JP5115910B2 - プリンタ - Google Patents

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Description

本発明は、電気機械変換機能を有する圧電体素子、この圧電体素子を用いた液体吐出ヘッド、及びこれらの製造方法に係る。特に、液体吐出ヘッドに用いた際に優れた圧電特性が得られる圧電体素子、これを用いた液体吐出ヘッド及びこれらの製造方法に関する。
インクジェット式記録ヘッド等の液体吐出ヘッドは、インク滴等の液滴吐出の駆動源として圧電体素子を用いる。この圧電体素子は、一般的に、圧電体薄膜とこれを挟んで配置される上部電極および下部電極とを備えて構成される。
従来、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)からなる薄膜の結晶構造を規定したり、下部電極上にTi核を形成させることにより、特性改善を図った圧電体素子が開発されている。たとえば、菱面体晶系の結晶構造を備えかつ所定の配向度を備えたPZT薄膜がある(特許文献1参照。)。また、Irの下部電極上にTi核を形成した圧電体素子がある(特許文献2参照。)。
特開平10−81016号公報 特開平8−335676号公報 特開平6−5948号公報
しかし、従来の圧電体素子製造工程では、圧電体薄膜の所望の結晶面配向度を安定して得ることが困難であるという問題があった。このような圧電体素子は、結晶面の配向度が安定しない結果、高い圧電特性を安定して得ることが難しかった。このことは、インクジェット式記録ヘッドないしはプリンタの印字性能を十分に得られない要因となっていた。
一方、メモリセルやコンデンサなどの強誘電体薄膜素子の製造方法において、白金膜上にPZT薄膜をゾルゲル法で6回に分けて成膜することを開示している(特許文献3参照。)。特に、初めの2工程については他の4工程より焼成温度を高くし、最後の2工程については他の4工程より焼成時間を長くしている。
しかし、かかる方法によっても、圧電体素子に適した配向性を得ることはできなかった。
また、従来の圧電体膜及び下部電極は膜内の応力が大きいため、信頼性が必ずしも高くないという問題があった。
また、従来の圧電体素子製造工程では、Ti核が圧電体薄膜層に取り込まれることを考慮していない。このため、図8及び図9に示されるように、圧電体薄膜(PZT)の下部電極(BE)との界面に、Tiリッチとなり組成が不連続の部分が残存してしまうという問題があった。そのため、圧電体薄膜層の膜厚方向にZr/Ti比が不均一となり、圧電体薄膜層に膜内応力が残存することにより、十分な圧電特性や信頼性が得られない場合があった。
本発明は、圧電体薄膜に適した配向度を安定して再現性良く得ることにより、安定した高い圧電特性を備えた圧電体素子を備えることにより、圧電体薄膜及び下部電極の膜内応力を軽減し、信頼性の高いプリンタを提供することを目的とする。
また、本発明のプリンタは、圧電体素子を有する液体吐出ヘッドを備えるプリンタであって、前記圧電体素子は、下部電極、圧電体薄膜及び上部電極を有、前記圧電体薄膜は、100面優先配向したチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を含み、前記圧電体薄膜のうち前記上部電極側の(100)面配向度が、前記下部電極側の(100)面配向度より高いことを特徴とする。
上記圧電体素子において、強誘電性圧電性材料は、金属酸化物をさらに含むことが望ましい。
また、上記圧電体素子において、圧電体薄膜は、下部電極側から上部電極側方向に延びる柱状結晶を備えることが望ましい。
本発明の液体吐出ヘッドは、上記の圧電素子を備えることを特徴とする。
本発明のプリンタは、上記の液体吐出ヘッドを備えることを特徴とする。
本発明によれば、圧電体薄膜に適した配向度を安定して再現性良く得ることにより、安定した高い圧電特性を備えた圧電体素子及びこれを用いた液体吐出ヘッドの製造方法を提供することができる。また、圧電体膜及び下部電極の膜内応力を軽減し、信頼性の高い圧電体素子並びにこれを用いた液体吐出ヘッドおよびプリンタを提供することができる。
