JP2019116668A - 上底吹き転炉の操業方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高炉から出銑した溶銑あるいは脱燐溶銑の脱炭精錬に際し、脱燐効率、脱炭効率の低下を招くことなく、低コストで高い生産性を確保できる転炉の操業方法を提案する。【解決手段】静置直立した状態において略円柱および逆円錐台を組み合わせた炉体形状をもつ上底吹き転炉の操業において、前記転炉として、前記略円柱の下面と前記逆円錐台の上面との共通する炉内径D1と、前記逆円錐台の下面である転炉の炉底径D2との比D1/D2が1.5〜2.5の範囲である炉体形状の転炉を用い、脱炭処理中に溶銑に供給される酸化性ガスの総流量QO2と、上吹きガス流量Qtと、底吹きガス流量Qbとが所定の関係を満たすように上吹きガス流量Qtおよび底吹きガス流量Qbのうちの一方または両方を調節する操業を行なうことを特徴とする方法。【選択図】図1

Description

本発明は、高炉から出銑した高燐溶銑あるいは高炉から出銑した後に予め脱燐処理を施した低燐溶銑を転炉にて脱炭処理する際に、スラグ−メタル間反応を効率よく行うことができるようにした形状の転炉を用いて上底吹き転炉の操業を行なう方法について提案する。
近年の転炉の操業は、低燐鋼への需要の高まりとともに、脱炭吹錬の前に、予め溶銑の脱珪および脱燐処理を行う手法が広く普及している。予め脱燐処理を施した溶銑を用いる脱炭吹錬では、転炉での脱燐負荷が軽減され、必要最小限の石灰系媒溶剤の使用で済むため、スラグの多量発生による環境負荷も軽減できるという利点がある。
しかしながら、少量スラグ下での溶銑の脱炭吹錬というのは、溶鉄浴面のうち、酸化性ガス流ともスラグとも接しない自由表面の割合が増加するため、炉内雰囲気中の酸素によって溶鉄の酸化が起こる。その結果、スラグ中のFeO濃度が上昇し、鉄歩留まりの低下や炉内耐火物の損耗につながるという問題がある。これを解決するために、石灰系媒溶剤を必要以上に添加する場合があるが、これは結果的にしてスラグ量の増加を招くという問題がある。
一方で、脱燐処理工程の短縮による転炉生産性の向上や、熱的余裕を活かしたスクラップ使用量の増加による溶鋼製造コストの低減という観点からは、高炉から出銑した溶銑を転炉に直接搬送し、脱炭処理する場合も依然として多いのが実情である。
また、予め脱燐処理をしていない溶銑を用いた脱炭吹錬では、溶銑の脱炭酸素効率が低下する吹錬末期において、脱燐処理を効率よく行う目的で操業条件の変更が不可欠である。具体的には、スラグ中FeOが石灰系媒溶剤の溶融を促進する効果を利用するべく、酸素供給速度を低下させて溶鉄浴面を意図的に過酸化状態にし、スラグ中にFeOを生成させる操業である。この場合、酸素供給速度の低下による転炉の生産性低下やFeOの過剰な生成による鉄歩留まりの低下を招くといった問題が生じる。
上記課題を解決するために、従来、石灰系媒溶剤に代わる脱燐剤や滓化促進剤を添加する方法、生成したスラグを次チャージで再利用する方法、炉体形状を最適化する方法、スラグ中へのFeOの過剰な生成を抑制しつつ脱炭吹錬における脱燐処理を効率よく行う方法等が提案されている。
特許文献1には、予め脱燐処理を施した溶銑を脱炭処理する際に、石灰系媒溶剤に加えてAl源を添加する方法が開示されている。この方法によれば、スラグ中のAl濃度を増加させて、未溶解のCaOを減少させることでCaOの滓化を促進し、石灰原単位を低減させつつ高いスラグ塩基度を得ることができる。
特許文献2には、予め脱燐処理を施した溶銑を脱炭処理する際に、当該脱炭処理中に発生したスラグに対し固化材を添加して、転炉内に残留させて、次チャージの脱炭処理を行う方法が提案されている。この方法によれば、残留スラグ中のFeOやCaOが次チャージの脱燐反応に利用されやすいため、鉄歩留まりの低下防止や石灰原単位の低減が可能としている。
特許文献3では、炉体の形状が溶鋼量にかかわらず吹錬終了時の鋼浴形状が逆円錐台形状とし、その上下面の半径および鋼浴高さが一定の関係を満たすような形状の上底吹き転炉の炉体を提案している。このような炉体形状を有する転炉を用いて精錬することにより、十分な撹拌効果による鋼浴の混合と、湯溜り部の耐火物原単位の極小化が達成できると説明している。
