JP2010214800A - 液体噴射ヘッドの製造方法、圧電素子の製造方法 - Google Patents

液体噴射ヘッドの製造方法、圧電素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】組成傾斜を抑制し圧電体膜の組成がMPB付近から外れないように圧電体層の組成を所望の組成で厚さ方向に略均一化することができる液体噴射ヘッドの製造方法及び圧電素子の製造方法を提供する。
【解決手段】液体噴射ヘッドの製造方法及び圧電素子の製造方法は、圧電体層形成工程が、第1電極上に、鉛(Pb)、チタン(Ti)及びジルコニウム(Zr)を少なくとも含む圧電体前駆体膜71を成膜する前駆体膜成膜工程と、圧電体膜を構成する組成物の少なくとも一つを含有し、圧電体膜の組成を調整する圧電体組成調整膜を成膜する調整膜成膜工程と、圧電体前駆体膜及び圧電体組成調整膜を一括して焼成する焼成工程とを含む。
【選択図】 図4

Description

本発明は、液体噴射ヘッドの製造方法、圧電素子の製造方法に関する。
液体噴射ヘッドのノズル開口から液体を噴射させる圧力発生手段として用いられる圧電素子としては、電気機械変換機能を呈する圧電材料からなる圧電体膜を一対の電極で挟んだものがある。この圧電体膜は、例えばペロブスカイト構造をとる強誘電体である鉛、チタン、ジルコニアを含む複合酸化物で形成されている。このようなペロブスカイト構造の強誘電体は、結晶相境界(MPB:Morphotoropic Phase Boundary)を有している。例えば、Pb(ZrTi1−x)では、Zr含有率x:0.52付近にMPBが存在し、x<0.52では正方晶、x>0.52では菱面体晶である。圧電体膜は、このMPB近辺において誘電率や圧電特性が極めて大きくなるため、圧電体膜はZr含有率がこのMPB近辺となるように形成される。
このような圧電素子の製造方法としては、基板(流路形成基板)の一方面側に下電極膜をスパッタリング法等により形成した後、下電極膜上に圧電体層をゾル−ゲル法又はMOD法等により形成すると共に、圧電体層上に上電極膜をスパッタリング法により形成し、圧電体層及び上電極膜をパターニングする方法がある。この圧電体層は、圧電体前駆体膜を複数層積層する積層工程と、その後加熱装置によって加熱し結晶化させる加熱工程とからなる圧電体膜形成工程を複数回繰り返し行うことにより、所定の厚さで形成されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−268414号公報
しかしながら、上述のような圧電体膜形成工程を複数繰り返し行って圧電体層を形成すると、MPB付近の組成となるように形成しても、厚さ方向に組成変化(組成傾斜)が生じ、Zr含有率がMPB近辺からはずれてしまいやすく、その結果、所望の圧電特性を得ることができない場合があるという問題がある。特に、この組成傾斜は、焼成後に圧電体膜と他の圧電体膜との境界部分で生じやすく、焼成工程が複数回行われる圧電体層では、圧電体膜と圧電体膜との境界部分でTi含有量が大きく減少しこれに応じてZr含有率が大きく増加し、その結果MPB近辺から外れることが多くなる。
なお、このような問題は、圧電素子が鉛、チタン、ジルコニアのみからなる態様に限定されず、例えば他の金属元素(ニオブ、ランタン等)を添加したものでも同様の問題が発生する。そして、このような問題は圧電素子を有する液体噴射ヘッドの製造方法だけではなく、その他のデバイスに用いられる圧電素子の製造方法においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、組成傾斜を抑制し圧電体膜の組成がMPB付近から外れないように圧電体層の組成を所望の組成で厚さ方向に略均一化することができる液体噴射ヘッドの製造方法及び圧電素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、液体を噴射するノズル開口に連通する液体流路が設けられた流路形成基板上に第1電極を形成する第1電極形成工程と、前記第1電極上に圧電体膜を形成して圧電体層とする圧電体層形成工程と、前記圧電体層の前記第1電極が形成された面とは反対側の面に第2電極を形成する第2電極形成工程とを備えた液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記圧電体層形成工程が、第1電極上に、鉛(Pb)、チタン(Ti)及びジルコニウム(Zr)を少なくとも含む圧電体前駆体膜を成膜する前駆体膜成膜工程と、前記圧電体膜を構成する組成物の少なくとも一つを含有し、圧電体膜の組成を調整する圧電体組成調整膜を成膜する調整膜成膜工程と、前記圧電体前駆体膜及び前記圧電体組成調整膜を一括して焼成する焼成工程とを含むことを特徴とする。
本発明では、調整膜成膜工程において圧電体膜の組成を調整する圧電体組成調整膜を成膜することで、圧電体膜中の不足している組成物を補って、厚さ方向において圧電体膜の組成がMPB近辺から外れることを抑制することができる。
ここで、焼成時に不足するチタン含有量を補うために、前記圧電体組成調整膜が、少なくともチタンを含有することが好ましい。
前記圧電体層形成工程が、前記前駆体膜成膜工程と前記調整膜成膜工程とを複数回繰り返した後に焼成工程を行い、調整膜成膜工程では、前記圧電体組成調整膜におけるチタンの含有量を徐々に増して成膜することが好ましい。このように含有量を徐々に増して成膜することで、焼成時に表面に近い層においてチタン含有量を増加させることができる。
