JP2001192354A - β−アシルオキシカルボン酸又はβ−アシルオキシケトンの製造法 - Google Patents

β−アシルオキシカルボン酸又はβ−アシルオキシケトンの製造法

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JP2001192354A
JP2001192354A JP2000000648A JP2000000648A JP2001192354A JP 2001192354 A JP2001192354 A JP 2001192354A JP 2000000648 A JP2000000648 A JP 2000000648A JP 2000000648 A JP2000000648 A JP 2000000648A JP 2001192354 A JP2001192354 A JP 2001192354A
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hydrogen atom
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aromatic
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JP2000000648A
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English (en)
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Yasutaka Ishii
康敬 石井
Tatsuya Nakano
達也 中野
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 入手容易な原料から温和な条件下でβ−アシ
ルオキシカルボン酸又はβ−アシルオキシケトンを製造
できる方法を提供する。 【解決手段】 式(1) 【化1】 で表されるイミド化合物触媒と酸素の存在下、式(2) 【化2】 で表されるアルコールと、式(3) 【化3】 で表されるα,β−不飽和カルボニル化合物とを反応さ
せて、式(4) 【化4】 で表されるβ−アシルオキシカルボン酸又はβ−アシル
オキシケトン化合物を生成させる。上記式中、R1及び
2は水素原子などを示し、R1及びR2は互いに結合し
て二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形
成してもよい。Xは酸素原子又はヒドロキシル基を示
す。Ra、Rb、Rc、Rdは水素原子又は有機基等を示
し、Re、Rfは水素原子、炭化水素基等を示す。Yは、
前記Reが水素原子である場合にはヒドロキシル基を、
他の場合は該Reを示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、β−アシルオキシ
カルボン酸又はβ−アシルオキシケトンの製造法、より
詳細には、酸素を用いた酸化反応を利用して、β−アシ
ルオキシカルボン酸又はβ−アシルオキシケトンを製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】β−ヒドロキシカルボン酸及びβ−ヒド
ロキシケトン、あるいはそれらの保護体であるβ−アシ
ルオキシカルボン酸及びβ−アシルオキシケトンは、医
薬、農薬などの精密化学品の中間体等として重要な化合
物である。
【0003】従来、β−ヒドロキシカルボン酸の製造法
として、エステルのエノラートとアルデヒド又はケトン
とを反応させるか、又はα−ハロエステルを亜鉛の存在
下でアルデヒド又はケトンと反応させてβ−ヒドロキシ
エステルを合成し、これを加水分解する方法や、β−ケ
トエステルを還元した後、加水分解する方法などが知ら
れている。また、β−ヒドロキシケトンの製造法とし
て、ケトンとアルデヒド又はケトンとを縮合させる方法
(アルドール縮合)、シリルエノールエーテルとアルデ
ヒドとを反応させる方法などが知られている。しかし、
これらの方法では、副反応を抑制するため極めて低い温
度下で反応を進行させたり、強塩基や特殊な試薬、ある
いは多量の金属化合物を用いる必要がある。また、上記
化合物の保護体であるβ−アシルオキシカルボン酸及び
β−アシルオキシケトンは、それぞれ、上記方法で得ら
れたβ−ヒドロキシカルボン酸及びβ−ヒドロキシケト
ンをアシル化することにより合成していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、入手容易な原料から温和な条件下でβ−アシルオキ
シカルボン酸又はβ−アシルオキシケトンを製造できる
方法を提供することにある。本発明の他の目的は、β−
アシルオキシカルボン酸又はβ−アシルオキシケトンを
入手容易な原料から短いステップで効率よく製造できる
方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討した結果、特定構造のイミド化
合物触媒と酸素の存在下、アルコールとα,β−不飽和
カルボニル化合物とを反応させると、温和な条件下、1
ステップでβ−アシルオキシカルボン酸又はβ−アシル
オキシケトンが生成することを見出し、本発明を完成し
た。
【0006】すなわち、本発明は、下記式(1)
【化5】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキ
ル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル
基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
びR2は互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しく
は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又は
ヒドロキシル基を示す。前記R1、R2、又はR1及びR2
が互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若し
くは非芳香族性の環には、上記式(1)中に示されるN
−置換環状イミド基がさらに1又は2個形成されていて
もよい)で表されるイミド化合物触媒と酸素の存在下、
下記式(2)
【化6】 (式中、Ra、Rbは、同一又は異なって、水素原子又は
有機基を示す。Ra、Rbは、互いに結合して、隣接する
炭素原子と共に環を形成していてもよい)で表されるア
ルコールと、下記式(3)
【化7】 (式中、Rc、Rdは、同一又は異なって、水素原子又は
有機基を示し、Re、Rfは、同一又は異なって、水素原
