JP2001253838A - カルボン酸の製造法 - Google Patents

カルボン酸の製造法

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JP2001253838A JP2000067682A JP2000067682A JP2001253838A JP 2001253838 A JP2001253838 A JP 2001253838A JP 2000067682 A JP2000067682 A JP 2000067682A JP 2000067682 A JP2000067682 A JP 2000067682A JP 2001253838 A JP2001253838 A JP 2001253838A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機基質を分子状酸素により効率よく酸化し
て、対応するカルボン酸を高い収率及び選択率で得る。 【解決手段】 酸化によりカルボキシル基に変換可能な
基を有する有機基質を、下記式(1) 【化1】 (式中、R1及びR2は、水素原子、ハロゲン原子、アル
キル基、アリール基などを示し、R1及びR2は互いに結
合して二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環
を形成してもよい。Xは酸素原子又はヒドロキシル基を
示す。前記R1、R2、又はR1及びR2が互いに結合して
形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の
環には上記式(1)中に示されるN−置換環状イミド基
がさらに1又は2個形成されていてもよい)で表される
イミド化合物、コバルト化合物及びマンガン化合物から
なる触媒の存在下、110〜200℃の温度で分子状酸
素と反応させて、対応するカルボン酸を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカルボン酸の製造方
法、より詳細にはメチル基を有する芳香族化合物やアル
コール類などを酸素により酸化して対応するカルボン酸
を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化反応は、有機化学工業における最も
基本的な反応の一つであるため、種々の酸化法が開発さ
れている。資源及び環境上の観点から、好ましい酸化方
法は、分子状酸素又は空気を酸化剤として直接利用する
触媒的な酸化法である。
【0003】特開平8−38909号公報及び特開平9
−327626号公報には、分子状酸素により基質を酸
化するための触媒として、特定の構造を有するイミド化
合物、又は前記イミド化合物と遷移金属化合物などとで
構成された酸化触媒が提案されている。この触媒を用い
ると、温和な条件下で有機基質を酸化でき、アルコール
類などの酸化生成物を比較的高い収率で製造することが
できる。また、特開平10−286467号公報には、
上記方法の改良法として、前記イミド化合物と複数の遷
移金属化合物とで構成された酸化触媒が提案されてい
る。さらに、特開平11−106377号公報には、前
記イミド化合物を触媒として複素環化合物を酸化する方
法が開示されている。これらの方法によれば、炭化水素
基等をカルボキシル基に変換でき、基質に対応するカル
ボン酸を得ることができる。
【0004】しかし、上記先行文献では、反応を比較的
低温で行っており、アルコールやアルデヒド等の低次酸
化物が副生しやすく、カルボン酸を高い選択率で得るこ
とができない。しかも、このような低次酸化物はカルボ
ン酸を各種用途に用いる場合に様々な悪影響を及ぼす
が、一般に分離が困難なため、高純度のカルボン酸を得
るには、多数の分離精製工程や特殊な分離精製手段が必
要となり、コスト高となる。また、上記文献に記載の条
件では、カルボキシル基に変換可能な基を複数個有する
化合物を酸化する場合、その全てを効率よくカルボキシ
ル基に変換することが困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、有機基質を分子状酸素により効率よく酸化して、対
応するカルボン酸を高い収率及び選択率で得ることので
きる方法を提供することにある。本発明の他の目的は、
芳香族性環の隣接位に結合したメチル基やヒドロキシメ
チル基等のカルボキシル基に変換可能な被酸化基を1又
は複数個有する化合物から、それらの被酸化基の全てを
カルボキシル基に変換したモノ又はポリカルボン酸を効
率よく製造する方法を提供することにある。
【0006】本発明のさらに他の目的は、反応性の低い
基質であっても効率よく酸化して対応するカルボン酸を
高い収率で得ることのできるカルボン酸の製造法を提供
することにある。本発明の他の目的は、基質濃度が高く
ても反応を円滑に進行させて対応するカルボン酸を高い
収率で得ることのできる方法を提供することにある。本
発明のさらに他の目的は、反応に用いた触媒を再生可能
な状態で回収できるカルボン酸の製造方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討した結果、特定構造のイミド化
合物とコバルト化合物とマンガン化合物とを組み合わせ
た触媒を用いるとともに、特定の温度範囲内で基質を酸
素により酸化すると、対応するカルボン酸を高い収率及
び選択率で製造できることを見出し、本発明を完成し
た。
【0008】すなわち、本発明は、酸化によりカルボキ
シル基に変換可能な基を有する有機基質を、下記式
(1)
【化3】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキ
ル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル
基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
びR2は互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しく
は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又は
ヒドロキシル基を示す。前記R1、R2、又はR1及びR2
が互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若し
くは非芳香族性の環には上記式(1)中に示されるN−
置換環状イミド基がさらに1又は2個形成されていても
よい)で表されるイミド化合物、コバルト化合物及びマ
ンガン化合物からなる触媒の存在下、110〜200℃
の温度で分子状酸素と反応させて、対応するカルボン酸
を得るカルボン酸の製造法を提供する。
【0009】前記酸化によりカルボキシル基に変換可能
な基として、(A)芳香族性環に結合したアルキル基で
あって該芳香族性環の隣接位に炭素−水素結合を有する
基、(B)非芳香族性炭素環を構成するメチレン基、
(C)ヒドロキシメチル基、(D)アシル基などが挙げ
られる。
【0010】前記カルボン酸の製造法には、酸化により
カルボキシル基に変換可能な基のうち少なくとも(A1)
芳香族性環の隣接位に結合したメチル基及び(C)ヒド
ロキシメチル基を全てカルボキシル基に変換させて対応
するモノ又はポリカルボン酸を生成させる方法が含まれ
る。
【0011】前記カルボン酸の製造法において、有機基
質を、式(1)で表されるイミド化合物と酸素とにより
酸化可能であって且つ当該有機基質とは異なる化合物の
共存下で分子状酸素と反応させてもよい。当該有機基質
とは異なる化合物として、例えば、(a)第1級又は第
2級アルコール、(b)不飽和結合に隣接する部位に炭
素−水素結合を有する化合物、(c)メチン炭素原子を
有する化合物、(d)シクロアルカン類、(e)ヘテロ
原子の隣接位に炭素−水素結合を有する非芳香族性複素
環化合物、(f)共役化合物、(g)芳香族炭化水素、
(h)チオール類、(i)エーテル類、(j)スルフィ
ド類、(k)アルデヒド若しくはチオアルデヒド類、及
び(l)アミン類から選択された少なくとも1種の化合
物を使用できる。
【0012】また、反応中に式(1)で表されるイミド
化合物が分解して生成した下記式(2)
【化4】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキ
ル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル
基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
びR2は互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しく
は非芳香族性の環を形成してもよい。前記R1、R2、又
はR1及びR2が互いに結合して形成された二重結合又は
芳香族性若しくは非芳香族性の環には上記式(2)中に
示される環状酸無水物基がさらに1又は2個形成されて
いてもよい)で表される環状酸無水物を分離回収する工
程を含んでいてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明では、酸化触媒として前記
式(1)で表されるイミド化合物、コバルト化合物及び
マンガン化合物で構成された三元触媒を用いる。
【0014】[イミド化合物]式(1)において、置換
基R1及びR2のうちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、
塩素およびフッ素が含まれる。アルキル基には、例え
ば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、
ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル基などの炭素数
1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれ
る。好ましいアルキル基としては、例えば、炭素数1〜
6程度、特に炭素数1〜4程度の低級アルキル基が挙げ
られる。
【0015】アリール基には、フェニル、ナフチル基な
どが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、
シクロヘキシル基などが含まれる。アルコキシ基には、
例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポ
キシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチ
ルオキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10程
度、好ましくは炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程
度の低級アルコキシ基が含まれる。
【0016】アルコキシカルボニル基には、例えば、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカ
ルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボ
ニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニ
ル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボ
ニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度の
アルコキシカルボニル基が含まれる。好ましいアルコキ
シカルボニル基にはアルコキシ部分の炭素数が1〜6程
度、特に1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含
まれる。
【0017】アシル基としては、例えば、ホルミル、ア
セチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレ
リル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6
程度のアシル基が例示できる。
【0018】前記置換基R1及びR2は、同一又は異なっ
ていてもよい。また、前記式(1)において、R1及び
2は互いに結合して、二重結合、または芳香族性又は
非芳香属性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又
