JP2001297705A - 転写フィルム、フィルムロールおよびプラズマディスプレイパネル - Google Patents

転写フィルム、フィルムロールおよびプラズマディスプレイパネル

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JP2001297705A
JP2001297705A JP2000110845A JP2000110845A JP2001297705A JP 2001297705 A JP2001297705 A JP 2001297705A JP 2000110845 A JP2000110845 A JP 2000110845A JP 2000110845 A JP2000110845 A JP 2000110845A JP 2001297705 A JP2001297705 A JP 2001297705A
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thickness
transfer film
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acrylate
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Shiro Takahashi
至郎 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 巻芯に巻き取られた状態で保存する場合であ
っても、フィルム表面に押し跡を生じさせない転写フィ
ルム、フィルム表面に押し跡がない転写フィルムから構
成されるフィルムロール、および局部的な膜厚異常がな
く、膜厚の均一性と表面平滑性とに優れたプラズマディ
スプレイパネルを提供する。 【解決手段】 本発明の転写フィルムは、膜形成材料層
が支持フィルム上に形成されている長尺の転写フィルム
であって、長さ方向の一端側に薄肉部が形成されてな
る。本発明のフィルムロールは、前記転写フィルムが、
その一端側の薄肉部から巻芯に巻き取られてなる。本発
明のプラズマディスプレイパネルは、前記転写フィルム
を用いて形成された誘電体層を備えてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は転写フィルム、フィ
ルムロールおよびプラズマディスプレイパネルに関し、
さらに詳しくは、プラズマディスプレイパネルの誘電体
層などを形成するために好適に使用することができる転
写フィルム、フィルムロールおよびプラズマディスプレ
イパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】最近において、平板状の蛍光表示体とし
てプラズマディスプレイが注目されている。図1は交流
型のプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」と
もいう。)の断面形状を示す模式図である。同図におい
て、1および2は、対向配置されたガラス基板、3は隔
壁であり、ガラス基板1、ガラス基板2および隔壁3に
よりセルが区画形成されている。4はガラス基板1に固
定された透明電極、5は透明電極4の抵抗を下げる目的
で、当該透明電極4上に形成されたバス電極、6はガラ
ス基板2に固定されたアドレス電極、7はセル内に保持
された蛍光物質、8は透明電極4およびバス電極5を被
覆するようガラス基板1の表面に形成された誘電体層、
9はアドレス電極6を被覆するようガラス基板2の表面
に形成された誘電体層、10は例えば酸化マグネシウム
よりなる保護膜である。誘電体層8はガラス焼結体より
形成され、その膜厚は例えば20〜50μmとされる。
【0003】誘電体層8の形成方法としては、ガラス粉
末、結着樹脂および溶剤を含有するペースト状の組成物
(ガラスペースト組成物)を調製し、このガラスペース
ト組成物をスクリーン印刷法によってガラス基板1の表
面に塗布して乾燥することにより膜形成材料層を形成
し、次いでこの膜形成材料層を焼成することにより有機
物質を除去してガラス粉末を焼結させる方法が知られて
いる。
【0004】ここに、ガラスペースト組成物を構成する
結着樹脂としては、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導
体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポ
リエチレングリコール、ウレタン系樹脂、メラミン系樹
脂などが知られており、これらのうち、ガラス粉末の分
散性、組成物の塗布特性、燃焼の容易性などの観点か
ら、エチルセルロースが好ましいとされている(例えば
特開平6−321619号公報参照)。
【0005】しかして、ガラス基板1上に形成する膜形
成材料層の厚みは、焼成工程における有機物質の除去に
伴う膜厚の目減量を考慮して、通常、形成すべき誘電体
層8の膜厚の1.3〜2.0倍程度とすることが必要で
あり、例えば、誘電体層8の膜厚を20〜50μmとす
るためには、30〜100μm程度の厚みの膜形成材料
層を形成する必要がある。一方、前記ガラスペースト組
成物をスクリーン印刷法により塗布する場合に、1回の
塗布処理によって形成される塗膜の厚みは15〜25μ
m程度である。このため、膜形成材料層を所定の厚みと
するためには、ガラス基板の表面に対して、当該ガラス
ペースト組成物を複数回(例えば2〜7回)にわたり繰
り返して塗布(多重印刷)する必要がある。
【0006】しかしながら、スクリーン印刷法を利用す
る多重印刷によって膜形成材料層を形成する場合には、
当該膜形成材料層を焼成して形成される誘電体層が均一
な膜厚(例えば公差が±5%以内)を有するものとなら
ない。これは、スクリーン印刷法による多重印刷では、
ガラス基板の表面に対してガラスペースト組成物を均一
に塗布することが困難だからであり、塗布面積(パネル
サイズ)が大きいほど、また、塗布回数が多いほど誘電
体層における膜厚のバラツキの程度は大きいものとな
る。そして、多重印刷による塗布工程を経て得られるパ
ネル材料(当該誘電体層を有するガラス基板)には、そ
の面内において、膜厚のバラツキに起因する誘電特性に
バラツキが生じ、誘電特性のバラツキは、PDPにおけ
る表示欠陥(輝度ムラ)の原因となる。さらに、スクリ
ーン印刷法では、スクリーン版のメッシュ形状が膜形成
材料層の表面に転写されることがあり、このような膜形
成材料層を焼成して形成される誘電体層は、表面の平滑
性に劣るものとなる。
【0007】スクリーン印刷法によって膜形成材料層を
形成する場合における上記のような問題を解決する手段
として、本発明者らは、ガラスペースト組成物を支持フ
ィルム上に塗布し、塗膜を乾燥して膜形成材料層を形成
し、支持フィルム上に形成された膜形成材料層を、電極
が固定されたガラス基板の表面に転写し、転写された膜
形成材料層を焼成することにより、前記ガラス基板の表
面に誘電体層を形成する方法(以下、「ドライフィルム
法」という。)を含むPDPの製造方法を提案している
(特開平9−102273号公報参照)。ここに、ドラ
イフィルム法における転写工程の一例としては、支持フ
ィルム上に膜形成材料層が形成されてなる複合フィルム
(以下、「転写フィルム」という。)をガラス基板の表
面(電極固定面)に重ね合わせた後、当該転写フィルム
上に加熱ローラを移動させることにより、膜形成材料層
をガラス基板の表面に加熱接着させ、次いで、ガラス基
板の表面に接着固定された膜形成材料層から支持フィル
ムを剥離除去する方法を挙げることができる。そして、
このようなドライフィルム法を含むPDPの製造方法に
よれば、膜厚均一性および表面平滑性の良好な誘電体層
を形成することができる。また、この製造方法によれ
ば、誘電体層の形成材料である転写フィルムをロール状
に巻き取って保存することができる点からも有利であ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、長尺の
転写フィルムを巻芯に巻き取ってフィルムロールを製造
する場合において、当該転写フィルムの一端(巻き取り
はじめの端部)と巻芯の表面との段差(例えば50〜2
50μm)に起因して、当該段差上に積重される転写フ
ィルムの外表面(1〜50巻程度)に、その幅方向に伸
びる押し跡があらわれる。そして、転写フィルムの表面
にあらわれた押し跡は、膜形成材料層の焼成後に形成さ
れるガラス焼結体(誘電体層)の表面に残り、これに起