子、炭化水素基又は複素環式基を示す。Rc、Rdは、互
いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成してい
てもよい)で表されるα,β−不飽和カルボニル化合物
とを反応させて、下記式(4)
【化8】 (式中、Yは、前記式(3)においてReが水素原子で
ある場合にはヒドロキシル基を示し、Reが炭化水素基
又は複素環式基である場合には該Reを示す。Ra
b、Rc、Rd、Rfは前記に同じ)で表される化合物を
生成させるβ−アシルオキシカルボン酸又はβ−アシル
オキシケトンの製造法を提供する。
【0007】なお、本明細書における「有機基」とは、
炭素原子含有基だけでなく、例えば、ハロゲン原子、ヒ
ドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、ス
ルホン酸基などの非金属原子含有基を含む広い意味で用
いる。
【0008】
【発明の実施の形態】[イミド化合物]本発明では、触
媒として前記式(1)で表されるイミド化合物を用い
る。式(1)において、置換基R1及びR2のうちハロゲ
ン原子には、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素が含まれ
る。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、
t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチ
ル、デシル基などの炭素数1〜10程度の直鎖状又は分
岐鎖状アルキル基が含まれる。好ましいアルキル基とし
ては、例えば、炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程
度の低級アルキル基が挙げられる。
【0009】アリール基には、フェニル、ナフチル基な
どが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、
シクロヘキシル基などが含まれる。アルコキシ基には、
例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポ
キシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチ
ルオキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10程
度、好ましくは炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程
度の低級アルコキシ基が含まれる。
【0010】アルコキシカルボニル基には、例えば、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカ
ルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボ
ニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニ
ル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボ
ニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度の
アルコキシカルボニル基が含まれる。好ましいアルコキ
シカルボニル基にはアルコキシ部分の炭素数が1〜6程
度、特に1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含
まれる。
【0011】アシル基としては、例えば、ホルミル、ア
セチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレ
リル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6
程度のアシル基が例示できる。
【0012】前記置換基R1及びR2は、同一又は異なっ
ていてもよい。また、前記式(1)において、R1及び
2は互いに結合して、二重結合、または芳香族性又は
非芳香属性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又
は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度
であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化
水素環である場合が多い。このような環には、例えば、
非芳香族性脂環式環(シクロヘキサン環などの置換基を
有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環
などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環な
ど)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの
置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、
ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していても
よい芳香族環(縮合環を含む)が含まれる。前記環は、
芳香族性環で構成される場合が多い。前記環は、アルキ
ル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ
基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル
基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子など
の置換基を有していてもよい。
【0013】前記式(1)において、Xは酸素原子又は
ヒドロキシル基を示し、窒素原子NとXとの結合は単結
合又は二重結合である。前記R1、R2、又はR1及びR2
が互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若し
くは非芳香族性の環には、上記式(1)中に示されるN
−置換環状イミド基がさらに1又は2個形成されていて
もよい。例えば、R1又はR2が炭素数2以上のアルキル
基である場合、このアルキル基を構成する隣接する2つ
の炭素原子を含んで前記N−置換環状イミド基が形成さ
れていてもよい。また、R1及びR2が互いに結合して二
重結合を形成する場合、該二重結合を含んで前記N−置
換環状イミド基が形成されていてもよい。さらに、R1
及びR2が互いに結合して芳香族性若しくは非芳香族性
の環を形成する場合、該環を構成する隣接する2つの炭
