JP4215858B2 - アダマンタノール誘導体及びその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂などの機能性高分子のモノマー又はその原料などとして有用な新規なアダマンタノール誘導体、及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
環にヒドロキシル基が結合した脂環式化合物は、レジスト用樹脂のモノマー又はその原料、及び医薬品中間体等として利用されている。
しかし、アダマンタン環を構成する橋頭位以外の同一炭素原子にヒドロキシル基及び炭化水素基が結合し、且つアダマンタン環を構成する他の炭素原子にヒドロキシル基、カルボキシル基又はアルキル基が結合しているアダマンタノール誘導体、およびその製造法は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、アダマンタン環を構成する橋頭位以外の同一炭素原子にヒドロキシル基及び炭化水素基が結合し、且つアダマンタン環を構成する他の炭素原子にヒドロキシル基、カルボキシル基又はアルキル基が結合しているアダマンタノール誘導体と、その製造法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、アダマンタン環にヒドロキシル基、カルボキシル基又はアルキル基が結合したアダマンタノン誘導体に、炭化水素基を有する有機金属化合物を作用させると、対応する新規なアダマンタノール誘導体が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、下記式(1)
【化6】
(式中、Ra、Rb、Rc、Rdは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシメチル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基又はニトロ基を示し、Rxは炭化水素基を示す。Ryは、アダマンタン骨格を構成する炭素原子のうち橋頭位及びRx結合位以外の炭素原子に結合している基であり、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシメチル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、ニトロ基又はオキソ基を示す。R a 、R b 、R c 、R d のうち少なくとも1つはヒドロキシル基である)
で表されるアダマンタノール誘導体を提供する。
【0006】
また、本発明は、下記式(4)
【化7】
(式中、Ra、Rb、Rc、Rdは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシメチル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基又はニトロ基を示す。Ryは、アダマンタン骨格を構成する炭素原子のうち橋頭位及び式中に示すオキソ基結合位以外の炭素原子に結合している基であり、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシメチル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、ニトロ基又はオキソ基を示す。Ra、Rb、Rc、R d のうち少なくとも1つはヒドロキシル基である)
で表されるアダマンタノン誘導体と、下記式(5)
Rx−M (5)
[式中、Rxは炭化水素基を示し、Mは配位子を有していてもよい金属原子、又は下記式(6)
−MgY (6)
(式中、Yはハロゲン原子を示す)
で表される基を示す]
で表される化合物とを反応させて、前記式(1)で表される化合物を得るアダマンタノール誘導体の製造法を提供する。
また、本発明は、下記式(2)
【化8】
(式中、R 1 及びR 2 は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R 1 及びR 2 は互いに結合して二重結合、または芳香族性又は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又はヒドロキシル基を示し、nは1〜3の整数を示す)
で表されるイミド化合物と、強酸とで構成される触媒の存在下、下記式(3)
【化9】
(式中、R b 、R c 、R d は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、保 護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシメチル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基又はニトロ基を示す。R y は、アダマンタン骨格を構成する炭素原子のうち橋頭位以外の炭素原子に結合している基であり、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシメチル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、ニトロ基又はオキソ基を示す。R b 、R c 、R d のうち少なくとも1つはヒドロキシル基である)
で表される化合物を酸素と反応させることにより得られる下記式( 4-1 )
【化10】
(式中、R a1 は、水素原子又はヒドロキシル基を示す。R b 、R c 、R d 、R y は前記に同じ)
で表されるアダマンタノン誘導体と、下記式(5)
R x −M (5)
[式中、R x は炭化水素基を示し、Mは配位子を有していてもよい金属原子、又は下記式(6)
−MgY (6)
(式中、Yはハロゲン原子を示す)
で表される基を示す]
で表される化合物とを反応させて、下記式(7)
【化11】
(式中、R a1 、R b 、R c 、R d 、R x 、R y は前記に同じ。ただし、R y は、アダマンタン骨格を構成する炭素原子のうち橋頭位及びR x 結合位以外の炭素原子に結合している基を示す)
で表される化合物を得るアダマンタノール誘導体の製造法を提供する。
【0007】
