JP2001294930A - 加圧転炉のスロッピング抑制方法、および製鋼方法 - Google Patents

加圧転炉のスロッピング抑制方法、および製鋼方法

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JP2001294930A JP2000113050A JP2000113050A JP2001294930A JP 2001294930 A JP2001294930 A JP 2001294930A JP 2000113050 A JP2000113050 A JP 2000113050A JP 2000113050 A JP2000113050 A JP 2000113050A JP 2001294930 A JP2001294930 A JP 2001294930A
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Naoto Sasaki
直人 佐々木
Kenichiro Naito
憲一郎 内藤
Shinya Kitamura
信也 北村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スロッピングを抑制し、高い生産性と高い歩
留まりで溶鋼を吹錬することを可能とする方法を提供す
ることを課題とする。 【解決手段】 加圧転炉内の炉内圧力Peを吹錬中の全
部又は一部の期間にわたって大気圧よりも高圧に設定し
て溶鉄を吹錬する際に、底吹き攪拌による均一混合時間
τ(s)と、溶鉄の浴深L0(mm)と、上吹きガスにより
溶鉄表面に形成されるキャビティー深さL(mm)との関
係式で表されるパラメータαが400以下になるように
して、スロッピングを抑制しつつ吹錬を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い生産性と高い
歩留まりで溶鋼を吹錬することを可能とする、スロッピ
ングの抑制方法および転炉製鋼法に関する。
【0002】
【従来の技術】転炉炉内に圧力を付与して精錬すること
は、以下のように公知となっている。特開平2−205
616号公報には、転炉内を0.15(MPa)(特開平2−
205616号公報ではゲージ圧で0.5(kgf/cm2)と
記載されているが、本明細書では絶対圧で記載している
ため絶対圧で単位を「MPa」に換算した)以上に加圧
し、転炉内への溶鉄とスクラップの総装入量W(t/ch)と
転炉鉄皮内容積V(m3)との関係をW>0.8Vとする方
法、及び、0.8V≧W≧0.5Vとし、かつ、炉内への送酸
速度U(Nm3/min/t)をU≧3.7とする方法が開示されて
いる。しかし、特開平2−205616号公報にはスロ
ッピングに関する記載は一切なされていない。
【0003】また、このような「加圧型転炉」に適用で
きる上吹き吹錬方法として、特開平4−160109号
公報には、ラバールノズルから噴射される酸素ジェット
のマッハ数が、ある関係を満足するようにノズル入り側
圧および転炉内雰囲気圧を調整しつつ、精錬を行う方法
が開示されている。しかし、特開平4−160109号
公報には、スロッピングに関する記載は一切なされてい
ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、転炉炉
内に圧力を付与して精錬することは公知であるが、転炉
炉内を加圧して精錬すると、吹錬初期の昇圧期と、吹錬
末期の復圧期に激しいスロッピングが発生じる場合があ
り、安定した加圧吹錬が困難であるという問題があっ
た。本発明は、従来技術のみでは安定した加圧吹錬をな
しえないという問題点を解決し、高い生産性と高い歩留
まりで溶鋼を吹錬することを可能とする方法を提供する
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は以下の各
方法にある。 (I)加圧転炉内の炉内圧力Peを吹錬中の全部又は一部
の期間にわたって大気圧よりも高圧に設定して溶鉄を吹
錬する際に、底吹き攪拌による均一混合時間τ(s)
と、溶鉄の浴深L0(mm)と、上吹きガスにより溶鉄表
面に形成されるキャビティー深さL(mm)とで表される
下記式(1)のパラメータαを400以下とすることを
特徴とする加圧転炉のスロッピング抑制方法。 α=τ/(L/L0) ・・・・ (1) (II)送酸開始後の昇圧時に、上吹き送酸速度F(Nm3/
Hr/t)と炉内圧力Pe(Pa)との比(F/Pe)が1000〜
3000の範囲となるように、炉内圧力Peの上昇に伴い上
