JP2001288442A - 非架橋型粘着剤組成物およびその製造方法と粘着シ―ト - Google Patents
非架橋型粘着剤組成物およびその製造方法と粘着シ―トInfo
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Abstract
成のバリエ―シヨン化が容易である、スチレン系ポリマ
―成分とアクリル系ポリマ―成分とのブロツク共重合体
を主剤成分とした非架橋型粘着剤組成物を提供する。 【解決手段】 スチレン系モノマ―とアクリル系モノマ
―とを、遷移金属とその配位子の存在下、重合開始剤を
使用して、適宜のモノマ―順にリビングラジカル重合す
ることにより、スチレン系ポリマ―ブロツクAとアクリ
ル系ポリマ―ブロツクBとからなるA−B−A型ブロツ
ク共重合体であつて、かつスチレン系モノマ―の単独重
合体の溶解度パラメ―タとアクリル系モノマ―の単独重
合体の溶解度パラメ―タとの差が1.0MPa1/2 以上
であり、上記後者の単独重合体のガラス転移温度が−3
0℃以下である上記A−B−A型ブロツク共重合体を生
成し、これを架橋処理しないでそのまま粘着剤の主剤成
分として使用する。
Description
―ブロツクAとアクリル系ポリマ―ブロツクBとからな
るA−B−A型ブロツク共重合体を含有する非架橋型粘
着剤組成物とその製造方法に関し、また上記の非架橋型
粘着剤組成物をシ―ト状やテ―プ状の形態とした粘着シ
―トに関するものである。
ング用粘着テ―プ、生理用品用粘着テ―プ、紙オムツ固
定用粘着テ―プおよび粘着ラベルなど、圧着する程度で
簡単に接着することが要求される用途に対して、溶剤
型、エマルシヨン型、ホツトメルト型などの粘着剤が用
いられている。
ム系などが知られているが、近年、乾燥効率や省エネル
ギ―性および作業環境の面から、溶剤の使用量をできる
だけ削減することが要望されている。この要望に対し
て、ポリマ―重合時の溶剤の使用量を少なくすると、発
生する重合熱の制御の点から、安全性に問題があつた。
また、エマルシヨン型の粘着剤では、ポリマ―粒子が水
中に分散しているため、粘着剤層の形成に際して、最終
的に水分を除去する必要があり、乾燥効率や省エネルギ
―性の理由で、やはり問題があつた。
ルシヨン型の粘着剤に比べて、安全性や経済性などの面
ですぐれており、たとえば、SIS(スチレン−イソプ
レン−スチレン)系ブロツク共重合体、SBS(スチレ
ン−ブタジエン−スチレン)系ブロツク共重合体、SE
BS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン)系ブ
ロツク共重合体などを主成分としたものが知られてい
る。これらのブロツク共重合体を使用したものは、スチ
レン部分がブロツク的に導入されていることにより、架
橋処理しなくても、室温において良好な粘着特性を発揮
するため、ホツトメルト型粘着剤として、幅広く使用さ
れている。
来のホツトメルト型の粘着剤は、各ブロツク共重合体の
分子内に種々の官能基や側鎖を導入するのが容易でな
く、粘着剤組成にバリエ―シヨンをもたせることができ
なかつた。これに対して、アクリル系の粘着剤は、モノ
マ―として種々の官能基や側鎖を有するものを用いるこ
とで、粘着剤組成にバリエ―シヨンをもたせることがで
きる。しかし、アクリル系ポリマ―の合成に際し、スチ
レン系モノマ―をランダムに共重合させることはできて
も、ブロツク的に共重合させることは、ラジカル重合
法、アニオン重合法、カチオン重合法のいずれの重合法
でも、技術的な理由で、困難であり、このため、架橋処
理を施さずに、室温において良好な粘着特性を得ること
はできなかつた。
レン系ポリマ―成分とアクリル系ポリマ―成分とのブロ
ツク共重合体を、無溶剤または少量の溶剤の存在下、安
全性に問題を生じることなく容易に生成して、これを粘
着剤に応用することにより、従来のエマルシヨン型のよ
うな経済性の問題、つまり水分除去のための乾燥効率や
省エネルギ―性などの問題を起こさず、かつ架橋処理を