この場合にチタン含有量を増すべく、前記調整膜成膜工程では、前記圧電体組成調整膜を徐々に厚くして成膜することが好ましい。
前記第1電極上に圧電体膜を形成して圧電体層とする圧電体層形成工程と、前記圧電体層の前記第1電極が形成された面とは反対側の面に第2電極を形成する第2電極形成工程とを備えた圧電素子の製造方法であって、前記圧電体層形成工程が、第1電極上に、鉛、チタン及びジルコニウムを少なくとも含む圧電体前駆体膜を成膜する前駆体膜成膜工程と、前記圧電体膜を構成する組成物の少なくとも一つを含有し、圧電体膜の組成を調整する圧電体組成調整膜を成膜する調整膜成膜工程と、前記圧電体前駆体膜及び前記圧電体組成調整膜を一括して焼成する焼成工程とを含むことが好ましい。本発明では、調整膜成膜工程において圧電体膜の組成を調整する圧電体組成調整膜を成膜することで、圧電体膜中の不足している組成物を補って、厚さ方向において圧電体膜の組成がMPB近辺から外れることを抑制することができる。
記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 記録ヘッドの平面図及び断面図である。 本発明の記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。
(インクジェット式記録ヘッド)
まず、本発明の液体噴射ヘッドの製造方法により製造される液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドについて説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′断面図である。
図示するように、流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなり、その一方の面には二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後述する保護基板のリザーバー部31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバー100の一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えばガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、第1電極60と圧電体層70と第2電極80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、第1電極60を圧電素子300の共通電極とし、第2電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエーター装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び第1電極60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
圧電体層70は、第1電極60上に形成される電気機械変換作用を示す圧電材料からなる。圧電体層70は、ペロブスカイト構造の結晶膜であり、Pb、Ti及びZrを少なくとも含むものである。このような圧電体層70としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電性材料(強誘電性材料)や、Pb、Ti及びZr以外に他の金属元素を含むもの、例えばジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O)又は、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg,Nb)O)等も用いることができる。本実施形態では、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3、PZT)を用いており、後述する製造方法により、この圧電体層70は厚さ方向における組成が略均一化されている。従って、圧電素子300は、良好な圧電特性を有する。
また、圧電素子300の個別電極である各第2電極80には、インク供給路14側の端部近傍から引き出され、絶縁体膜55上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、第1電極60、絶縁体膜55及びリード電極90上には、リザーバー100の少なくとも一部を構成するリザーバー部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このリザーバー部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバー100を構成している。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
