JP2001261579A - 脂溶性ビタミン可溶化液 - Google Patents

脂溶性ビタミン可溶化液

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JP2001261579A JP2000070842A JP2000070842A JP2001261579A JP 2001261579 A JP2001261579 A JP 2001261579A JP 2000070842 A JP2000070842 A JP 2000070842A JP 2000070842 A JP2000070842 A JP 2000070842A JP 2001261579 A JP2001261579 A JP 2001261579A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オレフィン系重合体製容器に充填して加熱滅
菌処理しても、更に長期保存しても、オレフィン系重合
体製容器への脂溶性ビタミンの吸着が生じず、脂溶性ビ
タミンの液中濃度を容器への充填前と同様の濃度に保て
る脂溶性ビタミン可溶化液、及び該脂溶性ビタミン可溶
化液をオレフィン系重合体製容器に収容した製品の提
供。 【解決手段】 界面活性剤としてポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル類を含有し、安定化剤として糖
アルコール及びグリセリンから選ばれる少なくとも1種
を含有する、オレフィン系重合体よりなる内面を有する
容器に収容して用いるための脂溶性ビタミン可溶化液、
並びに前記脂溶性ビタミン可溶化液をオレフィン系重合
体よりなる内面を有する容器に収容した脂溶性ビタミン
可溶化液入り容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静脈栄養法などに
用いる脂溶性ビタミン可溶化液、および該脂溶性ビタミ
ン可溶化液をオレフィン系重合体製の容器に収容してな
る脂溶性ビタミン可溶化液入り容器に関する。より詳細
には、本発明は、脂溶性ビタミン可溶化液をオレフィン
系重合体製の容器に収容して高温で加熱滅菌処理して
も、さらに長期保存しても、オレフィン系重合体製容器
への脂溶性ビタミンの吸着が防止されて、脂溶性ビタミ
ンの液中濃度を充填当初とぼほ同様の濃度に保つことの
できる脂溶性ビタミン可溶化液、およびそれをオレフィ
ン系重合体製容器に収容してなる脂溶性ビタミン可溶化
液入り容器に関する。
【0002】
【従来の技術】静脈栄養法や経腸栄養法による患者の栄
養管理はすでに日常医療の一部となっている。特に、経
口摂取が困難な患者に対する栄養管理は、高カロリー輸
液を非経口で投与する完全静脈栄養法(TPN)により
行われている。TPNでは栄養補給のすべてを輸液で行
うため、栄養素の種類および量に細心の注意が払われ
る。TPNを行う場合、TPNによる栄養管理の期間が
長くなると、微量元素やビタミンの欠乏が生じて、種々
のトラブルが起き易くなり、特にビタミンは必須の栄養
素であることから、他の栄養成分との併給が不可欠であ
る。しかしながら、ビタミンは不安定であるため、従来
から取り扱いが苦慮されていた。
【0003】ビタミンは、水溶性ビタミンと脂溶性ビタ
ミンに大別される。脂溶性ビタミンはそれ自体では水に
不溶性であるため、静脈投与を行う場合は、水に可溶化
して用いる必要がある。脂溶性ビタミンの水溶性化のた
めには一般に界面活性剤が用いられており、静脈投与で
使用できる界面活性剤としては、ソルビタン酸脂肪酸エ
ステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオ
キシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシ
エチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体類など
が挙げられる。これらのうち、ポリオキシエチレン硬化
ヒマシ油を使用して水溶性化した脂溶性ビタミンや他の
脂溶性薬物を静脈投与すると、アラフィラキシー型のシ
ョック症状を起こす疑いがあるため、脂溶性ビタミンの
水溶性化に当たってはポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル類が用いられる傾向にある。
【0004】ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エス
テル類よりなる界面活性剤を用いて水溶性化した脂溶性
ビタミン製剤を取り扱う場合、通常、ガラス製のアンプ
ルやバイアルなどのようなガラス製容器に封入して用い
られている。しかしながら、ガラス製容器は、取り扱い
時に破損を生じ易く、破損によって怪我をしたり、微細
な破片を生じ、安全性の点で問題がある。しかも、ガラ
ス製容器から輸液用バッグに混注する場合に、シリンジ
に移して混注するなどの操作が必要であり、そのため使
用時の操作が繁雑であり、さらにはクロスコンタミネー
ションの危険がある。また、ガラス製容器は重く、かか
る点からも取り扱い性に劣っている。
