JP2001273925A - 二次電池用電解質および二次電池 - Google Patents
二次電池用電解質および二次電池Info
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Abstract
次電池等の電気化学デバイス用の材料として有用な高分
子電解質である二次電池用電解質およびこの電解質を用
いたサイクル特性に優れた二次電池を提供する。 【解決手段】 イオン性化合物および有機高分子化合物
からなる二次電池用電解質において、有機高分子化合物
がニトリル基含有化合物を含有することを特徴とする二
次電池用電解質およびその電解質を用いた二次電池。
Description
る二次電池用電解質およびその二次電池用電解質を用い
た二次電池に関し、詳しくは高いイオン伝導度を示す電
池等の電気化学デバイス用の材料として有用な高分子電
解質である二次電池用電解質およびこの電解質を用いた
二次電池に関するものである。
する要求が強く、そのエネルギー源である電池材料に対
しても、小型化、軽量化でかつ高容量、高エネルギー密
度が求められ、種々の研究開発が行われている。
してリチウムイオン二次電池が用いられている。リチウ
ムイオン二次電池は一般的に金属酸化物を正極、炭素材
料等を負極に、そして極間にセパレータと電解液を挟ん
だ構造をしている。これは高エネルギー密度を有する二
次電池であるが、電解液を使用するために、液漏れの問
題から安全性に課題があり、さらに液漏れを防ぐために
金属缶を外装として用いる必要があるため、軽量化が困
難となっている。電解液を用いた場合の欠点を克服する
ために、高分子化合物を電解質に使用したいわゆる高分
子電解質が種々検討されている。高分子電解質は可堯性
を有し、機械的衝撃にも追従し、さらに電極−電解質間
でのイオン電子交換反応に際して生じる電極の体積変化
にも追従し得る特徴を有している。
質としては、米国特許第4303748号明細書ではポ
リアルキレンオキシドにアルカリ金属塩またはアルカリ
金属塩を溶解した固体電解質が提案されているが、イオ
ン伝導度が不十分で、さらに極材との接触抵抗が高いと
いった課題が残されている。このようにイオン伝導度が
不十分であった場合には、充電および放電時の電流密度
が充分に得られず、大電流を必要とする用途には適用で
きず、用途が限定されてしまう。これに対して、有機高
分子化合物に非水系有機溶媒を含浸させた、いわゆるゲ
ル電解質と呼ばれる系が、特公昭61−23945号公
報、特公昭61−23947号公報、米国特許第483
0939号明細書および米国特許第5429891号明
細書において提案されている。このようなゲル電解質に
おいては、電解液がマトリクスとなる高分子化合物に包
含された形となって、イオン伝導性を担っている。しか
しながら電解液の保持性が温度変化によって失われある
いは低下する問題がある。さらに、高いイオン伝導度を
得るためには、より多くの電解液を高分子化合物に含浸
させる必要があるが、そのような場合には前記の電解液
保持性の低下やひいては液漏れ発生の可能性が懸念され
る。また、J.Polymer Science:Po
lymer Physics,21巻939頁(198
3年)ではポリアクリロニトリルを基材とした高分子電
解質が提案されているが、上記のように非水系有機溶媒
を含浸させた場合にはある程度の伝導度が得られるもの
の、非水系有機溶媒を用いなかった場合にはイオン伝導
度が得られず、上記高分子電解質と同様に、充電および
放電時の電流密度が充分に得られず、大電流を必要とす
る用途には適用できず、用途が限定されてしまう。本発
明は、高いイオン伝導度を示し、安全性に優れた二次電
池等の電気化学デバイス用の材料として有用な高分子電
解質である二次電池用電解質およびこの電解質を用いた
サイクル特性に優れた二次電池を提供することを目的と
する。
る二次電池用電解質において、有機高分子化合物が式
(1)で示されるニトリル基含有化合物を含有すること
を特徴とする二次電池用電解質、 Z1−[(A1O)l−R1]a (1) (Z1は1〜6個の水酸基を持つ化合物の残基、A1Oは
炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以
上の混合物であり、R1はシアノエチル基、炭素数1〜
12の炭化水素基、水素原子から選ばれる基であり、少
なくとも一つはシアノエチル基であり、l=0〜60
0、a=1〜6であり、かつla=0〜600であ
る。) (イ) 有機高分子化合物が、式(2)で示される化合
物をホウ酸または無水ホウ酸によりエステル化すること
によって得られるホウ酸エステル化合物を含有すること
を特徴とする(ア)記載の二次電池用電解質、 Z2−[(A2O)m−H]b (2) (Z2は1〜6個の水酸基を持つ化合物の残基、A2Oは
炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以
上の混合物であり、m=0〜600、b=1〜6であ
り、かつmb=0〜600である。) (ウ) 有機高分子化合物が、式(3)で示される化合
物の重合物を含有することを特徴とする(ア)または
(イ)記載の二次電池用電解質、 Z3−[(A3O)n−R2]c (3) (Z3は1〜4個の水酸基を持つ化合物の残基または水
酸基であり、A3Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン
基の1種または2種以上の混合物であり、n=0〜15
0、c=1〜4であり、かつnc=0〜300であり、
R2は水素原子または式(4)で示される基である。)
である。) (エ)イオン性化合物がアルカリ金属塩またはアルカリ
土類金属塩であることを特徴とする(ア)、(イ)また
は(ウ)記載の二次電池用電解質、 (カ) (ア)、(イ)、(ウ)または(エ)記載の二
次電池用電解質を用いる二次電池である。
るニトリル基含有化合物において、Z1は1〜6個の水
酸基を持つ化合物の残基である。1〜6個の水酸基を持
つ化合物としては、例えばメチルアルコール、エチルア
ルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、t
−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オ
クチルアルコール、イソオクチルアルコール、デシルア
ルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコー
ル、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコー
ル、オクタデシルアルコール、オクタデセニルアルコー
ル、イコシルアルコール、テトライコシルアルコール等
のモノオール、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジ
オール、オクタンジオール等のジオール、グリセリン、
トリメチロールプロパン等のトリオール、ペンタエリス
リトール、ジグリセリン等のテトラオールなどが挙げら
れ、好ましくは炭素数1〜24の化合物であり、より好
ましくは炭素数1〜5の1〜4個の水酸基を有する化合
物である。
ルキレン基は、オキシエチレン基、オキシプロピレン
基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基などが
挙げられ、好ましくはオキシエチレン基またはオキシプ
ロピレン基である。またこれらの1種または2種以上の
混合物でもよく、2種以上の場合の重合形式はブロック
状、ランダム状のいずれでもよい。lは炭素数2〜4の
オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、0〜60
0、好ましくは0〜100、より好ましくは1〜40で
ある。600を超えるとニトリル基の導入量が少なくな
り、高いイオン伝導度が得られにくくなる。aは1〜6
であり、好ましくは2〜4である。laは0〜600、
好ましくは0〜300、より好ましくは1〜120であ
る。600を超えるとニトリル基の導入量が少なくな
り、高いイオン伝導度が得られにくくなる。R1はシア
ノエチル基、炭素数1〜12の炭化水素基、水素原子か
ら選ばれる基であり、少なくとも一つはシアノエチル基
である。R1の半数以上はシアノエチル基であることが
好ましく、R1の全てがシアノエチル基であることがよ
り好ましい。
トリル基含有化合物の基質となる水酸基含有化合物は、
従来から知られている開環重合により得ることができ
る。例えば、1〜6個の水酸基を持つ化合物に、従来か
ら知られている水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化リチウム、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属
塩、三フッ化ホウ素エーテラート、四塩化錫、三塩化ア
ルミニウム等のルイス酸等の開環重合触媒を用いて、エ
チレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシ
ド、テトラヒドロフランなどの炭素数2〜4のアルキレ
ンオキシドを所定のモル比で重合させることで合成する
ことができる。また上記開環重合の後に、アルキルエー
テル化反応を行っても良い。例えば上記反応生成物に、
従来から知られている水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム等のアルカリ金属塩を触媒として、
塩化メチル、塩化ブチル、塩化オクチル、臭化メチル、