また、保護基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路120が固定されている。この駆動回路120としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路120とリード電極90とは、ボンディングワイヤー等の導電性ワイヤーからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料からなり、この封止膜41によってリザーバー部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、比較的硬質の材料で形成されている。この固定板42のリザーバー100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバー100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、リザーバー100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路120からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、第1電極60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出される。
(インクジェット式記録ヘッドの製造方法)
以下、上述したインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図3〜図7を参照して説明する。なお、図3〜図7は、インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。
まず、図3(a)に示すように、流路形成基板10が複数一体的に形成されるシリコンウエハーである流路形成基板用ウエハー110の表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン(SiO)からなる二酸化シリコン膜51を形成する。次いで、図3(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。
次いで、図3(c)に示すように、絶縁体膜55上の全面に第1電極60を形成し、所定形状にパターニングする。この第1電極60の材料は、圧電体層70がチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)であることに鑑みれば、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少ない材料であることが望ましい。このため、第1電極60の材料としては白金、イリジウム等が好適に用いられる。また、第1電極60は、例えば、スパッタリング法やPVD法(物理蒸着法)などにより形成することができる。
次に、流路形成基板用ウエハー110の第1電極60が形成された面にチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層70を形成する。ここで、本実施形態では、有機金属化合物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾル(塗布溶液)を塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成している。なお、圧電体層70の製造方法は、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法等を用いてもよい。
ところで、従来、圧電体層は、圧電体前駆体膜を複数層成膜し一括して加熱することで結晶化させて圧電体膜を形成し、これを繰り返して圧電体層が所定の厚みになるように形成していたが、上述のように厚さ方向の組成が一定でなかった。即ち、焼成後に圧電体膜と他の圧電体膜との境界部分でTi含有量が減少していた。具体的には、厚さ方向のTiの含有量は、焼成時に表面に近い領域ほどTi含有量が少なくなっており、焼成回数に併せてTi含有量が減少した領域が形成されていた。このような厚さ方向における組成傾斜により圧電体膜の組成がMPB近辺から外れてしまうと、所望の特性の圧電素子を得ることができないので、これを抑制することが好ましい。
そこで、以下詳細に説明する本実施形態においては、厚さ方向の圧電体膜の組成が略一定になるように圧電体膜前駆体膜を成膜する度に圧電体膜中のTi含有量を調整するためのTi含有量調整膜(圧電体組成調整膜、例えばチタン酸鉛からなる)を成膜し、Ti含有量調整膜よりも下にある圧電体膜のTi含有量不足を補い、圧電体膜の組成が厚さ方向にMPB付近で略均一となるように調整している。
以下、本実施形態における圧電体層70の作製手順を詳細に説明する。まず、図4(a)に示すように、第1電極60上にPZT前駆体膜である圧電体前駆体膜71を成膜する。すなわち、第1電極60が形成された流路形成基板10上にPb、Zr及びTiそれぞれの有機化合物を含むゾル(塗布溶液)を塗布する(前駆体塗布工程)。この圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間乾燥させる(乾燥工程)。次に、乾燥した圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間保持することによって脱脂する(脱脂工程)。なお、以下、これらの前駆体塗布工程、乾燥工程及び脱脂工程をまとめて前駆体膜成膜工程とする。
次いで、この圧電体前駆体膜71上にTi含有量調整膜を形成するための調整膜前駆体溶液を塗布し(調整膜塗布工程)、その後、圧電体前駆体膜71を形成する場合と同様に乾燥工程及び脱脂工程を行ってTi含有量調整膜72を形成する。このTi含有量調整膜72を形成することで、圧電体前駆体膜71中のTi含有量を補って圧電体膜を所望のMPB付近の組成とすることができ、所望の圧電特性を得ることができる。調整膜前駆体溶液は、Ti有機化合物を少なくとも含むゾルであり、圧電体前駆体膜71に必要な量のTiを含ませるように調製されている。本実施形態では、Ti含有量調整膜としてチタン酸鉛からなる膜を形成するので、Ti有機化合物及びPb有機化合物を含むゾルを調製する。このようにして、一層目の圧電体前駆体膜71上に一層目のTi含有量調整膜72を形成する。ここで、Ti含有量調整膜72としては、チタン酸鉛以外に、チタン酸鉛等を用いることができる。なお、以下、これらの調整膜塗布工程、乾燥工程及び脱脂工程をまとめて調整膜成膜工程とする。