【0005】上記した点から、脂溶性ビタミン可溶化液
を、ガラス製容器の代わりに、軽量で、破損を生じず、
取り扱い性に優れるプラスチック製の容器に封入した容
器入り脂溶性ビタミン可溶化液の開発が望まれている。
プラスチックのうちでも、特にポリプロピレンやポリエ
チレンなどのオレフィン系重合体は、人体に有害な成分
を含まず安全性に優れ、化学的にも安定で耐薬品性に優
れ、さらに強度、透明性、ヒートシール性、連通口(ポ
ート)などの部材の接合性に優れ、しかも安価であるこ
とから、医療用容器として汎用されている。しかしなが
ら、界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル類を使用してなる脂溶性ビタミン可溶化液
をオレフィン系重合体製の容器に封入し、加熱滅菌処理
して長期保存すると、脂溶性ビタミンが滅菌処理時およ
び保存時にオレフィン系重合体に吸着されてしまい、液
中での脂溶性ビタミンの含有量が著しく低下するという
問題があった。そのため、脂溶性ビタミン可溶化液をオ
レフィン系重合体製の容器に封入することは従来困難で
あった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、界面
活性剤としてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エス
テル類を使用してなる脂溶性ビタミン可溶化液をオレフ
ィン系重合体製の容器に収容しても、容器に封入した脂
溶性ビタミン可溶化液の加熱滅菌処理時および保存中
に、液中の脂溶性ビタミンが容器に吸着されずに、製造
当初、特に滅菌処理前と同様の高い液中濃度を維持する
ことのできる脂溶性ビタミン可溶化液を提供することで
ある。そして、本発明の目的は、高温で加熱滅菌処理し
ても、さらに長期保存しても、液中の脂溶性ビタミンが
オレフィン系重合体製容器に吸着されず、製造当初、特
に滅菌処理前と同様の濃度を保つことのできる、脂溶性
ビタミン可溶化液入りのオレフィン系重合体製容器を提
供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らが前記目的を
達成すべく鋭意検討を重ねた結果、界面活性剤としてポ
リオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類を使用し
てなる脂溶性ビタミン可溶化液において、安定化剤とし
て糖アルコールおよびグリセリンから選ばれる少なくと
も1種を含有させると、その脂溶性ビタミン可溶化液を
オレフィン系重合体よりなる内面を有する容器に収容し
て高温で加熱滅菌処理しても、更には長期保存した後で
も、液中の脂溶性ビタミンが容器内面を形成するオレフ
ィン系重合体に吸着されず、当初(加熱滅菌処理前)と
同様の濃度を保ちながら液中に安定に存在し得ることを
見出して本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、 (1) 界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステル類を含有し、安定化剤として糖アルコ
ールおよびグリセリンから選ばれる少なくとも1種を含
有することを特徴とする、オレフィン系重合体よりなる
内面を有する容器に収容して用いるための脂溶性ビタミ
ン可溶化液である。
【0009】そして、本発明は、 (2) 前記界面活性剤の配合量が、脂溶性ビタミン1
重量部に対して2〜12重量部であり、前記安定化剤の
配合量が、脂溶性ビタミン可溶化液の全重量に基づいて
6〜30重量%である前記(1)の脂溶性ビタミン可溶
化液; (3) 脂溶性ビタミンが、ビタミンA、ビタミンD、
ビタミンEおよびビタミンKから選ばれる少なくとも1
種である前記(1)または(2)の脂溶性ビタミン可溶
化液; (4) 安定化剤がソルビトールおよびグリセリンのう
ちの少なくとも1種である前記(1)〜(3)のいずれ
かの脂溶性ビタミン可溶化液;および、 (5) ポリエチレンおよびポリプロピレンの少なくと
も1種よりなる内面を有する容器に収容して用いるため
のものである前記(1)〜(4)のいずれかの脂溶性ビ
タミン可溶化液;を好ましい態様として包含する。
【0010】さらに、本発明は、 (6) 前記(1)〜(5)のいずれかの脂溶性ビタミ
ン可溶化液を、オレフィン系重合体よりなる内面を有す
る容器に収容したことを特徴とする脂溶性ビタミン可溶
化液入り容器である。
【0011】そして、本発明は、 (7) ポリエチレンおよびポリプロピレンの少なくと
も1種よりなる内面を有する容器に収容した前記(6)
の脂溶性ビタミン可溶化液入り容器;および、 (8) 加熱滅菌処理されている、前記(6)または
(7)の脂溶性ビタミン可溶化液入り容器;を好ましい
態様として包含する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明の脂溶性ビタミン可溶化液は、脂溶性ビタ
ミン、界面活性剤および安定化剤を含有し、界面活性剤
および安定化剤の作用によって脂溶性ビタミンが液中に
可溶化している液である。ここで、本発明における「脂
溶性ビタミン可溶化液」とは、脂溶性ビタミンが安定な