は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度
であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化
水素環である場合が多い。このような環には、例えば、
非芳香族性脂環式環(シクロヘキサン環などの置換基を
有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環
などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環な
ど)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの
置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、
ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していても
よい芳香族環(縮合環を含む)が含まれる。前記環は、
芳香族性環で構成される場合が多い。前記環は、アルキ
ル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ
基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル
基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子など
の置換基を有していてもよい。前記式(1)において、
Xは酸素原子又はヒドロキシル基を示し、窒素原子Nと
Xとの結合は単結合又は二重結合である。
【0019】前記R1、R2、又はR1及びR2が互いに結
合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香
族性の環には、上記式(1)中に示されるN−置換環状
イミド基がさらに1又は2個形成されていてもよい。例
えば、R1又はR2が炭素数2以上のアルキル基である場
合、このアルキル基を構成する隣接する2つの炭素原子
を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていても
よい。また、R1及びR2が互いに結合して二重結合を形
成する場合、該二重結合を含んで前記N−置換環状イミ
ド基が形成されていてもよい。さらに、R1及びR2が互
いに結合して芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成す
る場合、該環を構成する隣接する2つの炭素原子を含ん
で前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。
【0020】好ましいイミド化合物には、下記式で表さ
れる化合物が含まれる。
【化5】 (式中、R3〜R6は、同一又は異なって、水素原子、ア
ルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキ
シ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシ
ル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を
示す。R3〜R6は、隣接する基同士が互いに結合して芳
香族性又は非芳香族性の環を形成していてもよい。式
(1f)中、Aはメチレン基又は酸素原子を示す。R1
2、Xは前記に同じ。式(1c)のベンゼン環には、式
(1c)中に示されるN−置換環状イミド基がさらに1又
は2個形成されていてもよい)
【0021】置換基R3〜R6において、アルキル基に
は、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭
素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、ハロアルキル基
には、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4程度の
ハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアル
コキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、
アルコキシカルボニル基には、前記と同様のアルコキシ
カルボニル基、特にアルコキシ部分の炭素数が1〜4程
度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。また、ア
シル基としては、前記と同様のアシル基、特に炭素数1
〜6程度のアシル基が例示され、ハロゲン原子として
は、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R3
〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級ア
ルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子で
ある場合が多い。R3〜R6が互いに結合して形成する環
としては、前記R1及びR2が互いに結合して形成する環
と同様であり、特に芳香族性又は非芳香族性の5〜12
員環が好ましい。
【0022】好ましいイミド化合物の代表的な例とし
て、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒド
ロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロ
フタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサ
ンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イ
ミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N
−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロ
キシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミ
ド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−
ジヒドロキシピロメリット酸イミド、N,N′−ジヒド
ロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドなどが挙げら
れる。
【0023】式(1)で表されるイミド化合物は、慣用
のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキ
シルアミンNH2OHとを反応させ、酸無水物基の開環
及び閉環を経てイミド化する方法により調製できる。
【0024】前記酸無水物には、例えば、無水コハク
酸、無水マレイン酸などの飽和又は不飽和脂肪族ジカル
ボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒド
ロ無水フタル酸(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸
無水物)、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカル
ボン酸1,2−無水物などの飽和又は不飽和非芳香族性
環状多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水
物)、無水ヘット酸、無水ハイミック酸などの橋かけ環
式多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水
物)、無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テト
ラクロロ無水フタル酸、無水ニトロフタル酸、無水トリ
メット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水
物、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、1,8;4,
5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族
多価カルボン酸無水物が含まれる。
【0025】特に好ましいイミド化合物は、脂環式多価
カルボン酸無水物又は芳香族多価カルボン酸無水物、な
かでも芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−
ヒドロキシイミド化合物、例えば、N−ヒドロキシフタ
ル酸イミド等が含まれる。
【0026】なお、後述するように、前記イミド化合物
は本発明の条件下で前記式(2)で表される環状酸無水
物に効率よく変換され得る。よって、目的のカルボン酸
が隣接する炭素原子にそれぞれカルボキシル基が結合し
ているポリカルボン酸の場合、前記イミド化合物として
該ポリカルボン酸に対応するイミド化合物を用いると、
このイミド化合物が系内で前記ポリカルボン酸に対応す
る環状酸無水物に変換され、この環状酸無水物は加水分
解により目的のポリカルボン酸に誘導できる。このた
め、触媒回収等の点で有利となる。より具体的には、o
−キシレンからフタル酸を製造する場合、前記イミド化
合物としてN−ヒドロキシフタルイミドを用いると、N
−ヒドロキシフタルイミドが系内で無水フタル酸に変換
され、この無水フタル酸を慣用の方法で加水分解するこ
とにより目的化合物物であるフタル酸に誘導できる。同
様に、デュレンからピロメリット酸を製造する場合に
は、前記イミド化合物としてN,N′−ジヒドロキシピ
ロメリット酸イミドを用いると、これが反応中に無水ピ
ロメリット酸に変換され、これを加水分解することによ
り目的化合物であるピロメリット酸に変換できる。
【0027】前記イミド化合物は、担体に担持した形態
で用いてもよい。担体としては、活性炭、ゼオライト、
シリカ、シリカ−アルミナ、ベントナイトなどの多孔質
担体を用いる場合が多い。
【0028】前記イミド化合物の使用量は、広い範囲で
選択でき、例えば、有機基質1モルに対して0.000
1〜1モル、好ましくは0.001〜0.5モル、さら
に好ましくは0.01〜0.4モル程度であり、0.0
5〜0.35モル程度である場合が多い。
【0029】[コバルト化合物及びマンガン化合物]コ
バルト化合物としては、コバルトを含む化合物であれば
特に限定されず、例えば、水酸化コバルト、酸化コバル
ト、塩化コバルトや臭化コバルトなどのハロゲン化コバ
ルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、リン酸コバルト、
コバルトモリブデン酸等のコバルトを含むヘテロポリ酸
又はその塩などの無機化合物;ギ酸コバルト、酢酸コバ
ルト、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルトなど
の有機酸塩やコバルトアセチルアセトナトなどの錯体等
の有機化合物が例示される。コバルトの価数は2価又は
3価の何れであってもよい。これらの中でも、酢酸コバ
ルトなどの有機酸塩やコバルトアセチルアセトナトなど
の錯体等の有機コバルト化合物が好ましい。
【0030】マンガン化合物としては、マンガンを含む
化合物であればよく、例えば、水酸化マンガン、酸化マ
ンガン、塩化マンガンや臭化マンガンなどのハロゲン化
マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン、リン酸マンガ
ン、炭酸マンガン、マンガン酸塩、過マンガン酸塩、マ
ンガンモリブデン酸等のマンガンを含むヘテロポリ酸又
はその塩などの無機化合物;ギ酸マンガン、酢酸マンガ
ン、プロピオン酸マンガン、ナフテン酸マンガン、ステ
アリン酸マンガン、チオシアン酸マンガンなどの有機酸
塩やマンガンアセチルアセトナトなどの錯体等の有機化
合物が例示される。マンガンの価数は2価又は3価の何
れであってもよい。中でも、酢酸マンガンなどの有機酸
塩やマンガンアセチルアセトナトなどの錯体等の有機マ
ンガン化合物が好ましい。
【0031】コバルト化合物及びマンガン化合物の使用
量は、それぞれ、有機基質1モルに対して、例えば0.
0001〜0.3モル、好ましくは0.0005〜0.
