JP2002084012A - 圧電体膜及びこれを備えた圧電体素子 - Google Patents
圧電体膜及びこれを備えた圧電体素子Info
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Abstract
隙が生じることを防止して膜の絶縁性および圧電特性を
向上させた圧電体膜及びこれを用いた圧電体素子を提供
する。 【解決手段】 多結晶体で構成される圧電体膜におい
て、粒径分布のピークを少なくとも2つ有し、前記2つ
のピークのうち大粒径側の結晶粒の粒径が1000nm
以上、小粒径側のピークは10nm以上500nm以下
である。これら結晶粒は柱状結晶であることが望まし
い。膜厚方向の電気抵抗は1.0MΩ以上である。製造
方法は、基板上に圧電体前駆体膜を形成し、この圧電体
前駆体膜を結晶化させる工程を複数回繰り返すものであ
って、前記圧電体前駆体膜の形成時の前記工程1回あた
りの膜厚は、結晶化後に基板全面を被覆しない厚さ(結
晶化時に100nm以下)とする。
Description
記録ヘッド等に用いられる圧電体膜および圧電体素子に
係る。特に、多結晶体の圧電体膜において粒界及びこれ
により生ずる空隙を減少させ、密度の向上した圧電体
膜、およびこれを用いた圧電体素子に関する。
クチュエータとして用いられる圧電体素子は、電気機械
変換機能を呈する圧電体膜を2つの電極で挟んだ素子で
あり、圧電体膜は結晶化した圧電性セラミックスにより
構成されている。この圧電性セラミックスとしては、ペ
ロブスカイト型結晶構造を有し、化学式ABO3で示す
ことのできる複合酸化物が知られている。例えばAには
鉛(Pb),Bにジルコニウム(Zr)とチタン(T
i)の混合を適用したチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)
は、非常に優れた圧電特性を示す。
りよい圧電特性を得るためには結晶性の優れたものが好
ましく、結晶粒の大きな圧電体膜を得るための工夫が種
々なされている。
の大きな圧電体膜を得ることはできても、かえってその
粒界に空隙が生じ、膜の絶縁性や圧電特性は不十分であ
った。
は、粒径の異なる強誘電体微粒子を同一膜内に成長させ
ることにより、膜密度の高い強誘電体膜を提供すること
が記載されている。しかし、これによって成膜される強
誘電体膜の結晶粒は球状であるため、電界方向を横切る
向きに粒界が存在することとなり、十分な圧電特性が得
られない。
膜において、粒径の大きな結晶粒を得ると共に、粒界に
空隙が生じることを防止して膜の絶縁性および圧電特性
を向上させた圧電体膜及びこれを用いた圧電体素子を提
供することを目的とする。また、かかる圧電体膜及び圧
電体素子の製造方法を提供することを目的とする。
は、多結晶体で構成される圧電体膜において、粒径分布
のピークを少なくとも2つ有し、前記2つのピークのう
ち大粒径側の結晶粒の粒径が1000nm以上であるこ
とを特徴とする。
の粒径は10nm以上500nm以下であることが望ま
しい。
ークを少なくとも2つ有し、前記2つのピークのうち少
なくとも大粒径側の結晶粒は柱状結晶であること、多結
晶体で構成され、膜厚方向の電気抵抗が1.0MΩ以上
であることが望ましい。
膜と、この圧電体膜を挟んで配置される下部電極および
上部電極とを備えたことを特徴とする。
圧力室が形成された圧力室基板と、前記圧力室の一方の
面に設けられた振動板と、前記振動板の前記圧力室に対
応する位置に設けられ、当該圧力室に体積変化を及ぼす
ことが可能に構成された前記圧電体素子と、を備えたこ
とを特徴とする。
圧電体前駆体膜を形成し、この圧電体前駆体膜を結晶化
させる工程を複数回繰り返すことによる圧電体膜の製造
方法であって、前記圧電体前駆体膜の形成時の前記工程
1回あたりの膜厚は、結晶化後に基板全面を被覆しない
厚さとすることを特徴とする。
回あたりの膜厚は、当該1回の工程により得られる結晶
化後の膜厚が100nm以下となるようにすることが望
ましい。
の工程における前記圧電体前駆体膜の形成時の前記工程