施さずに、室温において良好な粘着特性を発揮させるこ
とができ、アクリル系ポリマ―成分の導入に基づいた粘
着剤組成のバリエ―シヨン化も容易である非架橋型粘着
剤組成物とその製造方法および粘着シ―トを提供するこ
とを目的としている。
に対し、鋭意検討した結果、スチレン系モノマ―とアク
リル系モノマ―とを、特定の活性化剤および重合開始剤
を用いて、リビングラジカル重合させる方法によると、
従来では適当な合成法が知られていなかつた、スチレン
系ポリマ―ブロツクAとアクリル系ポリマ―ブロツクB
とからなるA−B−A型ブロツク共重合体を、無溶剤ま
たは少量の溶剤の存在下、重合熱の制御などの安全性の
問題を生じることなく、容易に生成することができ、そ
の際に、上記両ブロツクのモノマ―組成を適宜選択する
ことで、このブロツク共重合体をこれに架橋処理を施さ
ずにそのまま粘着剤の主剤成分として使用して、粘着力
と凝集力を満足する、すぐれた粘着特性を発揮させるこ
とができ、これにより従来のエマルシヨン型のような経
済性の問題を生じることがなく、またアクリル系モノマ
―の選択によつて粘着剤組成のバリエ―シヨン化も容易
である非架橋型粘着剤組成物が得られることを知り、本
発明を完成した。
ブロツクAとアクリル系ポリマ―ブロツクBとからなる
A−B−A型ブロツク共重合体を含有することを特徴と
する非架橋型粘着剤組成物、とくに、上記スチレン系ポ
リマ―ブロツクAがブロツク共重合体全体の60重量%
を超えない範囲である上記構成の非架橋型粘着剤組成
物、また上記スチレン系ポリマ―ブロツクAを構成する
スチレン系モノマ―の単独重合体の溶解度パラメ―タと
アクリル系ポリマ―ブロツクBを構成するアクリル系モ
ノマ―の単独重合体の溶解度パラメ―タとの差が1.0
MPa1/2 以上であり、上記後者の単独重合体のガラス
転移温度が−30℃以下である上記構成の非架橋型粘着
剤組成物、さらに上記のアクリル系ポリマ―ブロツクB
を構成するアクリル系モノマ―がイソオクチルアクリレ
―ト、2−エチルヘキシルアクリレ―ト、イソノニルア
クリレ―トの中から選ばれる少なくとも1種を主モノマ
―とする上記構成の非架橋型粘着剤組成物に係るもので
ある。
の製造方法として、スチレン系モノマ―とアクリル系モ
ノマ―とを、遷移金属とその配位子の存在下、重合開始
剤を使用して、適宜のモノマ―順にリビングラジカル重
合することにより、スチレン系ポリマ―ブロツクAとア
クリル系ポリマ―ブロツクBとからなるA−B−A型ブ
ロツク共重合体を生成することを特徴とする非架橋型粘
着剤組成物の製造方法、とくに、上記の遷移金属と配位
子の組み合わせがCu+1−ビピリジン錯体である上記構
成の非架橋型粘着剤組成物の製造方法に係るものであ
る。さらに、本発明は、支持体上に上記構成の非架橋型
粘着剤組成物からなる層を設けたことを特徴とする粘着
シ―トに係るものである。なお、上記の粘着シ―トに
は、通常幅の広い粘着シ―トだけでなく、通常幅の狭い
粘着テ―プも含まれるものである。
は、たとえば、(1)Pattenらによる報告、“Radical
Polymerization Yielding Polymers with Mw/Mn 〜 1.0
5 by Homogeneous Atom Transfer Radical Polymerizat
ion ”Polymer Preprinted,pp 575-6,No37(March 199
6)、(2)Matyjasewskiらによる報告、“Controlled
/LivingRadical Polymerization. Halogen Atom Trans
fer Radical Polymerization Promoted by a Cu(I)/Cu
(II)Redox Process ”Macromolecules 1995,28,7901-10
(October 15,1995)、(3)同著PCT/US96/0330
2,International Publication No.WO96/30421 (Oc