本発明の一実施形態による圧電体素子が使用されるプリンタの構造を説明する斜視図である。 本発明の一実施形態による液体吐出ヘッドであるインクジェット式記録ヘッドの主要部の構造を示す分解斜視図である。 上記インクジェット式記録ヘッドの圧電体素子部分を拡大した平面図(a)、そのi−i線断面図(b)及びii−ii線断面図(c)である。 上記インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面模式図である。 上記インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面模式図である。 第2実施形態の製造方法により製造された圧電体薄膜の各層における100配向度を示すグラフである。 第2実施形態の製造方法により製造された圧電体薄膜の柱状結晶のようすを概念的に示す断面図である。 従来の製造方法によって得られた圧電体素子のTEM写真及びその模写図である。 図8の拡大写真及びその模写図である。
<1.インクジェットプリンタの全体構成>
図1は、本実施形態の圧電体素子が使用される液体吐出装置であるプリンタの構造を説明する斜視図である。このプリンタには、本体2に、トレイ3、排出口4および操作ボタン9が設けられている。さらに本体2の内部には、液体吐出ヘッドであるインクジェット式記録ヘッド1、給紙機構6、制御回路8が備えられている。
インクジェット式記録ヘッド1は基板上に形成された複数の圧電体素子を備え、制御回路8から供給される吐出信号に対応して、ノズルから液体であるインクを吐出可能に構成されている。
本体2は、プリンタの筐体であって、用紙5をトレイ3から供給可能な位置に給紙機構6を配置し、用紙5に印字可能なようにインクジェット式記録ヘッド1を配置している。トレイ3は、印字前の用紙5を給紙機構6に供給可能に構成され、排出口4は、印刷が終了した用紙5を排出する出口である。
給紙機構6は、モータ600、ローラ601・602、その他の図示しない機械構造を備えている。モータ600は、制御回路8から供給される駆動信号に対応して回転可能になっている。機械構造は、モータ600の回転力をローラ601・602に伝達可能に構成されている。ローラ601および602は、モータ600の回転力が伝達されると回転するようになっており、回転によりトレイ3に載置された用紙5を引き込み、ヘッド1によって印刷可能に供給するようになっている。
制御回路8は、図示しないCPU、ROM、RAM、インターフェース回路などを備え、図示しないコネクタを介してコンピュータから供給される印字情報に対応させて、駆動信号を給紙機構6に供給したり、吐出信号をインクジェット式記録ヘッド1に供給したりできるようになっている。また、制御回路8は操作パネル9からの操作信号に対応させて動作モードの設定、リセット処理などが行えるようになっている。
本実施形態のプリンタは、後述の安定した高い圧電特性を有し良好な印字性能を有するインクジェット式記録ヘッドを備えているので、性能の高いプリンタとなっている。
<2.インクジェット式記録ヘッドの構成>
図2は、本発明の一実施形態によるインクジェット式記録ヘッドの主要部の構造を示す分解斜視図である。
図2に示すように、インクジェット式記録ヘッドは、ノズル板10、圧力室基板20、振動板30を備えて構成される。
圧力室基板20は、圧力室(キャビティ)21、側壁22、リザーバ23および供給口24を備えている。圧力室21は、シリコン等の基板をエッチングすることにより、インクなどを吐出するために貯蔵する空間として形成されたものである。側壁22は、圧力室21を仕切るよう形成されている。リザーバ23は、インクを各圧力室21に供給口24を介して供給するための共通の流路となっている。
ノズル板10は、圧力室基板20に設けられた圧力室21の各々に対応する位置にそのノズル11が配置されるよう、圧力室基板20の一方の面に形成されている。
振動板30は、後述するように酸化膜31とZrO2膜32とを積層して形成されたものであり、圧力室基板20の他方の面に形成されている。振動板30には、図示しないインクタンク接続口が設けられて、図示しないインクタンクに貯蔵されているインクを圧力室基板20のリザーバ23に供給可能になっている。
ノズル板10、振動板30及び圧力室基板20よりなるヘッドユニットは、筐体25に収められてインクジェット式記録ヘッド1を構成している。
<3.圧電体素子の構成>
図3は、上記インクジェット式記録ヘッドの圧電体素子部分を拡大した平面図(a)、そのi−i線断面図(b)及びii−ii線断面図(c)である。
図3に示すように、圧電体素子40は、酸化膜31上にZrO2膜32、下部電極42、圧電体薄膜43および上部電極44を順次積層して構成されている。