臭化ブチル等のハロゲン化アルキルを所定のモル比で反
応させることで合成することができる。
は、式(1)で示されるニトリル基含有化合物の基質と
なる水酸基含有化合物に、30〜80℃にて不活性ガス
通気下でアクリロニトリルを滴下反応することで得られ
る。例えば反応温度35〜60℃において、触媒量の水
酸化アルカリの存在下、窒素ガスを適当量通気しつつ、
撹拌しながらアクリロニトリルを徐々に滴下し、2〜1
2時間保持することでシアノエチル化反応が起こり、ニ
トリル基含有化合物が生成する。なお、前記アルキルエ
ーテル化反応と、シアノエチル化反応の順序はどちらを
先に行っても良い。
物の含有量は5〜100重量%用いることが好ましく、
20〜100重量%用いることがより好ましい。
は、マトリクスの柔軟性付与によるイオン伝導度の向上
の目的から、式(2)で示される化合物をホウ酸エステ
ル化した化合物との混合系で用いることが好ましい。本
発明に用いるホウ酸エステル化合物の基質となる式
(2)で示される化合物において、Z2は1〜6個の水
酸基を持つ化合物の残基であり、前記Z1として例示し
たものと同じである。また、好ましい化合物、より好ま
しい化合物についても前記Z1と同じである。
ルキレン基についても、前記A1Oで例示したものと同
じであり、混合物についても、重合形態についても同じ
である。mは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の平均
付加モル数であり、0〜600、好ましくは0〜10
0、より好ましくは1〜30である。600を超えると
ホウ酸エステル結合の導入量が少なくなり、高いイオン
伝導度が得難くなる。bは1〜6であり、好ましくは1
〜4である。mbは0〜600、好ましくは0〜10
0、より好ましくは1〜50である。600を超えると
ホウ酸エステル結合の導入量が少なくなり、高いイオン
伝導度が得難くなる。
となる式(2)で示される化合物は、従来から知られて
いる開環重合により得ることができる。例えば、1〜6
個の水酸基を持つ化合物に、従来から知られている水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ソジ
ウムメチラート等のアルカリ金属塩、三フッ化ホウ素エ
ーテラート、四塩化錫、三塩化アルミニウム等のルイス
酸等の開環重合触媒を用いて、エチレンオキシド、プロ
ピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラ
ンなどの炭素数2〜4のアルキレンオキシドを所定のモ
ル比で重合させることで合成することができる。
は、式(2)で示される化合物にオルトホウ酸、メタホ
ウ酸、ピロホウ酸などのホウ酸または無水ホウ酸を加
え、50〜200℃にて不活性ガス通気下で真空による
脱水反応することで得られる。例えば反応温度60〜1
20℃、10〜50mmHgの真空下において、窒素ガ
スを適当量通気しつつ、撹拌しながら2〜12時間脱水
反応することでホウ酸エステル化合物が生成する。式
(2)で示される化合物の水酸基1モルに対して、ホウ
素原子1/3モルの比率において、ポリアルキレンオキ
シドホウ酸トリエステルが生成する。ホウ酸エステル化
の割合は、水酸基とホウ素原子のモル比率によって任意
に調整可能であるが、式(2)で示される化合物の水酸
基とホウ素原子のモル比率は、好ましくは6/1〜3/
1の範囲である。また、式(2)で示される化合物が2
つ以上の水酸基を含む場合には、ホウ酸エステル化の進
行に伴って網目状ポリマーの形成が起こり得るため、反
応系の流動性を保持するためにエステル化反応に関わら
ない溶剤を適宜用いることができる。有機高分子化合物
中のホウ酸エステル化合物の含有量は0〜80重量%用
いることが好ましく、0〜60重量%用いることがより
好ましい。
は、高分子電解質としての特徴である可堯性の付与の目
的から式(3)で示される化合物の重合物をマトリクス
として用いることが好ましく、さらにマトリクスの柔軟
性付与による機械的特性およびイオン伝導度の向上の目
的から、式(3)で示される化合物の重合物をマトリク
スとして式(2)で示される化合物をホウ酸エステル化
した化合物との混合系で用いることが好ましい。
化合物において、Z3は1〜4個の水酸基を持つ化合物
の残基または水酸基である。1〜4個の水酸基を持つ化
合物としては、メチルアルコール、エチルアルコール、
プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブ
チルアルコール、2−ブチルアルコール、t−ブチルア
ルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアル
コール、イソオクチルアルコール、デシルアルコール、
ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデ
シルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシ
ルアルコール、オクタデセニルアルコール、イコシルア
ルコール、テトライコシルアルコール等のモノオール、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジ
オール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタ
ンジオール等のジオール、グリセリン、トリメチロール
プロパン等のトリオール、ペンタエリスリトール、ジグ
リセリン等のテトラオール、アクリル酸、メタクリル
酸、クロトン酸等の重合性基含有化合物などが挙げられ
る。Z3としては好ましくは水酸基、メチルアルコー
ル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリ
セリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ル、ジグリセリン、アクリル酸およびメタクリル酸の残
基であり、より好ましくは水酸基、もしくはメチルアル
コール、エチレングリコール、プロピレングリコール、
アクリル酸およびメタクリル酸の残基である。
ルキレン基は、オキシエチレン基、オキシプロピレン
基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基などが
挙げられ、好ましくはオキシエチレン基またはオキシプ
ロピレン基である。またこれらの1種または2種以上の
混合物でもよく、2種以上の時の重合形式はブロック
状、ランダム状のいずれでもよい。nは炭素数2〜4の
オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、0〜15
0であり、イオン伝導度を得る目的から好ましくは5〜
100である。150を超えると重合性基の導入量が少
なく、マトリクスとしての機械的強度が得られにくくな
る。cは1〜4であり、好ましくは1〜3である。nc
は0〜300、好ましくは0〜150、より好ましくは
1〜100である。300を超えると式(4)で示され
る重合性基の導入量が少なく、マトリクスとしての機械
的強度が得られにくくなる。
基である。R2が2個以上ある場合、それぞれ同じであ
っても異なっていてもよい。式(4)で示される基にお
いてR3およびR4は水素原子またはメチル基である。R
3およびR4が水素原子であるアクリロイル基またはR3
が水素原子、R4がメチル基であるメタクリロイル基が
好ましい。式(3)で示される化合物の重合物とは、式
(4)で示される重合性基により重合される重合物であ
る。式(3)は少なくとも1つの重合性基をもつ。具体
的にはZ2がアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等
の重合性基含有化合物の残基でない場合、R2の少なく
とも1つは式(4)で示される重合性基をもつ。
合物は、アルキレンオキシド誘導体への重合性基を有す
る有機酸によるエステル化、もしくは重合性基を有する
有機酸へのアルキレンオキシドの開環重合で得ることが
できる。例えば、アルキレンオキシド誘導体に、従来か
ら知られているエステル化触媒を用いて、重合性基を有
する有機酸を所定のモル比で反応させることで得ること
ができ、あるいは重合性基を有する有機酸に、従来から
知られている開環重合触媒を用いて、エチレンオキシ
ド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒ
ドロフランなどのアルキレンオキシドを所定のモル比で
重合させることで得られる。式(3)で示される化合物
は、1種または2種以上を混合して使用することができ
る。有機高分子化合物中の式(3)で示される化合物の
混合割合は0〜75重量%であるのが高分子電解質とし
ての可尭性の付与と高いイオン伝導度を得る目的から好
ましく、5〜50重量%であるのがより好ましい。
合物は、これに含まれる重合性基を重合させた形で使用
する。重合は、加熱、紫外線、可視光、電子線などのエ
ネルギーによってなされるが、適宜、既に知られている
重合開始剤を使用しても良い。重合後の数平均分子量は
50,000〜10,000,000であるのが好まし
く、50,000を下回ると高分子電解質としての特徴
である可堯性の発現が得られにくく、10,000,0
00を上回るとイオン伝導の障害となる可能性もある。
発明に用いられる有機高分子化合物に対して任意の比率
で混合することができる。本発明に用いられる有機高分
子化合物に含まれるオキシアルキレン単位の総数2〜3
0モルに対して、本発明に用いられるイオン性化合物に
