JP2007173691A - 圧電素子の製造方法及びアクチュエータ装置並びに液体噴射ヘッド - Google Patents

圧電素子の製造方法及びアクチュエータ装置並びに液体噴射ヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】均一で優れた圧電特性を有する圧電素子の製造方法及びアクチュエータ装置並びに液体噴射ヘッドを提供する。
【解決手段】基板上に下電極を形成すると共に下電極上に圧電材料からなる圧電体前駆体膜を形成して焼成することにより結晶化させて圧電体膜を形成する工程を複数回繰り返し行って圧電体層を形成する際に、1層目の第1圧電体前駆体膜を焼成する際の昇温レートを50℃/sec以上の条件として第1圧電体膜を形成し、その後、下電極及び第1圧電体膜をパターニングすると共に犠牲層を形成し、この上から2層目の第2圧電体前駆体膜を形成して焼成する際の昇温レートを50℃/sec以下の条件とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、基板上に下電極、圧電体層及び上電極をこの順で積層することにより形成される圧電素子の製造方法、及びこの圧電素子を具備するアクチュエータ装置、並びにこのアクチュエータ装置を液体噴射手段として具備する液体噴射ヘッドに関する。
液体噴射ヘッド等に用いられる圧電素子は、電気機械変換機能を呈する圧電材料からなる圧電体層を2つの電極で挟んだ素子であり、圧電体層は、例えば、結晶化した圧電性セラミックスにより構成されている。
このような圧電素子を用いた液体噴射ヘッドとしては、例えば、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドがある。インクジェット式記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。
ここで、このような圧電アクチュエータに用いられる圧電素子は、基板上に振動板膜を介して下部電極を形成し、この下部電極上に圧電体前駆体膜を形成して焼成することにより結晶化させて圧電体膜を形成した後、圧電体膜及び下部電極を所定形状にパターニングし、その後、圧電体膜上に更に圧電体前駆体膜を形成して焼成する工程を複数回繰り返して複数の圧電体膜からなる圧電体層を形成し、この圧電体層上に上部電極を形成することで製造される(例えば、特許文献1参照)。
このような圧電素子の製造方法では、2層目以降の圧電体膜を形成する前に、1層目の圧電体膜及び下部電極を所定形状にパターニングしている。このため、2層目以降の圧電体膜を形成する際に、基板上には下部電極が形成された領域と下部電極が形成されていない領域とがそれぞれ存在している。
そして、このような基板上に下部電極の形成領域と非形成領域とに亘って圧電体前駆体膜を形成した後、これを焼成して圧電体前駆体膜を結晶化させる際に、下部電極の形成領域と、下部電極の非形成領域(振動板膜が露出した領域)との熱吸収の差から、圧電体前駆体膜の焼成ムラが生じてしまう。すなわち、2層目以降の圧電体膜の結晶成長は、下部電極の形成領域と非形成領域とで差が生じることになり、得られた圧電体層の結晶性にばらつきが生じ、その結果、圧電体層の圧電特性にばらつきが発生するという問題がある。また、圧電体層の結晶性にばらつきが生じると、圧電体層の耐電圧が低下する虞もある。
このような問題を有する圧電体層を備えた圧電素子においては、均一な圧電特性が得られず、場合によっては電圧印加時に破壊される等の問題が発生してしまう。また、このような圧電素子をインク滴の吐出手段として備えたインクジェット式記録ヘッドにおいては、インク吐出特性が悪く、圧電素子の破壊によって故障等が発生するため、信頼性が低いという問題がある。なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドだけでなく、勿論、他の液体噴射ヘッドにおいても同様に発生する。
特開2002−314163号公報(段落[0056]〜段落[0057])
本発明は、このような事情に鑑み、均一で優れた圧電特性を有する圧電素子の製造方法及びアクチュエータ装置並びに液体噴射ヘッドを提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、基板上に下電極を形成すると共に前記下電極上に圧電材料からなる第1圧電体前駆体膜を形成して焼成することにより結晶化させて第1圧電体膜を形成し、前記下電極及び前記第1圧電体膜をパターニングすることにより所定形状の前記下電極及び前記第1圧電体膜を形成すると共に前記基板上の前記下電極が形成される領域の近傍に金属材料からなる犠牲層を形成する第1工程と、前記第1圧電体膜上から前記犠牲層が形成された領域に亘って圧電材料からなる第2圧電体前駆体膜を形成して焼成することにより結晶化させて第2圧電体膜を形成し、前記第1圧電体膜及び前記第2圧電体膜からなる前記圧電体層を形成する第2工程と、前記圧電体層上に上電極を形成する第3工程とを有し、前記第1工程の前記第1圧電体前駆体膜を焼成する際の昇温レートを50℃/secよりも大きい条件とし、前記第2工程の前記第2圧電体前駆体膜を焼成する際の昇温レートを50℃/sec以下の条件としたことを特徴とする圧電素子の製造方法にある。
