JP2001278804A - 脂質代謝改善剤及びそれを含有する食品 - Google Patents

脂質代謝改善剤及びそれを含有する食品

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JP2001278804A
JP2001278804A JP2000093778A JP2000093778A JP2001278804A JP 2001278804 A JP2001278804 A JP 2001278804A JP 2000093778 A JP2000093778 A JP 2000093778A JP 2000093778 A JP2000093778 A JP 2000093778A JP 2001278804 A JP2001278804 A JP 2001278804A
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cholesterol
improving agent
bitter melon
bitter
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JP2000093778A
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Chizuko Yuzukizaki
千鶴子 柚木崎
Mikio Kono
幹雄 河野
Nobuhiro Fukuda
亘博 福田
Masanobu Sakuno
昌信 窄野
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Miyazaki Prefecture
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Abstract

(57)【要約】 【課題】副作用が少なく長期の服用が可能で、かつ優れ
た血清脂質代謝改善作用、特に血中のHDLコレステロ
ール濃度を増加させる作用を有する天然由来の血清脂質
代謝改善剤を提供する。 【解決手段】本発明の脂質代謝改善剤は、ニガウリの粉
砕物又は抽出物を有効成分とするものであり、特に高密
度リポ蛋白コレステロールの血中濃度を増加する作用に
基づくものである。本発明の脂質代謝改善剤は食用植物
に由来するものであり、好適には食品の形態で提供でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂質代謝改善剤、
特に天然由来の脂質代謝改善剤に関するものである。よ
り詳細には、本発明は、血液中の高密度リポ蛋白(HD
L)コレステロール濃度を増加させることにより血清の
脂質代謝異常を改善する作用を有する組成物に関し、そ
の結果脂質代謝異常に伴う高脂血症、動脈硬化症及び脂
肪肝等の各種疾患の発症若しくは進展を予防し、また改
善することを意図するものである。
【0002】さらに本発明は上記の脂質代謝改善作用、
特に血中のHDLコレステロール濃度の増加作用を有す
る機能性食品に関するものである。
【0003】
【従来の技術】近年、わが国でも食生活の欧米化に伴っ
て脂質代謝異常等を契機とする高脂血症の多発が急増し
ている。高脂血症は動脈硬化症の発症原因の一つとされ
ており、血中の脂質、特にコレステロールが動脈に付
着、沈着することにより粥状硬化が生じることが知られ
ている。さらに近年の研究により、血中脂質のうち特に
低密度リポ蛋白(LDL)の増加が動脈硬化の発生に重
要な役割を果たしていること、また高密度リポ蛋白(H
DL)が血管壁や細胞膜に取り込まれたコレステロール
の除去や分解を助け、動脈硬化の発生を予防する抗動脈
硬化因子となることが明らかとなってきた。そこで、最
近では各種原因に基づく高脂血症並びにそれに伴って生
じる動脈硬化症等の各種疾患の治療及び予防を目的とし
て、血中コレステロール降下剤、とくに血中の高密度リ
ポ蛋白(HDL)コレステロールを増加させるか若しく
は低密度リポ蛋白(LDL)コレステロールを低下させ
る薬剤の開発が進められている。
【0004】ところで、糖尿病患者においても、心臓や
脳の動脈硬化性疾患が直接の死亡原因となるケースが多
く、糖尿病に合併して発症する高脂血症の予防や治療の