tober 3,1996)、(4)M.Sawamotoらの報告、“Ruthen
ium-mediated Living Radical polymerization of Meth
yl Methacrylate ”Macromolecules,1996,29,1070.など
が知られている。
法に着目し、活性化剤としてとくに遷移金属とその配位
子を使用し、これらの存在下、重合開始剤を使用して、
スチレン系モノマ―とアクリル系モノマ―とを適宜のモ
ノマ―順にリビングラジカル重合させると、従来では適
当な合成法が知られていなかつた、スチレン系ポリマ―
ブロツクAとアクリル系ポリマ―ブロツクBとからなる
A−B−A型ブロツク共重合体を、容易に生成できるこ
とを見い出した。
h、VまたはNiがあり、通常、これら金属のハロゲン
化物(塩化物、臭化物など)の中から、用いられる。ま
た、配位子は、遷移金属を中心にして配位して錯体を形
成するものであつて、ビピリジン誘導体、メルカプタン
誘導体、トリフルオレ―ト誘導体などが好ましく用いら
れる。遷移金属とその配位子の組み合わせの中でも、C
u+1−ビピリジン錯体が、重合の安定性や重合速度の面
で、最も好ましい。
含有するエステル系またはスチレン系誘導体が好まし
く、とくに2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸誘
導体、塩化(または臭化)1−フエニル誘導体が好まし
く用いられる。具体的には、臭素または塩素を分子内に
1個だけ有する1官能基型として、2−ブロモ(または
クロロ)プロピオン酸メチル、2−ブロモ(またはクロ
ロ)プロピオン酸エチル、2−ブロモ(またはクロロ)
−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ブロモ(または
クロロ)−2−メチルプロピオン酸エチル、塩化(また
は臭化)1−フエニルエチル、2−ブロモ(またはクロ
ロ)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、2−ブロモ
(またはクロロ)プロピオン酸4−ヒドロキシブチル、
2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸
2−ヒドロキシエチル、2−ブロモ(またはクロロ)−
2−メチルプロピオン酸4−ヒドロキシブチルなどが挙
げられる。また、臭素または塩素を分子内に2個有する
2官能基型として、エチレンビス(2−プロモ−2−メ
チルプロピオネ―ト)などが挙げられる。
重合開始剤として1官能基型のものを使用するときは、
最初に、スチレン系モノマ―を重合させてスチレン系ポ
リマ―ブロツクAを生成し、つぎに、アクリル系モノマ
―を加えてこのモノマ―の重合を続けてアクリル系ポリ
マ―ブロツクBを生成し、最後に、再びスチレン系モノ
マ―を加えてこのモノマ―の重合を続けてスチレン系ポ
リマ―ブロツクAを生成すると、A−B−A型ブロツク
共重合体が得られる。このような逐次的な重合を行う場
合に、後のモノマ―を加えるときは、前のモノマ―の重
合転化率が少なくとも60重量%を超えた時点、通常は
80重量%以上、好ましくは90重量%以上となつた時
点で、加えるようにするのが望ましい。
を使用するときは、最初に、アクリル系モノマ―を重合
させてアクリル系ポリマ―ブロツクBを生成し、つぎ
に、スチレン系モノマ―を加えてこのモノマ―の重合を
続けて、上記ポリマ―ブロツクBの両側にスチレン系ポ
リマ―ブロツクAを生成させると、A−B−A型ブロツ
ク共重合体が得られる。この方法は、前記した重合開始
剤として1官能基型のものを使用する方法に比べ、2段
階の重合で済むため、製造工程上、有利である。なお、
この方法においても、後のモノマ―であるスチレン系モ
ノマ―を加えるときは、前のモノマ―であるアクリル系
モノマ―の重合転化率が少なくとも60重量%を超えた
時点、通常は80重量%以上、好ましくは90重量%以