素原子を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されて
いてもよい。
【0014】好ましいイミド化合物には、下記式で表さ
れる化合物が含まれる。
【化9】 (式中、R3〜R6は、同一又は異なって、水素原子、ア
ルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキ
シ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシ
ル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を
示す。R3〜R6は、隣接する基同士が互いに結合して芳
香族性又は非芳香族性の環を形成していてもよい。式
(1f)中、Aはメチレン基又は酸素原子を示す。R1
2、Xは前記に同じ。式(1c)のベンゼン環には、式
(1c)中に示されるN−置換環状イミド基がさらに1又
は2個形成されていてもよい)
【0015】置換基R3〜R6において、アルキル基に
は、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭
素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、ハロアルキル基
には、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4程度の
ハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアル
コキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、
アルコキシカルボニル基には、前記と同様のアルコキシ
カルボニル基、特にアルコキシ部分の炭素数が1〜4程
度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。また、ア
シル基としては、前記と同様のアシル基、特に炭素数1
〜6程度のアシル基が例示され、ハロゲン原子として
は、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R3
〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級ア
ルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子で
ある場合が多い。R3〜R6が互いに結合して形成する環
としては、前記R1及びR2が互いに結合して形成する環
と同様であり、特に芳香族性又は非芳香族性の5〜12
員環が好ましい。
【0016】好ましいイミド化合物の代表的な例とし
て、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒド
ロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロ
フタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサ
ンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イ
ミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N
−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロ
キシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミ
ド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−
ジヒドロキシピロメリット酸イミド、N,N′−ジヒド
ロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドなどが挙げら
れる。
【0017】式(1)で表されるイミド化合物は、慣用
のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキ
シルアミンNH2OHとを反応させ、酸無水物基の開環
及び閉環を経てイミド化する方法により調製できる。
【0018】前記酸無水物には、例えば、無水コハク
酸、無水マレイン酸などの飽和又は不飽和脂肪族ジカル
ボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒド
ロ無水フタル酸(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸
無水物)、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカル
ボン酸1,2−無水物などの飽和又は不飽和非芳香族性
環状多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水
物)、無水ヘット酸、無水ハイミック酸などの橋かけ環
式多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水
物)、無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テト
ラクロロ無水フタル酸、無水ニトロフタル酸、無水トリ
メット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水
物、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、1,8;4,
5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族
多価カルボン酸無水物が含まれる。
【0019】特に好ましいイミド化合物は、脂環式多価
カルボン酸無水物又は芳香族多価カルボン酸無水物、な
かでも芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−
ヒドロキシイミド化合物、例えば、N−ヒドロキシフタ
ル酸イミド等が含まれる。
【0020】式(1)で表されるイミド化合物は一種又
は二種以上使用できる。前記イミド化合物は、担体に担
持した形態で用いてもよい。担体としては、活性炭、ゼ
オライト、シリカ、シリカ−アルミナ、ベントナイトな
どの多孔質担体を用いる場合が多い。
【0021】前記イミド化合物の使用量は、広い範囲で
選択でき、例えば、前記式(2)で表されるアルコール
及び式(3)で表されるα,β−不飽和カルボニル化合
物のうち少量用いる方の化合物1モルに対して0.00