重要性が指摘されている(診断と治療、Vol.80 (9), 16
92-1696 (1992))。糖尿病に合併する高脂血症の治療に
は、食餌療法に加えて、従来からHMG‐CoA還元酵
素阻害剤であるプラバスタチン、末梢組織から肝臓への
コレステロールの逆転送に重要な役割を果たすフィブレ
ート系薬剤またはプロブコールなどといった各種の脂質
代謝改善剤が使用されている。しかしながら、これらの
市販の脂質代謝改善剤は、副作用を伴ったり他剤との併
用において安全性の点で注意を要する場合も多い。また
インシュリン感受性を高める作用を有する血糖低下剤と
して知られているピオグリタゾンやトログリタゾンにつ
いて、それらが血中トリグリセライド低下作用を有する
ことが知られているが(Arzneim-forsh./Drug Res.40
(1),Nr.2(1990);Diabetes, Vol.37,1549-58(1988))、
LDLやHDLなどの脂質代謝に対する影響については
何ら報告されていない。また、他の抗糖尿病薬として消
化管からの糖質の分解・吸収を阻害するα−グルコシダ
ーゼ阻害剤、インシュリン分泌を促進するスルホニル尿
素剤、及びインシュリン感受性を高めるビグアニド剤等
が従来より用いられているが、これらの脂質代謝への影
響についても何ら報告されていない。このように、血糖
低下作用に加えて、十分な脂質代謝異常の改善作用を有
する薬効成分は未だ知られていない。
【0005】一方、ニガウリはこれまで食用植物として
知られているものである。当該ニガウリの果実部は従来
よりインドやスリランカ等では伝承薬物として経験的に
糖尿病患者に用いられているが、近年その抽出物が血糖
低下作用を有し、抗糖尿病薬として有用であることが実
証された(Folia pharmacol.japon, 100, 415-421 (199
2))。しかしながら、ニガウリの脂質代謝改善作用につ
いては何ら開示されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高脂
血症や動脈硬化症などの危険因子である脂質代謝異常を
予防若しくは改善する作用を有する、医薬品並びに機能
性食品として有用な組成物を提供することである。また
本発明の目的は、糖尿病に合併する高脂血症に有用な血
糖値の低下作用と脂質代謝改善作用を併せ持つ、医薬品
並びに機能性食品として有用な組成物を提供することで
ある。さらに本発明の目的は、天然の食用植物に由来す
る組成物であって、故に副作用がなく長期にわたって服
用できる上記作用を有する医薬組成物若しくは食品組成
物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、血糖低下
作用や健胃・整腸作用等といった各種の作用が知られて
いるニガウリに注目して、その生理活性若しくは薬理活
性についてさらに精密に検討していたところ、ニガウリ
にこれまで知られていなかった脂質代謝改善作用、特に
血中のHDLコレステロール増加作用という新たな作用
があることを見出した。本発明はかかる知見に基づくも
のである。
【0008】すなわち、本発明はニガウリの粉砕物又は
抽出物を有効成分とする脂質代謝改善剤である。また本
発明はニガウリの粉砕物又は抽出物を有効成分とするH
DLコレステロールの血中濃度増加剤である。また本発
明は、これらの脂質代謝改善剤またはHDLコレステロ
ール血中濃度増加剤を、医薬品、医薬部外品並びに食品
の態様で提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の血清脂質代謝改善剤は、
ニガウリの粉砕物もしくはその抽出物を有効成分とする
ことを特徴とするものである。
【0010】ニガウリはウリ科の植物で、学名Momordic
a charantia、英名Balsam peaあるいはBitter gourdと
して知られている。この植物は熱帯原産の1年生草木で
あり、比較的高温を好むので、世界的には温帯(日本で
は関東以西の宮崎、鹿児島、沖縄)から熱帯(スリラン
カやインド等の東南アジア)にかけて栽培されている。
沖縄ではその苦味からニガウリあるいはゴーヤと呼ば
れ、九州南部ではニガウリあるいはツルレイシと呼ば
れ、従来から種子やわたを除いた果実部が食用に供され
