JP2003115617A - 圧電体薄膜素子及びその製造方法 - Google Patents

圧電体薄膜素子及びその製造方法

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JP2003115617A JP2001308386A JP2001308386A JP2003115617A JP 2003115617 A JP2003115617 A JP 2003115617A JP 2001308386 A JP2001308386 A JP 2001308386A JP 2001308386 A JP2001308386 A JP 2001308386A JP 2003115617 A JP2003115617 A JP 2003115617A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電体薄膜の各部に要求される動きに応じた
特性をそれぞれ持たせることにより、低電圧でも、圧電
体薄膜の機能を十分に発揮することのできる圧電体薄膜
素子およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 膜厚方向の所定位置より上部電極側43
2における膜厚方向の電気抵抗率rに対し、前記所定
位置より下部電極側431における膜厚方向の電気抵抗
率rの方を、高くする。また、膜厚方向の所定位置よ
り上部電極側432の誘電率εに対し、前記所定位置
より下部電極側431の誘電率εの方を、低くする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気機械変換機能を
有する圧電体薄膜素子に係り、特に、所定の傾斜組成を
有する圧電体薄膜を備えた圧電体薄膜素子、その製造方
法、ならびにこの圧電体薄膜素子を用いたインクジェッ
ト式記録ヘッド及びインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】圧電体薄膜素子は、電気機械変換機能を
呈する圧電体薄膜を2つの電極で挟んだ素子であり、圧
電体薄膜は結晶化した圧電性セラミックスにより構成さ
れている。この圧電性セラミックスとしては、ペロブス
カイト型結晶構造を有し、化学式ABOで示すことの
できる複合酸化物が知られている。例えばAには鉛(P
b),Bにジルコニウム(Zr)とチタン(Ti)の混
合を適用したチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が知られ
ている。
【0003】従来、圧電体薄膜素子に用いられる圧電体
薄膜については、その結晶配向や構成材料を種々工夫す
ることにより、圧電特性や高速応答性などの改良が進め
られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の圧電体
薄膜素子では、圧電体薄膜中の各部の動きを十分に考慮
した改良は行なわれていなかった。そのため折角特性の
優れた圧電体薄膜が得られても、圧電体薄膜素子または
インクジェットヘッドとして応用した場合には、その機
能を十分に発揮させることができない場合があった。
【0005】本発明は、圧電体薄膜の各部に要求される
動きに応じた特性をそれぞれ持たせることにより、低電
圧でも、圧電体薄膜の機能を十分に発揮することのでき
る圧電体薄膜素子およびその製造方法を提供することを
目的とする。
【0006】さらには、上記圧電体薄膜素子をインク吐
出駆動源とするインクジェット式記録ヘッド及びその製
造方法並びにインクジェットプリンタを提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明の圧電体薄膜素子は、下部電極と、該下部電極上
に設けられた圧電体薄膜と、該圧電体薄膜上に設けられ
た上部電極と、を備える圧電体薄膜素子であって、前記
圧電体薄膜は、膜厚方向の所定位置より上部電極側にお
ける膜厚方向の電気抵抗率に対し、前記所定位置より下
部電極側における膜厚方向の電気抵抗率の方が、高いこ
とを特徴とする。
【0008】上記圧電体薄膜素子において、前記圧電体
薄膜は、上部電極側から下部電極側に向けて、膜厚方向
の電気抵抗率が、膜厚方向に連続的又は段階的に高くな
る傾斜組成を有していてもよい。
【0009】また本発明の他の圧電体薄膜素子は、下部
電極と、該下部電極上に設けられた圧電体薄膜と、該圧
電体薄膜上に設けられた上部電極と、を備える圧電体薄
