JP2006019592A - 誘電体膜の製造方法及び圧電素子の製造方法並びに液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

誘電体膜の製造方法及び圧電素子の製造方法並びに液体噴射ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 比較的容易に結晶状態を制御し、常に安定した特性が得られる誘電体膜の製造方法、誘電体膜である圧電体層を有する圧電素子の製造方法及び圧電素子を具備する液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】 有機金属化合物が溶解された溶液を塗布して誘電体前駆体膜を形成する塗布工程と、誘電体前駆体膜を乾燥する乾燥工程と、誘電体前駆体膜を脱脂する脱脂工程と、誘電体前駆体膜を焼成する焼成工程とを有し、焼成工程では、誘電体前駆体膜の温度が400℃から700℃まで上昇する際の昇温レートを15(℃/sec)以下とする。
【選択図】 なし



Description

本発明は、圧電材料を含む誘電材料からなる誘電体膜の製造方法及び圧電材料からなる圧電体層と一対の電極とからなる圧電素子の製造方法並びにその圧電素子を具備する液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
液体噴射ヘッド等に用いられる圧電素子は、電気機械変換機能を呈する圧電材料からなる圧電体膜を2つの電極で挟んだ素子であり、圧電体膜は、例えば、結晶化した圧電性セラミックスにより構成されている。
また、このような圧電素子を用いた液体噴射ヘッドとしては、例えば、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドがある。インクジェット式記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。たわみ振動モードのアクチュエータを使用したものとしては、例えば、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電体膜を形成し、この圧電体層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けることによって各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものが知られている。
このような圧電素子を構成する圧電体層の製造方法としては、例えば、ゾル−ゲル法等が知られている。具体的には、下電極を形成した基板上に有機金属化合物のゾルを塗布して乾燥およびゲル化(脱脂)させて圧電体の前駆体膜を形成する工程を少なくとも一回以上実施し、その後、高温で熱処理して結晶化させる。そして、これらの工程を複数回繰り返し実施することで所定厚さの圧電体層(圧電体薄膜)を製造する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
このような製造方法によれば、例えば、1μm以上の厚さの圧電体層を比較的良好に形成でき、クラック等の発生は防止することはできる。しかしながら、圧電体層の結晶粒径、配向等の結晶状態を制御することは難しく、所望の特性の圧電体層が得られないという問題がある。また、このような問題は、液体噴射ヘッドの圧電素子等に用いられる圧電材料からなる圧電体膜に限られず、他の誘電材料からなる誘電体膜においても同様に存在する。
特開平9−223830号公報(第4〜6頁)
本発明は、このような事情に鑑み、比較的容易に結晶状態を制御し、常に安定した特性が得られる誘電体膜の製造方法、誘電体膜である圧電体層を有する圧電素子の製造方法及び圧電素子を具備する液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、有機金属化合物が溶解された溶液を塗布して誘電体前駆体膜を形成する塗布工程と、該誘電体前駆体膜を乾燥する乾燥工程と、前記誘電体前駆体膜を脱脂する脱脂工程と、前記誘電体前駆体膜を焼成する焼成工程とを有し、前記焼成工程では、前記誘電体前駆体膜の温度が400℃から700℃まで上昇する際の昇温レートを15(℃/sec)以下とすることを特徴とする誘電体膜の製造方法にある。
かかる第1の態様では、昇温レートによって誘電体膜の結晶配向及び結晶粒径を調整でき、所望の結晶配向及び結晶粒径を有する誘電体膜が得られる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記焼成工程では、RTA法により前記誘電体前駆体膜を加熱することを特徴とする誘電体膜の製造方法にある。
かかる第2の態様では、RTA(Rapid Thermal Annealing)法により、誘電体前駆体膜を良好に加熱することができ、所望の結晶配向及び結晶粒径を有する誘電体膜がより確実に得られる。
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記焼成工程後に、前記誘電体前駆体膜を再度加熱して当該誘電体前駆体膜を焼成する第2の焼成工程をさらに有することを特徴とする誘電体膜の製造方法にある。
かかる第3の態様では、誘電体膜の表面形態を変化させることができ、所望の結晶配向及び結晶粒径を有し且つ所望の表面形態を有する誘電体膜が得られる。