上となつた時点で、加えるようにするのが望ましい。
て、重合開始剤としては、スチレン系モノマ―およびア
クリル系モノマ―からなる重合性モノマ―全体に対し
て、通常0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜2
モル%の割合で用いられる。また、遷移金属の使用量
は、ハロゲン化物などの形態として、上記の重合開始剤
1モルに対して、通常0.01〜3モル、好ましくは
0.1〜1モルの割合で用いられる。さらに、その配位
子は、上記の遷移金属(ハロゲン化物などの形態)1モ
ルに対して、通常1〜5モル、好ましくは2〜3モルの
割合で用いられる。重合開始剤と活性化剤とをこのよう
な使用割合にすると、リビングラジカル重合の反応性、
生成ポリマ―の分子量などに好ましい結果が得られる。
剤でも進行させることができるし、酢酸ブチル、トルエ
ン、キシレンなどの溶剤の存在下で進行させてもよい。
溶剤を用いる場合、重合速度の低下を防ぐため、重合終
了後の溶剤濃度が50重量%以下となる少量の使用量と
するのがよい。無溶剤または少量の溶剤量でも、重合熱
の制御などに関する安全性の問題はとくになく、むしろ
溶剤削減によつて経済性や環境対策などの面で好結果が
得られる。また、重合条件としては、重合速度や触媒の
失活の点より、70〜130℃の重合温度で、最終的な
分子量や重合温度にも依存するが、約1〜100時間の
重合時間とすればよい。
ツク共重合体は、スチレン系ポリマ―ブロツクAが起点
となりこれにアクリル系ポリマ―ブロツクBとスチレン
系ポリマ―ブロツクAとが順次結合した構造をとるもの
であるが、この共重合体において、ふたつのスチレン系
ポリマ―ブロツクAの割合(両側の合計)としては、ブ
ロツク共重合体全体の60重量%を超えない範囲、好ま
しくは5〜40重量%の範囲内であるのがよい。スチレ
ン系ポリマ―ブロツクAの割合があまりに多すぎると、
粘着剤に要求される粘弾性特性に欠け、粘着剤用として
固すぎるポリマ―となり、好ましくない。また、スチレ
ン系ポリマ―ブロツクAの割合があまりに少なすぎて
も、粘着剤に必要な凝集力に劣り、やはり好ましくな
い。
体は、スチレン系ポリマ―ブロツクAの数平均分子量が
3,000以上であるのがよく、これより低い分子量と
なると、後述するミクロドメイン構造をとりにくくな
り、粘着剤としてすぐれた凝集性を発現させにくい。ま
た、ブロツク共重合体全体の分子量としては、粘着特性
や塗布性の点より、数平均分子量が通常5,000〜5
00,000の範囲、好ましくは10,000〜20
0,000の範囲にあるのがよい。なお、上記の両数平
均分子量は、GPC(ゲルパ―ミエ―シヨンクロマトグ
ラフイ―)法によるポリスチレン換算にて求められる値
を意味するものである。
共重合体は、スチレン系ポリマ―ブロツクAを構成する
スチレン系モノマ―の単独重合体(ホモポリマ―または
コポリマ―)の溶解度パラメ―タ〔SP値〕と、アクリ
ル系ポリマ―ブロツクBを構成するアクリル系モノマ―
の単独重合体(ホモポリマ―またはコポリマ―)の溶解
度パラメ―タ〔SP値〕との差が1.0MPa1/2 以
上、より好ましくは1.5MPa1/2 以上であるのがよ
い。上記SP値の差の上限は、とくに限定されないが、
通常は4.0MPa1/2 以下であるのがよい。
のSP値は、通常18.0〜19.0MPa1/2 である
ため、アクリル系モノマ―の単独重合体のSP値は、1
8.0MPa1/2 以下であるのが望ましい。具体的に
は、スチレンの場合、そのホモポリマ―のSP値は1
8.6MPa1/2 であり、これと組み合わせるアクリル
系モノマ―としてはそのホモポリマ―またはコポリマ―
のSP値が17.6MPa 1/2 以下であるのが望まし
い。
y Testing法〔「Polymer Handb
ook」第4版、Brandrup Immergut
Grulke編、Interscience(New
York,London,Sydney)発行、p.