01〜1モル、好ましくは0.001〜0.5モル、さ
らに好ましくは0.01〜0.4モル程度であり、0.
05〜0.35モル程度である場合が多い。
【0022】[助触媒]本発明の方法では、前記イミド
化合物とともに、助触媒として金属化合物を用いてもよ
い。前記イミド化合物と金属化合物とを併用することに
より、反応速度や反応の選択性を向上させることができ
る。
【0023】この金属化合物を構成する金属元素として
は、特に限定されず、周期表1〜15族の金属元素の何
れであってもよい。なお、本明細書では、ホウ素Bも金
属元素に含まれるものとする。例えば、前記金属元素と
して、周期表1族元素(Li、Na、Kなど)、2族元
素(Mg、Ca、Sr、Baなど)、3族元素(Sc、
ランタノイド元素、アクチノイド元素など)、4族元素
(Ti、Zr、Hfなど)、5族元素(Vなど)、6族
元素(Cr、Mo、Wなど)、7族元素(Mnなど)、
8族元素(Fe、Ruなど)、9族元素(Co、Rhな
ど)、10族元素(Ni、Pd、Ptなど)、11族元
素(Cuなど)、12族元素(Znなど)、13族元素
(B、Al、Inなど)、14族元素(Sn、Pbな
ど)、15族元素(Sb、Biなど)などが挙げられ
る。好ましい金属元素には、遷移金属元素(周期表3〜
12族元素)が含まれる。なかでも、周期表5〜11族
元素、特に、6族、7族及び9族元素が好ましく、とり
わけ、Mo、Co、Mnなどが好ましい。金属元素の原
子価は特に制限されないが、0〜6価程度である場合が
多い。
【0024】金属化合物としては、前記金属元素の単
体、水酸化物、酸化物(複合酸化物を含む)、ハロゲン
化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、オキソ
酸塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、
炭酸塩など)、オキソ酸、イソポリ酸、ヘテロポリ酸な
どの無機化合物;有機酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオ
ン酸塩、青酸塩、ナフテン酸塩、ステアリン酸塩な
ど)、錯体などの有機化合物が挙げられる。前記錯体を
構成する配位子としては、OH(ヒドロキソ)、アルコ
キシ(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシな
ど)、アシル(アセチル、プロピオニルなど)、アルコ
キシカルボニル(メトキシカルボニル、エトキシカルボ
ニルなど)、アセチルアセトナト、シクロペンタジエニ
ル基、ハロゲン原子(塩素、臭素など)、CO、CN、
酸素原子、H2O(アコ)、ホスフィン(トリフェニル
ホスフィンなどのトリアリールホスフィンなど)のリン
化合物、NH3(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、
NO3(ニトラト)、エチレンジアミン、ジエチレント
リアミン、ピリジン、フェナントロリンなどの窒素含有
化合物などが挙げられる。
【0025】金属化合物の具体例としては、例えば、コ
バルト化合物を例にとると、水酸化コバルト、酸化コバ
ルト、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、硫
酸コバルト、リン酸コバルトなどの無機化合物;酢酸コ
バルト、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルトな
どの有機酸塩;コバルトアセチルアセトナトなどの錯体
等の2価又は3価のコバルト化合物などが挙げられる。
また、バナジウム化合物の例としては、水酸化バナジウ
ム、酸化バナジウム、塩化バナジウム、塩化バナジル、
硫酸バナジウム、硫酸バナジル、バナジン酸ナトリウム
などの無機化合物;バナジウムアセチルアセトナト、バ
ナジルアセチルアセトナトなどの錯体等の2〜5価のバ
ナジウム化合物などが挙げられる。さらに、モリブデン
化合物の例としては、水酸化モリブデン、酸化モリブデ
ン、塩化モリブデン、臭化モリブデン、硫化モリブデ
ン、モリブデン酸又はその塩、リンモリブデン酸又はそ
の塩、ケイモリブデン酸又はその塩などの無機化合物;
モリブデンカルボニル、ビス(アセチルアセトナト)ジ
オキソモリブデン、クロロトリカルボニル(η−シクロ
ペンタジエニル)モリブデン、ジブロモビス(η−シク
ロペンタジエニルモリブデンなどの錯体等の0〜6価の
モリブデン化合物などが挙げられる。他の金属元素の化
合物としては、前記コバルト、バナジウム又はモリブデ
ン化合物に対応する化合物などが例示される。金属化合
物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。特
に、2価の金属化合物(例えば2価のコバルト化合物)
と3価の金属化合物(例えば3価のコバルト化合物)と
を組み合わせて用いることにより、目的化合物の収率や
選択率を向上させることができる。
【0026】前記金属化合物の使用量は、例えば、前記
アルコール及びα,β−不飽和カルボニル化合物のうち
少量用いる方の化合物1モルに対して、0.0001〜
0.7モル、好ましくは0.001〜0.5モル、さら
に好ましくは0.002〜0.1モル程度であり、0.
005〜0.05モル程度である場合が多い。
【0027】[酸素]酸素としては、分子状酸素及び発
生期の酸素の何れであってもよい。分子状酸素として
は、純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アル
ゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈した酸素を使
用してもよい。操作性及び安全性のみならず経済性など
の点から、空気を使用するのが有利である。酸素は前記
アルコール及びα,β−不飽和カルボニル化合物のうち
少量用いる方の化合物に対して過剰モル使用してもよ
い。
【0028】[アルコール]前記式(2)中、Ra、Rb
における有機基としては、本発明の方法における反応条
件下で非反応性の有機基であればよく、例えば、炭化水
素基、複素環式基などが挙げられる。
【0029】前記炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、
脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が含まれる。脂肪
族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロ
ピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチ
ル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシ
ル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、アリ
ルなどの炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに
好ましくは1〜6)程度の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族
炭化水素基(アルキル基、アルケニル基及びアルキニル
基)などが挙げられる。
【0030】脂環式炭化水素基としては、例えば、シク
ロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘ
キシル、シクロヘキセニル、シクロオクチル、シクロデ
シル、シクロドデシル基などの炭素数3〜20(好まし
くは炭素数3〜15)程度の脂環式炭化水素基(シクロ
アルキル基、シクロアルケニル基等)などが挙げられ
る。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル、ナ
フチル基などの炭素数6〜14程度の芳香族炭化水素基
などが挙げられる。
【0031】これらの炭化水素基は、種々の置換基、例
えば、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原
子)、オキソ基、保護基で保護されていてもよいヒドロ
キシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシメ
チル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護
基で保護されていてもよいカルボキシル基、置換オキシ
カルボニル基、置換又は無置換カルバモイル基、ニトロ
基、アシル基、シアノ基、アルキル基(例えば、メチ
ル、エチル基などのC1-4アルキル基など)、シクロア
ルキル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基
など)、複素環式基などを有していてもよい。前記保護
基としては、有機合成の分野で慣用の保護基を使用でき
る。
【0032】Ra、Rbにおける複素環式基を構成する複
素環には、芳香族性複素環及び非芳香族性複素環が含ま
れる。このような複素環としては、例えば、ヘテロ原子
として酸素原子を含む複素環(例えば、フラン、テトラ
ヒドロフラン、オキサゾール、イソオキサゾールなどの
5員環、4−オキソ−4H−ピラン、テトラヒドロピラ
ン、モルホリンなどの6員環、ベンゾフラン、イソベン
ゾフラン、4−オキソ−4H−クロメン、クロマン、イ
ソクロマンなどの縮合環など)、ヘテロ原子としてイオ
ウ原子を含む複素環(例えば、チオフェン、チアゾー
ル、イソチアゾール、チアジアゾールなどの5員環、4
−オキソ−4H−チオピランなどの6員環、ベンゾチオ
フェンなどの縮合環など)、ヘテロ原子として窒素原子
を含む複素環(例えば、ピロール、ピロリジン、ピラゾ
ール、イミダゾール、トリアゾールなどの5員環、ピリ
ジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジ
ン、ピペラジンなどの6員環、インドール、インドリ
ン、キノリン、アクリジン、ナフチリジン、キナゾリ
ン、プリンなどの縮合環など)などが挙げられる。これ
らの複素環式基は、置換基(例えば、前記炭化水素基が
有していてもよい置換基と同様の基)を有していてもよ
い。
【0033】Ra、Rbが、互いに結合して、隣接する炭
素原子と共に形成する環としては、例えば、シクロプロ
パン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテ
ン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロオクタ
ン、シクロデカン、シクロドデカン環、デカリン環、ア
ダマンタン環などの3〜20員(好ましくは3〜15
員、さらに好ましくは5〜15員、特に5〜8員)程度
の非芳香族性炭素環(シクロアルカン環、シクロアルケ
ン環、橋かけ炭素環)などが挙げられる。これらの環
は、置換基(例えば、前記炭化水素基が有していてもよ
い置換基と同様の基)を有していてもよく、また他の環
(非芳香族性環又は芳香族性環)が縮合していてもよ
い。
【0034】好ましいRa、Rbには水素原子;C1-10
肪族炭化水素基(メチル、エチル、プロピル、イソプロ
ピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、
ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル基など;特にC
1-10アルキル基)、脂環式炭化水素基(例えば、シクロ
ペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル基などの
3-15シクロアルキル基又はシクロアルケニル基等)、
6-14アリール基などが含まれる。また、Ra、Rbが互
いに結合して隣接する炭素原子と共に3〜15員(特に
5〜8員)程度の非芳香族性炭素環を形成するのも好ま
しい。
【0035】前記式(2)で表されるアルコールとして
は、広範囲の第1級又は第2級アルコールが挙げられ
る。代表的な第1級アルコールとしては、メタノール、
エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−
メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、1−ヘ
キサノール、1−オクタノール、1−デカノール、1−
ヘキサデカノール、2−ブテン−1−オール、エチレン
グリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレン
グリコール、ペンタエリスリトールなどの炭素数1〜3
0(好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜15)
程度の飽和又は不飽和脂肪族第1級アルコール;シクロ
ペンチルメチルアルコール、シクロヘキシルメチルアル
コール、2−シクロヘキシルエチルアルコールなどの飽
和又は不飽和脂環式第1級アルコール;ベンジルアルコ
ール、2−フェニルエチルアルコール、3−フェニルプ
ロピルアルコール、桂皮アルコールなどの芳香族第1級
アルコール;2−ヒドロキシメチルピリジンなどの複素
環式アルコールが挙げられる。
【0036】代表的な第2級アルコールとしては、2−
プロパノール、s−ブチルアルコール、2−ペンタノー
