JP4436905B2 - ジカルボン酸の製造方法 - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は、ポリアミドやポリエステルの原料、精密化学品の中間原料等として有用なジカルボン酸の製造方法に関し、より詳細には、シクロアルカン類を触媒の存在下で酸素により酸化開裂して対応するジカルボン酸を製造する方法に関する。
【0002】
背景技術
ジカルボン酸の製造法として、シクロアルカン及び/又はシクロアルカノールを酸化的に開裂する方法が知られている。例えば、ポリアミド等の原料であるアジピン酸は、シクロヘキサノール単独又はシクロヘキサノールとシクロヘキサンとの混合物を硝酸で酸化する方法により製造されている。しかし、この方法は、反応で副生する窒素酸化物を処理するために、高価な排ガス処理施設が必要となる。
【0003】
このような問題を回避するため、酸化触媒の存在下で、シクロアルカン類を分子状酸素により酸化開裂して対応するジカルボン酸を得る方法が提案されている。例えば、特開平8−38909号公報、特開平9−327626号公報、特開平10−286467号公報には、N−ヒドロキシ又はN−オキソ環状イミド骨格を有するイミド化合物と金属化合物とで構成された触媒の存在下、シクロアルカン類を酸素により酸化開裂して対応するジカルボン酸を製造する方法が開示されている。しかし、これらの文献に記載されている例では、比較的多量の触媒を用いている上、空時収率(STY)の点で必ずしも十分満足できる成績が得られていない。そのため、触媒量を低減でき且つ空時収率を大きく向上できるより生産効率の高いジカルボン酸の製造方法が求められていた。
【0004】
発明の開示
従って、本発明の目的は、シクロアルカン類の触媒的な酸素酸化により対応するジカルボン酸を製造するに際し、触媒量が少なくても高い空時収率でジカルボン酸を得ることのできる方法を提供することにある。
【0005】
本発明者らは、前記目的を達成するため、イミド化合物と金属化合物とで構成された触媒の存在下でシクロアルカン類を酸素により酸化する反応について詳細に検討を加えた結果、反応温度と反応系内のシクロアルカン類の濃度が生成するジカルボン酸の空時収率に極めて大きな影響を与えることが判明した。すなわち、反応系内のシクロアルカン類の濃度が低すぎても、また逆に高すぎてもシクロアルカン類の転化速度が遅く、ジカルボン酸の空時収率も低いが、反応温度を特定温度以上とし、且つシクロアルカン類の濃度を特定の範囲内に設定すると、シクロアルカン類の転化速度が急激に向上し、触媒の量を低減しても高い空時収率で対応するジカルボン酸が生成することを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
【0006】
すなわち、本発明は、シクロアルカン類を酸素により酸化開裂して対応するジカルボン酸を製造する方法であって、下記式(I)
【化3】
[式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]
で表される環状イミド骨格を有するイミド化合物と金属化合物とで構成された触媒の存在下、反応温度80℃以上、系内におけるシクロアルカン類の濃度(反応を回分式又は半回分式で行う場合には初期濃度、反応を連続式で行う場合には定常状態時における濃度)30〜70重量%の条件で反応を行うことを特徴とするジカルボン酸の製造方法を提供する。
【0007】
前記イミド化合物には、下記式(1)
【化4】
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1及びR2は互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す。前記R1、R2、又はR1及びR2が互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、上記式中に示されるN−置換環状イミド基がさらに1又は2個形成されていてもよい]
で表される化合物が含まれる。
【0008】
好ましいイミド化合物には、α位及び/又はβ位にアルキル基を有していてもよく、ヒドロキシル基が保護基で保護されていてもよいN−ヒドロキシコハク酸イミドなどが含まれる。
【0009】
イミド化合物の使用量は、シクロアルカン類1モルに対して、例えば0.000001〜0.01モル程度である。
【0010】
前記金属化合物として、周期表5〜11族に属する金属元素化合物から選択された少なくとも1種の金属化合物を使用できる。金属化合物として、低原子価金属化合物と高原子価金属化合物とを組み合わせて用いてもよい。
【0011】
前記金属化合物の使用量は、イミド化合物1モルに対して、例えば0.05〜20モル程度である。
【0012】
反応溶媒としては、例えば、プロトン性有機溶媒及びニトリル類から選択された少なくとも1種の溶媒を用いることができる。
【0013】
原料シクロアルカン類としては、5〜15員のシクロアルカン環を有する化合物が好ましい。
【0014】
発明を実施するための最良の形態
[シクロアルカン類]
本発明では、原料化合物としてシクロアルカン類(以下、単に「基質」と称することがある)を用いる。
【0015】
シクロアルカンとしては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロドデカン、シクロテトラデカン、シクロヘキサデカン、シクロオクタデカン、シクロイコサン、シクロドコサン、シクロトリアコンタン等の3〜30員程度のシクロアルカンなどが挙げられる。なかでも、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロドデカン等の5〜15員程度のシクロアルカンが好ましく、特に、シクロヘキサン及びシクロドデカンなどが好ましい。
【0016】
前記シクロアルカンは反応を阻害しない範囲で置換基を有していてもよい。このような置換基として、例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基など)、置換チオ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル基等のC1-20アルキル基など、特にC1-4アルキル基)、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル基など)、複素環基などが挙げられる。また、シクロアルカンは、シクロアルカン環に反応を阻害しない範囲で芳香族性又は非芳香族性の炭素環や複素環が縮合していてもよい。従って、橋かけ環式炭化水素であってもよい。
【0017】
なお、反応系に、シクロアルカン類に加えて、該シクロアルカン類に対応するシクロアルカノール類やシクロアルカノン類を供給してもよい。これらの化合物も、対応するジカルボン酸に変換されうる。
【0018】
[酸素]
酸素としては、分子状酸素及び発生期の酸素の何れを使用してもよい。分子状酸素は特に制限されず、純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈した酸素や空気を使用してもよい。酸素は系内で発生させてもよい。酸素の使用量は、基質の種類によっても異なるが、通常、基質1モルに対して0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは2〜50モル程度である。基質に対して過剰モルの酸素を使用する場合が多い。
【0019】
[イミド化合物触媒]
本発明では、触媒として、前記式(I)で表される環状イミド骨格を有するイミド化合物と金属化合物とを組み合わせて使用する。
【0020】
式(I)において、窒素原子とXとの結合は単結合又は二重結合である。前記イミド化合物は、分子中に、式(I)で表されるN−置換環状イミド骨格を複数個有していてもよい。また、このイミド化合物は、前記Xが−OR基であり且つRがヒドロキシル基の保護基である場合、N−置換環状イミド骨格のうちRを除く部分(N−オキシ環状イミド骨格)が複数個、Rを介して結合していてもよい。
【0021】