1モル、さらに好ましくは0.001〜0.05モル程
度であり、0.002〜0.02モル程度である場合が
多い。
【0032】コバルト化合物とマンガン化合物の比率
は、例えば、前者/後者(モル比)=1/99〜99/
1、好ましくは5/95〜95/5、さらに好ましくは
10/90〜90/10、特に20/80〜80/20
程度である。
【0033】なお、コバルト化合物及びマンガン化合物
のうち何れか一方のみを使用する場合には、基質の転化
率及び/又はカルボン酸の選択率が著しく低下する。
【0034】本発明では、上記イミド化合物、コバルト
化合物及びマンガン化合物の三元触媒に加え、反応の選
択性等を向上させるため、必要に応じて助触媒を用いて
もよい。このような助触媒としては、例えば、セリウ
ム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリ
ブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、ロジウム、イ
リジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、亜鉛など
の遷移金属等の金属元素を含む金属化合物などが挙げら
れる。
【0035】また、系内に、アゾビスイソブチロニトリ
ル(AIBN)などの重合開始剤、ラジカル発生剤やラ
ジカル反応促進剤[ハロゲン(塩素、臭素など)、過
酸、過酸化物、アルデヒド(目的カルボン酸に対応する
アルデヒド等)など]などを存在させてもよい。このよ
うな成分を系内に存在させると、反応が促進される場合
がある。また、基質濃度が高いと反応が阻害されること
があるが、AIBN等の重合開始剤を添加すると、基質
濃度が例えば10重量%以上の高濃度であっても反応が
円滑に進行する。
【0036】[有機基質]本発明の製造法では、原料と
して、酸化によりカルボキシル基に変換可能な基を有す
る有機基質を用いる。このような有機基質には、脂肪族
化合物、脂環式化合物、芳香族化合物、複素環式化合物
等の広範な有機化合物が含まれる。これらの基質は単独
で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】前記酸化によりカルボキシル基に変換可能
な基としては、前記式(1)で表されるイミド化合物を
触媒として酸素酸化した場合にカルボキシル基に変換さ
れる基であればよく、その代表的な例として、(A)芳
香族性環に結合したアルキル基であって該芳香族性環の
隣接位に炭素−水素結合を有する基、(B)非芳香族性
炭素環を構成するメチレン基、(C)ヒドロキシメチル
基、(D)アシル基などが挙げられる。
【0038】前記(A)芳香族性環に結合したアルキル
基であって該芳香族性環の隣接位に炭素−水素結合を有
する基として、例えば、メチル、エチル、プロピル、イ
ソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、ペンチ
ル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ペンチ
ル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル基などの第
1級又は第2級アルキル基が挙げられる。これらの中で
も、C1-4アルキル基、特にメチル基、エチル基、イソ
プロピル基などのC1-3アルキル基が好ましい。これら
のアルキル基は、反応を阻害しない範囲で各種の置換基
を有していてもよい。
【0039】前記芳香族性環には、ベンゼン環、ナフタ
レン環、アセナフチレン環、フェナントレン環、アント
ラセン環、ピレン環などの芳香族炭素環;フラン環、チ
オフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール
環、テトラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾー
ル環、イソチアゾール環、チアゾール環、ピリジン環、
4−オキソ−1,4−ジヒドロピリジン環、2−オキソ
−1,2−ジヒドロピリジン環、ピリダジン環、ピリミ
ジン環、ピラジン環、キノリン環、4−オキソ−4H−
ピラン環、2−オキソ−2H−ピラン環、ベンゾフラン
環、インドール環、インダゾール環、ベンゾトリアゾー
ル環、キナゾリン環、フタラジン環、1,8−ナフチリ
ジン環、アクリジン環、フェナジン環、クロモン環など
の酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択された少な
くとも1種のヘテロ原子を1〜3程度有する芳香族性複
素環などが挙げられる。これらの芳香族性環は、反応を
阻害しない範囲で種々の置換基を有していてもよく、ま
た、芳香族性環又は非芳香族性環が縮合していてもよ
い。
【0040】このような(A)芳香族性環に結合したア
ルキル基であって該芳香族性環の隣接位に炭素−水素結
合を有する基をもつ化合物の代表的な例として、例え
ば、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシ
レン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン(クメ
ン)、1−エチル−4−メチルベンゼン、1−エチル−
3−メチルベンゼン、1−t−ブチル−4−メチルベン
ゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−
トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン
(メシチレン)、1,2,3,5−テトラメチルベンゼ
ン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,2,
4,5−テトラメチルベンゼン(デュレン)、1,2,
3,4,5,6−ヘキサメチルベンゼン、1−メチルナ
フタレン、2−メチルナフタレン、1,5−ジメチルナ
フタレン、2,5−ジメチルナフタレン、メチルアント
ラセン、ジメチルアントラセン、トリメチルアントラセ
ン、4,4′−ジメチルビフェニル、o−クレゾール、
m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノー
ル、チモール、2−メチル安息香酸、3−メチル安息香
酸、4−メチル安息香酸、2,4,5−トリメチル安息
香酸、4,5−ジメチルフタル酸、4,6−ジメチルイ
ソフタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、4−クロ
ロ−1−メチルベンゼン、3,4,5,6−テトラクロ
ロ−1,2−ジメチルベンゼン、3,4,5,6−テト
ラブロモ−1,2−ジメチルベンゼン、2−メトキシ−
1−メチルベンゼン、3−メトキシ−1−メチルベンゼ
ン、4−メトキシ−1−メチルベンゼン、4−エトキシ
−1−メチルベンゼン、4−イソプロポキシ−1−メチ
ルベンゼン、2−アセトキシ−1−メチルベンゼン、3
−アセトキシ−1−メチルベンゼン、4−アセトキシ−
1−メチルベンゼン、4−プロピオニルオキシ−1−メ
チルベンゼン、4−メトキシカルボニル−1−メチルベ
ンゼン、4−エトキシカルボニル−1−メチルベンゼ
ン、4−アミノ−1−メチルベンゼン、4−ジメチルア
ミノ−1−メチルベンゼン、2,3−ジメチルニトロベ
ンゼンなどの芳香族性炭素環に1〜6個(好ましくは1
〜4個)程度のアルキル基(好ましくはC1-4アルキル
基、特にメチル基)が置換した芳香族炭化水素類が挙げ
られる。これらの化合物の芳香族性炭素環には、例え
ば、カルボキシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、
アルコキシ基、アシルオキシ基、置換オキシカルボニル
基、置換又は無置換アミノ基、ニトロ基などのアルキル
基以外の置換基が結合していてもよい。
【0041】また、他の代表的な例として、例えば、2
−メチルフラン、3−メチルフラン、2−メチルチオフ
ェン、3−メチルチオフェン、2−メチルピリジン(α
−ピコリン)、3−メチルピリジン(β−ピコリン)、
4−メチルピリジン(γ−ピコリン)、2−エチルピリ
ジン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジン、3−
イソプロピルピリジン、2,3−ジメチルピリジン
(2,3−ルチジン)、2,4−ジメチルピリジン
(2,4−ルチジン)、2,5−ジメチルピリジン
(2,5−ルチジン)、3,5−ジメチルピリジン
(3,5−ルチジン)、2,6−ジメチルピリジン
(2,6−ルチジン)、2−エチル−4−メチルピリジ
ン、2,3,4−トリメチルピリジン、2,3,5−ト
リメチルピリジン、2,3,6−トリメチルピリジン、
2,4,6−トリメチルピリジン、4−メチルインドー
ル、5−メチルインドール、7−メチルインドール、2
−メチルキノリン、3−メチル−4−ピロン、3,5−
ジメチル−4−ピロン、N−置換又は無置換−3−メチ
ル−4−ピリドン、N−置換又は無置換−3,5−ジメ
チル−4−ピリドン、2−クロロ−4−メチルピリジン
など芳香族性複素環に1〜6個(好ましくは1〜4個)
程度のアルキル基(好ましくはC1-4アルキル基、特に
メチル基)基が置換した複素環化合物などが例示でき
る。これらの化合物の芳香族性複素環には、例えば、カ
ルボキシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコ
キシ基、アシルオキシ基、置換オキシカルボニル基、置
換又は無置換アミノ基、ニトロ基などのアルキル基以外
の置換基が結合していてもよい。
【0042】これらの(A)芳香族性環に結合したアル
キル基であって該芳香族性環の隣接位に炭素−水素結合
を有する基を有する化合物では、該芳香族性環の隣接位
の炭素原子が酸化されてカルボキシル基に変換され、対
応する芳香族モノ若しくはポリカルボン酸又は芳香族性
複素環式モノ若しくはポリカルボン酸が生成する。
【0043】従来の触媒的酸素酸化法では、基質や生成
物等として分子内にフェノール性のヒドロキシル基やそ
の保護体を有する化合物が系内に存在すると、酸化反応
が阻害される場合が多いが、本発明の方法によれば、そ
のような場合でも高い収率でカルボン酸を得ることがで
きる。例えば、4−アセトキシ−1−メチルベンゼンか
ら90%以上の収率で4−アセトキシ安息香酸が生成す
る。
