JP2001279557A - ポリエステル複合糸を用いた布帛 - Google Patents

ポリエステル複合糸を用いた布帛

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JP2001279557A
JP2001279557A JP2000093490A JP2000093490A JP2001279557A JP 2001279557 A JP2001279557 A JP 2001279557A JP 2000093490 A JP2000093490 A JP 2000093490A JP 2000093490 A JP2000093490 A JP 2000093490A JP 2001279557 A JP2001279557 A JP 2001279557A
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composite
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Minoru Shiojima
実 塩島
Katsutoshi Hashimoto
克俊 橋本
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Toray Textiles Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アルカリ減量する必要がないか低減量にするこ
とができ、かつ得られた布帛はソフトであり、軽量で十
分な嵩高性のあるポリエステル複合糸を用いた織物及び
編み物を含む布帛を提供する。 【解決手段】紡速2500〜4000m/minの高配向未延伸糸(A
成分糸)11と、紡速4000m/min以上の高速紡糸延伸糸また
は延伸糸(B成分糸)12とを引き揃え、常温〜100℃以下
の温度範囲かつ1.2倍以下の延伸倍率で同時仮撚(16,17)
を行い、前記A成分糸のほうがB成分糸より5%以上長
い糸長差を付与するとともに、A成分糸の一部を変形さ
せ、次にヒーター温度150℃以上でかつA成分糸を収縮
させて実質的に糸長差のない程度にするごく短時間の熱
処理(19)を行って得られた複合糸を布帛に用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は非常に軽量で嵩高が
あり、張腰があり、アルカリ減量が必要ないかもしくは
低減量率で充分ソフトな風合いが得られるポリエステル
複合糸を用いた布帛に関するものである。
【従来の技術】従来からあるスパンライクな外観、風合
いを有する仮撚2層構造糸として特公昭61-19733号公
報、特公昭61-20662号公報などが提案されている。これ
らは適度な反発感、ドレープ性、スパンライクな外観風
合いを兼ね備えているが、糸段階では糸長差があり、強
撚してふかつきを押さえる必要があり、結果硬い織物と
なり、軽量で嵩高な織物とはなっていない。また、ソフ
トな織編物とする手段に低温で仮撚を実施する方法があ
る。例えば特公平7-91709号公報、特許第2771248号公報
に伸度差が70%以上で2種以上のポリエステルをガラ
ス転移点以下で仮撚を実施し、130℃以上で熱処理する
方法が提案されている。この方法では鞘成分が均一に引
き延ばされるため沸騰水処理および/または沸騰水処理
後乾熱処理後に鞘成分が均一な自発伸長となり、芯糸と
の収縮差により嵩高としている。従来からある異収縮混
繊糸のように芯鞘の収縮差による嵩高構造では浮き出た
鞘糸のループが大きく、またループがへたり易く、十分
な嵩高感が感じられない。そのためソフトであるが、嵩
高感、軽量感については充分なものは得られていない。
また、特許第2760840号公報に伸度大なる糸条の単糸繊
度を3.5デニール以上とし繊度バラツキ付与することで
反発感を増大させる方法が提案されているが、反発感に
は寄与しているが嵩高となる糸構造、潜在的な糸構造と