酸化膜31は、例えば厚さ220μmの単結晶シリコンからなる圧力室基板20上に絶縁膜として形成する。好適には、酸化ケイ素(SiO2)からなる膜を1.0μmの厚さに形成して得る。
ZrO2膜32は、弾性を備える層であって、酸化膜31と一体となって振動板30を構成している。このZrO2膜32は、弾性を与える機能を備えるため、好ましくは、200nm以上800nm以下の厚みを有する。
ZrO2膜32と下部電極42の間には、双方の層を密着するような金属、好ましくは、チタンまたはクロムからなる密着層(図示しない)を設けるのが好ましい。または、チタンとクロムの合金からなる密着層を設けてもよい。密着層は、圧電体素子の設置面への密着性を良くするために形成するものであり、膜厚は10nm程度の厚みとする。
下部電極42は、ここでは少なくともIrを含む層を含む積層構造、例えば最下層からIrを含む層/Ptを含む層/Irを含む層の積層構造となっている。下部電極42の全体の厚みは、例えば200nmとする。
下部電極42の層構造はこれに限らず、Irを含む層/Ptを含む層、またはPtを含む層/Irを含む層なる2層構造でもよい。
圧電体薄膜43は圧電性セラミックスの結晶で構成された強誘電体であり、好ましくは、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これに酸化ニオブ、酸化ニッケルまたは酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加したものからなる。
圧電体薄膜43は、X線回折広角法により測定した100面配向度が70%以上、特に80%以上が好ましい。このようにすることで優れた圧電特性を得られる。そして、110面配向度は10%以下、111面配向度が残部である。但し、100面配向度、110面配向度及び111面配向度の和を100%とする。
なお、本願にいう「100面配向度」とは、X線回折広角法においてCuKα線を用いたときのXYZ面に対応するピーク(2θ)の回折強度をI(XYZ)と表記したとき、I(100)の、I(100)とI(110)とI(111)の和に対する比率を意味する。
圧電体薄膜43の厚みは、製造工程でクラックが発生しない程度に抑え、一方、十分な変位特性を呈する程度に厚くする必要があり、例えば1000nm以上1500nm以下とする。
上部電極44は、下部電極42と対になる電極であり、好適には、PtまたはIrにより構成される。上部電極44の厚みは、好適には50nm程度である。
下部電極42は各圧電体素子に共通な電極となっている。これに対して配線用下電極42aは下部電極42と同じ高さの層に位置するが、下部電極42や他の配線用下電極42aとは分離され、細帯電極45を介して上部電極44に導通可能になっている。
<4.インクジェット式記録ヘッドの動作>
上記インクジェット式記録ヘッド1の構成において、印刷動作を説明する。制御回路8から駆動信号が出力されると、給紙機構6が動作し用紙5がヘッド1によって印刷可能な位置まで搬送される。制御回路8から吐出信号が供給されず圧電体素子の下部電極42と上部電極44との間に駆動電圧が印加されていない場合、圧電体膜43には変形を生じない。吐出信号が供給されていない圧電体素子が設けられているキャビティ21には、圧力変化が生じず、そのノズル11からインク滴は吐出されない。
一方、制御回路8から吐出信号が供給され圧電体素子の下部電極42と上部電極44との間に一定の駆動電圧が印加された場合、圧電体膜43に変形を生じる。吐出信号が供給された圧電体素子が設けられているキャビティ21ではその振動板30が大きくたわむ。このためキャビティ21内の圧力が瞬間的に高まり、ノズル11からインク滴が吐出される。ヘッド中で画像データに対応した位置の圧電体素子に吐出信号を個別に供給することで、任意の文字や図形を印刷させることができる。
<5.第1実施形態による製造方法>
次に、本発明の圧電体素子の製造方法を説明する。図4及び図5は、本発明の圧電体素子及びインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面模式図である。
酸化膜形成工程(S1)
この工程は、圧力室基板20となるシリコン基板を酸素或いは水蒸気を含む酸化性雰囲気中で高温処理し、酸化珪素(SiO2)からなる酸化膜31を形成する工程である。この工程には通常用いる熱酸化法の他、CVD法を使用することもできる。
ZrO2膜を形成する工程(S2)