状態で液中に溶解または超微分散していて、液(系)全
体で澄明な状態を呈していることを言う。本発明の脂溶
性ビタミン可溶化液では、その澄明度が、分光光度計で
波長620nmで測定したときに、蒸留水(透過率10
0%)を対照とした透過率が98%以上であることが望
ましい。
【0013】本発明の脂溶性ビタミン可溶化液中に含ま
れる脂溶性ビタミンの種類および数は特に制限されず、
脂溶性ビタミンであればいずれでもよく、ビタミンA、
ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKおよび前記したビ
タミン活性を示す物質などを挙げることができる。本発
明の脂溶性ビタミン可溶化液は、前記した脂溶性ビタミ
ンの1種または2種以上を含有することができる。本発
明の脂溶性ビタミン可溶化液を静脈栄養療法に用いる場
合は、ビタミンA、ビタミンDおよびビタミンEの3種
を少なくとも含有するか、或いはビタミンA、ビタミン
D、ビタミンEおよびビタミンKの4種を少なくとも含
有することが望ましい。
【0014】ビタミンAとしてはビタミンA(レチノー
ル)活性を有するものであればいずれでもよく、具体例
としてはパルミチン酸レチノール、酢酸レチノールなど
を挙げることができる。ビタミンDとしてはビタミンD
活性を有するものであればいずれでもよく、具体例とし
てはビタミンD2(エルゴカルシフェロール)、ビタミ
ンD3(コレカルシフェロール)、これらの活性型など
を挙げることができる。ビタミンEとしてはビタミンE
活性を有するものであればいずれでもよく、具体例とし
ては酢酸トコフェロール、琥珀酸トコフェロール、dl
−α−トコフェロールなどを挙げることができる。ま
た、ビタミンKとしてはビタミンK活性を有するもので
あればいずれでもよく、具体例としてはフィトナジオ
ン、メナテトレノン、メナジオン、これらの誘導体など
を挙げることができる。
【0015】脂溶性ビタミン可溶化液中での脂溶性ビタ
ミンの含有量は特に制限されず、脂溶性ビタミン可溶化
液の使用目的、使用形態、給与対象の年齢や状態などに
応じて決めることができる。一般に、成人が1日に必要
なビタミン摂取量は、ビタミンAが2000〜5000
IU、ビタミンDが200〜1000IU、ビタミンE
が2〜20mg、ビタミンKが0.2〜10mgとされ
ているので、前記量を考慮して決めればよい。
【0016】本発明の脂溶性ビタミン可溶化液では、界
面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エ
ステル類を用いることが必要である。静脈投与液に用い
得る界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステル類の外にポリオキシエチレン硬化ヒマ
シ油などがあるが、上記したように、ポリオキシエチレ
ン硬化ヒマシ油を非経口投与するとアナフィラキシー型
のショック症状をもたらす疑いがあるため、本発明の脂
溶性ビタミン可溶化液には適当でない。本発明の脂溶性
ビタミン可溶化液では、脂溶性ビタミンの可溶化液で従
来から用いられているポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル類のいずれもが使用でき、特に制限されな
い。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類の
具体例としては、日光ケミカルズ株式会社製「ポリソル
ベート80」(商品名:TO−10M)、「ポリソルベ
ート20」(商品名:TL−10)などを挙げることが
でき、これらは単独で用いても併用してもよい。
【0017】脂溶性ビタミン可溶化液におけるポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル類の配合量は、液
中に含まれる脂溶性ビタミンの重量(2種以上の脂溶性
ビタミンを含有する場合はその合計重量)1重量部に対
して、2〜12重量部であることが、脂溶性ビタミンの
可溶化が良好になり、且つ保存安定性に優れることから
好ましく、2.5〜10重量部であることがより好まし
い。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類の
配合量が2重量部未満では、可溶化が不充分になる恐れ
があり、一方12重量部よりも多くても、可溶化に関
し、その配合量に見合うだけの効果が期待できなくな
る。
【0018】本発明の脂溶性ビタミン可溶化液は、ポリ
オキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類からなる界
面活性剤と共に、安定化剤として糖アルコールおよびグ
リセリンから選ばれる少なくとも1種を含有することが
必要である。糖アルコールおよびグリセリンから選ばれ
る少なくとも1種を安定化剤として含有することによっ
て、脂溶性ビタミン可溶化液の調製時に系の状態が変わ
らず、脂溶性ビタミンを安定に且つ良好に系中に可溶化
することができる。しかも、脂溶性ビタミン可溶化液を
オレフィン系重合体よりなる内面を有する容器に収容し
て高温で加熱滅菌処理しても、さらに長期保存しても、