因して局部的な膜厚異常が発生し、最終的に得られるP
DPのパネル特性に悪影響を及ぼす、という問題があ
る。
【0009】本発明は以上のような事情に基いてなされ
たものである。本発明の第1の目的は、巻芯に巻き取ら
れた状態で保存する場合であっても、フィルム表面に押
し跡を生じさせない転写フィルムを提供することにあ
る。本発明の第2の目的は、巻芯に巻き取られた状態で
保存した後に使用する場合であっても、局部的な厚み異
常がなくてPDPの誘電体層として好適なガラス焼結体
を形成することができる転写フィルムを提供することに
ある。本発明の第3の目的は、無色透明性に優れたガラ
ス焼結体を形成することができる転写フィルムを提供す
ることにある。本発明の第4の目的は、転写性(ガラス
基板に対する膜形成材料層の加熱接着性)に優れた転写
フィルムを提供することにある。本発明の第5の目的
は、フィルム表面に押し跡がない転写フィルムから構成
されるフィルムロールを提供することにある。本発明の
第6の目的は、局部的な膜厚異常がなく、膜厚の均一性
および表面平滑性にも優れたPDPを提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の転写フィルム
は、膜形成材料層が支持フィルム上に形成されている長
尺の転写フィルムであって、長さ方向の一端側に薄肉部
が形成されてなることを特徴とする。
【0011】本発明の転写フィルムにおいては、フィル
ムの長さ方向に沿って前記薄肉部の厚みが段階的または
連続的に変化することが好ましい。
【0012】本発明のフィルムロールは、上記の転写フ
ィルムが、その一端側の薄肉部から巻芯に巻き取られて
なることを特徴とする。
【0013】本発明のプラズマディスプレイパネルは、
上記の転写フィルムを用いて形成された誘電体層を備え
てなることを特徴とする。
【0014】
【作用】〔1〕本発明の転写フィルムは、長さ方向の一
端側に薄肉部が形成されてなる。ここに、本発明の転写
フィルムにおける薄肉部以外の部分は、形成すべき誘電
体層等の膜厚に応じて規定された均一な厚みを有するフ
ィルム(以下「厚肉部」という。)である。そして、本
発明の転写フィルムを、薄肉部が形成されている一端側
から巻芯上に巻き取ることにより、本発明のフィルムロ
ール、すなわち当該転写フィルムにおける巻芯近傍の厚
みがその他の部分の厚みに比べて小さくなっている状態
のフィルムロールが構成される。ここに、本発明のフィ
ルムロールを構成する転写フィルムの厚肉部の厚みを
T、薄肉部の厚みをtとすると、当該転写フィルムの一
端と巻芯の表面との段差の大きさはtとなり、薄肉部と
厚肉部との段差(厚み変化に伴う段差)の大きさはT−
tとなる。これら2つの段差の大きさは、前記厚肉部を
構成するフィルムが直接巻芯に巻き取られるときに、当
該巻芯の表面との間に生じる段差の大きさTに比べて小
さい。このように、巻き取りはじめの部分として薄肉部
を介在させることによって、厚肉部を直接巻芯に巻き取
るときに生じる大きさTの段差をtとT−tとに分割す
ることができ、この結果、分割された各段差の上に積重
されるフィルムの表面(特に、前記厚肉部の表面)にお
いて当該段差に起因する押し跡の発生を抑制することが
できる。
【0015】〔2〕フィルムの長さ方向に沿って薄肉部
の厚みが段階的または連続的に変化(厚肉部に近づくに
従って厚みが増加)する転写フィルムを、前記薄肉部が
形成されている一端側から巻芯上に巻き取ることによ
り、本発明のフィルムロールが構成される。かかるフィ
ルムロールにおいて、これを構成する転写フィルムの一
端と巻芯の表面との段差の大きさは、薄肉部における最
小厚み(tmin )と一致し、薄肉部と厚肉部との段差の
大きさは、厚肉部の厚みと、薄肉部における最大厚み
(tma x )との差(T−tmax )と一致する。このよう
に、厚肉部が巻き取られるまでに生じる段差は、均一な
厚みの薄肉部を介在させる場合に比べてさらに小さいも
のとなる。この結果、これらの段差の上に積重されるフ
ィルムの表面において、当該段差に起因する押し跡の発
生を確実に抑制することができる。
【0016】〔3〕巻芯に巻き取られた状態で保存する
場合であっても、転写フィルムの表面に押し跡が生じな
いので、当該転写フィルムを用いて形成されるガラス焼
結体には、局部的な膜厚異常が発生しない。
【0017】
【発明の実施の形態】<転写フィルム>以下、本発明の
転写フィルムについて詳細に説明する。
【0018】図2は、本発明の転写フィルムの層構成の
一例を示す断面図である。図2に示す転写フィルムは、
PDPを構成する誘電体層を形成するために使用される
長尺(例えば50m以上)の複合フィルムであって、通
常、支持フィルムF1と、この支持フィルムF1の表面
に剥離可能に形成された膜形成材料層F2と、この膜形
成材料層F2の表面に剥離容易に設けられたカバーフィ
ルムF3とにより構成されている。このカバーフィルム
F3は、膜形成材料層F2の性質によって、また、転写
フィルムを巻回したロールの重量を削減させる必要があ
る場合には使用されないこともある。なお、支持フィル
ムF1と膜形成材料層F2との間および膜形成材料層F
2とカバーフィルムF3との間には、離型剤層が存在し
ていてもよい。
【0019】本発明の転写フィルムは、長さ方向の一端
側に薄肉部が形成されている点に特徴を有している。こ
こに、「薄肉部」とは、形成すべき誘電体層の膜厚など
に応じて規定された厚み(例えば50〜250μm)を
有する厚肉部に連結され、当該厚肉部よりも厚みの小さ
い部分をいう。すなわち、本発明の転写フィルムは、厚
肉部と、薄肉部とにより構成されている。
【0020】図3(1)〜(2)は、本発明の転写フィ
ルムの一例の縦断面の構成を模式的に示す説明図であ
る。図3(1)に示す転写フィルム31は、均一な厚み
tを有する薄肉部32と、均一な厚みTを有する厚肉部
33とが連結されて構成されている。このように、均一
な厚みを有する薄肉部を「一段構成の薄肉部」ともい
う。薄肉部32の厚みtは、例えば、25〜100μm
であって、厚肉部33の厚みTに対して、例えば10〜
60%の厚みとされ、好ましくは20〜50%の厚みと
される。薄肉部32の長さlは、薄肉部32の厚みtお
よび巻芯の曲率などによっても異なるが、例えば1〜1
0m(巻き数:3〜50)とされ、好ましくは2〜5m
とされる。なお、薄肉部32の長さlは、当該転写フィ
ルム31を巻芯に巻き取るときに、その一端(薄肉部3
2の端部)における段差D11と、薄肉部32と厚肉部3
3とによる段差D12とが重ならないようにすることが必
要である。転写フィルム31の長さLは、例えば100
mとされる。
【0021】図3(2)に示す転写フィルム35は、厚
みt1 を有する第1の薄肉部36と、厚みt2 を有する
第2の薄肉部37と、厚みTを有する厚肉部38とから
なる。このように、2つの厚み(t1 ,t2 )を有する
薄肉部を「二段構成の薄肉部」ともいう。第1の薄肉部
36の厚みt1 は、例えば、15〜70μmであって、
厚肉部38の厚みTに対して、例えば5〜40%の厚み
とされ、好ましくは10〜35%の厚みとされる。第2
の薄肉部37の厚みt2 は、例えば、30〜150μm
であって、厚肉部38の厚みTに対して、例えば10〜
80%の厚みとされ、好ましくは25〜70%の厚みと
される。第1の薄肉部36と第2の薄肉部37との合計
の長さ(l1 +l2 )は、それぞれの厚み(t1
2 )および巻芯の曲率などによっても異なるが、例え
ば1〜50m(巻き数:3〜50)とされ、好ましくは
2〜5mとされる。なお、第1の薄肉部36および第2
の薄肉部37の長さは、当該転写フィルム35を巻芯に
巻き取るときに、その一端(第1の薄肉部36の端部)
における段差D21と、第1の薄肉部36と第2の薄肉部
37とによる段差D22と、第2の薄肉部37と厚肉部3
8とによる段差D23とが、重ならないようにすることが
必要である。転写フィルム35の長さLは、例えば10
0mとされる。
【0022】図3(1)〜(2)に示したような構成の
転写フィルムの具体的寸法の一例を下記に示す。 (一段構成の薄肉部を有する転写フィルム) ・全長L:100m ・薄肉部(32)の厚みt:50μm ・薄肉部(32)の長さl:10m(巻き数:40) ・厚肉部(33)の厚みT:100μm ・厚み比(t/T) :50% ・巻芯の外径 :75mm
【0023】(二段構成の薄肉部を有する転写フィル
