JP2001276969A - 継手の溶接方法 - Google Patents
継手の溶接方法Info
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Abstract
うに際し、高速で溶接を行う場合でもハンピングを発生
することなく健全な溶接部を得ることができ、被溶接部
材間にGapが存在する場合においても健全な溶接をし
得、また、溶接後の変形量が小さく、高い継手強度を確
保し得るようにする。 【解決手段】 構造物のT継手、重ね継手にすみ肉溶接
を行うに際し、アーク溶接とレーザ溶接とを複合させて
溶接を行う継手の溶接方法であって、この溶接の条件
を、レーザ出力:1〜50kW、アーク電流:100〜
600A、溶接速度:1〜10m/min 、継手部材表面
上でのアーク/レーザ間距離D:2〜15mmとするこ
とを特徴とする継手の溶接方法。
Description
関する技術分野に属し、より詳細には、構造物のT継
手、重ね継手にすみ肉溶接を行うに際し、アーク溶接と
レーザ溶接とを複合させて溶接を行う継手の溶接方法に
関する技術分野に属する。
図1に示す如く、垂直の鋼板1と水平の鋼板2とは垂直
に交差するように正面視でT字型に組み立てられてお
り、鋼板1の先端面1aは鋼板2の表面に当接している。
み肉溶接を行うに際し、アーク溶接により、通常は部分
溶込み溶接が行われる。
T継手に対して、レーザ溶接によりすみ肉溶接を行う方
法も考えられる。
アーク溶接による継手の溶接方法及びレーザ溶接による
継手の溶接方法には、種々の問題点がある。この詳細
を、以下説明する。
図2(a) に示す如く、深い溶込み量が期待できないた
め、鋼板1と鋼板2の当接面に未溶融部分が大きく残
り、継手の強度不足になる可能性があるため、所要強度
を脚長で確保する必要がある。
強度を確保する場合、溶接金属の断面積が大きくなるこ
とから、溶接後の収縮量が大きくなり、従って溶接変形
量が大きくなってしまう。
速度は速い方がよいが、アーク溶接においては、1〜
1.5m/min 以上の速度で溶接を行うと、アークが安
定しなくなり、ハンピングが発生するために、高速溶接
には適していない。なお、ハンピングとは、高速溶接を
行った場合にビードのなじみが悪くなり、ある速度以上
では数珠玉状の溶接ビードとなり、溶接不能となる現象
のことと一般的にはいわれている。
場合、数m/min 程度の高速で溶接を行ってもハンピン
グを発生することなく、健全な溶接部を得ることができ
る。また、図2(b) に示す如く、レーザ溶接による溶接
金属の断面積は、アーク溶接によるものと比較して非常
に小さいため、溶接後の変形量も小さい。
常フィラーワイヤを供給せずに溶接が行われ、この場合
にはアーク溶接の場合のような大きな脚長を確保できな
いだけでなく、アンダーカットを生じる場合がある。ま
た、フィラーワイヤを供給しながら溶接を行う場合にお
いても、フィラーワイヤからの溶融金属の供給によって
多少の余盛りを形成することができるが、フィラーワイ
ヤの供給量には限界があることから、アーク溶接並みの
大きな脚長を確保することはできない。
溶込み深さを利用して有効のど厚を大きくすることによ
り、強度を確保することが試みられる。しかし、例えば
図1に示す如きT継手に対してレーザ溶接を行う場合に
は、レーザ溶接装置の加工ヘッドが被溶接材の鋼板2に
接触してしまうため、鋼板1の先端面1aに平行な方向
からレーザを入射することができず、溶込み深さが深く
なっても、図2(b) に示す如く、鋼板1の先端面1aと
鋼板2の表面の当接面を有効的に溶融することができな
い。
とする2つの部材間にGap(ギャップ)が存在する場
合には途端に健全な溶接が行えなくなるという短所があ
る。即ち、例えば図1に示すようなT継手に対して溶接
を行う場合に、鋼板1の先端面1aと鋼板2の表面の間
にGapがあり、両者間が空いていた場合には、健全な
溶接を行うことができないという問題点がある。
れたものであって、その目的は、構造物のT継手、重ね
継手にすみ肉溶接を行うに際し、高速で溶接を行う場合
でもハンピングを発生することなく健全な溶接部を得る