脂溶性ビタミンが容器を形成しているオレフィン系重合
体に吸着されるのが防止または抑制されて、容器に充填
する前、または滅菌処理前の液中濃度またはそれに近い
濃度を維持することができる。ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル類のみを含有し、糖アルコールお
よびグリセリンから選ばれる少なくとも1種を含有しな
い場合、或いは安定化剤としてプロピレングリコールを
用いた場合は、オレフィン系重合体よりなる内面を有す
る容器への充填・封止して加熱滅菌処理したときに、ま
た保存中に脂溶性ビタミンがオレフィン系重合体よりな
る容器壁に吸着されてしまい、その液中濃度が大幅に低
下する。
【0019】安定化剤として用いる糖アルコールの具体
例としては、ソルビトール、マルチトール、パラチニッ
ト、エリスリトール、マンニトールなどを挙げることが
でき、これらの1種または2種以上を用いることができ
る。本発明の脂溶性ビタミン可溶化液は、安定化剤とし
て、ソルビトールおよびグリセリンの少なくとも一方を
含有することが好ましく、ソルビトールを含有すること
がより好ましい。
【0020】脂溶性ビタミン可溶化液における糖アルコ
ールおよびグリセリンから選ばれる少なくとも1種の安
定剤の配合量(2種以上を含有する場合はその合計配合
量)は、脂溶性ビタミン可溶化液の全重量に基づいて、
6〜30重量%であることが、脂溶性ビタミンの可溶化
が良好になり、オレフィン系重合体よりなる容器壁への
脂溶性ビタミンの吸着を効果的に抑制または防止できる
点から好ましく、8〜25重量%であることがより好ま
しい。
【0021】本発明の脂溶性ビタミン可溶化液で用いる
液体媒体としては、一般に、ビタミンの溶解または分散
に従来から用いられている注射用水、蒸留水などのよう
な水性媒体が用いられる。本発明の脂溶性ビタミン可溶
化液のpHは5.0〜7.0、特に5.5〜6.5であ
ることが、人体に対する安全性、液中での脂溶性ビタミ
ンの可溶化性および安定性などの点から好ましい。脂溶
性ビタミン可溶化液のpHを前記した範囲に調節するに
当たっては、医薬品添加物として使用できる化合物であ
ればいずれも使用でき、例えば、クエン酸、酢酸、酒石
酸、乳酸、フマル酸、プロピオン酸、アジピン酸、グル
コン酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸などの有機
酸、炭酸、硼酸、リン酸、硫酸、塩酸などの無機酸;水
酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、
水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカ
リ性化合物などを用いてpH調節を行うことができる。
【0022】本発明の脂溶性ビタミン可溶化液は、上記
した成分と共に、必要に応じて水溶性ビタミン類、糖
類、アミノ酸類、電解質成分などの他の成分の1種また
は2種以上を含有してもよい。
【0023】本発明の脂溶性ビタミン可溶化液は、オレ
フィン系重合体よりなる内面を有する容器に充填した
後、封止し、好ましくは加熱滅菌処理して流通、保存、
販売される。ここで、「オレフィン系重合体よりなる内
面を有する容器」とは、容器の内面の一部または全部が
オレフィン系重合体より形成されている容器を言う。そ
のような容器としては、例えば、オレフィン系重合体よ
りなる単層容器、オレフィン系重合体層を内面層としそ
の外側にオレフィン系重合体以外の重合体や他の材料よ
りなる1つまたは2つ以上の層を有する積層容器、オレ
フィン系重合体層を内面層としその外側に別のオレフィ
ン系重合体層を有する積層容器などを挙げることができ
る。
【0024】容器の少なくとも内面を形成するオレフィ
ン系重合体としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、
エチレン−プロピレン共重合体、環状ポリオレフィン、
ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリブテン、これら
の2種以上のブレンド物などを挙げることができる。そ
のうちでも、ポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリ
オレフィンが好ましく用いられ、水蒸気透過性の少ない
ポリプロピレン、環状ポリオレフィンが特に好ましく用
いられる。
【0025】脂溶性ビタミン可溶化液を充填する容器の
形状や構造は特に制限されず、例えば、筒状、ビン状、
シリンジ状、袋状(バッグ状)などの形状にすることが
でき、そのうちでも筒状や袋状にしておくことが、取り
扱い性などの点から好ましい。
【0026】本発明の脂溶性ビタミン可溶化液の調製法
は特に制限されず、液中に含まれる脂溶性ビタミンやそ
の他の成分の分解や変質を生じない方法であればいずれ
の方法で調製してもよい。本発明の脂溶性ビタミン可溶
化液の調製法の代表例としては、以下の方法を挙げるこ
とができる。 (1) まず、脂溶性ビタミンとポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル類よりなる界面活性剤をマグネ