はなっておらず、同様に嵩高で軽量な織編物は得られて
いない。
【発明が解決しようとする課題】以上説明したとおり、
従来技術ではソフトな風合いや反発感は得られるが軽量
で十分な嵩高感のある素材が得られないという問題があ
った。このため従来のポリエステル繊維を用いた織編物
は、アルカリ減量が約25重量%も必要であり、アルカ
リ減量にともなって発生するテレフタル酸アルカリ塩が
多く、この処理も大変で、地球環境問題や資源の無駄と
いった大きな問題があった。本発明は、これら従来技術
の課題を解決するものであって、アルカリ減量する必要
がないか低減量にすることができ、風合いはソフトであ
り、軽量で十分な嵩高性のあるポリエステル複合糸を用
いた布帛を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明のポリエステル複合糸を用いた布帛は、複屈折率
Δnが40×10-3〜90×10-3の範囲のポリエステ
ルマルチフィラメント(A成分糸)と、複屈折率Δnが
100×10-3〜160×10-3の範囲のポリエステル
マルチフィラメント(B成分糸)を含む同時仮撚複合糸
を用いた布帛であって、前記フィラメント間には実質的
に糸長差がなく、前記A成分糸の構成フィラメントには
部分的に変形部および/または太部が存在し、かつアル
カリ減量を必要としないかまたは15重量%以下のアル
カリ減量で仕上げ加工が可能なことを特徴とする。前記
においてアルカリ減量が15重量%を越えると、アルカ
リ処理コストが高くなると同時に廃液の回収及びその処
理のコストが高くなり、好ましくない。本発明のさらに
好ましい態様は、アルカリ減量が0〜10重量%以下、
とくに好ましくは0〜5重量%以下、もっとも好ましく
はアルカリ減量を必要としないことである。前記布帛
は、熱水処理前の布帛を構成する複合糸は生糸風の外観
形態を呈しており、織編物形成工程までの高次加工通過
性を有し、前記布帛を沸騰水中で30分間処理したと
き、構成フィラメントは微細なクリンプを発現して嵩高
となるが、糸条として一体性を有することが好ましい。
また本発明の布帛を構成する複合糸の沸騰水収縮率は、
0%以上10%以下であることが好ましい。また本発明の
布帛は織物であり、前記織物の経糸及び緯糸から選ばれ
る少なくとも一方に前記複合糸を用いてもよい。また本
発明の布帛は編み物であってもよい。
【発明の実施の形態】本発明の布帛に用いる複合糸は、
前記A成分糸とB成分糸とのフィラメント間には実質的
に糸長差がなく、前記A成分糸の構成フィラメントには
部分的に変形部および/または太部が存在し、かつ下記
特性を有する。 (1)複合糸の捲縮復元率(K1) K1≦2% (2)複合糸の沸騰水処理後の捲縮復元率(K2) 3%≦K2
≦15% (3)潜在嵩高度(S=K2/K1) S≧5 前記複合糸においては、その沸騰水収縮率が0%以上10
%以下であることが好ましい。また前記複合糸において
は、複合糸を沸騰水中で30分間処理したとき、構成フ
ィラメントは微細なクリンプを発現して嵩高となるが、
糸条として一体性を有することが好ましい。すなわち、
構成繊維は自由度を有するが、糸条がバラバラになるの
ではなく、嵩高ではあるが糸条として一体性を有してい
るのである。また前記複合糸においては、複合糸は生糸
風の外観形態を呈しており、織編物形成工程までの高次
加工通過性を有することが好ましい。次に前記のポリエ
ステル複合糸を製造する方法は、紡速2500〜4000m/min
の高配向未延伸糸(A成分糸)と、紡速4000m/min以上
の高速紡糸延伸糸または延伸糸(B成分糸)とを引き揃
え、常温〜100℃以下の温度範囲かつ1.2倍以下の延伸倍
率で同時仮撚を行い、前記A成分糸のほうがB成分糸よ
り5%以上長い糸長差を付与するとともに、A成分糸の
一部を変形させ、次に、ヒーター温度150℃以上でかつ
A成分糸を収縮させて実質的に糸長差のない程度にする
熱処理を行う。前記方法においては、ヒーター温度150