吹き送酸速度Fを増大させつつ、前記均一混合時間τ
(s)と前記キャビティー深さL(mm)を制御すること
を特徴とする、前記(I)に記載の加圧転炉のスロッピ
ング抑制方法。 (III)吹錬末期の復圧時に、上吹き送酸速度F(Nm3/H
r/t)と炉内圧力Pe(Pa)との比(F/Pe)が1000〜3
000の範囲となるように、炉内圧力の低下に伴い上吹き
送酸速度を低下させつつ、前記均一混合時間τ(s)と
前記キャビティー深さL(mm)を制御することを特徴と
する、前記(I)に記載の加圧転炉のスロッピング抑制
方法。 (IV)上底吹き式の加圧転炉内の炉内圧力Peを吹錬中
の全部又は一部の期間にわたって大気圧よりも高圧に設
定して溶鉄を吹錬する製鋼方法であって、底吹き攪拌に
よる均一混合時間τ(s)と、溶鉄の浴深L0(mm)と、
上吹きガスにより溶鉄表面に形成されるキャビティー深
さL(mm)とで表される下記式(1)のパラメータαを
400以下に調整して吹錬することを特徴とする、加圧
転炉を用いる製鋼方法。 α=τ/(L/L0) ・・・・ (1)
【0006】
【発明の実施の形態】通常、加圧転炉の操業は、まず大
気圧で上吹きランスを降下し着火を確認後、炉口締結装
置を降下し転炉炉口に着地させた上で締結し、発生する
COガスにより炉内圧を徐々に加圧しつつ、送酸速度を
上昇させて行く昇圧期と、引き続き、一定の炉内圧と送
酸速度で脱炭する定常期、徐々に炉内圧を開放しつつ、
送酸速度を低下させて行く復圧期の3つの期間から成り
立つ。本発明者らは3トン規模の加圧転炉を用いた実験
の結果、吹錬初期の昇圧期と、吹錬末期の復圧期に激し
いスロッピングが発生することを経験した。本発明者ら
は、このスロッピングの原因を検討した結果、以下の
1)、2)に示すような原因によるものと考えた。
【0007】1)昇圧期のスロッピングは、吹錬開始時
の低温状態で生成したFeOが、昇温されるに従い溶鉄
中の炭素で還元されて急激なCOガスを発生させること
が原因であり、FeOの生成は、炉内圧、攪拌力とキャ
ビティー深さに支配される。
【0008】2)復圧期のスロッピングは、復圧に伴い
CO分圧が低下するため、それまでに生成していたFe
Oが還元されて急激なCOガスを発生させることが原因
であり、この場合にも、FeOの生成は、炉内圧、攪拌
力とキャビティー深さに支配される。
【0009】いずれの場合においても、FeOの生成を
制御することが重要であり、炉内圧、攪拌力とキャビテ
ィー深さを適正に制御する必要がある。ここで特に重要
な点は送酸速度は直接的にはスロッピングを引き起こす
FeOの生成には寄与しない点である。
【0010】請求項1に記載の発明は、このFeOの生
成を回避する条件を規定したものであり、(1)式で示
されるαを400以下とすることにある。 α=τ/(L/L0) ・・・・ (1) ここで、底吹き攪拌による均一混合時間τ(s)は以下
の各式で計算される値である。 τ=(10/60)×{((D/10)2/(L0/10))2×ε}0.337 ・・・・ (2)
【0011】
【数1】
【0012】ここで、Dは浴直径(mm)、L0は浴深さ
(mm)、Qは攪拌ガス流量(Nm3/sec/t)、Tは溶銑温
度(K)、ρは溶鉄の密度( g/cm3 )、Hは攪拌ガス吹
き込み深さでありL0と同一である。また、Peは炉内
雰囲気圧(MPa)である。ただし、Qは酸素ガスの場合
には脱炭反応を考慮して供給ガス流量の2倍とし、LP
Gの場合は分解を考慮して供給ガス流量の4倍とした。
【0013】また、L(mm)は次式で計算する。 L3+2x・L2+x2・L−(Hc2・10Pe)/(2.56×10-4) =0 ・・・(4) ここで、 Hc = f{(Po/Pe)/(Pop/Pep)}・Hcp ・・・(5) Po=F/(0.456・n・dt2)/10 ・・・(6)
【0014】
【数2】
【0015】 Hcp= Mp・(4.2+1.1Mp2)・dt ・・・(8) de/dt=[(1/Mp)・{(1+0.2Mp2)/1.2}3 ]1/2 ・・・(9) Pop/Pep={(Mp2/5)+1}7/2 ・・・(10) ここで、上記式中、 Hc:ジェットコア長さ(mm) x:ランス−溶鋼湯面間距離(mm) Po:ノズル入り側圧(MPa) Pe:炉内雰囲気圧(MPa) Pop/Pep:適正膨張時のノズル入り側圧と炉内雰囲気
圧の比(-) Hcp:適正膨張時のジェットコア長さ(mm) Mp:適正膨張時のマッハ数(-) dt:ノズルスロート径(mm) de:ノズル出口径(mm) n:ノズル孔数(-) F:送酸速度(Nm3/hr) である。