チックスターラー、プロペラ式撹拌機、ホモミキサーな
どの撹拌機を用いて良く混合して、脂溶性ビタミン/界
面活性剤混合液を調製する。 (2) 上記(1)とは別に、蒸留水や注射用水などの
液体媒体と、糖アルコールおよびグリセリンから選ばれ
る少なくとも1種の安定化剤を前記したような撹拌機を
用いて混合して、安定化剤を含有する水性液を調製す
る。 (3) 次いで、上記(2)で調製した安定化剤を含有
する水性液に上記(1)で調製した脂溶性ビタミン/界
面活性剤混合液を加えるか、或いは上記(1)で調製し
た脂溶性ビタミン/界面活性剤混合液に上記(2)で調
製した安定化剤を含有する水性液を混合して、脂溶性ビ
タミン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
類よりなる界面活性剤、並びに糖アルコールおよびグリ
セリンから選ばれる少なくとも1種の安定化剤を含有す
る脂溶性ビタミン可溶化液を製造する。
【0027】上記した調製法において、脂溶性ビタミン
が液中に十分に可溶化されていない場合には、さらに高
圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、マイクロフ
ルイダイザー、ナノマイザー、マルティマイザーなどの
均質化処理機を使用して均質化処理を行ってもよい。ま
た、この均質化処理は可溶化の安定性向上のために数回
行ってもよい。
【0028】上記で得られた脂溶性ビタミン可溶化液
は、オレフィン系重合体よりなる内面を有する容器に充
填し封止した後に高圧蒸気滅菌、熱水滅菌、熱水シャワ
ー滅菌、マイクロウエーブ滅菌などの公知の方法で加熱
滅菌することによって、前記容器に充填された本発明の
脂溶性ビタミン可溶化液入り容器を得ることができる。
また、場合によっては、オレフィン系重合体よりなる内
面を有する容器に充填する前に、前記した加熱滅菌処理
を施し、その後にオレフィン系重合体よりなる内面を有
する容器に充填して封止してもよい。オレフィン系重合
体よりなる容器に脂溶性ビタミン可溶化液を充填し封止
した後に加熱滅菌処理を施すことが、滅菌を確実に行う
ことができる点から好ましい。滅菌処理時の条件、例え
ば滅菌温度、滅菌時間などは、脂溶性ビタミン可溶化液
中に含まれる脂溶性ビタミンの種類や他の成分の種類、
容器の材質などを考慮しながら、通常この種の滅菌操作
で採用されているのと同様の条件を採用することがで
き、一般的には、約100〜140℃の加熱温度が好ま
しく採用される。さらに、加熱滅菌処理は、必要に応じ
て、窒素などの不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。
【0029】オレフィン系重合体よりなる内面を有する
容器に充填し封止してなる本発明の脂溶性ビタミン可溶
化液入り容器は、脂溶性ビタミン可溶化液の酸化による
変質を確実に防止するために、実質的に酸素を透過しな
い外装材で包装してもよい。酸素を透過しない外装材と
しては、一般に用いられている酸素非透過性のプラスチ
ックフィルムやシートを用いることができ、例えば、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、エチレン−ビニルア
ルコール系共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリ
ロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアミドなどを
挙げることができ、外装材はこれらの単層フィルムまた
はシートであっても、または積層フィルムやシートであ
ってもよい。
【0030】また、脂溶性ビタミン可溶化液を収容して
なるオレフィン系重合体よりなる内面を有する容器と酸
素非透過性の外装材との間に脱酸素剤を入れておいても
よく、その場合には、脂溶性ビタミン可溶化液の酸化を
一層良好に防止することができる。脱酸素剤としては、
公知の各種のものを使用でき、例えば、水酸化鉄、酸化
鉄、炭化鉄などの鉄化合物を有効成分とするものを挙げ
ることができる。市販品としては、例えば、三菱ガス化
学株式会社製「エージレス」、日本化薬株式会社製「モ
ジュラン」、日本曹達株式会社製「セキュール」などを
挙げることができる。
【0031】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明は以下の例により何ら限定されない。
【0032】《実施例1》 (1) ビタミンA(パルミチン酸レチノール、170
万IU/g、理研ビタミン株式会社製)、ビタミンD
(エルゴカルシフェロール、4000万IU/g、理研
ビタミン株式会社製)、ビタミンE(酢酸トコフェロー
ル、96万IU/g、理研ビタミン株式会社製)、ビタ
ミンK(フィトナジオン、日本ロッシュ株式会社製)お
よびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類よ
りなる界面活性剤[日光ケミカルズ株式会社製「ポリソ
ルベート80」(TO−10M)とポリソルベート2
0」(TL−10)]を、最終的に得られる脂溶性ビタ