【0044】前記(B)非芳香族性炭素環を構成するメ
チレン基における非芳香族性炭素環としては、シクロプ
ロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロ
ペンテン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シ
クロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロオクテン
環、シクロノナン環、シクロデカン環、シクロドデカン
環、シクロテトラデカン環、シクロヘキサデカン環、シ
クロテトラコサン環、シクロトリアコンタン環などの3
〜30員(好ましくは5〜30員、さらに好ましくは5
〜20員)程度のシクロアルカン環及びシクロアルケン
環が挙げられる。これらの非芳香族性炭素環には、反応
を阻害しない範囲で種々の置換基が結合していてもよ
い。
【0045】このような(B)非芳香族性炭素環を構成
するメチレン基を有する化合物の代表的な例として、例
えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタ
ン、シクロデカン、シクロドデカン、シクロテトラデカ
ンなどが挙げられる。
【0046】これらの(B)非芳香族性炭素環を構成す
るメチレン基を有する化合物では、該メチレン基を構成
する炭素原子とその隣接位の炭素原子との間の結合が酸
化的に開裂して、ジカルボン酸が生成する。例えば、シ
クロヘキサンからはアジピン酸、シクロドデカンからは
ドデカン二酸が生成する。
【0047】前記(C)ヒドロキシメチル基のヒドロキ
シル基が結合している炭素原子には、反応を阻害しない
範囲で種々の置換基(例えば、メチル基等のアルキル基
など)が結合していてもよい。また、前記炭素原子に結
合した2つの置換基が互いに結合して環を形成していて
もよい。
【0048】このような(C)ヒドロキシメチル基を有
する化合物の代表的な例として、例えば、メタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノー
ル、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ベンジ
ルアルコール、α,α−ジメチルベンジルアルコールな
どの1価アルコール;シクロペンタノール、シクロヘキ
サノールなどのシクロアルカノール;エチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン
などの多価アルコール(2価アルコールを含む)などが
挙げられる。
【0049】これらの(C)ヒドロキシメチル基を有す
る化合物では、該ヒドロキシメチル基がカルボキシル基
に変換され、対応するカルボン酸が生成する。例えば、
1価アルコールからは対応するモノカルボン酸、シクロ
アルカノールからは酸化開裂した対応するジカルボン酸
(例えば、シクロヘキサノールからはアジピン酸)、多
価アルコールからは対応するポリカルボン酸が得られ
る。特に、本発明では、2価アルコールなどの多価アル
コールを容易に対応するジカルボン酸などのポリカルボ
ン酸に変換できる。例えば、従来の方法では、ジエチレ
ングリコールから対応するジカルボン酸[2−(カルボ
キシメチルオキシ)酢酸]への変換は困難であったが、
本発明の方法によれば、70%以上の高い収率で該ジカ
ルボン酸を得ることができる。この化合物は加水分解す
ることによりグリコール酸に変換できる。
【0050】前記(D)アシル基には、ホルミル、アセ
チル、プロピオニル、ブチリル基などの脂肪族アシル
基;シクロヘキサンカルボニル基などの脂環式アシル
基;ベンゾイル、ナフトイル基などの芳香族アシル基;
ピリジンカルボニル基、フランカルボニル基、チオフェ
ンカルボニル基などの複素環式アシル基が含まれる。
(D)アシル基には、反応を阻害しない範囲で種々に置
換基を有していてもよい。
【0051】このような(D)アシル基を有する化合物
の代表的な例として、例えば、アセトアルデヒド、プロ
ピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、
ヘキサナール、デカナール、ベンズアルデヒドなどのア
ルデヒド;アセトフェノン、プロピオフェノンなどの芳
香族ケトン;アセチルピリジンなどの芳香族性複素環式
ケトン;シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどの環
状ケトンなどが挙げられる。
【0052】これらの(D)アシル基を有する化合物で
は、反応により該アシル基のカルボニル炭素が酸化され
て(ケトンの場合には炭素−炭素結合の開裂を伴っ
て)、対応するカルボン酸が生成する。例えば、前記ア
ルデヒドからは対応するカルボン酸、芳香族ケトンから
は対応する芳香族カルボン酸(例えば、アセトフェノン
からは安息香酸)、芳香族性複素環式ケトンからは対応
する芳香族性複素環式カルボン酸、環状ケトンからは対
応するジカルボン酸(例えば、シクロヘキサノンからは
アジピン酸)が得られる。
【0053】[共酸化剤]本発明では、有機基質を前記
イミド化合物と酸素とにより酸化可能であって且つ当該
有機基質とは異なる化合物(共酸化剤)を共存させるこ
とにより、反応速度を促進させることができる。また、
基質の種類によっては基質濃度が高いと反応が阻害され
て反応速度が著しく低下する場合があるが、共酸化剤を
共存させると、基質濃度が10重量%以上の高濃度(例
えば50重量%程度)であっても反応が円滑に進行す
る。
【0054】上記共酸化剤としては、前記イミド化合物
を触媒とする酸化反応について開示している特開平8−
38909号公報、特開平9−327626号公報、特
開平10−286467号公報、特開平11−1063
77号公報等において、基質として記載されている化合
物などが含まれる。
【0055】例えば、前記共酸化剤として、(a)第1
級又は第2級アルコール、(b)不飽和結合に隣接する
部位に炭素−水素結合を有する化合物、(c)メチン炭
素原子を有する化合物、(d)シクロアルカン類、
(e)ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合を有する非
芳香族性複素環化合物、(f)共役化合物、(g)芳香
族炭化水素、(h)チオール類、(i)エーテル類、
(j)スルフィド類、(k)アルデヒド若しくはチオア
ルデヒド類、及び(l)アミン類から選択された少なく
とも1種の化合物を使用できる。これらの化合物は、種
々の置換基、例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロ
キシル基、メルカプト基、置換オキシ基(例えば、アル
コキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基など)、
置換チオ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル
基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ
基、置換又は無置換アミノ基、アルキル基、アルケニル
基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニ
ル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基な
ど)、アラルキル基、複素環基などを有していてもよ
い。
【0056】(a)第1級又は第2級アルコール 第1級又は第2級アルコール(a)には、広範囲のアル
コールが含まれる。アルコールは、1価、2価又は多価
アルコールの何れであってもよい。第1級アルコールと
しては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、
1−ブタノール、エチレングリコール、シクロヘキシル
メチルアルコール、ベンジルアルコール、2−フェニル
エチルアルコール、2−ヒドロキシメチルピリジンなど
の脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式第1級アルコー
ルが挙げられる。
【0057】第2級アルコールとしては、2−プロパノ
ール、s−ブチルアルコール、2−ペンタノール、3−
ペンタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノー
ル、シクロオクタノール、1−フェニルエタノール、1
−フェニルメチルエタノール、ジフェニルメタノール、
1−(2−ピリジル)エタノールなどの脂肪族、脂環
式、芳香族又は複素環式第2級アルコールが挙げられ
る。
【0058】(b)不飽和結合に隣接する部位に炭素−
水素結合を有する化合物 不飽和結合に隣接する部位に炭素−水素結合を有する化
合物(b)としては、(b1)芳香族性環の隣接位(いわ
ゆるベンジル位)にメチル基又はメチレン基を有する芳
香族性化合物、(b2)不飽和結合(例えば、炭素−炭素
三重結合、炭素−酸素二重結合など)の隣接位にメチル
基又はメチレン基を有する非芳香族性化合物などが挙げ
られる。
【0059】前記芳香族性化合物(b1)における芳香族
性環としては、前記基質の説明箇所で示したものと同様
のものが挙げられる。なお、芳香族性環の隣接位のメチ
レン基は、前記芳香族性環に縮合した非芳香族性環を構
成するメチレン基であってもよい。
【0060】芳香族性環の隣接位にメチル基を有する芳
香族化合物としては、例えば、前記(A)芳香族性環に
結合したアルキル基であって該芳香族性環の隣接位に炭
素−水素結合を有する基を有する化合物のうち該当する
化合物などが例示できる。
【0061】不飽和結合の隣接位にメチル基又はメチレ
ン基を有する非芳香族性化合物(b2)には、例えば、
(b2-1)炭素−炭素三重結合の隣接位にメチル基又はメ
チレン基を有する鎖状不飽和炭化水素類、(b2-2)カル
ボニル基の隣接位にメチル基又はメチレン基を有する化
合物が例示できる。
【0062】前記鎖状不飽和炭化水素類(b2-1)として
は、例えば、メチルアセチレン、2−ブチンなどの炭素
数3〜20程度のアルキン類が例示できる。前記化合物
(b2-2)には、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエ
チルケトン、3−ペンタノン、アセトフェノンなどの鎖
状ケトン類;シクロヘキサノンなどの環状ケトン類)、