膜素子であって、前記圧電体薄膜は、膜厚方向の所定位
置より上部電極側の誘電率に対し、前記所定位置より下
部電極側の誘電率の方が、低いことを特徴とする。
【0010】上記圧電体薄膜素子において、前記圧電体
薄膜は、上部電極側から下部電極側に向けて、膜厚方向
の誘電率が、膜厚方向に連続的又は段階的に低くなる傾
斜組成を有していてもよい。
【0011】本発明のインクジェット式記録ヘッドは、
上記の圧電体薄膜素子と、当該圧電体薄膜素子の機械的
変位によって内容積が変化する圧力室と、当該圧力室に
連通してインク滴を吐出する吐出口とを備えることを特
徴とする。
【0012】本発明のインクジェットプリンタは、上記
のインクジェット式記録ヘッドを印字機構に備えること
を特徴とする。
【0013】本発明の圧電体薄膜素子の製造方法は、下
部電極上に圧電体薄膜を形成する工程と、前記圧電体薄
膜上に上部電極を形成する工程と、を備えた圧電体薄膜
素子の製造方法であって、前記圧電体薄膜の形成工程
は、金属有機化合物のゾルを塗布した後に焼成する成膜
工程を複数回行って複数の層からなる圧電体薄膜を形成
する工程であり、前記複数の層のうち下部電極側の層の
成膜と、上部電極側の層の成膜とにおいて、ドーパント
の量が互いに異なるゾルを塗布することを特徴とする。
【0014】本発明の他の圧電体薄膜素子の製造方法
は、圧電体薄膜の形成工程において、MOCVD法によ
る圧電体薄膜の形成中に、金属錯体原料中に含まれるド
ーパントの濃度を変化させることを特徴とする。
【0015】本発明の他の圧電体薄膜素子の製造方法
は、圧電体薄膜の形成工程において、RFスパッタ法に
よる圧電体薄膜の形成中に、ドーピング用の付属ターゲ
ットのスパッタパワーを変化させることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照しつつ説明する。
【0017】(原理説明)図6に、本実施形態による圧
電体薄膜素子40の部分拡大断面図を示す。圧電体薄膜
素子40は、圧電体薄膜43を上部電極44及び下部電
極42で挟んだ構成となっている。
【0018】図6(a)は、圧電体薄膜43を膜厚方向
に電流Iが流れる場合、膜厚方向の所定位置より下部電
極側の層431及び上部電極側の層432は、膜厚方向
に電気抵抗r及びrを有し、各層に電圧V及びV
がかかることを示している。電流Iは各層で等しいか
ら、 I=V/r=V/r の関係より、r>rの場合に、V>Vとなる。
従って下部電極側の層431の電気抵抗率を上部電極側
の層432より高くすることにより、下部電極側の層4
31には上部電極側の層432より大きい電界がかか
り、大きいひずみが得られる。これにより、大きなひず
みが必要な部分には大きな電界をかけ、それより小さな
ひずみが必要な部分には小さな電界をかけることができ
る。従って、各部に要求されるひずみ量に応じた適切な
電界をかけることができ、低電圧による駆動でも全体と
して大きなひずみを得ることができる。
【0019】このように各層で異なる電気抵抗率の圧電
体薄膜43を形成するためには、圧電体薄膜中に導入さ
れるドーパント濃度の調整によることが好ましい。
【0020】図6(b)は、誘電体である圧電体薄膜4
3に膜厚方向の電圧をかけた場合の電束密度Dと、膜厚
方向の所定位置より下部電極側の層431及び上部電極
側層432の、誘電率ε及びεと、各層にかかる電
界E及びEと、各層の自発分極Ps1及びP
s2と、を示している。電束密度Dは各層で等しいか
ら、 D=ε+Ps1=ε+Ps2 の関係が成立する。各層の自発分極Ps1及びPs2
ほぼ等しいと仮定すると、ε<εの場合に、E
となる。従ってこの場合、下部電極側の層431に
は上部電極側の層432より大きい電界がかかり、大き
いひずみが得られる。従って、ε<εとすることに
より、大きなひずみが必要な部分には大きな電界をか
け、それより小さなひずみが必要な部分には小さな電界
をかけることができる。従って、各部に要求されるひず
み量に応じた適切な電界をかけることができ、低電圧に
よる駆動でも全体として大きなひずみを得ることができ
る。
【0021】このように各層で異なる誘電率の圧電体薄
膜43を形成するためには、圧電体薄膜中に導入される
ドーパント濃度の調整によるほか、圧電体薄膜層の組成
制御によって誘電率を調整しても良い。
【0022】(インクジェットプリンタの全体構成)図
1に、インクジェットプリンタの斜視図を示す。プリン
タには、本体2に、トレイ3、排出口4および操作ボタ
ン9が設けられている。