なお、本明細書において、「保護基で保護された基」とは、被保護基(遊離の官能基)から誘導可能で且つ前記被保護基の主要部を含む基を意味する。
【0008】
【発明の実施の形態】
[アダマンタノール誘導体]
前記式(1)中、Ra、Rb、Rc、Rd、Ryにおけるハロゲン原子には、フッ素、塩素、臭素原子などが含まれる。また、アルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル基などの炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜4程度のアルキル基が含まれる。特に好ましいアルキル基として、メチル基およびエチル基、とりわけメチル基が挙げられる。
【0009】
ヒドロキシル基およびヒドロキシメチル基の保護基としては、慣用の保護基、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、t−ブチル基などのC1-4アルキル基など)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、トリフェニルメチル基など)、テトラヒドロピラニル基、アシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ピバロイル基などのC2-6脂肪族アシル基、ベンゾイル基などの芳香族アシル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などのC1-4アルコキシ−カルボニル基など)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基など)、置換基を有していてもよいカルバモイル基(例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル基など)、ジアルキルホスフィノチオイル基、ジアリールホスフィノチオイル基など、及び、分子内にヒドロキシル基(ヒドロキシメチル基を含む)が2以上存在するときには、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデン基など)などが例示できる。好ましいヒドロキシル基の保護基には、C1-4アルキル基、C2-6脂肪族アシル基、芳香族アシル基、C1-4アルコキシ−カルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基などが含まれる。
【0010】
アミノ基の保護基としては、前記ヒドロキシル基の保護基として例示したアルキル基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、ジアルキルホソフィノチオイル基、ジアリールホスフィノチオイル基などが挙げられる。好ましいアミノ基の保護基には、C1-4アルキル基、C2-6脂肪族アシル基、芳香族アシル基、C1-4アルコキシ−カルボニル基などが含まれる。
【0011】
カルボキシル基の保護基としては、例えば、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシなどのC1-6アルコキシ基など)、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基など)、トリアルキリシリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基など)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基などのモノ又はジC1-6アルキルアミノ基など)、ヒドラジノ基、アルコキシカルボニルヒドラジノ基、アラルキルオキシカルボニルヒドラジノ基などが含まれる。好ましいカルボキシル基の保護基としては、C1-6アルコキシ基(特に、C1-4アルコキシ基)、モノ又はジC1-6アルキルアミノ基(特に、モノ又はジC1-4アルキルアミノ基)などが挙げられる。
【0012】
Rx、Ryにおける炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、1−エチルブチル、1−メチルヘキシル、1−エチルペンチル、1−プロピルブチル、オクチル、イソオクチル、1−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、1−プロピルペンチル、ノニル、イソノニル、1−メチルオクチル、デシル、1−メチルノニル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、アリル、プロピニル基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜10、特に1〜6)程度の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基);シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへキセニル、シクロオクチル基などの3〜8員程度の脂環式炭化水素基(シクロアルキル基及びシクロアルケニル基);フェニル、ナフチル基などの炭素数6〜14程度の芳香族炭化水素基(アリール基)などが挙げられる。これらの炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
【0013】
好ましいRxには、炭素数1〜10(特に1〜6)程度のアルキル基、3〜8員シクロアルキル基などが含まれる。なかでも、Rxとして、隣接する炭素原子(アダマンタン環を構成する炭素原子)との結合部位にメチン炭素原子を有する炭化水素基(例えば、イソプロピル、s−ブチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル基などの、隣接する炭素原子との結合部位にメチン炭素原子を有する炭素数3〜10(特に3〜6)程度のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基などの3〜8員シクロアルキル基など)等が好ましい。
【0014】