1回あたりの膜厚は、当該1回の工程により得られる結
晶化後の膜厚が20nm以下となるようにすることが望
ましい。
に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に前記圧
電体膜を成膜する工程と、前記圧電体膜上に上部電極を
形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
ドの製造方法は、基板の一面に振動板を形成する工程
と、前記振動板に前記圧電体素子を形成する工程と、前
記基板をエッチングし圧力室を形成する工程と、を備え
ている。
面を参照して説明する。
1は、本実施形態の圧電体素子を有するインクジェット
式記録ヘッドが使用されるプリンタの構造を説明する斜
視図である。このプリンタには、本体2に、トレイ3、
排出口4および操作ボタン9が設けられている。さらに
本体2の内部には、インクジェット式記録ヘッド1、供
給機構6、制御回路8が備えられている。
の製造方法で製造された圧電体素子を備えている。イン
クジェット式記録ヘッド1は、制御回路8から供給され
る吐出信号に対応して、ノズルからインクを吐出可能に
構成されている。
5をトレイ3から供給可能な位置に供給機構6を配置
し、用紙5に印字可能なようにインクジェット式記録ヘ
ッド1を配置している。トレイ3は、印字前の用紙5を
供給機構6に供給可能に構成され、排出口4は、印刷が
終了した用紙5を排出する出口である。
1・602、その他の図示しない機械構造を備えてい
る。モータ600は、制御回路8から供給される駆動信
号に対応して回転可能になっている。機械構造は、モー
タ600の回転力をローラ601・602に伝達可能に
構成されている。ローラ601および602は、モータ
600の回転力が伝達されると回転するようになってお
り、回転によりトレイ3に載置された用紙5を引き込
み、ヘッド1によって印刷可能に供給するようになって
いる。
M、RAM、インターフェース回路などを備え、図示し
ないコネクタを介してコンピュータから供給される印字
情報に対応させて、駆動信号を供給機構6に供給した
り、吐出信号をインクジェット式記録ヘッド1に供給し
たりできるようになっている。また、制御回路8は操作
パネル9からの操作信号に対応させて動作モードの設
定、リセット処理などが行えるようになっている。
2は、本実施形態の圧電体素子を備えたインクジェット
式記録ヘッドの構造の説明図である。インクジェット式
記録ヘッド1は、図に示すように、ノズル板10、圧力
室基板20および振動板30を備えて構成されている。
このヘッドは、オンデマンド形のピエゾジェット式ヘッ
ドを構成している。
21、側壁(隔壁)22、リザーバ23および供給口2
4を備えている。キャビティ21は、シリコン等の基板
をエッチングすることにより形成されたインクなどを吐
出するために貯蔵する空間となっている。側壁22はキ
ャビティ21間を仕切るよう形成されている。リザーバ
23は、インクを共通して各キャビティ21に充たすた
めの流路となっている。供給口24は、リザーバ23か
ら各キャビティ21にインクを導入可能に形成されてい
る。なおキャビティ21などの形状はインクジェット方
式によって種々に変形可能である。例えば平面的な形状
のカイザー(Kyser)形であっても円筒形のゾルタン(Z
oltan)形でもよい。またキャビティが1室形用に構成
されていても2室形に構成されていてもよい。
れたキャビティ21の各々に対応する位置にそのノズル
穴11が配置されるよう、圧力室基板20の一方の面に
貼り合わせられている。ノズル板10を貼り合わせた圧
力室基板20は、さらに筐体25に納められて、インク
ジェット式記録ヘッド1を構成している。
貼り合わせられている。振動板30には圧電体素子(図
示しない)が設けられている。振動板30には、インク
タンク口(図示せず)が設けられて、図示しないインク
タンクに貯蔵されているインクを圧力室基板20内部に
供給可能になっている。
り製造されるインクジェット式記録ヘッドおよび圧電体
