JP2001288423A - ライン表示テープ用基材フィルム及びライン表示テープ - Google Patents

ライン表示テープ用基材フィルム及びライン表示テープ

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JP2001288423A
JP2001288423A JP2000105178A JP2000105178A JP2001288423A JP 2001288423 A JP2001288423 A JP 2001288423A JP 2000105178 A JP2000105178 A JP 2000105178A JP 2000105178 A JP2000105178 A JP 2000105178A JP 2001288423 A JP2001288423 A JP 2001288423A
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Manabu Suezawa
学 末澤
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた柔軟性及び応力緩和性を有し、ライン表
示テープとしたときに十分な耐熱性(寸法安定性等の成
形加工性)を有し、かつ焼却時に有害ガスを発生するこ
とがなく環境に対する負荷の小さいライン表示テープ用
基材フィルム並びにその基材を用いた柔軟性、応力緩和
性、実施工性及び熱安定性に優れたライン表示テープを
提供する。 【解決手段】(A)アイソタクチックポリプロピレンと
アタクチックポリプロピレンとを含有するポリプロピレ
ン系樹脂であって、沸騰ヘプタン可溶性のアタクチック
ポリプロピレンを樹脂全体の10重量%以上含み、かつ
示差走査熱量計(DSC)による熱分析においてDSC
曲線の融解ピーク温度が145℃以上、融解熱量が20
〜100J/gであるポリプロピレン系樹脂 50〜9
9.9重量%、(B)ビニル芳香族系エラストマー
0.1〜50重量%、並びに(C)結晶造核剤 (A)
成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、0.
005〜1重量部を含有することを特徴とするライン表
示テープ用基材フィルム

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ライン表示テープ
用基材フィルム及びライン表示テープに関する。さらに
詳しくは、体育館の床等の被貼付面に貼付してラインを
表示するための、特に、ラインが直線だけではなく曲線
を含む場合や、被貼付面が曲面であったり凹凸が存在す
る場合であっても貼付が可能なライン表示テープ用に好
適に用いられるライン表示テープ用基材フィルム及びラ
イン表示テープに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、体育館等で各種スポーツが行われ
る際には、スポーツの種目ごとにコートの形状、サイズ
が異なるので、その床面等の被貼付面に白や黄色で着色
したライン表示テープを貼付してラインを表示しコート
の区分けを行っている。ラインのサイズや形状はスポー
ツの種目ごとに多様であり、特に、ラインが直線だけで
はなく曲線を含む場合や、被貼付面が曲面であったり凹
凸が存在する場合であっても簡便に区分けを行う必要が
あるため、テープ用基材フィルムは柔軟で強度があるこ
とが要求される。しかも、テープ貼付後に浮きが発生し
てテープが剥がれてしまわないように、テープ基材フィ
ルムには伸長後の残留応力が小さいこと、すなわち、残
留応力の緩和性が高いことが要求される。
【0003】このような物性を有するライン表示テープ
としては、軟質塩化ビニル樹脂製フィルムを基材とする
ビニルテープが用いられてきた。このビニルテープは、
柔軟で伸びやすいために、ラインが曲線を含む場合や、
被貼付面が曲面であったり凹凸が存在する場合であって
も簡便かつ円滑にテープ貼付作業を行うことができる点
で優れており、しかも、伸長しても降伏しないために着
色されたテープが白化して外観を損ねることがなく、ま
た伸長後の残留応力の緩和性が高いので経時でテープが
剥がれたりするようなこともなく、ライン表示テープと
して好適に用いられてきた。しかし、ビニルテープは、
焼却すると有害物質である塩素を発生する恐れがあり、
環境に対する負荷が大きいという問題があった。
【0004】近年、焼却しても有害物質を発生せず、環
境に対する負荷の小さい粘着テープ用基材フィルムとし
て、ポリプロピレン系樹脂フィルムが注目されている。
ポリプロピレン系樹脂は、溶剤乾燥時の熱処理温度より
も高い熱変形温度を有しているので、この樹脂を基材フ
ィルムとして用いた粘着テープは、熱処理の前後で著し
く寸法変形することはない。
【0005】しかし、ポリプロピレン系樹脂は、結晶化
温度が低く、かつ結晶化速度が遅いので、樹脂が溶融状
態から冷却固定される際に、融点が高く安定な結晶状態
であるα晶だけでなくβ晶という融点が低く不安定な結
晶が生成される場合があり、この樹脂フィルムを基材と
して用いたライン表示テープを粘着剤中の溶剤を乾燥す
るために熱処理をすると、テープの機械的特性(例え
ば、ヤング率や強度)にバラツキが生じるという成形加
工上の問題があった。
【0006】この成形加工上の問題を解決するため種々
検討がなされ、例えば、下記(1)〜(3)が提案され
ている。 (1)ポリプロピレン系樹脂に核剤ポリマーを添加し、
樹脂の結晶化温度を高くすることにより十分な成形加工
性を確保することを特徴とする高結晶性ポリプロピレン
組成物及びその製造方法(特開平07−228,630
号公報) (2)プロピレン単独重合単位とエチレン含量が25〜
75重量%のエチレン−プロピレンランダム共重合体単
位とからなり、このエチレン含量が全重合体に対して
3.5〜11重量%であるエチレンープロピレンフロッ
ク共重合体100重量部に対して、有機系結晶核剤0.