式(I)中、Rで示されるヒドロキシル基の保護基としては、有機合成の分野で慣用のヒドロキシル基の保護基を用いることができる。このような保護基として、例えば、アルキル基(例えば、メチル、t−ブチル基などのC1-4アルキル基など)、アルケニル基(例えば、アリル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基など)、アリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、3−ブロモベンジル、2−ニトロベンジル、トリフェニルメチル基など);置換メチル基(例えば、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基など)、置換エチル基(例えば、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−イソプロポキシエチル、2,2,2−トリクロロエチル基など)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、1−ヒドロキシアルキル基(例えば、1−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシヘキシル、1−ヒドロキシデシル、1−ヒドロキシヘキサデシル、1−ヒドロキシ−1−フェニルメチル基など)等のヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基など;アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基などのC1-6脂肪族アシル基;アセトアセチル基;ベンゾイル、ナフトイル基などの芳香族アシル基など)、スルホニル基(メタンスルホニル、エタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル、ナフタレンスルホニル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル基などのC1-4アルコキシ−カルボニル基など)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基(例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル基など)、無機酸(硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸など)からOH基を除した基、ジアルキルホスフィノチオイル基(例えば、ジメチルホスフィノチオイル基など)、ジアリールホスフィノチオイル基(例えば、ジフェニルホスフィノチオイル基など)、置換シリル基(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリベンジルシリル、トリフェニルシリル基など)などが挙げられる。
【0022】
また、Xが−OR基である場合において、N−置換環状イミド骨格のうちRを除く部分(N−オキシ環状イミド骨格)が複数個、Rを介して結合する場合、該Rとして、例えば、オキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル、フタロイル、イソフタロイル、テレフタロイル基などのポリカルボン酸アシル基;カルボニル基;メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデン基などの多価の炭化水素基(特に、2つのヒドロキシル基とアセタール結合を形成する基)などが挙げられる。
【0023】
Rとしては、アルキル基(メチル基など)以外の保護基がより好ましい。特に好ましいRには、例えば、水素原子;ヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基;カルボン酸、スルホン酸、炭酸、カルバミン酸、硫酸、リン酸、ホウ酸などの酸からOH基を除した基(アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基等)などの加水分解により脱離可能な加水分解性保護基が好ましい。
【0024】
前記イミド化合物の代表的な例として、前記式(1)で表されるイミド化合物が挙げられる。このイミド化合物において、置換基R1及びR2のうちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素原子が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、デシル基などの炭素数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。好ましいアルキル基としては、例えば、炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程度の低級アルキル基が挙げられる。
【0025】
アリール基には、フェニル、ナフチル基などが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが含まれる。アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10程度、好ましくは炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基が含まれる。
【0026】
アルコキシカルボニル基には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度のアルコキシカルボニル基が含まれる。好ましいカルボニル基にはアルコキシ部分の炭素数が1〜6程度、特に1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6程度のアシル基が例示できる。
【0027】
前記置換基R1及びR2は、同一又は異なっていてもよい。また、前記式(1)において、R1及びR2は互いに結合して、二重結合、または芳香族性又は非芳香属性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化水素環である場合が多い。このような環には、例えば、非芳香族性脂環式環(シクロヘキサン環などの置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していてもよい芳香族環(縮合環を含む)が含まれる。前記環は、芳香族環で構成される場合が多い。前記環は、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0028】
前記R1、R2、又はR1及びR2が互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、上記式(1)中に示されるN−置換環状イミド基がさらに1又は2個形成されていてもよい。例えば、R1又はR2が炭素数2以上のアルキル基である場合、このアルキル基を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。また、R1及びR2が互いに結合して二重結合を形成する場合、該二重結合を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。さらに、R1及びR2が互いに結合して芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成する場合、該環を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。
【0029】
好ましいイミド化合物には、下記式で表される化合物が含まれる。
【化5】
(式中、R3〜R6は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示す。R3〜R6は、隣接する基同士が互いに結合して芳香族性又は非芳香族性の環を形成していてもよい。式(1f)中、Aはメチレン基又は酸素原子を示す。R1、R2、Xは前記に同じ。式(1c)のベンゼン環には、式(1c)中に示されるN−置換環状イミド基がさらに1又は2個形成されていてもよい)
【0030】