本発明のアダマンタノール誘導体では、前記Ra、Rb、Rc、R d のうち少なくとも1つがヒドロキシル基である。なお、同一分子内に、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基及びアルキル基から選択された2以上の異なる置換基を有していてもよい。
【0015】
式(1)で表される化合物の代表的な例として、4−メチル−1,4−アダマンタンジオール、2−メチル−1,2−アダマンタンジオール、4−エチル−1,4−アダマンタンジオール、4−プロピル−1,4−アダマンタンジオール、4−イソプロピル−1,4−アダマンタンジオール、2−イソプロピル−1,2−アダマンタンジオール、4−ブチル−1,4−アダマンタンジオール、4−イソブチル−1,4−アダマンタンジオール、4−s−ブチル−1,4−アダマンタンジオール、4−t−ブチル−1,4−アダマンタンジオール、4−ペンチル−1,4−アダマンタンジオール、4−イソペンチル−1,4−アダマンタンジオール、4−(1−メチルブチル)−1,4−アダマンタンジオール、4−(1−エチルプロピル)−1,4−アダマンタンジオール、4−ヘキシル−1,4−アダマンタンジオール、4−(1−メチルペンチル)−1,4−アダマンタンジオール、4−(1−エチルブチル)−1,4−アダマンタンジオール、4−イソヘキシル−1,4−アダマンタンジオール、4−シクロプロピル−1,4−アダマンタンジオール、4−シクロペンチル−1,4−アダマンタンジオール、4−シクロヘキシル−1,4−アダマンタンジオール、4−フェニル−1,4−アダマンタンジオール、8−ブロモ−4−イソプロピル−1,4−アダマンタンジオール、2−イソプロピル−5−メチル−1,2−アダマンタンジオール、4−イソプロピル−5−メチル−1,4−アダマンタンジオール、5−ヒドロキシメチル−4−イソプロピル−1,4−アダマンタンジオール、4−イソプロピル−3−ニトロ−1,4−アダマンタンジオール、1,2,3−トリメチル−2,5−アダマンタンジオール、1,2,7−トリメチル−2,5−アダマンタンジオール、2,3,7−トリメチル−2,5−アダマンタンジオール、2−エチル−1,3−ジメチル−2,5−アダマンタンジオール、2−エチル−1,7−ジメチル−2,5−アダマンタンジオール、2−エチル−3,7−ジメチル−2,5−アダマンタンジオール、2−イソプロピル−1,3−ジメチル−2,5−アダマンタンジオール、2−イソプロピル−1,7−ジメチル−2,5−アダマンタンジオール、2−イソプロピル−3,7−ジメチル−2,5−アダマンタンジオールなどが挙げられる。
【0016】
本発明の式(1)で表されるアダマンタノール誘導体は、アダマンタン環に少なくとも2つのヒドロキシル基を有しているため、例えばエステル結合を形成することによりポリエステルなどの樹脂に誘導できる。このような樹脂は、酸により容易に分解してアルカリ可溶性のカルボン酸を生成させるため、レジスト用樹脂としての利用が期待できる。特に、ヒドロキシル基と同一の炭素原子に結合している炭化水素基(Rx)が、前記炭素原子と隣接する位置にメチン炭素原子を有する場合には、酸により極めて容易に分解するため、例えば光酸発生剤と組み合わせることにより、高感度の感光性樹脂として利用できる。また、本発明のアダマンタノール誘導体は、医薬品などの中間体等としての利用も期待される。
【0017】
本発明の式(1)で表されるアダマンタン誘導体において、Ra、Rb、Rc、Rd及びRy(以下、Ra等という)のうち少なくとも1つがアルキル基である化合物、特に、Ra等のうち2以上がメチル基などのアルキル基である化合物は、Ra等のすべてが水素原子である化合物と比較し、以下の点で有利である。すなわち、前者の化合物は、溶剤に対する溶解性が後者の化合物に比べて高いため、取扱性に優れる。また、対応する式(2)で表される原料化合物から式(1)で表されるアダマンタン誘導体を製造する際、Ra等のすべてが水素原子である化合物の原料は、通常昇華性を有するため、反応操作が煩雑となるのに対し、Ra等のうち少なくとも1つがアルキル基である化合物の原料は、通常液体であって、昇華性を示さない。そのため、操作性よく製造することができる。さらに、Ra等のうち少なくとも1つがアルキル基である化合物は、Ra等のすべてが水素原子である化合物と比較して、反応部位が少ないため、中間原料として種々の誘導体に誘導する場合、副生物が少なく、反応の選択性が高い。
【0018】
[アダマンタノール誘導体の製造法]
本発明の製造法において、式(4)中、Ra、Rb、Rc、Rd、Ryにおけるハロゲン原子、アルキル基又は炭化水素基、ヒドロキシル基の保護基、ヒドロキシメチル基の保護基、アミノ基の保護基、カルボキシル基の保護基としては、前記と同様の置換基等が挙げられる。
【0019】
前記式(4)で表されるアダマンタノン誘導体の代表的な例として、例えば、5−ヒドロキシ−2−アダマンタノン、1−ヒドロキシ−2−アダマンタノン、6−ブロモ−5−ヒドロキシ−2−アダマンタノン、1−ヒドロキシ−5−メチル−2−アダマンタノン、5−ヒドロキシ−1−メチル−2−アダマンタノン、4−ヒドロキシ−2−アダマンタノン、6−ヒドロキシ−2−アダマンタノン、5−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−2−アダマンタノン、5−ヒドロキシ−3−ニトロ−2−アダマンタノン、5−ヒドロキシ−1,3−ジメチル−2−アダマンタノン、5−ヒドロキシ−1,7−ジメチル−2−アダマンタノン、5−ヒドロキシ−3,7−ジメチル−2−アダマンタノンなどが挙げられる。
【0020】
前記式(5)中、Rxにおける炭化水素基としては、前記と同様の基が挙げられる。また、Mにおける金属原子としては、例えば、リチウムなどのアルカリ金属原子などが例示できる。式(6)において、Yで示されるハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。
【0021】
式(5)で表される化合物の使用量は、式(4)で表されるアダマンタノン誘導体1モルに対して、例えば0.7〜3モル、好ましくは0.9〜1.5モル程度である。
【0022】
