JP4470250B2 - 二次電池用電解質および二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子電解質である二次電池用電解質およびその二次電池用電解質を用いた二次電池に関し、詳しくは高いイオン伝導度を示す電池等の電気化学デバイス用の材料として有用な高分子電解質である二次電池用電解質およびこの電解質を用いた二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子製品の高性能化、小型化に対する要求が強く、そのエネルギー源である電池材料に対しても、小型化、軽量化でかつ高容量、高エネルギー密度が求められ、種々の研究開発が行われている。
【0003】
近年そのような電子製品のエネルギー源としてリチウムイオン二次電池が用いられている。リチウムイオン二次電池は一般的に金属酸化物を正極、炭素材料等を負極に、そして極間にセパレータと電解液を挟んだ構造をしている。これは高エネルギー密度を有する二次電池であるが、電解液を使用するために、液漏れの問題から安全性に課題があり、さらに液漏れを防ぐために金属缶を外装として用いる必要があるため、軽量化が困難となっている。
電解液を用いた場合の欠点を克服するために、高分子化合物を電解質に使用したいわゆる高分子電解質が種々検討されている。高分子電解質は可堯性を有し、機械的衝撃にも追従し、さらに電極−電解質間でのイオン電子交換反応に際して生じる電極の体積変化にも追従し得る特徴を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような高分子電解質としては、USP4303748号明細書ではポリアルキレンオキシドにアルカリ金属塩またはアルカリ金属塩を溶解した固体電解質が提案されているが、イオン伝導度が不十分で、さらに極材との接触抵抗が高いといった課題が残されている。このようにイオン伝導度が不十分であった場合には、充電および放電時の電流密度が充分に得られず、大電流を必要とする用途には適用できず、用途が限定されてしまう。
これに対して、有機高分子化合物に非水系有機溶媒を含浸させた、いわゆるゲル電解質と呼ばれる系が、特公昭61−23945号公報、特公昭61−23947号公報、USP4830939号明細書およびUSP5429891号明細書において提案されている。このようなゲル電解質においては、電解液がマトリクスとなる高分子化合物に包含された形となって、イオン伝導性を担っている。しかしながら電解液の保持性が温度変化によって失われあるいは低下する問題がある。さらに、高いイオン伝導度を得るためには、より多くの電解液を高分子化合物に含浸させる必要があるが、そのような場合には前記の電解液保持性の低下やひいては液漏れ発生の可能性が懸念される。
本発明は、高いイオン伝導度を示し、安全性に優れた二次電池等の電気化学デバイス用の材料として有用な高分子電解質である二次電池用電解質およびこの電解質を用いたサイクル特性に優れた二次電池を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
(ア)イオン性化合物および有機高分子化合物からなる二次電池用電解質において、有機高分子化合物が、式(1)で示される化合物をホウ酸または無水ホウ酸によりエステル化することによって得られるホウ酸エステル化合物を含有することを特徴とする二次電池用電解質であり、
Z1−[(A1O)l−H]a (1)
(Z1は1〜6個の水酸基を持つ化合物の残基、A1Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物であり、l=0〜600、a=1〜6であり、かつla=0〜600である。)
【0006】
(イ)有機高分子化合物が、ホウ酸エステル化合物および式(2)で示される化合物の重合物からなる(ア)記載の二次電池用電解質であり、
Z2−[(A2O)m−R1]b (2)
(Z2は1〜4個の水酸基を持つ化合物の残基または水酸基であり、A2Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物であり、m=0〜150、b=1〜4であり、かつmb=0〜300であり、R1は水素原子または式(3)で示される基である。)
【0007】
【化2】
【0008】
(R2およびR3は水素原子またはメチル基である。)
【0009】
(ウ)有機高分子化合物が、ホウ酸エステル化合物および式(4)で示される化合物からなる(ア)記載の二次電池用電解質であり、
Z3−[(A3O)n−H]c (4)
(Z3は1〜6個の水酸基を持つ化合物の残基、A3Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物であり、n=100〜150,000、c=1〜6であり、かつnc=100〜150,000である。)
【0010】
(エ)イオン性化合物がアルカリ金属塩であることを特徴とする(ア)、(イ)または(ウ)記載の二次電池用電解質であり、
【0011】
(オ)(ア)、(イ)、(ウ)または(エ)記載の二次電池用電解質を用いることを特徴とする二次電池である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるホウ酸エステル化合物の基質となる式(1)で示される化合物において、Z1は1〜6個の水酸基を持つ化合物の残基である。