置換基R3〜R6において、アルキル基には、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、ハロアルキル基には、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4程度のハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアルコキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、アルコキシカルボニル基には、前記と同様のアルコキシカルボニル基、特にアルコキシ部分の炭素数が1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。また、アシル基としては、前記と同様のアシル基、特に炭素数1〜6程度のアシル基が例示され、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R3〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子である場合が多い。R3〜R6が互いに結合して形成する環としては、前記R1及びR2が互いに結合して形成する環と同様であり、特に芳香族性又は非芳香族性の5〜12員環が好ましい。
【0031】
好ましいイミド化合物の代表的な例として、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α−メチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,α−ジメチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドなどのXが−OR基で且つRが水素原子である化合物;N−アセトキシコハク酸イミド、N−アセトキシマレイン酸イミド、N−アセトキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N′−ジアセトキシシクロヘキサンテトラカルボン酸イミド、N−アセトキシフタル酸イミド、N−アセトキシテトラブロモフタル酸イミド、N−アセトキシテトラクロロフタル酸イミド、N−アセトキシヘット酸イミド、N−アセトキシハイミック酸イミド、N−アセトキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジアセトキシピロメリット酸イミド、N,N′−ジアセトキシナフタレンテトラカルボン酸イミド、N−ベンゾイルオキシフタル酸イミドなどのXが−OR基で且つRがアセチル基等のアシル基である化合物;N−メトキシメチルオキシフタル酸イミド、N−(2−メトキシエトキシメチルオキシ)フタル酸イミドなどのXが−OR基で且つRがヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール結合を形成可能な基である化合物;N−メタンスルホニルオキシフタル酸イミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)フタル酸イミドなどのXが−OR基で且つRがスルホニル基である化合物;N−ヒドロキシフタル酸イミドの硫酸エステル、硝酸エステル、リン酸エステル又はホウ酸エステルなどのXが−OR基で且つRが無機酸からOH基を除した基である化合物などが挙げられる。
【0032】
なかでも、α位及び/又はβ位にアルキル基(例えば、メチル基、エチル基等のC1-4アルキル基など)を有していてもよく、ヒドロキシル基が保護基(例えば、アセトキシ基等のアシル基など)で保護されていてもよいN−ヒドロキシコハク酸イミドが特に好ましい。一般に、シクロアルカン類を酸素により酸化開裂すると、主鎖の炭素数が原料のシクロアルカン環を構成する炭素数と同数又はそれより少ない数のジカルボン酸が生成(又は副生)する。例えば、シクロヘキサンからはアジピン酸のほか、グルタル酸やコハク酸が生成する。一方、触媒として用いるイミド化合物は反応中に開環を伴って対応するジカルボン酸に分解されることが多い。しかるに、触媒として上記のようなN−ヒドロキシコハク酸イミド又はその類縁体を用いた場合には、分解しても反応生成物と同様の化合物(例えば、コハク酸など)を与えるので、イミド化合物触媒の分解物のための特別の除去工程を必要としない点で工業的に極めて有利である。
【0033】
前記イミド化合物のうち、Xが−OR基で且つRが水素原子である化合物は、慣用のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンNH2OHとを反応させ、酸無水物基の開環及び閉環を経てイミド化する方法により調製できる。前記酸無水物には、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸などの飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物)、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸1,2−無水物などの飽和又は不飽和非芳香族性環状多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水物)、無水ヘット酸、無水ハイミック酸などの橋かけ環式多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水物)、無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ニトロフタル酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、無水メリット酸、1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物が含まれる。
【0034】
前記イミド化合物のうち、Xが−OR基で且つRがヒドロキシル基の保護基である化合物は、対応するRが水素原子である化合物(N−ヒドロキシ環状イミド化合物)に、慣用の保護基導入反応を利用して、所望の保護基を導入することにより調製することができる。例えば、N−アセトキシフタル酸イミドは、N−ヒドロキシフタル酸イミドに無水酢酸を反応させたり、塩基の存在下でアセチルハライドを反応させることにより得ることができる。
【0035】
特に好ましいイミド化合物には、脂肪族ジカルボン酸無水物、脂環式多価カルボン酸無水物又は芳香族多価カルボン酸無水物、なかでも脂肪族ジカルボン酸無水物又は芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物(例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミド);及びこれらのN−ヒドロキシイミド化合物のヒドロキシル基に保護基を導入することにより得られる化合物などが含まれる。
【0036】
式(I)で表されるN−置換環状イミド骨格を有するイミド化合物は、反応において、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。前記イミド化合物は反応系内で生成させてもよい。
【0037】
前記イミド化合物は、担体に担持した形態で用いてもよい。担体としては、活性炭、ゼオライト、シリカ、シリカ−アルミナ、ベントナイトなどの多孔質担体を用いる場合が多い。前記イミド化合物の担体への担持量は、担体100重量部に対して、例えば0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部程度である。
【0038】
前記イミド化合物の使用量は、例えば、基質1モルに対して、0.000001〜1モル(0.0001〜100モル%)程度の広い範囲で選択できる。しかし、本発明では、触媒の使用量が少なくても高い空時収率が得られるという特徴を有するので、経済性や後処理をも考慮すると、イミド化合物の使用量は、基質1モルに対して、好ましくは0.000001〜0.01モル(0.0001〜1モル%)程度であり、さらに好ましくは0.00001〜0.005モル(0.001〜0.5モル%)程度である。
【0039】
[金属化合物]
触媒として用いる金属化合物を構成する金属元素としては、特に限定されないが、周期表2〜15族の金属元素を用いる場合が多い。なお、本明細書では、ホウ素Bも金属元素に含まれるものとする。例えば、前記金属元素として、周期表2族元素(Mg、Ca、Sr、Baなど)、3族元素(Sc、ランタノイド元素、アクチノイド元素など)、4族元素(Ti、Zr、Hfなど)、5族元素(Vなど)、6族元素(Cr、Mo、Wなど)、7族元素(Mnなど)、8族元素(Fe、Ruなど)、9族元素(Co、Rhなど)、10族元素(Ni、Pd、Ptなど)、11族元素(Cuなど)、12族元素(Znなど)、13族元素(B、Al、Inなど)、14族元素(Sn、Pbなど)、15族元素(Sb、Biなど)などが挙げられる。好ましい金属元素には、遷移金属元素(周期表3〜12族元素)及び周期表13族元素が含まれる。なかでも、周期表5〜11族元素(例えば、V、Mo、Mn、Fe、Ru、Co、Cu等)が好ましく、とりわけMn、Fe、Co、Cu(特に、Co)などが好ましい。金属元素の原子価は特に制限されず、例えば0〜6価程度である。