本発明の方法は、通常、有機溶媒中で行われる。有機溶媒としては、反応に不活性な溶媒であればよく、例えば、エチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ヘプタン、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素などが挙げられる。
【0023】
反応温度は、反応成分の種類などにより適宜設定できる。例えば、式(5)で表される化合物において、Mが金属原子(例えば、リチウム)の場合には、反応温度は、例えば−100℃〜20℃程度である。また、式(5)の化合物として、前記Mが式(6)で表される基を示す化合物を用いる場合には、反応温度は、例えば0〜150℃程度、好ましくは20〜100℃程度である。
【0024】
反応は、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行うことができる。反応終了後、通常、酸(例えば、塩酸など)又は塩(例えば、塩化アンモニウムなど)を含む水溶液を添加してクエンチし、必要に応じて、液性を調節し、濾過、濃縮、抽出、蒸留、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの慣用の分離精製手段に付すことにより、目的反応生成物を得ることができる。
【0025】
なお、式(5)で表される化合物は、有機金属試薬を調製する際に用いる慣用の方法により得ることができる。例えば、式(5)において、Mが式(6)で表される基を示す化合物は、いわゆるGrignard試薬を得る慣用の方法を適用することにより調製できる。より具体的には、例えば、マグネシウム金属と、下記式(8)
Rx−Y (8)
(式中、Rx、Yは前記に同じ)
で表される化合物の一部と、有機溶媒とを含む混合液に、少量のヨウ素や臭化エチルなどの反応促進剤を添加して反応を開始させた後、式(8)で表される化合物の残余を添加して反応を継続させることにより調製できる。有機溶媒としては、前記本発明の方法に用いられる溶媒を使用できる。マグネシウム金属の使用量は、式(8)で表される化合物1モルに対して、例えば1〜1.5モル程度であり、反応温度は、例えば0〜100℃程度である。このようにして得られた式(5)で表される化合物は、単離することなく本発明の方法に使用できる。
【0026】
本発明の方法によれば、前記新規なアダマンタノール誘導体を簡易な操作により良好な収率で製造できる。なお、式(4)で表されるアダマンタノン誘導体において、分子内に複数のオキソ基で置換された炭素原子を有する場合には、反応条件を選択することにより(例えば、式(5)で表される化合物の使用量を増大させることにより)、ヒドロキシル基とRx基とが結合した炭素原子を複数個有するアダマンタノール誘導体を得ることができる。
【0027】
[式(4)で表されるアダマンタノン誘導体の調製]
本発明の方法において原料として用いる式(4)で表されるアダマンタノン誘導体は、アダマンタン環を構成するメチレン炭素原子にオキソ基を導入することにより調製できる。例えば、式(4)において、Raが水素原子又はヒドロキシル基である化合物、すなわち、式( 4-1 )で表される化合物は、式(2)で表されるイミド化合物と、強酸とで構成される触媒の存在下、式(3)で表される化合物を酸素と反応させることにより得ることができる。なお、式(4-1)において、アダマンタン環に少なくとも1つの保護されていてもよいカルボキシル基が結合した化合物を得る際には、前記式(3)の化合物として、Rb、Rc、Rd及びRyのうち少なくとも1つが保護されていてもよいカルボキシル基である化合物を用いる。一方、式(4-1)において、アダマンタン環に少なくとも1つの保護されていてもよいヒドロキシル基が結合した化合物を得る際には、反応によりヒドロキシル基を導入できるので、必ずしも、式(3)において、Rb、Rc、Rd及びRyのうち少なくとも1つが保護されていてもよいヒドロキシル基である必要はない。
【0028】
前記式(2)で表されるイミド化合物において、置換基R1及びR2のうちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、デシル基などの炭素数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。好ましいアルキル基としては、例えば、炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程度の低級アルキル基が挙げられる。
【0029】
アリール基には、フェニル、ナフチル基などが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが含まれる。アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10程度、好ましくは炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基が含まれる。
【0030】
アルコキシカルボニル基には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度のアルコキシカルボニル基が含まれる。好ましいカルボニル基にはアルコキシ部分の炭素数が1〜6程度、特に1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6程度のアシル基が例示できる。
【0031】
前記置換基R1及びR2は、同一又は異なっていてもよい。また、前記式(2)において、R1及びR2は互いに結合して、二重結合、または芳香族性又は非芳香属性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化水素環である場合が多い。このような環には、例えば、非芳香族性脂環式環(シクロヘキサン環などの置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していてもよい芳香族環(縮合環を含む)が含まれる。前記環は、芳香族環で構成される場合が多い。前記環は、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子などの置換基を有していていもよい。