℃以上の熱処理時間が、接触式ヒーターの場合は0.2
秒以下、非接触式ヒーターの場合は0.3秒以下である
ことが好ましい。また前記方法においては、A成分糸と
B成分糸とを引き揃えた後、同時仮撚する前に、交絡処
理をすることが好ましい。また前記方法においては、同
時仮撚後の沸騰水収縮率が20%以上で糸長差が5%以上
かつ鞘糸の一部が変形していることが好ましい。本発明
は少なくとも2種以上のフィラメントからなるポリエス
テル複合糸であって、複屈折率Δnが40×10-3〜9
0×10-3の範囲のポリエステルマルチフィラメント
(A成分糸)と、複屈折率Δnが100×10-3〜16
0×10-3の範囲のポリエステルマルチフィラメント
(B成分糸)を含む同時仮撚複合糸である。前記A成分
糸は紡速2500〜4000m/minの高配向未延伸糸である。ま
た前記B成分糸は紡速4000m/min以上の高速紡糸延伸糸
または延伸糸である。前記A成分糸とB成分糸を引き揃
え、常温〜100℃の範囲内で同時仮撚することで、A
成分糸が鞘成分となり、延伸され糸長差が発現する。B
成分糸は芯成分になる。このとき、常温〜100℃の範
囲内で同時仮撚することによって鞘糸の一部が変形す
る。この後、ヒーターで極く短時間の熱処理する。これ
により、実質的に糸長差のない加工糸が得られる。ヒー
ターで極く短時間の熱処理をすると、鞘糸の変形部分が
収縮し、他のフィラメントに比べ太くなる部分と熱処理
されずに変形したままの状態となる。この結果、鞘糸の
フィラメント間及び長さ方向で収縮差及び自発伸長差が
付与され、潜在捲縮型の繊維となる。そして寸法安定性
が付与され、取り扱い性が良好になり、織編物などの形
成過程までの高次加工性が良好となる。図1は本発明の
一実施例の複合糸1の外観である。複合糸1は交絡部3と
非交絡部2とからなり、外観は生糸(なまいと)風の外
観形態を呈している。すなわち、各フィラメント間には
実質的に糸長差はない。図2は複合糸1の切断面の観察図
であり、A成分糸の構成フィラメントには部分的に変形
部および/または太部4が存在している。この複合糸1
は、潜在捲縮型の繊維であり、沸騰水中で30分間処理
すると、図3の複合糸5に示すように構成フィラメント
には微細なクリンプが発現して嵩高となる。すなわち、
構成繊維は自由度を有するが、糸条がバラバラになるの
ではなく、嵩高ではあるが糸条として一体性を有してい
る。この状態は織編物などに形成した後、染色などの高
次加工時の熱処理によっても発現する。すなわち、鞘糸
のフィラメントがランダムにクリンプが発現し、空隙を
形成し、従来になく嵩高になる。この加工糸の捲縮復元
率(K1)については小さいが、沸騰水処理を実施すること
で捲縮復元率(k2)が増加する。このとき潜在嵩高度(S=K
2/K1)が5以上あることで嵩高感、軽量感のある素材が
得られる。織物または編み物としたときに染色仕上げに
おいてクリンプがランダムに浮き出て、かつフィラメン
ト間に空隙が形成され、天然繊維であるウールまたはカ
シミヤのように嵩高、軽量でソフトな触感が得られる。
その結果、従来のポリエステル撚糸使いの織物ではフィ
ラメント間に空隙を形成するために必須であったアルカ
リ減量加工を、本発明の複合糸はする必要がないか、も
しくは非常に低減量で製品とすることが可能となった。
また、減量処理することなく使えることで、1工程省略
できることにより、コストダウンが可能であり、また、
アルカリ減量後に処理しなければならないテレフタル酸
アルカリ塩を減らすことができ、地球環境に影響を与え
ない利点がある。図6に示す従来の複合仮撚による仮撚
2層複合糸9は、芯糸と鞘糸との糸長差が30%前後あ
り、芯糸が鞘糸に巻き付いた状態になり密度の詰まった
糸になる。このため、取り扱いが難しく、そのままの使
用ではふかつきすぎるため、強撚する必要がある。その
結果、空隙がなくなり、硬い織物になってしまい、高減
量が必要という問題があった。これに対して、本発明の