ている。
【0011】本発明において用いられるニガウリは、そ
の全草またはその一部など使用部位に特に制限はされな
いが、好適には果実部を用いることができる。果実部に
は果皮、果肉、果汁、わた及び種子などが含まれるが、
本発明においてはこれらの部位の別を問わず、任意の部
位を一部位単独で若しくは組み合わせて用いることがで
きる。好ましくは果実部から種子やわたを除いた可食部
である。
【0012】上記ニガウリはそのままでも使用できる
が、好ましくは粉砕物(生、乾燥物)或いは抽出物とし
て使用される。乾燥粉砕物は、ニガウリの例えば果実部
をそのまま乾燥した後粉砕するか、又は生果実を細く切
断した後乾燥することによって調製することができる。
その乾燥には、本発明の薬効効果を損なわない方法であ
れば特に制限されず、真空凍結乾燥、熱風乾燥、遠赤外
線乾燥及びマイクロ波減圧乾燥等を広く用いることがで
きる。好ましくは成分変化の少ない真空凍結乾燥であ
る。
【0013】ニガウリの抽出物は、例えば果実部をその
まま若しくは破砕物とした後抽出操作に供するか、また
乾燥後、必要に応じて粉砕して抽出操作に供することに
よって調製することができる。また果実部(果肉部又は
種子部)を搾って得られる果汁(搾汁)も抽出物として
使用でき、これらは必要に応じて濃縮するかまたは適当
な溶媒を用いてさらに抽出操作に供されてもよい。
【0014】上記の抽出に用いられる溶媒としては、例
えば、水;メタノール,エタノール,プロパノール及び
ブタノール等の炭素数1〜4の低級アルコール;酢酸エ
チルエステル等の低級アルキルエステル;エチレングリ
コール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、
グリセリンなどのグリコール類;その他エチルエーテ
ル、アセトン、酢酸等の極性溶媒;ベンゼンやヘキサン
等の炭化水素;エチルエーテルや石油エーテルなどのエ
ーテル類等の非極性溶媒の公知の有機溶媒を挙げること
ができる。これら溶媒は、単独で用いてもよく、二種以
上を組み合わせて使用することもできる。例えば原料が
脂肪分の多い場合は、必要に応じて有機溶媒に適量な水
を加えて含水有機溶媒として用いることもできる。本発
明において好ましくは、エタノール等のアルコール類、
5〜50重量%エタノール水溶液などの含水アルコール
溶液またはアセトンとエチルエーテルの混合溶媒(好ま
しくは、アセトン:エチルエーテル=1:1(v/v)混合
液)を用いることができる。
【0015】抽出方法としては、一般に用いられる方法
を採用することができる。制限はされないが、例えば溶
媒中にニガウリの果実部(そのまま若しくは粗末・細切
物)、又はそれらの乾燥破砕物(粉末など)を冷浸、温
浸等によって浸漬する方法;加温し攪拌しながら抽出を
行い、濾過して抽出液を得る方法;またはパーコレーシ
ョン法等を挙げることができる。得られた抽出液は、必
要に応じてろ過または遠心分離によって固形物を除去し
た後、使用の態様により、そのまま用いるか、または溶
媒を留去して一部濃縮若しくは乾燥して用いてもよい。
また濃縮乃至は乾燥後、さらに非溶解性溶媒で洗浄して
精製して用いても、またこれを更に適当な溶剤に溶解も
しくは懸濁して用いることもできる。更に、本発明にお
いては、例えば、上記のようにして得られた溶媒抽出液
を、減圧乾燥、凍結乾燥等の通常の手段によりニガウリ
抽出エキス乾燥物として使用することもできる。
【0016】本発明の脂質代謝改善剤は、上記のニガウ
リの粉砕物若しくは抽出物を有効成分として含有するも
のであり、食品、医薬部外品又は医薬品など、経口的に
用いられる各種組成物に調製して用いられることによ
り、血中(血清)のHDLコレステロール(善玉コレス
テロール)量を増加させることができ、これにより血液
中の脂質代謝異常を改善するように作用するものであ
る。ゆえに本発明の脂質代謝改善剤は、具体的にはHD
Lコレステロールの血中濃度増加剤として作用するもの
である。よって、本発明はニガウリの粉砕物若しくは抽
出物を有効成分とするHDLコレステロールの血中濃度
増加剤を提供するものでもある。
【0017】本発明の脂質代謝改善剤は、上記ニガウリ
の粉砕物若しくは抽出物そのものを単独で経口用の固体