ミン可溶化液中でのこれらの成分の含有量が下記の表1
の割合になる量で混合して、脂溶性ビタミン/界面活性
剤混合液を調製した。 (2) 上記(1)とは別に、シアノコバラミン(日本
ロッシュ株式会社製)、葉酸(日本ロッシュ株式会社
製)、ビオチン(日本ロッシュ株式会社製)およびソル
ビトール(安定化剤)を、最終的に得られる脂溶性ビタ
ミン可溶化液中でのこれらの成分の含有量が下記の表1
の割合になる量で注射用水に溶解して水性液を調製し
た。
【0033】(3) 上記(1)で調製した脂溶性ビタ
ミン/界面活性剤混合液と、上記(2)で調製した水性
液を混合し、20分間室温下に撹拌した後、クエン酸と
水酸化ナトリウムを適量添加してpH6.0に調整し、
注射用水によりメスアップして下記の表1に示す成分組
成を有する脂溶性ビタミン可溶化液を調製した。 (4) 上記(3)で得られた脂溶性ビタミン可溶化液
をポリプロピレン製の有底筒状容器(内径8mm〜11
mmのテーパー状、長さ40mm、肉厚1mm、容量3
ml)に2.5mlずつ充填した後、その開口部にポリ
プロピレン製シート(シート厚300μm)を融着して
封止した。 (5) 上記(4)で得られた脂溶性ビタミン可溶化液
入り容器を、105℃で10分間高圧蒸気滅菌した。
【0034】《実施例2》実施例1の(2)において、
安定化剤としてソルビトールを用いる代わりにグリセリ
ンを用いた以外は実施例1と同様の操作を行って、ポリ
プロピレン製容器内に下記の表1に示す成分組成を有す
る脂溶性ビタミン可溶化液が収容され且つ高圧蒸気滅菌
処理された脂溶性ビタミン可溶化液入り容器を製造し
た。
【0035】《比較例1》実施例1の(2)において、
安定化剤としてソルビトールを用いる代わりにプロピレ
ングリコールを用いた以外は実施例1と同様の操作を行
って、ポリプロピレン製容器内に下記の表1に示す成分
組成を有する脂溶性ビタミン可溶化液が収容され且つ高
圧蒸気滅菌処理された脂溶性ビタミン可溶化液入り容器
を製造した。
【0036】
【表1】
【0037】《試験例1》 (1) 上記の実施例1、実施例2および比較例3で得
られた脂溶性ビタミン可溶化液入り容器において、ポリ
プロピレン製容器内に収容されている脂溶性ビタミン可
溶化液中でのビタミンA(パルミチン酸レチノール)、
ビタミンE(酢酸トコフェロール)およびビタミンK
(フィトナジオン)の含有量を、その滅菌直後に高速液
体クロマトグラフィー法(測定機器:島津製作所製「L
C−10AS」)にて測定して、滅菌処理前の脂溶性ビ
タミン可溶化液中に含まれていた前記脂溶性ビタミン類
の含有量に対する割合(残存率)(%)を求めたとこ
ろ、下記の表2に示すとおりであった。 (2) さらに、上記の実施例1、実施例2および比較
例3で得られた滅菌後の脂溶性ビタミン可溶化液入りポ
リプロピレン製容器の各々を、ガス非透過性外装包材
(株式会社サンエー科研製のエチレン/ビニルアルコー
ル共重合体フィルム)にて包装すると共にポリプロピレ
ン製容器と該外装包材の間に脱酸素剤(三菱ガス化学株
式会社製「エージレス」)を封入して50℃での7日間
保存し、該7日間保存後における脂溶性ビタミン可溶化
液中でのビタミンA(パルミチン酸レチノール)、ビタ
ミンE(酢酸トコフェロール)およびビタミンK(フィ
トナジオン)の含有量を上記と同様に測定して、滅菌処
理前の脂溶性ビタミン可溶化液中に含まれていた前記脂
溶性ビタミン類の含有量に対する割合(残存率)(%)
を求めたところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0038】
【表2】
【0039】上記の表2の結果から、ポリオキシエチレ
ンソルビタン脂肪酸エステル類からなる界面活性剤と共
に、安定化剤として糖アルコールの1種であるソルビト
ールを含有する実施例1の脂溶性ビタミン可溶化液入り
ポリプロピレン製容器、およ安定化剤としてグリセリン
を含有する実施例2の脂溶性ビタミン可溶化液入りポリ
プロピレン製容器では、高温での加熱滅菌処理を行って
も液中での脂溶性ビタミン類の含有量が殆ど変化しない
か又は極めて僅かであり、さらに50℃で7日間保存し
た後でも液中での脂溶性ビタミン類の含有量の低減が殆
どないか又は極めて僅かであり、脂溶性ビタミン類のポ
リプロピレン製容器への吸着が防止されて、充填当初と
ほぼ同様の液中濃度を保ち得ることがわかる。
【0040】これに対して、ポリオキシエチレンソルビ
タン脂肪酸エステル類からなる界面活性剤と共に、安定
化剤としてプロピレングリコールを含有する比較例1の
脂溶性ビタミン可溶化液入りポリプロピレン製容器で
は、加熱滅菌処理によって液中での脂溶性ビタミン類の
含有量が大幅に低減し、しかも滅菌処理したものを50
℃で7日間保存した後では、液中での脂溶性ビタミン類
の含有量の一層低減しており、脂溶性ビタミン類のポリ
プロピレン製容器への吸着が大きいことがわかる。
【0041】《実施例3、実施例4および比較例2》 (1) ビタミンA(パルミチン酸レチノール、170
万IU/g、理研ビタミン株式会社製)、ビタミンD
(エルゴカルシフェロール、4000万IU/g、理研
ビタミン株式会社製)、ビタミンE(酢酸トコフェロー