【0032】
好ましいイミド化合物には、下記式で表される化合物が含まれる。
【化12】
(式中、R3〜R6は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示す。R3〜R6は、隣接する基同士が互いに結合して芳香族性又は非芳香族性の環を形成していてもよい。R1、R2およびnは前記に同じ)
置換基R3〜R6において、アルキル基には、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、ハロアルキル基には、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4程度のハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアルコキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、アルコキシカルボニル基には、前記と同様のアルコキシカルボニル基、特にアルコキシ部分の炭素数が1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。また、アシル基としては、前記と同様のアシル基、特に炭素数1〜6程度のアシル基が例示され、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R3〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子である場合が多い。R3〜R6が互いに結合して形成する環としては、前記R1及びR2が互いに結合して形成する環と同様であり、特に芳香族性又は非芳香族性の5〜12員環が好ましい。
【0033】
前記式(2)において、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を示し、窒素原子NとXとの結合は単結合又は二重結合である。nは、通常、1〜3程度、好ましくは1又は2である。式(2)で表されるイミド化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0034】
前記式(2)で表されるイミド化合物に対応する酸無水物には、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸などの飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物)、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸1,2−無水物などの飽和又は不飽和非芳香族性環状多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水物)、無水ヘット酸、無水ハイミック酸などの橋かけ環式多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水物)、無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ニトロフタル酸、無水トリメット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物が含まれる。
【0035】
好ましいイミド化合物としては、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドなどが挙げられる。特に好ましい化合物は、脂環式多価カルボン酸無水物又は芳香族多価カルボン酸無水物、なかでも芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物、例えば、N−ヒドロキシフタル酸イミドなどが含まれる。
【0036】
前記イミド化合物は、慣用のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンNH2OHとを反応させ、酸無水物基の開環及び閉環を経てイミド化する方法により調製できる。
【0037】
式(2)で表されるイミド化合物の使用量は、広い範囲で選択でき、例えば、式(3)で表される化合物1モルに対して0.0001〜1モル、好ましくは0.001〜0.5モル、さらに好ましくは0.01〜0.3モル程度である。
【0038】
前記強酸には、例えばpKa2以下(25℃)の化合物が含まれる。強酸のpKaは、好ましくは−15〜2程度、さらに好ましくは−10〜0程度である。強酸としては、例えば、ハロゲン化水素(フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素)、ハロゲン化水素酸(フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸)、オキソ酸(硫酸、硝酸、リン酸、クロム酸などの金属酸、塩素酸などのハロゲン酸など)、超強酸(ClSO3H、H2SO4−SO3、FSO3H、FSO3H−SO3、FSO3H−SbF5、HF−SbF5など)、ヘテロポリ酸(ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンバナドモリブデン酸、リンバナドタングステン酸など)、スルホン酸類(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸など)等が挙げられる。好ましい強酸には、無機酸、例えば、ハロゲン化水素、ハロゲン化水素酸、硫酸、ヘテロポリ酸などが含まれる。強酸は単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0039】
強酸の使用量は、式(3)で表される化合物1モルに対して、例えば0.00001〜1モル、好ましくは0.0005〜0.7モル、さらに好ましくは0.005〜0.5モル程度である。なお、強酸の使用量が多すぎると、酸化反応自体が阻害される場合がある。
【0040】