【0040】
金属化合物としては、前記金属元素の単体、水酸化物、酸化物(複合酸化物を含む)、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、オキソ酸塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩など)、イソポリ酸の塩、ヘテロポリ酸の塩などの無機化合物;有機酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、青酸塩、ナフテン酸塩、ステアリン酸塩、乳酸塩など)、錯体などの有機化合物が挙げられる。前記錯体を構成する配位子としては、OH(ヒドロキソ)、アルコキシ(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなど)、アシル(アセチル、プロピオニルなど)、アルコキシカルボニル(メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなど)、アセチルアセトナト、シクロペンタジエニル基、ハロゲン原子(塩素、臭素など)、CO、CN、酸素原子、H2O(アコ)、ホスフィン(トリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィンなど)のリン化合物、NH3(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、NO3(ニトラト)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェナントロリンなどの窒素含有化合物などが挙げられる。
【0041】
金属化合物の具体例としては、例えば、コバルト化合物を例にとると、水酸化コバルト、酸化コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、リン酸コバルトなどの無機化合物;酢酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、乳酸コバルトなどの有機酸塩;コバルトアセチルアセトナートなどの錯体等の2価又は3価のコバルト化合物などが挙げられる。また、バナジウム化合物の例としては、水酸化バナジウム、酸化バナジウム、塩化バナジウム、塩化バナジル、硫酸バナジウム、硫酸バナジル、バナジン酸ナトリウムなどの無機化合物;バナジウムアセチルアセトナート、バナジルアセチルアセトナートなどの錯体等の2〜5価のバナジウム化合物などが挙げられる。他の金属元素の化合物としては、前記コバルト又はバナジウム化合物に対応する化合物などが例示される。
【0042】
金属化合物は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。金属化合物として、低原子価金属化合物と高原子価金属化合物とを組み合わせて用いると、それぞれ単独で用いた場合と比較して、反応速度が大幅に向上することがある。なお、金属が複数の原子価をとりうる場合、より低い原子価の金属化合物を低原子価金属化合物、より高い原子価の金属化合物を高原子価金属化合物という。
【0043】
このような低原子価金属化合物と高原子価金属化合物との組み合わせとして、例えば、2価のコバルト化合物、2価のマンガン化合物、2価の鉄化合物及び1価の銅化合物から選択された低原子価金属化合物と、3価のコバルト化合物、3価のマンガン化合物、3価の鉄化合物及び2価の銅化合物から選択された高原子価金属化合物との組み合わせが例示できる。これらの組み合わせの中でも、少なくとも2価又は3価のコバルト化合物を含有するのが好ましく、特に、2価のコバルト化合物と3価のコバルト化合物との組み合わせが好ましい。
【0044】
また、金属化合物として、金属元素の異なる金属化合物を2種以上組み合わせて使用すると、それぞれ単独で用いる場合よりも転化率や選択率が向上する場合がある。このような組み合わせとして、例えば、コバルト化合物(2価又は3価のコバルト化合物)とマンガン化合物(2価又は3価の)の組み合わせが挙げられる。この場合の両者(コバルト化合物とマンガン化合物)の比率は、例えば、前者/後者(モル比)=1/99〜99/1、好ましくは前者/後者(モル比)=5/95〜95/5程度である。
【0045】
金属化合物の使用量は、前記イミド化合物1モルに対して、例えば0.05〜20モル程度、好ましくは0.1〜10モル程度である。
【0046】
[助触媒]
本発明では、助触媒として、少なくとも1つの有機基が結合した周期表15族又は16族元素を含む多原子陽イオン又は多原子陰イオンとカウンターイオンとで構成された有機塩を用いることもできる。助触媒として前記有機塩を用いることにより、反応速度や反応の選択性を向上させることができる。
【0047】
前記有機塩において、周期表15族元素には、N、P、As、Sb、Biが含まれる。周期表16族元素には、O、S、Se、Teなどが含まれる。好ましい元素としては、N、P、As、Sb、Sが挙げられ、特に、N、P、Sなどが好ましい。
【0048】
前記元素の原子に結合する有機基には、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換オキシ基などが含まれる。炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、アリルなどの炭素数1〜30程度(好ましくは炭素数1〜20程度)の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基);シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素数3〜8程度の脂環式炭化水素基;フェニル、ナフチルなどの炭素数6〜14程度の芳香族炭化水素基などが挙げられる。炭化水素基が有していてもよい置換基として、例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、アルキル基(例えば、メチル、エチル基などのC1-4アルキル基など)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基など)、複素環基などが例示できる。好ましい炭化水素基には、炭素数1〜30程度のアルキル基、炭素数6〜14程度の芳香族炭化水素基(特に、フェニル基又はナフチル基)などが含まれる。前記置換オキシ基には、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基などが含まれる。
【0049】
前記有機塩の代表的な例として、有機アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩、有機スルホニウム塩などの有機オニウム塩が挙げられる。有機アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラヘキシルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、トリエチルフェニルアンモニウムクロリド、トリブチル(ヘキサデシル)アンモニウムクロリド、ジ(オクタデシル)ジメチルアンモニウムクロリドなどの第4級アンモニウムクロリド、及び対応する第4級アンモニウムブロミドなどの、窒素原子に4つの炭化水素基が結合した第4級アンモニウム塩;ジメチルピペリジニウムクロリド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、メチルキノリニウムクロリドなどの環状第4級アンモニウム塩などが挙げられる。また、有機ホスホニウム塩の具体例としては、テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、トリブチル(ヘキサデシル)ホスホニウムクロリド、トリエチルフェニルホスホニウムクロリドなどの第4級ホスホニウムクロリド、及び対応する第4級ホスホニウムブロミドなどの、リン原子に4つの炭化水素基が結合した第4級ホスホニウム塩などが挙げられる。有機スルホニウム塩の具体例としては、トリエチルスルホニウムイオジド、エチルジフェニルスルホニウムイオジドなどの、イオウ原子に3つの炭化水素基が結合したスルホニウム塩などが挙げられる。