ム) ・全長L:100m ・第1の薄肉部(36)の厚みt1 :33μm ・第2の薄肉部(37)の厚みt2 :67μm ・第1の薄肉部(36)の長さl1 :5m(巻き数:2
0) ・第2の薄肉部(37)の長さl2 :5m(巻き数:2
0) ・厚肉部(38)の厚みT :100μm ・厚み比(t1 /T) :33% ・厚み比(t2 /T) :67% ・巻芯の外径 :75mm
【0024】本発明の転写フィルムの厚みを変化させる
方法としては、下記のような方法を例示することができ
る。 支持フィルムF1上に形成する膜形成材料層F2の
厚みを変化させる。 カバーフィルムF3の厚みを変化させる。 厚肉部のみにカバーフィルムF3を設ける。 支持フィルムF1の厚みを変更する。 支持フィルムF1と膜形成材料層F2との間、およ
び/または、膜形成材料層F2とカバーフィルムF3と
の間に塗布形成する離型剤層の厚みを変化させる。 なお、本発明の転写フィルムにおける薄肉部の厚みは、
連続的に変化するものであってもよい。その際、転写フ
ィルムの厚みを変化させる方法としては、上記、、
およびを挙げることができるが、特におよびが
簡便である。
【0025】転写フィルムを構成する支持フィルムは、
耐熱性および耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する
樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムが可
撓性を有することにより、ロールコーター、ブレードコ
ーターなどによって原料ガラスペーストを塗布すること
ができ、膜形成材料層をロール状に巻回した状態で保存
し、供給することができる。支持フィルムを形成する樹
脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリ
エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニ
ル、ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロ
ン、セルロースなどを挙げることができる。支持フィル
ムの厚みとしては、例えば20〜100μmとされる。
【0026】転写フィルムを構成するカバーフィルムと
しては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエ
チレンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムなど
を挙げることができる。
【0027】転写フィルムを構成する膜形成材料層は、
ガラスペースト組成物(以下、「原料ガラスペースト」
ともいう。)を前記支持フィルム上に塗布し、塗膜を乾
燥して溶剤の一部または全部を除去することにより形成
することができる。原料ガラスペーストを支持フィルム
上に塗布する方法としては、膜厚の大きい(例えば20
μm以上)塗膜を効率よく形成することができるもので
あることが好ましく、具体的には、ロールコーターによ
る塗布方法、ブレードコーターによる塗布方法、カーテ
ンコーターによる塗布方法、ワイヤーコーターによる塗
布方法などを好ましいものとして挙げることができる。
なお、原料ガラスペーストが塗布される支持フィルムの
表面には離型処理が施されていることが好ましい。これ
により、ガラス基板への転写工程において、支持フィル
ムの剥離操作を容易に行うことができる。
【0028】(原料ガラスペースト)以下、本発明の転
写フィルムを製造するときに使用する原料ガラスペース
トについて説明する。この原料ガラスペーストは、ガラ
ス粉末、結着樹脂および溶剤を含有してなり、シランカ
ップリング剤、可塑剤、その他の成分が含有されていて
もよい。
【0029】ガラス粉末:原料ガラスペーストを構成す
るガラス粉体としては、その軟化点が400〜600℃
の範囲内にあるものが好ましい。ガラス粉末の軟化点が
400℃未満である場合には、当該原料ガラスペースト
よりなる膜形成材料層の焼成工程において、結着樹脂な
どの有機物質が完全に分解除去されない段階でガラス粉
末が溶融してしまうため、形成される誘電体層中に有機
物質の一部が残留し、この結果、誘電体層が着色されて
光透過率が低下する傾向がある。一方、ガラス粉末の軟
化点が600℃を超える場合には、600℃より高温で
焼成する必要があるために、ガラス基板に歪みなどが発
生しやすい。好適なガラス粉末の具体例としては、
酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カルシウム(P
bO−B2 3 −SiO2 −CaO系)の混合物、
酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(ZnO−B2 3
−SiO2 系)の混合物、酸化鉛、酸化ホウ素、酸化
ケイ素、酸化アルミニウム(PbO−B2 3 −SiO
2 −Al2 3 系)の混合物、 酸化鉛、酸化亜鉛、
酸化ホウ素、酸化ケイ素(PbO−ZnO−B2 3
SiO2 系)の混合物などを例示することができる。
【0030】なお、原料ガラスペーストを構成するガラ
ス粉末は、以下の式(1)により定義される球形度が、
通常、0.2以上とされ、好ましくは0.5以上、さら
に好ましくは0.7以上とされる。
【0031】
【数1】
【0032】この式に含まれる投影面積および投影像
は、膜形成材料層の断面SEM写真などから容易に観測
することができる。なお、この球形度の定義は、粒径、
比表面積などと同じく広く粉体工学などで認識されてい
る粒子の特性を表す数値である。
【0033】原料ガラスペーストを構成するガラス粉末
の球形度が0.2未満である場合には、膜形成材料層の
表面にガラス粉末の角が露出して表面に凹凸が生じ、カ
バーフィルムの密着不良、転写の際の密着阻害による透
過率の低下、絶縁耐圧の低下等を引き起こす場合があ
る。
【0034】原料ガラスペーストを構成するガラス粉末
の平均粒子径は、通常、0.5〜3μm、好ましくは1
〜2.5μmである。ガラス粉末の平均粒子径が0.5
μm未満の場合には、得られる膜形成材料層を焼成処理
するときに、ガラス粉末の分散媒である結着樹脂などが
分解除去されにくくなり、最終的に形成される誘電体層
に有機物質が残留してしまう場合がある。そして、この
結果、当該ガラス焼結体が着色されたり、白濁したりし
て、無色透明性の著しい低下を招くことがある。一方、
ガラス粉末の平均粒子径が3μmを超える場合には、得
られる膜形成材料層上にクレーター状のへこみが多発し
やすく、これを焼成処理して形成される誘電体層が優れ
た表面平滑性(例えば中心線平均粗さRaの値が0.2
μm以下)を有するものとならない場合がある。なお、
ここで言う「ガラス粉末の平均粒子径」は、レーザー回
折散乱法により測定された粒子径から求められる値を指
すものとする。
【0035】原料ガラスペーストを構成するガラス粉末
の粒子径分布としては、粒子径が10μm以上である粒
子の割合が10重量%以下であることが好ましい。粒子
径が10μm以上である粗大粒子の割合が10重量%を
超える場合には、最終的に形成されるガラス焼結体が、
表面平滑性に劣るものとなる場合がある。また、ガラス
粉末の粒子径分布として、粒子径が0.7〜2.5μm
の範囲にある粒子の割合が40重量%以上であることが
好ましい。粒子径が0.7〜2.5μmの範囲にある粒
子の割合が40重量%未満である場合には、ガラス粉末
の粒度分布にバラつきが生じ、得られる転写フィルムの
フィルム強度が不均一になる場合があり、形成されるガ
ラス焼結体にひび割れが起こる場合がある。なお、「ガ
ラス粉末の粒子径分布」は、レーザー回折散乱法により
測定された粒子径から求められる値を指すものとする。
【0036】さらに、原料ガラスペーストを構成するガ
ラス粉末のBET比表面積は、1.0〜5.5m2 /g
の範囲にあることが好ましい。BET比表面積が1.0
2/g未満である場合には原料ガラスペーストにおけ
る結着樹脂の吸着面積が小さすぎて得られる転写フィル
ムのフィルム強度が小さくなるため、形成されるガラス
焼結体が基板から剥離したり、ひび割れが起こったりす
る場合がある。一方、BET比表面積が5.5m2 /g
を超える場合には、ガラス粉末と結着樹脂との吸着が強
すぎて、焼成処理の際に結着樹脂が除去されにくくな
り、ガラス焼結体に残留してしまう場合がある。
【0037】また、原料ガラスペーストを構成するガラ
ス粉末のBlain値は、3,000〜20,000c