カルボン酸又はその誘導体(例えば、マロン酸、コハク
酸、グルタル酸、及びこれらのエステルなど)などが含
まれる。
【0063】(c)メチン炭素原子を有する化合物 メチン炭素原子(又は第3級炭素原子)を有する化合物
(c)には、(c1)環の構成単位としてメチン基(すな
わち、メチン炭素−水素結合)を含む環状化合物、(c
2)メチン炭素原子を有する鎖状化合物が含まれる。
【0064】環状化合物(c1)には、(c1-1)少なくと
も1つのメチン基を有する橋かけ環式化合物、(c1-2)
環に炭化水素基が結合した非芳香族性環状化合物(脂環
式炭化水素など)などが含まれる。なお、前記橋かけ環
式化合物には、2つの環が2個の炭素原子を共有してい
る化合物、例えば、縮合多環式芳香族炭化水素類の水素
添加生成物なども含まれる。
【0065】橋かけ環式化合物(c1-1)としては、例え
ば、デカリン、ピナン、ピネン、ボルナン、ボルニレ
ン、ノルボルナン、ノルボルネン、アダマンタン、ペル
ヒドロアントラセン、キヌクリジンなどの2〜4環式の
橋かけ環式炭化水素又は橋かけ複素環化合物及びそれら
の誘導体などが挙げられる。
【0066】環に炭化水素基が結合した非芳香族性環状
化合物(c1-2)としては、1−メチルシクロペンタン、
1−メチルシクロヘキサン、リモネンなどの、炭素数1
〜20(好ましくは1〜10)程度の炭化水素基(例え
ば、アルキル基など)が環に結合した3〜15員程度の
脂環式炭化水素及びその誘導体などが挙げられる。
【0067】メチン炭素原子を有する鎖状化合物(c2)
としては、第3級炭素原子を有する鎖状炭化水素類、例
えば、イソブタン、イソペンタン、イソヘキサン、3−
メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチル
ヘキサン、3−メチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキ
サン、3−メチルオクタンなどの炭素数4〜20(好ま
しくは、4〜10)程度の脂肪族炭化水素類およびその
誘導体などが例示できる。
【0068】(d)シクロアルカン類 シクロアルカン類(d)としては、3〜30員のシクロ
アルカン環を有する化合物、例えば、シクロペンタン、
シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、シク
ロドデカンなど、及びこれらの誘導体が例示できる。
【0069】(e)ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結
合を有する非芳香族性複素環化合物 ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合を有する非芳香族
性複素環化合物(e)における非芳香族性複素環には、
窒素原子、酸素原子及びイオウ原子から選択された少な
くとも1種のヘテロ原子を有する3〜20員(好ましく
は5〜12員、さらに好ましくは5又は6員)の複素環
などが含まれる。前記複素環には、ベンゼン環、シクロ
ヘキサン環、ピリジン環などの芳香族性又は非芳香族性
の環が1又は2以上縮合していてもよい。前記複素環と
しては、例えば、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラ
ン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ピ
ロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、イン
ドリン、クロマン、イソクロマンなどが例示される。
【0070】(f)共役化合物 共役化合物(f)には、共役ジエン類(f1)、α,β−
不飽和ニトリル(f2)、α,β−不飽和カルボン酸又は
その誘導体(例えば、エステル、アミド、酸無水物等)
(f3)などが挙げられる。
【0071】共役ジエン類(f1)としては、例えば、ブ
タジエン、イソプレン、2−クロロブタジエン、2−エ
チルブタジエンなどが挙げられる。共役ジエン類(f1)
を共酸化剤として用いると、共役ジエン類(f1)はアル
ケンジオールなどに酸化される。例えば、ブタジエンを
共酸化剤として用いると、2−ブテン−1,4−ジオー
ル、1−ブテン−3,4−ジオールなどが生成する。
α,β−不飽和ニトリル(f2)としては、例えば、(メ
タ)アクリロニトリルなどが挙げられる。α,β−不飽
和カルボン酸又はその誘導体(f3)としては、(メタ)
アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピルなどの
(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなど(メ
タ)アクリルアミド誘導体などが挙げられる。
【0072】(g)芳香族炭化水素 芳香族炭化水素(g)としては、ベンゼン、ナフタレ
ン、アセナフチレン、フェナントレン、アントラセンな
どの、少なくともベンゼン環を1つ有する芳香族化合
物、好ましくは少なくともベンゼン環が複数個(例え
ば、2〜10個)縮合している縮合多環式芳香族化合物
などが挙げられる。これらの芳香族炭化水素は、1又は
2以上の置換基を有していてもよい。また、前記ベンゼ
ン環には、非芳香族性炭素環、芳香族性複素環又は非芳
香族性複素環が縮合していてもよい。
【0073】(h)チオール類 チオール類(h)としては、メタンチオール、エタンチ
オール、1−プロパンチオール、1−ブタンチオール、
エチレンチオグリコール、シクロヘキサンチオール、フ
ェニルメタンチオールなどの脂肪族、脂環式又は芳香族
チオールなどが挙げられる。
【0074】(i)エーテル類 エーテル類(i)としては、ジエチルエーテル、ジプロ
ピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエー
テル、ジアリルエーテル、メチルビニルエーテルなどの
脂肪族エーテル類;アニソール、フェネトール、ジベン
ジルエーテル、フェニルベンジルエーテル等の芳香族エ
ーテルなどが挙げられる。
【0075】(j)スルフィド類 スルフィド類(j)としては、ジエチルスルフィド、ジ
プロピルスルフィド、ジイソプロピルスルフィド、ジブ
チルスルフィド、ジアリルスルフィドなどの脂肪族スル
フィド類;メチルフェニルスルフィド、ジフェニルスル
フィド、ジベンジルスルフィドなどの芳香族スルフィド
類などが挙げられる。
【0076】(k)アルデヒド若しくはチオアルデヒド
類 アルデヒド類としては、アセトアルデヒド、プロピオン
アルデヒド、ヘキサナール、デカナール、スクシンアル
デヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒドなど
の脂肪族アルデヒド;ホルミルシクロヘキサン、シトラ
ール、シトロネラールなどの脂環式アルデヒド;ベンズ
アルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、シンナムアルデ
ヒド、サリチルアルデヒド、アニスアルデヒド、フタル
アルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデ
ヒドなどの芳香族アルデヒド;フルフラール、ニコチン
アルデヒドなどの複素環アルデヒドなどが挙げられる。
チオアルデヒド類としては、前記アルデヒド類に対応す
るチオアルデヒド類が挙げられる。
【0077】(l)アミン類 アミン類(l)としては、第1級または第2級アミン、
例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミ
ン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、ヒドロキシル
アミン、エタノールアミンなどの脂肪族アミン;シクロ
ヘキシルアミンなどの脂環式アミン;ベンジルアミン、
トルイジンなどの芳香族アミンなどが例示される。
【0078】これらの共酸化剤の中でも、(a)第1級
又は第2級アルコール、(b)不飽和結合に隣接する部
位に炭素−水素結合を有する化合物、(c)メチン炭素
原子を有する化合物、(d)シクロアルカン類、(k)
アルデヒド若しくはチオアルデヒド類などが好ましく、
特に、第2級アルコール、(b1)芳香族性環の隣接位
(いわゆるベンジル位)にメチル基又はメチレン基を有
する芳香族化合物、(b2-2)カルボニル基の隣接位にメ
チル基又はメチレン基を有する化合物(メチルエチルケ
トンなどのケトン類等)、及びアルデヒドが好ましい。
なお、アルデヒドは前記ラジカル発生剤又はラジカル反
応促進剤としても分類される。
【0079】共酸化剤としてアルデヒドを用いる場合、
目的のカルボン酸に対応するアルデヒドを使用すると、
共酸化剤も目的化合物に変換されるため、効率よくカル
ボン酸を製造できる。例えば、β−ピコリンを酸化して
ニコチン酸を製造する場合、ニコチンアルデヒド(ピリ
ジン−3−アルデヒド)を共酸化剤として使用すると、
反応速度が速くなり、且つ基質濃度が高くても反応が円
滑に進行するという効果が得られるだけでなく、ニコチ
ンアルデヒドがニコチン酸に酸化されるため、目的のニ
コチン酸を極めて効率よく製造することができる。
【0080】また、前記有機基質を2種以上組み合わせ
て用いると、一方が他方の共酸化剤として機能し、一方
又は両方の基質の反応が著しく促進されるため、複数の
カルボン酸を効率よく併産することができる。例えば、
β−ピコリンとγ−ピコリンとを所望の割合で反応に供
することにより、高い収率及び選択率でニコチン酸及び
4−ピリジンカルボン酸を製造することができる。
【0081】前記共酸化剤は単独で又は2種以上混合し
て使用できる。共酸化剤の使用量は基質や共酸化剤の種
類に応じて適宜選択でき、例えば、有機基質1モルに対
して、0.005〜200モル程度である。共酸化剤を
触媒的に少量用いてもよく、また反応溶媒として使用す
ることも可能である。
【0082】[酸素]基質の酸化に利用される分子状酸
素は、特に制限されず、純粋な酸素を用いてもよく、窒
素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガス
で希釈した酸素を使用してもよい。操作性及び安全性の
みならず経済性などの点から、空気を使用するのが好ま
しい。
【0083】分子状酸素の使用量は、基質の種類に応じ
て適宜選択できるが、通常、基質1モルに対して、0.