ポリエステル複合糸は、実質的に糸長差がなく、織編物
形成工程までの高次加工通過性が良好であり、強撚する
必要もなく、甘撚り〜中撚り程度でよく、硬くならな
い。また、鞘成分がランダムに収縮と自発伸長すること
により従来になく嵩高になる。また図5に示す従来の異
収縮混繊糸6は、芯糸に高収縮糸7を用い、鞘糸に非収
縮糸8を用い、当初は糸長差はないが、沸騰水処理によ
り、芯糸が収縮し、非収縮糸8が大きく膨らむ。しか
し、ランダムなクリンプは発現せず、鞘糸の浮き方が均
一であり嵩高であるがへたり易い糸構造となっている。
また、芯糸の収縮が高いため、織物としたとき密度が詰
まってしまい硬くなる。そのため高減量により無理にソ
フトな仕上げをする必要があった。これに対して、本発
明のポリエステル複合糸は、芯糸との収縮差による嵩高
性とは異なり、芯糸に高収縮糸を用いる必要がないた
め、高減量により無理にソフトな仕上げをする必要がな
いという利点がある。すなわち、本発明では鞘糸が嵩高
となるため、織物の密度が詰まることなくソフトで嵩高
な素材を得ることができる。また、この効果により従来
になく軽量感のある素材を得ることができる。次に本発
明の製造方法について詳細に説明する。本発明は少なく
とも2種以上のフィラメントからなる複合糸であって、
B成分糸として紡速4000m/min以上で得られる高速紡糸
延伸糸又は延伸糸を用いる。紡速4000m/min以上で得ら
れる高速紡糸延伸糸又は延伸糸を用いることで、仮撚加
工時に延伸倍率を低倍率で加工することが可能となる。
紡速4000m/min未満の高配向未延伸糸を使用すると、仮
撚加工時に1.2倍を越える高倍率の延伸が必要となり、
鞘成分が芯糸に巻きつきながら延伸されることと、仮撚
ゾーンで芯糸と同時に延伸されるため、鞘糸に十分な変
形が与えられず、比較的均一な断面となってしまう。こ
のため、芯糸には紡速4000m/min以上で得られる高速紡
糸延伸糸又は延伸糸を用いることが必要である。A成分
糸は紡速2500〜4000m/minの高配向未延伸糸を用いる。
紡速2500m/min未満では結晶配向が不安定なため、仮撚
工程において糸切れ、毛羽の発生などが起こりやすい。
また、熱処理されやすくなるため、太部、変形部が均一
になってしまう。このため、紡速2500m/min未満は好ま
しくない。また4000m/minを超えると沸騰水収縮率が低
下し、熱処理時にランダムな収縮、自発伸長特性となり
にくいため好ましくない。そのため本発明に用いるA成
分糸は、紡速2500〜4000m/minの高配向未延伸糸が好ま
しい。次にA成分糸とB成分糸を引き揃え、エアージェ
ットを噴射させて交絡処理を行う。これは仮撚解撚後及
び熱処理後に芯鞘成分が分離してしまうとネップとなっ
てしまうため、また、高次通過において取り扱いが難し
くなるためである。好ましくは交絡数は10〜100ヶ/mで
あり、交絡数10ヶ未満では高次通過でのしごきにより糸
が分離してしまいネップとなる。また、100ヶを超える
と交絡点が多くなりすぎ嵩高になりにくくなってしまう
ため好ましくない。この交絡処理は、A成分糸とB成分
糸を引き揃えた後に行っても良いし、熱処理後に行って
も良い。また前記の交絡数は、織編物となった後にも残
存している場合がある。A成分糸とB成分糸との混繊が
良好な場合は交絡処理を省略することもできる。次に常
温〜100℃の範囲で同時仮撚を実施する。常温とは一般
的に25℃前後であるが、夏冬の加工する室温に変化が生
じる場合があり、約15〜35℃近辺である。仮撚温度は常
温〜100℃が好ましく常温以下では温度管理が難しいた
め好ましくない。また、100℃を超えると糸の結晶化が
進み、捲縮が固定されるため本発明の複合糸とならな
い。本発明では仮撚温度が常温〜100℃であることが必
須である。この温度で同時仮撚を実施するとき、高伸度
である鞘糸が低伸度である芯糸に巻きつきながら延伸さ
れた後、解撚される。この工程で通常の複合仮撚時のよ