05〜2.0重量部を配合したことを特徴とする樹脂組
成物(特公平6−99,615号公報) (3)ポリプロピレン100重量部にポリエチレン、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体もしくはアイオノマーから
選ばれた一種もしくは2種以上の高分子材料を5〜50
重量部ブレンドした混和物よりなるシートをほぼ3倍以
上の縦一軸延伸を行って得た延伸フィルムに粘着剤層が
設けられていることを特徴とする粘着テープ(特公昭5
0−36,857号公報)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(1)
及び(2)に開示された発明で得られる粘着テープ及び
(3)に開示された粘着テープは、ビニルテープと同等
の柔軟性及び応力緩和性を有するものとはならず、テー
プを使用する際の作業性(実施工性)が十分ではないと
いう問題があった。
【0008】本発明は、上述の問題に鑑みなされたもの
で、軟質塩化ビニル樹脂製フィルムと比べても遜色のな
い優れた柔軟性及び応力緩和性を有し、ライン表示テー
プとしたときに優れた実施工性を実現し得るとともに、
溶剤塗布型粘着剤を用いた場合でも粘着剤中の溶剤を乾
燥する際の熱処理温度に対して十分な耐熱性(寸法安定
性等の成形加工性)を有し、かつ焼却時に有害ガスを発
生することがなく環境に対する負荷の小さいライン表示
テープ用基材フィルム並びにその基材を用いた柔軟性、
応力緩和性、実施工性及び熱安定性に優れたライン表示
テープを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述の課題
を解決するべく鋭意研究した結果、(A)アイソタクチ
ックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンとを
含有するポリプロピレン系樹脂であって、特定量の沸騰
ヘプタン可溶性のアタクチックポリプロピレン含み、示
差走査熱量計(DSC)による熱分析における特定の融
解ピーク温度及び融解熱量を有するポリプロピレン系樹
脂と、(B)ビニル芳香族系エラストマーと、(C)結
晶造核剤とを特定の含有量で含有させたものとすること
により、上記目的を達成することができることを知見
し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の
ライン表示テープ用基材フィルム及びライン表示テープ
を提供するものである。
【0010】[1](A)アイソタクチックポリプロピ
レンとアタクチックポリプロピレンとを含有するポリプ
ロピレン系樹脂であって、沸騰ヘプタン可溶性のアタク
チックポリプロピレンを樹脂全体の10重量%以上含
み、かつ示差走査熱量計(DSC)による熱分析におい
てDSC曲線の融解ピーク温度が145℃以上、融解熱
量が20〜100J/gであるポリプロピレン系樹脂
50〜99.9重量%、(B)ビニル芳香族系エラスト
マー 0.1〜50重量%、並びに(C)結晶造核剤
(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対し
て、0.005〜1重量部を含有することを特徴とする
ライン表示テープ用基材フィルム。
【0011】[2]前記(B)ビニル芳香族系エラスト
マーが、水添されたスチレン−ブタジエンランダム共重
合体、水添されたスチレン−ブタジエン−スチレンブロ
ック共重合体又は水添されたスチレン−イソプレン−ス
チレンブロック共重合体である前記[1]に記載のライ
ン表示テープ用基材フィルム。
【0012】[3]前記水添されたスチレン−イソプレ
ン−スチレンブロック共重合体が、下記式(1)に示す
3,4結合を含有するものである前記[2]に記載のラ
イン表示テープ用基材フィルム。
【0013】
【化2】
【0014】[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記
載のライン表示テープ用基材フィルムの少なくとも片面
に、粘着剤層を積層してなるライン表示テープ。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明のライン表示テープ
用基材フィルム及びライン表示テープの実施の形態を具
体的に説明する。
【0016】I.ライン表示テープ用基材フィルム 本発明のライン表示テープ用基材フィルムは、(A)ア
イソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロ
ピレンとを含有するポリプロピレン系樹脂であって、沸
騰ヘプタン可溶性のアタクチックポリプロピレンを樹脂
全体の10重量%以上含み、かつ示差走査熱量計(DS
C)による熱分析においてDSC曲線の融解ピーク温度
が145℃以上、融解熱量が20〜100J/gである
ポリプロピレン系樹脂 50〜99.9重量%、(B)
ビニル芳香族系エラストマー 0.1〜50重量%、並
びに(C)結晶造核剤 (A)成分及び(B)成分の合
計100重量部に対して、0.005〜1重量部を含有
することを特徴とする。以下、各構成要素ごとにさらに
具体的に説明する。
【0017】1.ポリプロピレン系樹脂(A) (1)アイソタクチックポリプロピレン及びアタクチッ
クポリプロピレン 本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)は、ア
イソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロ
ピレンとを含有し、かつ沸騰ヘプタン可溶性のアタクチ
ックポリプロピレンを樹脂全体の10重量%以上含むも
のである。10重量%未満であると、ライン表示テープ
としたときに、柔軟性が不足し、応力緩和性も不十分と
なる。アイソタクチックポリプロピレン成分は、プロピ
レン単独重合体、又は立体規則性を有するプロピレンモ
ノマーと他のα−オレフィンモノマーとの共重合体であ
ってもよい。また、アタクチックポリプロピレン成分
も、プロピレン単独重合体、又は立体規則性を有するプ
ロピレンモノマーと他のα−オレフィンとの共重合体で
あってもよい。沸騰ヘプタン可溶性のアタクチックポリ
プロピレンを10重量%以上含むポリプロピレン系樹脂
は、一般に非晶性PPと略称され、その市販品として
は、例えば、出光石油化学(株)製 商品名:IDEM
ITU TPOやレキセン社製商品名:FPO等を挙げ
ることができる。
【0018】(2)融解ピーク温度及び融解熱量 本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)は、示
差走査熱量計(DSC)による熱分析においてDSC曲
線の融解ピーク温度が145℃以上、融解熱量が20〜
100J/gの物性を有するものである。本発明におけ
る示差走査熱量計(DSC)による熱分析は、JIS
K 7121及びJIS K 7122に記載の方法に
準拠した。具体的には、昇温速度10℃/分で250℃
まで昇温し、その温度で5分間保持し、完全に溶解させ
た後、10℃/分の速度で25℃まで冷却し、その後、
昇温速度10℃/分で昇温したときに得られるDSC曲
線より求めた。
【0019】融解ピーク温度が145℃未満であると、
ライン表示テープとするときの熱処理時に耐熱性が不足
する。融解熱量が20J/g未満であると、ライン表示
テープとしたときにテープ強度が不足し、100J/g
を超えると、ライン表示テープとしたときに柔軟性が不
足する。
【0020】(3)ポリプロピレン系樹脂(A)の製造
方法 本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(A)の製造
方法としては特に制限はなく、汎用の方法を用いること
ができる。また、市販品を適宜混合して用いてもよい。
【0021】(4)他のオレフィン系樹脂及び添加剤の
添加 本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(A)には、
本発明の効果を損なわない範囲で、低密度ポリエチレ
ン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンとα−オレフ
ィンとの共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン等の他
のオレフィン系樹脂を添加してもよい。また、本発明に
用いられるポリプロピレン系樹脂(A)には、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、光安定剤、スリップ剤、アンチブロ
ッキング剤等の通常オレフィン系樹脂に用いられる添加