1〜6個の水酸基を持つ化合物としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、イソオクチルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、オクタデセニルアルコール、イコシルアルコール、テトライコシルアルコール等のモノオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール等のジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等のテトラオールなどが挙げられ、好ましくは炭素数1〜24の化合物であり、より好ましくは炭素数1〜5の1〜4個の水酸基を有する化合物である。
【0013】
A1Oで示される炭素数2〜4のオキシアルキレン基は、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられ、好ましくはオキシエチレン基またはオキシプロピレン基である。またこれらの1種または2種以上の混合物でもよく、2種以上の時の重合形式はブロック状、ランダム状のいずれでもよい。
lは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、0〜600、好ましくは0〜100である。600を越えるとホウ酸エステル結合の導入量が少なくなり、高いイオン伝導度が得られにくくなる。
aは1〜6であり、好ましくは1〜4である。
laは0〜600であり、好ましくは0〜100である。600を越えるとホウ酸エステル結合の導入量が少なくなり、高いイオン伝導度が得られにくくなる。
【0014】
本発明に用いられるホウ酸エステルの基質となる式(1)で示される化合物は、従来から知られている開環重合により得ることができる。例えば、1〜6個の水酸基を持つ化合物に、従来から知られている水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属塩、三フッ化ホウ素エーテラート、四塩化錫、三塩化アルミニウム等のルイス酸等の開環重合触媒を用いて、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの炭素数2〜4のアルキレンオキシドを所定のモル比で重合させることで合成することができる。
【0015】
本発明に用いられるホウ酸エステル化合物は、式(1)で示される化合物にオルトホウ酸、メタホウ酸、ピロホウ酸などのホウ酸または無水ホウ酸を加え、50〜200℃にて不活性ガス通気下で真空による脱水反応することで得られる。例えば反応温度60〜120℃、10〜50mmHgの真空下において、窒素ガスを適当量通気しつつ、撹拌しながら2〜12時間脱水反応することでホウ酸エステル化合物が生成する。
【0016】
式(1)で示される化合物の水酸基1モルに対して、ホウ素原子1/3モルの比率において、ポリアルキレンオキシドホウ酸トリエステルが生成する。
ホウ酸エステル化の割合は、水酸基とホウ素原子のモル比率によって任意に調整可能であるが、式(1)で示される化合物の水酸基とホウ素原子のモル比率は、好ましくは6/1〜3/1の範囲である。また、式(1)で示される化合物が2つ以上の水酸基を含む場合には、ホウ酸エステル化の進行に伴って網目状ポリマーの形成が起こり得るため、反応系の流動性を保持するためにエステル化反応に関わらない溶剤を適宜用いることが望ましい。
有機高分子化合物中のホウ酸エステル化合物の含有量は10〜95重量部用いることが好ましく、20〜80重量部用いることがより好ましい。
【0017】
本発明に用いられるホウ酸エステル化合物は、高分子電解質としての特徴である可堯性の付与の目的から、式(2)で示される化合物の重合物をマトリクスとした混合系で用いることが好ましい。
【0018】
本発明に用いられる、式(2)で示される化合物において、Z2は1〜4個の水酸基を持つ化合物の残基または水酸基である。
1〜4個の水酸基を持つ化合物としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、イソオクチルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、オクタデセニルアルコール、イコシルアルコール、テトライコシルアルコール等のモノオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール等のジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等のテトラオール、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の重合性基含有化合物などが挙げられる。Z2としては好ましくは水酸基、メチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、アクリル酸およびメタクリル酸の残基であり、より好ましくは水酸基、もしくはメチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、アクリル酸およびメタクリル酸の残基である。