うに鞘糸のほとんどのフィラメントが変形させられるほ
どではないが、常温〜100℃における温度領域でも、鞘
糸のフィラメントの一部が変形する。鞘成分は100℃以
下の温度で仮撚加工を実施するためほとんど結晶化が進
まず、収縮率も高いままである。仮撚後に収縮率が残っ
ていることが重要であり、次の熱処理工程で糸長差がほ
とんどなくなるとともに、収縮、自発伸長特性をフィラ
メント間及び長さ方向で付与することができる。その結
果、高次加工の熱処理工程でランダムにループを発現さ
せることができる。同時仮撚直後の糸条は複合仮撚で得
られるような糸長差のある糸条となっている。このとき
糸長差は5%以上が好ましく、5%以下では熱処理により
ランダムな収縮、自発伸長特性とすることが難しくなる
ため、糸長差は5%以上とすることが好ましい。また、
糸長差が40%を超えると解撚後にネップになりやすい
ため、好ましくは糸長差は5〜40%であり、より好まし
くは15〜35%である。次にヒーターにより、熱処理を実
施する。ヒーター温度は150〜250℃が好ましい。150℃
未満では熱処理が不十分で本発明の糸条とならない。ま
た、250℃以上では変形部および太部が熱処理され、均
一な糸条となってしまい、ランダムな収縮、自発伸長特
性がなくなってしまうため、ヒーター温度は250℃以下
が好ましい。熱処理温度は糸の太さ、ヒーターの種類
(接触式、非接触式)、ヒーター長により適宜設定す
る。このときのヒータータッチ時間は接触式ヒーターで
は0.2秒以下とすることが好ましい。非接触式ヒータ
ーでは熱の伝わりが少なくなるので0.3秒以下が好ま
しい。この処理時間を超えると変形部および太部が熱処
理され、均一な糸条となってしまい、ランダムな収縮、
自発伸長特性がなくなってしまう。つまり、極く短時間
の熱処理が好ましいのである。熱処理時の糸の長さ方向
の保持率は、-1%〜+10%に保つのが好ましく、-1%未
満では加工張力が高くなりすぎ、加工性に問題がある。
また、+10%を超えると鞘糸の収縮率が高いため、芯糸
と鞘糸が逆転してしまうため、好ましくない。このた
め、糸保持率は-1%〜+10%が良く、より好ましくは0〜
+5%である。同時仮撚直後の糸条は結晶化が進む温度で
仮撚を実施していないので、複合糸は熱収縮の高い糸と
なっている。このとき、沸騰水収縮率は20%以上が好ま
しく20%未満では熱処理後に収縮、自発伸長性を付与で
きなくなる。そのため好ましくは沸騰水収縮率は20%以
上である。鞘成分(A成分糸)の収縮率が高いため、熱
処理により、急激に収縮し、実質的に糸長差のない糸条
となる。また、糸長差が5%以上あるため糸の外側と中
心部で熱の受け方が異なるため、熱処理ムラが起こりや
すくなる。このとき、鞘糸(A成分糸)の変形部分は熱
処理により、太部及び/または熱処理されずに変形部が
残ったままとなる部分が存在する。未変形部は定長また
はリラックス熱処理を受けるため自発伸長特性となる。
このように、鞘成分のフィラメント間にランダムに変形
部、太部が混在することでランダムな収縮、自発伸長特
性を付与することが可能となる。本発明では、ランダム
な収縮、自発伸長特性とすることで沸騰水処理、その後
の乾熱処理により、太部及びまたは変形部が収縮、未変
形部が自発伸長し、太部、変形部を起点にフィラメント
が屈折する。またランダムな収縮、自発伸長特性のた
め、フィラメントがバラバラに浮き出てくるため、嵩高
性が高くなる。従来からある複合仮撚、低温仮撚、異収
縮混繊糸、自発伸長混繊糸においてはフィラメントが揃
って浮き出ているため、高糸長差にもかかわらず、浮き
出たループがへたり易いため嵩高性が乏しい。本発明の
糸条はフィラメント間及び長さ方向でフィラメントがバ
ラバラに浮き出てくるため、芯糸に収縮の高い糸を使用
しなくてもに嵩高となるところにその特徴がある。本発
明の複合糸は捲縮復元率(K1)が小さいが、沸騰水処理す
ることで捲縮復元率(K2)が増大する。沸騰水処理により