ことができ、被溶接部材間にGapが存在する場合にお
いても健全な溶接を行うことができ、また、溶接後の変
形量が小さく、高い継手強度を確保することができる継
手の溶接方法を提供しようとするものである。
めに、本発明に係る継手の溶接方法は、請求項1〜2記
載の継手の溶接方法としており、それは次のような構成
としたものである。
構造物のT継手、重ね継手にすみ肉溶接を行うに際し、
アーク溶接とレーザ溶接とを複合させて溶接を行う継手
の溶接方法であって、この溶接の条件を、レーザ出力:
1〜50kW、アーク電流:100〜600A、溶接速
度:1〜10m/min 、継手部材表面上でのアーク/レ
ーザ間距離:2〜15mmとすることを特徴とする継手
の溶接方法である(第1発明)。
ーク溶接が消耗式電極を用いた溶接方法である請求項1
記載の継手の溶接方法である(第2発明)。
で実施する。構造物のT継手または重ね継手にすみ肉溶
接を行うに際し、アーク溶接とレーザ溶接とを複合させ
て溶接を行う。このとき、溶接の条件を、レーザ出力:
1〜50kW、アーク電流:100〜600A、溶接速
度:1〜10m/min 、継手部材表面上でのアーク/レ
ーザ間距離:2〜15mmとする。このような形態で本
発明が実施される。
説明する。
く、構造物のT継手、重ね継手にすみ肉溶接を行うに際
し、アーク溶接とレーザ溶接とを複合させて溶接を行う
継手の溶接方法であって、この溶接の条件を、レーザ出
力:1〜50kW、アーク電流:100〜600A、溶
接速度:1〜10m/min 、継手部材表面上でのアーク
/レーザ間距離:2〜15mmとするようにしており、
これにより、前記従来のアーク溶接による継手の溶接方
法及びレーザ溶接による継手の溶接方法が有する問題点
を解消し得、前記本発明の目的を達成し得るものである
(第1発明)。この詳細を、以下説明する。
問題点としては、溶接変形が大きくなってしまうこと、
即ち、所要の高い継手強度を大きな脚長により確保した
場合には溶接変形量が大きくなること(換言すれば、脚
長を小さくして溶接変形を抑制しようとすると、所要の
高い継手強度が得られないこと)、及び、高速で溶接を
行った場合にはハンピングが発生することが挙げられ
る。
させた場合、即ち、アーク溶接とレーザ溶接とを複合さ
せて継手の溶接を行う場合には、ハンピングが発生し難
くなり、アーク溶接単独ではハンピングが発生して健全
な溶接が行えなくなる数m/min 程度(1〜1.5m/
min 以上)の溶接速度においても、ハンピングを発生す
ることなく健全な溶接を行うことができる。
た場合にハンピングが発生する要因として、溶接線方向
の温度勾配が急になること、溶融金属の流れが後方の一
方向になること、及び、ビード幅に対して溶着金属量が
不足すること等が挙げられるが、アーク溶接にレーザ溶
接を複合することにより、これらの要因が解消あるいは
この程度が軽減されるからである。
アーク溶接にレーザ溶接を複合することにより、熱源が
2つになるために、溶接線方向の温度勾配が緩やかにな
る。溶融金属の流れについては、レーザにより生成した
キーホールを避けるように流れる等の作用が生じ、一方
向流ではなくなる。また、ビード幅に対する溶着金属量
については、レーザ溶接を複合することにより、アーク
の陰極点がレーザに引っ張られてアークの広がりを抑え
ることができ、このためビード幅が狭くなり、これによ
ってビード幅に対する溶着金属量が適正量となるため、
ハンピングが発生し難くなる。これらによって、高速で
溶接を行う場合でもハンピングを発生することなく健全
な溶接を行うことができるのである。
せて継手の溶接を行う場合には、溶接後の変形量を小さ
く抑えることができる。即ち、アーク溶接にレーザ溶接
を複合させると、有効溶込み深さによって強度を確保す
ることができるため、同一の強度を得るのに必要な脚長
が、アーク溶接単独の場合と比較して小さくなる。従っ
て、同程度の強度の継手をアーク溶接単独および複合溶
接(アーク溶接とレーザ溶接とを複合させて溶接を行う
溶接)により作製した場合には、溶接後の変形量は複合
溶接による場合の方が小さく抑えることができる。