【0019】
A2Oで示される炭素数2〜4のオキシアルキレン基は、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられ、好ましくはオキシエチレン基またはオキシプロピレン基である。またこれらの1種または2種以上の混合物でもよく、2種以上の時の重合形式はブロック状、ランダム状のいずれでもよい。
mは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、0〜150であり、イオン伝導度を得る目的から好ましくは5〜100である。150を越えると重合性基の導入量が少なく、マトリクスとしての機械的強度が得られにくくなる。
bは1〜4であり、好ましくは1〜3である。
mbは0〜300であり、好ましくは0〜150である。300を越えると式(3)で示される重合性基の導入量が少なく、マトリクスとしての機械的強度が得られにくくなる。
【0020】
R1は水素原子または式(3)で示される基である。R1が2個以上ある場合、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
式(3)で示される基においてR2およびR3は水素原子またはメチル基である。R2およびR3が水素原子であるアクリロイル基またはR2が水素原子、R3がメチル基であるメタクリロイル基が好ましい。
式(2)で示される化合物の重合物とは、式(3)で示される重合性基により重合される重合物である。式(2)は少なくとも1つの重合性基をもつ。具体的にはZ2がアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の重合性基含有化合物の残基でない場合、R1の少なくとも1つは式(3)で示される重合性基をもつ。
【0021】
本発明に用いられる式(2)で示される化合物は、アルキレンオキシド誘導体への重合性基を有する有機酸によるエステル化、もしくは重合性基を有する有機酸へのアルキレンオキシドの開環重合で得ることができる。例えば、アルキレンオキシド誘導体に、従来から知られているエステル化触媒を用いて、重合性基を有する有機酸を所定のモル比で反応させることで得ることができ、あるいは重合性基を有する有機酸に、従来から知られている開環重合触媒を用いて、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキシドを所定のモル比で重合させることで得られる。
式(2)で示される化合物は、1種または2種以上を混合して使用することができる。
ホウ酸エステル化合物と式(2)で示される化合物との混合割合は、高分子電解質としての可尭性の付与と高いイオン伝導度を得る目的から、好ましくは重量比で10/90〜95/5であり、より好ましくは20/80〜80/20である。
【0022】
本発明に用いられる式(2)で示される化合物は、これに含まれる重合性基を重合させた形で使用する。重合は、加熱、紫外線、可視光、電子線などのエネルギーによってなされるが、適宜、既に知られている重合開始剤を使用しても良い。重合後の数平均分子量は50,000〜10,000,000であるのが好ましく、50,000を下回ると高分子電解質としての特徴である可堯性の発現が得られにくく、10,000,000を上回るとイオン伝導の障害となる可能性もある。
【0023】
本発明に用いられるホウ酸エステル化合物は、高分子電解質としての特徴である可堯性の付与の目的から、式(4)で示される化合物をマトリクスとした混合系で用いるのが好ましい。
【0024】
本発明に用いられる式(4)で示される化合物において、Z3は1〜6個の水酸基を持つ化合物の残基である。
1〜6個の水酸基を持つ化合物としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、イソオクチルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、オクタデセニルアルコール、イコシルアルコール、テトライコシルアルコール等のモノオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール等のジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等のテトラオールなどが挙げられ、好ましくは炭素数1〜24の化合物であり、より好ましくは炭素数1〜4の化合物である。
【0025】
A3Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられ、好ましくはオキシエチレン基またはオキシプロピレン基である。またこれらの1種または2種以上の混合物でもよく、2種以上の時の重合形式はブロック状、ランダム状のいずれでもよい。
nは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、100〜150,000であり、好ましくは200〜120,000である。100より小さいと、イオン性化合物を配合した際に流動性が発現してマトリクスとしての効果が得られにくく、150,000を越えるとホウ酸エステル化合物や電解質フィルムを作成する際に用いる溶剤への溶解性が不十分であり好ましくない。