【0050】
また、前記有機塩には、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、オクタンスルホン酸塩、ドデカンスルホン酸塩などのアルキルスルホン酸塩(例えば、C1-18アルキルスルホン酸塩);ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、デシルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩などのアルキル基で置換されていてもよいアリールスルホン酸塩(例えば、C1-18アルキル−アリールスルホン酸塩);スルホン酸型イオン交換樹脂(イオン交換体);ホスホン酸型イオン交換樹脂(イオン交換体)なども含まれる。
【0051】
前記有機塩の使用量は、前記イミド化合物1モルに対して、例えば0.001〜20モル程度、好ましくは0.1〜10モル程度である。
【0052】
また、本発明の方法では、系内に、ラジカル発生剤やラジカル反応促進剤を存在させてもよい。このような成分として、例えば、ハロゲン(塩素、臭素など)、過酸(過酢酸、m−クロロ過安息香酸など)、過酸化物(過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)等のヒドロペルオキシドなど)などが挙げられる。また、硝酸や亜硝酸又はそれらの塩を添加してもよい。これらの成分を系内に存在させると、反応が促進される場合がある。前記成分の使用量は、前記イミド化合物1モルに対して、例えば0.001〜20モル程度である。
【0053】
[反応]
反応は溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、例えば、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;t−ブタノール、t−アミルアルコールなどのアルコール類;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;酢酸、プロピオン酸などの有機酸;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類などが例示でき、これらの溶媒は混合して使用してもよい。上記の溶媒の中でも、有機酸等のプロトン性有機溶媒及びニトリル類などが好ましい。なお、反応生成物であるジカルボン酸も反応溶媒として機能する。
【0054】
本発明の重要な特徴は、反応温度が80℃以上で、且つ反応系内におけるシクロアルカン類の濃度(反応を回分式又は半回分式で行う場合には初期濃度、反応を連続式で行う場合には定常状態時における濃度)30〜70重量%の条件で反応を行う点にある。反応温度は、例えば80〜200℃、好ましくは80〜150℃であり、特に90〜140℃程度が好適である。反応温度が80℃未満では、反応速度が著しく遅くなる。また、前記シクロアルカン類の濃度は、好ましくは35〜70重量%であり、特に35〜55重量%(例えば40〜55重量%)の範囲が好適である。
【0055】
反応系内におけるシクロアルカン類の濃度が低すぎる場合(21重量%未満の場合)には、シクロアルカン類の転化速度が遅く、生成するジカルボン酸の空時収率が著しく低い。すなわち、単位容積且つ単位時間当たりのジカルボン酸の生成量が少なく、生産効率よくジカルボン酸を得ることができない。これに対して、基質濃度が上記の特定の範囲にある場合には、シクロアルカン類の転化速度が速く、対応するジカルボン酸を高い空時収率で得ることができる。この理由は必ずしも明らかではないが、シクロアルカン類の濃度が低すぎる場合には、系内で生成したラジカル(ペルオキシラジカル)が基質であるシクロアルカン類から水素を引き抜く反応(連鎖段階のキーステップ)の速度が遅くなるため、全体としての反応速度も遅くなるものと推察される。
【0056】
なお、ジカルボン酸の空時収率は、反応系内におけるシクロアルカン類の濃度が高くなるにつれて向上するが、ある程度シクロアルカン類濃度が高くなると、今度は極大値を経て徐々に低下する現象が見られる。この理由についても詳細は不明であるが、シクロアルカン類の濃度が極めて高い場合には、触媒の溶解度が低くなるため反応速度が遅くなるものと推測される。
【0057】
反応圧力は、常圧、加圧下の何れであってもよい。加圧下で行う場合、反応圧力は、例えば0.5〜20MPa程度、好ましくは1〜15MPa程度である。
【0058】
反応は、酸素の存在下又は酸素の流通下、回分式、半回分式、連続式等の慣用の方法により行うことができる。反応を回分式又は半回分式で行う場合には、例えば、シクロアルカン類の初期濃度を上記範囲(21重量%以上)に設定することにより好結果を得ることができる。また、反応を連続式で行う場合には、定常状態時におけるシクロアルカン類濃度を上記範囲(21重量%以上)に設定することにより、高い生産効率でジカルボン酸を得ることができる。
【0059】
本発明では、原料として用いたシクロアルカン類が酸化的に開裂して、シクロアルカン環を構成する炭素数と同じ炭素数の炭素鎖を有するジカルボン酸が生成する。すなわち、シクロヘキサンからはアジピン酸が、シクロドデカンからはドデカン二酸が生成する。なお、条件により、シクロアルカン環を構成する炭素数よりも1又は2個炭素数の少ない炭素鎖を有するジカルボン酸や、対応するシクロアルカノール、シクロアルカノン等が副生する場合がある。例えば、シクロヘキサンを原料とした場合には、グルタル酸、コハク酸、シクロヘキサノール、シクロヘキサノンなどが副生することがある。これらのうち、シクロアルカノールやシクロヘキサノン等は反応系にリサイクルすることができる。
【0060】
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
【0061】
産業上の利用可能性
本発明の製造方法で得られたジカルボン酸は、ポリアミド(ナイロン)やポリエステルの原料、精密化学品の中間原料などとして利用できる。
本発明によれば、シクロアルカン類の触媒的な酸素酸化により対応するジカルボン酸を製造するに際し、触媒量が少なくても高い空時収率で該ジカルボン酸を得ることができる。
【0062】
実施例
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0063】
(生成物の分析)
ジカルボン酸以外の成分(シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール等)の分析は、反応液を直接ガスクロマトグラフに導入することにより行った。
【0064】
ジカルボン酸(アジピン酸、グルタル酸、コハク酸等)の分析は、次のようにジメチルエステル体に誘導した後、ガスクロマトグラフィーにより行った。すなわち、反応液を約1g採取し、エバポレーターにより溶媒を留去したのち、メタノールを約1g加え市販のTMS−CHN2を液が黄色くなるまで加え約1時間攪拌した。次いで、液が無色になるまで酢酸を加えた後、ガスクロマトグラフに導入して分析した。
ガスクロマトグラフィー(GC)条件
機種:(株)島津製作所製14A
検出器:FID
カラム:FFAP(25m×0.32mm×0.25μm)
温度条件:
INJ,DET:280℃
カラム:50℃を5分保持した後、毎分5℃で150℃まで昇温した
ガス流量:2.8ml/min、スプリット比50
【0065】
実施例1
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを26g(309mmol)、酢酸を14g、N−ヒドロキシフタルイミドを100.9mg(0.618mmol)、酢酸コバルト(II)四水和物を76.9mg(0.309mmol)、コバルト(II)アセチルアセトナートを110mg(0.309mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、20分後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は24.4%、アジピン酸の選択率は56.1%であった。なお、グルタル酸(選択率14.3%)、コハク酸(選択率12.1%)、シクロヘキサノン(選択率10.9%)、シクロヘキサノール(選択率5.9%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率0.71%)が副生していた。