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記第2の焼成工程では、前記誘電体前駆体膜を拡散炉で加熱することを特徴とする誘電体膜の製造方法にある。
かかる第4の態様では、誘電体膜の表面形態をより容易に所望の形態に変化させることができる。
本発明の第5の態様は、基板上に下電極膜を形成する工程と、該下電極膜上に圧電体層を形成する工程と、該圧電体層上に上電極膜を形成する工程とを備え、前記圧電体層を形成する工程が、有機金属化合物が溶解された溶液を塗布して圧電体前駆体膜を形成する塗布工程と、該圧電体前駆体膜を乾燥する乾燥工程と、前記圧電体前駆体膜を脱脂する脱脂工程と、前記圧電体前駆体膜を焼成する焼成工程とを含み、前記焼成工程では、前記圧電体前駆体膜の温度が400℃から700℃まで上昇する際の昇温レートを15(℃/sec)以下とすることを特徴とする圧電素子の製造方法にある。
かかる第5の態様では、昇温レートによって圧電体膜の結晶配向及び結晶粒径を調整でき、所望の結晶配向及び結晶粒径を有する圧電体膜が得られる。これにより、圧電素子の変位特性を向上することができる。
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載の製造方法により製造された圧電素子を用いることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第6の態様では、良好な吐出特性を有する液体噴射ヘッドを実現することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。なお、連通部13は、後述する保護基板のリザーバ部と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又は不錆鋼などからなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの二酸化シリコン(SiO)からなる弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.4μmの酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜55が形成されている。また、この絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、このような各圧電素子300の上電極膜80には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
また、流路形成基板10上の圧電素子300側の面には、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部31を有する保護基板30が接合されている。圧電素子300は、この圧電素子保持部31内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。さらに、保護基板30には、流路形成基板10の連通部13に対応する領域にリザーバ部32が設けられている。このリザーバ部32は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の並設方向に沿って設けられており、上述したように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
また、保護基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に下電極膜60の一部及びリード電極90の先端部が露出され、これら下電極膜60及びリード電極90には、図示しないが、駆動ICから延設される接続配線の一端が接続される。
なお、保護基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない駆動ICからの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
ここで、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図3〜図6を参照して説明する。なお、図3〜図6は、圧力発生室12の長手方向の断面図である。まず、図3(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜51を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板10として、厚さが約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。
次いで、図3(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。具体的には、まず、弾性膜50上に、例えば、DCスパッタ法によりジルコニウム層を形成し、このジルコニウム層を熱酸化することにより酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜55を形成する。次いで、図3(c)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを絶縁体膜55上に積層することにより下電極膜60を形成後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。