前記方法において、触媒は、前記イミド化合物と強酸と助触媒とで構成してもよい。助触媒として、金属化合物が挙げられる。金属化合物を構成する金属元素としては、特に限定されないが、周期表2〜15族の金属元素を用いる場合が多い。なお、本明細書では、ホウ素Bも金属元素に含まれるものとする。例えば、前記金属元素として、周期表2族元素(Mg、Ca、Sr、Baなど)、3族元素(Sc、ランタノイド元素、アクチノイド元素など)、4族元素(Ti、Zr、Hfなど)、5族元素(Vなど)、6族元素(Cr、Mo、Wなど)、7族元素(Mnなど)、8族元素(Fe、Ruなど)、9族元素(Co、Rhなど)、10族元素(Ni、Pd、Ptなど)、11族元素(Cuなど)、12族元素(Znなど)、13族元素(B、Al、Inなど)、14族元素(Sn、Pbなど)、15族元素(Sb、Biなど)などが挙げられる。好ましい金属元素には、遷移金属元素(周期表3〜12族元素)が含まれる。なかでも、周期表5〜11族元素、特に5族〜9族元素が好ましく、とりわけV、Mo、Mn、Coなどが好ましい。金属元素の原子価は特に制限されず、例えば0〜6価程度である。
【0041】
金属化合物としては、前記金属元素の単体、水酸化物、酸化物(複合酸化物を含む)、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、オキソ酸塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩など)、イソポリ酸の塩、ヘテロポリ酸の塩などの無機化合物;有機酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、青酸塩、ナフテン酸塩、ステアリン酸塩など)、錯体などの有機化合物が挙げられる。前記錯体を構成する配位子としては、OH(ヒドロキソ)、アルコキシ(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなど)、アシル(アセチル、プロピオニルなど)、アルコキシカルボニル(メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなど)、アセチルアセトナト、シクロペンタジエニル基、ハロゲン原子(塩素、臭素など)、CO、CN、酸素原子、H2O(アコ)、ホスフィン(トリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィンなど)のリン化合物、NH3(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、NO3(ニトラト)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェナントロリンなどの窒素含有化合物などが挙げられる。
【0042】
金属化合物の具体例としては、例えば、コバルト化合物を例にとると、水酸化コバルト、酸化コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、リン酸コバルトなどの無機化合物;酢酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルトなどの有機酸塩;コバルトアセチルアセトナトなどの錯体等の2価又は3価のコバルト化合物などが挙げられる。また、バナジウム化合物の例としては、水酸化バナジウム、酸化バナジウム、塩化バナジウム、塩化バナジル、硫酸バナジウム、硫酸バナジル、バナジン酸ナトリウムなどの無機化合物;バナジウムアセチルアセトナト、バナジルアセチルアセトナトなどの錯体等の2〜5価のバナジウム化合物などが挙げられる。他の金属元素の化合物としては、前記コバルト又はバナジウム化合物に対応する化合物などが例示される。金属化合物は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0043】
前記金属化合物の使用量は、例えば、前記式(3)で表される化合物1モルに対して0.0001〜1モル、好ましくは0.0001〜0.7モル、さらに好ましくは0.001〜0.5モル程度である。また、金属化合物の前記イミド化合物に対する割合は、例えば0.001〜0.1モル倍、好ましくは0.005〜0.08モル倍程度である。
【0044】
酸素は、分子状酸素、活性酸素の何れであってもよい。分子状酸素は、特に制限されず、純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈した酸素や空気を使用してもよい。酸素として分子状酸素を用いる場合が多い。
【0045】
酸素の使用量は、通常、式(3)で表される化合物1モルに対して、0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは2〜50モル程度である。式(3)の化合物に対して過剰モルの分子状酸素を使用する場合が多い。
【0046】
反応は、通常、有機溶媒中で行われる。有機溶媒としては、例えば、酢酸、プロピオン酸などの有機酸;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;t−ブタノール、t−アミルアルコールなどのアルコール類;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類;及びこれらの混合溶媒などが挙げられる。溶媒としては、酢酸などの有機酸、ベンゾニトリルなどのニトリル類、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素等を用いる場合が多い。
【0047】
反応系のpHは、例えば0.01〜3、好ましくは0.1〜3程度である。反応温度は、反応成分の種類などに応じて適当に選択でき、例えば、0〜300℃、好ましくは30〜250℃、さらに好ましくは40〜200℃程度であり、通常、50〜150℃程度で反応する場合が多い。反応は、常圧または加圧下で行うことができ、加圧下で反応させる場合には、通常、1〜100atm(例えば、1.5〜80atm)、好ましくは2〜70atm程度である。反応時間は、反応温度及び圧力に応じて、例えば、30分〜48時間程度の範囲から適当に選択できる。
【0048】