2 /gの範囲にあることが好ましい。ここで、「Bl
ain値」とは、空気透過法により測定される比表面積
であり、一般に、凝集二次粒子の比表面積を表すと言わ
れている。ガラス粉末のBlain値が3,000未満
である場合には、原料ガラスペースト中に凝集二次粒子
が多く存在し、得られるガラス焼結体の表面平滑性に悪
影響を与える場合がある。一方、Blain値が20,
000を超える場合には、ガラス粉末と結着樹脂との吸
着が強すぎて、焼成処理の際に結着樹脂が除去されにく
くなり、ガラス焼結体に残留してしまう場合がある。
【0038】原料ガラスペースト中に占めるガラス粉末
の割合は、形成されるガラス焼結体(誘電体層)に更に
優れた無色透明性(高い光透過率)を付与するという観
点から、50重量%以上であることが好ましい。
【0039】結着樹脂:原料ガラスペーストを構成する
結着樹脂は、アクリル樹脂であることが好ましい。結着
樹脂としてアクリル樹脂が含有されていることにより、
形成される膜形成材料層には、ガラス基板に対する優れ
た(加熱)接着性が発揮される。従って、原料ガラスペ
ーストを支持フィルム上に塗布して転写フィルムを製造
する場合において、得られる転写フィルムは、膜形成材
料層の転写性(ガラス基板への転写性)に優れたものと
なる。かかるアクリル樹脂としては、適度な粘着性を有
してガラス粉末を結着させることができ、膜形成材料層
の焼成処理温度(400℃〜600℃)によって完全に
酸化除去される(共)重合体の中から選択される。かか
るアクリル樹脂には、下記一般式(1)で表される(メ
タ)アクリレート化合物の単独重合体、下記一般式
(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の2種以
上の共重合体、および下記一般式(1)で表される(メ
タ)アクリレート化合物と他の共重合性単量体との共重
合体が含まれる。
【0040】
【化1】
【0041】〔式中、R1 は水素原子またはメチル基を
示し、R2 は1価の有機基を示す。〕
【0042】上記一般式(1)で表される(メタ)アク
リレート化合物の具体例としては、メチル(メタ)アク
リレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メ
タ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)
アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペン
チル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレー
ト、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メ
タ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オ
クチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)ア
クリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノ
ニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレー
ト、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メ
タ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラ
ウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アク
リレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどの
アルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレー
ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアル
キル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)
アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピ
ル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メ
タ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリ
レート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2
−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキ
シエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル
(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メ
タ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチ
レングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプ
ロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポ
リプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニル
フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレ
ートなどのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレ
ート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチ
ルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペン
タニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メ
タ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)ア
クリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボル
ニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メ
タ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリ
レート;ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロ
フルフリル(メタ)アクリレートなどを挙げることがで
きる。これらのうち、上記一般式(1)中、R2 で示さ
れる基が、アルキル基またはオキシアルキレン基を含有
する基であることが好ましく、特に好ましい(メタ)ア
クリレート化合物として、メチル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イ
ソデシル(メタ)アクリレートおよび2−エトキシエチ
ル(メタ)アクリレートを挙げることができる。(メ
タ)アクリレート化合物との共重合に供される他の共重
合性単量体としては、上記(メタ)アクリレート化合物
と共重合可能な化合物であれば特に制限はなく、例えば
(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、ビ
ニルフタル酸などの不飽和カルボン酸類;ビニルベンジ
ルメチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレンなど
のビニル基含有ラジカル重合性化合物を挙げることがで
きる。本発明の転写フィルムにおける原料ガラスペース
トを構成するアクリル樹脂において、上記一般式(1)
で表される(メタ)アクリレート化合物由来の共重合成
分は、通常70重量%以上、好ましくは90重量%以
上、さらに好ましくは100重量%である。原料ガラス
ペーストを構成する結着樹脂の分子量としては、GPC
によるポリスチレン換算の重量平均分子量として2,0
00〜300,000であることが好ましく、さらに好