又は液体状の組成物として調製されてもよいし、またそ
れに加えて製薬学的若しくは食品衛生上許容される担体
を配合して経口用の固体又は液体状の組成物として調製
されてもよい。また、本発明の脂質代謝改善剤には、本
発明の有効成分に加えて他の脂質代謝改善作用を有する
成分を配合することもできる。
【0018】本発明の脂質代謝改善剤の具体的な形態は
経口に適した形態であれば特に制限されないが、経口投
与用固体組成物としては錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、
カプセル剤、細粒剤、顆粒剤などの形態を、また液体状
組成物としては乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤な
どの形態を例示することができる。これらの製剤は、本
発明の有効成分に加えて、各種製剤に応じて賦形剤、結
合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色料、矯味矯臭剤、pH調整
剤等を適宜配合し、常法に従って調製することができ
る。
【0019】また、本発明の脂質代謝改善剤を食品とし
て提供する場合、前述するニガウリの粉砕物若しくは抽
出物をそのまま食品として調製したり、また上記製剤を
食品として調製することもできるが、上記ニガウリの粉
砕物若しくは抽出物に各種蛋白質、糖類、脂肪、微量元
素、ビタミン類等を配合することにより液状、半液体状
若しくは固体状の栄養補助食品に加工調製することもで
きる。また、ニガウリの粉砕物若しくは抽出物を一般の
食品の一成分として配合することにより食品として調製
することもでき、この場合、対象とする食品の原料にニ
ガウリの粉砕物若しくは抽出物を添加して該食品の一般
的な製造方法により製造加工することができる。
【0020】本発明の有効成分であるニガウリの粉砕物
若しくは抽出物は血清中のHDLコレステロール濃度を
上昇させる作用とともに食品に含まれる炭水化物の吸収
を抑制し、血糖の上昇を抑制する作用をも併せ持つ。こ
のため、好適には炭水化物を主成分とする食品やコレス
テロールを含有する食品に本発明の有効成分を配合する
ことにより、糖尿病に合併する高脂血症並びに動脈硬化
症の発症の予防及び改善、並びに糖尿病予備群の糖尿病
への移行防止といった機能を併せ持つ食品を提供するこ
とができる。かかる食品として具体的には、飯類、麺
類、パン類及びパスタ類等炭水化物含有食品;クッキー
やケーキなどの洋菓子類、饅頭や羊羹等の和菓子類、キ
ャンディー類、ガム類、ヨーグルトやプリンなどの冷菓
や氷菓などの各種菓子類;ジュースや清涼飲料水、乳飲
料等の各種飲料;卵を用いた加工品、魚介類(イカ、タ
コ、貝、ウナギなど)や畜肉(レバー等の臓物を含む)
の加工品(珍味を含む)などを例示することができる
が、これらに特に制限されない。
【0021】本発明の脂質代謝改善剤に配合されるニガ
ウリの粉砕物若しくは抽出物の割合は特に制限されない
が、ニガウリの粉砕物若しくは抽出物を一般食品の原料
に添加配合して食品として加工して用いる場合は、ニガ
ウリの苦みが食品の味に影響しない範囲で用いることが
好ましい。
【0022】本発明の脂質代謝改善剤の用量は、対象と
する疾患の種類や症状、患者の体重や年齢などにより著
しく異なるので一義的には特定できないが、ニガウリの
果実部の摂取量に換算して通常成人1日あたり1〜2本
に相当する量が望ましい。
【0023】本発明の脂質代謝改善剤の適応症として
は、脂質の代謝異常を呈する疾患を広く挙げることがで
き、具体的には、高脂血症(高コレステロール血症、低
HDL血症など)や肥満症などを例示することができ
る。特に好ましくは低HDL血症であり、本発明の脂質
代謝改善剤によれば低HDL血症の予防又は改善剤とし
て利用できる。さらに本発明の脂質代謝改善剤は、脂質
代謝異常に起因して発症もしくは症状の悪化が予想され
る疾患の予防若しくは改善剤として有用であり、かかる
疾患として動脈硬化症、心筋梗塞及び狭心症などの虚血
性心疾患;脳梗塞等の脳動脈硬化症;或いは動脈瘤やネ
フローゼ症候群等の腎疾患;脂肪肝又はそれに伴って生
じる肝臓疾患を例示することができる。