素子のさらに具体的な構造を説明する断面図を示す。こ
の断面図は、一つの圧電体素子の断面を拡大したもので
ある。図に示すように、振動板30は、絶縁膜31およ
び下部電極32を積層して構成され、圧電体素子40は
圧電体薄膜層41および上部電極42を積層して構成さ
れている。特にこのインクジェット式記録ヘッド1は、
圧電体素子40、キャビティ21およびノズル穴11が
一定のピッチで連設されて構成されている。このノズル
間のピッチは、印刷精度に応じて適時設計変更が可能で
ある。例えば400dpi(dot per inch)になるよう
に配置される。
シリコン基板を熱酸化等して形成された二酸化珪素(S
iO2)により構成され、圧電体層の変形により変形
し、キャビティ21の内部の圧力を瞬間的に高めること
が可能に構成されている。
が、絶縁膜31と下部電極32との間に、20nm程度
のチタン又は酸化チタンの膜(密着層)を形成しても良
い。
るための一方の電極であり、導電性を有する材料、例え
ば、白金(Pt)などにより構成されている。なお、下
部電極32はこれに限らず、白金と同じFCC構造を有
する金属であるイリジウム(Ir)で構成しても良い。
下部電極32は、圧力室基板20上に形成される複数の
圧電体素子に共通な電極として機能するように絶縁膜3
1と同じ領域に形成される。ただし、圧電体薄膜層41
と同様の大きさに、すなわち上部電極と同じ形状に形成
することも可能である。
るための他方の電極となり、導電性を有する材料、例え
ば膜厚0.1μmの白金(Pt)で構成されている。
製造された例えばペロブスカイト構造を持つ圧電性セラ
ミックスの結晶であり、振動板30上に所定の形状で形
成されて構成されている。
ニウム酸チタン酸鉛(Pb(Zr0 .56、T
i0.44)O3:PZT)等の圧電性セラミックスを
用いる。その他、チタン酸鉛ランタン((Pb,La)
TiO3)、ジルコニウム酸鉛ランタン((Pb,L
a)ZrO3)またはマグネシウムニオブ酸ジルコニウ
ム酸チタン酸鉛(Pb(Mg、Nb)(Zr、Ti)O
3:PMN−PZT)、ジルコニウム酸チタン酸バリウ
ム(Ba(Zr、Ti)O3:BZT)などでもよい。
され、粒径分布は少なくとも2つのピークを有する。こ
れら2つのピークのうち大粒径側の結晶粒の粒径は10
00nm以上の良好な結晶性を有しているので、良好な
圧電特性を示すことができる。また、粒径分布が小粒径
側にもピークを有することにより、粒界に間隙が形成さ
れることを防止することができる。この小粒径側のピー
クは、10nm以上500nm以下であることが望まし
い。さらには150nm以上がより好ましく、200n
m以下がより好ましい。
されているので、絶縁性に優れ、電気抵抗は1.0MΩ
以上の値を示すことができる。
大粒径側の結晶粒は、柱状結晶である。これにより、膜
厚方向に粒界がないので圧電特性が良好になる。また、
上記2つのピークのうち小粒径側の結晶粒も、柱状結晶
であることが望ましい。
ッド1の構成において、印刷動作を説明する。制御回路
8から駆動信号が出力されると、供給機構6が動作し用
紙5がヘッド1によって印刷可能な位置まで搬送され
る。制御回路8から吐出信号が供給されず圧電体素子4
0の下部電極32と上部電極42との間に電圧が印加さ
れていない場合、圧電体薄膜層41には変形を生じな
い。吐出信号が供給されていない圧電体素子40が設け
られているキャビティ21には、圧力変化が生じず、そ
のノズル穴11からインク滴は吐出されない。
圧電体素子40の下部電極32と上部電極42との間に
一定電圧が印加された場合、圧電体薄膜層41に変形を
生じる。吐出信号が供給された圧電体素子40が設けら
れているキャビティ21ではその振動板30が大きくた
わむ。このためキャビティ21内の圧力が瞬間的に高ま
り、ノズル穴11からインク滴が吐出される。ヘッド中
で印刷させたい位置の圧電体素子に吐出信号を個別に供
給することで、任意の文字や図形を印刷させることがで
きる。
電体素子の製造方法を、インクジェット式記録ヘッドの