特許文献4では、上吹き酸素ガスをArガスで希釈してハードブローを行う方法を提案している。この方法によれば、炉内のCO分圧を低下させながら溶鉄の強撹拌ができるため、スラグ中へのFeOの過剰な生成を抑制することが可能であるとしている。
特開2001−220621号公報 特開2016−37619号公報 特開平6−57318号公報 特開昭55−107716号公報
特許文献1の方法では、Al源の多量添加により、熱ロスの増加、スラグ量の増加や溶鋼中のAl系介在物の増加を招くおそれがあった。
特許文献2の方法では、残留スラグの塩基度および成分の調整、スラグ固化材の調整および添加工程が必要であり、固化材の使用によるコスト増加、溶鋼製造時間の延長による生産性低下のおそれがあった。
特許文献3は、溶湯量の変動による逆円錐台形状の上面径と下面径との比に基づく耐火物寿命の向上に着目したものであって、溶銑の脱炭精錬を最適化する方法についての言及はなく、上底吹きガス吹き込み条件および鋼浴形状が鉄歩留まりに与える影響にまでは考慮されていない。
特許文献4の方法は、Arガスの吹き付けにより溶鉄浴面が冷却されるため溶鉄への着熱の点で不利であり、また、高価なArガスが多量に必要となるため溶鋼製造コストの増加を招く。
上述したように、従来技術については、高炉から出銑した高燐溶銑あるいは高炉から出銑した後に予め脱燐処理を施した溶銑を脱炭処理する際の、スラグ−メタル間反応を効率よく行うための上底吹き転炉の操業技術の確立という点でなお、解決すべき課題を残していた。
そこで、本発明の目的は、高炉から出銑した高燐溶銑あるいは脱燐溶銑の脱炭精錬に際し、脱燐効率、脱炭効率の低下を招くことなく、低コストで高い生産性を確保できる転炉の操業方法を提案することにある。
発明者らは、従来技術が抱えている前述の課題について検討する中で、上底吹き転炉の炉体形状と脱炭処理中のガス流量とを最適化することにより、高炉から出銑した高燐溶銑あるいは脱燐溶銑の脱炭吹錬において、スラグ中のFeOの還元反応を促進できることを突き止めた。
本発明は、このような知見に基いて開発した方法である。即ち、本発明は、静置直立した状態において略円柱および逆円錐台を組合せた炉体形状をもつ転炉を用いて、高炉から出銑した溶銑あるいは高炉から出銑した後に予め脱燐処理を施した溶銑を精錬する上底吹き転炉の操業方法であって、
前記転炉は、前記略円柱の下面と前記逆円錐台の上面との共通する炉内径D(m)と、前記逆円錐台の下面である転炉の炉底径D(m)との比D/Dが1.5〜2.5の範囲である炉体形状の転炉とし、
該転炉による上底吹きの操業条件が、溶銑に供給される酸化性ガスの総流量QO2(Nm/min/t)と、上吹きガス流量Q(Nm/min/t)と、底吹きガス流量Q(Nm/min/t)とが下記数式1の関係を満たすことを特徴とする上底吹き転炉の操業方法である。
[式1]
なお、前記のように構成される本発明に係る上底吹き転炉の操業方法は、また、
(1)上吹きランスから酸化性ガスを吹き付けるとともに、炉底部に設けた底吹き羽口から撹拌用不活性ガスを吹き込むこと、
(2)上吹きランスから石灰系媒溶剤を吹き付けることにより、スラグ塩基度(mass%CaO/mass%SiO)(以下、「mass%」は「%」として表記する)を2.4〜3.6に調整すること、
がより好ましい実施形態になりうるものと考えられる。
前述した構成にかかる本発明方法の上底吹き転炉の操業方法によれば、スラグ中にFeOを過剰に生成させることなく、溶銑の脱炭処理を効率よく行うことができると共に、鉄歩留まりを向上させることができる。したがって、本発明方法の採用により、コストの上昇を招くことなく低燐鋼の生産性の向上を図ることができる。
また、本発明によれば、脱燐効率を低下させることなく上底吹き転炉の効率的な操業ができる。