【0024】なお、本発明には下記の態様が含まれる: (1)ニガウリの粉砕物若しくは抽出物を有効成分とす
る血清脂質代謝改善組成物。 (2)食品である(1)記載の血清脂質代謝改善組成
物。 (3)ニガウリの粉砕物若しくは抽出物を有効成分とす
る、HDLコレステロールの血中濃度増加組成物。 (4)食品である(3)記載の、HDLコレステロール
の血中濃度増加組成物。 (5)ニガウリの粉砕物若しくは抽出物を有効成分とす
る肝臓脂質蓄積抑制組成物。 (6)食品である(5)記載の肝臓脂質蓄積抑制組成
物。 (7)ニガウリの粉砕物若しくは抽出物を有効成分とす
る低HDL血症の予防または改善剤。 (8)食品である(7)記載の低HDL血症の予防また
は改善剤。 (9)糖尿病に合併する脂質代謝異常症の予防または改
善剤。 (10)脂質代謝異常症が高脂血症、動脈硬化症または脂
肪肝である(9)記載の脂質代謝異常症の予防または改
善剤。 (11)食品である(9)又は(10)記載の脂質代謝異常
症の予防または改善剤。
【0025】
【実施例】以下、本発明の内容を実施例及び実験例を用
いて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに何ら
限定されるものではない。実施例1 ニガウリ乾燥粉末物の調製 ニガウリ(チャンピオン系)からわた及び種子(胎座
部)を除去し、得られた果実を細断した後、真空凍結乾
燥し、石臼式粉砕機で粉末化した。得られた粉末をさら
に乳鉢で微粉末化して、ニガウリの乾燥粉末物を調製し
た。これを本発明の血清脂質代謝改善剤として、後述す
る実験例で使用した。
【0026】実施例2 ニガウリ抽出エキスの調製 ニガウリ(チャンピオン系)からわた及び種子(胎座
部)を除去し、得られた果実を細断した後、真空凍結乾
燥した。得られた乾燥細断物をエタノール水溶液(エタ
ノール:水=1:1)に20〜40℃で1晩温浸した
後、冷却濾過した。濾液を減圧濃縮して溶媒を留去し、
ニガウリの抽出エキスを、本発明の血清脂質代謝改善剤
またはHDLコレステロールの血中濃度増加剤として調
製した。
【0027】
【実験例】本発明の血清脂質代謝改善剤の効果を調べる
ために、実施例1で調製したニガウリ乾燥粉末物を用い
て下記の実験を行った。なお、被験動物として実験前の
一定期間、同一の市販飼料で飼育したSparague-Dawley
系雄ラットを用いた。実験例1 表1に示すように、ラットの一般飼料成分に実施例1で
調製したニガウリ乾燥粉末物を0.5重量%、1.0重量
%、または3.0重量%の配合割合となるように添加混
合して、実験用飼料(飼料1、飼料2、飼料3)を調製
した。また比較対照実験のため、ニガウリ乾燥粉末物を
添加しない一般飼料をコントロール飼料として調製し
た。
【0028】
【表1】
【0029】これらの飼料を、Sparague-Dawley系雄ラ
ット(5週齢、初体重85〜100g)に摂取させ(各飼料
群5匹ずつ)、飼育から14日後に断頭屠殺し、血液と
肝臓を採取し、肝臓の重量を測定した。なお、飼料と水
は実験期間中自由に与えた。
【0030】次いで得られた血液及び肝臓から血糖値
(グルコース濃度)及び各種脂質(トリグリセリド、総
コレステロール、遊離コレステロール、リン脂質)の濃
度を測定した。
【0031】具体的には血糖値は、採取した血液を5℃
で遠心分離して得られた血清について市販の血糖測定用
キット(グルコース−テスト Wako、和光純薬工業
(株))を用いて測定した。また血液中の各種脂質濃度
は、上記で得られた血清をクロロホルム−メタノール混
合液で抽出し純化した後、一定量のn−ヘキサンに溶解
して調製した脂質抽出物について行い、トリグリセリド
についてはフレッチェル法(Fletcher)、総コレステロ
ール及び遊離コレステロールについてはスペリイ・アン
ド・ウエッブ法(Sperry & Webb)、並びにリン脂質に
ついてはローザー法(Roser)を用いてそれぞれ測定し
た。
【0032】また、肝臓中の各種脂質濃度についても同
様にクロロホルム−メタノール混合液で抽出した脂質抽
出物について、上記各種の方法に従ってトリグリセリ
ド、総コレステロール、遊離コレステロール、リン脂質
の濃度を測定した。測定値は、全て一元分散分析を行
い、有意差はDuncanの多重検定により検定(p<0.05)し
