JP2010046682A - 溶接継手構造、この溶接継手構造を備えた構造物及び鋼床版 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鋼材10と、一方側の面に開先部22が形成され前記鋼材10の加工面11に前記開先部22を含む端部23を接して配置される補鋼材21とを備え、前記鋼材10と前記補鋼材21とが前記開先部22に溶接金属Mを充填した接続部により接続した溶接継手構造Wであって、前記溶接金属Mによる脆化部は、前記接続部の亀裂進展部位Fの領域外に形成されることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
例えば、高速道路をはじめとする道路や橋梁を建造する場合、鉄筋コンクリート床版と比較して重量が軽量で取扱性が良好であることから鋼床版が広く用いられており、構造物が大規模である場合や地盤等の設置条件について制限がある場合の有力な床構造として位置づけられている。
この鋼床版の例では、Uリブの内側が壁部で閉じられているためにデッキプレートへのUリブの溶接に際して非貫通の溶接継手部が形成され、鋼材と補鋼材との接続部近傍における溶接金属の先端部付近にはポロシティー等の球状欠陥が発生し易く、この球状欠陥を起点として亀裂進展部位に疲労破壊が発生しやすい(例えば、非特許文献1参照。)。
そのため、溶接継手構造における疲労破壊の耐久性を向上するために種々の技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
溶接学会平成19年秋季全国大会講演概要 Vol.2007f 「鋼床版Uリブ接合へのレーザ溶接適用に関する検討」
請求項1に記載の発明は、鋼材と、一方側の面に開先部が形成され前記鋼材の加工面に前記開先部を含む端部を接して配置される補鋼材とを備え、前記鋼材と前記補鋼材とが前記開先部に溶接金属を充填した接続部により接続した溶接継手構造であって、前記溶接金属による脆化部は、前記接続部の亀裂進展部位の領域外に形成されることを特徴とする。
この明細書において、亀裂進展部位とは、繰返し荷重が加わった場合に発生する亀裂が、例えば、母材へと進展して亀裂が伝播してゆく経路を意味している。
また、脆化部とは、溶接を行なうことにより溶接金属の靭性が低下する部分であり、例えば、溶接において発生するポロシティー等の球状欠陥が発生する部位を指している。
その結果、亀裂進展部位に繰り返し荷重が加えられても繰り返し荷重による応力が脆化部に影響して疲労破壊が亀裂進展部位に進展することが抑制される。
C:0.10%以下,Si:0.2〜0.8%,Mn:1.0〜2.0%,P:0.008%以下,S:0.005%以下,Ni:1.0〜8.0%,Cr:9.0〜15.0%,Nb:0.05%以下,残部がFe及び不可避的不純物とされ、
前記溶接金属中のNi及びCrの成分の含有量を、[Ni]、[Cr]で表したとき、
[Ni]eq−0.4[Cr]eq≦5 とされることを特徴とする。
図1は、本発明に係る溶接継手構造Wを適用した鋼床版(構造物)1を示しており、図2は、鋼床版1の一部を上下反転させた状態を示す図である。
また、図3は、本発明に係る溶接継手構造Wを示す図である。
また、側壁部21の外方側(一方側)の面と開口部20A側の端面とを結ぶ切欠形状が形成され、この切欠形状が開先部22とされている。
その結果、開先部22は、側壁部21の開口部20A側の端面をトップデッキ10の加工面11に接するようしてUリブ20をトップデッキ10に配置した場合に壁部21の外方に位置するようになっている。
具体的には、側壁部21が、厚さtが6mm未満の場合には、L=2mmとし、厚さtが6mm以上の場合には、L=(1/3)t とすることが好適である。
その結果、溶接金属Mの溶け込みの先端部Sはデッキプレート10の加工面11に露出することなく安定してデッキプレート10の内方に形成される。
脆化部は、この実施形態では、溶接に際して溶融した溶接用ワイヤが開先部22に充填する際に、開先部22の内面を形成するデッキプレート10及びUリブ20を溶融するとともにこれら溶融した金属が混合されて溶接金属Mが生成され、デッキプレート10及びUリブ20に溶け込んだ溶接金属の先端部S付近におけるポロシティー等の球状欠陥が発生する部分である。
また、溶接用ワイヤ中のNi及びCrの成分の含有量を[Ni]、[Cr]で表したときに、[Ni]eq−0.4[Cr]eq≦5とされている。
1)デッキプレート10の加工面11に、側壁部21の開口部20Aの外側面と端面との間に開先部22が形成されたUリブ20を、開口部20Aの側を加工面11に向けるとともに端部23を加工面11に当接して配置する。
2)Uリブ20の開先部22にMIGトーチから溶接用ワイヤを供給し、アークにより開先部22内において溶接用ワイヤを溶融させるとともにレーザ溶接用のレーザ光を照射してデッキプレート10、Uリブ20の開先部表面の一部を溶接ワイヤとともに溶融しながら、それらが混合して構成された溶接金属Mにより開先部22を充填する。