剤や、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等の通常オレフ
ィン系樹脂に用いられる無機充填剤を添加してもよい
し、顔料、染料等で着色してもよい。
【0022】2.ビニル芳香族系エラストマー(B) (1)ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重
合体 本発明に用いられるビニル芳香族系エラストマー(B)
としては特に制限はないが、例えば、ビニル芳香族化合
物(X)と、共役ジエン化合物(Y)とが、X−(Y−
X)m(mは1以上の整数)又は(X−Y)n(nは1
以上の整数)で示される状態で重合した、ブロック共重
合体又はランダム共重合体を挙げることができる。中で
も、X−Y−X型又はX−Y型が好ましい。
【0023】ここで、ビニル芳香族化合物(X)の具体
例としては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチ
ルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルスチレン、
1,1−ジフェニルスチレン等を挙げることができる。
中でも、スチレン、α一メチルスチレンが好ましい。
【0024】共役ジエン化合物(Y)の具体例として
は、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチ
ル1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メ
チル1,3−ペンタジエン、1,3−ブタジエン、イソ
プレン、及びその水添物等を挙げることができる。
【0025】(2)共重合体の水添物 本発明に用いられるビニル芳香族系エラストマー(B)
としては、上記ブロック共重合体又はランダム共重合体
の水添物、又はそれらの水添物と同様の構造を有する重
合体が好ましい。中でも、水添されたスチレン−ブタジ
エンランダム共重合体、水添されたスチレン−ブタジエ
ン−スチレンブロック共重合体又は水添されたスチレン
−イソプレン−スチレンブロック共重合体がさらに好ま
しい。
【0026】スチレンと1,3−ブタジエンのX−Y−
X型ブロック共重合体の水素添加物は、一般にSEBS
と略称され、その市販品としては、例えば、シェル化学
(株)製 商品名:クレイトンG、旭化成工業(株)製
商品名:タフテック等を挙げることができる。また、
スチレンと1,3−ブタジエンの共重合体のうちランダ
ム性の高いものは、一般にHSBRと略称され、その市
販品としては、例えば、JSR(株)製 商品名:ダイ
ナロン等を挙げることができる。また、スチレンとイソ
プレンとのX−Y−X型ブロック共重合体の水素添加物
は、一般にSEPSと略称され、その市販品としては、
例えば、クラレ(株)製 商品名:ハイブラー及びセフ
トン等を挙げることができる。
【0027】また、前記水添されたスチレン−イソプレ
ン−スチレンブロック共重合体は、前記式(1)に示す
3,4結合を含有するものがさらに好ましい。この共重
合体の市販品としては、例えば、クラレ(株)製 商品
名:ハイブラー 7125等を挙げることができる。
【0028】(3)含有量 本発明のライン表示テープ用基材フィルムにおけるポリ
プロピレン系樹脂(A)及びビニル芳香族系エラストマ
ー(B)の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計
を100重量%とした場合に、ポリプロピレン系樹脂
(A)が、50〜99.9重量%、ビニル芳香族系エラ
ストマー(B)が0.1〜50重量%である。ビニル芳
香族系エラストマー(B)の含有量が50重量%を超え
ると、ライン表示テープとしたときにそのテープ強度が
低下するとともに、伸びが大きくなりすぎ、0.1重量
%未満であると、ライン表示テープとしたときに柔軟性
が低下し、ラインが曲線であったり、被貼付面が曲面で
あったり凹凸を含む場合に作業性(実施工性)が劣る。
【0029】3.結晶造核剤(C) 本発明に用いられる結晶造核剤(C)としては特に制限
はなく、無機系及び有機系のいずれであってもよい。無
機系結晶造核剤としては、例えば、シリカ、タルク、炭
酸カルシウム、フッ化亜鉛、フッ化カドミウム、二酸化
チタン、カオリシ、アルミナ等を挙げることができる。
有機系結晶造核剤としては、ステアリン酸塩、アジピン
