JP4078629B2 - 圧電体薄膜素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電気機械変換機能を有する圧電体薄膜素子に係り、特に、所定の傾斜組成を有する圧電体薄膜を備えた圧電体薄膜素子、その製造方法、ならびにこの圧電体薄膜素子を用いたインクジェット式記録ヘッド及びインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電体薄膜素子は、電気機械変換機能を呈する圧電体薄膜を2つの電極で挟んだ素子であり、圧電体薄膜は結晶化した圧電性セラミックスにより構成されている。この圧電性セラミックスとしては、ペロブスカイト型結晶構造を有し、化学式ABOで示すことのできる複合酸化物が知られている。例えばAには鉛(Pb),Bにジルコニウム(Zr)とチタン(Ti)の混合を適用したチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が知られている。
【0003】
従来、圧電体薄膜素子に用いられる圧電体薄膜については、その結晶配向や構成材料を種々工夫することにより、圧電特性や高速応答性などの改良が進められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の圧電体薄膜素子では、圧電体薄膜中の各部の動きを十分に考慮した改良は行なわれていなかった。そのため折角特性の優れた圧電体薄膜が得られても、圧電体薄膜素子またはインクジェットヘッドとして応用した場合には、その機能を十分に発揮させることができない場合があった。
【0005】
本発明は、圧電体薄膜の各部に要求される動きに応じた特性をそれぞれ持たせることにより、低電圧でも、圧電体薄膜の機能を十分に発揮することのできる圧電体薄膜素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
さらには、上記圧電体薄膜素子をインク吐出駆動源とするインクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明の圧電体薄膜素子は、下部電極と、該下部電極上に設けられた圧電体薄膜と、該圧電体薄膜上に設けられた上部電極と、を備える圧電体薄膜素子であって、前記圧電体薄膜は、膜厚方向の所定位置より上部電極側における膜厚方向の電気抵抗率に対し、前記所定位置より下部電極側における膜厚方向の電気抵抗率の方が、高いことを特徴とする。
【0008】
上記圧電体薄膜素子において、前記圧電体薄膜は、上部電極側から下部電極側に向けて、膜厚方向の電気抵抗率が、膜厚方向に連続的又は段階的に高くなる傾斜組成を有していてもよい。
【0009】
また本発明の他の圧電体薄膜素子は、下部電極と、該下部電極上に設けられた圧電体薄膜と、該圧電体薄膜上に設けられた上部電極と、を備える圧電体薄膜素子であって、前記圧電体薄膜は、膜厚方向の所定位置より上部電極側の誘電率に対し、前記所定位置より下部電極側の誘電率の方が、低いことを特徴とする。
【0010】
上記圧電体薄膜素子において、前記圧電体薄膜は、上部電極側から下部電極側に向けて、膜厚方向の誘電率が、膜厚方向に連続的又は段階的に低くなる傾斜組成を有していてもよい。
【0011】
本発明のインクジェット式記録ヘッドは、上記の圧電体薄膜素子と、当該圧電体薄膜素子の機械的変位によって内容積が変化する圧力室と、当該圧力室に連通してインク滴を吐出する吐出口とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明のインクジェットプリンタは、上記のインクジェット式記録ヘッドを印字機構に備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の圧電体薄膜素子の製造方法は、下部電極上に圧電体薄膜を形成する工程と、前記圧電体薄膜上に上部電極を形成する工程と、を備えた圧電体薄膜素子の製造方法であって、前記圧電体薄膜の形成工程は、金属有機化合物のゾルを塗布した後に焼成する成膜工程を複数回行って複数の層からなる圧電体薄膜を形成する工程であり、前記複数の層のうち下部電極側の層の成膜と、上部電極側の層の成膜とにおいて、ドーパントの量が互いに異なるゾルを塗布することを特徴とする。
【0014】
本発明の他の圧電体薄膜素子の製造方法は、圧電体薄膜の形成工程において、MOCVD法による圧電体薄膜の形成中に、金属錯体原料中に含まれるドーパントの濃度を変化させることを特徴とする。