cは1〜6であり、好ましくは1〜4である。
ncは100〜150,000であり、好ましくは200〜120,000である。100より小さいと、イオン性化合物を配合した際に流動性が発現してマトリクスとしての効果が得られにくく、150,000を越えるとホウ酸エステル化合物や電解質フィルムを作成する際に用いる溶剤への溶解性が不十分であり好ましくない。
ホウ酸エステル化合物と式(4)で示される化合物との混合割合は、高分子電解質としての可尭性の付与と高いイオン伝導度を得る目的から、好ましくは重量比で10/90〜95/5であり、より好ましくは20/80〜80/20である。
【0026】
本発明に用いられる式(4)で示される化合物は、従来から知られている開環重合により得ることができる。例えば、活性水素含有化合物に従来から知られている開環重合触媒を用いて、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキシドを所定のモル比で重合させることで合成することができる。
【0027】
本発明に用いられるイオン性化合物は、本発明に用いられる有機高分子化合物に対して任意の比率で混合することができる。本発明に用いられるイオン性化合物に含まれるアルカリ金属1モルに対して、本発明に用いられる有機高分子化合物に含まれるオキシアルキレン単位の総数2〜30モルの比率となるように混合するのが好ましく、アルカリ金属1モルに対してオキシアルキレン単位の総数2〜15モルの比率となるように混合するのが、有機高分子化合物のガラス転移温度低下によるイオン伝導度への寄与の点から、より好ましい。
イオン性化合物としては、例えばLiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、Li(CF3SO2)3C、LiI、LiSCN、NaBr、NaI、NaSCN、KI、KSCNなどのアルカリ金属塩が挙げられ、好ましくはLiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、Li(CF3SO2)3C、LiI、LiSCN等のリチウム塩である。
【0028】
さらに本発明の高分子電解質には、イオン伝導性または強誘電性の塩、ガラスの粉末などを添加することができる。このような塩またはガラスの粉末としては、例えばSnO2、BaTiO3、Al2O3、Li2O・3B2O3、LaTiO3などが挙げられる。
【0029】
本発明の高分子電解質は、種々の方法で調製可能である。その調製方法は特に限定されないが、例えば、本発明に用いられるホウ酸エステル化合物は、多くの低沸点有機溶剤に溶解するため、ホウ酸エステル化合物、イオン性化合物および重合性有機化合物を低沸点溶剤に溶解して溶液を調製し、これをキャスティングして低沸点溶剤を除去しつつ重合性有機化合物を熱重合させることで、力学的強度を有する高分子電解質薄膜を得ることができる。なお必要に応じて、紫外線、可視光、電子線等の電磁波を照射することで重合性有機化合物の重合による薄膜を得ることもできる。また、例えば、本発明のホウ酸エステル化合物、イオン性化合物および高分子化合物を低沸点溶剤に溶解して溶液に調整し、これをキャスティングして低沸点溶剤を除去することで、高分子電解質薄膜を得ることができる。
有機高分子化合物は本発明の効果を妨げなければ、他の有機高分子化合物を混合して使用しても問題ない。他の有機高分子化合物としては、例えばポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−スチレン−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。
【0030】
例えば、前記の溶液に可塑剤となり得る有機溶剤を添加して溶液を調製し、これをキャスティングすることによって低沸点溶剤の除去および重合性有機化合物の熱重合によって、高分子ゲル電解質薄膜を得ることができる。さらに本発明のホウ酸エステル化合物と重合性有機化合物を低沸点溶剤に溶解して溶液を調製し、これをキャスティングして低沸点溶剤を除去しつつ重合性有機化合物を熱重合させることで得た高分子固体薄膜に、イオン性化合物を溶解した有機溶剤を含浸させることで高分子ゲル電解質薄膜を得ることもできる。なお必要に応じて、紫外線、可視光、電子線等の電磁波を照射することで重合性有機化合物の重合による薄膜を得ることもできる。
【0031】
本発明の高分子電解質と、従来から知られている正極材料および負極材料を組み合わせることで、イオン伝導度、充放電サイクル特性および安全性に優れた二次電池を得ることが可能である。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
なお、以下文中においてLiTFSIはリチウムビス(トリフルオロメタンスルホネート)イミドを示す。
また、比較例3を除く各実施例および各比較例において、ホウ酸エステル化合物、式(2)または式(4)で示される化合物に含まれるオキシアルキレン単位8モルに対して、イオン性化合物に含まれるアルカリ金属が1モルの比率となるように調整した。
【0033】
製造例1