含まれる金属1モルの比率となるように混合するのが好
ましく、オキシアルキレン単位の総数2〜15モルに対
して金属1モルの比率となるように混合するのが、有機
高分子化合物のガラス転移温度低下によるイオン伝導度
への寄与の点から、より好ましい。イオン性化合物とし
ては、例えばLi、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba
などのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が挙げら
れ、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiB
F4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li
(C2F5SO2)2N、Li(CF3SO2)3C、Li
I、LiSCN、NaBr、NaI、NaSCN、K
I、KSCNなどのアルカリ金属塩が好ましく、LiC
lO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF
3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)
2N、Li(CF3SO2)3C、LiI、LiSCNなど
のリチウム塩がより好ましい。
伝導性または強誘電性の塩、ガラスの粉末などを添加す
ることができる。このような塩またはガラスの粉末とし
ては、例えばSnO2、BaTiO3、Al2O3、Li2
O・3B2O3、LaTiO3などが挙げられる。
製可能である。その調製方法は特に限定されないが、例
えば、本発明に用いられるニトリル基含有化合物は、多
くの低沸点有機溶剤に溶解するため、ニトリル基含有化
合物、イオン性化合物および式(3)で示される化合物
またはその他の有機高分子化合物を低沸点溶剤に溶解し
て溶液を調製し、これをキャスティングして低沸点溶剤
を除去しつつ、式(3)で示される化合物を併用した場
合にはこれを同時に熱重合させることで、力学的強度を
有する高分子電解質薄膜を得ることができる。なお必要
に応じて、紫外線、可視光、電子線等の電磁波を照射す
ることで式(3)で示される化合物の重合による薄膜を
得ることもできる。また、例えば、本発明のニトリル基
含有化合物、イオン性化合物および高分子化合物を低沸
点溶剤に溶解して溶液に調整し、これをキャスティング
して低沸点溶剤を除去することで、高分子電解質薄膜を
得ることができる。有機高分子化合物は本発明の効果を
妨げなければ、他の有機高分子化合物を混合して使用し
ても良い。また、マトリクスとして他の有機高分子化合
物を単独で用いても良い。他の有機高分子化合物として
は、例えばポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−
メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−メタクリル
酸メチル共重合体、メタクリル酸−スチレン共重合体、
アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリ
ル−スチレン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリ
ル−スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチ
レンオキシド等が挙げられる。
機溶剤を添加して溶液を調製し、これをキャスティング
することによって低沸点溶剤の除去および式(3)で示
される化合物の熱重合によって、高分子ゲル電解質薄膜
を得ることができる。さらに本発明のホウ酸エステル化
合物と式(3)で示される化合物を低沸点溶剤に溶解し
て溶液を調製し、これをキャスティングして低沸点溶剤
を除去しつつ式(3)で示される化合物を熱重合させる
ことで得た高分子固体薄膜に、イオン性化合物を溶解し
た有機溶剤を含浸させることで高分子ゲル電解質薄膜を
得ることもできる。なお必要に応じて、紫外線、可視
光、電子線等の電磁波を照射することで式(3)で示さ
れる化合物の重合による薄膜を得ることもできる。
ている正極材料および負極材料を組み合わせることで、
イオン伝導度、充放電サイクル特性および安全性に優れ
た二次電池を得ることが可能である。
る。なお、以下文中においてLiTFSIはリチウムビ
ス(トリフルオロメタンスルホネート)イミドを示す。
また、比較例3を除く各実施例および各比較例におい
て、ニトリル基含有化合物、式(2)または式(3)で
示される化合物に含まれるオキシアルキレン単位8モル
に対して、イオン性化合物に含まれるアルカリ金属が1
モルの比率となるように調整した。
ール1,000g(1.0モル)に水酸化カリウム0.