ル、3−ペンタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノ
ール、2−オクタノール、4−デカノール、2−ヘキサ
デカノール、2−ペンテン−4−オール、1,2−プロ
パンジオール、2,3−ブタンジオールや2,3−ペン
タンジオールなどのビシナルジオール類などの炭素数3
〜30(好ましくは3〜20、さらに好ましくは3〜1
5)程度の飽和又は不飽和脂肪族第2級アルコール;1
−シクロペンチルエタノール、1−シクロヘキシルエタ
ノールなどの、ヒドロキシル基の結合した炭素原子に脂
肪族炭化水素基と脂環式炭化水素(シクロアルキル基な
ど)とが結合している第2級アルコール;シクロブタノ
ール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シク
ロオクタノール、シクロドデカノール、2−シクロヘキ
セン−1−オール、2−アダマンタノール、橋頭位にヒ
ドロキシル基を1〜4個有する2−アダマンタノール、
アダマンタン環にオキソ基を有する2−アダマンタノー
ルなどの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好
ましくは5〜15員、特に5〜8員)程度の飽和又は不
飽和脂環式第2級アルコール(橋かけ環式第2級アルコ
ールを含む);1−フェニルエタノール、1−フェニル
プロパノール、1−フェニルメチルエタノール、ジフェ
ニルメタノールなどの芳香族第2級アルコール;1−
(2−ピリジル)エタノールなどの複素環式第2級アル
コールなどが含まれる。
【0037】好ましいアルコールには、第2級アルコー
ル(例えば、2−プロパノール、s−ブチルアルコール
などの脂肪族第2級アルコール;1−シクロヘキシルエ
タノールなどのヒドロキシル基の結合した炭素原子に脂
肪族炭化水素基(例えば、C 1-4アルキル基、C6-14
リール基など)と非芳香族性炭素環式基(例えば、C3
-15シクロアルキル基又はシクロアルケニル基など)と
が結合している第2級アルコール;シクロペンタノー
ル、シクロヘキサノール、2−アダマンタノールなどの
3〜15員程度の脂環式第2級アルコール;1−フェニ
ルエタノールなどの芳香族第2級アルコール)が含まれ
る。
【0038】[α,β−不飽和カルボニル化合物]前記
式(3)中、Rc、Rdにおける有機基としては、本発明
の方法における反応条件下で非反応性の有機基であれば
よく、例えば、ハロゲン原子、炭化水素基、複素環式
基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカ
ルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基な
ど)、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基
(N−置換又は無置換アミド基)、シアノ基、ニトロ
基、硫黄酸基(スルホン酸基、スルフィン酸基)、硫黄
酸エステル基(スルホン酸エステル基、スルフィン酸エ
ステル基)、アシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ
基、N−置換又は無置換アミノ基などが例示できる。前
記カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基は慣用の
保護基で保護されていてもよい。
【0039】前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩
素、臭素及びヨウ素原子が挙げられる。炭化水素基とし
ては、前記Ra、Rbにおける炭化水素基として例示した
基などが挙げられ、これらの炭化水素基は前記置換基を
有していてもよい。好ましい炭化水素基には、メチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチ
ル、s−ブチル、t−ブチル、ビニル、アリル基などの
炭素数1〜6程度(特に、炭素数1〜4程度)の直鎖状
又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケ
ニル基及びアルキニル基);フェニル基、ナフチル基な
どの炭素数6〜14程度の芳香族炭化水素基;シクロア
ルキル基;トリフルオロメチル基などの炭素数1〜6程
度(特に、炭素数1〜4程度)のハロアルキル基などが
含まれる。
【0040】前記複素環式基としては、前記Ra、Rb
おける複素環式基として例示した基などが挙げられ、こ
れらの複素環式基は前記置換基を有していてもよい。ア
ルコキシカルボニル基には、例えば、メトキシカルボニ
ル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソ
プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブト
キシカルボニル基などのC1-6アルコキシ−カルボニル
基などが含まれる。アリールオキシカルボニル基には、
例えば、フェニルオキシカルボニル基などが含まれ、ア
ラルキルオキシカルボニル基には、例えば、ベンジルオ
キシカルボニル基などが含まれる。また、シクロアルキ
ルオキシカルボニル基としては、例えば、シクロペンチ
ルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル
基などが挙げられる。
【0041】置換カルバモイル基には、例えば、N−メ
チルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル基な
どが含まれる。スルホン酸エステル基には、スルホン酸
メチル、スルホン酸エチル基などのスルホン酸C1-4
ルキルエステル基などが含まれる。スルフィン酸エステ
ル基には、スルフィン酸メチル、スルフィン酸エチル基
などのスルフィン酸C1-4アルキルエステル基などが含
まれる。アシル基としては、例えば、アセチル、プロピ
オニル基などの脂肪族アシル基(例えば、C2- 7脂肪族
アシル基など)、ベンゾイル基などの芳香族アシル基な
どが挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メト
キシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基などの炭素数
1〜6程度のアルコキシ基などが挙げられる。N−置換
アミノ基には、例えば、N,N−ジメチルアミノ、N,
N−ジエチルアミノ、ピペリジノ基などが含まれる。
【0042】Rc、Rdが互いに結合して隣接する炭素原
子とともに形成する環としては、シクロプロパン、シク
ロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘ
キサン、シクロヘキセン、シクロオクタン、シクロドデ
カン環などの3〜20員程度の脂環式炭素環(シクロア
ルカン環、シクロアルケン環等)などが挙げられる。こ
れらの環は置換基を有していてもよく、また他の環(非
芳香族性環又は芳香族性環)が縮合していてもよい。
【0043】好ましいRc、Rdには、水素原子、炭化水
素基[例えば、C1-6脂肪族炭化水素基(特にC1-4脂肪
族炭化水素基など)、C6-14アリール基(フェニル基な
ど)、シクロアルキル基(3〜8員程度のシクロアルキ
ル基など)、ハロアルキル基(例えば、トリフルオロメ
チル基などのC1-6ハロアルキル基、特にC1-4ハロアル
キル基)など]、複素環式基、置換オキシカルボニル基
(例えば、C1-6アルコキシ−カルボニル基、アリール
オキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、
シクロアルキルオキシカルボニル基など)、カルボキシ
ル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニト
ロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、アシル基などが含
まれる。Rc、Rdとして特に好ましい基は、水素原子、
1-6脂肪族炭化水素基(特にC1-4脂肪族炭化水素基な
ど)、C6-14アリール基(フェニル基など)、シクロア
ルキル基(3〜8員程度のシクロアルキル基など)、ハ
ロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基などのC
1-6ハロアルキル基、特にC1-4ハロアルキル基)な
ど]、置換オキシカルボニル基(例えば、C1-6アルコ
キシ−カルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ア
ラルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカ
ルボニル基など)、シアノ基などである。
【0044】Re、Rfにおける炭化水素基としては、前
記Ra、Rbにおける炭化水素基として例示した基などが
挙げられ、これらの炭化水素基は前記置換基を有してい
てもよい。好ましい炭化水素基には、メチル、エチル、
プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブ
チル、t−ブチル、ビニル、アリル基などの炭素数1〜
6程度(特に、炭素数1〜4程度)の直鎖状又は分岐鎖
状の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基及び
アルキニル基);フェニル基、ナフチル基などの炭素数
6〜14程度の芳香族炭化水素基;シクロアルキル基;
トリフルオロメチル基などの炭素数1〜6程度(特に、
炭素数1〜4程度)のハロアルキル基などが含まれる。
【0045】Re、Rfにおける複素環式基としては、前
記Ra、Rbにおける複素環式基として例示した基などが
挙げられ、これらの複素環式基は前記置換基を有してい
てもよい。
【0046】好ましいRe、Rfには、水素原子、炭化水
素基[例えば、C1-6脂肪族炭化水素基(特に、メチル
基などのC1-4脂肪族炭化水素基など)、C6-14アリー
ル基(フェニル基など)、シクロアルキル基(3〜8員
程度のシクロアルキル基など)、ハロアルキル基(例え
ば、トリフルオロメチル基などのC1-6ハロアルキル
基、特にC1-4ハロアルキル基)など]、複素環式基
(特に、結合部位に炭素原子を有する複素環式基)など
が含まれる。特に好ましいRfはメチル基、フェニル基
などである。
【0047】式(3)で表されるα,β−不飽和カルボ
ニル化合物の代表的な例として、例えば、アクロレイ
ン、メタクロレイン、2−エチルアクロレイン、2−プ
ロピルアクロレイン、2−イソプロピルアクロレイン、
2−フェニルアクロレイン、2−(2−ピリジル)アク
ロレインなどのアクロレイン誘導体;メチルビニルケト
ン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、イソ
プロピルビニルケトン、ブチルビニルケトン、イソプロ
ペニルメチルケトン、エチルイソプロペニルケトン、メ
チル(1−フェニルエテニル)ケトン、メチル[1−
(2−ピリジル)エテニル]ケトンなどのビニルケトン
誘導体が挙げられる。
【0048】[β−アシルオキシカルボン酸又はβ−ア
シルオキシケトンの製造]本発明のβ−アシルオキシカ
ルボン酸又はβ−アシルオキシケトンの製造法におい
て、反応は、通常、有機溶媒中で行われる。有機溶媒と
しては、例えば、酢酸、プロピオン酸などの有機酸;ア
セトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど
のニトリル類;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチル
ホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどの
アミド類;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;
クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩
化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン
などのハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼン、ニトロメ
タン、ニトロエタンなどのニトロ化合物;酢酸エチル、
酢酸ブチルなどのエステル類;これらの混合溶媒など挙
げられる。溶媒としては、酢酸などの有機酸類、アセト
ニトリルやベンゾニトリルなどのニトリル類、トリフル
オロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、酢酸エ
チルなどのエステル類などを用いる場合が多い。
【0049】前記式(2)で表されるアルコールと式
(3)で表されるα,β−不飽和カルボニル化合物との
比率は、両化合物の種類(価格、反応性)や組み合わせ
などにより適宜選択できる。例えば、アルコールをα,
β−不飽和カルボニル化合物に対して過剰(例えば、2
〜50モル倍程度)に用いてもよく、逆に、α,β−不
飽和カルボニル化合物をアルコールに対して過剰に用い
てもよい。
【0050】本発明の方法は比較的温和な条件であって
も円滑に反応が進行する。反応温度は、前記アルコール
及びα,β−不飽和カルボニル化合物の種類などに応じ