かかる第1の態様では、下電極上に成膜された第1圧電体前駆体膜の焼成時の昇温レートを50℃/secよりも大きくすることにより短時間で良好に結晶成長させて第1圧電体膜を形成しつつ、下電極の形成領域の近傍に犠牲層を形成した後に、下電極の形成領域から犠牲層の形成領域に亘って成膜された第2圧電体前駆体膜の焼成時の昇温レートを50℃/sec以下とすることにより、下地の違いによる結晶成長のばらつきを低減することができる。これにより、均一で優れた圧電特性を有する圧電素子(圧電体層)を製造することができる。
本発明の第2の態様は、前記基板上に密着性金属からなる密着層を形成すると共に前記密着層上に金属層を積層して前記密着層と前記金属層とからなる前記下電極を形成することを特徴とする第1の態様の圧電素子の製造方法にある。
かかる第2の態様では、基板上に、高い密着性を有する圧電素子を製造することができる。
本発明の第3の態様は、Ta、Zr、W、Ni、Ti、Hf、Nb、Mo、Coからなる群から選択される少なくとも1種の材料を用いて前記密着層を形成することを特徴とする第2の態様の圧電素子の製造方法にある。
かかる第3の態様では、基板上に、より高い密着性を有する圧電素子を製造することができる。
本発明の第4の態様は、前記第1工程又は前記第2工程の焼成を少なくとも前記基板の前記下電極が形成される一方面側とは反対の他方面側からの加熱処理で行うことを特徴とする第1〜3の態様の何れかの圧電素子の製造方法にある。
かかる第4の態様では、第1圧電体前駆体膜又は第2圧電体前駆体膜を下電極側から結晶成長させて、優れた結晶性を有する圧電体層を形成することができる。
本発明の第5の態様は、RTA処理により前記第1圧電体前駆体膜を焼成することを特徴とする第1〜4の何れかの態様の圧電素子の製造方法にある。
かかる第5の態様では、第1圧電体前駆体膜を良好に焼成して結晶を均一に成長させることができる。
本発明の第6の態様は、RTA処理により前記第2圧電体前駆体膜を焼成することを特徴とする第1〜5の何れかの態様の圧電素子の製造方法にある。
かかる第6の態様では、第2圧電体前駆体膜を良好に焼成して結晶を均一に成長させることができる。
本発明の第7の態様は、前記第2圧電体膜上に1層以上の圧電体膜をさらに形成すると共に前記1層以上の圧電体膜を形成する際の昇温レートを50℃/sec以下とすることを特徴とする第1〜6の何れかの態様の圧電素子の製造方法にある。
かかる第7の態様では、結晶が均一に成長し、優れた結晶性を有する複数の圧電体膜からなる圧電体層を形成することができる。
本発明の第8の態様は、前記犠牲層を前記下電極と同一層で形成することを特徴とする第1〜7の何れかの態様の圧電素子の製造方法にある。
かかる第8の態様では、犠牲層の存在により焼成ムラを大幅に低減することができる。
本発明の第9の態様は、第1〜8の何れかの態様の圧電素子の製造方法によって製造された圧電素子を具備することを特徴とするアクチュエータ装置にある。
かかる第9の態様では、均一な圧電特性が得られ、且つ信頼性、耐久性等に優れたアクチュエータ装置を実現することができる。
本発明の第10の態様は、第9の態様のアクチュエータ装置を液体噴射手段として具備することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第10の態様では、均一な液体噴射特性が得られ、且つ信頼性、耐久性に優れた液体噴射ヘッドを実現することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びA−A′断面図であり、図3は、図2の要部拡大断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。なお、連通部13は、後述する保護基板のリザーバ部と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又は不錆鋼などからなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの二酸化シリコン(SiO)からなる弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.4μmの酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜55が形成されている。また、この絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としている。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。
なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60のみが振動板として作用するようにしてもよい。