出発物質として分子量550のメトキシポリエチレングリコール550g(1.0モル)に無水ホウ酸11.6g(0.167モル)を加え、窒素ガス雰囲気下110℃まで昇温した。110℃となったのちに系内を徐々に減圧し、圧力20mmHg以下の状態を3時間保持し、反応の進行に伴って発生する水を除去した。その後濾過することでホウ酸エステル化合物(1)が得られた。
【0034】
製造例2
出発物質として分子量600のポリエチレングリコール600g(1.0モル)に反応溶剤としてトルエン600mlを加えた後に、無水ホウ酸23.2g(0.333モル)を加え、窒素ガス雰囲気下110℃まで昇温した。なお反応系には還流管および水分離管を取り付け、揮発するトルエンの還流および発生する水がトルエンとの比重差によって分離できるようにした。110℃となったのちに系内を徐々に減圧し、圧力20mmHg以下の状態を3時間保持し、反応の進行に伴って発生する水を除去した。得られたホウ酸エステル化合物のトルエン溶液を濾過し、ステンレスボートに溶液を入れ、このステンレスボートを真空乾燥機中にて120℃、10mmHg以下の条件で12時間保持することでトルエンを留去し、ホウ酸エステル化合物(2)が得られた。
【0035】
製造例3
出発物質として分子量750のトリスポリエチレングリコールグリセロールエーテル750g(1.0モル)に反応溶剤としてトルエン600mlを加えた後に、無水ホウ酸34.8g(0.5モル)を加え、窒素ガス雰囲気下110℃まで昇温した。なお反応系には還流管および水分離管を取り付け、揮発するトルエンの還流および発生する水がトルエンとの比重差によって分離できるようにした。110℃となったのちに系内を徐々に減圧し、圧力20mmHg以下の状態を3時間保持し、反応の進行に伴って発生する水を除去した。得られたホウ酸エステル化合物のトルエン溶液を濾過し、ステンレスボートに溶液を入れ、このステンレスボートを真空乾燥機中にて120℃、10mmHg以下の条件で12時間保持することでトルエンを留去し、ホウ酸エステル化合物(3)が得られた。
【0036】
製造例4
出発物質として分子量1000のテトラキスポリエチレングリコールペンタエリスリトールエーテル1000g(1.0モル)に反応溶剤としてトルエン600mlを加えた後に、無水ホウ酸46.4g(0.67モル)を加え、窒素ガス雰囲気下110℃まで昇温した。なお反応系には還流管および水分離管を取り付け、揮発するトルエンの還流および発生する水がトルエンとの比重差によって分離できるようにした。110℃となったのちに系内を徐々に減圧し、圧力20mmHg以下の状態を3時間保持し、反応の進行に伴って発生する水を除去した。得られたホウ酸エステル化合物のトルエン溶液を濾過し、ステンレスボートに溶液を入れ、このステンレスボートを真空乾燥機中にて120℃、10mmHg以下の条件で12時間保持することでトルエンを留去し、ホウ酸エステル化合物(4)が得られた。
【0037】
製造例5
出発物質として分子量4000のメトキシポリエチレングリコール600g(0.15モル)に、無水ホウ酸1.74g(0.025モル)を加え、窒素ガス雰囲気下110℃まで昇温した。110℃となったのちに系内を徐々に減圧し、圧力20mmHg以下の状態を3時間保持し、反応の進行に伴って発生する水を除去した。その後濾過することでホウ酸エステル化合物(5)が得られた。
【0038】
製造例6
出発物質として分子量4000のメトキシポリエチレン−プロピレングリコール(エチレンオキシド/プロピレンオキシド=50/50重量比)600g(0.15モル)に、無水ホウ酸1.74g(0.025モル)を加え、窒素ガス雰囲気下110℃まで昇温した。110℃となったのちに系内を徐々に減圧し、圧力20mmHg以下の状態を3時間保持し、反応の進行に伴って発生する水を除去した。その後濾過することでホウ酸エステル化合物(6)が得られた。
【0039】
実施例1
製造例1で得られたホウ酸エステル化合物(1)3.00gに対して、日本油脂(株)製ブレンマーPE−350(ポリエチレングリコール(350)モノメタクリレート)を2.00g混合し、支持塩としてLiTFSIを3.98g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で熱重合させ、真空により乾燥することで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0040】
実施例2
製造例1で得られたホウ酸エステル化合物(1)3.00gに対して、日本油脂(株)製ブレンマーPDE−600(ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート)を2.00g混合し、支持塩としてLiTFSIを3.59g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で熱重合させ、真空により乾燥することで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0041】
実施例3
製造例1で得られたホウ酸エステル化合物(1)2.00gに対して、日本油脂(株)製ブレンマーPME−400(メトキシポリエチレングリコール(400)メタクリレート)を3.00g混合し、支持塩としてLiTFSIを3.98g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で熱重合させ、真空により乾燥することで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0042】