ましくは5,000〜200,000とされる。
【0043】原料ガラスペーストにおける結着樹脂の含
有割合としては、ガラス粉末100重量部に対して、5
〜40重量部であることが好ましく、さらに好ましくは
10〜30重量部とされる。結着樹脂の割合が過小であ
る場合には、ガラス粉末を確実に結着保持することがで
きず、一方、この割合が過大である場合には、焼成工程
に長い時間を要したり、形成されるガラス焼結体(誘電
体層)が十分な強度や膜厚を有するものとならなかった
りする。
【0044】溶剤:原料ガラスペーストを構成する溶剤
としては、ガラス粉末との親和性、結着樹脂の溶解性が
良好で、原料ガラスペーストに適度な粘性を付与するこ
とができると共に、乾燥されることにより容易に蒸発除
去できるものであることが好ましい。また、特に好まし
い溶剤として、標準沸点(1気圧における沸点)が10
0〜200℃であるケトン類、アルコール類およびエス
テル類(以下、これらを「特定溶剤」という。)を挙げ
ることができる。かかる特定溶剤の具体例としては、ジ
エチルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケト
ン、シクロヘキサノンなどのケトン類;n−ペンタノー
ル、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノー
ル、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール
モノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル
系アルコール類;酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの
飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸エ
チル、乳酸−n−ブチルなどの乳酸エステル類;メチル
セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
エチル−3−エトキシプロピオネートなどのエーテル系
エステル類などを例示することができ、これらのうち、
メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンア
ルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、
エチル−3−エトキシプロピオネートなどが好ましい。
これらの特定溶剤は、単独でまたは2種以上を組み合わ
せて使用することができる。特定溶剤以外の溶剤の具体
例としては、テレビン油、エチルセロソルブ、メチルセ
ロソルブ、テルピネオール、ブチルカルビトールアセテ
ート、ブチルカルビトール、イソプロピルアルコール、
ベンジルアルコールなどを挙げることができる。原料ガ
ラスペーストにおける溶剤の含有割合としては、当該原
料ガラスペーストの粘度を好適な範囲に維持する観点か
ら、ガラス粉末100重量部に対して、5〜50重量部
であることが好ましく、さらに好ましくは10〜40重
量部とされる。また、全溶剤に対する特定溶剤の含有割
合は、50重量%以上であることが好ましく、更に好ま
しくは70重量%以上とされる。
【0045】シランカップリング剤:原料ガラスペース
トにおいては、ガラス粉末の分散安定性の向上、形成さ
れる膜形成材料層における可撓性の向上などを目的とし
て、シランカップリング剤が含有されていてもよい。当
該シランカップリング剤としては、下記一般式(2)で
表されるシランカップリング剤〔飽和アルキル基含有
(アルキル)アルコキシシラン〕が好ましい。
【0046】
【化2】
【0047】(式中、pは3〜20の整数、mは1〜3
の整数、nは1〜3の整数、そしてaは1から3の整数
である。)
【0048】上記一般式(2)において、飽和アルキル
基の炭素数を示すpは3〜20の整数とされ、好ましく
は4〜16の整数とされる。pが3未満である飽和アル
キル基含有(アルキル)アルコキシシランを含有させて
も、得られる形膜形成材料層において十分な可撓性が発
現されない場合がある。一方、pの値が20を超える飽
和アルキル基含有(アルキル)アルコキシシランは分解
温度が高く、得られる膜形成材料層の焼成工程におい
て、有機物質(前記シラン誘導体)が完全に分解除去さ
れない段階でガラス粉末が溶融してしまうため、形成さ
れる誘電体層中に有機物質の一部が残留し、この結果、
誘電体層の光透過率が低下する場合がある。
【0049】上記一般式(2)で表されるシランカップ
リング剤の具体例としては、n−プロピルジメチルメト
キシシラン、n−ブチルジメチルメトキシシラン、n−
デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメ
チルメトキシシラン、n−イコサンジメチルメトキシシ
ランなどの飽和アルキルジメチルメトキシシラン類(a
=1,m=1,n=1);n−プロピルジエチルメトキ
シシラン、n−ブチルジエチルメトキシシラン、n−デ
シルジエチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチ
ルメトキシシラン、n−イコサンジエチルメトキシシラ
ンなどの飽和アルキルジエチルメトキシシラン類(a=
1,m=1,n=2);n−ブチルジプロピルメトキシ
シラン、n−デシルジプロピルメトキシシラン、n−ヘ
キサデシルジプロピルメトキシシラン、n−イコサンジ
プロピルメトキシシランなどの飽和アルキルジプロピル
メトキシシラン類(a=1,m=1,n=3);n−プ
ロピルジメチルエトキシシラン、n−ブチルジメチルエ
トキシシラン、n−デシルジメチルエトキシシラン、n
−ヘキサデシルジメチルエトキシシラン、n−イコサン
ジメチルエトキシシランなどの飽和アルキルジメチルエ
トキシシラン類(a=1,m=2,n=1);n−プロ
ピルジエチルエトキシシラン、n−ブチルジエチルエト
キシシラン、n−デシルジエチルエトキシシラン、n−
ヘキサデシルジエチルエトキシシラン、n−イコサンジ
エチルエトキシシランなどの飽和アルキルジエチルエト
キシシラン類(a=1,m=2,n=2);n−ブチル
ジプロピルエトキシシラン、n−デシルジプロピルエト
キシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルエトキシシラ
ン、n−イコサンジプロピルエトキシシランなどの飽和
アルキルジプロピルエトキシシラン類(a=1,m=
2,n=3);n−プロピルジメチルプロポキシシラ
ン、n−ブチルジメチルプロポキシシラン、n−デシル
ジメチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジメチル
プロポキシシラン、n−イコサンジメチルプロポキシシ
ランなどの飽和アルキルジメチルプロポキシシラン類
(a=1,m=3,n=1);n−プロピルジエチルプ
ロポキシシラン、n−ブチルジエチルプロポキシシラ
ン、n−デシルジエチルプロポキシシラン、n−ヘキサ
デシルジエチルプロポキシシラン、n−イコサンジエチ
ルプロポキシシランなどの飽和アルキルジエチルプロポ
キシシラン類(a=1,m=3,n=2);n−ブチル
ジプロピルプロポキシシラン、n−デシルジプロピルプ
ロポキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルプロポキ
シシラン、n−イコサンジプロピルプロポキシシランな
どの飽和アルキルジプロピルプロポキシシラン類(a=
1,m=3,n=3);
【0050】n−プロピルメチルジメトキシシラン、n
−ブチルメチルジメトキシシラン、n−デシルメチルジ
メトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシ
ラン、n−イコサンメチルジメトキシシランなどの飽和
アルキルメチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,
n=1);n−プロピルエチルジメトキシシラン、n−
ブチルエチルジメトキシシラン、n−デシルエチルジメ
トキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジメトキシシラ
ン、n−イコサンエチルジメトキシシランなどの飽和ア
ルキルエチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n