また、本実施形態では、下電極膜60が複数の圧電素子300の並設方向に亘って設けられ、下電極膜60の圧力発生室12の長手方向の端部が、圧力発生室12に相対向する位置となるように設けられている。なお、本実施形態では、下電極膜60の端面は、絶縁体膜55の上面に対して略垂直な面となっている。
ここで、下電極膜60は、例えば、本実施形態では、絶縁体膜55上に形成された密着性金属からなる密着層61と、この密着層61上に形成された金属層62とからなる2層構造の積層電極となっている。密着層61を形成する材料としては、高融点金属材料、より詳細には、後述する圧電体層70の形成時の焼成で拡散又は酸化が生じ難い金属、例えば、Ta、Zr、W、Ni、Hf、Nb、Mo、Coからなる群から選択される少なくとも1種の材料を用いるのが好ましい。これにより、下電極膜60の密着性を十分に確保することができる。例えば、本実施形態の下電極膜60は、絶縁体膜55上に形成されたZrからなる密着層61と、この密着層61上に形成されたPtからなる金属層62とからなる積層電極とした。
また、本実施形態では、図3に示すように、下電極膜60が形成された領域の近傍には、上述した下電極膜60の層構造と同一層、すなわち、密着性金属からなる密着層610と、この密着層610上に形成された金属層620とからなる犠牲層600が設けられている。
さらに、この犠牲層600は、下電極膜60と電気的に接続しない不連続なパターンとして設けられている(図1参照)。例えば、本実施形態では、犠牲層600は、下電極膜60の長手方向に沿ってその両側にそれぞれ設けた。詳細には、一方側の犠牲層600aは、下電極膜60の幅方向一端部近傍で且つ絶縁体膜55上のインク供給路14に対向する部分に、圧電素子300の並設方向に亘って下電極膜60とは不連続で設けられている。他方側の犠牲層600bは、下電極膜60の幅方向他端部近傍で且つ流路形成基板10の端部近傍に、圧電素子300の並設方向に亘って下電極膜60とは不連続で設けられている。
ここで、このような犠牲層600は、下電極膜60に限りなく近い部分に形成されているのが好ましい。これは、詳細は後述するが、圧電体層70を形成する際に、下地の影響が小さくなって、圧電体層70を形成する際の焼成ムラが大幅に低減され、均一に結晶成長した圧電体層70が得られるからである。すなわち、犠牲層600は、圧電体層70を形成する際に焼成ムラが生じて結晶が不均一に成長するのを防止するために下地として設けられた層である。
また、圧電素子300を構成する圧電体層70は、各圧力発生室12に対向する領域に個別に切り分けられてその幅方向に並設されている。さらに、各圧電体層70は、その長手方向において、下電極膜60の圧力発生室12の長手方向の端部を覆って絶縁体層55及び犠牲層600の縁部上に達するまでそれぞれ延設されている。
そして、圧電体層70は、詳細は後述するが、複数の圧電体膜を積層することで形成されたものであり、複数層の圧電体膜のうちの1層目を構成する第1圧電体膜は、下電極膜60上のみに設けられている。また、2層目以降の圧電体膜は、下電極膜60上からその外側の領域、具体的には、下電極膜60と犠牲層600との隙間に露出した絶縁体膜55を跨いで犠牲層600の縁部上に達するまで延設されている。
なお、本実施形態では、犠牲層600及び圧電素子300が存在する領域、すなわち、犠牲層600a及び600bが形成された領域と、圧電素子300が並設されたパターン領域上には、例えば、無機絶縁材料からなる絶縁膜100が設けられ、圧電素子300を構成する各層及び犠牲層600は、この絶縁膜100で覆われている。この絶縁膜100を形成する材料としては、特に限定されないが、アルミナ等が挙げられる。このような構造とすることで、水分等に起因する圧電素子300(圧電体層70)の絶縁破壊を有効に防止することができる。
また、このような絶縁膜100上には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が設けられ、このリード電極90の一端部側は、絶縁膜100に形成されたコンタクトホール100aを介して各圧電素子300の一端部側で上電極膜80と接続されている。そして、各圧電素子300には、このようなリード電極90を介して選択的に電圧が印加されるようになっている。なお、図示しないが、このようなリード電極90上に絶縁膜をさらに形成して、絶縁膜によってリード電極90を覆ってもよい。
なお、流路形成基板10上の圧電素子300側の面には、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部31を有する保護基板30が接合されている。圧電素子300は、この圧電素子保持部31内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。なお、圧電素子保持部31は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
また、保護基板30には、流路形成基板10の連通部13に対応する領域にリザーバ部32が設けられている。このリザーバ部32は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の並設方向に沿って設けられており、上述したように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ110を構成している。