【0023】本体2はプリンタの筐体であって、用紙5
をトレイ3から供給可能な位置に給紙機構6を備え、用
紙5に印字できるようにインクジェット式記録ヘッド1
が配置されている。また、本体2の内部には制御回路8
が設けられている。
【0024】トレイ3は、印字前の用紙5を供給機構6
に供給可能に構成され、排出口4は、印刷が終了した用
紙5を排出する出口である。
【0025】インクジェット式記録ヘッド1は、本発明
に係る圧電体薄膜素子を備えており、制御回路8から出
力される信号に対応して、ノズルからインクを吐出可能
に構成されている。
【0026】給紙機構6は、モータ600、ローラ60
1、602を備えている。モータ600は制御回路8か
ら出力される信号に対応して回転し、この回転力がロー
ラ601、602に伝達され、ローラ601、602の
回転によってトレイ3にセットされた用紙5を引き込
み、ヘッド1によって印字可能に供給するようになって
いる。
【0027】制御回路8は、図示しないCPU、RO
M、RAM、インターフェース回路などを備えている。
制御回路8は、図示しないコネクタを介してコンピュー
タから供給される印字情報に対応させて、信号を給紙機
構6やヘッド1の駆動機構に出力する。
【0028】(インクジェット式記録ヘッドの構成)図
2に、本実施形態に係るインクジェットヘッドの分解斜
視図を示す。インクジェットヘッドは、ノズル板10、
圧力室基板20、振動板30を備えている。
【0029】圧力室基板20は、圧力室21、側壁2
2、リザーバ23および供給口24を備えている。圧力
室21は、シリコン等の基板をエッチングすることによ
りインクなどを吐出するために貯蔵する空間として形成
されたものである。側壁22は、圧力室21を仕切るよ
う形成されている。リザーバ23は、インクを共通して
各圧力室21に充たすための流路となっている。供給口
24は、リザーバ23から各圧力室21へインクを導入
できるように形成されている。
【0030】ノズル板10は、圧力室基板20に設けら
れた圧力室21の各々に対応する位置にそのノズル穴1
1が配置されるよう、圧力室基板20の一方の面に貼り
あわせられている。ノズル板10を貼り合わせたインク
室基板20は、筐体25に納められている。
【0031】圧力室21およびノズル穴11は、一定の
ピッチで連設されて構成されている。このノズル間のピ
ッチは、印刷精度に応じて適時設計変更が可能であり、
例えば400dpi(dot per inch)となるように配置
される。
【0032】振動板30には、各圧力室21に対応する
位置に、それぞれ圧電体薄膜素子(図示せず)が設けら
れており、これらは圧電アクチュエータとして機能す
る。振動板30には、インクタンク口35が設けられ
て、図示しないインクタンクに貯蔵されているインクを
圧力室基板20内部に供給可能になっている。
【0033】(層構成)図3に、本実施形態のインクジ
ェットヘッドのうち個々の圧電体薄膜素子に対応する部
分を拡大した断面図を示す。図3に示すように、インク
ジェットヘッドは、ノズル板10を備えた圧力室基板2
0の上に振動板30が積層され、この上に下部電極4
2、圧電体薄膜43、上部電極44を備えた圧電体薄膜
素子40が積層されて構成されている。
【0034】圧力室基板20としては、厚さ220μm
程度のシリコン単結晶基板が好ましい。
【0035】振動板30は、圧力室基板20の上に形成
される二酸化ケイ素(SiO)からなるSiO膜3
1と、当該SiO膜31の上に形成されたZr1-x
(0.01≦x≦0.15、y=2.0±α、
αは化学量論的に許容される値、Mは周期表のIIA族元
素又はIIIA族元素である)で表される組成からなるバリ
ヤ層32との積層からなる。Mは、Y、Ca、Mg、B
e、Ce等である。
【0036】下部電極42は、導電性を有する材料で構
成される。例えば、イリジウムの単層膜で構成される
か、または、振動板30側からイリジウム層/白金層、
白金層/イリジウム層、イリジウム層/白金層/イリジ
ウム層といった積層構造を有していることが好ましい。
または、イリジウムと白金の合金からなる膜としてもよ
い。
【0037】振動板30と下部電極42との間には、両
者間の密着力をさらに向上させるために、極薄のチタン
薄膜やクロム薄膜等の適当なバッファ層を介在させても
よい。チタン薄膜の膜厚としては、10nm以上20n
m未満が好適である。
【0038】圧電体薄膜43は、ジルコン酸チタン酸鉛
(Pb(Zr,Ti)O)またはこれと他の成分、例
