JP2001239627A - エンボス化粧シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溝状の傷あるいはスリット状の孔等が少な
く、且つ、ランダムな絵柄と連続濃度階調のあるエンボ
ス柄とからなる高度な意匠性を有するエンボス化粧シー
トを提供する。 【解決手段】 木粉も顔料も無添加の透明熱可塑性樹脂
からなる表面層３、前記木粉及び／又は前記顔料を添加
した熱可塑性樹脂からなる中間層２、前記木粉も顔料も
無添加の熱可塑性樹脂からなる裏面層４の３層からなる
基材シート１を共押出方式で成形する。前記中間層２に
おいて、添加される木粉６及び／又は顔料５を不均一に
分散させて、斑紋状乃至は流線状のランダムな模様を形
成し、前記表面層３側に連続濃度階調のあるエンボス模
様を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、表面エンボス模様
が形成された化粧シート、特に、ランダムな着色模様が
形成されたエンボス化粧シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】建築物内装材、扉、家具、家電製品の表
装材等に使用される化粧材は、化粧シートが、木質系板
類、無機質系板、金属板等によって裏打ちされてなるも
のであって、従来の化粧シートは、基材シート面にグラ
ビア印刷法等による印刷によって何らかの印刷模様が形
成され、さらに意匠性、質感を高めるべくエンボス模様
が付加され、その凹陥部にワイピング等の方法でインキ
を埋め込んで着色されたものが一般的である。また、化
粧シートの印刷模様は、印刷シリンダーの周長をピッチ
として同じ模様が長尺の化粧シートの長手方向に繰り返
し形成されている。特開平１１−３４２７７号公報に
は、透明層と着色層の２層からなる基材シートを共押出
形成する際に、この着色層に対して、着色層に使用され
る樹脂と流動特性が異なる別の樹脂に高濃度の顔料を溶
融混練して分散させたマスターバッチ、木粉、ガラス粉
末等を添加し、顔料、木粉等を流線状乃至は斑紋状に不
均一分散させることによって、印刷模様では見られない
ランダムな模様を施し、さらに成形と同時にエンボスを
施した化粧シートが開示されている。また、特開平１１
−４２７５６号公報には、前述と同様な添加物を全て含
んだマスターバッチを用いて着色層のみを単層で押し出
し成形して、ランダムな模様を形成し、さらに成形と同
時にエンボスを施した化粧シートが開示されている。さ
らに、特開平９−５７８６７号公報には、木粉を配合し
た樹脂とこの樹脂と同一の樹脂に顔料を配合した着色ペ
レット（マスターバッチ）を混練することにより、完全
に融合させ、物性的に安定した押し出しシートと、変化
に富んだ木目状の模様を形成する板状樹脂成形品の製造
方法が開示されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の印刷柄を有する
化粧シートは、最終の化粧材の表面積が小さい場合には
問題はないが、広い面積の化粧材に使用される場合に、
印刷による模様の繰り返しによって違和感、不自然さが
強調されるという問題がある。特開平１１−３４２７７
号公報、特開平１１−４２７５６号公報に開示されてい
るエンボス化粧シートにおいては、このような模様の繰
り返しは解消されるが、上記の着色層に添加されている
木粉等の添加剤が、Ｔダイから押し出される際に、Ｔダ
イ先端部のリップに目詰まりを起こし、基材シートに筋
状、魚目状の凹凸を生じたり、あるいは更に甚だしい場
合には、基材シートの長手方向に溝状の傷あるいはスリ
ット状の孔を発生させて製品クレームとなる問題があ
る。特開平９−５７８６７号公報に開示された製造方法
によっても、木粉等がＴダイのリップの内側に接触しな
がら押し出されるので、同種のクレームの発生は避けら
れない。また、この場合は、流動特性の同じ樹脂同志が
混練されるので、押し出しシートの各部における物性的
な安定性は得られても、ランダムな模様自体の変化が乏
しくなり、エンボス模様が加味されないという問題があ
る。さらに従来のエンボス化粧シートにおけるエンボス
模様は、いづれも外観上凹か凸か、あるいは凹（陥）部
が着色されているか、いないかと言った２値画像による
単純なものであって、濃淡の階調で再現された絵柄には
なっていない。そのため、高度な意匠効果をもたらすま
でには至っていない。本発明は、以上の問題点に鑑みて
なされたもので、共押出時に発生する筋、傷、孔等の欠
点を無くし、ランダムな模様に連続濃度階調のあるエン
ボス模様が加わったより高度な意匠性を有するエンボス
化粧シートの提供を目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明によるエンボス化
粧シートは、木粉も顔料もいづれも無添加の透明熱可塑
性樹脂からなる表面層、前記木粉及び／又は前記顔料を
添加した熱可塑性樹脂からなる中間層、前記木粉も前記
顔料もいづれも無添加の熱可塑性樹脂からなる裏面層の
３層が、共押出成形されてなる基材シートの前記表面層
側にエンボス模様が形成されていることを特徴とするも