問題点としては、アンダーカットを生じ易いこと、フィ
ラーワイヤを用いた場合でも大きな脚長を確保し難いこ
と、健全な溶接を行うことのできるGap量の範囲が極
めて狭い(許容上限値が著しく小さい)ことが挙げられ
る。
させた場合、即ち、アーク溶接とレーザ溶接とを複合さ
せて継手の溶接を行う場合には、これらの問題点を解消
することができる。
の供給があるため、アーク溶接の溶接条件を適正な値に
調整し設定することにより、アンダーカットを防止する
と共に、大きな脚長を確保することができる。
アーク溶接での溶融金属によりGapを補填することが
できるため、Gap量の許容上限値が大きく、アーク溶
接単独の場合と同程度のGap量の許容範囲で健全な溶
接を行うことができる。
れば、構造物のT継手、重ね継手にすみ肉溶接を行うに
際し、高速で溶接を行う場合でもハンピングを発生する
ことなく健全な溶接部を得ることができ、被溶接部材間
にGapが存在する場合においても健全な溶接を行うこ
とができ、また、溶接後の変形量が小さく、高い継手強
度を確保することができるようになる。
方法によれば、レーザ溶接の長所でありアーク溶接の短
所である高速での溶接性(ハンピングを発生することな
く健全な溶接を行い得る溶接速度の程度)および溶接変
形特性(溶接変形の起こり難さ、即ち、小ささの程度)
については、レーザ溶接単独の場合とほぼ同程度の性質
を示すことができると共に、レーザ溶接の短所でありア
ーク溶接の長所である継手強度およびGap感受性(健
全な溶接を行うことのできるGap量の範囲、即ち、G
ap量の許容上限値)については、アーク溶接単独の場
合と同程度の性質を示すことができる。
についての数値限定理由を、以下説明する。
接とレーザ溶接とを複合させて溶接することの効果が希
薄になったり、所要の溶込み深さが得られなくなる場合
がある。一方、レーザ出力:50kW超の場合、出力過
多となり、抜け落ちが生じることが懸念される。よっ
て、レーザ出力:1〜50kWとする必要がある。
で溶接を行った場合に所要の脚長が得られなくなった
り、健全な溶接が行えなくなる場合がある。一方、アー
ク電流:600A超の場合、入熱過多または溶着過多と
なる。よって、アーク電流:100〜600Aとする必
要がある。
溶接の効果が希薄になる。一方、溶接速度:10m/mi
n 超の場合、アークが安定しなくなる。よって、溶接速
度:1〜10m/min とする必要がある。
(以下、アーク/レーザ間距離Dという)が2mm未満
の場合、アークとレーザが干渉し、健全な溶接を行うこ
とができなくなる。一方、アーク/レーザ間距離Dが1
5mm超の場合、アークとレーザの相互作用が希薄にな
るか又は無くなり、アークとレーザの相互作用が不充分
となり、前述の本発明の場合の如き作用効果が得られな
くなる。よって、アーク/レーザ間距離D:2〜15m
mとする必要がある。
面上でのアーク/レーザ間距離)とは、継手部材表面上
でのアークとレーザとの間の距離、即ち、アークが継手
部材表面に当たる位置とレーザが継手部材表面に当たる
位置との間の距離のことである。このアーク/レーザ間
距離Dは、これを図により模式的に示すと、例えば図3
に示す如きDである。
接を行う継手の溶接方法は、アーク溶接とレーザ溶接と
の複合溶接による継手の溶接方法ということができる。
この複合溶接はレーザ溶接とアーク溶接とを同時にある
いはほぼ同時に行う溶接のことである。
いて、図面を用い、より具体的に説明する。
視図であり、図4の(b) は正面図である。図4に示す如
く、板状部材3の端面3aは板状部材4の表面に当接さ
れており、溶接は板状部材3の端面3aの端辺3b及び
3cに沿って行われる。
溶接、アーク溶接とレーザ溶接との複合溶接(アーク溶
接とレーザ溶接とを複合させた溶接)を行うと、溶接ビ
ードの断面はアーク溶接の場合には図5の(a) 、レーザ
溶接の場合には図5の(b) 、アーク溶接とレーザ溶接と
の複合溶接の場合には図5の(c) に示す如きものとな
る。このとき、レーザ溶接の場合、及び、アーク溶接と
レーザ溶接との複合溶接の場合は、溶接速度:数m/mi
n 程度の高速溶接を行ったが、アーク溶接の場合は高速