えばマグネシウム酸ニオブ酸鉛(Pb(Mg,Nb)O
)との固溶体からなることが好ましい。さらにこれら
にドーパントとしてマンガンやランタン等の不純物が導
入されていても良い。マンガンやランタンがドープされ
ると抵抗率が上がると考えられる。これらのドーパント
は例えば2mol%程度を上限とし、要求される特性に
合わせて傾斜組成を形成することが望ましい。圧電体薄
膜43の膜厚は、0.8μm以上2.0μm以下である
ことが好ましい。
【0039】上部電極44は、通常電極として用いるこ
とができる導電性材料であれば特に限定されるものでは
なく、例えば、Pt、RuO2、Ir、IrO2等の単層
膜又はPt/Ti、Pt/Ti/TiN、Pt/TiN
/Pt、Ti/Pt/Ti、TiN/Pt/TiN、P
t/Ti/TiN/Ti、RuO2/TiN、IrO2
Ir、IrO2/TiN等の2層以上の積層膜であって
もよい。
【0040】(印刷動作)以下に、上記インクジェット
式記録ヘッドの印刷動作を説明する。制御回路から駆動
信号が出力されると、給紙機構が動作し用紙がヘッドに
よって印刷可能な位置まで搬送される。制御回路から吐
出信号が供給されず圧電体素子の下部電極と上部電極と
の間に電圧が印加されていない場合、圧電体薄膜層には
変化を生じない。吐出信号が供給されていない圧電体素
子が設けられている圧力室には圧力変化が生じず、その
ノズル穴からインク滴は吐出されない。
【0041】一方、制御回路から吐出信号が供給され圧
電体素子の下部電極と上部電極との間に一定電圧が印加
された場合、圧電体薄膜層に変形を生じる。吐出信号が
供給された圧電体素子が設けられている圧力室ではその
振動板が大きくたわむ。このため圧力室内の圧力が瞬間
的に高まり、ノズル穴からインク滴が吐出される。ヘッ
ド中で印刷させたい位置の圧電体素子に吐出信号を個別
に供給することで、任意の文字や図形を印刷させること
ができる。
【0042】(製造方法)次に、図4および5を参照し
ながら、圧電体薄膜素子及びインクジェットヘッドの製
造工程を説明する。
【0043】〔振動板の成膜工程〕まず、図4(S1)
に示すように、シリコンからなる圧力室基板20上に、
熱酸化やCVD法等の成膜法を用いて、膜厚約1μmの
SiO膜31を形成する。
【0044】次に、図4(S2)に示すように、SiO
膜31の上にZrO膜からなるバリヤ層32を成膜
する。バリヤ層32の成膜法としては、ゾルゲル法、ス
パッタリング法等を用いる。
【0045】〔下部電極の成膜工程〕次いで、図4(S
3)に示すように、振動板の上に、下部電極42を形成
する。下部電極42の成膜は、電子ビーム蒸着法、スパ
ッタ法などを用いる。例えば、膜厚200nm程度の白
金層を形成したり、あるいは、膜厚100nm程度の白
金層を形成した後、この上に膜厚100nm程度のイリ
ジウム層を形成する。下部電極上には、膜厚3nm〜1
0nm程度の種Ti膜を形成してもよい。
【0046】〔圧電体薄膜の成膜工程〕次に、図4(S
4)に示すように、ゾルゲル法、スパッタ法又はMOC
VD法などを用いて、下部電極42の上に圧電体薄膜4
3を成膜する。
【0047】ゾルゲル法を用いて圧電体薄膜43を形成
する場合、まず、チタン、ジルコニウム、鉛などの金属
のメトキシド、エトキシド、プロポキシドもしくはブト
キシドなどのアルコキシドまたはアセテート化合物を、
酸などで加水分解して、ゾルを調整する。次いで、調整
したゾルを下部電極42の上に塗布する。塗布に際して
は、スピンコート、ディップコートなどの方法を用い
る。
【0048】ゾルを塗布した後、これを一定温度下にて
一定時間乾燥させ、ゾルの溶媒を蒸発させる。乾燥温度
は150℃以上200℃以下であることが好ましく、乾
燥時間は5分以上15分以下であることが好ましい。乾
燥後、さらに大気雰囲気下において一定の脱脂温度にて
一定時間脱脂する。脱脂の方法としては、基板全体をホ
ットプレートに密着させ、ホットプレートからの熱が基
板全体に熱伝導するようにして加熱する方法が好まし
い。脱脂温度は300℃以上500℃以下であることが
好ましい。脱脂時間は5分以上30分以下であることが
好ましい。脱脂により金属に配位している有機物が金属
から解離し酸化燃焼反応を生じ、大気中に飛散する。
【0049】次に、これを焼成して、結晶化させること
により、圧電体薄膜の1つの層が形成される。焼成に
は、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置や拡散炉