【0016】即ち、指標Lはノズル設計条件(ノズルス
ロート径(mm),ノズル出口径(mm),ノズル孔数(-))、
炉内雰囲気圧(MPa)、送酸速度(Nm3/hr)、ランス−溶鋼
湯面間距離(mm)により、一義的に決まる値である。
【0017】αが400よりも大きい場合にはFeOの
生成が抑制できずに、図1に示すように激しいスロッピ
ングを引き起こす確率が急激に高まる。したがって、α
は400以下になるようにする。また、スロッピングの
発生を抑制するためには、より好ましくはαは300以
下である。αの下限は、スロッピング抑制という観点か
らは特に規定しないものの、50よりも小さい場合には、
攪拌力が必要以上に大きく、ランスが必要以上に湯面に
近いため、ランス溶損が起こりやすくなる。
【0018】また、「大気圧よりも高圧」の上限は設備
改造費を抑制するため0.5(MPa)とすることが望まし
い。下限は生産性向上効果やダスト低減効果を得るた
め、0.15(MPa)とすることが望ましい。
【0019】請求項2に記載された発明は、昇圧時の制
御方法について規定したものである。つまり、送酸開始
後の昇圧時に、上吹き送酸速度Fと炉内圧力Peとの比
(F/Pe)を1000〜3000の範囲とした上で、炉内圧力の
増加に伴い上吹き送酸速度を増大させ、また、送酸速度
の増加に伴いランス高さを制御して、均一混合時間τ
と、上吹きガスにより溶鉄表面に形成されるキャビティ
ー深さLを制御して、αが400以下になるように調整
する方法である。ここで、(F/Pe)が1000よりも小さ
い場合には、送酸速度の上昇速度が小さすぎるため生産
性が低下し、3000よりも大きい場合には、送酸速度の上
昇速度が大きすぎるためダストやスプラッシュが増加す
る。また、ランス高さとは、ランス先端と溶鋼湯面間の
距離である。ここで昇圧期とは、炉内雰囲気圧を大気圧
から設定圧に向けて変化させはじめた時を開始点とし、
炉内雰囲気圧が設定圧に到達し、変化させる操作を終了
した時点を終点とする。
【0020】請求項3に記載された発明は、吹錬末期の
復圧時の制御方法について規定したものである。つま
り、上吹き送酸速度(F)と炉内圧力(Pe)との比(F/P
e)を1000〜3000の範囲とした上で、炉内圧力の低下に伴
い上吹き送酸速度を低下させつつ、また、送酸速度の低
下に伴いランス高さを制御して、均一混合時間τと、上
吹きガスにより溶鉄表面に形成されるキャビティー深さ
Lを制御して、αが400以下になるように調整する方
法である。ここで、(F/Pe)が1000よりも小さい場合
には、送酸速度の低下速度が大きすぎるためダストやス
プラッシュが増加し、3000よりも大きい場合には、送酸
速度の低下速度が小さすぎるため生産性が低下する。こ
こで復圧期とは、炉内雰囲気圧を大気圧よりも高圧の設
定圧から変化させ始める時を開始点とし、炉内雰囲気圧
が大気圧に到達し、変化させる操作を終了した時点を終
点とする。
【0021】以上説明した本発明のスロッピング抑制方
法を適用することにより、スロッピングの発生を抑制し
つつ、製鋼を行うことができる。すなわち、上記本発明
のスロッピング抑制方法を適用した加圧転炉での製鋼方
法が提供される。本発明の製鋼方法は、上記のようにし
てスロッピングが抑制されるので、歩留まりが高く生産
性の高い製鋼方法である。
【0022】
【実施例】実施例は3トン規模の上底吹き転炉を用いて
実施した。
【0023】上吹きランスはスロート径7.6 mmφ、出口
径11.3 mmφの4孔のラバールノズルを用い、最大炉内雰
囲気圧を2kgf/cm2、酸素供給速度は脱炭最盛期で400 Nm
3/Hr/tとした。底吹きはArガスを8〜16 Nm3/Hr供給し
た。以下の組成で約1350℃の溶銑を装入した後、上
吹きランスより吹酸し脱炭した。試験は30 ch行った。 <溶銑の組成> C :4.0〜4.3% Si:0.07〜0.15% Mn:0.12〜0.16% P :0.015〜0.025% S :0.005〜0.010% 図2に炉内雰囲気圧を最大0.2 MPaとした時の操業パタ
ーンの例を示す。この試験では、湯面からのランス高さ
470 mmにて送酸速度600 Nm3/Hrで吹酸を開始した。この
時の底吹き流量は8 Nm3/Hrで、τ/(L/L0) 、すなわ
ちαは119、F/Pe は1940であった。着火を確認後、
排ガス回収装置(OG)のフードを降下し、炉口と締結して
炉内加圧を開始した。炉内雰囲気を0.2 MPaに昇圧後の
送酸速度は1200 Nm3/Hr、ランス高さは700 mm、底吹き