次に、図3(d)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層70を形成する。ここで、本実施形態では、金属有機物を溶解した溶液を塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるMOD(Metal-Organic Decomposition)法を用いて圧電体層70を形成している。
なお、圧電体層70の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛等の強誘電性圧電性材料の他、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイッテルビウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等を用いてもよい。また、その組成は、圧電素子300の用途等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば、PbTiO(PT)、PbZrO(PZ)、Pb(ZrTi1−x)O(PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O−PbTiO(PMN−PT)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O−PbTiO(PZN−PT)、Pb(Ni1/3Nb2/3)O−PbTiO(PNN−PT)、Pb(In1/2Nb1/2)O−PbTiO(PIN−PT)、Pb(Sc1/3Ta1/2)O−PbTiO(PST−PT)、Pb(Sc1/3Nb1/2)O−PbTiO(PSN−PT)、BiScO−PbTiO(BS−PT)、BiYbO−PbTiO(BY−PT)等が挙げられる。また、圧電体層70の製造方法は、上述したMOD法に限定されず、例えば、ゾル−ゲル法等を用いてもよい。
圧電体層70の具体的な形成手順としては、まず、図4(a)に示すように、下電極膜60上にPZT前駆体膜である圧電体前駆体膜71を成膜する。すなわち、下電極膜60が形成された流路形成基板10上に金属有機化合物が溶解された溶液を塗布して圧電体前駆体膜71を形成する(塗布工程)。次いで、この圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間乾燥させる(乾燥工程)。次に、乾燥した圧電体前駆体膜71を、所定温度に加熱して一定時間保持することによって脱脂する(脱脂工程)。例えば、本実施形態では、圧電体前駆体膜71を300℃〜400℃程度の温度に加熱して約15〜30分管保持することで脱脂した。なお、ここで言う脱脂とは、圧電体前駆体膜71に含まれる有機成分を、例えば、NO、CO、HO等として離脱させることである。
そして、このような塗布工程・乾燥工程・脱脂工程を所定回数、例えば、本実施形態では、2回繰り返すことで、図4(b)に示すように、所定厚の圧電体前駆体膜72を形成する。なお、本実施形態では、塗布工程、乾燥工程及び脱脂工程の繰り返し回数は2回に限定されず、勿論1回のみでもよいし、3回以上でもよい。
その後、この圧電体前駆体膜72を700℃〜900℃程度に加熱して結晶化させることにより圧電体膜73を形成する(焼成工程)。このとき、圧電体前駆体膜72の昇温レートが比較的緩やかになるように加熱温度を調整するようにする。具体的には、圧電体前駆体膜72の温度が400℃から700℃に上昇する際の昇温レートが、15(℃/sec)以下となるようにする。例えば、本実施形態では、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置を用いて、上記の昇温レートで圧電体前駆体膜72を約700℃まで加熱することによって、圧電体膜73を形成している。詳しくは後述するが、焼成工程においてこのような昇温レートで圧電体前駆体膜72を加熱することで、所望の結晶配向及び結晶粒径を有する圧電体膜73を形成することができる。
また、本実施形態では、このような焼成工程において、圧電体前駆体膜72を約700℃の温度に約30分間保持し、圧電体前駆体膜72のアニール処理も同時に行っている。なお、圧電体前駆体膜72を加熱するための装置は、RTA装置に限定されず、例えば、拡散炉等の他の加熱装置を用いるようにしてもよい。
そして、上述した各工程を、複数回繰り返すことで、図4(c)に示すように、複数層、本実施形態では、5層の圧電体膜73からなる所定厚さの圧電体層70を形成する。なお、1回の塗布工程での圧電体前駆体膜71の膜厚は、0.1μm程度であるため、本実施形態では、圧電体層70全体の膜厚が約1μmとなる。