反応は、酸素の存在下又は酸素の流通下、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行うことができる。反応終了後、反応生成物は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により容易に分離精製できる。
【0049】
上記の方法により、アダマンタン環を構成するメチレン炭素原子に容易にオキソ基を導入できる。なお、反応条件を選択することにより、Raが水素原子である化合物又はヒドロキシル基である化合物を得ることができる。例えば、反応温度、反応時間、触媒量などが小さい場合には前者の化合物が、逆に大きい値をとる場合には後者の化合物を主生成物として得ることができる。また、式(3)において、Rb、Rc又はRdが水素原子である場合には、反応条件を選択することにより、前記水素原子をヒドロキシル基に変換できる。
【0050】
また、式(4)において、Raが水素原子である化合物、すなわち、下記式(4-2)
【化13】
(式中、Rb、Rc、Rd、Ryは前記に同じ。Rb、Rc、R d のうち、少なくとも1つはヒドロキシル基である)
で表される化合物は、下記式(9)
【化14】
(式中、Rb、Rc、Rd、Ryは前記に同じ。Rb、Rc、R d のうち、少なくとも1つはヒドロキシル基である)
で表される化合物を、強酸の存在下、酸素と反応させることにより得ることができる。
【0051】
前記強酸としては、前記式(3)で表される化合物から式(4-1)で表される化合物を得る際に用いられる強酸と同様のものを使用できる。好ましい強酸には、例えば、ハロゲン化水素、ハロゲン化水素酸、硫酸、ヘテロポリ酸などが含まれる。特に、硫酸などが好ましい。強酸は単独で又は2種以上混合して使用できる。強酸は、通常、式(9)で表される化合物に対して過剰量(例えば、10モル倍以上)用いられる。
【0052】
酸素は、分子状酸素、活性酸素の何れであってもよい。分子状酸素は、特に制限されず、純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈した酸素や空気を使用してもよい。酸素として分子状酸素を用いる場合が多い。酸素の使用量は、通常、式(3)で表される化合物1モルに対して、0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは2〜50モル程度である。式(3)の化合物に対して過剰モルの分子状酸素を使用する場合が多い。
【0053】
反応は、反応に不活性な溶媒中で行ってもよい。前記強酸を溶媒として用いることもできる。反応温度は、例えば0〜150℃、好ましくは10〜100℃程度である。反応は、酸素の存在下又は酸素の流通下、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行うことができる。
【0054】
反応終了後、反応生成物は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により容易に分離精製できる。
この方法によっても、アダマンタン環を構成するメチレン炭素原子に容易にオキソ基を導入することができる。
【0055】
上記の各方法において、原料として用いられる式(3)及び式(9)で表される化合物は、公知乃至慣用の方法により製造できる。
【0056】
例えば、橋頭位にヒドロキシル基を有するアダマンタン誘導体は、橋頭位に水素原子を有するアダマンタン誘導体を、前記式(2)で表されるイミド化合物で構成された触媒、又はこの触媒と前記金属化合物とで構成された触媒の存在下、酸素により酸化(ヒドロキシル化)することにより得ることができる。イミド化合物の使用量は、橋頭位に水素原子を有するアダマンタン誘導体1モルに対して、例えば0.001〜1モル程度であり、前記金属化合物の使用量は、橋頭位に水素原子を有するアダマンタン誘導体1モルに対して、例えば0.0001〜0.7モル程度である。酸素は、通常、橋頭位に水素原子を有するアダマンタン誘導体に対して過剰モル量使用される。酸素としては、分子状酸素を使用できる。反応は、例えば、酢酸などの有機酸、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル等の溶媒中、常圧又は加圧条件下、0〜300℃(好ましくは30〜250℃)程度の温度で行われる。
【0057】
また、橋頭位にカルボキシル基を有するアダマンタン誘導体は、橋頭位に水素原子を有するアダマンタン誘導体を、前記式(2)で表されるイミド化合物で構成された触媒、又はこの触媒と前記金属化合物とで構成された触媒の存在下、一酸化炭素及び酸素と接触させることにより得ることができる。このカルボキシル化において、イミド化合物及び金属化合物の使用量は、前記酸化反応(ヒドロキシル化)の場合と同様である。一酸化炭素の使用量は、橋頭位に水素原子を有するアダマンタン誘導体1モルに対して、通常、1モル以上(例えば1〜100モル)である。酸素の使用量は、橋頭位に水素原子を有するアダマンタン誘導体1モルに対して、0.5モル以上(例えば0.5〜100モル)程度である。一酸化炭素と酸素の割合は、一酸化炭素/酸素(モル比)=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜99/1程度である。反応は、例えば、酢酸などの有機酸、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル等の溶媒中、常圧又は加圧条件下、0〜200℃(好ましくは10〜150℃)程度の温度で行われる。
【0058】
橋頭位にヒドロキシルメチル基を有するアダマンタン誘導体は、上記の橋頭位にカルボキシル基を有するアダマンタン誘導体を、還元剤(例えば、水素−白金族金属触媒、水素化ホウ素ナトリウム−ルイス酸、水素化アルミニウムリチウム、ジボランなど)を用いた慣用の還元法に付すことにより得ることができる。
【0059】