この溶接金属Mの充填の際に、開先部22からデッキプレート10側に大きな溶け込み部が形成され、溶接金属Mの溶け込み部がデッキプレート10の内方に押し込まれる。
3)また、溶接金属Mの充填に際して、溶接金属Mの溶け込みが、加工面11等デッキプレート10の表面に露出しないような速度で溶接トーチが速度制御され、亀裂進展部位Fが脆化部の領域外となるように溶接して入熱量を調整する。
例えば、レーザ出力6〜8kw、トーチ速度70〜90cm/minとすることが好適である。
その結果、溶接継手構造W及び鋼床版1における疲労破壊に対する耐久性が向上する。
その結果、亀裂進展部位Fが繰り返し荷重を受けても脆化部が影響されることが抑制され、疲労破壊に対する耐久性が向上する。
また、図4において、
▲;レーザ・アークハイブリッド溶接法による本実施形態の溶接継手構造の疲労破壊強度
△;レーザ・アークハイブリッド溶接法による従来の溶接継手構造の疲労破壊強度
○;レーザ溶接法による従来の溶接継手構造の疲労破壊強度
▽;アーク溶接法による従来の溶接継手構造の疲労破壊強度
であり、実線Pは、低変態温度溶接材料及びP、Sを低減した組成の溶接用ワイヤの場合を例に、本実施形態に係る疲労寿命Nと、応力範囲△σ(MPa)の関係を示したものである。
また、破線Dで示したのはJSSC疲労設計指針のD等級を、破線Eで示したのはJSSC疲労設計指針のE等級を示している。
例えば、上記実施の形態においては、亀裂進展部位FがUリブ20とデッキプレート10の接続部に形成され、さらにこの接続部に未着部Rが形成される場合について説明したが、亀裂進展部位Fが上記一実施形態に係る接続部以外の部位に形成されるものであってもよいし、未着部Rが形成されていない構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、開先部22が平面視及び側面視において直線状に形成される場合についてしたが、例えば、平面視又は側面視した溶接金属Mの充填部が曲線等を含む形態であってもよい。
また、上記実施の形態においては、脆化部が、溶接金属Mがデッキプレート10又はUリブ20への溶け込みの際に溶接金属Mの先端部Sに形成される場合について説明したが、例えば、他の部位に形成される脆化部に対して適用可能であることはいうまでもない。
また、上記実施の形態においては、脆化部が球状欠陥である場合について説明したが、球状欠陥に限られず疲労破壊の起因となる他の形態の脆化部に対して適用可能であることはいうまでもない。
F 亀裂進展部位
1 鋼床版
2 溶接継手構造W
10 デッキプレート(鋼材)
20 Uリブ(補鋼材)
21 側壁部(補鋼材)
22 開先部
23 端部
Claims (6)
- 鋼材と、一方側の面に開先部が形成され前記鋼材の加工面に前記開先部を含む端部を接して配置される補鋼材とを備え、前記鋼材と前記補鋼材とが前記開先部に溶接金属を充填した接続部により接続した溶接継手構造であって、
前記溶接金属による脆化部は、
前記接続部の亀裂進展部位の領域外に形成されることを特徴とする溶接継手構造。 - 請求項1に記載の溶接継手構造であって、
前記脆化部は、
前記鋼材の内方に形成されていることを特徴とする溶接継手構造。 - 請求項1又は請求項2に記載の溶接継手構造であって、
前記補鋼材を厚さtの鋼板とした場合に、
前記鋼材への前記溶接金属の溶け込みのうち、前記補鋼材の他方側の面を基準とする前記開先部と反対側への長さLは、
2mmと、(1/3)tの少なくともいずれか一方の数値以上であることを特徴とする溶接継手構造。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の溶接継手構造であって、
溶接ワイヤは、
組成が、
C:0.10%以下,Si:0.2〜0.8%,Mn:1.0〜2.0%,P:0.008%以下,S:0.005%以下,Ni:1.0〜8.0%,Cr:9.0〜15.0%,Nb:0.05%以下,残部がFe及び不可避的不純物とされ、
前記溶接金属中のNi及びCrの成分の含有量を、[Ni]、[Cr]で表したとき、
[Ni]eq−0.4[Cr]eq≦5
とされることを特徴とする溶接継手構造。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の溶接継手構造を備えることを特徴とする構造物。
- 前記鋼材がデッキプレートとされ、前記補鋼材がUリブとされた請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の溶接継手構造を備えることを特徴とする鋼床版。
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JP2017521263A (ja) * | 2014-05-09 | 2017-08-03 | イェスタムプ・ハードテック・アクチエボラーグ | 2つのブランクを接合する方法、ブランク、及び得られた製品 |
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