5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜1
00モル、さらに好ましくは2〜50モル程度である。
基質に対して過剰モルの分子状酸素を使用する場合が多
い。
【0084】[酸化反応]反応は溶媒の存在下又は非存
在下で行われる。前記溶媒として、例えば、酢酸、プロ
ピオン酸などの有機酸;アセトニトリル、プロピオニト
リル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ホルムアミ
ド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、
ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ヘキサン、オク
タンなどの脂肪族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメ
タン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、
トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水
素;ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタンなど
のニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステ
ル類;これらの混合溶媒などが挙げられる。溶媒として
は、酢酸などの有機酸類、アセトニトリルやベンゾニト
リルなどのニトリル類、トリフルオロメチルベンゼンな
どのハロゲン化炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類
などを用いる場合が多い。
【0085】本発明の重要な特徴の1つは、反応を11
0〜200℃の温度範囲で行う点にある。反応温度が1
10℃未満では、反応速度が遅いだけでなく、アルコー
ルやアルデヒド等の低次酸化物が副生しやすく、目的の
カルボン酸を高い収率及び選択率で得ることができな
い。また、アルデヒド等の低次酸化物はカルボン酸を各
種用途に用いる場合に様々な悪影響を及ぼすが、一般に
分離が困難なため、高純度のカルボン酸を得るには、多
数の分離精製工程や特殊な分離精製手段が必要となる。
さらに、反応温度が110℃未満では、カルボキシル基
に変換可能な基を複数個有する有機基質を酸化する場
合、その全てをカルボキシル基に変換することが困難で
あり、ポリカルボン酸を効率よく製造することができな
い。一方、反応温度が200℃を超えると、目的生成物
の分解など副反応が著しく増大する上、触媒として用い
るイミド化合物も分解、変質しやすくなる。
【0086】反応温度は、好ましくは120〜190℃
程度、さらに好ましくは125〜160℃程度である。
反応は常圧又は加圧下で行うことができ、加圧下で反応
させる場合には、通常、1〜100atm(=0.10
1〜10.1MPa)[例えば、1.5〜80atm
(=0.152〜8.08MPa)]程度であり、例え
ば、酸素含有ガスとして空気を用いる場合、通常5〜7
0atm(=0.505〜7.07MPa)程度であ
る。また、十分な反応速度を得るため、酸素の分圧は
0.5atm(=0.0505MPa)以上、特に1a
tm(=0.101MPa)以上であるのが好ましい。
【0087】反応は、分子状酸素の存在下又は分子状酸
素の流通下、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方
法により行うことができる。反応終了後、反応生成物等
は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶
析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離精製
手段やこれらの組み合わせにより、容易に分離精製でき
る。
【0088】本発明の方法によれば、前記イミド化合物
のみ、或いは前記イミド化合物とマンガン化合物又はコ
バルト化合物との二元触媒ではほとんど進まない反応が
円滑に進行し、種々のカルボン酸を高い収率で得ること
ができる。また、アルコールやアルデヒド等の低次酸化
物の副生が抑制され、カルボン酸が高い選択率で生成す
るため、簡易な精製により高純度のカルボン酸(例え
ば、高純度テレフタル酸など)を容易に製造できる。さ
らに、酸化によりカルボキシル基に変換可能な基を複数
個有する基質であっても、それらの被酸化基(特に、前
記(A1)芳香族性環の隣接位に結合したメチル基及び
(C)ヒドロキシメチル基)を全て効率よくカルボキシ
ル基に変換することも可能である。
【0089】[触媒の回収]触媒として用いた前記イミ
ド化合物、コバルト化合物及びマンガン化合物は、例え
ば、前記分離精製手段により回収でき、回収した触媒は
再利用できる。
【0090】なお、前記イミド化合物は、反応中に種々
の分解物又は変質物に変化しうるが、本発明の反応条件
下では、前記式(2)で表される環状酸無水物に効率よ
く変換される。特に、基質としてピコリンなどの塩基性
化合物(窒素含有化合物)を用いた場合や、反応系内に
塩基性化合物を共存させた場合には、前記イミド化合物
が高い割合で前記環状酸無水物に変化する。この環状酸
無水物は、前記イミド化合物が反応系中で加水分解され
た化合物やその誘導体が脱水などを伴い閉環して生成す
るものと考えられる。このような環状酸無水物の代表例
として無水フタル酸などが挙げられる。
【0091】この環状酸無水物は、前述のように、ヒド
ロキシルアミンNH2OHと反応させることにより容易
に式(1)で表されるイミド化合物に再生できる。その
ため、反応終了後、前記環状酸無水物を分離回収する工
程を設けるのが有利である。前記環状酸無水物の分離回
収法としては、例えば、濾過、抽出、晶析、再結晶、蒸
留など前記分離精製手段を採用できる。
【0092】
【発明の効果】本発明の方法によれば、特定の三元触媒
を用い且つ特定の温度範囲で基質を酸化するため、種々
の有機基質からカルボン酸を高い収率及び選択率で得る
ことができる。また、芳香族環の隣接位に結合したメチ
ル基などの被酸化基を複数個有する基質を酸化する場
合、それらの被酸化基を全てカルボキシル基に変換する
ことができる。さらに、反応性の低い基質であっても効
率よく酸化して対応するカルボン酸を得ることができる
とともに、基質濃度が高くても反応を円滑に進行させる
ことができる。また、反応に用いたイミド化合物触媒を
再生可能な状態で効率よく回収することができる。
【0093】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定
されるものではない。なお、反応生成物の分析はガスク
ロマトグラフィー及び高速液体クロマトグラフィーによ
り行った。
【0094】実施例1 β−ピコリン2ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
0.4ミリモル、酢酸マンガン(II)0.02ミリモ
ル、酢酸コバルト(II)0.02ミリモル、及び酢酸7
mlの混合物を、空気雰囲気下(20atm=2.02
MPa)、150℃で5時間撹拌した。その結果、ニコ
チン酸が95%の収率で生成していた。なお、ニコチン
アルデヒドは検出されなかった。β−ピコリンの転化率
は97%であった。
【0095】実施例2 反応温度を140℃にした以外は実施例1と同様の操作
を行ったところ、ニコチン酸が96%の収率で生成して
いた。なお、ニコチンアルデヒドが痕跡量生成してい
た。β−ピコリンの転化率は98%であった。
【0096】実施例3 反応温度を130℃にした以外は、実施例1と同様の操
作を行ったところ、ニコチン酸が95%の収率で生成し
ていた。なお、ニコチンアルデヒドが痕跡量生成してい
た。β−ピコリンの転化率は97%であった。
【0097】実施例4 反応温度を120℃にした以外は、実施例1と同様の操
作を行ったところ、ニコチン酸が87%、ニコチンアル
デヒドが1%の収率で生成していた。β−ピコリンの転
化率は92%であった。
【0098】実施例5 反応温度を110℃にした以外は、実施例1と同様の操
作を行ったところ、ニコチン酸が84%、ニコチンアル
デヒドが1%の収率で生成していた。β−ピコリンの転
化率は90%であった。
【0099】比較例1 反応温度を100℃にした以外は、実施例1と同様の操
作を行ったところ、ニコチン酸が74%、ニコチンアル
デヒドが1%の収率で生成していた。β−ピコリンの転