20gを加え、窒素ガス雰囲気下50℃まで昇温した後
にアクリロニトリル111.3g(2.10モル)を2
時間かけて滴下した。滴下が終わった後も50℃にて2
時間保持して反応を継続した。その後110℃まで昇温
したのちに系内を徐々に減圧し、圧力2.67kPa
(20mmHg)以下の状態を1時間保持し、未反応の
アクリロニトリルを除去した。その後濾過することでニ
トリル基含有化合物(1)が得られた。反応前後におけ
る水酸基価の変化から算出したニトリル基含有化合物
(1)のシアノエチル基導入率は92%であった。
(ポリエチレングリコール)750g(1.0モル)に
水酸化カリウム0.23gを加え、窒素ガス雰囲気下5
0℃まで昇温した後にアクリロニトリル167.0g
(3.15モル)を2時間かけて滴下した。滴下が終わ
った後も50℃にて2時間保持して反応を継続した。そ
の後110℃まで昇温したのちに系内を徐々に減圧し、
圧力2.67kPa(20mmHg)以下の状態を1時
間保持し、未反応のアクリロニトリルを除去した。その
後濾過することでニトリル基含有化合物(2)が得られ
た。反応前後における水酸基価の変化から算出したニト
リル基含有化合物(2)のシアノエチル基導入率は93
%であった。
ル テトラキス(ポリエチレングリコール)1,000
g(1.0モル)に水酸化カリウム0.40gを加え、
窒素ガス雰囲気下50℃まで昇温した後にアクリロニト
リル222.6g(4.20モル)を2時間かけて滴下
した。滴下が終わった後も50℃にて2時間保持して反
応を継続した。その後110℃まで昇温したのちに系内
を徐々に減圧し、圧力2.67kPa(20mmHg)
以下の状態を1時間保持し、未反応のアクリロニトリル
を除去した。その後濾過することでニトリル基含有化合
物(3)が得られた。反応前後における水酸基価の変化
から算出したニトリル基含有化合物(3)のシアノエチ
ル基導入率は92%であった。
リコール550g(1.0モル)に無水ホウ酸11.6
g(0.167モル)を加え、窒素ガス雰囲気下110
℃まで昇温した。110℃となったのちに系内を徐々に
減圧し、圧力2.67kPa(20mmHg)以下の状
態を3時間保持し、反応の進行に伴って発生する水を除
去した。その後濾過することでホウ酸エステル化合物
(4)が得られた。反応前の基質に対するホウ酸量およ
び水分量の変化から算出したホウ酸エステル化合物
(4)のホウ酸エステル化率は93%であった。
3.75gに対して、日本油脂(株)製ブレンマーPD
E−600(ポリエチレングリコール(600)ジメタ
クリレート)を1.25g混合し、支持塩としてLiT
FSIを3.48g添加し、均一に溶解させた後、テフ
ロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプ
レートにて110℃で熱重合させ、真空により乾燥する
ことで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
3.75gに対して、日本油脂(株)製ブレンマーPD
E−600(ポリエチレングリコール(600)ジメタ
クリレート)を1.25g混合し、支持塩としてLiT
FSIを3.01g添加し、均一に溶解させた後、テフ
ロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプ
レートにて110℃で熱重合させ、真空により乾燥する
ことで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
3.75gに対して、日本油脂(株)製ブレンマーPD
E−600(ポリエチレングリコール(600)ジメタ
クリレート)を1.25g混合し、支持塩としてLiT
FSIを2.97g添加し、均一に溶解させた後、テフ
ロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプ
レートにて110℃で熱重合させ、真空により乾燥する
ことで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
1.25gに対して、製造例2−1で得られたホウ酸エ
ステル化合物(4)2.50g、さらに日本油脂(株)
製ブレンマーPDE−600(ポリエチレングリコール
(600)ジメタクリレート)を1.25g混合し、支
持塩としてLiTFSIを3.45g添加し、均一に溶
解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰
囲気下、ホットプレートにて110℃で熱重合させ、真
空により乾燥することで厚さ0.50mmの二次電池用
電解質を得た。