【0015】
本発明の他の圧電体薄膜素子の製造方法は、圧電体薄膜の形成工程において、RFスパッタ法による圧電体薄膜の形成中に、ドーピング用の付属ターゲットのスパッタパワーを変化させることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
(原理説明)
図6に、本実施形態による圧電体薄膜素子40の部分拡大断面図を示す。圧電体薄膜素子40は、圧電体薄膜43を上部電極44及び下部電極42で挟んだ構成となっている。
【0018】
図6(a)は、圧電体薄膜43を膜厚方向に電流Iが流れる場合、膜厚方向の所定位置より下部電極側の層431及び上部電極側の層432は、膜厚方向に電気抵抗r及びrを有し、各層に電圧V及びVがかかることを示している。電流Iは各層で等しいから、
I=V/r=V/r
の関係より、r>rの場合に、V>Vとなる。従って下部電極側の層431の電気抵抗率を上部電極側の層432より高くすることにより、下部電極側の層431には上部電極側の層432より大きい電界がかかり、大きいひずみが得られる。これにより、大きなひずみが必要な部分には大きな電界をかけ、それより小さなひずみが必要な部分には小さな電界をかけることができる。従って、各部に要求されるひずみ量に応じた適切な電界をかけることができ、低電圧による駆動でも全体として大きなひずみを得ることができる。
【0019】
このように各層で異なる電気抵抗率の圧電体薄膜43を形成するためには、圧電体薄膜中に導入されるドーパント濃度の調整によることが好ましい。
【0020】
図6(b)は、誘電体である圧電体薄膜43に膜厚方向の電圧をかけた場合の電束密度Dと、膜厚方向の所定位置より下部電極側の層431及び上部電極側層432の、誘電率ε及びεと、各層にかかる電界E及びEと、各層の自発分極Ps1及びPs2と、を示している。電束密度Dは各層で等しいから、
D=ε+Ps1=ε+Ps2
の関係が成立する。各層の自発分極Ps1及びPs2がほぼ等しいと仮定すると、ε<εの場合に、E>Eとなる。従ってこの場合、下部電極側の層431には上部電極側の層432より大きい電界がかかり、大きいひずみが得られる。従って、ε<εとすることにより、大きなひずみが必要な部分には大きな電界をかけ、それより小さなひずみが必要な部分には小さな電界をかけることができる。従って、各部に要求されるひずみ量に応じた適切な電界をかけることができ、低電圧による駆動でも全体として大きなひずみを得ることができる。
【0021】
このように各層で異なる誘電率の圧電体薄膜43を形成するためには、圧電体薄膜中に導入されるドーパント濃度の調整によるほか、圧電体薄膜層の組成制御によって誘電率を調整しても良い。
【0022】
(インクジェットプリンタの全体構成)
図1に、インクジェットプリンタの斜視図を示す。プリンタには、本体2に、トレイ3、排出口4および操作ボタン9が設けられている。
【0023】
本体2はプリンタの筐体であって、用紙5をトレイ3から供給可能な位置に給紙機構6を備え、用紙5に印字できるようにインクジェット式記録ヘッド1が配置されている。また、本体2の内部には制御回路8が設けられている。
【0024】
トレイ3は、印字前の用紙5を供給機構6に供給可能に構成され、排出口4は、印刷が終了した用紙5を排出する出口である。
【0025】
インクジェット式記録ヘッド1は、本発明に係る圧電体薄膜素子を備えており、制御回路8から出力される信号に対応して、ノズルからインクを吐出可能に構成されている。
【0026】
給紙機構6は、モータ600、ローラ601、602を備えている。モータ600は制御回路8から出力される信号に対応して回転し、この回転力がローラ601、602に伝達され、ローラ601、602の回転によってトレイ3にセットされた用紙5を引き込み、ヘッド1によって印字可能に供給するようになっている。
【0027】
制御回路8は、図示しないCPU、ROM、RAM、インターフェース回路などを備えている。制御回路8は、図示しないコネクタを介してコンピュータから供給される印字情報に対応させて、信号を給紙機構6やヘッド1の駆動機構に出力する。
【0028】
(インクジェット式記録ヘッドの構成)
図2に、本実施形態に係るインクジェットヘッドの分解斜視図を示す。インクジェットヘッドは、ノズル板10、圧力室基板20、振動板30を備えている。