なお、このように圧電体層70を形成後は、図5(a)に示すように、例えば、イリジウムからなる上電極膜80を流路形成基板用ウェハ110の全面に形成する。次いで、図5(b)に示すように、圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。次に、リード電極90を形成する。具体的には、図5(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなる金属層91を形成する。その後、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して金属層91を各圧電素子300毎にパターニングすることでリード電極90が形成される。
次に、図5(d)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300側に、シリコンウェハであり複数の保護基板30となる保護基板用ウェハ130を接合する。なお、この保護基板用ウェハ130は、例えば、400μm程度の厚さを有するため、保護基板用ウェハ130を接合することによって流路形成基板用ウェハ110の剛性は著しく向上することになる。
次いで、図6(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をある程度の厚さとなるまで研磨した後、更に弗化硝酸によってウェットエッチングすることにより流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みにする。例えば、本実施形態では、約70μm厚になるように流路形成基板用ウェハ110をエッチング加工した。次いで、図6(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上に、例えば、窒化シリコン(SiN)からなるマスク膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、このマスク膜52を介して流路形成基板用ウェハ110を異方性エッチングすることにより、図6(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110に圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14等を形成する。
なお、その後は、流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110の保護基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハ110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとする。
以上説明したように、本発明では焼成工程において圧電体前駆体膜72の温度が400℃から700℃に上昇する際の昇温レートが15(℃/sec)以下となるようにするようにした。これにより、圧電体膜73の結晶の配向及び結晶粒径を制御して、良好な特性を有する圧電体層70を形成することができる。特に、RTA法を用いて圧電体前駆体膜72を加熱した場合には、圧電体膜73の結晶の配向及び結晶粒径を良好に制御することができる。
例えば、本実施形態に係る圧電体層70の結晶系は菱面体晶系であるため、その結晶は(100)面に配向していることが望ましい。そして、上述したように、焼成工程において昇温レートが15(℃/sec)以下となるようにすることで、圧電体膜73の結晶を(100)面に良好に配向させることができる。
ここで、図7に、焼成工程における昇温レートと、(100)配向強度、及び(100)配向度との関係を示す。なお、ここで言う「配向度」とは、X線回折広角法によって圧電体層を測定した際に生じる回折強度の比率を意味する。すなわち、圧電体層をX線回折広角法により測定すると(100)面、(110)面及び(111)面に相当する回折強度のピークが発生し、「(100)配向度」とは、これらの各面に相当するピーク強度の和に対する(100)面に相当するピーク強度の比率を意味する。図7に示す結果から分かるように、(100)配向強度及び(100)配向度は、焼成工程での昇温レートを低くするほど上昇し、昇温レートを15(℃/sec)以下とすることで、(100)配向強度及び(100)配向度が著しく上昇する。すなわち、昇温レートを15(℃/sec)以下とすることで、圧電体層を(100)面に良好に配向させることができる。
また、焼成工程での昇温レートを調整することで、圧電体層の結晶粒径を調整することもできる。ここで、図8に、圧電体層の表面のSEM像を示す。図8(a)は、昇温レートを約15(℃/sec)として形成した場合のものであり、図8(b)は、昇温レートを約10(℃/sec)として形成した場合のものである。図8(a)示すように、昇温レートが15(℃/sec)程度とすると、圧電体層の結晶粒径は、300nm程度であったが、図8(b)に示すように、昇温レートを10(℃/sec)程度まで遅くすると、圧電体層の結晶粒径は、150nm程度まで小さくなった。
この結果から明らかなように、焼成工程での昇温レートを遅くするほど、圧電体層の結晶粒径を小さくすることができる。したがって、焼成工程での昇温レートを約15(℃/sec)以下の範囲で適宜調整すれば、結晶が(100)面に配向し、且つ所望の結晶粒径を有する圧電体層を形成することができる。尚、結晶粒径とは、電極膜に平行な面方向の幅のことを言う。