=2);n−ブチルプロピルジメトキシシラン、n−デ
シルプロピルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルプロ
ピルジメトキシシラン、n−イコサンプロピルジメトキ
シシランなどの飽和アルキルプロピルジメトキシシラン
類(a=2,m=1,n=3);n−プロピルメチルジ
エトキシシラン、n−ブチルメチルジエトキシシラン、
n−デシルメチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシル
メチルジエトキシシラン、n−イコサンメチルジエトキ
シシランなどの飽和アルキルメチルジエトキシシラン類
(a=2,m=2,n=1);n−プロピルエチルジエ
トキシシラン、n−ブチルエチルジエトキシシラン、n
−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエ
チルジエトキシシラン、n−イコサンエチルジエトキシ
シランなどの飽和アルキルエチルジエトキシシラン類
(a=2,m=2,n=2);n−ブチルプロピルジエ
トキシシラン、n−デシルプロピルジエトキシシラン、
n−ヘキサデシルプロピルジエトキシシラン、n−イコ
サンプロピルジエトキシシランなどの飽和アルキルプロ
ピルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=3);
n−プロピルメチルジプロポキシシラン、n−ブチルメ
チルジプロポキシシラン、n−デシルメチルジプロポキ
シシラン、n−ヘキサデシルメチルジプロポキシシラ
ン、n−イコサンメチルジプロポキシシランなどの飽和
アルキルメチルジプロポキシシラン類 (a=2,m=
3,n=1);n−プロピルエチルジプロポキシシラ
ン、n−ブチルエチルジプロポキシシラン、n−デシル
エチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジ
プロポキシシラン、n−イコサンエチルジプロポキシシ
ランなどの飽和アルキルエチルジプロポキシシラン類
(a=2,m=3,n=2);n−ブチルプロピルジプ
ロポキシシラン、n−デシルプロピルジプロポキシシラ
ン、n−ヘキサデシルプロピルジプロポキシシラン、n
−イコサンプロピルジプロポキシシランなどの飽和アル
キルプロピルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,
n=3);
【0051】n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブ
チルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラ
ン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−イコサ
ントリメトキシシランなどの飽和アルキルトリメトキシ
シラン類(a=3,m=1);n−プロピルトリエトキ
シシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシル
トリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシ
ラン、n−イコサントリエトキシシランなどの飽和アル
キルトリエトキシシラン類(a=3,m=2);n−プ
ロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリプロポキ
シシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキ
サデシルトリプロポキシシラン、n−イコサントリプロ
ポキシシランなどの飽和アルキルトリプロポキシシラン
類(a=3,m=3)などを挙げることができ、これら
は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用すること
ができる。
【0052】これらのうち、n−ブチルトリメトキシシ
ラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシ
ルトリメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシ
ラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−
ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシ
ラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−デシ
ルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジ
エトキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n
−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリ
プロポキシシランなどが特に好ましい。
【0053】原料ガラスペーストにおけるシランカップ
リング剤の含有割合としては、ガラス粉末100重量部
に対して、10重量部以下であることが好ましく、さら
に好ましくは0.001〜5重量部とされる。この割合
が過大である場合には、得られる原料ガラスペーストを
保存する際に粘度が経時的に上昇したり、シランカップ
リング剤同士で反応が起こり、焼成後の光透過率を下げ
る原因になったりする場合がある。
【0054】可塑剤:原料ガラスペーストには、形成さ
れる膜形成材料層に良好な可撓性と燃焼性とを発現させ
るために、可塑剤が含有されていてもよい。好ましい可
塑剤としては、下記一般式(3)または一般式(4)で
示される化合物からなる可塑剤、あるいはポリプロピレ
ングリコールが好ましい。
【0055】
【化3】
【0056】(式中、R3 およびR6 は、それぞれ、同
一または異なる炭素数1〜30のアルキル基を示し、R
4 およびR5 は、それぞれ、同一または異なるメチレン
基または炭素数2〜30のアルキレン基を示し、sは0
〜5の数であり、tは1〜10の数である。)
【0057】
【化4】
【0058】(式中、R7 は炭素数1〜30のアルキル
基またはアルケニル基を示す。)
【0059】可塑剤を含有する原料ガラスペーストより
なる膜形成材料層を備えた転写フィルムによれば、これ
を折り曲げても、当該膜形成材料層の表面に微小な亀裂
(ひび割れ)が発生するようなことはなく、また、当該
転写フィルムは柔軟性に優れたものとなり、これをロー
ル状に巻き取ることも容易に行うことができる。特に、
上記一般式(3)または(4)で示される化合物からな
る可塑剤は、熱により容易に分解除去されるため、当該
膜形成材料層を焼成して得られる誘電体層の光透過率を
低下させることはない。
【0060】上記一般式(3)において、R3 またはR
6 で示されるアルキル基、並びにR 4 またはR5 で示さ
れるアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であって
もよく、また、飽和基であっても不飽和基であってもよ
い。
【0061】R3 またはR6 で示されるアルキル基の炭
素数は、1〜30とされ、好ましくは2〜20、さらに
好ましくは4〜10とされる。当該アルキル基の炭素数
が30を超える場合には、本発明を構成する溶剤に対す
る可塑剤の溶解性が低下し、良好な可撓性が得られない
場合がある。
【0062】上記一般式(3)で示される化合物の具体
例としては、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペ
ート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エ
チルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケート、ジブチ
ルジグリコールアジペートなどが挙げられる。好ましく
は、nが2〜6で表される化合物である。
【0063】上記一般式(4)において、R7 は炭素数
1〜30のアルキル基またはアルケニル基を示し、R7
で示されるアルキル基およびアルケニル基は、直鎖状で
あっても分岐状であってもよく、また、飽和基であって
も不飽和基であってもよい。R7 で示されるアルキル基
またはアルケニル基の炭素数は、1〜30とされ、好ま
しくは2〜20、さらに好ましくは10〜18とされ