【0029】
圧力室基板20は、圧力室21、側壁22、リザーバ23および供給口24を備えている。圧力室21は、シリコン等の基板をエッチングすることによりインクなどを吐出するために貯蔵する空間として形成されたものである。側壁22は、圧力室21を仕切るよう形成されている。リザーバ23は、インクを共通して各圧力室21に充たすための流路となっている。供給口24は、リザーバ23から各圧力室21へインクを導入できるように形成されている。
【0030】
ノズル板10は、圧力室基板20に設けられた圧力室21の各々に対応する位置にそのノズル穴11が配置されるよう、圧力室基板20の一方の面に貼りあわせられている。ノズル板10を貼り合わせたインク室基板20は、筐体25に納められている。
【0031】
圧力室21およびノズル穴11は、一定のピッチで連設されて構成されている。このノズル間のピッチは、印刷精度に応じて適時設計変更が可能であり、例えば400dpi(dot per inch)となるように配置される。
【0032】
振動板30には、各圧力室21に対応する位置に、それぞれ圧電体薄膜素子(図示せず)が設けられており、これらは圧電アクチュエータとして機能する。振動板30には、インクタンク口35が設けられて、図示しないインクタンクに貯蔵されているインクを圧力室基板20内部に供給可能になっている。
【0033】
(層構成)
図3に、本実施形態のインクジェットヘッドのうち個々の圧電体薄膜素子に対応する部分を拡大した断面図を示す。図3に示すように、インクジェットヘッドは、ノズル板10を備えた圧力室基板20の上に振動板30が積層され、この上に下部電極42、圧電体薄膜43、上部電極44を備えた圧電体薄膜素子40が積層されて構成されている。
【0034】
圧力室基板20としては、厚さ220μm程度のシリコン単結晶基板が好ましい。
【0035】
振動板30は、圧力室基板20の上に形成される二酸化ケイ素(SiO)からなるSiO膜31と、当該SiO膜31の上に形成されたZr - (0.01≦x≦0.15、y=2.0±α、αは化学量論的に許容される値、Mは周期表のIIA族元素又はIIIA族元素である)で表される組成からなるバリヤ層32との積層からなる。Mは、Y、Ca、Mg、Be、Ce等である。
【0036】
下部電極42は、導電性を有する材料で構成される。例えば、イリジウムの単層膜で構成されるか、または、振動板30側からイリジウム層/白金層、白金層/イリジウム層、イリジウム層/白金層/イリジウム層といった積層構造を有していることが好ましい。または、イリジウムと白金の合金からなる膜としてもよい。
【0037】
振動板30と下部電極42との間には、両者間の密着力をさらに向上させるために、極薄のチタン薄膜やクロム薄膜等の適当なバッファ層を介在させてもよい。チタン薄膜の膜厚としては、10nm以上20nm未満が好適である。
【0038】
圧電体薄膜43は、ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)またはこれと他の成分、例えばマグネシウム酸ニオブ酸鉛(Pb(Mg,Nb)O)との固溶体からなることが好ましい。さらにこれらにドーパントとしてマンガンやランタン等の不純物が導入されていても良い。マンガンやランタンがドープされると抵抗率が上がると考えられる。これらのドーパントは例えば2mol%程度を上限とし、要求される特性に合わせて傾斜組成を形成することが望ましい。圧電体薄膜43の膜厚は、0.8μm以上2.0μm以下であることが好ましい。
【0039】
上部電極44は、通常電極として用いることができる導電性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、Pt、RuO2、Ir、IrO2等の単層膜又はPt/Ti、Pt/Ti/TiN、Pt/TiN/Pt、Ti/Pt/Ti、TiN/Pt/TiN、Pt/Ti/TiN/Ti、RuO2/TiN、IrO2/Ir、IrO2/TiN等の2層以上の積層膜であってもよい。
【0040】
(印刷動作)
以下に、上記インクジェット式記録ヘッドの印刷動作を説明する。制御回路から駆動信号が出力されると、給紙機構が動作し用紙がヘッドによって印刷可能な位置まで搬送される。制御回路から吐出信号が供給されず圧電体素子の下部電極と上部電極との間に電圧が印加されていない場合、圧電体薄膜層には変化を生じない。吐出信号が供給されていない圧電体素子が設けられている圧力室には圧力変化が生じず、そのノズル穴からインク滴は吐出されない。