酸塩等の脂肪酸塩;フェニルスルホン酸、シクロヘキシ
ルホスホン酸等の有機ホスホン酸塩;安息香酸等の芳香
族系の塩;オリゴマー性ポリエステル等を挙げることが
できる。結晶造核剤(C)の含有量は、ポリプロピレン
系樹脂(A)及びビニル芳香族系エラストマー(B)の
合計100重量部に対して、0.005〜1重量部であ
る。1重量部を超えると、含有量の増加の割に粘着剤積
層時の熱処理に対する品質安定性に大幅な改善を図るこ
とができないため無駄であり、0.005重量部未満で
あると、結晶造核剤としての効果が十分に得られない。
【0030】4.ライン表示テープ用基材フィルムの製
造方法 本発明のライン表示テープ用基材フィルムの製造方法と
しては特に制限はなく、例えば、Tダイ法、空冷又は水
冷インフレーション法、カレンダー法等の従来公知の方
法を適宜用いることができる。成形効率や作業性を高め
る目的で、本発明の効果を損なわない範囲で、粘着剤層
の積層を予定した面とは反対側のフィルム面に、他のオ
レフィン系樹脂等を積層してもよい。また、成形後に両
面又は片面に印刷を施してもよい。
【0031】5.フィルムの延伸 本発明のライン表示テープ用基材フィルムは、格別に延
伸しなくても十分な効果を発揮するが、本発明の範囲内
で効果を高めるためには、延伸温度60〜130℃、延
伸倍率1.1〜5倍で、少なくとも1方向に延伸するこ
とが好ましい。
【0032】MD方向に延伸をすると、伸長時の応力を
高めることができ、TD方向に延伸をすると、手切れ性
を高めることができるが、MD方向又はTD方向のどち
らか一方向だけの延伸でもよいし、両方向に延伸をして
もよい。延伸温度が60℃未満であると、被延伸フィル
ムの応力が高すぎ十分な延伸を掛けることができないこ
とがあり、130℃を超えると、MD方向の延伸の場合
には伸長後の応力緩和が不十分となり、TD方向の延伸
の場合には手切れ性が不十分となることがある。延伸温
度は、75〜120℃がさらに好ましい。延伸倍率が
1.1倍未満であると、延伸の効果が十分発揮できない
ことがあり、5倍を超えると、テープが固くなりすぎて
柔軟性に欠けることがある。延伸倍率は、1.5〜2.
5倍がさらに好ましい。
【0033】延伸方法としては、テープを少なくとも1
方向に均一に延伸できる方法であれば特に制限はなく、
例えば、テンター延伸、縦一軸延伸、同時二軸延伸、逐
次二軸延伸、ロール圧延延伸、チューブラー延伸等の方
法等を適宜用いることができる。また、必要に応じてア
ニール処理を行ってもよい。
【0034】本発明のフィルムの厚さとしては特に制限
はなく、用途により適宜決定すればよいが、通常、20
〜300μmであり、好ましくは100〜170μmで
ある。また、外観を向上させたり、すべりを調節するた
めに、テープの片面又は両面にエンボス加工を施しても
よい。さらに、オレフィン系樹脂に通常用いられる酸化
防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、耐候剤、
顔料、無機フィラー等を添加してもよい。
【0035】本発明のライン表示テープ用基材フィルム
は、特定の柔軟なポリプロピレン系樹脂(A)及び特定
のビニル芳香族系エラストマー(B)をそれぞれ特定量
含有することにより、軟質塩化ビニルと同等の柔軟性と
応力緩和性とを有し、また、結晶造核剤(C)を特定量
含有することにより溶剤塗布型の粘着剤を積層する際の
熱処理に対しても品質のバラツキが少なく、さらに、使
用後焼却しても有害物質が発生することがなく環境に対
する負荷が小さいので、ライン表示テープの基材フィル
ムとして非常に有用である。
【0036】II.ライン表示テープ 本発明のライン表示テープは、上述のライン表示テープ
用基材フィルムの少なくとも片面に、粘着剤層を積層し
てなるものである。本発明に用いられる粘着剤としては
特に制限はないが、例えば、アクリル系、ゴム系、ウレ
タン系、シリコーン系等の従来公知の粘着剤を挙げるこ
とができる。粘着剤層の積層方法としても特に制限はな
く、従来公知の方法を適宜用いることができるが、例え
ば、基材の一面に粘着剤溶液又はエマルジョンを塗布乾
燥する方法等を挙げることができる。粘着剤層の厚さと
しては特に制限はなく、用途により適宜決定すればよい
が、通常、5〜50μmであり、好ましくは、10〜3
0μmである。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例によっていかなる