溶接を行うとハンピングを発生して健全なビードが形成
されないために数十cm/min 程度の溶接速度で溶接を
行った。
ために能率的でないだけでなく、図5の(a) に示す如く
溶接ビードの断面積が他の方法(レーザ溶接や複合溶
接)による場合と比較して大きいため、図5の(a) の矢
印に示す方向への変形量が大きくなる。
く、溶込み方向が2つの部材の当接面と一致しないた
め、溶込み深さを深くしても、有効のど厚の増加にはつ
ながらず、従って、高い継手強度が得られない。また、
レーザ溶接においては、2つの部材間にGapが生じて
存在する場合には、健全な溶接ビードを形成することが
できない。
複合させて溶接を行った場合は、図5の(c) に示す如
く、健全な溶接ビードが形成される。即ち、レーザ溶接
の場合と同様の高速度で溶接を行った場合でも、健全な
溶接ビードが形成される。
形量も、アーク溶接の場合と比較して極めて小さくする
ことができる。
の場合と同程度の溶込み深さが得られるだけでなく、余
盛りによって適正脚長を形成することも可能であるた
め、有効のど厚を大きくすることができ、このため高い
継手強度を確保することができる。
としてT継手に対してすみ肉溶接する場合について具体
的に示したものであるが、重ね継手に対してすみ肉溶接
する場合についても上記作用効果と同様の作用効果を得
ることができる。
合させて溶接を行うに際し、アーク溶接の種類について
は特には限定されず、種々のアーク溶接によることがで
きるが、消耗式電極を用いる方法が好ましい(第2発
明)。これは、非消耗式電極による方法では、ワイヤの
供給なしで溶接を行う場合はもちろんのこと、フィラー
ワイヤを供給しながら溶接を行った場合においても、本
発明による溶接方法で必要な溶着金属量を得ることがで
きないケースも考えられるためである。
材質は特には限定されず、種々のものを用いることがで
き、例えば、炭素鋼等の鋼類、Al合金、Ti合金等を用い
ることができる。
されない。また、形状についても特には限定されず、断
面が図5に例示する如き長方形のものの他、断面が台形
状のもの等を用いることができる。
評価試験を行った。その溶接方法及び試験結果につい
て、以下説明する。尚、この溶接の中、アーク溶接とレ
ーザ溶接とを複合させて溶接を行う場合の溶接を実施例
とし、アーク溶接単独で溶接を行う場合の溶接及びレー
ザ溶接単独で溶接を行う場合の溶接を比較例とした。従
って、比較例は当然に本発明の実施例に該当しないもの
であるが、実施例は全てが本発明の実施例に該当すると
は限らず、実施例の中には、本発明に係る溶接方法の要
件の1以上を満たさず、本発明の実施例に該当しないも
のもある。本発明の実施例という場合、それは必ず本発
明に係る溶接方法の要件を満たす場合の溶接に該当する
ものである。
関する調査試験)〕実施例及び比較例の溶接を行い、ハ
ンピング発生の有無について調査した。この詳細及び調
査結果を、以下説明する。尚、この実施例の中には本発
明の実施例に該当しないものもある。
の形状を示す。この重ね継手は、板厚:4mmの板状部
材6と板厚:4mmの板状部材7とを図6に示す如く重
ねて組み立てたものである。
aに沿ってすみ肉溶接を行った。このとき、アーク溶接
は、Ar+20%CO2 ガス(CO2 ガス含有量:20
体積%のArとCO2 の混合ガス)をシールドガスとし
て用いたMAG溶接とし、直径:1.2mmΦのワイヤ
を用いた。レーザ溶接にはCO2 レーザを用いた。表1
に実施例及び比較例に係る溶接条件の詳細を示す。尚、
レーザビーム径については、全て2mmΦとした。
有無を調べた。その結果を、前記溶接条件の詳細と共に
表1に示す。尚、表1の試験結果の欄において、○はハ
ンピングを発生せずに、健全な溶接を行うことができた
もの、×はハンピングを発生して、健全な溶接を行うこ
とができなかったものを示すものである。
(本発明の実施例)の場合、及び、比較例のNo.11
〜15(レーザ溶接単独)の場合、いずれの溶接速度に
おいてもハンピングを発生することなく、健全な溶接を
行うことができた。尚、実施例No.1〜5の場合は本
発明に係る溶接方法の要件を満たすもの(本発明の実施