圧力室基板20の一面上に形成された酸化膜31の上に、ZrO2膜32を形成する工程である。このZrO2膜32は、スパッタ法または真空蒸着法等によりZrの層を形成したものを酸素雰囲気中で高温処理して得られる。
下部電極を形成する工程(S3)
ZrO2膜32上にIrを含む下部電極42を形成する。例えば、まずIrを含む層を形成し、次いでPtを含む層を形成し、更にIrを含む層を形成する。
下部電極42を構成する各層は、それぞれIrまたはPtをZrO2膜32上に、スパッタ法等で付着させて形成する。なお、下部電極42の形成に先立ち、チタン又はクロムからなる密着層(図示せず)をスパッタ法又は真空蒸着法により形成することが好ましい。
下部電極形成後のパターニング工程(S4)
下部電極形成後、これを配線用下電極42aと分離するため、まず下部電極層42を所望の形状にマスクし、その周辺をエッチングすることでパターニングを行う。具体的には、まずスピンナー法、スプレー法等により均一な厚みのレジスト材料を下部電極上に塗布し(図示せず)、次いで、マスクを圧電体素子の形状に形成してから露光・現像して、レジストパターンを下部電極上に形成する(図示せず)。これに通常用いるイオンミリング又はドライエッチング法等により下部電極をエッチング除去しZrO2膜32を露出させる。
更に、前記パターニング工程において下部電極表面に付着した汚染物質や酸化部分等を除去するため、アッシング等でクリーニングを行う(図示せず)。
Ti核(層)を形成する工程
この工程は、スパッタ法等により、下部電極42上にTi核(層)(図示せず)を形成する工程である。Ti核(層)を形成するのは、Ti結晶を核としてPZTを成長させることにより、結晶成長が下部電極側から起こり、緻密で柱状の結晶が得られるからである。
また、前記Ti核(層)の平均厚みは3〜7nm、好ましくは4〜6nmである。
圧電体前駆体膜を形成する工程(S5)
この工程は、ゾルゲル法により、圧電体前駆体膜43'を形成する工程である。
まず、有機金属アルコキシド溶液からなるゾルをスピンコート等の塗布法によりTi核上に塗布する。次いで、一定温度で一定時間乾燥させ、溶媒を蒸発させる。乾燥後、さらに大気雰囲気下において所定の高温で一定時間脱脂し、金属に配位している有機の配位子を熱分解させ、金属酸化物とする。この塗布、乾燥、脱脂の各工程を所定回数、例えば2回繰り返して2層からなる圧電体前駆体膜を積層する。これらの乾燥と脱脂処理により、溶液中の金属アルコキシドと酢酸塩とは配位子の熱分解を経て金属、酸素、金属のネットワークを形成する。
なお、この工程はゾルゲル法に限らず、MOD(Metal Organic Deposition)法でもよい。
焼成工程(S6)
圧電体前駆体膜43'の形成後、焼成して圧電体薄膜を結晶化させる工程である。この焼成により、圧電体前駆体膜43'は、アモルファス状態から菱面体結晶構造をとるようになり、電気機械変換作用を示す薄膜へと変化し、X線回折広角法により測定した100面配向度が75%以上の圧電体薄膜43となる。この焼成工程においては、下部電極側から加熱することが好ましい。下部電極側から加熱することにより、結晶成長が下部電極側から起こるため、より確実に配向制御をすることができる。
以上のような前駆体膜の形成(S5)とその焼成(S6)とを複数回繰り返すことにより、圧電体薄膜43を所望の膜厚とすることができる。例えば1回の焼成につき塗布する前駆体膜の膜厚を200nmとし、これを6回繰り返す。2回目以降の焼成により形成される層は、順次下層の圧電体膜の影響を受けて結晶成長し、圧電体薄膜43の全体にわたって、100面配向度が75%以上となる。
特に本実施形態では、6回の焼成工程のうち、初回の焼成温度を他の回の焼成温度より高くする。焼成温度を高くすると、焼成初期に結晶化するPbTiO3の割合が増え、これを核にPZTが成長すると考えられる。PbTiO3はキュリー点以上で立方晶かつ100配向となる。100面配向度の高いPZTが得られるのはこのためであると考えられる。
また、初回の焼成時間を他の回の焼成時間より長くした場合でも同様の効果を得ることができる。更に、初回の焼成温度を他の回の焼成温度より高くすることと、初回の焼成時間を他の回の焼成時間より長くすることとを併用しても良い。