そして、再度前駆体膜成膜工程及び調整膜成膜工程を繰り返し、二層目の圧電体前駆体膜71上に二層目のTi含有量調整膜72を形成する。この場合の調整膜形成工程では、上述の様に焼成時に表面に近い領域でよりTi含有量が減少するので、一層目のTi含有量調整膜72よりも、二層目のTi含有量調整膜72におけるTi含有量を増加させる。このため、本実施形態では、二層目のTi含有量調整膜72を形成するときは、調整膜前駆体溶液を一層目よりも厚く塗布し、Ti含有量調整膜72の厚みをより厚くして形成する。このように厚くしてTi含有量を増加させる場合には、調整膜前駆体溶液を複数調製する必要がない。
このように前駆体膜成膜工程及び調整膜成膜工程を所定回数(例えば3回)繰り返した後に図4(b)に示すように、圧電体前駆体膜71及びTi含有量調整膜72を所定温度に加熱して一定時間保持することによって結晶化させ、積層された圧電体膜73を形成する(焼成工程)。なお、以下これらの前駆体膜成膜工程及び調整膜成膜工程並びに焼成工程をまとめて圧電体膜形成工程とする。得られた圧電体膜73は、それぞれTi含有量調整膜72を形成しTi含有量を補ったことにより、焼成時に表面に近い膜であってもTi含有量が従来のものよりも多い。これにより、圧電体膜の厚さ方向における組成傾斜が抑制されて、圧電体膜の組成は厚さ方向にMPB付近で略均一化されたものとなっている。なお、焼成後はTi含有量調整膜72は残らない。
そして、圧電体膜形成工程を複数回繰り返すことにより、図4(c)に示すように複数層の圧電体膜73が積層された圧電体層70を形成する。なお、この圧電体層70の厚さについては、製造工程でクラックが発生しない程度に厚さを抑え、且つ十分な変位特性を呈する程度に厚く形成する。例えば、本実施形態では、圧電体層70を1〜2μm前後の厚さで形成している。本実施形態では、このようにTi含有量調整膜72を形成することで、組成傾斜がなくなり、圧電体膜73を厚さ方向に所望のMPB付近の組成で形成することができ、所望の圧電特性の圧電素子300を形成することができる。
その後、図5(a)に示すように、圧電体層70上に亘って、例えば、イリジウム(Ir)からなる第2電極80を形成する。そして、図5(b)に示すように、圧電体層70及び第2電極80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。圧電体層70及び第2電極80のパターニングとしては、例えば、反応性イオンエッチングやイオンミリング等のドライエッチングが挙げられる。
次に、リード電極90を形成する。具体的には、図5(c)に示すように、流路形成基板用ウエハー110の全面に亘ってリード電極90を形成後、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して各圧電素子300毎にパターニングすることで形成される。
次に、図6(a)に示すように、流路形成基板用ウエハー110の圧電素子300側に、シリコンウエハーであり複数の保護基板30となる保護基板用ウエハー130を接着剤35を介して接合する。
次に、図6(b)に示すように、流路形成基板用ウエハー110を所定の厚みに薄くする。次いで、図6(c)に示すように、流路形成基板用ウエハー110にマスク膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、図7に示すように、流路形成基板用ウエハー110をマスク膜52を介してKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、圧電素子300に対応する圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15等を形成する。
その後は、流路形成基板用ウエハー110及び保護基板用ウエハー130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウエハー110の保護基板用ウエハー130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウエハー130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウエハー110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、インクジェット式記録ヘッドとする。
(他の実施形態)
上述した実施形態においては、Ti含有量調整膜72のTi含有量を増加させるためにTi含有量調整膜72の厚みを厚くするようにして調整したが、Ti含有量調整膜の濃度を調整することによってTi含有量調整膜72のTi含有量を調整してもよい。