製造方法と併せて説明する。図4及び図5は、本実施形
態による圧電体素子及びインクジェット式記録ヘッドの
製造工程断面図である。
成する工程である。シリコン基板20の厚みは、側壁の
高さが高くなりすぎないように、例えば200μm程度
のものを使用する。絶縁膜31は例えば1μm程度の厚
みに形成する。絶縁膜の製造には公知の熱酸化法等を用
い、二酸化珪素の膜を形成する。なお、絶縁膜31の上
に、好ましくは厚さ5nm〜40nm、更に好ましくは
20nm程度のチタン膜又は酸化チタン膜(密着層:図
示せず)を更に形成しても良い。この密着層は、絶縁膜
31と下部電極32との密着性を向上させる。
下部電極32を形成する工程である。下部電極32は、
例えば白金層を200nmの厚みで積層する。これらの
層の製造は公知の電子ビーム蒸着法、スパッタ法等を用
いる。
を好ましくは3nm〜25nm、更に好ましくは5nm
の厚みで形成する。このチタン種層の形成には、例えば
公知の直流スパッタ法等を用いる。この種層は一様の厚
みで形成するが、場合によって島状となっても構わな
い。
1’を成膜する。圧電体前駆体膜は、後述の処理で結晶
化されて圧電体薄膜41となる以前の、非晶質膜として
構成される。本実施例ではPZT前駆体膜をゾル・ゲル
法で成膜する。なお、PZTの成膜方法はゾル・ゲル法
に限定されるわけではなく、MOD(Metal-Organic De
composition)法等の溶液塗布法であれば良い。
金属有機化合物を溶液系で加水分解、重縮合させるもの
である。具体的には、まず、基板上に金属有機化合物を
含む溶液(ゾル)を塗布し、乾燥させる(S3)。用い
られる金属有機化合物としては、無機酸化物を構成する
金属のメトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキ
シド等のアルコキシドやアセテート化合物等が挙げられ
る。硝酸塩、しゅう酸塩、過塩素酸塩等の無機塩でも良
い。
料として、Pb(CH3COO)2・3H2O、Zr
(t−OCH4H9)4、Ti(i−OC3H7)4の
混合溶液(ゾル)を用意する。
覆しない程度の厚さに下部電極上に塗布する。すなわ
ち、結晶化後に塗布面である下部電極の上面の一部が露
出する程度の厚さに塗布する。結晶化後に基板全面を被
覆しない厚さは、具体的には、結晶化後の膜厚が100
nm以下になるようにする。結晶化後の膜厚は、ゾルの
濃度と塗布膜厚によってほぼ決まる。ここではゾルの濃
度を0.3M(モル/リットル)とし、塗布膜厚を30
0nmとする。塗布した段階では、PZTを構成する各
金属原子は有機金属錯体として分散している。
ルの溶媒を蒸発させる。例えば、乾燥温度は例えば15
0℃以上200℃以下に設定する。好ましくは、180
℃で乾燥させる。乾燥時間は例えば5分以上15分以下
にする。好ましくは10分程度乾燥させる。
の脱脂温度で一定時間脱脂する。脱脂温度は、300℃
以上500℃以下の範囲が好ましい。この範囲より高い
温度では結晶化が始まってしまい、この範囲より低い温
度では、十分な脱脂が行えないからである。好ましくは
360℃〜400℃程度に設定する。脱脂時間は、例え
ば5分以上90分以下にする。この範囲より長い時間で
は結晶化が始まってしまい、この範囲より短い時間では
十分に脱脂されないからである。好ましくは10分程度
脱脂させる。脱脂により金属に配位している有機物が金
属から解離し酸化燃焼反応を生じ、大気中に飛散する。
以上の塗布・乾燥・脱脂の工程により、圧電体前駆体膜
の第1層411’が形成される。
11’を加熱処理することによって結晶化させ、圧電体
薄膜の第1層411を形成する。焼結温度は材料により
異なるが、本実施形態では650℃で5分から30分間
加熱を行う。その際の昇温レートは、毎分1000℃以
下の比較的ゆっくりとしたペースとする。加熱装置とし
ては、拡散炉等を使用することができる。
11が形成される。圧電体薄膜の第1層411は、基板
全面を被覆しておらず、結晶粒の間に空隙が生じるが、
各結晶粒の粒径は0.5μm程度のかなり大きいものが