た。結果を、実験前後の体重、摂食量及び肝重量と合わ
せて表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】なお、表中に記載する記号a、bは、ダン
カンの多重比較により、同一行内において、異なった記
号間で有意差があることを示す。
【0035】この結果からわかるように、ニガウリ乾燥
粉末物を0.5〜3重量%の割合で含む飼料(飼料1、
2及び3)で飼育された被験ラット群(以下、ニガウリ
摂取群という)はいずれも摂食量、体重増加量及び肝臓
重量において、ニガウリ乾燥粉末物を含まない飼料で飼
育されたコントロールラット群(以下、単にコントロー
ル群という)と差異が認められなかった。このことか
ら、ニガウリ(粉末)は動物の成長に悪影響を与えない
ことが確認された。
【0036】また、ニガウリ摂取群の血糖値はコントロ
ール群の血糖値に比べて有意に低下しており、本実験か
ら従来より知られているニガウリの血糖降下作用が確認
できた。一方、血清中のトリグリセリド及び総コレステ
ロール濃度についてはニガウリ摂取群とコントロール群
とで差異がなく、ニガウリ摂取がもたらす血液中の脂質
濃度への影響は認められなかった。
【0037】それに対して、肝臓のトリグリセリド濃度
及び総コレステロール濃度はいずれもニガウリ摂取群で
顕著に低下することが認められた。コレステロールエス
テル比(%)がニガウリ摂取群で顕著に低下するのに対
し、ニガウリ摂取群とコントロール群とで遊離コレステ
ロール濃度に差異がないことから、上記の肝臓中の総コ
レステロール濃度の低下は主にコレステロールエステル
の低下に基づくものと考えられた。
【0038】以上のことから、本発明で調製したニガウ
リ乾燥粉末物の投与によって、血糖値が低下するだけで
なく、肝臓中のトリグリセリド量、およびコレステロー
ルエステル量(総コレステロール量)が低下することが
わかった。これから、本発明のニガウリ粉砕物は肝臓の
脂肪蓄積を防ぐ作用を有しており、脂肪肝の予防や改善
に対して優れた素材であることが示唆された。
【0039】実験例2 表3に示すように、飼料を無コレステロール食と高コレ
ステロール食とに分け、各食区において実施例1で調製
したニガウリ乾燥粉末物を1.0重量%添加混合したニ
ガウリ飼料と、ニガウリ乾燥粉末物を添加しないコント
ロール飼料をそれぞれ調製した。
【0040】
【表3】
【0041】これらの飼料を、Sparague-Dawley系雄ラ
ット(6週齢、初体重100〜110g)に摂取させ(各飼料
群6匹ずつ)、飼育から14日後に断頭屠殺し、血液と
肝臓を採取し、肝臓の重量を測定した。なお、飼料と水
は、実験期間中自由に与えた。
【0042】得られた血液及び肝臓から、実験例1と同
様にして血糖値及び各種脂質(トリグリセリド、総コレ
ステロール、遊離コレステロール、HDLコレステロー
ル、リン脂質)の濃度を測定した。なお、血液中のHD
Lコレステロール濃度は、HDL−コレステロール−テ
ストワコー(和光純薬工業(株))を用いて測定した。
結果を、実験前後の体重、摂食量及び肝重量と合わせて
表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】なお、表中に記載する記号a、b、cは、
ダンカンの多重比較により、同一行内において、異なっ
た記号間で有意差があることを示す。
【0045】実験例1と同様に、無コレステロール食区
と高コレステロール食区のいずれもニガウリ摂取群とコ
ントロール群との間で体重増加量、摂食量及び肝臓重量
に差異は観察されなかった。
【0046】また実験例1と同様に、血清中のトリグリ
セリド及び総コレステロール濃度についてはニガウリ摂
取群とコントロール群とで差が認められなかったが、無
コレステロール食区と高コレステロール食区のいずれの
群もニガウリ摂取によって血清中のHDLコレステロー
ル濃度が有意に増加することが認められた(約1.3倍
の増加)。
【0047】さらに、実験例1と同様に、無コレステロ
ール食区と高コレステロール食区の両方の群で、ニガウ
リを摂取することによって肝臓のトリグリセリド濃度が
低下することが認められた。またニガウリを摂取するこ
とによって肝臓の総コレステロール濃度もコレステロー