また、上述した実施形態においては、前駆体塗布工程、乾燥工程、脱脂工程、調整膜塗布工程、乾燥工程及び脱脂工程をこの順で所定回数繰り返したが、前駆体塗布工程、乾燥工程及び脱脂工程を所定回数繰り返した後に調整膜塗布工程、乾燥工程及び脱脂工程を行い、その後焼成工程を行っても良い。即ち、上述した実施形態では圧電体前駆体膜71を形成する度にTi含有量調整膜72を形成したが、圧電体前駆体膜71を複数層形成した後にTi含有量調整膜72を一層形成し、その後焼成して圧電体膜73を形成してもよい。焼成時に表面近くとなる圧電体前駆体膜71中のTi含有量を少なくとも増加させることで、上述した実施形態ほどではないが、圧電体層70の厚さ方向の組成を従来の圧電素子300よりは略均一化することができる。また、上述した実施形態においては、複数層の圧電体膜73により圧電体層70を形成したが、厚い圧電体前駆体膜71を一層形成し、その上にTi含有量調整膜72を一層形成し、焼成工程により焼成して一層の圧電体膜73からなる圧電体層70を形成してもよい。
上述した実施形態においては、調整膜前駆体溶液には金属化合物としてはTi有機化合物及びPb有機化合物が含有されていたが、さらに別の金属有機化合物を含んでいてもよく、Zr有機化合物を含んでいてもよい。この場合、調整膜前駆体溶液中のTi含有量がZr含有量より多くなるように調製する。また、例えばZr含有量が少ないために組成傾斜が生じるような場合には、Zr含有量の多いTi含有量調整膜72を形成すればよい。
また、上述したインクジェット式記録ヘッドの製造方法では、第1電極60をパターニングすることにより形成した後に圧電体層70を形成するようにしたが、デバイスの関係上、第1電極上に1層目の圧電体膜73を形成し、その後、第1電極60を圧電体膜73と共にパターニングするようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)を用いて説明したが、(Pb(Zr,Ti)O)にニオブやランタンなどの金属元素を加えた圧電素子であっても上述の調整膜を用いることで、組成傾斜を抑制することができる。
また、上述した実施形態では、流路形成基板10として、シリコン単結晶基板を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、SOI基板、ガラス等の材料を用いるようにしてもよい。
また、本発明は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに搭載される圧電素子の製造方法に限られず、他の装置に搭載される圧電素子の製造方法にも適用することができる。
I インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 リザーバー部、 32 圧電素子保持部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 第1電極、 70 圧電体層、 71 圧電体前駆体膜、 72 Ti含有量調整膜、 73 圧電体膜、 80 第2電極、 90 リード電極、 100 リザーバー、 110 流路形成基板用ウエハー、 120 駆動回路、 121 接続配線、 300 圧電素子

Claims (5)

  1. 液体を噴射するノズル開口に連通する液体流路が設けられた流路形成基板上に第1電極を形成する第1電極形成工程と、前記第1電極上に圧電体膜を形成して圧電体層とする圧電体層形成工程と、前記圧電体層の前記第1電極が形成された面とは反対側の面に第2電極を形成する第2電極形成工程とを備えた液体噴射ヘッドの製造方法であって、
    前記圧電体層形成工程が、
    第1電極上に、鉛(Pb)、チタン(Ti)及びジルコニウム(Zr)を少なくとも含む圧電体前駆体膜を成膜する前駆体膜成膜工程と、
    前記圧電体膜を構成する組成物の少なくとも一つを含有し、圧電体膜の組成を調整する圧電体組成調整膜を成膜する調整膜成膜工程と、
    前記圧電体前駆体膜及び前記圧電体組成調整膜を一括して焼成する焼成工程とを含むことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  2. 前記圧電体組成調整膜が、少なくともチタンを含有することを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  3. 前記圧電体層形成工程が、
    前記前駆体膜成膜工程と前記調整膜成膜工程とを複数回繰り返した後に焼成工程を行い、
    調整膜成膜工程では、前記圧電体組成調整膜におけるチタンの含有量を徐々に増して成膜することを特徴とする請求項2に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  4. 前記調整膜成膜工程では、前記圧電体組成調整膜を徐々に厚くして成膜することを特徴とする請求項3に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  5. 前記第1電極上に圧電体膜を形成して圧電体層とする圧電体層形成工程と、前記圧電体層の前記第1電極が形成された面とは反対側の面に第2電極を形成する第2電極形成工程とを備えた圧電素子の製造方法であって、
    前記圧電体層形成工程が、
    第1電極上に、鉛、チタン及びジルコニウムを少なくとも含む圧電体前駆体膜を成膜する前駆体膜成膜工程と、
    前記圧電体膜を構成する組成物の少なくとも一つを含有し、圧電体膜の組成を調整する圧電体組成調整膜を成膜する調整膜成膜工程と、
    前記圧電体前駆体膜及び前記圧電体組成調整膜を一括して焼成する焼成工程とを含むことを特徴とする圧電素子の製造方法。
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