などを用いる。焼成温度は550℃以上750℃以下で
あることが好ましい。焼成時間は60分以下であること
が好ましい。
【0050】次に、上記の金属のゾルよりもドーパント
の量を大きく又は小さくしたゾルを調整し、同様にして
塗布、乾燥、脱脂、焼成を行なう。このように、ゾルの
塗布、乾燥、脱脂、焼成という成膜工程を複数回行い、
圧電体薄膜層43を得る。これにより、膜厚方向にドー
パントの量が段階的に変化した圧電体薄膜層43が得ら
れる。
【0051】スパッタリング法は、真空中に不活性ガス
を導入しながら基板とターゲットとの間に電圧を印加し
イオン化した不活性ガスをターゲットに衝突させて、は
じき飛ばされたターゲット物質を基板に成膜する方法で
ある。スパッタリング法を用いて圧電体薄膜43を形成
する方法としては、PZTをターゲットとしてArなど
の不活性ガスを用いたRFスパッタリング法が好まし
い。そして、PZTへのドーピングのため更に所定のド
ーパントを付属ターゲットとして高周波でスパッタリン
グを行なう。
【0052】スパッタリングを行なう過程においては、
ドーパントのターゲットパワーを徐々に又は段階的に変
化させる。あるいは、PZTのターゲットパワーを調整
して相対的にドーパントのターゲットパワーが徐々に又
は段階的に変化するようにしてもよい。これにより、下
部電極42側に向けてドープ量が連続的又は段階的に変
化した圧電体薄膜43が得られる。なお、スパッタリン
グする際、基板温度は500℃以上700℃以下である
ことが好ましい。
【0053】MOCVD(Metal Organic Chemical Vap
or Deposition)法は、薄膜材料を高温で反応させて基
板上に成膜するCVDプロセスであって、特にその材料
に有機金属を用いる方法である。具体的には、Zr、T
i、Pbなどの金属錯体原料を加熱してキャリアガスを
導入することで気化させ、加熱した基板上に蒸着させる
ことによって成膜が行われる。原料中に含まれるドーパ
ントの量を連続的又は段階的に変化させることによっ
て、傾斜組成を有する圧電体薄膜43を得ることができ
る。
【0054】〔上部電極の成膜工程〕以上により形成さ
れた圧電体薄膜43上に、図4(S5)に示すように、
上部電極44を形成する。例えば、イリジウムを50n
m〜100nmの膜厚となるようにDCスパッタ法によ
り成膜する。
【0055】〔エッチング工程〕次に、図5(S6)に
示すように、上部電極44上にレジストをスピンコート
し、圧力室が形成されるべき位置に合わせて露光・現像
してパターニングする。残ったレジストをマスクとして
上部電極44、圧電体薄膜43をイオンミリングやドラ
イエッチン法などでエッチングする。これにより個々の
圧電体薄膜素子40が完成する。
【0056】〔圧力室形成工程〕続いて、図5(S7)
に示すように、圧力室が形成されるべき位置に合わせて
エッチングマスクを施し、平行平板型反応性イオンエッ
チングなどの活性気体を用いたドライエッチングによ
り、予め定められた深さまで圧力室基板20をエッチン
グし、圧力室21を形成する。ドライエッチングされず
に残った部分は側壁22となる。
【0057】〔ノズル板貼り合わせ工程〕最後に、図5
(C)に示すように、接着剤を用いてノズル板10を圧
力室基板20に貼り合わせる。この際には、各ノズル1
1が圧力室21の各々の空間に対応して配置されるよう
位置合せする。ノズル板10を貼り合わせた圧力室基板
20を図2の筐体25に取り付け、インクジェット式記
録ヘッドを完成させる。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、圧電体薄膜の各部に要
求される動きに応じた特性をそれぞれ持たせることによ
り、低電圧でも、圧電体薄膜の機能を十分に発揮するこ
とのできる圧電体薄膜素子およびその製造方法を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の圧電体薄膜素子が使用されるプ
リンタの構造を説明する斜視図である。
【図2】 本実施形態による圧電体薄膜素子を備えたイ
ンクジェット式記録ヘッドの構造の説明図である。
【図3】 上記インクジェット式記録ヘッドの圧電体薄
膜素子の1つを拡大した断面図である。
【図4】 本実施形態の圧電体薄膜素子及びインクジェ
ット式記録ヘッドの製造方法を示す断面模式図である。
【図5】 本実施形態の圧電体薄膜素子及びインクジェ
ット式記録ヘッドの製造方法を示す断面模式図である。