さらに、保護基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に下電極膜60の一部及びリード電極90の先端部が露出され、これら下電極膜60及びリード電極90には、図示しないが、駆動ICから延設される接続配線の一端が接続される。
なお、保護基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ110に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ110の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ110からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない駆動ICからの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
ここで、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図4〜図8を参照して説明する。なお、図4〜図8は、圧力発生室12の長手方向の断面図である。まず、図4(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ120を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜51を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板10として、膜厚が約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。次いで、図4(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。具体的には、弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、例えば、DCスパッタ法又はRFスパッタ法等によりジルコニウム(Zr)層を形成し、このジルコニウム層を、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化して酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。
次に、図4(c)に示すように、絶縁体膜55上に下電極膜60を形成する。本実施形態では、例えば、スパッタ法等により、絶縁体膜55の全面にZrからなる密着層61を形成すると共にこの密着層61上にPtからなる金属層62を形成する。これにより、絶縁体膜55上に密着層61と金属層62とからなる下電極膜60が形成される。このように金属層62と絶縁体膜55との間に密着層61を介在させることにより、下電極膜60の密着性を高めることができる。
次に、このような下電極膜60上に、本実施形態では、チタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電体層70を形成する。なお、本実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成した。また、圧電体層70の製造方法は、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法等を用いてもよい。
圧電体層70の形成手順の一例としては、まず、図5(a)に示すように、下電極膜60上にPZT前駆体膜である第1圧電体前駆体膜71aを成膜する。すなわち、流路形成基板用ウェハ120上に金属有機化合物を含むゾル(溶液)を塗布する。次いで、第1圧電体前駆体膜71aを、所定温度に加熱して一定時間乾燥させ、ゾルの溶媒を蒸発させることで第1圧電体前駆体膜71aを乾燥させる。さらに、大気雰囲気下において一定の温度で一定時間、第1圧電体前駆体膜71aを脱脂する。なお、ここで言う脱脂とは、ゾル膜の有機成分を、例えば、NO、CO、HO等として離脱させることである。
次に、図5(b)に示すように、この第1圧電体前駆体膜71aをRTP(Rapid Thermal Processing)装置等で加熱処理することによって結晶化させて第1圧電体膜72aを形成する。なお、このように形成した第1圧電体膜72aの結晶は(100)面に優先配向する。