3.75gに対して、日本油脂(株)製ブレンマーPD
E−600(ポリエチレングリコール(600)ジメタ
クリレート)を1.25g混合し、支持塩として過塩素
酸リチウムを1.11g添加し、均一に溶解させた後、
テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホッ
トプレートにて110℃で熱重合させ、真空により乾燥
することで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得
た。
1.25gに対して、製造例2−1で得られたホウ酸エ
ステル化合物(4)2.50g、さらに日本油脂(株)
製ブレンマーPDE−600(ポリエチレングリコール
(600)ジメタクリレート)を1.25g混合し、支
持塩として過塩素酸リチウムを1.27g添加し、均一
に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴ
ン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で熱重合さ
せ、真空により乾燥することで厚さ0.50mmの二次
電池用電解質を得た。
レングリコール(400)ジメタクリレート)4.00
gに、支持塩としてLiTFSIを2.19g添加し、
均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、ア
ルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で熱重合
させ、真空により乾燥することで厚さ0.50mmの二
次電池用電解質を得た。
(分子量4000)4.00gに、支持塩としてLiT
FSIを3.26g添加し、均一に溶解させた後、テフ
ロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプ
レートにより110℃で加熱し、真空により溶剤を揮発
させることで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得
た。
0,000、93/7重量部ランダム状共重合体)4.
00gをジメチルホルムアミド10.0gに溶解させ、
支持塩として過塩素酸リチウムを3.73g添加し、均
一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アル
ゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で加熱し、
真空により溶剤を揮発させることで厚さ0.50mmの
二次電池用電解質を得た。
ポリエチレングリコール(400)メタクリレート)
4.00gに、支持塩として過塩素酸リチウムを0.9
8g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に
流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて11
0℃で熱重合させ、真空により乾燥することで厚さ0.
50mmの二次電池用電解質を得た。
レングリコール(400)ジメタクリレート)4.00
gに、支持塩として過塩素酸リチウムを0.81g添加
し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込
み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で
熱重合させ、真空により乾燥することで厚さ0.50m
mの二次電池用電解質を得た。
エチルカーボネート(1/1)混合溶液、指示塩:過塩
素酸リチウム、指示塩濃度:1モル/リットル)を電解
液とした。
質のフィルム成形性およびイオン伝導度の評価を下記の
方法で行った。 (1)フィルム成形性 ○:何ら問題無くフィルムが得られる ×:硬化不良、もしくはフィルム形成不可能 (2)イオン伝導度 高分子電解質をステンレス電極に挟み込み、アルゴン雰
囲気下、温度を変化させ、各温度における交流複素イン
ピーダンス測定を行い、得られた複素平面上のプロット
(Cole−Coleプロット)のバルク抵抗成分の半
円の直径をイオン伝導度として求めた。
価を次の方法で行った。 実施例7 正極活物質としてマンガン酸リチウム粉末75重量部
と、バインダーポリマーとしてポリフッ化ビニリデン粉
末5重量部、導電材として炭素粉末20重量部を良く混
練し、銅箔上にホットプレス法にて厚さ0.10mm、
直径10mmの正極材料を得た。アルカリ金属イオン吸
蔵材として厚さ約0.08mm、直径10mmの金属リ
チウム箔を負極材料とした。実施例4の高分子電解質を