る。
【0064】上記一般式(4)で示される化合物の具体
例としては、プロピレングリコールモノラウレート、プ
ロピレングリコールモノオレートなどが挙げられる。
【0065】また、可塑剤としてポリプロピレングリコ
ールを用いる場合、かかるポリプロピレングリコールの
重量平均分子量(Mw)は、200〜3,000の範囲
にあることが好ましく、300〜2,000の範囲にあ
ることが特に好ましい。ポリプロピレングリコールのM
wが200未満である場合には、膜強度の大きい膜形成
材料層を支持フィルム上に形成することが困難になる場
合があり、当該膜形成材料層を備えてなる転写フィルム
を使用して行う転写工程において、ガラス基板に加熱接
着された膜形成材料層から支持フィルムを剥離しようと
すると、当該膜形成材料層が凝集破壊を起こすことがあ
る。一方、Mwが3,000を越える場合には、ガラス
基板との加熱接着性が良好な膜形成材料層が得られない
場合がある。
【0066】原料ガラスペーストにおける可塑剤の含有
割合としては、ガラス粉末100重量部に対して、通
常、20重量部以下、好ましくは0.1〜20重量部、
さらに好ましくは0.5〜10重量部とされる。
【0067】原料ガラスペーストには、上記の成分のほ
かに、分散剤、粘着性付与剤、表面張力調整剤、安定
剤、消泡剤、分散剤などの各種添加剤が任意成分として
含有されていてもよい。転写フィルムの膜形成材料層に
おける原料ガラスペーストの好ましい一例を示せば、酸
化鉛50〜80重量%、酸化ホウ素5〜20重量%、酸
化ケイ素10〜25重量%、酸化カルシウム5重量%を
有する混合物よりなるガラス粉末100重量部と、ブチ
ルメタクリレート/ヒドロキシプロピルメタクリレート
/2−エチルヘキシルメタクリレートの共重合体または
ポリブチルメタクリレート(アクリル樹脂)10〜30
重量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテル
(溶剤)10〜50重量部とを必須成分として含有する
原料ガラスペーストを挙げることができる。また、上記
原料ガラスペーストに、上記一般式(2)で表されるシ
ランカップリング剤0.1〜5重量部と、上記一般式
(3)または一般式(4)で表される化合物あるいはポ
リプロピレングリコールからなる可塑剤0.5〜10重
量部とを含有させるとさらに好ましい。
【0068】原料ガラスペーストは、上記ガラス粉末、
結着樹脂および溶剤並びに任意成分を、ロール混練機、
ミキサー、ホモミキサー、サンドミルなどの混練・分散
機を用いて混練することにより調製することができる。
ここに、ドライフィルム法による支持フィルムへの塗布
工程に供される原料ガラスペーストの粘度としては、3
00〜30,000cpであることが好ましい。
【0069】<フィルムロール>図4は、本発明のフィ
ルムロールを示す概略断面図である。同図に示すのフィ
ルムロール40は、転写フィルム41が、その一端側の
薄肉部42から円筒状の巻芯50に巻き取られてなるも
のである。すなわち、本発明のフィルムロール40は、
薄肉部42が先に巻芯50に巻き取られ、当該薄肉部4
2に続いて厚肉部が巻き取られることにより構成され
る。
【0070】転写フィルム41を構成する薄肉部42
は、図3(1)に示すように その厚みが均一な一段構
成のものであっても、図3(2)に示すように、厚肉部
に近い方の薄肉部(第2の薄肉部37)が、厚肉部から
遠い方の薄肉部(第1の薄肉部36)よりもその厚みが
大きい二段構成のものであってもよく、さらに、厚肉部
に近づくに従って、その厚みが段階的に大きくなる多段
構成のものであってもよい。ここに、薄肉部42の厚み
の変化が多いものほど、押し跡の抑制効果が大きくな
る。一方、転写フィルム41を構成する厚肉部は、その
厚みが均一なものである。
【0071】そして、転写フィルム41の一端を構成す
る薄肉部42の厚み(最小厚み)は、巻芯50の表面と
の段差を小さくする観点からは十分に小さいことが好ま
しいが、一段構成の薄肉部42であって、その厚みが過
小である場合には、当該薄肉部42と厚肉部との連結部
分における段差が過大となって、当該段差の上に積重さ
れるフィルム(厚肉部)の表面に段差のエッジによる押
し跡が生じてしまうおそれがある。このことから、フィ
ルムの厚み変化を、フィルムの長さ方向に散させるよ
う、薄肉部42の厚みは、他端側(厚肉部側)に向けて
段階的に増加するものであることが好ましい。
【0072】<プラズマディスプレイパネル>本発明の
プラズマディスプレイパネルは、図1に示すような構成
であって、その誘電体層は、本発明の転写フィルムを構
成する膜形成材料層を基板の表面に転写し、当該転写さ
れた膜形成材料層を焼結することにより、前記基板上に
形成されてなる。
【0073】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらによって限定されるものではない。な
お、以下において「部」は「重量部」を示すものとす
る。また、実施例および比較例において、測定方法およ
び評価方法は以下のとおりである。
【0074】〔ガラス粉末の平均粒子径〕ガラス粉末
0.5gに、純水50ccおよび中性洗剤3滴を加え、
超音波バス中で100Wで超音波予備分散を3分間行っ
た後、「SALD−2000J」(島津製作所製)を用
いて本体内蔵超音波(40W)を1分間当てて、レーザ
ー回折散乱法により、平均粒子径を測定した。
【0075】〔ガラス粉末の円摩度〕SEM用試料台上
に均一になるようにガラス粉末を噴霧し、SEMにより
ランダムに観測しながら1000個の粒子の写真を撮影
した。この写真から粒子の凸部の全数、凸部の曲率半
径、最大内接円の半径を測定し、下記式(2)に従って
円摩度を求め、1000個の粒子の円摩度の平均を求め
た。
【0076】
【数2】式(2) 円摩度=(r1+r2+r3+・・・・)/(R×N)
【0077】r1+r2+r3+・・・・:粒子の輪郭
における凸部の曲率半径の和 R:最大内接円の半径 N:凸部の全個数
【0078】〔ガラス粉末の球形度〕SEM用試料台上
に均一になるようにガラス粉末を噴霧し、SEMにより
ランダムに観測しながら1000個の粒子の写真を撮影
した。この写真から、1000個の粒子の各々につい
て、投影面積を測定して当該面積に等しい円の直径を算
出するとともに、当該粒子の投影像に外接する最小円の
直径を測定し、上記の式(1)に従って球形度を求め、
1000個の粒子の球形度の平均を算出した。
【0079】〔ガラス粉末のBET比表面積〕ガラス粉
末をサンプルセルに入れ、200℃で60分間脱気処理
を行った。その後、BET比表面積測定装置「GEMI
NI2360」(島津製作所製)を用い、吸着ガスを窒
素とし、キャリアガスをヘリウムとして、BET1点法
により、BET比表面積を算出した。
【0080】〔結着樹脂の重量平均分子量(Mw)〕ゲ
ルパーミィエーションクロマトグラフィー(GPC)
「HLC−802A」(東ソー株式会社製)により、ポ
リスチレン換算の重量平均分子量を測定した。
【0081】〔誘電体層のRa中心線平均粗さおよび膜
厚〕表面形状測定装置「アルファステップ500」(テ
ンコールインスツルメンツ(株)製)を用い、針圧5.
8mg、スキャンスピード100μm/秒、スキャン処
理2000μmで誘電体層の表面をスキャンして、Ra
中心線平均粗さ(Ra)および膜厚を求めた。
【0082】〔誘電体層の透過率〕透過率測定装置「カ
ラーアナラーザーTC−1800M」(東京電色(株)
製)を用い、測定面積1mm、測定波長550nmで、
誘電体層の透過率を測定した。
【0083】<実施例1> (1)原料ガラスペーストの調製:下記表1に示す処方
に従って、PbO−B2 3 −SiO2 −CaO系(酸
化鉛60重量%、酸化ホウ素10重量%、酸化ケイ素2
5重量%、酸化カルシウム5重量%)のガラス粉末10
0部、結着樹脂として、ブチルメタクリレートとヒドロ
キシプロピルメタクリレートと2−エチルヘキシルメタ
クリレートとを共重合させて得られたアクリル樹脂(共
重合割合:ブチルメタクリレート/ヒドロキシプロピル
メタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート=
30/10/60(重量比)、Mw:80,000)2
3部、シランカップリング剤として、n−ブチルトリメ
トキシシラン1部、可塑剤として、下記式(a)で示さ
れる化合物(プロピレングリコールモノオレート)2.