本発明で用いる上底吹き転炉の縦断面図である。 転炉内溶鉄浴形状を示す縦断面図である。 脱炭処理後のスラグ中FeO濃度(%FeO)と炉内径比D/Dの関係を示す図である。 脱炭処理後の溶鋼中燐濃度[%P]と炉内径比D/Dの関係を示す図である。 脱炭処理時の脱燐率([%P]−[%P])/[%P]と炉内径比D/Dの関係を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。まず、本発明を開発するに至った経緯について説明する。
発明者らは、転炉精錬の冶金的特性に及ぼす転炉内溶鉄浴形状すなわち炉体形状の影響を調査するため、円柱形状の直胴部をもち、その下に逆円錐台形状の炉底部を設けた上底吹き転炉を用い、直胴部の炉内径Dと炉底径Dとの比D/Dを種々変えて試験を行った。
図1、図2は、この試験で使用した5t規模の転炉設備1の概略図である。図示の2は上吹きランス、3は転炉炉体、4は鉄皮、5は炉壁耐火物、6は出湯口、7はガス導入管、8は底吹き羽口、9は溶鉄、10はスラグ、11は上吹き酸素ガス、12は底吹きガス気泡、13は石灰系媒溶剤である。
この試験では、上吹きランス2から精錬用の上吹き酸素ガス(酸化性ガス)11および石灰系媒溶剤13を吹き付けると同時に炉底部に設けた底吹き羽口8からは撹拌用不活性ガスを吹き込んで、所定の初期燐濃度[%P]の溶銑を脱炭処理をし、処理後のスラグ中FeO濃度(%FeO)および溶鋼中燐濃度[%P]を測定した。ここで、上吹きランス2から吹き付ける精錬用酸化性ガスとしては、工業用純酸素ガスを使用し、底吹き羽口8から吹き込む撹拌用不活性ガスとしては、Arガスを用いた。
上記構成の転炉において、転炉炉体内に溶銑を装入した場合、転炉を静置直立した状態では、図2に示すように、全装入量(溶銑とスクラップ等の装入量合計)W、直胴部下部と逆円錐台形状の上部との共通する炉内径D、逆円錐台形状の下部にあたる炉底径D、直胴部での浴高さHおよび逆円錐台形状の浴高さHとなる溶鉄浴が形成される。この試験において、発明者らは、転炉内溶鉄浴形状を表す指標として炉内径比D/Dを用いて、全装入量W,逆円錐台形状の浴高さHおよび直胴部の炉内径Dを一定とし、炉底径Dを変化させることで溶鉄浴形状を種々に調節した。
上記試験で使用した上吹きランス2は、先端部に同一形状の4個のラバールノズル型の噴射ノズル(酸素ガス吹き付け用)を、ノズル傾角17°として上吹きランス2中心軸に対し同一円周上に等間隔で配置したものであり、先端中心部に1個のストレートノズル型の噴射ノズル(石灰系媒溶剤吹き付け用)を、ノズル傾角0°で配置したものである。なお、このラバールノズル型の噴射ノズルのスロート径は10.0mm、出口径は13.0mmであり、ストレートノズル型の噴射ノズルの口径は10.0mmである。また、底吹き羽口8は、内径2.0mmの管を6本均等配置して炉底に埋め込み、溶鉄内に底吹きガスを吹き込んだ。
この試験において、総酸素流量QO2を2.5Nm/min/t、上吹き酸素ガス流量Qを2.5Nm/min/t、ランス高さを600mm、底吹きArガス流量Qを0.03Nm/min/tとし、炉内径比D/Dを1.0〜3.0の範囲で種々に変更して、溶鉄中炭素濃度が0.05mass%以下になるまで脱炭処理を行い、冶金反応特性を調査した。なお、生石灰は、炉内に生成されるスラグの塩基度(%CaO/%SiO)が3.0となるように、その添加量を調整した。
次に、ランス高さを600 mmとして一定とし、酸素ガス流量比QO2/(Q+Q)を0.93〜0.99の範囲で種々に変更した条件で、上記試験と同様に、炉内径比D/Dを1.0〜3.0の範囲で種々に変更して、冶金反応特性を調査した。
上記試験条件および結果を表1−1、1−2、また図3、図4、図5に示す。
上掲の表1−1、表1−2、図3から明らかなように、炉内径比D/Dの増加に伴い脱炭処理後のスラグ中FeO濃度(FeO)が減少することがわかった。また、酸素ガス流量比QO2/(Q+Q)が0.93〜0.99の範囲では、酸素ガス流量比QO2/(Q+Q)の値によらず、炉内径比D/Dの増加に伴いスラグ中FeO濃度(FeO)は減少した。