実施例4
製造例1で得られたホウ酸エステル化合物(1)3.50gに対して、日本油脂(株)製ブレンマーPDE−600(ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート)を0.75g、日本油脂(株)製ブレンマーPME−4000(メトキシポリエチレングリコール(4000)メタクリレート)を0.75g混合し、支持塩としてLiTFSIを3.21g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で熱重合させ、真空により乾燥することで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0043】
実施例5
製造例1で得られたホウ酸エステル化合物(1)3.00gに対して、日本油脂(株)製ブレンマーPDE−600(ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート)を1.00g、日本油脂(株)製ブレンマーPME−4000(メトキシポリエチレングリコール(4000)メタクリレート)を1.00g混合し、支持塩としてLiTFSIを3.77g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で熱重合させ、真空により乾燥することで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0044】
実施例6
製造例1で得られたホウ酸エステル化合物(1)3.00gに対して、日本油脂(株)製ブレンマーPE−350(ポリエチレングリコール(350)モノメタクリレート)を2.00g混合し、支持塩として過塩素酸リチウムを1.35g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で熱重合させ、真空により乾燥することで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0045】
実施例7
製造例1で得られたホウ酸エステル化合物(1)3.00gに対して、日本油脂(株)製ブレンマーPDE−600(ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート)を2.00g混合し、支持塩として過塩素酸リチウムを1.33g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で熱重合させ、真空により乾燥することで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0046】
実施例8
製造例1で得られたホウ酸エステル化合物(1)3.00gに対して、日本油脂(株)製ブレンマーPME−400(メトキシポリエチレングリコール(400)メタクリレート)を2.00g混合し、支持塩として過塩素酸リチウムを1.36g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で熱重合させ、真空により乾燥することで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0047】
実施例9
製造例1で得られたホウ酸エステル化合物(1)3.00gに対して、日本油脂(株)製ブレンマーPDE−600(ポリエチレングリコール(600)モノメタクリレート)を1.00g、日本油脂(株)製ブレンマーPME−4000(メトキシポリエチレングリコール(4000)メタクリレート)を1.00g混合し、支持塩として過塩素酸リチウムを1.40g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で熱重合させ、真空により乾燥することで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0048】
実施例10
製造例1で得られたホウ酸エステル化合物(1)2.00gに対して、和光純薬(株)製ポリエチレンオキシド(500,000)を2.00g混合し、アセトニトリル10.0gに加えて溶液として、支持塩として過塩素酸リチウムを1.21g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で加熱し、真空により溶剤を揮発させることで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0049】
実施例11
製造例1で得られたホウ酸エステル化合物(1)1.50gに対して、和光純薬(株)製ポリエチレンオキシド(500,000)を3.00g混合し、アセトニトリル15.0gに加えて溶液として、支持塩として過塩素酸リチウムを1.36g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で加熱し、真空により溶剤を揮発させることで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0050】