制限を受けるものではない。
【実施例1】DSC分析による融解ピークが160.1
℃、融解熱量が66.8J/gであり、沸騰ヘプタン可
溶性のアタクチックポリプロピレン成分がポリプロピレ
ン系樹脂全体の10重量%であるポリプロピレン系樹脂
90重量部に、水添されたスチレン−イソプレン−スチ
レンブロック共重合体(クラレ(株)製 商品名:ハイ
ブラ−7125)を10重量部、さらに結晶造核剤とし
てリン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチ
ルフェニル)ナトリウム(旭電化工業(株)製、アデカ
スタブNA−11)を0.2重量部ブレンドし、220
℃で混練し、押出機からTダイスを用いて押出し、厚さ
が150μmのライン表示テープ用基材フィルムを作製
した。得られたフィルムの片面に、アクリル系粘着剤
(総研化学(株)製 商品名:SKダイン1502C)
100重量部とイソシアネート系架橋剤5重量部よりな
る粘着剤組成物をトルエン溶剤で25%まで希釈した粘
着剤溶液を塗布し、120℃2分間乾燥し、厚さ25μ
mの粘着剤層を積層し、得られたテープを幅方向にスリ
ットすることによって、幅50mm、長さ50m巻のラ
イン表示テープを得た。得られたライン表示テープを以
下の(1)〜(5)の項目で評価を行った。
【0038】(1)柔軟性:JIS K 7127に準
拠してヤング率を測定し、テープの柔軟性を評価した。
判定基準は、ヤング率が200MPa未満ものを柔軟性
が良好であるとして○、ヤング率が200MPa以上の
ものを柔軟性が劣るとして×とし、評価結果を表1に示
した。
【0039】(2)応力緩和性:JIS K 7127
に準拠して50%伸長時の応力を測定し、さらに50%
伸長状態を保持した状態で1分間の応力減衰曲線を測定
し、1分後の残留応力から応力緩和率を次式で求め、テ
ープの応力緩和性を評価した。 応力緩和率=1−(1分後の残留応力/50%伸長時の
応力) 判定基準は、応力緩和率が50%以上のものを応力緩和
性が良好であるとして○、50%未満のものを応力緩和
性が劣るとして×とし、評価結果を表1に示した。
【0040】(3)実施工性:体育館の床面に、直径
3.6mの円形状にバスケットコートのセンターサーク
ルを模して、テープを手作業で貼付し、テープ実施工性
の評価を行った。判定基準は、貼付後のテープ外観が、
シワがなく美麗であり、テープ剥がれもない場合を○、
テープが柔軟でなくシワがよったり、テープの応力緩和
性が小さいためにテープ貼付後すぐに剥がれが生じたも
のを×とし、評価結果を表1に示した。
【0041】(4)結晶化温度:示差走査熱量計(セイ
コー電子工業(株)製 商品名:SSC5200熱分析
システム)を用いて、テープを250℃に昇温した後
に、10℃/分の速度で降温したときの結晶化温度を測
定した。結晶化温度が高いほど、積層体フィルムの製膜
時に安定して熱固定され、良好である。評価結果を表1
に示した。
【0042】(5)熱安定性:120℃でフィルムを加
熱した後の収縮率を測定し、熱安定性を評価した。評価
基準は、収縮率が2%未満のものを〇、2%以上のもの
を×として、評価結果を表1に示した。
【0043】
【実施例2】DSC分析による融解ピークが158.9
℃、融解熱量が63.0J/gであり、沸騰ヘプタン可
溶性のアタクチックポリプロピレン成分がポリプロピレ
ン系樹脂全体の15重量%であるポリプロピレン系樹脂
90重量部に、実施例1で用いた水添されたスチレン−
イソプレン−スチレンブロック共重合体を10重量部、
さらに実施例1で用いた結晶造核剤を0.2重量部ブレ
ンドし、220℃で混練し、押出機からTダイスを用い
て押出し、厚さが150μmのライン表示テープ用基材
フィルムを作製した。得られたフィルムを実施例1と同
様に厚さ25μmの粘着剤層を積層し、ライン表示テー
プを得た。また、実施例1と同様に物性を評価し、評価
結果を表1に示した。
【0044】
【実施例3】実施例2で用いたポリプロピレン系樹脂6
0重量部に、実施例1で用いた水添されたスチレン−イ
ソプレン−スチレンブロック共重合体を40重量部及び
実施例1で用いた結晶造核剤を0.05重量部ブレンド
し、210℃で混練し、押出機からTダイスを用いて押
出し、150μmのライン表示テープ用基材フィルムを