また、図4から明らかなように、酸素ガス流量比QO2/(Q+Q)が0.94〜0.98の場合は、炉内径比D/Dが1.0〜3.0の範囲において、脱炭処理後の溶鋼中燐濃度[%P]が極小となる炉内径比D/Dが存在することがわかった。一方、QO2/(Q+Q)が0.93および0.99の場合は、炉内径比D/Dが1.0〜3.0の範囲において、溶鋼中燐濃度[%P]が極小となる炉内径比D/Dは存在せず、単純増加または単純減少することがわかった。
ここで、溶銑中燐濃度[%P]にばらつきがあることから、脱燐率([%P]-[%P])/ [%P]を計算して比較することとした。表1および図5から、炉内径比D/Dが1.5以上で脱燐率が向上し、2.5を超えると脱燐率が低下することが判った。炉内径比D/Dが1.5〜2.5の範囲で酸素ガス流量比QO2/(Q+Q)が0.99の場合には脱燐しないものがあり、0.93〜0.94では脱燐率が変わらない結果が得られた。
つまり、炉内径比D/Dが1.5以上では脱炭処理後のスラグ中FeO濃度(FeO)の低減効果が見られ、脱燐率も向上している。一方、炉内径比D/Dが2.5を超えても、脱炭処理後のスラグ中FeO濃度(FeO)の低減効果は飽和しているうえ、脱燐率が低下し、炉底面積あたりの底吹きガス流量が増大して炉底寿命の低下につながり好ましくない。したがって、炉内径比D/Dは1.5〜2.5の範囲とする。
なお、酸素ガス流量比QO2/(Q+Q)は、0.98を超えるとほとんど脱燐できない場合があり、0.94未満では、脱燐率の向上効果が飽和するうえ、非酸化性ガスの原単位が増加してコスト増となり、また、非酸化性ガスを底吹きガスとして供給する場合には、底吹きガス量が増えすぎて炉底寿命の低下につながるので好ましくない。したがって、酸素ガス流量比QO2/(Q+Q)は、0.94〜0.98の範囲とする。
即ち、転炉の炉体形状および転炉内溶鉄浴形状を制御することで、所定の上底吹き条件におけるスラグ‐メタル間反応効率を最大化することが可能であることがわかった。
なお、本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、本発明に係る転炉の炉体は、溶銑を収容し、静置・直立した際の溶鉄浴の縦断面形状が円柱と逆円錐台形とを組合わせた形状となる転炉であることが前提となる。
また、上記試験では、酸化性ガスの上吹きおよび不活性ガスの底吹きを行うことが可能な上底吹き転炉を用いたが、精錬用酸化性ガスの底吹きを行うことが可能な上底吹き転炉を用いてもよい。
本発明において使用する溶銑は、高炉から出銑した高燐溶銑([%P]:0.070〜0.140)あるいは高炉から出銑した後に予め脱燐処理を施した低燐溶銑([%P]:0.010〜0.040)を用いることが前提である。その低燐溶銑としては、高炉から出銑した溶銑を溶銑鍋やトピードカー等の溶銑搬送容器で受銑した後、搬送容器内または脱炭処理用の転炉まで搬送して、予め脱燐処理を施したものを使用することがとりわけ好ましい。また、前記脱燐処理を行う際に、少ない石灰系媒溶剤の添加量で効率的に脱燐処理するために、該脱燐処理前に予め溶銑を脱珪処理し、溶銑中珪素濃度を0.20%以下、望ましくは0.10%以下とすることが好ましい。
上吹きランスから吹き込む酸化性ガスとしては、酸素ガスが一般的であるが、酸素ガスと希ガスの混合ガス、空気および酸素富化空気などを用いることができる。本発明で使用する酸化性ガスとは、酸素濃度が空気と同等またはそれ以上である酸素含有ガスの全てである。上吹きランスから吹き込む石灰系媒溶剤として、生石灰を用いることができ、炉内に生成されるスラグの塩基度(%CaO/%SiO)は2.4〜3.6になるように調整することが好ましい。スラグ塩基度が2.4未満では、スラグ塩基度が低すぎて、脱燐能が低くなりすぎ、3.6を超えて添加すると石灰原単位が多くなりすぎて、コスト高になるので好ましくない。
底吹き羽口から吹き込まれる不活性ガスとしては、ArガスやHeガスなどの希ガスまたはNガスを用いることができる。
以上説明したように、本発明によれば、スラグ中FeO濃度を低減し、鉄歩留を向上することができるため、転炉での生産性が向上する。併せて、低燐溶鋼を安定して生産できる。