捲縮復元率(K2)が増大することで、従来の自発伸長糸と
異なり、強固な捲縮が得られるため、布帛としたときに
浮き出た鞘糸がへたることがなく嵩高に感じられるよう
になる。複合糸の捲縮復元率(K1)は2%以下が好まし
く、2%を超えると芯糸の捲縮が残っているため、反発
感に乏しくなる。そのため複合糸の捲縮復元率(K1)は2
%以下、より好ましくは1%以下である。また、沸騰水
処理後の捲縮復元率(K2)は浮き出てくるクリンプの強さ
を示し、高いほどへたりが少なく嵩高に寄与する。その
ため、3%以上15%以下が好ましく、3%未満ではたとえ
糸長差が大きくてクリンプが発現していても嵩高性が乏
しく、へたりやすい。3%以上とすることで浮き出てき
たクリンプの捲縮が強固であり、布帛としたとき、上か
ら押さえた時のへたりが少なくなり、嵩高となる。より
好ましくは5%以上である。また、15%を超えると糸が
浮きすぎたり、捲縮が発現しすぎてふかついてしまうの
で15%以下が好ましく、より好ましくは10%以下であ
る。このときの潜在嵩高度(S=K2/K1)が5以上であるこ
とで高次加工において取り扱い易くなる。また、布帛と
した後、染色仕上げ工程で糸長差が発現し、嵩高、軽量
感素材が得られる。潜在嵩高度が5未満では染色仕上げ
工程で糸が浮き出てきてもクリンプの強さがなく、嵩高
に感じられなくなる。従来の複合仮撚糸は糸長差が大き
く、捲縮復元率(K1)が高いため、取り扱いが難しく、芯
糸がねじれているため、反発感が乏しい。また、沸騰水
処理後の捲縮復元率(K2)が大きくなっても潜在嵩高度は
小さく、軽量、嵩高感に乏しい。また、従来の異収縮混
繊糸、自発伸長型混繊糸は捲縮復元率(K1)は小さいが、
沸騰水処理後の捲縮復元率(K2)も小さいため、潜在嵩高
度(S)は小さくなり、見かけ上は糸長差が大きく発現す
るがループがへたり易く、軽量、嵩高感は乏しい。本発
明の複合糸の沸騰水収縮率は0%以上10%以下が好まし
く、収縮することで鞘糸のランダムな挙動が発現しやす
くなるため、収縮率は0%以上必要である。収縮率が高
すぎると従来のように硬い織物になってしまうので収縮
率は10%以下が好ましく、より好ましくは3%以上8%以
下である。次に本発明の一実施例の製造方法を図面によ
り説明する。図4はこの方法を示す概略図で、A成分糸
11と、B成分糸12とを糸巻体からそれぞれ引き出
し、第1ニップローラー13と第2ニップローラー15
間でエアー交絡ノズル14を用いて交絡処理する。この
交絡処理は必須ではない。次いで第2ニップローラー1
5と第3ニップローラー18間で仮撚ヒーター16と仮
撚ツイスター17を用いて仮撚をする。次いで第3ニッ
プローラー18と第4ニップローラー20間の熱処理機
19で所定の保持率を保ってごく短時間の熱処理する。
次いで第4ニップローラー20と第5ニップローラー2
2間でエアー交絡ノズル21を用いて交絡処理する。こ
の交絡処理は必須ではない。次に巻き取り装置23を用
いて本発明の複合糸を巻き取る。上記のようにして得ら
れた複合糸は、一般的によく知られている方法で織物や
編み物などの布帛に形成する。その後アルカリ減量処理
をしないか、またはする場合は15重量%以下の処理を
行う。これにより嵩高性と軽量性とソフト感と反発感に
優れたものとすることができる。
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的
に説明する。まず測定方法について説明する。 <沸騰水収縮率>適宜の周枠のラップリールで、初荷重
1/10(g/d)で20回巻きのカセを作る。ラップリール
からカセを取り外し、24時間放置後表示デニールの1/30
gの初荷重をかけ、30秒後のカセの長さL0を測定す
る。カセをガーゼに包み30分間沸騰水中に処理する。
処理したカセを取り出し脱水後12時間以上放置する。放
置後カセを表示デニールの1/30gの初荷重をかけL1を測