化率は80%であった。
【0100】実施例6 γ−ピコリン2ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
0.2ミリモル、酢酸マンガン(II)0.01ミリモ
ル、酢酸コバルト(II)0.01ミリモル、及び酢酸3
mlの混合物を、空気雰囲気下(20atm=2.02
MPa)、150℃で5時間撹拌した。その結果、4−
ピリジンカルボン酸が34%の収率で生成していた。γ
−ピコリンの転化率は38%であった。
【0101】比較例2 酢酸マンガン(II)を0.02ミリモル用い、酢酸コバ
ルト(II)を用いなかった点以外は実施例6と同様の操
作を行ったところ、4−ピリジンカルボン酸は生成して
いなかった。γ−ピコリンの転化率は3%であった。
【0102】比較例3 酢酸コバルト(II)を0.02ミリモル用い、酢酸マン
ガン(II)を用いなかった点以外は実施例6と同様の操
作を行ったところ、4−ピリジンカルボン酸は生成して
いなかった。γ−ピコリンの転化率は3%であった。
【0103】実施例7 γ−ピコリン2ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
0.4ミリモル、酢酸マンガン(II)0.02ミリモ
ル、酢酸コバルト(II)0.02ミリモル、及び酢酸7
mlの混合物を、空気雰囲気下(20atm=2.02
MPa)、130℃で5時間撹拌した。その結果、4−
ピリジンカルボン酸が74%の収率で生成していた。γ
−ピコリンの転化率は99%であった。
【0104】実施例8 α−ピコリン2ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
0.4ミリモル、酢酸マンガン(II)0.02ミリモ
ル、酢酸コバルト(II)0.02ミリモル、及び酢酸7
mlの混合物を、空気雰囲気下(20atm=2.02
MPa)、130℃で5時間撹拌した。その結果、2−
ピリジンカルボン酸が52%の収率で生成していた。α
−ピコリンの転化率は70%であった。
【0105】実施例9 2,6−ルチジン2ミリモル、N−ヒドロキシフタルイ
ミド0.4ミリモル、酢酸マンガン(II)0.02ミリ
モル、酢酸コバルト(II)0.02ミリモル、及び酢酸
7mlの混合物を、空気雰囲気下(20atm=2.0
2MPa)、130℃で5時間撹拌した。その結果、2
−メチル−6−ピリジンカルボン酸が37%、2,6−
ピリジンジカルボン酸が4%の収率で生成していた。
2,6−ルチジンの転化率は51%であった。
【0106】実施例10 β−ピコリン1ミリモル、γ−ピコリン1ミリモル、N
−ヒドロキシフタルイミド0.4ミリモル、酢酸マンガ
ン(II)0.02ミリモル、酢酸コバルト(II)0.0
2ミリモル、及び酢酸7mlの混合物を、空気雰囲気下
(20atm=2.02MPa)、130℃で5時間撹
拌した。その結果、ニコチン酸が92%(β−ピコリン
基準)、4−ピリジンカルボン酸が88%(γ−ピコリ
ン基準)の収率で生成していた。β−ピコリンとγ−ピ
コリンのトータルの転化率は99%であった。
【0107】実施例11 3−メチルチオフェン2ミリモル、N−ヒドロキシフタ
ルイミド0.2ミリモル、酢酸マンガン(II)0.01
ミリモル、酢酸コバルト(II)0.01ミリモル、及び
アセトニトリル5mlの混合物を、酸素雰囲気下(1a
tm=0.101MPa)、140℃で25時間撹拌し
た。その結果、3−チオフェンカルボン酸が17%、3
−チオフェンカルバルデヒドが16%、3−チオフェン
メタノールが2%の収率で生成していた。3−メチルチ
オフェンの転化率は46%であった。
【0108】実施例12 p−キシレン2ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
0.4ミリモル、酢酸マンガン(II)0.01ミリモ
ル、酢酸コバルト(II)0.01ミリモル、及び酢酸5
mlの混合物を、酸素雰囲気下(1atm=0.101
MPa)、110℃で14時間撹拌した。その結果、テ
レフタル酸が87%、p−トルイル酸が4%の収率で生
成していた。なお、4−ホルミル安息香酸、1−ヒドロ
キシメチル−4−メチルベンゼン、1−アセトキシメチ
ル−4−ヒドロキシメチルベンゼン、1,4−ビス(ア
セトキシメチル)ベンゼンは検出されなかった。p−キ
シレンの転化率は99%であった。
【0109】実施例13 酢酸マンガン(II)を0.002ミリモル使用した以外
は実施例12と同様の操作を行ったところ、テレフタル
酸が82%、p−トルイル酸が5%、1−ヒドロキシメ
チル−4−メチルベンゼンが1%、1,4−ビス(アセ
トキシメチル)ベンゼンが1%の収率で生成していた。
なお、4−ホルミル安息香酸、、1−アセトキシメチル
−4−ヒドロキシメチルベンゼンは検出されなかった。
p−キシレンの転化率は98%であった。
【0110】比較例4 酢酸マンガン(II)及び酢酸コバルト(II)を用いなか
った点以外は実施例12と同様の操作を行ったところ、
テレフタル酸が5%、p−トルイル酸が46%、4−ホ
ルミル安息香酸が2%、1−ヒドロキシメチル−4−メ
チルベンゼンが1%、1−アセトキシメチル−4−ヒド
ロキシメチルベンゼンが1%、1,4−ビス(アセトキ
シメチル)ベンゼンが3%の収率で生成していた。p−
キシレンの転化率は95%であった。
【0111】比較例5 酢酸マンガン(II)を用いなかった点以外は実施例12
と同様の操作を行ったところ、テレフタル酸が70%、
p−トルイル酸が15%、1−ヒドロキシメチル−4−
メチルベンゼンが1%、1,4−ビス(アセトキシメチ
ル)ベンゼンが1%の収率で生成していた。なお、4−
ホルミル安息香酸、、1−アセトキシメチル−4−ヒド
ロキシメチルベンゼンは検出されなかった。p−キシレ
ンの転化率は99%であった。
【0112】比較例6 反応温度を90℃、反応時間を20時間とした以外は実
施例12と同様の操作を行ったところ、テレフタル酸が
66%、p−トルイル酸が17%、4−ホルミル安息香
酸が5%、1−ヒドロキシメチル−4−メチルベンゼン
が2%の収率で生成していた。なお、1−アセトキシメ
チル−4−ヒドロキシメチルベンゼン及び1,4−ビス
(アセトキシメチル)ベンゼンは検出されなかった。p
−キシレンの転化率は99%であった。
【0113】実施例14 p−キシレン2ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
0.4ミリモル、酢酸マンガン(II)0.01ミリモ
ル、酢酸コバルト(II)0.01ミリモル、及び酢酸5
mlの混合物を、空気雰囲気下(30atm=3.03
MPa)、150℃で6時間撹拌した。その結果、テレ
フタル酸が86%、p−トルイル酸が2%、4−ホルミ
ル安息香酸が0.6%の収率で生成していた。p−キシ
レンの転化率は99%であった。
【0114】実施例15 p−キシレン2ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド
0.4ミリモル、酢酸マンガン(II)0.01ミリモ
ル、酢酸コバルト(II)0.01ミリモル、及び酢酸5
mlの混合物を、空気雰囲気下(30atm=3.03
MPa)、180℃で6時間撹拌した。その結果、テレ
フタル酸が87%、p−トルイル酸が1%、4−ホルミ
ル安息香酸が0.4%の収率で生成していた。p−キシ
レンの転化率は99%であった。
【0115】実施例16 2,3−ジメチルニトロベンゼン2ミリモル、N−ヒド
ロキシフタルイミド0.4ミリモル、酢酸マンガン(I
I)0.02ミリモル、酢酸コバルト(II)0.02ミ
リモル、及び酢酸7mlの混合物を、空気雰囲気下(2
0atm=2.02MPa)、130℃で5時間撹拌し
た。その結果、2−メチル−3−ニトロ安息香酸が63
%、2−メチル−6−ニトロ安息香酸が2%の収率で生
成していた。2,3−ジメチルニトロベンゼンの転化率
は95%であった。
【0116】実施例17 1−アセトキシ−4−メチルベンゼン2ミリモル、N−
ヒドロキシフタルイミド0.4ミリモル、酢酸マンガン
(II)0.02ミリモル、酢酸コバルト(II)0.02
ミリモル、及び酢酸7mlの混合物を、空気雰囲気下
(35atm=3.54MPa)、140℃で5時間撹
拌した。その結果、4−アセトキシ安息香酸が93%の
収率で生成していた。1−アセトキシ−4−メチルベン
ゼンの転化率は99%であった。
【0117】実施例18 ジエチレングリコール2ミリモル、N−ヒドロキシフタ
ルイミド0.4ミリモル、酢酸マンガン(II)0.02