【0041】
一方、制御回路から吐出信号が供給され圧電体素子の下部電極と上部電極との間に一定電圧が印加された場合、圧電体薄膜層に変形を生じる。吐出信号が供給された圧電体素子が設けられている圧力室ではその振動板が大きくたわむ。このため圧力室内の圧力が瞬間的に高まり、ノズル穴からインク滴が吐出される。ヘッド中で印刷させたい位置の圧電体素子に吐出信号を個別に供給することで、任意の文字や図形を印刷させることができる。
【0042】
(製造方法)
次に、図4および5を参照しながら、圧電体薄膜素子及びインクジェットヘッドの製造工程を説明する。
【0043】
〔振動板の成膜工程〕
まず、図4(S1)に示すように、シリコンからなる圧力室基板20上に、熱酸化やCVD法等の成膜法を用いて、膜厚約1μmのSiO膜31を形成する。
【0044】
次に、図4(S2)に示すように、SiO膜31の上にZrO膜からなるバリヤ層32を成膜する。バリヤ層32の成膜法としては、ゾルゲル法、スパッタリング法等を用いる。
【0045】
〔下部電極の成膜工程〕
次いで、図4(S3)に示すように、振動板の上に、下部電極42を形成する。下部電極42の成膜は、電子ビーム蒸着法、スパッタ法などを用いる。例えば、膜厚200nm程度の白金層を形成したり、あるいは、膜厚100nm程度の白金層を形成した後、この上に膜厚100nm程度のイリジウム層を形成する。下部電極上には、膜厚3nm〜10nm程度の種Ti膜を形成してもよい。
【0046】
〔圧電体薄膜の成膜工程〕
次に、図4(S4)に示すように、ゾルゲル法、スパッタ法又はMOCVD法などを用いて、下部電極42の上に圧電体薄膜43を成膜する。
【0047】
ゾルゲル法を用いて圧電体薄膜43を形成する場合、まず、チタン、ジルコニウム、鉛などの金属のメトキシド、エトキシド、プロポキシドもしくはブトキシドなどのアルコキシドまたはアセテート化合物を、酸などで加水分解して、ゾルを調整する。次いで、調整したゾルを下部電極42の上に塗布する。塗布に際しては、スピンコート、ディップコートなどの方法を用いる。
【0048】
ゾルを塗布した後、これを一定温度下にて一定時間乾燥させ、ゾルの溶媒を蒸発させる。乾燥温度は150℃以上200℃以下であることが好ましく、乾燥時間は5分以上15分以下であることが好ましい。乾燥後、さらに大気雰囲気下において一定の脱脂温度にて一定時間脱脂する。脱脂の方法としては、基板全体をホットプレートに密着させ、ホットプレートからの熱が基板全体に熱伝導するようにして加熱する方法が好ましい。脱脂温度は300℃以上500℃以下であることが好ましい。脱脂時間は5分以上30分以下であることが好ましい。脱脂により金属に配位している有機物が金属から解離し酸化燃焼反応を生じ、大気中に飛散する。
【0049】
次に、これを焼成して、結晶化させることにより、圧電体薄膜の1つの層が形成される。焼成には、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置や拡散炉などを用いる。焼成温度は550℃以上750℃以下であることが好ましい。焼成時間は60分以下であることが好ましい。
【0050】
次に、上記の金属のゾルよりもドーパントの量を大きく又は小さくしたゾルを調整し、同様にして塗布、乾燥、脱脂、焼成を行なう。このように、ゾルの塗布、乾燥、脱脂、焼成という成膜工程を複数回行い、圧電体薄膜層43を得る。これにより、膜厚方向にドーパントの量が段階的に変化した圧電体薄膜層43が得られる。
【0051】
スパッタリング法は、真空中に不活性ガスを導入しながら基板とターゲットとの間に電圧を印加しイオン化した不活性ガスをターゲットに衝突させて、はじき飛ばされたターゲット物質を基板に成膜する方法である。スパッタリング法を用いて圧電体薄膜43を形成する方法としては、PZTをターゲットとしてArなどの不活性ガスを用いたRFスパッタリング法が好ましい。そして、PZTへのドーピングのため更に所定のドーパントを付属ターゲットとして高周波でスパッタリングを行なう。
【0052】
スパッタリングを行なう過程においては、ドーパントのターゲットパワーを徐々に又は段階的に変化させる。あるいは、PZTのターゲットパワーを調整して相対的にドーパントのターゲットパワーが徐々に又は段階的に変化するようにしてもよい。これにより、下部電極42側に向けてドープ量が連続的又は段階的に変化した圧電体薄膜43が得られる。なお、スパッタリングする際、基板温度は500℃以上700℃以下であることが好ましい。