ルエステルの低下に基づいて低下することが認められ
た。
【0048】以上のことから、本発明のニガウリ粉砕物
は血中の善玉コレステロール濃度を上昇させることによ
り血液の脂質代謝異常の改善に寄与することができ、そ
れによって脂肪肝や高脂血症並びにそれに基づく動脈硬
化症等の種々の疾患の予防や改善を図ることができる優
れた素材であることが示唆された。また上記の結果か
ら、ニガウリ粉砕物は食餌コレステロール性の脂肪肝の
予防にも極めて有効であることが示された。
【0049】処方例1 ニガウリ含有パン 下記の成分を配合して、公知の方法に従ってニガウリ抽
出物を含有するパンを調製する。
【0050】 強力粉 100 g ドライイースト 3 g 砂糖 8 g ショートニング 4 g 脱脂粉乳 5 g 食塩 2 g 水 60 g 実施例1のニガウリ抽出物 0.5〜3g処方例2 ニガウリ含有キャンディー 下記の成分を配合して、公知の方法に従ってニガウリ抽
出物を含有するキャンディーを調製する。
【0051】 砂糖 100 g 水飴 100 g クエン酸 1 g 香料 0.4g 着色料 0.1g 実施例1のニガウリ抽出物 0.5〜2g
【0052】
【発明の効果】本発明の血清脂質代謝改善剤によれば、
低コレステロール性食餌の摂取や高コレステロール性食
餌の摂取の別に関わらず、血液中のHDLコレステロー
ル濃度を上昇させることができる。当該HDLコレステ
ロールは一般に善玉コレステロールとも称されており、
末梢組織から肝臓へのコレステロールの逆転送や血管壁
に蓄積したコレステロールの除去に重要な役割を果たす
こと、また血管壁にコレステロールを運び込む低密度リ
ポ蛋白に拮抗することが知られている。
【0053】このことから本発明の血清脂質代謝改善剤
は、肝臓脂質蓄積抑制作用ならびに抗動脈硬化作用を有
しており、食生活習慣に起因する高脂血症、脂肪肝、動
脈硬化等の種々の疾患の予防並びに改善に有効であると
考えられる。
【0054】また、本発明の血清脂質代謝改善剤は、原
料が従来から食用に供されている天然由来のものである
ため、人体への安全性が高く、副作用なく長期にわたり
継続的に服用できる利点がある。
【0055】さらに本発明の食品の形態である脂質代謝
改善剤は、食品として摂食することによって血液中の善
玉コレステロールを増加させることができ、高脂血症、
脂肪肝、動脈硬化等のいわゆる生活習慣病の予防や改善
に有用である。
【0056】さらに糖尿病患者においては、その1/3
に脂質代謝異常に起因する合併症がみられ、また10%
が低HDL血症を併発していることが知られている(診
断と治療、Vol.80(9), 1692-1696)。本発明の脂質代謝
改善剤に含まれるニガウリ成分は、血清HDLコレステ
ロール濃度の上昇等の血清脂質代謝調節作用に加えて血
糖値降下作用を合わせ持つことから、本発明の脂質代謝
改善剤によれば糖尿病に合併して発症する高脂血症、動
脈硬化症及び脂肪肝等の疾患の発現予防や改善にも有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23G 3/00 101 A23G 3/00 101 (72)発明者 窄野 昌信 宮崎県宮崎市江平西1丁目5−49サーパス 神宮参道204号 Fターム(参考) 4B014 GB06 GB07 GG09 GK12 4B018 LB01 LE03 LE05 MD53 ME04 MF01 MF07 4B032 DB01 DK30 DL20 4C088 AB19 AC04 BA07 BA08 NA14 ZA75 ZC33

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ニガウリの粉砕物又は抽出物を有効成分と
    する脂質代謝改善剤。
  2. 【請求項2】高密度リポ蛋白コレステロールの血中濃度
    増加剤として作用する請求項1記載の脂質代謝改善剤。
  3. 【請求項3】肝臓脂質蓄積抑制剤として作用する請求項
    1記載の脂質代謝改善剤。
  4. 【請求項4】食品である請求項1乃至3のいずれかに記
    載の脂質代謝改善剤。
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