5部、および溶剤として、プロピレングリコールモノメ
チルエーテル10部を分散機を用いて混練することによ
り、粘度が2,000cpである原料ガラスペーストを
調製した。
【0084】
【化5】
【0085】(2)転写フィルムの製造:上記(1)で
調製した原料ガラスペーストを、予め離型処理されたポ
リエチレンテレフタレート(PET)よりなる支持フィ
ルム(幅400mm、長さ100m、厚み38μm)上
にロールコータを用いて塗布した。ここに、原料ガラス
ペーストの塗布量は、前記支持フィルムの一端から0〜
10mの範囲に形成される膜形成材料層の厚みが25μ
mとなり、当該支持フィルムの一端から10〜100m
の範囲に形成される膜形成材料層の厚みが50μmとな
るように調整した。その後、形成された塗膜を120℃
で5分間乾燥することにより溶剤を除去して膜形成材料
層を形成した。次いで、この膜形成材料層上に、予め離
型処理したPETよりなるカバーフィルム(幅400m
m、長さ100m、厚み25μm)を貼りつけることに
より、図3(1)に示したような断面構成を有し、厚み
88μmの薄肉部(0〜10m)と、厚み113μmの
厚肉部(10〜100m)とからなる本発明の転写フィ
ルムを製造した。このようにして得られた転写フィルム
について、膜形成材料層の表面状態を顕微鏡を用いて観
察したところ、ガラス粉末の凝集物、筋状の塗装跡、ク
レーター、ピンホールなどの膜欠陥は認められなかっ
た。その後、上記転写フィルムを、10Kgの巻き取り
張力で、前記薄肉部から巻芯(外径31.4mm)に巻
き取ることにより、本発明のフィルムロールを製造し
た。
【0086】(3)膜形成材料層の評価と転写:上記
(2)で製造した本発明のフィルムロールを25℃で2
週間保存した後、転写フィルムを全長(100m)にわ
たって引き出し、その表面を目視によって観察したとこ
ろ、当該転写フィルムの一端(薄肉部端部)と巻芯の表
面との段差(D11)および薄肉部と厚肉部とによる段差
(D12)の何れに起因する押し跡も確認されなかった。
なお、目視では確認できない段差に起因する局部的な厚
み異常の有無を調べるために、当該転写フィルムの厚み
を全長にわたり測定したところ、そのような段差に起因
する局部的な厚み異常も認められなかった。
【0087】(4)膜形成材料層の転写:上記(2)で
製造した本発明のフィルムロールからカバーフィルムを
剥離した後、20インチパネル用のガラス基板の表面
(透明電極の固定面)に、厚肉部における膜形成材料層
の表面が当接されるよう、当該転写フィルム(支持フィ
ルムと膜形成材料層との積層体)を重ね合わせ、この転
写フィルムを加熱ロールにより熱圧着した。また、圧着
条件としては、加熱ロールの表面温度を110℃、ロー
ル圧を3kg/cm2 、加熱ロールの移動速度を1m/
分とした。熱圧着処理の終了後、膜形成材料層から支持
フィルムを剥離除去した。これにより、ガラス基板の表
面に膜形成材料層が転写されて密着した状態となった。
なお、ガラス基板の表面に圧着された転写フィルムの肉
厚部としては、当該転写フィルムの一端と巻芯表面との
段差の上に積重された部分を含むものである。
【0088】(5)膜形成材料層の焼成処理:上記
(4)により膜形成材料層を転写形成したガラス基板を
焼成炉内に配置し、炉内の温度を、常温から10℃/分
の昇温速度で560℃まで昇温し、560℃の温度雰囲
気下30分間にわたって焼成処理することにより、ガラ
ス基板の表面に、無色透明なガラス焼結体よりなる誘電
体層を形成した。
【0089】(6)誘電体層の評価:上記(5)により
形成された誘電体層を目視で観察したところ、ひび割
れ、基板からの剥離などの欠陥は認められなかった。こ
の誘電体層の膜厚(平均膜厚および公差)を測定したと
ころ20μm±1.0μmの範囲にあり、膜厚の均一性
に優れているものであった。また、この誘電体層の中心
線平均粗さ(Ra)を測定したところ0.15μmであ
り、表面平滑性に優れていることが確認された。さら
に、この誘電体層の膜厚を精密に測定したところ、段差
に起因する膜厚異常は認められなかった。さらに、この
ようにして、誘電体層を有するガラス基板よりなるパネ
ル材料を5台分作製し、形成された誘電体層の光透過率
を測定したところ90%であり、良好な透明性を有する
ものであることが認められた。
【0090】<実施例2〜3および比較例1〜2>下記
表1に示す処方に従って、原料ガラスペーストの配合お
よび転写フィルムの形状の少なくとも1つを変更したこ
と以外は実施例1と同様にして、本発明の転写フィルム
(フィルムロール)および比較用の転写フィルム(フィ
ルムロール)を作製した。このようにして得られた転写
フィルムの各々を構成する膜形成材料層、および、転写
フィルムの各々を使用して形成された誘電体層(パネ
ル)について、実施例1と同様にして評価した。結果を
併せて下記表1に示す。ここに、比較例1に係る転写フ
ィルムは、全長にわたって同一の厚み(113μm=3
8μm+50μm+25μm)を有する転写フィルムで
あり、比較例2に係るフィルムは、巻き取りはじめの端
部となる一端部の厚みが、他端部の厚みよりも大きい転
写フィルムである。
【0091】
【表1】
【0092】
【発明の効果】本発明の転写フィルムによれば、巻芯に
巻き取られた状態で保存する場合であっても、フィルム
表面に押し跡が生じない。従って、本発明の転写フィル
ムによれば、局部的な厚み異常がなくてPDPの誘電体
層として好適なガラス焼結体を形成することができる。
本発明のフィルムロールによれば、厚肉部を直接巻芯に
巻き取るときに生じる段差の大きさ(T)を(t)と
(T−t)とに分割することができ、分割された各段差
の上に積重されるフィルムの表面において、段差に起因
する押し跡の発生を抑制することができる。本発明のプ
ラズマディスプレイパネルは、これを構成する誘電体層
において、局部的な膜厚異常がなく、当該誘電体層の膜
厚の均一性および表面平滑性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】交流型のプラズマディスプレイパネルの断面形
状を示す模式図である。
【図2】本発明の転写フィルムの層構成の一例を示す断
面図である。
【図3】本発明の転写フィルムの縦断面の構成を模式的
に示す説明図である。
【図4】本発明のフィルムロールを示す概略断面図であ
る。
【符号の説明】
1 ガラス基板(前面基板) 2 ガラス基板(背面基板) 3 隔壁 4 透明電極 5 バス電極 6 アドレス電極 7 蛍光物質 8 誘電体層(前面基板) 9 誘電体層(背面基板) 10 保護膜 F1 支持フィルム F2 膜形成材料層 F3 カバーフィルム 31 転写フィルム 32 薄肉部 33 厚肉部 35 転写フィルム 36 第1の薄肉部 37 第2の薄肉部 38 厚肉部 40 フィルムロール 41 転写フィルム 42 薄肉部 50 巻芯

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜形成材料層が支持フィルム上に形成さ
    れている長尺の転写フィルムであって、長さ方向の一端
    側に薄肉部が形成されてなることを特徴とする転写フィ
    ルム。
  2. 【請求項2】 フィルムの長さ方向に沿って前記薄肉部
    の厚みが段階的または連続的に変化することを特徴とす
    る請求項1に記載の転写フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の転写フィ
    ルムが、その一端側の薄肉部から巻芯に巻き取られてな
    ることを特徴とするフィルムロール。
  4. 【請求項4】 請求項1又は請求項2に記載の転写フィ
    ルムを用いて形成された誘電体層を備えてなることを特
    徴とするプラズマディスプレイパネル。
JP2000110845A 2000-04-12 2000-04-12 転写フィルム、フィルムロールおよびプラズマディスプレイパネル Withdrawn JP2001297705A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007294435A (ja) * 2006-03-28 2007-11-08 Toray Ind Inc プラズマディスプレイ用硝子粉体含有ペースト組成物、及びそれを用いた転写フィルム

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