得られる。
を20nm以下として、上記の塗布、乾燥、脱脂、結晶
化という工程を、例えば5回繰り返す。すなわち、圧電
体前駆体膜の第2層412’を成膜し(S5)、上記と
同様に結晶化させる(S6)。これを5回繰り返した場
合、圧電体膜41全体の膜厚は200nmとなる。
は、上記の第1層の上に結晶成長するために大粒径でか
つ柱状の結晶粒を備える。また、結晶成長は第1層41
1から膜厚方向のみならず膜面方向にも行なわれるの
で、粒径は1000nm以上に成長する。第1層411
の形成時に形成された結晶粒間の空隙は、第2層412
以降の成膜によって、比較的結晶粒の小さい柱状結晶に
よって埋められる(S7)。その粒径は10nmから5
00nmの間にあり、粒界に空隙が生じないようになっ
ている。
を形成する。具体的には、上部電極42として白金(P
t)を100nmの膜厚にDCスパッタ法で成膜する。
後、インク室が形成されるべき位置に合わせて露光・現
像してパターニングする。残ったレジストをマスクとし
て上部電極42、圧電体薄膜41をイオンミリング等で
エッチングする。以上の工程により、圧電体素子の一例
である圧電アクチュエータが形成される。
0、S11) 更に、インク室基板20にインク室21を形成し、ノズ
ル板10を形成する。具体的には、インク室基板20
に、インク室が形成されるべき位置に合わせてエッチン
グマスクを施し、例えば平行平板型反応性イオンエッチ
ング等の活性気体を用いたドライエッチングにより、予
め定められた深さまでインク室基板20をエッチング
し、インク室21を形成する。エッチングされずに残っ
た部分は側壁22となる。
ンク室基板20に接合する。ノズル板10をインク室基
板20に接合する際には、ノズル11がインク室21の
各々の空間に対応して配置されるよう位置合せする。以
上の工程により、インクジェット式記録ヘッドが形成さ
れる。
ジルコン酸チタン酸鉛(Pbx(ZryTi1 −y)O
3)からなる圧電体薄膜を製造した。
いて圧電体膜の第1層411を成膜したときの表面SE
M写真およびその模写図である。図に示されるように、
圧電体膜第1層411は基板全面を被覆しておらず、下
部電極32が表面に露出している。圧電体膜第1層41
1の結晶粒の粒径は、約0.5μmとなっている。
って製造された圧電体膜41の表面SEM写真およびそ
の模写図である。図に示されるように、圧電体膜41の
粒径分布は1000nmから2000nmの範囲にある
大粒径群と、150nmから500nmの範囲にある小
粒径群からなっている。しかも、粒界には空隙がみられ
ない。
縁性を測定したところ、1.0MΩ以上の高い絶縁性を
有することがわかった。また、粒径の大きな柱状結晶が
得られたため、圧電特性に優れ、例えば圧電体素子とし
て用いた場合に低電圧でも駆動できる。
て、結晶化後に基板の全面が被覆されないようにしたの
で、結晶化段階における内部応力の発生を少なくするこ
とができる。
による方法で成膜されたPZT膜の平面SEM写真及び
その模写図である。このPZT膜の粒径は60nmから
230nmの間にあり、比較的小さい。図に示されるよ
うに、このPZT膜の結晶粒の粒界には、明らかな空隙
は見られない。
方法で成膜されたPZT膜の平面SEM写真及びその模
写図である。このPZT膜の粒径は1200nmから4
000nmの間にあり、かなり大きな結晶粒となってい
る。図に示されるように、このPZT膜の結晶粒の粒界
には、黒く太い線のような空隙が形成されているのがわ
かる。一般に大粒径の結晶粒からなる圧電体膜の方が結
晶性が優れているため、良好な圧電特性が期待できる
が、粒界に空隙が存在すると、膜の絶縁性や圧電特性が
不十分となる。
体素子は上記インクジェット式記録ヘッドの圧力発生源
のみならず、圧電ファン、超音波モータ、超音波振動子
のような圧電体素子装置及びこの様な装置の製造に適応
することができる。
得ると共に、粒界に空隙が生じることを防止して膜の絶
縁性および圧電特性を向上させた圧電体膜及びこれを用
いた圧電体素子を提供することができる。