定する。下記式1より沸騰水収縮率を求める。 沸騰水収縮率(%)=(L0-L1)×100/L0 (式1) <捲縮復元率(K1)>適宜の周枠のラップリールで、初荷
重1/10(g/d)で20回巻きのカセを作る。ラップリー
ルからカセを取り外し、24時間放置する。水槽を用意
し、水中で25℃の水温で0.1g/dの荷重と0.002g/dの初
荷重をかけ、2分後に長さL0を測定する。続いて0.1g/d
の荷重を取り除き、2分後に長さL1を測定する。下記式
2より捲縮復元率を測定する。 捲縮復元率(%)=(L0-L1)/L0×100 (式2) <捲縮復元率(K2)>適宜の周枠のラップリールで、初荷
重1/10(g/d)で20回巻きのカセを作る。ラップリー
ルからカセを取り外し、24時間放置する。カセをガーゼ
に包み20分間沸騰水中に処理する。水槽を用意し、水中
で25℃の水温で0.1g/dの荷重と0.002g/dの初荷重をか
け、2分後に長さL2を測定する。続いて0.1g/dの荷重を
取り除き、2分後に長さL3を測定する。下記式3より捲
縮復元率を測定する。 捲縮復元率(%)=(L2-L3)/L2×100 (式3) <潜在嵩高度(S)>前記捲縮復元率(K1)と捲縮復元率(K
2)から、下記式4より潜在嵩高度を測定する。 潜在嵩高度=K2/K1 (式4) <断面変形>任意の箇所10ヶ所の断面写真を撮り、断面
形状が加工前の原料とは変形している部分が1ヶ所でも
あれば断面が変形しているとする。 <太部>任意の箇所10ヶ所の断面写真を撮り、断面積が
一番小さいフィラメントに対し1.05倍以上の断面積を有
するフィラメントがあればそれを太部とする。
【実施例1〜4】ポリエステル複合糸を図1に示す加工
方法により製造した。芯成分として延伸糸(トータル繊
度:75デニール、フィラメント数24本(以下「75デニー
ル24フィラメント」のようにも表現する)、鞘成分とし
て紡速3000m/minのポリエステルマルチフィラメント未
延伸糸(トータル繊度:80デニール、フィラメント数36
本)を用い、引き揃えてインターレースノズルを用いて
エアー圧3kg/cm2で交絡した後、延伸倍率1.02倍、常温
(約25℃)で同時仮撚を実施し、その後ヒーター温度19
0℃で保持率+2%で熱処理をして巻き取った。ヒータ
ーは非接触型を用いた。仮撚後の糸及び得られた複合糸
は、下記の特性を有していた。 (1) 仮撚後の糸長差 26% (2) 仮撚後の断面変形 あり (3) 仮撚後の沸騰水収縮率 50% (4) 熱処理後の断面変形 あり (5) 熱処理後の糸長差 0% (6) 熱処理後の芯糸の沸騰水収縮率 9% (7) 熱処理後の複合糸の捲縮復元率(K1) 0.7% (8) 熱処理後の複合糸の沸騰水処理後の捲縮復元率(K
2) 8.2% (9) 熱処理後の潜在嵩高度(S=K2/K1) 11.7 得られた複合糸を撚糸数1000T/Mの撚糸とし、経密度116
本/inch、緯密度76本/inchで組織経二重織りで製織し、
その後アルカリ処理を実施した。アルカリ減量率は表1
のとおりとした。その後、染色仕上げを行い、評価し
た。その結果、軽量、嵩高、ソフト、反撥感があり、カ
シミヤに近いヌメリ感のある素材が得られた。アルカリ
減量率が0%でも十分な結果が得られた。またコスト的
にも従来に比べて安価であり、環境問題も改善すること
ができた。条件と結果を後にまとめて表1に示す。
【比較例1〜2】ポリエステル複合糸を実施例と同様に
加工し、同様に製織し、アルカリ減量率を表1のとおり
実施し、染色仕上げしたところ、腰がなく、くたくたの
織物となった。またコスト的に従来と変わりなく、環境
問題も改善されなかった。条件と結果を後にまとめて表
1に示す。
【表1】 表1から明らかなとおり、実施例1〜4は本発明の範囲で
あったので、アルカリ減量率が0〜15重量%であって
も良好な織物が得られた。
【発明の効果】以上説明したとおり本発明によれば、ア
ルカリ減量する必要がないか低減量にすることができ、
省資源かつ地球環境問題を改善でき、得られた布帛はソ