【0066】
実施例2
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを18g(214mmol)、酢酸を22g、N−ヒドロキシフタルイミドを69.7mg(0.428mmol)、酢酸コバルト(II)四水和物を53.3mg(0.214mmol)、コバルト(III)アセチルアセトナートを76.2mg(0.214mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、20分後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は64.8%、アジピン酸の選択率は71.6%であった。なお、グルタル酸(選択率13.0%)、コハク酸(選択率12.5%)、シクロヘキサノン(選択率2.1%)、シクロヘキサノール(選択率1.7%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率0.29%)が副生していた。
【0067】
実施例3(参考例とする)
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを36g(428mmol)、酢酸を4g、N−ヒドロキシフタルイミドを139.7mg(0.856mmol)、酢酸コバルト(II)四水和物を106.6mg(0.428mmol)、コバルト(III)アセチルアセトナートを152.5mg(0.428mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、20分後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は8.3%、アジピン酸の選択率は36.4%であった。なお、グルタル酸(選択率10.4%)、コハク酸(選択率7.7%)、シクロヘキサノン(選択率22.6%)、シクロヘキサノール(選択率21.6%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率1.4%)が副生していた。
【0068】
実施例4(参考例とする)
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを39.6g(470mmol)、酢酸を0.4g、N−ヒドロキシフタルイミドを153.5mg(0.940mmol)、酢酸コバルト(II)四水和物を117.2mg(0.470mmol)、コバルト(III)アセチルアセトナートを167.8mg(0.470mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、60分後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は6.9%、アジピン酸の選択率は14.9%であった。なお、グルタル酸(選択率4.5%)、コハク酸(選択率3.9%)、シクロヘキサノン(選択率40.6%)、シクロヘキサノール(選択率35.5%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率0.5%)が副生していた。
【0069】
実施例5
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを12g(142mmol)、酢酸を28g、N−ヒドロキシフタルイミドを46.53mg(0.285mmol)、酢酸コバルト(II)四水和物を35.49mg(0.143mmol)、コバルト(III)アセチルアセトナートを50.75mg(0.143mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、60分後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は13.5%、アジピン酸の選択率は61.0%であった。なお、グルタル酸(選択率12.2%)、コハク酸(選択率11.8%)、シクロヘキサノン(選択率7.7%)、シクロヘキサノール(選択率5.8%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率1.5%)が副生していた。
【0070】
比較例1
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを10g(118mmol)、酢酸を40g、N−ヒドロキシフタルイミドを38.8mg(0.237mmol)、酢酸コバルト(II)四水和物を29.6mg(0.118mmol)、コバルト(III)アセチルアセトナートを42.4mg(0.118mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、60分後に冷却して反応を停止させた。反応液の分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は1.8%で、アジピン酸は生成しなかった。なお、シクロヘキサノン(選択率57.8%)、シクロヘキサノール(選択率33.0%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率9.3%)が生成していた。
【0071】
実施例6
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを52g(618mmol)、酢酸を28g、N−ヒドロキシフタルイミドを50.5mg(0.309mmol)、酢酸コバルト(II)四水和物を38.5mg(0.154mmol)、コバルト(III)アセチルアセトナートを55.0mg(0.154mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、20分後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は21.7%、アジピン酸の選択率は57.0%であった。なお、グルタル酸(選択率9.37%)、コハク酸(選択率8.37%)、シクロヘキサノン(選択率15.2%)、シクロヘキサノール(選択率9.4%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率0.69%)が副生していた。
【0072】
実施例7
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを52g(618mmol)、酢酸を28g、N−ヒドロキシフタルイミドを25.3mg(0.154mmol)、酢酸コバルト(II)四水和物を19.2mg(0.077mmol)、コバルト(III)アセチルアセトナートを27.4mg(0.077mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、20分後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は20.5%、アジピン酸の選択率は55.4%であった。なお、グルタル酸(選択率10.1%)、コハク酸(選択率8.9%)、シクロヘキサノン(選択率14.2%)、シクロヘキサノール(選択率8.54%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率2.94%)が副生していた。
【0073】
実施例8
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを18g(214mmol)、酢酸を22g、N−ヒドロキシフタルイミドを69.7mg(0.428mmol)、酢酸コバルト(II)四水和物を5.33mg(0.0214mmol)、コバルト(III)アセチルアセトナートを7.62mg(0.0214mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、60分後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は17.5%、アジピン酸の選択率は45.8%であった。なお、グルタル酸(選択率10.1%)、コハク酸(選択率7.4%)、シクロヘキサノン(選択率23.8%)、シクロヘキサノール(選択率11.1%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率1.9%)が副生していた。