この実施例では、図1に示す転炉設備と同様の構成のものを用いた。即ち、容量が300tの上底吹き転炉(酸素ガス上吹きおよびArガス底吹き)において、高炉から出銑した高燐溶銑あるいは高炉から出銑した後に予め脱燐処理を施した溶銑を用いて脱炭処理した。使用した上吹きランスは、先端部に同一形状の4個のラバールノズル型の噴射ノズル(酸素ガス吹き付け用)を、ノズル傾角17°として上吹きランスの中心軸に対して同一円周上に等間隔で配置してあり、中心に1個のストレートノズル型の噴射ノズル(石灰系媒溶剤投射用)を、ノズル傾角0°で配置したものである。ラバールノズル型の噴射ノズルのスロート径は50.0mm、出口径は53.0mmであり、ストレートノズル型の噴射ノズルの口径は50.0mmである。
前記上底吹き転炉内に、温度が1280〜1310℃の溶銑を装入した。次いで、底吹き羽口からArガスを撹拌用ガスとして溶銑中に吹き込みながら、上吹きランスから酸素ガスを溶銑浴面に向けて吹き付けて、脱炭処理を開始した。使用した溶銑の化学成分を表2に示す。
脱炭処理中に、上吹きランスから石灰系媒溶剤として生石灰を投射し、溶鉄中炭素濃度が0.05mass%以下になるまで脱炭処理を行った。生石灰は、炉内に生成されるスラグの塩基度(%CaO/%SiO)が3.0となるように、その添加量を調整した。
前記脱炭処理において、溶銑装入後かつ脱炭処理開始前の炉内径比D/Dを2.0、脱炭処理中の酸素ガス流量比QO2/(Q+Q)を0.96とした(発明例1、発明例2)。
また、比較のために、炉内径比D/Dのみを1.2に変更した条件(比較例1、比較例4)、酸素ガス流量比QO2/(Q+Q)のみを0.99に変更した条件(比較例2、比較例5)、D/Dを1.2かつQO2/(Q+Q)を0.99に変更した条件(比較例3、比較例6)でも脱炭処理を行った。
前述の条件で転炉の操業を行ない、その結果を表3−1、表3−2としてまとめた。
表3−1、表3−2から明らかなように、比較例1〜3に比べて、発明例1では、脱炭処理後のスラグ中FeO濃度(FeO)および溶鋼中燐濃度[%P]が最も低減し、脱燐率([%P]-[%P])/ [%P]が最も高かった。同様に、比較例4〜6に比べて、発明例2では、脱炭処理後のスラグ中FeO濃度(FeO)および溶鋼中燐濃度[%P]が最も低減し、脱燐率([%P]-[%P])/[%P]が最も高かった。このように、本発明方法を適用することで、鉄歩留を向上させながら低燐鋼の溶製に適した転炉操業が可能となることが確認できた
1 転炉設備
2 上吹きランス
3 転炉炉体
4 鉄皮
5 炉壁耐火物
6 出湯口
7 ガス導入管
8 底吹き羽口
9 溶鉄
10 スラグ
11 上吹き酸素ガス
12 底吹きガス気泡
13 石灰系媒溶剤

Claims (3)

  1. 静置直立した状態において略円柱および逆円錐台を組合せた炉体形状をもつ転炉を用いて、高炉から出銑した溶銑あるいは高炉から出銑した後に予め脱燐処理を施した溶銑を精錬する上底吹き転炉の操業方法であって、
    前記転炉は、前記略円柱の下面と前記逆円錐台の上面との共通する炉内径D(m)と、前記逆円錐台の下面である転炉の炉底径D(m)との比D/Dが1.5〜2.5の範囲である炉体形状の転炉とし、
    該転炉による上底吹きの操業条件が、溶銑に供給される酸化性ガスの総流量QO2(Nm/min/t)と、上吹きガス流量Q(Nm/min/t)と、底吹きガス流量Q(Nm/min/t)とが下記数式1の関係を満たすことを特徴とする上底吹き転炉の操業方法。
    [式1]
  2. 上吹きランスから酸化性ガスを吹き付けるとともに、炉底部に設けた底吹き羽口から撹拌用不活性ガスを吹き込むことを特徴とする請求項1に記載の上底吹き転炉の操業方法。
  3. 上吹きランスから石灰系媒溶剤を吹き付けることにより、スラグ塩基度(%CaO/%SiO)を2.4〜3.6に調整することを特徴とする請求項1または2に記載の上底吹き転炉の操業方法。
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