流量は16 Nm3/Hrで、この昇圧中、τ/(L/L0) を119
〜107、F/Peを1940一定に保持するよう、ランス高さ
と送酸速度及び底吹き流量を制御した。2kgf/cm2に昇
圧後、炭素濃度が約1.0 %に減少するまで、送酸速度、
ランス高さ及び底吹き流量を一定に保った。
【0024】炭素濃度が約1.0 %に減少した時点で、送
酸速度を960 Nm3/Hr、ランス高さを550 mmに下げ、その
後さらに炭素濃度が0.6 %まで低下した時点で復圧を開
始した。復圧後の送酸速度は480 Nm3/Hr、ランス高さは
350 mm、底吹き流量は8 Nm3/Hrであった。この復圧中
も、τ/(L/L0)を112〜120、F/Peを1550一定に保
持するよう、ランス高さと送酸速度及び底吹き流量を制
御した。
【0025】このような操業を行った結果、30 ch全て
の試験で、スロッピングを生じることなく吹錬が出来
た。
【0026】
【発明の効果】本発明によりスロッピングの発生を抑制
して、高い生産性と高い歩留まりで溶鋼を吹錬すること
が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】αを変更したときの、試験回数に対するスロッ
ピングした回数の割合を示す図。
【図2】τ/(L/L0)、F/Peを一定に保った操業
の例を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北村 信也 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 Fターム(参考) 4K002 AC07 AC10 AD02 AE03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加圧転炉内の炉内圧力Peを吹錬中の全
    部又は一部の期間にわたって大気圧よりも高圧に設定し
    て溶鉄を吹錬する際に、底吹き攪拌による均一混合時間
    τ(s)と、溶鉄の浴深L0(mm)と、上吹きガスにより
    溶鉄表面に形成されるキャビティー深さL(mm)とで表
    される下記式(1)のパラメータαを400以下とする
    ことを特徴とする加圧転炉のスロッピング抑制方法。 α=τ/(L/L0) ・・・・ (1)
  2. 【請求項2】 送酸開始後の昇圧時に、上吹き送酸速度
    F(Nm3/Hr/t)と炉内圧力Pe(Pa)との比(F/Pe)
    が1000〜3000の範囲となるように、炉内圧力Peの上昇
    に伴い上吹き送酸速度Fを増大させつつ、前記均一混合
    時間τ(s)と前記キャビティー深さL(mm)を制御す
    ることを特徴とする、請求項1に記載の加圧転炉のスロ
    ッピング抑制方法。
  3. 【請求項3】 吹錬末期の復圧時に、上吹き送酸速度F
    (Nm3/Hr/t)と炉内圧力Pe(Pa)との比(F/Pe)が
    1000〜3000の範囲となるように、炉内圧力の低下に伴い
    上吹き送酸速度を低下させつつ、前記均一混合時間τ
    (s)と前記キャビティー深さL(mm)を制御すること
    を特徴とする、請求項1に記載の加圧転炉のスロッピン
    グ抑制方法。
  4. 【請求項4】 上底吹き式の加圧転炉内の炉内圧力Pe
    を吹錬中の全部又は一部の期間にわたって大気圧よりも
    高圧に設定して溶鉄を吹錬する製鋼方法であって、底吹
    き攪拌による均一混合時間τ(s)と、溶鉄の浴深L
    0(mm)と、上吹きガスにより溶鉄表面に形成されるキ
    ャビティー深さL(mm)とで表される下記式(1)のパ
    ラメータαを400以下に調整して吹錬することを特徴
    とする、加圧転炉を用いる製鋼方法。 α=τ/(L/L0) ・・・・ (1)
JP2000113050A 2000-04-14 2000-04-14 加圧転炉のスロッピング抑制方法、および製鋼方法 Withdrawn JP2001294930A (ja)

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JP2013091847A (ja) * 2011-10-04 2013-05-16 Jfe Steel Corp 転炉吹錬方法
CN116356101A (zh) * 2023-04-28 2023-06-30 福建三宝钢铁有限公司 一种高供氧强度冶炼工艺

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