これにより、本実施形態では、初回の焼成工程において100面配向度の高い圧電体薄膜を得ることができる。他の回の焼成工程においては初回に形成された圧電体薄膜の結晶配向の影響を受けて結晶化するため、圧電体薄膜43全体の圧電特性を向上することができる。更に本実施形態では、初回を除く他の回の焼成工程において、下部電極42の相互拡散や酸化を最小限にすることができるとともにPbの拡散も最小限にすることができる。これにより、均一で信頼性の高い圧電体薄膜43を得ることができる。
上部電極形成工程(S7)
圧電体薄膜43上に、電子ビーム蒸着法またはスパッタ法により上部電極44を形成する。
圧電体薄膜及び上部電極除去工程(S8)
圧電体薄膜43及び上部電極44を、圧電体素子の所定形状にパターニングする工程である。具体的には、上部電極44上にレジストをスピンコートした後、圧力室が形成されるべき位置に合わせて露光・現像してパターニングする。残ったレジストをマスクとして上部電極44、圧電体薄膜43をイオンミリング等でエッチングする。以上の工程で、圧電体素子40が形成される。
細帯電極形成工程(S9)
次に、上部電極44と配線用下電極42aを導通する細帯電極45を形成する。細帯電極45の材質は剛性が低く、電気抵抗が低い金が好ましい。他に、アルミニウム、銅なども好適である。細帯電極45は約0.2μmの膜厚で成膜し、その後各上部電極と配線用下電極との導通部が残るようにパターニングする。
圧力室形成工程(S10)
次に、圧電体素子40が形成された圧力室基板20の他方の面に、異方性エッチングまたは平行平板型反応性イオンエッチング等の活性気体を用いた異方性エッチングを施し、圧力室21を形成する。エッチングされずに残された部分が側壁22になる。
ノズル板貼り合わせ工程(S11)
最後に、エッチング後の圧力室基板20にノズル板10を接着剤で貼り合わせる。貼り合わせのときに各ノズル11が圧力室21各々の空間に配置されるよう位置合わせする。ノズル板10が貼り合わせられた圧力室基板20を図示しない筐体に取り付け、インクジェット式記録ヘッド1を完成させる。
<6.第2実施形態による製造方法>
第2実施形態の製造方法は、圧電体薄膜の焼成工程(S6)における焼成条件のみ第1実施形態と異なり、他は第1実施形態の製造方法と同様である。
上記第1実施形態では、初回の焼成温度を他の回の焼成温度より高くしたが、焼成温度を各層同じにした場合でも、信頼性の高い圧電体薄膜が得られることがわかった。特に、下部電極上にTi核(膜)を形成した上で、圧電体前駆体膜を形成する工程とこれを下部電極側から加熱する工程とを複数回繰り返すと、下部電極側の(100)面配向度より上部電極側の(100)面配向度が高い圧電体薄膜が得られた。
図6は第2実施形態の製造方法により製造された圧電体薄膜の各層における100配向度を示すグラフである。図に示されるように、下部電極側に近い層では100面配向度が約65%であったが、積層されるに従って100面配向度が連続的に上昇し、6層目では約80%、10層目では約92%となった。
この圧電体薄膜の結晶構造を見ると、下部電極側から上部電極側に延びる連続的な柱状結晶を備えていることがわかった。図7は、第2実施形態の製造方法により製造された圧電体薄膜の柱状結晶のようすを概念的に示す断面図である。図に示されるように、下部電極のすぐ上に形成される圧電体薄膜の第1層は、(111)面配向の占める割合が大きい。(111)面に配向したPZTの上には(111)面配向のPZTが形成され易いが、上部電極側へいくに従って次第に(100)面配向の占める割合が大きくなる。(100)面に配向したPZTの上には(100)面配向のPZTが形成される。その結果、図に示されるように、(111)面配向のPZT柱状結晶と、(100)面配向のPZT柱状結晶とが形成される。これは、100面配向のPZT膜の結晶成長速度が、111面配向のPZT膜よりも早いことに起因していると考えられる。
ところで、図7に示されるように、圧電体薄膜43を含む圧電体素子は、酸化膜31及びZrO2膜32を含む振動板の上に積層されているので、振動の中立線は圧電体薄膜の中心よりも下部電極側にシフトすることになる。従って、中立線に近い下部電極側は圧電特性を低く、中立線から遠い上部電極側は圧電特性を高くすることにより、圧電体薄膜及び下部電極に生じる内部応力を軽減することができる。第2実施形態の圧電体薄膜は、上部電極側の(100)面配向度を下部電極側より高くしたので、振動板上に積層されアクチュエータとして使用されたときに、内部応力が生じにくく、信頼性の高い圧電体薄膜とすることができる。
<7.実施例>