ここで、本実施形態では、第1圧電体前駆体膜71aを焼成する際の昇温レートを50℃/secよりも大きい値とした。第1圧電体膜72aの形成方法は、特に限定されないが、例えば、RTA(Rapid Thermal Annealing)法等を用いて、昇温レートを比較的速くすることが好ましい。例えば、本実施形態では、赤外線ランプの照射により加熱するRTP(Rapid Thermal Processing)装置を用いて、第1圧電体前駆体膜71aを比較的速い昇温レートで加熱した。このようにして行われる第1圧電体前駆体膜71aの焼成時には、この第1圧電体前駆体膜71aの下地が下電極膜60のみで構成されているため、このように比較的速い昇温レートで加熱することにより、第1圧電体前駆体膜71aの結晶が均一に成長する。詳細には、下地に材質的な違いがないため、赤外線が均等且つ効率的に吸収され、その結果、下電極膜60上にその表面側から順に第1圧電体前駆体膜71aの結晶が均一に成長する。これにより、下電極膜60上には、均一な結晶性を有する第1圧電体膜72aを短時間で形成することができる。
なお、このような焼成工程では、少なくとも流路形成基板用ウェハ120の絶縁体膜55側である一方面(表面)側とは反対側の他方面(裏面)側から加熱処理するのが好ましい。第1圧電体前駆体膜71aを下電極膜60(金属層62)側から均一に結晶成長させて、優れた結晶性を有する第1圧電体膜72aを形成することができるからである。
そして、このようにして絶縁体膜55の全面に形成された下電極膜60(密着層61及び金属層62)、第1圧電体膜72aをパターニングすることにより、図5(b)に示すように、所定形状の下電極膜60及び第1圧電体膜72aを形成する。
また、このような下電極膜60等のパターニング工程では、下電極膜60が形成された領域の近傍、本実施形態では、下電極膜60の幅方向の両外側に対応する領域に、圧電素子300の並設方向に亘って、下電極膜60と同一の層であって且つこの下電極膜60とは電気的に接続しない不連続なパターンである犠牲層600を同時に形成する。犠牲層600は、下電極膜60と同一の層構造、すなわち、密着性金属からなる密着層610と、この密着層610上に形成された金属層620とで構成される。そして、この時点では、犠牲層600上には、下電極膜60上と同様に第1圧電体膜72aが形成されている。
次に、第1圧電体膜72a上に更に複数層の圧電体膜を積層して圧電体層70を形成する。具体的には、図5(c)に示すように、まず、第1圧電体膜72a上から犠牲層600が形成された領域に亘って、実際には、流路形成基板用ウェハ120の全面に、スピンコート法等により圧電材料を所定厚さ、本実施形態では、約0.15μm程度の厚さで塗布して乾燥させることにより第2圧電体前駆体膜71bを形成する。すなわち、第2圧電体前駆体膜71bを、下電極膜60が形成された領域、犠牲層600が形成された領域、下電極膜60と犠牲層600との隙間において絶縁体膜55が露出した領域に亘って連続的に形成する。
その後、このような第2圧電体前駆体膜71bの乾燥、脱脂を行うと共に、焼成することにより、第2圧電体膜72bを形成する。具体的には、本実施形態では、第2圧電体前駆体膜71bを焼成する際の昇温レートを50℃/sec以下とした。このように、第2圧電体前駆体膜71bを焼成する際に、比較的遅い昇温レートで加熱することにより、下地の影響を抑えて、良好に結晶成長させることができる。なお、このような第2圧電体前駆体膜71bの焼成工程では、上述した第1圧電体前駆体膜71aと同様に流路形成基板用ウェハ120の裏面側から加熱処理するのが好ましい。また、第2圧電体前駆体膜71bの焼成には、上述した第1圧電体前駆体膜71aと同様にRTP装置を用いた。
ここで、第2圧電体前駆体膜71bの焼成時は、この第1圧電体前駆体膜71aの下地となった下電極膜60、犠牲層600、及び絶縁体膜55となる。具体的には、下電極膜60と犠牲層600とが形成された領域は、下地としては同一であるが、下電極膜60と犠牲層600との僅かな隙間に絶縁体膜55が露出している。特に、本実施形態では、上述したように密着層61をZr(高融点金属材料)で形成しているので、金属層62は合金化しておらず、無垢の金属層62のままとなる。すなわち、下電極膜60が形成された領域では無垢の金属層62が存在し、その他の領域では絶縁体膜55が露出しているため、このような表面の材質的な違いから、これらの領域の間では、熱吸収の差、より詳細には赤外線吸収の差が比較的大きくなる。
本実施形態では、このように第2圧電体前駆体膜71bの下地に違いが生じていても、上述したように、第2圧電体前駆体膜71bを焼成する際の昇温レートを50℃/secよりも大きい値としているので、第2圧電体前駆体膜71bの結晶成長のばらつきを低減、すなわち、結晶が均一に成長し、優れた結晶性を有する第2圧電体膜72bが形成される。
その後は、図5(c)に示すように、この第2圧電体膜72b上にさらに圧電材料を所定の厚さで塗布し乾燥させることにより第3圧電体前駆体膜71cを形成する。なお、本実施形態では、圧電材料を二度塗布し乾燥させることにより所望の厚さの第3圧電体前駆体膜71cを得ている。次いで、この第3圧電体前駆体膜71cを脱脂後、焼成して結晶化させて第3圧電体膜72cとする。そして、このように二度の塗布によって第3〜第6圧電体前駆体膜71c〜71fを形成する工程と、その第3〜第6圧電体前駆体膜71c〜71fを脱脂する工程と、第3〜第6圧電体前駆体膜71c〜71fを焼成して圧電体膜を形成する工程とを複数回、本実施形態では、4回繰り返すことにより圧電体膜72c〜72fを形成する。これにより、複数層の圧電体膜72a〜72fからなり、厚さが約1μmの圧電体層70が形成される。なお、本実施形態では、このような3層目以降の第3〜第6圧電体前駆体膜71c〜71fの焼成においては、第2圧電体前駆体膜72bの焼成と同一条件で行った。