VII /680〕で測定される値である。
ル系モノマ―の単独重合体との間にこのようなSP値の
差があると、このA−B−A型ブロツク共重合体は、こ
れを架橋処理しなくても、そのままで粘着力と凝集力を
満足する、すぐれた粘着特性を発揮し、とくに大きな凝
集力を示すようになる。この理由は、上記両単独重合体
の間に適当なSP値の差があると、従来のSIS系ブロ
ツク共重合体などの場合と同様に、スチレン系ポリマ―
ブロツクAがミクロドメイン構造を形成して、ベンゼン
環同志のπ−π電子相互作用により、いわゆる擬似架橋
を行うためではないかと思われる。事実、このA−B−
A型ブロツク共重合体をシ―ト状に成形し、透過型電子
顕微鏡(TEM)で観察すると、約100〜300Å程
度の大きさのミクロドメイン構造を有していることを確
認できる。
重合体とアクリル系モノマ―の単独重合体との間のSP
値の差が1.0MPa1/2 未満となると、このA−B−
A型ブロツク共重合体は、これを架橋処理しないと、良
好な凝集力を示さなくなる。この理由としては、上記の
場合、スチレン系ポリマ―ブロツクAとアクリル系ポリ
マ―ブロツクBとが相溶して、スチレン系ポリマ―ブロ
ツクAがミクロドメイン構造をとれなくなり、結果とし
て、良好な凝集力を示さなくなるものと思われる。事
実、このA−B−A型ブロツク共重合体をシ―ト状に成
形し、TEMで観察すると、ミクロドメイン構造は全く
認められない。
型ブロツク共重合体は、アクリル系ポリマ―ブロツクB
を構成するアクリル系モノマ―の単独重合体(ホモポリ
マ―またはコポリマ―)のガラス転移温度〔Tg〕が−
30℃以下、より好ましくは−50℃以下であるのがよ
く、下限としては通常−90℃以上であるのがよい。上
記単独重合体のTgが−30℃を超えると、このA−B
−A型ブロツク共重合体は、粘着力とくに非極性被着体
に対する粘着力が低下し、粘着特性にすぐれた粘着剤組
成物を得ることが難しくなるため、好ましくない。
は、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチル
スチレン、4−メトキシスチレンなどが用いられる。こ
れと組み合わせるアクリル系モノマ―には、その単独重
合体(ホモポリマ―またはコポリマ―)のTgが上記範
囲にあり、かつ上記単独重合体とスチレン系モノマ―の
単独重合体(ホモポリマ―またはコポリマ―)とのSP
値の差が前記範囲となるように、スチレン系モノマ―の
種類に応じて、適宜のものが選択使用される。通常、ア
クリル系モノマ―として、イソオクチルアクリレ―ト、
2−エチルヘキシルアクリレ―ト、イソノニルアクリレ
―トの中から選ばれる少なくとも1種を主モノマ―とし
て使用すると、上記要件を満たすA−B−A型ブロツク
共重合体が得られやすいため、上記各モノマ―を使用す
るのが望ましい。
て、これと他の改質用モノマ―を併用してもよい。この
場合、良好な粘着特性を得るため、上記の主モノマ―が
アクリル系モノマ―全体の60重量%以上、より好まし
くは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上
となるようにするのがよい。改質用モノマ―には、アル
キル基の炭素数が1〜4である(メタ)アクリレ―ト、
たとえばエチル(メタ)アクリレ―ト、ブチル(メタ)
アクリレ―ト、t−ブチル(メタ)アクリレ―トなどの
ほか、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸のモノまた
はジエステル、グリシジル(メタ)アクリレ―ト、N,
N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ―ト、N,
N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレ―ト、N
−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、(メタ)アク
リロリイルモルホリン、イソボルニル(メタ)アクリレ
―ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ―ト、3
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ―ト、4−ヒド