作製した。得られたフィルムに実施例1と同様に厚さ3
0μmの粘着剤層を積層し、ライン表示テープを得た。
また、実施例1と同様に物性を評価し、評価結果を表1
に示した。
【0045】
【比較例1】結晶造核剤を配合しなかったこと以外は実
施例1と同様の方法で、150μmのライン表示テープ
用基材フィルムを作製し、実施例1と同様にしてライン
表示テープを得た。また、実施例1と同様に物性を評価
し、評価結果を表1に示した。
【0046】
【比較例2】プロピレン−エチレンランダム共重合体
(モンテル・エスディーケイ・サンライズ社製 商品
名:サンアロマーPF631S)100重量部だけを用
いたこと以外は実施例1と同様にして、150μmのテ
ープ用基材フィルムを作製し、実施例1と同様にしてラ
イン表示テープを得た。また、実施例1と同様に物性を
評価し、評価結果を表1に示した。
【0047】
【比較例3】重合度1000の塩化ビニル樹脂100重
量部とジオクチルフタレート55重量部をカレンダー成
形して厚さ150μmの軟質塩化ビニルフィルムを作製
し、実施例1と同様にしてビニルテープを得た。また、
実施例と同様に物性を評価し、評価結果を表1に示し
た。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によっ
て、軟質塩化ビニル樹脂製フィルムと比べても遜色のな
い優れた柔軟性及び応力緩和性を有し、ライン表示テー
プとしたときに優れた実施工性を実現し得るとともに、
溶剤塗布型粘着剤を用いた場合でも粘着剤中の溶剤を乾
燥する際の熱処理温度に対して十分な耐熱性(寸法安定
性等の成形加工性)を有し、かつ焼却時に有害ガスを発
生することがなく環境に対する負荷の小さいライン表示
テープ用基材フィルム並びにその基材を用いた柔軟性、
応力緩和性、実施工性及び熱安定性に優れたライン表示
テープを提供することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)アイソタクチックポリプロピレンと
    アタクチックポリプロピレンとを含有するポリプロピレ
    ン系樹脂であって、沸騰ヘプタン可溶性のアタクチック
    ポリプロピレンを樹脂全体の10重量%以上含み、かつ
    示差走査熱量計(DSC)による熱分析においてDSC
    曲線の融解ピーク温度が145℃以上、融解熱量が20
    〜100J/gであるポリプロピレン系樹脂 50〜9
    9.9重量%、(B)ビニル芳香族系エラストマー
    0.1〜50重量%、並びに(C)結晶造核剤 (A)
    成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、0.
    005〜1重量部を含有することを特徴とするライン表
    示テープ用基材フィルム。
  2. 【請求項2】前記(B)ビニル芳香族系エラストマー
    が、水添されたスチレン−ブタジエンランダム共重合
    体、水添されたスチレン−ブタジエン−スチレンブロッ
    ク共重合体又は水添されたスチレン−イソプレン−スチ
    レンブロック共重合体である請求項1に記載のライン表
    示テープ用基材フィルム。
  3. 【請求項3】前記水添されたスチレン−イソプレン−ス
    チレンブロック共重合体が、下記式(1)に示す3,4
    結合を含有するものである請求項2に記載のライン表示
    テープ用基材フィルム。 【化1】
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載のライン表
    示テープ用基材フィルムの少なくとも片面に、粘着剤層
    を積層してなるライン表示テープ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008208269A (ja) * 2007-02-27 2008-09-11 Adeka Corp 難燃性樹脂組成物
US7491434B2 (en) * 2000-02-02 2009-02-17 3M Innovative Properties Company Adhesive for bonding to low surface energy surfaces

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