以上説明したように、本実施形態では、下電極膜60上に形成された第1圧電体前駆体膜71aの焼成時の昇温レートを50℃/secよりも大きい値することにより短時間で均一に結晶成長させて第1圧電体膜72aを形成しつつ、下電極膜60の形成領域の近傍に犠牲層600を形成した後に、下電極膜60の形成領域から犠牲層600の形成領域に亘って成膜された第2〜第6圧電体前駆体膜71b〜71fの焼成時の昇温レートを50℃/sec以下とすることにより、下地の違いによる結晶成長のばらつきを低減することができる。さらに、第2〜第6圧電体前駆体膜71b〜71fの焼成時に、前記下電極60が形成されている面とは反対の面から加熱することにより、各圧電体膜は下電極膜60側から結晶成長する。これにより、均一で優れた圧電特性を有する圧電体層70を形成することができる。すなわち、第1〜第6圧電体膜72a〜72fからなる圧電体層70は、結晶が均一となり、均一な圧電特性が得られる。また、圧電体層70の結晶が均一であるので、所望の耐電圧を有する圧電体層70となり、電圧印加によって駆動させる際に、圧電体層70が破壊されることを有効に防止することができる。
なお、このように形成される圧電体層70の材料として、本実施形態では、チタン酸ジルコン酸鉛系の材料を用いたが、圧電体層70の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料に、ニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等を用いてもよい。その組成は、圧電素子の特性、用途等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば、PbTiO(PT)、PbZrO(PZ)、Pb(ZrTi1−x)O(PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O−PbTiO(PMN−PT)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O−PbTiO(PZN−PT)、Pb(Ni1/3Nb2/3)O−PbTiO(PNN−PT)、Pb(In1/2Nb1/2)O−PbTiO(PIN−PT)、Pb(Sc1/3Ta2/3)O−PbTiO(PST−PT)、Pb(Sc1/3Nb2/3)O−PbTiO(PSN−PT)、BiScO−PbTiO(BS−PT)、BiYbO−PbTiO(BY−PT)等が挙げられる。
なお、本実施形態では、ゾルーゲル法を用いて圧電体層70を形成するようにしたが、圧電体層70の形成方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリング法、MOCVD法(有機金属気相成長法)やMOD(Metal-Organic Decomposition)法等であってもよい。
また、このように圧電体層70を形成した後は、図6(a)に示すように、例えば、イリジウムからなる上電極膜80を流路形成基板用ウェハ120の全面に形成する。次いで、図6(b)に示すように、圧電体層70及び上電極膜80を、下電極膜60及び犠牲層600が露出するまで、ドライエッチングによりパターニングすることで、圧力発生室12が形成される領域に対応する部分に圧電素子300をそれぞれ形成する。
次に、図6(c)に示すように、圧電素子300を覆う絶縁膜100を形成する。具体的には、圧電素子300が並設された領域、及び犠牲層600の形成領域に亘ってアルミナからなる絶縁膜100を形成し、所定形状にパターニングすることにより圧電素子300を構成する各層等を覆う絶縁膜100を形成する。なお、絶縁膜100のパターニングでは、絶縁膜100の各圧電素子300の一端部に対向する領域にコンタクトホール100aを形成しておく。
次いで、リード電極90を形成する。具体的には、図7(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ120の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなる金属層91を形成する。その後、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して金属層91を圧電素子300毎にパターニングすることで、リード電極90が形成される。このリード電極90は、一端部が絶縁膜100のコンタクトホール100aを介して各圧電素子300の上電極膜80に接続され、他端部が絶縁膜100上に延設された形状となるようにパターニングされる。
次に、図7(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ120の圧電素子300側に、シリコンウェハであり複数の保護基板30となる保護基板用ウェハ130を接合する。なお、この保護基板用ウェハ130は、例えば、400μm程度の厚さを有するため、保護基板用ウェハ130を接合することによって流路形成基板用ウェハ120の剛性は著しく向上することになる。