実施例12
製造例2で得られたホウ酸エステル化合物(2)2.00gに対して、和光純薬(株)製ポリエチレンオキシド(500,000)を2.00g混合し、アセトニトリル10.0gに加えて溶液として、支持塩として過塩素酸リチウムを1.21g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で加熱し、真空により溶剤を揮発させることで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0051】
実施例13
製造例3で得られたホウ酸エステル化合物(3)2.00gに対して、和光純薬(株)製ポリエチレンオキシド(500,000)を2.00g混合し、アセトニトリル10.0gに加えて溶液として、支持塩として過塩素酸リチウムを1.13g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で加熱し、真空により溶剤を揮発させることで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0052】
実施例14
製造例4で得られたホウ酸エステル化合物(4)2.00gに対して、和光純薬(株)製ポリエチレンオキシド(500,000)を2.00g混合し、アセトニトリル10.0gに加えて溶液として、支持塩として過塩素酸リチウムを0.61g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で加熱し、真空により溶剤を揮発させることで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0053】
実施例15
製造例5で得られたホウ酸エステル化合物(5)2.00gに対して、和光純薬(株)製ポリエチレンオキシド(500,000)を2.00g混合し、アセトニトリル10.0gに加えて溶液として、支持塩として過塩素酸リチウムを1.21g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で加熱し、真空により溶剤を揮発させることで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0054】
実施例16
製造例6で得られたホウ酸エステル化合物(6)2.00gに対して、和光純薬(株)製ポリエチレンオキシド(500,000)を2.00g混合し、アセトニトリル10.0gに加えて溶液として、支持塩として過塩素酸リチウムを1.21g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で加熱し、真空により溶剤を揮発させることで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0055】
比較例1
日本油脂(株)製ブレンマーPDE−400(ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート)4.00gに、支持塩としてLiTFSIを2.19g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で熱重合させ、真空により乾燥することで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0056】
比較例2
日本油脂(株)製ポリエチレングリコール#4000(分子量4000)4.00gに、支持塩としてLiTFSIを3.26g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにより110℃で加熱し、真空により溶剤を揮発させることで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0057】
比較例3
ポリ(アクリロニトリル/メタクリル酸=93/7重量部)(分子量200000、ランダム状共重合体)4.00gをジメチルホルムアミド10.0gに溶解させ、支持塩として過塩素酸リチウムを3.73g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で加熱し、真空により溶剤を揮発させることで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0058】
比較例4
日本油脂(株)製ブレンマーPME−400(メトキシポリエチレングリコール(400)メタクリレート)4.00gに、支持塩として過塩素酸リチウムを0.98g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で熱重合させ、真空により乾燥することで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0059】
比較例5
日本油脂(株)製ブレンマーPDE−400(ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート)4.00gに、支持塩として過塩素酸リチウムを0.81g添加し、均一に溶解させた後、テフロンボート中に流し込み、アルゴン雰囲気下、ホットプレートにて110℃で熱重合させ、真空により乾燥することで厚さ0.50mmの二次電池用電解質を得た。