【0074】
実施例9
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを52g(618mmol)、酢酸を28g、N−ヒドロキシフタルイミドを203.6mg(1.236mmol)、コバルト(III)アセチルアセトナートを441mg(1.236mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、60分後に冷却して反応を停止させた。反応液に120gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は13.8%、アジピン酸の選択率は58.8%であった。なお、グルタル酸(選択率11.0%)、コハク酸(選択率10.9%)、シクロヘキサノン(選択率3.67%)、シクロヘキサノール(選択率14.6%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率1.09%)が副生していた。
【0075】
実施例10
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを18g(214mmol)、酢酸を22g、N−ヒドロキシフタルイミドを69.7mg(0.428mmol)、マンガン(II)アセチルアセトナート二水和物を61.9mg(0.214mmol)、マンガン(III)アセチルアセトナートを75.4mg(0.214mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、60分後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は38.9%、アジピン酸の選択率は71.5%であった。なお、グルタル酸(選択率14.0%)、コハク酸(選択率9.3%)、シクロヘキサノン(選択率0.4%)、シクロヘキサノール(選択率3.9%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率1.0%)が副生していた。
【0076】
実施例11
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを18g(214mmol)、酢酸を22g、N−ヒドロキシフタルイミドを69.7mg(0.428mmol)、乳酸鉄(II)を61.6mg(0.214mmol)、鉄(III)アセチルアセトナートを75.5mg(0.214mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、60分後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は14.3%、アジピン酸の選択率は31.8%であった。なお、グルタル酸(選択率8.1%)、コハク酸(選択率9.9%)、シクロヘキサノン(選択率38.9%)、シクロヘキサノール(選択率10.0%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率1.4%)が副生していた。
【0077】
実施例12
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを18g(214mmol)、酢酸を22g、N−ヒドロキシフタルイミドを69.7mg(0.428mmol)、塩化銅(I)を21.2mg(0.214mmol)、酢酸銅(II)を42.7mg(0.214mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、60分後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は13.0%、アジピン酸の選択率は38.8%であった。なお、グルタル酸(選択率9.4%)、コハク酸(選択率8.4%)、シクロヘキサノン(選択率29.5%)、シクロヘキサノール(選択率11.8%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率2.1%)が副生していた。
【0078】
実施例13
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを18g(214mmol)、酢酸を22g、N−ヒドロキシフタルイミドを69.7mg(0.428mmol)、塩化銅(I)を212mg(2.14mmol)、酢酸銅(II)を427mg(2.14mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、60分後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は36.6%、アジピン酸の選択率は62.1%であった。なお、グルタル酸(選択率17.7%)、コハク酸(選択率12.7%)、シクロヘキサノン(選択率1.41%)、シクロヘキサノール(選択率4.90%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率1.14%)が副生していた。
【0079】
実施例14
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを26g(309mmol)、酢酸を14g、N−ヒドロキシフタルイミドを100.8mg(0.617mmol)、マンガン(II)アセチルアセトナート二水和物を179mg(0.617mmol)、酢酸コバルト(II)四水和物を15.4mg(0.0617mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、60分後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は14.7%、アジピン酸の選択率は62.9%であった。なお、グルタル酸(選択率20.2%)、コハク酸(選択率5.5%)、シクロヘキサノン(選択率7.1%)、シクロヘキサノール(選択率3.3%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率1.0%)が副生していた。
【0080】
実施例15
内容積100mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを13.5g(160mmol)、アセトニトリルを16.5g、N−ヒドロキシフタルイミドを52.3mg(0.320mmol)、コバルト(III)アセチルアセトナートを57.1mg(0.160mmol)、酢酸コバルト(II)を39.9mg(0.160mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を100℃に保持した。液温が100℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、60分後に冷却して反応を停止させた。反応液の分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は8.8%、アジピン酸の選択率は17.9%であった。なお、グルタル酸(選択率3.4%)、コハク酸(選択率1.7%)、シクロヘキサノン(選択率41.3%)、シクロヘキサノール(選択率35.3%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率0.43%)が副生していた。
【0081】
比較例2
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを26g(309mmol)、酢酸を14g、マンガン(II)アセチルアセトナート二水和物を179mg(0.617mmol)、酢酸コバルト(II)四水和物を15.4mg(0.0617mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、60分後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は0.11%で、アジピン酸は生成しなかった。なお、シクロヘキサノン(選択率28.2%)、シクロヘキサノール(選択率70.3%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率1.5%)が生成していた。