ロキシブチル(メタ)アクリレ―ト、6−ヒドロキシヘ
キシル(メタ)アクリレ―トなどが挙げられる。
ロツク共重合体をそのまま粘着剤の主剤成分として、粘
着特性にすぐれた非架橋型粘着剤組成物とする。この粘
着剤組成物には、必要により、粘着付与樹脂、充填剤、
老化防止剤、顔料などの一般の粘着剤組成物に配合され
る各種の添加剤を含ませることができる。
は両面に、上記の非架橋型粘着剤組成物を塗工し、必要
により乾燥して、厚さが片面で通常10〜100μmと
なる非架橋型粘着剤組成物からなる層を形成して、テ―
プ状やシ―ト状などの形態としたものである。支持体と
しては、紙、プラスチツクラミネ―ト紙、布、プラスチ
ツクラミネ―ト布、プラスチツクフイルム、金属箔、発
泡体などが用いられる。また、支持体上に非架橋型粘着
剤用組成物を塗工する手段には、ホツトメルトコ―タ、
コンマロ―ル、グラビアコ―タ、ロ―ルコ―タ、キスコ
―タ、スロツトダイコ―タ、スクイズコ―タなどが用い
られる。なお、片面塗工タイプのものでは、支持体の反
対面側にあらかじめ離型処理を施すことができ、また両
面塗工タイプのものでは、セパレ―タを介装することが
できる。
体的に説明する。なお、実施例で用いたA−B−A型ブ
ロツク共重合体(1) 〜(7) 、比較例で用いたランダム共
重合体(8) およびA−B−A型ブロツク共重合体(9)
は、下記の製造例1〜7および比較製造例1,2によ
り、製造したものである。
造原料としては大部分は市販の原料を使用したが、重合
開始剤には市販の重合開始剤である2−ブロモ−2−メ
チルプロピオン酸エチル(以下、MPEという)のほか
に、下記の方法で合成した、2−ブロモ−2−メチルプ
ロピオン酸2−ヒドロキシエチル(以下、2−H2MP
Nという)およびエチレン−ビス(2−ブロモ−2−メ
チルプロピオネ―ト)(以下、EBMPという)を使用
した。
グリコ―ル44ml(788ミリモル)、トリエチルア
ミン100ml(717ミリモル)およびピリジン20
ml(200ミリモル)を反応容器に入れ、これにアセ
トン800mlおよび2−ブロモイソブチリルブロミド
150g(652ミリモル)を発熱反応を抑えるため氷
浴で冷却しながら、添加した。16時間反応後、析出物
をろ去し、これに酢酸エチル1リツトルと飽和食塩水5
00mlを加え、よく振とうした。しばらく静置したの
ち、上層の酢酸エチル層を希塩酸で2回、飽和食塩水5
00mlでも3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥
した。硫酸マグネシウムを除去したのち、酢酸エチルを
減圧留去し、粗生成物を得た。このようにして得られた
粗生成物を、蒸留法(87〜90℃/0.25mmHg)で
精製して、目的物である2−H2MPNを得た。この2
−H2MPNの収率は、88g(64重量%)であつ
た。
ル12ml(215ミリモル)およびピリジン10ml
(100ミリモル)を反応容器に入れ、これにアセトン
350mlおよび2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸
ブロミド75g(326ミリモル)を発熱反応を抑える
ため氷浴で冷却しながら、添加した。16時間反応後、
析出物をろ去し、これに酢酸エチル1リツトルと飽和食
塩水500mlを加え、よく振とうした。しばらく静置
したのち、上層の酢酸エチル層を希塩酸で2回、飽和食
塩水500mlでも3回洗浄し、無水硫酸マグネシウム
で乾燥した。硫酸マグネシウムを除去したのち、酢酸エ
チルを減圧留去し、粗生成物を得た。このようにして得
られた粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフイ―法
(展開溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=1/1混合溶剤)
で精製して、目的物であるEBMPを得た。このEBM
Pの収率は、52g(67重量%)であつた。
タムを備えた4つ口フラスコに、スチレン28.4g
(274ミリモル)を加え、これに2,2′−ビピリジ
ン1.3g(8.3ミリモル)を加え、系内を窒素置換
した。これに窒素気流下、臭化銅410mg(2.84
ミリモル)を加えて、反応系を90℃に加熱し、重合開
始剤として2−H2MPNを600mg(2.84ミリ