【0060】
実施例および比較例で得られた高分子電解質のフィルム成形性およびイオン伝導度の評価を下記の方法で行った。
(1)フィルム成形性
○:何ら問題無くフィルムが得られる
×:硬化不良、もしくはフィルム形成不可能
(2)イオン伝導度
高分子電解質をステンレス電極に挟み込み、アルゴン雰囲気下、温度を変化させ、各温度における交流複素インピーダンス測定を行い、得られた複素平面上のプロット(Cole−Coleプロット)のバルク抵抗成分の半円の直径をイオン伝導度として求めた。
【0061】
製造例で得られたホウ酸エステル化合物の組成を表1、実施例および比較例のホウ酸エステル化合物および有機高分子化合物の組成およびイオン性化合物の種類を表2、フィルム成形性、25℃、50℃および80℃におけるイオン伝導度の評価結果を表3に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
※[ / ]はランダム状付加を示す。
【0064】
【表2】
【0065】
※ MAAはメタクリル酸もしくはメタクリル酸残基、EOはオキシエチレン基をそれぞれ示す。
*1:分子量200000、ランダム状共重合物
【0066】
【表3】
【0067】
比較例においてはフィルム成形性とイオン伝導性の両方を満足するものは得られていないのに対し、本発明の高分子電解質では、良好なフィルム成形性が得られ、かつ高いイオン伝導度が得られることが確かめられた。
【0068】
実施例17
本発明の二次電池用電解質を用いた二次電池を作製し、充放電試験の評価を次の方法で行った。
正極活物質としてLiMn2O4粉末75重量部と、バインダーポリマーとしてポリフッ化ビニリデン粉末5重量部、導電材として炭素粉末20重量部を良く混練し、アルミ箔上にホットプレス法にて厚さ0.10mm、直径10mmの正極材料を得た。アルカリ金属イオン吸蔵材として厚さ約0.08mm、直径10mmの金属リチウム箔を負極材料とした。実施例4の二次電池用電解質を直径10mmに打ち抜き、前述の正極材料および負極材料にて挟み込み、さらにステンレス電極にて挟み込んで二次電池を得た。
【0069】
比較例6
LIPASTE EDEC(富山薬品(株)製、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート(1/1体積比)混合溶液、指示塩:過塩素酸リチウム、指示塩濃度:1モル/リットル)を電解液とした。
上記の電解液を、厚さ0.50mmの多孔質ポリテトラフルオロエチレン製セパレータを挟み込んだ密閉型セル内に充填し、前述の正極材料および負極材料にて挟み込み、さらにステンレス電極にて挟み込んで二次電池を得た。
【0070】
各二次電池について、50℃にて電流密度155mA/m2にて4.35Vまで充電した後、電流密度155mA/m2にて3.50Vまで放電する充放電を30サイクル繰り返し、各電池の1サイクル目、15サイクル目、30サイクル目の正極1kg当たりの放電容量を求めた。
充放電試験の評価結果を表4に示す。
【0071】
【表4】
【0072】
本発明の高分子電解質を用いた二次電池では、初期の放電容量は、極材との界面抵抗成分のために若干劣るものの、比較例6は液体であり、サイクルに伴う容量低下が著しいのに対して、優れたサイクル特性を有することが確認された。
【0073】
【発明の効果】
本発明の高分子電解質である二次電池用電解質は、高いイオン伝導度が得られ、安全性に優れているため電池等の電気化学デバイス用の材料として有用であり、この電解質を用いた場合に、広い温度範囲に亘って高いイオン伝導度を有し、サイクル特性および安全性に優れた二次電池デバイスを得ることができる。
Claims (5)
- イオン性化合物および有機高分子化合物からなる二次電池用電解質において、有機高分子化合物が、式(1)で示される化合物をホウ酸または無水ホウ酸によりエステル化することによって得られるホウ酸エステル化合物を含有することを特徴とする二次電池用電解質。
Z1−[(A1O)l−H]a (1)
(Z1は1〜6個の水酸基を持つ化合物の残基、A1Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物であり、l=0〜600、a=1〜6であり、かつla=0〜600である。) - 有機高分子化合物が、ホウ酸エステル化合物および式(4)で示される化合物からなる請求項1記載の二次電池用電解質。
Z3−[(A3O)n−H]c (4)
(Z3は1〜6個の水酸基を持つ化合物の残基、A3Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物であり、n=100〜150,000、c=1〜6であり、かつnc=100〜150,000である。) - イオン性化合物がアルカリ金属塩であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の二次電池用電解質。
- 請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の二次電池用電解質を用いることを特徴とする二次電池。
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