【0082】
比較例3
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを26g(309mmol)、酢酸を14g、N−ヒドロキシフタルイミドを100.8mg(0.617mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、60分後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は0.23%で、アジピン酸の生成はなかった。なお、シクロヘキサノン(選択率53.4%)、シクロヘキサノール(選択率46.1%)及び酢酸シクロヘキシル(選択率0.5%)が生成していた。
【0083】
実施例16
内容積100mlのフラスコに、シクロドデカンを8.4g(50mmol)、酢酸を4.52g、N−ヒドロキシフタルイミドを16.3mg(0.1mmol)、マンガン(II)アセチルアセトナート二水和物を28.9mg(0.1mmol)、酢酸コバルト(II)四水和物を2.0mg(0.01mmol)入れ、反応器に酸素バルーンを装着した。その後オイルバスにて昇温し液温を100℃で保持した。6時間後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロドデカンの転化率は20.6%、ドデカン二酸の選択率は23.7%であった。なお、シクロドデカノン(選択率7.3%)及びシクロドデカノール(選択率13.1%)が副生していた。
【0084】
実施例17
内容積100mlのフラスコに、シクロドデカンを8.4g(50mmol)、酢酸を12.6g、N−ヒドロキシフタルイミドを16.3mg(0.1mmol)、マンガン(II)アセチルアセトナート二水和物を28.9mg(0.1mmol)、酢酸コバルト(II)四水和物を2.0mg(0.01mmol)入れ、反応器に酸素バルーンを装着した。その後オイルバスにて昇温し液温を100℃で保持した。4時間後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロドデカンの転化率は26.5%、ドデカン二酸の選択率は21.4%であった。なお、シクロドデカノン(選択率6.6%)及びシクロドデカノール(選択率17.6%)が副生していた。
【0085】
実施例18
内容積100mlのフラスコに、シクロドデカンを8.4g(50mmol)、酢酸を12.6g、N−ヒドロキシフタルイミドを32.6mg(0.2mmol)、マンガン(II)アセチルアセトナート二水和物を57.8mg(0.2mmol)、酢酸コバルト(II)四水和物を4.0mg(0.02mmol)入れ、反応器に酸素バルーンを装着した。その後オイルバスにて昇温し液温を100℃で保持した。4時間後に冷却して反応を停止させた。反応液に60gの酢酸を加え固形物をすべて溶解し分析を行ったところ、シクロドデカンの転化率は16.1%、ドデカン二酸の選択率は27.5%であった。なお、シクロドデカノン(選択率2.9%)及びシクロドデカノール(選択率9.8%)が副生していた。
【0086】
実施例19(参考例とする)
内容積300mlの316ステンレス製反応器に、シクロヘキサンを72g(857mmol)、N−アセトキシフタルイミドを351.4mg(1.71mmol)、酢酸コバルト(II)四水和物を214mg(0.859mmol)、コバルト(III)アセチルアセトナートを306mg(0.859mmol)入れ、反応器を密閉し、O2 50%およびN2 50%の混合ガスにより50Kg/cm2(4.9MPa)まで加圧した。その後オイルバスにて昇温し液温を110℃に保持した。液温が110℃に到達後、直ぐにガスの吸収が開始し、60分後に冷却して反応を停止させた。反応液の分析を行ったところ、シクロヘキサンの転化率は3.65%、アジピン酸の選択率は4.79%であった。なお、グルタル酸(選択率1.15%)、コハク酸(選択率0.60%)、シクロヘキサノン(選択率49.8%)及びシクロヘキサノール(選択率43.6%)が生成していた。
【0087】
以上の結果を表1〜4に示した。表中、「NHPI」はN−ヒドロキシフタルイミド、「acac」はアセチルアセトン配位子、「Ac」はアセチル基、「lac」は乳酸基を意味する。また、イミド化合物及び金属化合物名の後ろの「mol%」は、原料として用いたシクロアルカン類に対する割合を示す。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】
実施例20
3枚のパドル翼及び攪拌モーターからなる攪拌機、酸素を含む気体成分を仕込むための開口部、及びガス成分を抜き出すための開口部を備えた1Lのチタン製ジャケット付きオートクレーブに、下記の組成の混合液を550g充填した。
仕込液組成
シクロヘキサン:45重量%(2.939モル)
酢酸:53.93重量%
N−ヒドロキシコハクイミド:0.07重量%
酢酸コバルト(II)四水和物:1重量%
窒素で反応器(オートクレーブ)内を3MPaに加圧した後、攪拌機を500rpmで回転しながら昇温し、反応器内の温度が100℃に到達したところで空気を100L(標準状態)/hの流量で供給を始めた。空気を供給し始めて直ぐに反応が始まり若干の温度上昇が見られた。反応器内部温度を100℃に維持しながら120分反応を継続した後、仕込ガスを窒素に変え反応液を冷却した。反応液が室温になったところで反応器内部の気体を放出して常圧に戻し、反応液を抜き取った。
反応液は液相二層に分離しており、ここに反応液と同量の酢酸を加え、均一一層にして分析を行った。その結果、シクロヘキサンの転化率は15.4%、アジピン酸の選択率は54.2%(0.245モル)であった。なお、シクロヘキサノン(0.113モル;選択率25.0%)、シクロヘキサノール(0.059モル;選択率13.1%)、酢酸シクロヘキシル(0.009モル;選択率2.0%)、グルタル酸(0.023モル;選択率5.1%)、コハク酸(0.014モル)、コハクイミド(0.0015モル)が副生していた。
【0093】
実施例21
反応器への仕込液組成を下記のようにした以外は実施例20と同様の操作を行った。
仕込液組成
シクロヘキサン:45重量%(2.939モル)
酢酸:53.90重量%
N−ヒドロキシフタルイミド:0.1重量%
酢酸コバルト(II)四水和物:1重量%
反応液は液相二層に分離しており、ここに反応液と同量の酢酸を加え、均一一層にして分析を行った。その結果、シクロヘキサンの転化率は15.1%、アジピン酸の選択率は50.8%(0.226モル)であった。なお、シクロヘキサノン(0.113モル;選択率25.4%)、シクロヘキサノール(0.0589モル;選択率13.2%)、酢酸シクロヘキシル(0.008モル;選択率1.8%)、グルタル酸(0.023モル;選択率5.2%)、コハク酸(0.009モル;選択率2.0%)、フタルイミド(0.0013モル)、フタル酸(0.0017モル)が副生していた。
Claims (9)
- イミド化合物が、下記式(1)
で表される化合物である請求の範囲第1項記載のジカルボン酸の製造方法。 - イミド化合物が、α位及び/又はβ位にアルキル基を有していてもよく、ヒドロキシル基が保護基で保護されていてもよいN−ヒドロキシコハク酸イミドである請求の範囲第1項記載のジカルボン酸の製造方法。
- イミド化合物の使用量が、シクロアルカン類1モルに対して、0.000001〜0.01モルである請求の範囲第1項記載のジカルボン酸の製造方法。
- 金属化合物が周期表5〜11族に属する金属元素化合物から選択された少なくとも1種である請求の範囲第1項記載のジカルボン酸の製造方法。
- 金属化合物が低原子価金属化合物と高原子価金属化合物との組み合わせからなる請求の範囲第1項記載のジカルボン酸の製造方法。
- 金属化合物の使用量が、イミド化合物1モルに対して0.05〜20モルである請求の範囲第1項記載のジカルボン酸の製造方法。
- 反応溶媒としてプロトン性有機溶媒及びニトリル類から選択された少なくとも1種の溶媒を用いる請求の範囲第1項記載のジカルボン酸の製造方法。
- シクロアルカン類が5〜15員のシクロアルカン環を有する化合物である請求の範囲第1項記載のジカルボン酸の製造方法。
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