フトであり、軽量で十分な嵩高性のあるポリエステル複
合糸およびその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の複合糸1の外観図である。
【図2】図1の複合糸の切断面の観察図である。
【図3】沸騰水処理した後の嵩高性を発現させた複合糸
の外観図である。
【図4】本発明の一実施例の製造方法を示す工程図であ
る。
【図5】従来の異収縮混繊糸を使用した複合糸の嵩高性
を発現させたときの外観図である。
【図6】従来の複合仮撚による仮撚2層構造糸の外観図
である。 1 複合糸 2 非交絡部 3 交絡部 4 変形部および/または太部 5 本発明の沸騰水中で処理した後の複合糸 6,9 従来の沸騰水中で処理した後の複合糸 7 収縮繊維 8 非収縮繊維 11 高配向未延伸糸(A成分糸) 12 高速紡糸延伸糸または延伸糸(B成分糸) 13,15,18,20,22 ニップローラー 14,21 エアー交絡ノズル 16 仮撚ヒーター 17 仮撚ツイスター 19 熱処理機 23 巻き取り装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D03D 15/04 102 D03D 15/04 102A D04B 1/16 D04B 1/16 1/18 1/18 21/00 21/00 B D06M 11/38 D06M 101:32 // D06M 101:32 5/02 G Fターム(参考) 4L002 AA07 AB00 AB02 AB04 DA05 EA00 4L031 AA18 AB04 AB08 AB27 AB32 AB33 BA11 CA01 DA00 DA01 DA05 4L036 MA05 MA24 MA26 MA40 PA05 PA14 PA33 PA42 PA46 RA03 RA04 RA27 4L048 AA20 AA45 AA50 AB08 AB09 AB12 AB16 AB17 AB19 AB21 BA02 BA10 CA04 CA12 CA13 CA15 CA17 CA20 EB04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複屈折率Δnが40×10-3〜90×10
    -3の範囲のポリエステルマルチフィラメント(A成分
    糸)と、複屈折率Δnが100×10-3〜160×10
    -3の範囲のポリエステルマルチフィラメント(B成分
    糸)を含む同時仮撚複合糸を用いた布帛であって、 前記フィラメント間には実質的に糸長差がなく、前記A
    成分糸の構成フィラメントには部分的に変形部および/
    または太部が存在し、 かつアルカリ減量を必要としないかまたは15重量%以
    下のアルカリ減量で仕上げ加工が可能なことを特徴とす
    るポリエステル複合糸を用いた布帛。
  2. 【請求項2】熱水処理前の布帛を構成する複合糸は生糸
    風の外観形態を呈しており、織編物形成工程までの高次
    加工通過性を有し、前記布帛を沸騰水中で30分間処理
    したとき、構成フィラメントは微細なクリンプを発現し
    て嵩高となるが、糸条として一体性を有する請求項1に
    記載のポリエステル複合糸を用いた布帛。
  3. 【請求項3】布帛を構成する複合糸の沸騰水収縮率が0
    %以上10%以下である請求項1または2に記載のポリエ
    ステル複合糸を用いた布帛。
  4. 【請求項4】布帛が織物であり、前記織物の経糸及び緯
    糸から選ばれる少なくとも一方の糸に用いられている請
    求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル複合糸を用
    いた布帛。
  5. 【請求項5】布帛が編み物である請求項1〜3のいずれ
    かに記載のポリエステル複合糸を用いた布帛。
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