【図6】 本実施形態による圧電体薄膜素子の部分拡大
断面図であり、本発明の原理を説明する図である。
【符号の説明】
20…圧力室基板、30…振動板、31…絶縁膜、32
…バリヤ層、40…圧電体薄膜素子、32…下部電極、
43…圧電体薄膜、44…上部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 41/09 H01L 41/22 Z 41/18 B41J 3/04 103A 41/187 103H 41/22

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部電極と、該下部電極上に設けられた
    圧電体薄膜と、該圧電体薄膜上に設けられた上部電極
    と、を備える圧電体薄膜素子であって、 前記圧電体薄膜は、膜厚方向の所定位置より上部電極側
    における膜厚方向の電気抵抗率に対し、前記所定位置よ
    り下部電極側における膜厚方向の電気抵抗率の方が、高
    いことを特徴とする圧電体薄膜素子。
  2. 【請求項2】 下部電極と、該下部電極上に設けられた
    圧電体薄膜と、該圧電体薄膜上に設けられた上部電極
    と、を備える圧電体薄膜素子であって、 前記圧電体薄膜は、上部電極側から下部電極側に向け
    て、膜厚方向の電気抵抗率が、膜厚方向に連続的又は段
    階的に高くなる傾斜組成を有することを特徴とする圧電
    体薄膜素子。
  3. 【請求項3】 下部電極と、該下部電極上に設けられた
    圧電体薄膜と、該圧電体薄膜上に設けられた上部電極
    と、を備える圧電体薄膜素子であって、 前記圧電体薄膜は、膜厚方向の所定位置より上部電極側
    の誘電率に対し、前記所定位置より下部電極側の誘電率
    の方が、低いことを特徴とする圧電体薄膜素子。
  4. 【請求項4】 下部電極と、該下部電極上に設けられた
    圧電体薄膜と、該圧電体薄膜上に設けられた上部電極
    と、を備える圧電体薄膜素子であって、 前記圧電体薄膜は、上部電極側から下部電極側に向け
    て、膜厚方向の誘電率が、膜厚方向に連続的又は段階的
    に低くなる傾斜組成を有することを特徴とする圧電体薄
    膜素子。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記
    載の圧電体薄膜素子と、当該圧電体薄膜素子の機械的変
    位によって内容積が変化する圧力室と、当該圧力室に連
    通してインク滴を吐出する吐出口とを備えることを特徴
    とするインクジェット式記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のインクジェット式記録
    ヘッドを印字機構に備えるインクジェットプリンタ。
  7. 【請求項7】 下部電極上に圧電体薄膜を形成する工程
    と、前記圧電体薄膜上に上部電極を形成する工程と、を
    備えた圧電体薄膜素子の製造方法であって、 前記圧電体薄膜の形成工程は、金属有機化合物のゾルを
    塗布した後に焼成する成膜工程を複数回行って複数の層
    からなる圧電体薄膜を形成する工程であり、 前記複数の層のうち下部電極側の層の成膜と、上部電極
    側の層の成膜とにおいて、ドーパントの量が互いに異な
    るゾルを塗布することを特徴とする圧電体薄膜素子の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 下部電極上に圧電体薄膜を形成する工程
    と、前記圧電体薄膜上に上部電極を形成する工程と、を
    備えた圧電体薄膜素子の製造方法であって、 前記圧電体薄膜の形成工程は、MOCVD法による圧電
    体薄膜の形成中に、金属錯体原料中に含まれるドーパン
    トの濃度を変化させることを特徴とする圧電体薄膜素子
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 下部電極上に圧電体薄膜を形成する工程
    と、前記圧電体薄膜上に上部電極を形成する工程と、を
    備えた圧電体薄膜素子の製造方法であって、 前記圧電体薄膜の形成工程は、RFスパッタ法による圧
    電体薄膜の形成中に、ドーピング用の付属ターゲットの
    スパッタパワーを変化させることを特徴とする圧電体薄
    膜素子の製造方法。
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