直径10mmに打ち抜き、前述の正極材料および負極材
料にて挟み込み、さらにステンレス電極にて挟み込んで
二次電池系を得た。得られた二次電池について、50℃
にて電流密度200mA/m2にて4.35Vまで充電
した後、電流密度220mA/m2にて3.50Vまで
放電する充放電を30サイクル繰り返し、各電池の1サ
イクル目、15サイクル目、30サイクル目、50サイ
クル目の正極1kg当たりの放電容量を求めた。 比較例7 比較例6の電解液を、厚さ0.50mmの多孔質ポリテ
トラフルオロエチレン製セパレータを挟み込んだ密閉型
セル内に充填し、前述の正極材料および負極材料にて挟
み込み、さらにステンレス電極にて挟み込んで二次電池
系を得た。実施例7と同様にして評価を行った。
組成を表1、ホウ酸エステル化合物の組成を表2、実施
例、比較例の電解質組成およびイオン性化合物の種類を
表3、フィルム成形性、25℃、50℃、80℃におけ
るイオン伝導度の評価結果を表4、充放電試験の評価結
果を表5に示す。
ル酸残基、EOはオキシエチレン基をそれぞれ示す。 *1:分子量200,000、93/7重量部ランダム
状共重合物
伝導性の両方を満足するものは得られていないのに対
し、本発明の高分子電解質では、良好なフィルム成形性
が得られ、かつ高いイオン伝導度が得られることが確か
められた。また本発明の高分子電解質を用いた二次電池
では、従来の電解液に比較して優れたサイクル特性を有
することが確認された。
電解質は、高いイオン伝導度が得られ、安全性に優れて
いるため電池等の電気化学デバイス用の材料として有用
であり、この電解質を用いた場合に、広い温度範囲に亘
って高いイオン伝導度を有し、サイクル特性および安全
性に優れた二次電池デバイスを得ることができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 イオン性化合物および有機高分子化合物
からなる二次電池用電解質において、有機高分子化合物
が式(1)で示されるニトリル基含有化合物を含有する
ことを特徴とする二次電池用電解質。 Z1−[(A1O)l−R1]a (1) (Z1は1〜6個の水酸基を持つ化合物の残基、A1Oは
炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以
上の混合物であり、R1はシアノエチル基、炭素数1〜
12の炭化水素基、水素原子から選ばれる基であり、少
なくとも一つはシアノエチル基であり、l=0〜60
0、a=1〜6であり、かつla=0〜600であ
る。) - 【請求項2】 有機高分子化合物が、式(2)で示され
る化合物をホウ酸または無水ホウ酸によりエステル化す
ることによって得られるホウ酸エステル化合物を含有す
ることを特徴とする請求項1記載の二次電池用電解質。 Z2−[(A2O)m−H]b (2) (Z2は1〜6個の水酸基を持つ化合物の残基、A2Oは
炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以
上の混合物であり、m=0〜600、b=1〜6であ
り、かつmb=0〜600である。) - 【請求項3】 有機高分子化合物が、式(3)で示され
る化合物の重合物を含有することを特徴とする請求項1
または請求項2記載の二次電池用電解質。 Z3−[(A3O)n−R2]c (3) (Z3は1〜4個の水酸基を持つ化合物の残基または水
酸基であり、A3Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン
基の1種または2種以上の混合物であり、n=0〜15
0、c=1〜4であり、かつnc=0〜300であり、
R2は水素原子または式(4)で示される基である。) 【化1】 (R3およびR4は水素原子またはメチル基である。) - 【請求項4】 イオン性化合物がアルカリ金属塩または
アルカリ土類金属塩であることを特徴とする請求項1、
請求項2または請求項3記載の二次電池用電解質。 - 【請求項5】 請求項1、請求項2、請求項3または請
求項4記載の二次電池用電解質を用いる二次電池。
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-
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- 2000-03-28 JP JP2000087754A patent/JP4783962B2/ja not_active Expired - Lifetime
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