モル)加えて重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流
下、90℃で12時間重合した。重合率(加熱して揮発
成分を除去したポリマ―重量を揮発成分を除去する前の
重合溶液そのままのポリマ―重量で割つた値;以下同
じ)が90重量%以上であることを確認したのち、これ
に2−エチルヘキシルアクリレ―ト122g(662ミ
リモル)をラバ―セプタムから添加し、さらに110℃
で20時間加熱した。重合率が再び90重量%以上であ
ることを確認してから、重合系にスチレン28.4g
(274ミリモル)をラバ―セプタムから添加し、さら
に90℃で20時間加熱した。このようにして得られた
重合物を酢酸エチルで20重量%程度に希釈して、触媒
をろ去した。最後に、酢酸エチルを留去し、減圧加熱
(50℃)して、油状ポリマ―であるA−B−A型ブロ
ツク共重合体(1) を製造した。
ル系モノマ―の種類と量、3段目に添加するスチレンの
量を、表1のように変更した以外は、製造例1と同様の
手法により、油状ポリマ―であるA−B−A型ブロツク
共重合体(2) 〜(6) を製造した。各重合に際し、重合開
始剤としては、製造例2,4〜6では、2−H2MPN
を、製造例3ではMPEを、それぞれ製造例1と同量使
用した。また、臭化銅の使用量は上記の重合開始剤と同
モル量とし、2,2′−ビピリジンはその3倍モル量使
用した。なお、表1には、参考のために、製造例1で使
用した1〜3段目のモノマ―量なども併記した。
ヘキシルアクリレ―ト、「IOA」はイソオクチルアク
リレ―ト、「INA」はイソノニルアクリレ―ト、「B
A」はn−ブチルアクリレ―トである。また、表1に記
載される( )内の数値は、各原料成分のモル数(ミリ
モル)である。
タムを備えた4つ口フラスコに、2−エチルヘキシルア
クリレ―ト76g(410ミリモル)を加え、これに
2,2′−ビピリジン1.64g(10.5ミリモル)
を加え、系内を窒素置換した。これに窒素気流下、臭化
銅500mg(3.48ミリモル)を加えて、反応系を
100℃に加熱し、重合開始剤としてEBMPを627
mg(1.74ミリモル)加えて重合を開始し、溶剤を
加えずに窒素気流下、100℃で12時間重合した。重
合率が90重量%以上であることを確認したのち、これ
にスチレン36g(346ミリモル)をラバ―セプタム
から添加し、さらに20時間加熱した。このようにして
得られた重合物を酢酸エチルで20重量%程度に希釈
し、触媒をろ去した。最後に、酢酸エチルを留去し、減
圧加熱(60℃)して、油状ポリマ―であるA−B−A
型ブロツク共重合体(7) を製造した。
型ブロツク共重合体 (1)〜(7) について、数平均分子量
〔Mn〕、重量平均分子量〔Mw〕およびポリマ―分散
度〔Mw/Mn〕を測定した。結果は、表2に示される
とおりであつた。分子量の測定は、本文中に記載したG
PC法により、行つたものである。
タムを備えた4つ口フラスコに、スチレン36g(34
6ミリモル)、2−エチルヘキシルアクリレ―ト76g
(410ミリモル)、2−メルカプトエタノ―ル0.3
g(3.84ミリモル)および酢酸エチル400mlの
混合物を投入し、これにアゾイソブチロニトリル0.5
gを加え、反応系を60℃で5時間加熱して、重合し
た。最後に、酢酸エチルを留去し、減圧加熱(60℃)
して、油状ポリマ―であるランダム共重合体(8) を製造
した。このランダム共重合体は、数平均分子量〔Mn〕
が68.9×1,000、重量平均分子量〔Mw〕が1
32.3×1,000で、ポリマ―の分散度〔Mw/M
n〕が1.92であつた。
クリレ―ト103g(803ミリモル)に変更した以外
は、製造例1と同様にして、油状ポリマ―であるA−B
−A型ブロツク共重合体(9) を製造した。このブロツク
共重合体は、数平均分子量〔Mn〕が52.1×1,0
00、重量平均分子量〔Mw〕が88.6×1,000
で、ポリマ―の分散度〔Mw/Mn〕が1.70であつ
た。
A−B−A型ブロツク共重合体 (1),(4) 〜(6) 、比較
製造例2で製造したA−B−A型ブロツク共重合体 (9)
について、スチレン系モノマ―の単独重合体(つまり、
ポリスチレン)とアクリル系モノマ―の単独重合体(ホ
モポリマ―またはコポリマ―)との間のSP値の差、お
よび上記アクリル系モノマ―の単独重合体のTgを、下
記の表3に示した。
