の圧力室基板20にノズル板10を接着剤で貼り合わせる。貼り合わせのときに各ノズル11が圧力室21各々の空間に配置されるよう位置合わせする。ノズル板10が貼り合わせられた圧力室基板20を図示しない筐体に取り付け、インクジェット式記録ヘッド1を完成させる。
(その他の変形例)
本発明は、上記実施形態によらず種々に変形して適用することが可能である。例えば、本発明で製造した圧電体素子は上記インクジェット式記録ヘッドの圧電体素子のみならず、不揮発性半導体記憶装置、薄膜コンデンサ、パイロ電気検出器、センサ、表面弾性波光学導波管、光学記憶装置、空間光変調器、ダイオードレーザ用周波数二倍器等のような強誘電体装置、誘電体装置、パイロ電気装置、圧電装置、および電気光学装置の製造に適用することができる。
本発明によれば、圧電体膜の100面配向度を安定して再現性良く得ることができる。これにより、高周波および低周波のいずれにおいても安定した高い圧電特性を備えた圧電体素子およびこれを用いたインクジェット式記録ヘッド、プリンタ並びに圧電体素子の製造方法を提供することができる。
本実施形態の圧電体素子が使用されるプリンタの構造を説明する斜視図である。 本実施形態による圧電体素子を備えたインクジェット式記録ヘッドの構造の説明図である。 上記インクジェット式記録ヘッドの圧電体素子部分を拡大した平面図(a)及びそのi−i線断面図(b)である。 図3(a)のii−ii線断面図である。 本実施形態の圧電体素子及びインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面模式図である。 本実施形態の圧電体素子及びインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面模式図である。 上記製造方法により得られる圧電体素子の断面のSEM写真である。 図7の模写図である。 比較例による圧電体素子の断面のSEM写真である。 図9の模写図である。
符号の説明
20…圧力室基板、30…振動板、31…絶縁膜、32…ZrO膜、40…圧電体素子、33…下部電極、43…圧電体膜、44…上部電極

Claims (3)

  1. 基板上に振動板膜、下部電極、圧電体膜、上部電極を順次積層してなる圧電体素子であって、
    酸化がされ且つチタン酸ジルコン酸鉛の拡散がされた前記下部電極は所定形状にパターニングしてなり、
    前記圧電体膜は、チタン酸ジルコン酸鉛を有し、パターニングにより残された下部電極上及び下部電極が除去された前記振動板膜上に、ゾル・ゲル法により形成され、
    前記下部電極の厚さが均一であることを特徴とする、圧電体素子。
  2. 請求項1に記載の圧電体素子と、当該圧電体素子の機械的変位によって内容積が変化する圧力室と、当該圧力室に連通してインク滴を吐出する吐出口とを備えることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  3. 請求項2に記載のインクジェット式記録ヘッドを印字機構に備えるインクジェットプリンタ。
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