橋頭位にニトロ基を有するアダマンタン誘導体は、橋頭位に水素原子を有するアダマンタン誘導体を、前記式(2)で表されるイミド化合物で構成された触媒の存在下又は非存在下、窒素酸化物(例えば、N2O3、N2O−O2、NO−O2、NO2など)と接触させることにより得ることができる。このニトロ化反応において、イミド化合物の使用量は、前記酸化反応の場合と同様である。窒素酸化物の使用量は、橋頭位に水素原子を有するアダマンタン誘導体1モルに対して、通常、1〜50モル、好ましくは1.5〜30モル程度である。反応は、例えば、酢酸などの有機酸、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル等の溶媒中、常圧又は加圧条件下、0〜150℃(好ましくは10〜125℃)程度の温度で行われる。
【0060】
橋頭位にアミノ基を有するアダマンタン誘導体は、上記橋頭位にニトロ基を有するアダマンタン誘導体を、還元剤[例えば、水素−金属触媒(白金族金属、ニッケル、銅クロマイトなど)、水素化ホウ素ナトリウム、ジボランなど]を用いた慣用の還元法に付すことにより得ることができる。
【0061】
また、アダマンタン環にオキソ基を有するアダマンタン誘導体は、アダマンタン環にメチレン炭素原子を有するアダマンタン誘導体を原料とし、上記のオキソ基導入法を利用することにより得ることができる。また、橋頭位以外の炭素原子にヒドロキシル基を有するアダマンタン誘導体は、上記オキソ基を有するアダマンタン誘導体を、例えば、水素化ホウ素ナトリウムなどの慣用の還元剤で還元することにより得ることができる。さらに、アダマンタン環にハロゲン原子を有するアダマンタン誘導体は、例えば、上記アダマンタン環にヒドロキシル基を有する化合物に、適宜のハロゲン化剤(例えば、ブロモホルムなど)を作用させることにより得ることができる。
【0062】
なお、上記アダマンタン環へのヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基などの置換基の導入は、前記オキソ基導入の前だけでなく、オキソ基導入後に行うこともできる。すなわち、前記式(4-1)及び式(4-2)で表される化合物を、前記酸化(ヒドロキシル化)、カルボキシル化、ニトロ化等の反応に供することにより、上記各種置換基を有するアダマンタン誘導体を得ることもできる。
【0063】
また、式(1)、式(3)、式(4)、式(4-1)、式(4-2)、式(7)、式(9)で表される化合物において、保護基の導入及び脱離は慣用の方法により行うことができる。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、アダマンタン環を構成する橋頭位以外の同一炭素原子にヒドロキシル基及び炭化水素基が結合し、且つアダマンタン環を構成する他の炭素原子にヒドロキシル基、カルボキシル基又はアルキル基が結合している新規なアダマンタノール誘導体が提供される。
また、本発明の方法によれば、上記新規なアダマンタノール誘導体を簡易な手段で収率よく得ることができる。
【0065】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0066】
実施例1
アダマンタン0.1モル、N−ヒドロキシフタルイミド10ミリモル、98重量%硫酸5ミリモル、バナジウムアセチルアセトナートV(AA)30.5ミリモル、及び酢酸250mlの混合物(pH0.8)を、酸素雰囲気下(1atm)、75℃で6時間攪拌した。反応混合物を濃縮後、pHを5以上に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機層を一部濃縮した後、冷却することにより晶析し、5−ヒドロキシ−2−アダマンタノン(収率38%)を得た。アダマンタンの転化率は97%であった。なお、上記のほかに、2−アダマンタノン(収率36%)、1−ヒドロキシ−2−アダマンタノン(収率3.5%)、1−アダマンタノール(収率3%)、1,3−アダマンタンジオール(収率4%)、及びその他の生成物(2,4−アダマンタンジオン、2,6−アダマンタンジオンなどのポリケトンなど)(収率16%)が生成していた。
[5−ヒドロキシ−2−アダマンタノンのスペクトルデータ]
IR(cm-1):3410,2920,2810,1720,1440,1330,1240,1060,880
MS m/e:166([M+]),148,119。
【0067】
実施例2
フラスコに、金属マグネシウム1.1モル入れ、窒素置換した後、2−ブロモプロパン1.0モルをエチルエーテル500mlに溶解した溶液を、前記金属マグネシウムが浸漬する程度仕込んだ。次いで、少量のヨウ素を添加して反応を開始させ、残りの2−ブロモプロパンのエチルエーテル溶液を、溶媒が穏やかに還流する程度の速度で滴下し、滴下終了後、さらに2時間還流させた。得られた反応混合液に、実施例1の方法により得られた5−ヒドロキシ−2−アダマンタノン1.0モルを1000mlのエチルエーテルに溶解した溶液を、溶媒が穏やかに還流する程度の速度で滴下し、滴下終了後、さらに2時間還流させた。得られた反応混合液を、氷冷した10%塩酸(HCl:1モル相当量)中に、撹拌しながらゆっくりと滴下し、さらに0℃〜室温で2時間撹拌した。反応混合液に10%水酸化ナトリウムを加えて液性を中性に調整した後、有機層と水層に分液し、水層をエチルエーテル1000mlで2回抽出し、有機層を合わせて濃縮し、濃縮残渣をヘキサンから再結晶することにより、4−イソプロピル−1,4−アダマンタンジオールを収率40%で得た。
[4−イソプロピル−1,4−アダマンタンジオールのスペクトルデータ]
MS m/e:210([M+]),192,174,159,144,131。
Claims (2)
- 下記式(1)
で表されるアダマンタノール誘導体。 - 下記式(2)
で表されるイミド化合物と、強酸とで構成される触媒の存在下、下記式(3)
で表される化合物を酸素と反応させることにより得られる下記式(4-1)
で表されるアダマンタノン誘導体と、下記式(5)
Rx−M (5)
[式中、Rxは炭化水素基を示し、Mは配位子を有していてもよい金属原子、又は下記式(6)
−MgY (6)
(式中、Yはハロゲン原子を示す)
で表される基を示す]
で表される化合物とを反応させて、下記式(7)
で表される化合物を得るアダマンタノール誘導体の製造法。
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