mlで希釈して、非架橋型粘着剤用組成物とし、これ
を、ギヤツプ200μmのアプリケ―タにより、厚さが
25μmのポリエチレンテレフタレ―トフイルム(以
下、PETフイルムという)の上に塗布し、120℃で
5分間加熱乾燥して、上記ブロツク共重合体(1) を含有
する非架橋型粘着剤組成物層を形成して、粘着シ―トと
した。
A型ブロツク共重合体(2) 〜(7) を同量使用した以外
は、実施例1と同様にして、PETフイルム上にA−B
−A型ブロツク共重合体(2) 〜(7) を含有する非架橋型
粘着剤組成物層を形成して、粘着シ―トとした。
共重合体(8) またはA−B−A型ブロツク共重合体(9)
を同量使用した以外は、実施例1と同様にして、PET
フイルム上にランダム共重合体(8) またはA−B−A型
ブロツク共重合体(9) を含有する非架橋型粘着剤組成物
層を形成して、粘着シ―トとした。
各粘着シ―トについて、下記の方法により、粘着力およ
び凝集力(クリ―プ)を測定した。これらの測定結果
は、表4に示されるとおりであつた。
0mmに切断し、これを幅40mm,長さ100mmのSUS
−304板上に、重さ2Kgのゴムロ―ラを1往復させて
圧着したのち、室温で30分間放置した。これを引張り
試験機を用いて、25℃で、300mm/分の速度で引き
剥がし(180°ピ―ル)、その剥離に要する力を測定
した。測定は2個のサンプルについて行い、その平均値
を求めた。
0mmの接着面積でベ―クライト板に貼り付け、40℃ま
たは60℃で500gの荷重をかけ、1時間あたりの落
下(ずれ)距離を測定した。この距離が小さいほど凝集
力が大きいことが一般に知られており、1mm以上の場合
は、粘着特性として実用的とはいえない。
実施例1〜7の各粘着シ―トは、いずれも、粘着力およ
び凝集力の大きい、すぐれた粘着特性を示すが、比較例
1,2の粘着シ―トは、凝集力に著しく劣つていること
がわかる。
リマ―ブロツクAとアクリル系ポリマ―ブロツクBとか
らなるA−B−A型ブロツク共重合体を、リビングラジ
カル重合法により無溶剤または少量の溶剤を用いて生成
し、これを架橋処理しないで、そのまま粘着剤の主剤成
分としたことにより、安全性や経済性などの問題を生じ
ることなく、粘着力と凝集力を満足する、すぐれた粘着
特性を発揮し、またアクリル系モノマ―の選択により粘
着剤組成のバリエ―シヨン化も容易である非架橋型粘着
剤組成物およびその製造方法と粘着シ―トを提供でき
る。
Claims (7)
- 【請求項1】 スチレン系ポリマ―ブロツクAとアクリ
ル系ポリマ―ブロツクBとからなるA−B−A型ブロツ
ク共重合体を含有することを特徴とする非架橋型粘着剤
組成物。 - 【請求項2】 スチレン系ポリマ―ブロツクAがブロツ
ク共重合体全体の60重量%を超えない範囲である請求
項1に記載の非架橋型粘着剤組成物。 - 【請求項3】 スチレン系ポリマ―ブロツクAを構成す
るスチレン系モノマ―の単独重合体の溶解度パラメ―タ
とアクリル系ポリマ―ブロツクBを構成するアクリル系
モノマ―の単独重合体の溶解度パラメ―タとの差が1.
0MPa1/2以上であり、上記後者の単独重合体のガラ
ス転移温度が−30℃以下である請求項1または請求項
2に記載の非架橋型粘着剤組成物。 - 【請求項4】 アクリル系ポリマ―ブロツクBを構成す
るアクリル系モノマ―がイソオクチルアクリレ―ト、2
−エチルヘキシルアクリレ―ト、イソノニルアクリレ―
トの中から選ばれる少なくとも1種を主モノマ―とする
請求項1〜3のいずれかに記載の非架橋型粘着剤組成
物。 - 【請求項5】 スチレン系モノマ―とアクリル系モノマ
―とを、遷移金属とその配位子の存在下、重合開始剤を
使用して、適宜のモノマ―順にリビングラジカル重合す
ることにより、スチレン系ポリマ―ブロツクAとアクリ
ル系ポリマ―ブロツクBとからなるA−B−A型ブロツ
ク共重合体を生成することを特徴とする非架橋型粘着剤
組成物の製造方法。 - 【請求項6】 遷移金属と配位子の組み合わせがCu+1
−ビピリジン錯体である請求項5に記載の非架橋型粘着
剤組成物の製造方法。 - 【請求項7】 支持体上に請求項1〜4のいずれかに記
載の非架橋型粘着剤組成物からなる層を設けたことを特
徴とする粘着シ―ト。
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