次いで、図7(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ120をある程度の厚さとなるまで研磨した後、さらにフッ硝酸によってウェットエッチングすることにより流路形成基板用ウェハ120を所定の厚みにする。例えば、本実施形態では、約70μm厚になるように流路形成基板用ウェハ120をエッチング加工した。次いで、図7(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ120上に、例えば、窒化シリコン(SiN)からなるマスク膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、図8に示すように、このマスク膜52を介して流路形成基板用ウェハ120を異方性エッチングすることにより、流路形成基板用ウェハ120に圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14等を形成する。
なお、その後は、流路形成基板用ウェハ120及び保護基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ120の保護基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハ120等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとする。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、上述した一実施形態に限定されるものではない。上述した一実施形態1では、圧電素子300の長手方向の両端部を圧力発生室12に対向する領域内に設けた構造を例示して説明したが、勿論これに限定されず、例えば、図9に示すように、圧電素子300Aを構成する圧電体層70の長手方向一端部、具体的にはリード電極90が引き出される側の端部が、圧力発生室12の周壁に対向する領域まで延設した構造としてもよい。なお、図9は、本発明の他の実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部拡大断面図である。このような構造では、圧電体層70が延設された圧力発生室12の周壁に対向する領域に、犠牲層600が圧電素子300の並設方向に亘って下電極膜60と電気的に不連続で設けられている。また、犠牲層600Aの幅方向両端部は、各圧電素子300Aから延設された圧電体層70によって覆われている。このような構造においても、上述した一実施形態と同様に焼成時の昇温レートを設定して圧電体層70を形成することにより、優れた結晶性を有する圧電素子300Aとなる。また、このような構造では、リード電極90と犠牲層600Aとの層間絶縁膜(実施形態1の絶縁膜100)が不要となるという利点がある。勿論、リード電極90を形成した後に、圧電素子300を構成する各層及び犠牲層600を絶縁膜(図示しない)によって覆うようにしてもよい。
また、上述した一実施形態では、下電極膜60を密着層61と金属層62とからなる積層電極としたが、勿論これに限定されず、金属層だけで下電極膜を構成してもよい。
さらに、上述した一実施形態では、犠牲層600の形成を下電極膜60のパターニングにより同時に行ったが、勿論これに限定されず、下電極膜60を形成する前後の工程で別途、犠牲層を形成するようにしてもよい。
さらに、上述した一実施形態では、下電極膜60の端面を絶縁体膜55の上面に対して略垂直な面で形成したが、勿論これに限定されず、下電極膜の端面(側面)を流路形成基板の上面に対して所定量傾斜させてテーパ面としてもよい。このような下電極膜の端面は、例えば、下電極膜と第1圧電体膜とをパターニングする際に形成することができる。その後は、上述した一実施形態と同様に、このパターニングされた下電極膜及び第1圧電体膜上から、2層目以降の圧電体前駆体膜を積層することで圧電体層を形成する。例えば、第2圧電体前駆体膜の形成時には、下電極膜及び第1圧電体膜が形成された部分とそれ以外の部分との境界近傍において下電極膜の端面(テーパ面)が設けられているため、下電極膜の端面によって下地の違いによる第2圧電体前駆体膜の結晶成長への悪影響を小さく、すなわち、緩和することができる。これにより、下電極膜とそれ以外の部分との境界近傍において第2圧電体前駆体膜の結晶成長が良好に進み、結晶性に優れた圧電体層を良好に形成することができる。また、このように下電極膜の端面をテーパ面とすることで、2層目以降の圧電体前駆体膜の形成時の膜の付き回り、特に下電極膜の端面とそれ以外の部分の上面とで画成された角部への膜の付き回りが向上する。これにより、密着性及び信頼性に優れた圧電体層を良好に形成することができる。なお、上述した一実施形態では、下電極膜60と共に犠牲層600を形成しているが、例えば、このような犠牲層の端面をテーパ面としてもよい。