【0053】
MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法は、薄膜材料を高温で反応させて基板上に成膜するCVDプロセスであって、特にその材料に有機金属を用いる方法である。具体的には、Zr、Ti、Pbなどの金属錯体原料を加熱してキャリアガスを導入することで気化させ、加熱した基板上に蒸着させることによって成膜が行われる。原料中に含まれるドーパントの量を連続的又は段階的に変化させることによって、傾斜組成を有する圧電体薄膜43を得ることができる。
【0054】
〔上部電極の成膜工程〕
以上により形成された圧電体薄膜43上に、図4(S5)に示すように、上部電極44を形成する。例えば、イリジウムを50nm〜100nmの膜厚となるようにDCスパッタ法により成膜する。
【0055】
〔エッチング工程〕
次に、図5(S6)に示すように、上部電極44上にレジストをスピンコートし、圧力室が形成されるべき位置に合わせて露光・現像してパターニングする。残ったレジストをマスクとして上部電極44、圧電体薄膜43をイオンミリングやドライエッチン法などでエッチングする。これにより個々の圧電体薄膜素子40が完成する。
【0056】
〔圧力室形成工程〕
続いて、図5(S7)に示すように、圧力室が形成されるべき位置に合わせてエッチングマスクを施し、平行平板型反応性イオンエッチングなどの活性気体を用いたドライエッチングにより、予め定められた深さまで圧力室基板20をエッチングし、圧力室21を形成する。ドライエッチングされずに残った部分は側壁22となる。
【0057】
〔ノズル板貼り合わせ工程〕
最後に、図5(C)に示すように、接着剤を用いてノズル板10を圧力室基板20に貼り合わせる。この際には、各ノズル11が圧力室21の各々の空間に対応して配置されるよう位置合せする。ノズル板10を貼り合わせた圧力室基板20を図2の筐体25に取り付け、インクジェット式記録ヘッドを完成させる。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、圧電体薄膜の各部に要求される動きに応じた特性をそれぞれ持たせることにより、低電圧でも、圧電体薄膜の機能を十分に発揮することのできる圧電体薄膜素子およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の圧電体薄膜素子が使用されるプリンタの構造を説明する斜視図である。
【図2】 本実施形態による圧電体薄膜素子を備えたインクジェット式記録ヘッドの構造の説明図である。
【図3】 上記インクジェット式記録ヘッドの圧電体薄膜素子の1つを拡大した断面図である。
【図4】 本実施形態の圧電体薄膜素子及びインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面模式図である。
【図5】 本実施形態の圧電体薄膜素子及びインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面模式図である。
【図6】 本実施形態による圧電体薄膜素子の部分拡大断面図であり、本発明の原理を説明する図である。
【符号の説明】
20…圧力室基板、30…振動板、31…絶縁膜、32…バリヤ層、40…圧電体薄膜素子、32…下部電極、43…圧電体薄膜、44…上部電極

Claims (3)

  1. 下部電極と、該下部電極上に設けられた圧電体薄膜と、該圧電体薄膜上に設けられた上部電極と、を備える圧電体薄膜素子であって、
    前記圧電体薄膜は、上部電極側から下部電極側に向けて、膜厚方向の電気抵抗率が、膜厚方向に連続的に高くなる傾斜組成を有することを特徴とする圧電体薄膜素子。
  2. 請求項1記載の圧電体薄膜素子と、当該圧電体薄膜素子の機械的変位によって内容積が変化する圧力室と、当該圧力室に連通してインク滴を吐出する吐出口とを備えることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  3. 請求項に記載のインクジェット式記録ヘッドを印字機構に備えるインクジェットプリンタ。
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