例)である。
ーク溶接単独)の場合、1.5m/min 以下の溶接速度
においてはハンピングを発生して、健全な溶接を行うこ
とができなかった。
レーザ間距離Dの値が本発明でのアーク/レーザ間距離
D:2〜15mmの下限値よりも小さいため、アークと
レーザが干渉してしまい、健全な溶接ビードを得ること
ができなかった。また、実施例No.17の場合、アー
ク/レーザ間距離Dの値が本発明でのアーク/レーザ間
距離Dの上限値よりも大きいため、ハンピングを発生し
て、健全な溶接を行うことができなかった。
発明でのレーザ出力:1〜50kWの下限値よりも小さ
いため、ハンピングを発生して、健全な溶接を行うこと
ができなかった。
発明でのアーク電流:100〜600Aよりも小さいた
め、健全な溶接を行うことができなかった。
ろ、本発明の実施例により得られたものは高い継手強度
を有することが確認された。
定試験)〕実施例及び比較例の溶接を行い、溶接変形量
の測定試験を行った。この詳細及び調査結果を、以下説
明する。
形状を示す。このT継手は、板厚:6mmの板状部材8
と板厚:6mmの板状部材9とを図7に示す如く組み立
てたものである。尚、図7に示す板状部材の寸法の単位
はmmである。
に沿ってすみ肉溶接を行った。このとき、アーク溶接
は、Ar+20%CO2 ガス(CO2 ガス含有量:20
体積%のArとCO2 の混合ガス)をシールドガスとし
て用いたMAG溶接とし、直径:1.2mmΦのワイヤ
を用いた。レーザ溶接にはCO2 レーザを用いた。表2
に実施例及び比較例に係る溶接条件の詳細を示す。尚、
レーザビーム径については、全て2mmΦとした。
行った。即ち、図8に示す如く、溶接後の板状部材9の
両端辺の水平面からの距離A及びBを測定し、この距離
Aと距離Bとの和を求め、これを溶接変形量として求め
た。この結果を、前記溶接条件の詳細と共に表2に示
す。
ーザ溶接単独)の場合、溶接変形量は大きいが、これに
対し、実施例No.20(本発明の実施例)の場合、及
び、比較例No.22(アーク溶接単独)の場合は、溶
接変形量が極めて小さい。即ち、実施例No.20は本
発明に係る溶接方法の要件を満たすもの(本発明の実施
例)であり、この場合は比較例No.22(レーザ溶接
単独)の場合とほぼ同程度の溶接変形量に抑えることが
でき、これに対して比較例No.22(アーク溶接単
独)の場合は溶接変形量が極めて大きい。
ろ、本発明の実施例により得られたものは高い継手強度
を有することが確認された。
測定試験)〕実施例及び比較例の溶接を行い、Gap感
受性の測定試験を行った。この詳細及び調査結果を、以
下説明する。
形状を示す。このT継手の板状部材8と板状部材9の当
接面のGap量(両部材間の隙間の距離)を種々変化さ
せ、板状部材8の端面8aに沿ってすみ肉溶接を行っ
た。このとき、アーク溶接は、シールドガス:Ar+2
0%CO2 ガスのMAG溶接とし、直径:1.2mmΦ
のワイヤを用いた。レーザ溶接にはCO2 レーザを用い
た。表3に実施例及び比較例に係る溶接条件の詳細を示
す。尚、レーザビーム径については、全て2mmΦとし
た。
状況および溶接ビード等を観察して溶接の健全性を評価
した。この結果を、前記溶接条件の詳細と共に表3に示
す。尚、表3の試験結果の欄において、○は健全な溶接
を行うことができたもの、×は健全な溶接を行うことが
できなかったものを示すものである。
(レーザ溶接単独)の場合、Gap量(Gapの大き
さ):0mm、0.5mmのとき、健全な溶接を行うこ
とができ、健全な溶接ビードが得られたが、Gap量が
1mm以上になると健全な溶接ビードが得られなかっ
た。これに対し、実施例No.23〜26(本発明の実
施例)の場合は、Gap量:0mm、0.5mmのとき
も、Gap量:1.0mm、1.5mmのときも、健全
な溶接を行うことができ、健全な溶接ビードが得られ
た。即ち、実施例No.23〜26は本発明に係る溶接
方法の要件を満たすもの(本発明の実施例)であり、こ
の場合はいずれも、レーザ溶接単独では健全な溶接を行
うことができなかったGap量においても、健全な溶接
ビードを得ることができた。