さらに、上述した一実施形態では、アクチュエータ装置を液体吐出手段として具備し液体噴射装置に搭載される液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを例示したが、本発明は、広くアクチュエータ装置の全般を対象としたものである。したがって、勿論、本発明は、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。また、本発明は、液体噴射ヘッドに搭載されるアクチュエータ装置だけでなく、あらゆる装置に搭載されるアクチュエータ装置及びその製造方法に適用できる。なお、アクチュエータ装置が搭載される他の装置としては、上述した液体噴射ヘッドの他に、例えば、センサー等が挙げられる。また、本発明は、このようなアクチュエータ装置及びその製造方法に限定されず、圧電素子の製造方法にも適用可能である。
一実施形態に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの要部拡大断面図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 他の実施形態に係る記録ヘッドの要部拡大断面図である。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバ部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 61 密着層、 62 金属層、 70 圧電体層、 80 上電極膜、100 絶縁膜、 110 リザーバ、 120 流路形成基板用ウェハ、 130 保護基板用ウェハ、 300 圧電素子、 600(600a、600b) 犠牲層

Claims (10)

  1. 基板上に下電極を形成すると共に前記下電極上に圧電材料からなる第1圧電体前駆体膜を形成して焼成することにより結晶化させて第1圧電体膜を形成し、前記下電極及び前記第1圧電体膜をパターニングすることにより所定形状の前記下電極及び前記第1圧電体膜を形成すると共に前記基板上の前記下電極が形成される領域の近傍に金属材料からなる犠牲層を形成する第1工程と、
    前記第1圧電体膜上から前記犠牲層が形成された領域に亘って圧電材料からなる第2圧電体前駆体膜を形成して焼成することにより結晶化させて第2圧電体膜を形成し、前記第1圧電体膜及び前記第2圧電体膜からなる前記圧電体層を形成する第2工程と、
    前記圧電体層上に上電極を形成する第3工程とを有し、
    前記第1工程の前記第1圧電体前駆体膜を焼成する際の昇温レートを50℃/secよりも大きい条件とし、前記第2工程の前記第2圧電体前駆体膜を焼成する際の昇温レートを50℃/sec以下の条件としたことを特徴とする圧電素子の製造方法。
  2. 前記基板上に密着性金属からなる密着層を形成すると共に前記密着層上に金属層を積層して前記密着層と前記金属層とからなる前記下電極を形成することを特徴とする請求項1記載の圧電素子の製造方法。
  3. Ta、Zr、W、Ni、Ti、Hf、Nb、Mo、Coからなる群から選択される少なくとも1種の材料を用いて前記密着層を形成することを特徴とする請求項2記載の圧電素子の製造方法。
  4. 前記第1工程又は前記第2工程の焼成を少なくとも前記基板の前記下電極が形成される一方面側とは反対の他方面側からの加熱処理で行うことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の圧電素子の製造方法。
  5. RTA処理により前記第1圧電体前駆体膜を焼成することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の圧電素子の製造方法。
  6. RTA処理により前記第2圧電体前駆体膜を焼成することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の圧電素子の製造方法。
  7. 前記第2圧電体膜上に1層以上の圧電体膜をさらに形成すると共に前記1層以上の圧電体膜を形成する際の昇温レートを50℃/sec以下とすることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の圧電素子の製造方法。
  8. 前記犠牲層を前記下電極と同一層で形成することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の圧電素子の製造方法。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載の圧電素子の製造方法によって製造された圧電素子を具備することを特徴とするアクチュエータ装置。
  10. 請求項9に記載のアクチュエータ装置を液体噴射手段として具備することを特徴とする液体噴射ヘッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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