体膜及び圧電体素子の製造方法を提供することができ
る。
ト式記録ヘッドが使用されるプリンタの構造を説明する
斜視図である。
ト式記録ヘッドの構造の説明図である。
電体素子の具体的な構造を説明する断面図である。
である。
ト式記録ヘッドの製造方法を説明する製造工程断面図で
ある。
の第1層411を成膜したときの表面SEM写真および
その模写図である。
た圧電体膜41の表面SEM写真およびその模写図であ
る。
PZT膜の平面SEM写真及びその模写図である。
れたPZT膜の平面SEM写真及びその模写図である。
板、 31…絶縁膜、32…下部電極、 40…圧電体
素子、 41…圧電体薄膜層、 42…上部電極、 2
1…キャビティ
Claims (11)
- 【請求項1】 多結晶体で構成される圧電体膜におい
て、粒径分布のピークを少なくとも2つ有し、前記2つ
のピークのうち大粒径側の結晶粒の粒径が1000nm
以上であることを特徴とする圧電体膜。 - 【請求項2】 請求項1において、 前記2つのピークのうち小粒径側の結晶粒の粒径が10
nm以上500nm以下であることを特徴とする圧電体
膜。 - 【請求項3】 多結晶体で構成される圧電体膜におい
て、粒径分布のピークを少なくとも2つ有し、前記2つ
のピークのうち少なくとも大粒径側の結晶粒は柱状結晶
であることを特徴とする圧電体膜。 - 【請求項4】 多結晶体で構成される圧電体膜におい
て、膜厚方向の電気抵抗が1.0MΩ以上であることを
特徴とする圧電体膜。 - 【請求項5】 請求項1乃至請求項4に記載の圧電体膜
と、この圧電体膜を挟んで配置される下部電極および上
部電極とを備えたことを特徴とする圧電体素子。 - 【請求項6】 請求項5に記載の圧電体素子を備えたイ
ンクジェット式記録ヘッドにおいて、 圧力室が形成された圧力室基板と、 前記圧力室の一方の面に設けられた振動板と、 前記振動板の前記圧力室に対応する位置に設けられ、当
該圧力室に体積変化を及ぼすことが可能に構成された前
記圧電体素子と、を備えたことを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッド。 - 【請求項7】 基板上に圧電体前駆体膜を形成し、この
圧電体前駆体膜を結晶化させる工程を複数回繰り返すこ
とによる圧電体膜の製造方法であって、 前記圧電体前駆体膜の形成時の前記工程1回あたりの膜
厚は、結晶化後に基板全面を被覆しない厚さとすること
を特徴とする圧電体膜の製造方法。 - 【請求項8】 基板上に圧電体前駆体膜を形成して当該
圧電体前駆体膜を結晶化させる一連の工程を、複数回繰
り返すことによる圧電体膜の製造方法であって、 前記圧電体前駆体膜の形成時の前記工程1回あたりの膜
厚は、当該1回の工程により得られる結晶化後の膜厚が
100nm以下となるようにすることを特徴とする圧電
体膜の製造方法。 - 【請求項9】 請求項8において、 前記複数回の工程のうち2回目以降の工程における前記
圧電体前駆体膜の形成時の前記工程1回あたりの膜厚
は、当該1回の工程により得られる結晶化後の膜厚が2
0nm以下となるようにすることを特徴とする圧電体膜
の製造方法。 - 【請求項10】 請求項7乃至請求項9の何れか一項に
記載の製造方法で製造した圧電体膜を備える圧電体素子
の製造方法であって、 基板上に下部電極を形成する工程と、 前記下部電極上に前記圧電体膜を成膜する工程と、 前記圧電体膜上に上部電極を形成する工程と、を備えた
ことを特徴とする圧電体素子の製造方法。 - 【請求項11】 請求項10に記載の製造方法で製造し
た圧電体素子を備えるインクジェット式記録ヘッドの製
造方法であって、 基板の一面に振動板を形成する工程と、 前記振動板に前記圧電体素子を形成する工程と、 前記基板をエッチングし圧力室を形成する工程と、を備
えたインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
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