また、本実施形態では、上述したように、焼成工程で圧電体前駆体膜72を加熱焼成すると共にアニール処理して圧電体膜73を形成するようにしたが、焼成工程後に、さらに第2の焼成工程を実施するようにしてもよい。具体的には、上述した焼成工程後に、圧電体前駆体膜72を拡散炉で再び約700℃まで加熱して30分程度保持し、圧電体前駆体膜72を焼成及びアニール処理することで圧電体膜73を形成するようにしてもよい。
このように焼成工程後に第2の焼成工程を実行することで、圧電体層70の結晶配向及び結晶粒径を変化させることなく、圧電体層70の表面形態を変化させることができ、圧電体層70と上電極膜80との密着性を向上することができる。すなわち、第2の焼成工程を実行しない場合、圧電体層70の表面は極めて平坦な状態に形成されるため、圧電体層70と上電極膜80との密着性が十分に得られない虞がある。しかしながら、第2の焼成工程を実行することで圧電体層70の表面形態を粗く変化させることができるため、圧電体層70と上電極膜80との密着性を十分に確保することができる。よって、変位特性が良好で且つ耐久性に優れた圧電素子300を形成することができる。
ここで、図9に、第2の焼成工程前後の圧電体膜73表面のSEM像を示す。また、下記表1に、第2の焼成工程前後での圧電体膜の(100)配向度及び(100)配向強度を示す。
Figure 2006019592
図9に示す結果から分かるように、第2の焼成工程を実行することで圧電体膜73の表面形態を明らかに粗く変化させることができる。また、このように第2の焼成工程を実行することで、圧電体層70の表面形態は変化するが、上記表1の結果から明らかなように、圧電体層70の(100)配向度及び(100)配向強度は、ほとんど変化することはない。すなわち、第2の焼成工程を実行することで、圧電体層70の結晶配向及び結晶粒径を変化させることなく、所望の表面形態を有する圧電体層70を形成することができる。
なお、上述したように、圧電体層70の表面形態を変化させるのは、圧電体層70と上電極膜80との密着性を向上させるためである。このため、圧電体層70が上述したような複数層の圧電体膜73からなる場合には、第2の焼成工程を、各圧電体膜73を形成する際に実行するようにしてもよいが、少なくとも最上層の圧電体膜73を形成する際に実行すればよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。また、上述した実施形態では、インクジェット式記録ヘッドを例示して本発明を説明したが、勿論、インク以外の液体を噴射するものにも適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
さらに、本発明は、圧電素子を有する液体噴射ヘッドの製造方法に限定されるものではない。すなわち、本発明は、圧電材料からなる圧電体層の製造方法に限定されず、あらゆる誘電材料からなる誘電体膜の製造に適用できることは言うまでもない。
実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 昇温レートと配向強度及び配向度との関係を示すグラフである。 圧電体層の結晶状態を示すSEM像である。 圧電体膜の表面形態を示すSEM像である。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバ部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 100 リザーバ、 110 流路形成基板用ウェハ、 300 圧電素子

Claims (6)

  1. 有機金属化合物が溶解された溶液を塗布して誘電体前駆体膜を形成する塗布工程と、該誘電体前駆体膜を乾燥する乾燥工程と、前記誘電体前駆体膜を脱脂する脱脂工程と、前記誘電体前駆体膜を焼成する焼成工程とを有し、
    前記焼成工程では、前記誘電体前駆体膜の温度が400℃から700℃まで上昇する際の昇温レートを15(℃/sec)以下とすることを特徴とする誘電体膜の製造方法。
  2. 請求項1において、前記焼成工程では、RTA法により前記誘電体前駆体膜を加熱することを特徴とする誘電体膜の製造方法。
  3. 請求項1又は2において、前記焼成工程後に、前記誘電体前駆体膜を再度加熱して当該誘電体前駆体膜を焼成する第2の焼成工程をさらに有することを特徴とする誘電体膜の製造方法。
  4. 請求項3において、前記第2の焼成工程では、前記誘電体前駆体膜を拡散炉で加熱することを特徴とする誘電体膜の製造方法。
  5. 基板上に下電極膜を形成する工程と、該下電極膜上に圧電体層を形成する工程と、該圧電体層上に上電極膜を形成する工程とを備え、
    前記圧電体層を形成する工程が、有機金属化合物が溶解された溶液を塗布して圧電体前駆体膜を形成する塗布工程と、該圧電体前駆体膜を乾燥する乾燥工程と、前記圧電体前駆体膜を脱脂する脱脂工程と、前記圧電体前駆体膜を焼成する焼成工程とを含み、
    前記焼成工程では、前記圧電体前駆体膜の温度が400℃から700℃まで上昇する際の昇温レートを15(℃/sec)以下とすることを特徴とする圧電素子の製造方法。
  6. 請求項5に記載の製造方法により製造された圧電素子を用いることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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