PZT前駆体膜を2回塗布する毎に焼成してPZT薄膜を成膜する工程を、6回繰り返し、全体で1.3μmの膜厚を有するPZT薄膜を得た。上記6回のうち初回を除く5回の焼成条件を700℃,30分とし、初回の焼成条件を種々変えたときに得られたPZTの100面配向度を以下に示す。なお、積層された下部電極が相互拡散する温度は700℃であった。
初回の焼成条件/100面配向度
700℃,30分/72%(実施例B1)
700℃,60分/83%(実施例A1)
750℃,30分/75%(実施例A2)
800℃,30分/86%(実施例A3)
第1実施形態に従い、実施例A1のように、初回の焼成時間を他の回の焼成時間より長くすることにより、好ましい100面配向度が得られた。また、実施例A2及びA3のように、初回の焼成温度を他の回の焼成温度より高くすることにより、好ましい100面配向度が得られた。特に初回の焼成温度を800℃とした場合に、より好ましい100面配向度が得られた。
実施例B1の100面配向度は圧電体薄膜全体の平均値であるが、この実施例B1の詳細は、第2実施形態の製造方法について上述した通りである。
<8.第3実施形態による製造方法>
第3実施形態の製造方法では、圧電体前駆体膜の形成工程(S5)において、第1実施形態と組成の異なるゾルを用いたゾルゲル法が採用されるほか、第1実施形態の製造方法と同様である。
第3実施形態では、PZTからなる圧電体層を複数回成膜して圧電体薄膜を形成する工程において、第1回の成膜において塗布される2層の圧電体前駆体膜のうち第1層のゾルのZr/Ti比を、第2層のゾルや、他の回の成膜において塗布される圧電体前駆体のゾルのZr/Ti比より高くする。例えば、上記第1層のゾルを100nmの厚みで塗布する場合、上記第1層のゾルのZr/Ti比を58/42とし、残りの層のゾルのZr/Ti比を55/45とする。このZr/Ti比は、下部電極上に形成される上記Ti層の厚みや、上記塗布される第1層のゾルの厚みにより、適切な値に変更することが望ましい。
これにより得られる圧電体薄膜43は、下部電極42との界面付近の組成、特にZr/Ti比が膜厚方向に均一となる。図8及び図9は、すべての層のゾルのZr/Ti比を55/45としたときのTEM写真である。下部電極上に5nm程度の不連続が存在する。これはTiリッチの圧電体である。本発明による圧電体膜には、Tiリッチの圧電体層は観察されない。
<9.その他の応用例>
本発明は、上記実施形態によらず種々に変形して適応することが可能である。例えば、本発明で製造した圧電体素子は、上記インクジェット式記録ヘッドの圧電体素子のみならず、不揮発性半導体記憶装置、薄膜コンデンサ、パイロ電気検出器、センサ、表面弾性波光学導波管、光学記憶装置、空間光変調器、ダイオードレーザ用周波数二倍器等のような強誘電体装置、誘電体装置、パイロ電気装置、圧電装置、および電気光学装置の製造に適応することができる。
また、本発明の液体吐出ヘッドは、インクジェット記録装置に用いられるインクを吐出するヘッド以外にも、液晶ディスプレイ等のためのカラーフィルタの製造に用いられる色材を含む液体を吐出するヘッド、有機ELディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料を含む液体を吐出するヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を吐出するヘッド等、種々の液体を噴射するヘッドに適用することが可能である。
20…圧力室基板、30…振動板、31…酸化膜、32…ZrO2膜、40…圧電体素子、42…下部電極、43…圧電体薄膜、44…上部電極

Claims (3)

  1. 圧電体素子を有する液体吐出ヘッドを備えるプリンタであって、
    前記圧電体素子は、下部電極、圧電体薄膜及び上部電極を有
    前記圧電体薄膜は、100面優先配向したチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を含み
    前記圧電体薄膜のうち前記上部電極側の(100)面配向度が、前記下部電極側の(100)面配向度より高いことを特徴とする
    プリンタ
  2. 前記圧電体薄膜は、金属酸化物をさらに含む
    請求項1に記載のプリンタ
  3. 前記圧電体薄膜は、前記下部電極側から前記上部電極側方向に延びる柱状結晶を備える請求項1又は2に記載のプリンタ
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