ル、96万IU/g、理研ビタミン株式会社製)、ビタ
ミンK(フィトナジオン、日本ロッシュ株式会社製)お
よびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類よ
りなる界面活性剤[日光ケミカルズ株式会社製「ポリソ
ルベート80」(TO−10M)とポリソルベート2
0」(TL−10)]を、最終的に得られる脂溶性ビタ
ミン可溶化液中でのこれらの成分の含有量が下記の表3
の割合になる量で混合して、脂溶性ビタミン/界面活性
剤混合液を調製した。 (2) 上記(1)とは別に、シアノコバラミン(日本
ロッシュ株式会社製)、葉酸(日本ロッシュ株式会社
製)およびビオチン(日本ロッシュ株式会社製)と共
に、安定化剤としてソルビトール(実施例3および実施
例4)またはプロピレングリコール(比較例2)を、最
終的に得られる脂溶性ビタミン可溶化液中でのこれらの
成分の含有量が下記の表3の割合になる量で注射用水に
溶解してそれぞれの水性液を調製した。
【0042】(3) 上記(1)で調製した脂溶性ビタ
ミン/界面活性剤混合液と、上記(2)で調製したそれ
ぞれの水性液を混合し、20分間室温下に撹拌した後、
クエン酸と水酸化ナトリウムを適量添加してpH6.0
に調整し、注射用水によりメスアップして下記の表3に
示す成分組成を有する脂溶性ビタミン可溶化液を調製し
た。 (4) 上記(3)で得られた脂溶性ビタミン可溶化液
をポリプロピレン製の筒状容器(内径8mm〜11mm
のテーパー状、長さ50mm、肉厚1mm、容量3m
l)に2.5mlずつ充填した後、その開口部にポリプ
ロピレン製シート(シート厚300μm)を融着して封
止した。 (5) 上記(4)で得られた脂溶性ビタミン可溶化液
入り容器を、105℃で10分間高圧蒸気滅菌した。
【0043】
【表3】
【0044】《参考例1》実施例3と同様にして、実施
例3と同じ成分組成を有する脂溶性ビタミン可溶化液を
調製し、この脂溶性ビタミン可溶化液を、5ml容のガ
ラスアンプルに2.5ml充填した後、封止し、105
℃で10分間高圧蒸気滅菌して、ガラスアンプル入りの
脂溶性ビタミン可溶化液を製造した。
【0045】《参考例2》比較例2と同様にして、比較
例2と同じ成分組成を有する脂溶性ビタミン可溶化液を
調製し、この脂溶性ビタミン可溶化液を、5ml容のガ
ラスアンプルに2.5ml充填した後、封止し、105
℃で10分間高圧蒸気滅菌して、ガラスアンプル入りの
脂溶性ビタミン可溶化液を製造した。
【0046】《試験例2》 (1) 上記の実施例3、実施例4、比較例2、参考例
1および参考例2で得られた脂溶性ビタミン可溶化液入
り容器において、ポリプロピレン製容器またはガラスア
ンプル内に収容されている脂溶性ビタミン可溶化液中で
の脂溶性ビタミン類および水溶性ビタミン類の含有量
を、その滅菌直後に試験例1と同様に測定して、滅菌処
理前の脂溶性ビタミン可溶化液中に含まれていた各ビタ
ミンの含有量に対する割合(残存率)(%)を求めたと
ころ、下記の表4および表5に示すとおりであった。 (2) さらに、上記の実施例3、実施例4、比較例
2、参考例1および参考例2で得られた滅菌後の脂溶性
ビタミン可溶化液入りのポリプロピレン製容器またはガ
ラスアンプルの各々を、ガス非透過性外装包材(株式会
社サンエー科研製のエチレン/ビニルアルコール共重合
体フィルム)にて包装すると共にポリプロピレン製容器
またはガラスアンプルと該外装包材の間に脱酸素剤(三
菱ガス化学株式会社製「エージレス」)を封入して50
℃での1カ月間保存し、該1カ月間保存後における脂溶
性ビタミン可溶化液中での各ビタミンの含有量を上記と
同様に測定して、滅菌処理前の脂溶性ビタミン可溶化液
中に含まれていた各ビタミンの含有量に対する割合(残
存率)(%)を求めたところ、下記の表4および表5に
示すとおりであった。
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】上記の表4および表5の結果から、ポリオ
キシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類からなる界面
活性剤と共に、安定化剤として糖アルコールの1種であ
るソルビトールを含有する実施例3および実施例4の脂
溶性ビタミン可溶化液入りポリプロピレン製容器では、
高温での加熱滅菌処理を行っても液中での脂溶性ビタミ
ン類の含有量が殆ど変化しないか又は僅かであり、さら
に50℃で1カ月間保存した後でも液中での脂溶性ビタ
ミン類の含有量の低減が殆どないか又は極めて僅かであ
り、脂溶性ビタミン類のポリプロピレン製容器への吸着
が防止されて、充填当初とほぼ同様の液中濃度を保ち得
つことができ、脂溶性ビタミン可溶化液をガラスアンプ
ルに収容した参考例1および参考例2に匹敵する良好な
効果が得られることがわかる。
【0050】これに対して、上記の表5の結果から、ポ
リオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類からなる
界面活性剤と共に、安定化剤としてプロピレングリコー
ルを含有する比較例2の脂溶性ビタミン可溶化液入りポ