ミリモル、酢酸コバルト(II)0.02ミリモル、及び
酢酸7mlの混合物を、空気雰囲気下(35atm=
3.54MPa)、140℃で5時間撹拌した。その結
果、2−(カルボキシメチルオキシ)酢酸が74%、2
−(カルボキシメチルオキシ)アセトアルデヒドが4
%、2−(ホルミルメチルオキシ)アセトアルデヒドが
2%、2−(2−ヒドロキシエチルオキシ)アセトアル
デヒドが2%の収率で生成していた。ジエチレングリコ
ールの転化率は99%であった。
【0118】実施例19 冷却管、圧力調整器、マスフローを備え付けた1Lのチ
タン製オートクレーブに、β−ピコリン10.0g(1
07ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイミド3.50
g(21ミリモル)、酢酸マンガン(II)[Mn(OA
c)2・4H2O]0.263g(1ミリモル)、酢酸コ
バルト(II)[Co(OAc)2・4H2O]0.268
g(1ミリモル)及び酢酸386.0gを入れ、空気を
流通しながら(80L(標準状態)/hr)、140℃
で10kgf/cm2(=0.981MPa)の圧力
下、2時間反応を行った。反応混合液を分析した結果、
ニコチン酸が収率89.2%(選択率94.5%)で生
成していた。β−ピコリンの転化率は94.4%であっ
た。
【0119】実施例20 冷却管、圧力調整器、マスフローを備え付けた1Lのチ
タン製オートクレーブに、β−ピコリン40.0g(4
30ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイミド14.0
g(86ミリモル)、酢酸マンガン(II)[Mn(OA
c)2・4H2O]1.05g(4ミリモル)、酢酸コバ
ルト(II)[Co(OAc)2・4H2O]1.07g
(4ミリモル)、ピリジン−3−アルデヒド(ニコチン
アルデヒド)2.00g(19ミリモル)及び酢酸34
1.9gを入れ、空気を流通しながら(80L(標準状
態)/hr)、140℃で10kgf/cm2(=0.
981MPa)の圧力下、1時間反応を行った。反応混
合液を分析した結果、ニコチン酸が収率59.0%(選
択率96.7%)で生成していた。β−ピコリンの転化
率は61.0%であった。また、反応に用いたN−ヒド
ロキシフタルイミドに対して、フタルイミドが収率1
5.1%、フタル酸が66.2%生成しており、N−ヒ
ドロキシフタルイミドの残存率は15.5%であった。
反応混合液から晶析を繰り返すことによりフタル酸を回
収することができた。なお、ピリジン−3−アルデヒド
を用いない場合には、同条件で5時間反応を行っても少
量のニコチン酸しか生成しなかった。
【0120】比較例7 N−ヒドロキシフタルイミドを用いなかった点以外は実
施例23と同様の操作を行ったところ、反応は全く進行
していなかった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 63/26 C07C 63/26 F 67/29 67/29 69/157 69/157 201/12 201/12 205/57 205/57 C07D 213/79 C07D 213/79 213/80 213/80 213/803 213/803 307/89 307/89 Z 333/38 333/38 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4C023 HA01 4C037 KA01 4C055 AA01 BA01 BA02 BA06 BA57 CA01 CA02 CA57 DA01 FA11 FA34 4H006 AA02 AC46 BA16 BA20 BA51 BC10 BE30 BJ50 BP10 BS10 BS30 4H039 CA60 CC30

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化によりカルボキシル基に変換可能な
    基を有する有機基質を、下記式(1) 【化1】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
    ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキ
    ル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル
    基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
    びR2は互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しく
    は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又は
    ヒドロキシル基を示す。前記R1、R2、又はR1及びR2
    が互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若し
    くは非芳香族性の環には上記式(1)中に示されるN−
    置換環状イミド基がさらに1又は2個形成されていても
    よい)で表されるイミド化合物、コバルト化合物及びマ
    ンガン化合物からなる触媒の存在下、110〜200℃
    の温度で分子状酸素と反応させて、対応するカルボン酸
    を得るカルボン酸の製造法。
  2. 【請求項2】 酸化によりカルボキシル基に変換可能な
    基が、(A)芳香族性環に結合したアルキル基であって
    該芳香族性環の隣接位に炭素−水素結合を有する基、
    (B)非芳香族性炭素環を構成するメチレン基、(C)
    ヒドロキシメチル基及び(D)アシル基から選択された
    基である請求項1記載のカルボン酸の製造法。
  3. 【請求項3】 酸化によりカルボキシル基に変換可能な
    基のうち少なくとも(A1)芳香族性環の隣接位に結合し
    たメチル基及び(C)ヒドロキシメチル基を全てカルボ
    キシル基に変換させて対応するモノ又はポリカルボン酸
    を得る請求項1記載のカルボン酸の製造法。
  4. 【請求項4】 有機基質を、式(1)で表されるイミド
    化合物と酸素とにより酸化可能であって且つ当該有機基
    質とは異なる化合物の共存下で分子状酸素と反応させる
    請求項1〜3の何れかの項に記載のカルボン酸の製造
    法。
  5. 【請求項5】 当該有機基質とは異なる化合物として、
    (a)第1級又は第2級アルコール、(b)不飽和結合
    に隣接する部位に炭素−水素結合を有する化合物、
    (c)メチン炭素原子を有する化合物、(d)シクロア
    ルカン類、(e)ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合
    を有する非芳香族性複素環化合物、(f)共役化合物、
    (g)芳香族炭化水素、(h)チオール類、(i)エー
    テル類、(j)スルフィド類、(k)アルデヒド若しく
    はチオアルデヒド類、及び(l)アミン類から選択され
    た少なくとも1種の化合物を用いる請求項4記載のカル
    ボン酸の製造法。
  6. 【請求項6】 式(1)で表されるイミド化合物より生
    成した下記式(2) 【化2】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
    ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキ
    ル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル
    基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
    びR2は互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しく
    は非芳香族性の環を形成してもよい。前記R1、R2、又
    はR1及びR2が互いに結合して形成された二重結合又は
    芳香族性若しくは非芳香族性の環には上記式(2)中に
    示される環状酸無水物基がさらに1又は2個形成されて
    いてもよい)で表される環状酸無水物を分離回収する工
    程を含む請求項1〜5の何れかの項に記載のカルボン酸
    の製造法。
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