ろ、本発明の実施例により得られたものは高い継手強度
を有することが確認された。
試験)〕実施例及び比較例の溶接を行い、疲労強度測定
試験を行った。この詳細及び試験結果を、以下説明す
る。
の形状及びサイズを示す。これは、板厚:12mmの板
状部材10と板状部材11とによりT継手に組み立てた
後、溶接を行い、図9に示す形状に加工したものであ
る。
手に対し図9にて矢印で示すような方向に120MPa
の応力(繰り返し応力)を掛け、破断までの繰り返し回
数を測定することにより行った。そして、判定基準は、
破断までの繰り返し回数(破断繰り返し回数)が2×1
06 以上であったものを合格(○)とし、2×106未
満のものを不合格(×)とした。
溶接方法と共に表4に示す。尚、表4の判定の欄におい
て、○は破断繰り返し回数が2×106 以上であり、合
格であったもの、×は破断繰り返し回数が2×106 未
満であり、不合格であったものを示すものである。溶接
方法の欄において、複合溶接は本発明の実施例に係る溶
接方法に該当するものであり、レーザ溶接及びアーク溶
接は比較例に該当するものである。
接方法:レーザ溶接単独)の場合、破断繰り返し回数が
2×106 未満であり、判定基準未満の繰り返し回数で
破断に至り、不合格となったが、実施例No.31(溶
接方法:複合溶接:本発明の実施例に係る溶接方法)の
場合、及び、比較例No.33(溶接方法:アーク溶接
単独)の場合は、破断繰り返し回数が2×106 以上で
あり、判定基準以上の繰り返し回数が得られた。
構造物のT継手、重ね継手にすみ肉溶接を行うに際し、
高速で溶接を行う場合でもハンピングを発生することな
く健全な溶接部を得ることができ、被溶接部材間に比較
的大きなGapが存在する場合においても健全な溶接を
行うことができ(健全な溶接を行い得るGap量の許容
範囲が広く)、また、溶接後の変形量が小さく、高い継
手強度を確保することができるようになる。
方法によれば、レーザ溶接の長所でありアーク溶接の短
所である高速での溶接性(ハンピングを発生することな
く健全な溶接を行い得る溶接速度の程度)および溶接変
形特性(溶接変形の起こり難さ、即ち、小ささの程度)
については、レーザ溶接単独の場合とほぼ同程度の性質
を示すことができ、また、レーザ溶接の短所でありアー
ク溶接の長所である継手強度およびGap感受性(健全
な溶接を行うことのできるGap量の範囲、即ち、Ga
p量の許容上限値)については、アーク溶接単独の場合
と同程度の性質を示すことができる。
の溶接ビードの断面の概要を示す正面断面図であって、
図2の(a) は前記溶接をアーク溶接により行った場合の
もの、図2の(b) は前記溶接をレーザ溶接により行った
場合のものである。
である。
す図であって、図4の(a) は斜視図、図4の(b) は正面
図である。
面の概要を示す正面断面図であって、図5の(a) は前記
溶接をアーク溶接により行った場合のもの、図2の(b)
は前記溶接をレーザ溶接により行った場合のもの、図5
の(c) は前記溶接をアーク溶接とレーザ溶接との複合溶
接により行った場合のものである。
ある。
て、図7の(a) は斜視図、図7の(b) は正面図である。
断面図である。
ある。
部材、3a--板状部材3の端面、3b,3c--板状部材
3の端辺、4--板状部材、6--板状部材、6a--板状部
材6の端面、7--板状部材、8--板状部材、8a--板状
部材8の端面、9--板状部材、10--板状部材、11--
板状部材。
Claims (2)
- 【請求項1】 構造物のT継手、重ね継手にすみ肉溶接
を行うに際し、アーク溶接とレーザ溶接とを複合させて
溶接を行う継手の溶接方法であって、この溶接の条件
を、レーザ出力:1〜50kW、アーク電流:100〜
600A、溶接速度:1〜10m/min 、継手部材表面
上でのアーク/レーザ間距離:2〜15mmとすること
を特徴とする継手の溶接方法。 - 【請求項2】 前記アーク溶接が、消耗式電極を用いた
溶接方法である請求項1記載の継手の溶接方法。
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