て適当に選択でき、例えば、0〜150℃、好ましくは
30〜100℃程度である。反応は、常圧又は加圧下で
行うことができ、加圧下で反応させる場合には、通常、
1〜100atm(例えば、1.5〜80atm)、好
ましくは2〜70atm程度である。反応時間は、反応
温度及び圧力に応じて、例えば、30分〜48時間程度
の範囲から適当に選択できる。
【0051】反応は、分子状酸素の存在下又は分子状酸
素の流通下、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方
法により行うことができる。
【0052】本発明の方法では、反応は、系内で生成し
た前記式(2)で表されるアルコールに対応する1−ヒ
ドロキシアルキルラジカルが、式(3)で表されるα,
β−不飽和カルボニル化合物のβ位を攻撃して付加する
とともに、付加によりα位に生成したラジカルに酸素が
攻撃することにより、下記式(5)
【化10】 (式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rfは前記に同じ)
で表されるα,γ−ジヒドロキシカルボニル化合物が生
成し、さらにアシル基(RfC=O基)の転位と該アシ
ル基が結合していた炭素原子の酸化とを伴って、目的物
である式(4)で表されるβ−アシルオキシカルボン酸
又はβ−アシルオキシケトンが生成するものと推測され
る。なお、前記式(3)においてReが水素原子である
α,β−不飽和カルボニル化合物を原料として用いた場
合には、対応するβ−アシルオキシカルボン酸が生成
し、Reが炭化水素基又は複素環式基であるα,β−不
飽和カルボニル化合物を原料として用いた場合には、対
応するβ−アシルオキシケトンが生成する。
【0053】反応終了後、反応生成物は、慣用の方法、
例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラ
ムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み
合わせた分離手段により、容易に分離精製できる。
【0054】
【発明の効果】本発明の方法によれば、β−ヒドロキシ
カルボン酸の保護体であるβ−アシルオキシカルボン酸
又はβ−ヒドロキシケトンの保護体であるβ−アシルオ
キシケトンを、入手しやすい原料から、温和な条件下、
短いステップで製造できる。
【0055】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定
されるものではない。
【0056】実施例1 メチルビニルケトン5ミリモル、2−プロパノール5m
l、N−ヒドロキシフタルイミド0.5ミリモル、酢酸
コバルト(II)0.005ミリモル、コバルトアセチル
アセトナト(III)0.025ミリモル、及びアセトニ
トリル1mlの混合物を、酸素雰囲気下(1気圧)、5
0℃で9時間撹拌した。反応混合液を濃縮した後、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィーに付すことにより、3
−アセトキシ−3−メチルブタン酸を収率40%で得
た。
【0057】実施例2 アクロレイン5ミリモル、2−プロパノール5ml、N
−ヒドロキシフタルイミド0.5ミリモル、酢酸コバル
ト(II)0.005ミリモル、コバルトアセチルアセト
ナト(III)0.025ミリモル、及びアセトニトリル
1mlの混合物を、酸素雰囲気下(1気圧)、50℃で
9時間撹拌した。反応混合液を濃縮した後、シリカゲル
カラムクロマトグラフィーに付すことにより、3−ホル
ミルオキシ−3−メチルブタン酸を収率41%、2,4
−ジヒドロキシ−4−メチルペンタナールを収率18
%、2,3−ジヒドロキシ−5,5−ジメチルテトラヒ
ドロフランを収率4%で得た。アクロレインの転化率は
72%であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07D 307/20 C07D 307/20 // C07B 41/12 C07B 41/12 61/00 300 61/00 300

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
    ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキ
    ル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル
    基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
    びR2は互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しく
    は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又は
    ヒドロキシル基を示す。前記R1、R2、又はR1及びR2
    が互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若し
    くは非芳香族性の環には、上記式(1)中に示されるN
    −置換環状イミド基がさらに1又は2個形成されていて
    もよい)で表されるイミド化合物触媒と酸素の存在下、
    下記式(2) 【化2】 (式中、Ra、Rbは、同一又は異なって、水素原子又は
    有機基を示す。Ra、Rbは、互いに結合して、隣接する
    炭素原子と共に環を形成していてもよい)で表されるア
    ルコールと、下記式(3) 【化3】 (式中、Rc、Rdは、同一又は異なって、水素原子又は
    有機基を示し、Re、Rfは、同一又は異なって、水素原
    子、炭化水素基又は複素環式基を示す。Rc、Rdは、互
    いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成してい
    てもよい)で表されるα,β−不飽和カルボニル化合物
    とを反応させて、下記式(4) 【化4】 (式中、Yは、前記式(3)においてReが水素原子で
    ある場合にはヒドロキシル基を示し、Reが炭化水素基
    又は複素環式基である場合には該Reを示す。Ra
    b、Rc、Rd、Rfは前記に同じ)で表される化合物を
    生成させるβ−アシルオキシカルボン酸又はβ−アシル
    オキシケトンの製造法。
  2. 【請求項2】 金属化合物を助触媒として用いる請求項
    1記載のβ−アシルオキシカルボン酸又はβ−アシルオ
    キシケトンの製造法。
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