リプロピレン製容器では、加熱滅菌処理によって液中で
の脂溶性ビタミン類の含有量が大幅に低減し、しかも滅
菌処理したものを50℃で1カ月間保存した後では、液
中での脂溶性ビタミン類の含有量の一層低減しており、
脂溶性ビタミン類のポリプロピレン製容器への吸着が大
きいことがわかる。
【0051】
【発明の効果】本発明の脂溶性ビタミン可溶化液は、オ
レフィン系重合体よりなる内面を有する容器に収容して
加熱滅菌処理しても、さらに保存中に、液中の脂溶性ビ
タミンが容器を形成するオレフィン系重合体に吸着され
ずに、製造当初、特に滅菌処理前と同様の液中濃度を安
定に維持することができ、液中のビタミン組成が一定に
保たれる。そのため、オレフィン系重合体よりなる内面
を有する容器に収容した本発明の脂溶性ビタミン可溶化
液入り容器は、患者に給与すべき栄養成分の十分な管理
が必要な完全静脈栄養法(TPN)などに有効に使用す
ることができる。さらに、本発明の脂溶性ビタミン可溶
化液入り容器では、オレフィン系重合体よりなる内面を
有するプラスチック製容器を用いているので、脂溶性ビ
タミン可溶化液をガラス製容器に収容した従来の製品に
おけるような容器の破損がなく、しかも軽量であるた
め、安全性および取り扱い性に優れている。また、本発
明の脂溶性ビタミン可溶化液入り容器による場合は、輸
液用バッグなどに混注する際に、シリンジに移してから
混注するという操作が不要であり、脂溶性ビタミン可溶
化液入り容器からそのまま輸液用バッグなどに直接混注
することができるので、使用時の操作が簡単であり、し
かもクロスコンタミネーションなどの心配がない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/59 A61K 31/592 31/592 31/593 31/593 47/10 47/10 A61P 3/02 A61P 3/02 102 102 109 109 A61J 1/00 331A (72)発明者 黒崎 靖夫 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 (72)発明者 繁田 賢治 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 (72)発明者 渡邊 英二 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 Fターム(参考) 4C076 AA14 BB17 CC23 DD08E DD38A DD38Q FF12 FF15 FF18 4C086 AA01 AA02 BA09 DA14 MA05 MA08 MA09 MA17 MA66 NA02 NA03 NA20 ZC23 ZC29 4C206 AA01 AA02 CA11 CB28 KA01 KA04 MA05 MA37 MA86 NA02 NA03 NA20 ZC23 ZC29

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 界面活性剤としてポリオキシエチレンソ
    ルビタン脂肪酸エステル類を含有し、安定化剤として糖
    アルコールおよびグリセリンから選ばれる少なくとも1
    種を含有することを特徴とする、オレフィン系重合体よ
    りなる内面を有する容器に収容して用いるための脂溶性
    ビタミン可溶化液。
  2. 【請求項2】 前記界面活性剤の配合量が、脂溶性ビタ
    ミン1重量部に対して2〜12重量部であり、前記安定
    化剤の配合量が、脂溶性ビタミン可溶化液の全重量に基
    づいて6〜30重量%である請求項1に記載の脂溶性ビ
    タミン可溶化液。
  3. 【請求項3】 脂溶性ビタミンが、ビタミンA、ビタミ
    ンD、ビタミンEおよびビタミンKから選ばれる少なく
    とも1種である請求項1または2に記載の脂溶性ビタミ
    ン可溶化液。
  4. 【請求項4】 安定化剤がソルビトールおよびグリセリ
    ンのうちの少なくとも1種である請求項1〜3のいずれ
    か1項に記載の脂溶性ビタミン可溶化液。
  5. 【請求項5】 ポリエチレンおよびポリプロピレンの少
    なくとも1種よりなる内面を有する容器に収容して用い
    るためのものである請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の脂溶性ビタミン可溶化液。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の脂
    溶性ビタミン可溶化液を、オレフィン系重合体よりなる
    内面を有する容器に収容したことを特徴とする脂溶性ビ
    タミン可溶化液入り容器。
  7. 【請求項7】 ポリエチレンおよびポリプロピレンの少
    なくとも1種よりなる内面を有する容器に収容した請求
    項6に記載の脂溶性ビタミン可溶化液入り容器。
  8. 【請求項8】 加熱滅菌処理されている、請求項6また
    は7に記載の脂溶性ビタミン可溶化液入り容器。
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