のである。また、前記中間層において、前記木粉及び／
又は前記顔料が、不均一に分散されて、斑紋状乃至は流
線状のランダムな模様が形成されてなることを特徴と
し、前記エンボス模様が、エンボスによって形成された
凹陥部に充填された着色インキにより形成されてなり、
前記凹陥部は互いに孤立し、且つ再現すべき絵柄の濃度
階調に応じた深さ及び／又は面積を有し、前記凹陥部に
充填された前記着色インキの充填量及び／又は充填面積
の度合いに応じて連続濃度階調が表現されて、前記着色
インキによる絵柄となっていることを特徴とするもので
ある。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて詳細に説明
する。図１は、本発明によるエンボス化粧シートの模式
断面図である。本発明による化粧シート１０は、図１
（ａ）〜（ｃ）に示すように、木粉も顔料もいづれも無
添加の透明熱可塑性樹脂からなる表面層３、木粉及び／
又は顔料を添加した熱可塑性樹脂からなる中間層２、木
粉も顔料もいづれも無添加の熱可塑性樹脂からなる裏面
層４からなる基材シート１を共押出法によって押出成形
し、その表面層３側にエンボスによって凹凸形状を形成
してエンボス模様とするか、より好ましくは、図示の如
く凹凸形状の凹陥部７にワイピング等によって着色イン
キ８を充填したものである。そして、化粧シートの表面
に耐磨耗性、耐擦傷性を付与する場合には、耐摩擦性、
耐擦傷性に優れた保護層９を設けるとより好ましい。エ
ンボスによる凹凸形状は、図３に示す連続濃度階調画像
をもたらすものであって、図１に示すヘアーラインや木
目導管柄のような２値画像をもたらすものであってもよ
い。

【０００６】基材シート１の中間層２の中に添加される
木粉６及び／又は顔料５は、中間層２の樹脂に対して不
均一に、混練、分散されて斑紋状乃至は流線状のランダ
ムな模様が形成されていることが好ましい。ここで、
「ランダム」とは、同一のパターン、またその繰り返し
が全くないことを意味する。このランダムな模様の形成
手段は、中間層２に使用される樹脂とは流動特性の異な
る樹脂に木粉及び／又は顔料の全てあるいはそれらの一
部を予め高濃度に混練したマスターバッチを中間層２に
使用される樹脂に対して不均一に混練させることによる
ものである。また、図１（ａ）〜（ｃ）は、木粉と顔料
の不均一な分散の度合いを示すものである。図１（ａ）
は、木粉及び顔料が、比較的均一に近い分散状態にある
場合、図１（ｂ）は、木粉及び顔料が、分散された領域
と木粉も顔料もいづれも分散していない領域とが混在
し、両領域が不均一な分散状態にある場合、図１（ｃ）
は、顔料は層内に均一に分散しており、木粉のみが不均
一な分散状態にある場合をそれぞれ示している。なお、
図１（ｃ）は、木粉のみをマスターバッチ化し、顔料
は、中間層２の樹脂側に略均一に分散させた場合であ
る。このような木粉及び／又は顔料の不均一な分散の度
合いは、中間層２に使用される樹脂と予め木粉及び／又
は顔料の全てあるいはその一部を高濃度に混練したマス
ターバッチの樹脂との流動特性の差、中間層２を混練す
るエクストルーダーにおける混練の条件（Ｌ／Ｄ，押出
速度等）、木粉及び／又は顔料の添加割合等によって変
わり、これらの変動要因を適宜組み合わせることによっ
て、微妙に異なるランダムな模様を創作することががで
きる。ランダム模様のうち、特に流線状の模様は、木目
の外観を再現する場合に好適であり、また斑紋状の模様
は、石目の外観を再現するのに好適である。

【０００７】図２は、本発明によるエンボス化粧シート
における基材シートの共押出成形方法の説明図である。
本発明によるエンボス化粧シート１０の基材シート１
は、図２に示すように、木粉及び／又は顔料を含む中間
層２が、木粉も顔料もいづれも無添加の表面層３と裏面
層４とによってサンドイッチされた状態で共押出しされ
るので、木粉及び／又は顔料が、ＴダイのリップＬに直
接接触することがなく、リップＬに目詰まり、或いは一
時的な停滞を起こすことがなくなり、押出方向に筋状、
あるいは魚目状の凹凸、さらに溝状の傷あるいはスリッ
ト状の孔等を発生させることが極めて少なくなる。以上
の３層構成は、同一の樹脂が、３層に分かれて押し出さ
れる所謂１種３層であっても、表面層３と裏面層４に同
一樹脂が、そして、中間層２に別の樹脂が押出される２
種３層であっても、各層にそれぞれ異なる樹脂が押出さ
れる３種３層であってもよい。この共押出しの場合、隣
接する樹脂同志は、相溶性のあるものを使用することが
好ましいが、若し相溶性のないもの同志が隣接する場合
には、それらの間にさらに、接着性ポリオレフィン系樹
脂からなる接着層を設けるようにしてもよい。接着性ポ
リオレフィン系樹脂は、分子中にカルボキシル基、水酸
基等の極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂であ
り、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチ
レン、ペンテン、ヘキセンの如きオレフィン単量体、お
よびブタジエン、イソプレンのごときジオレフィン単量
体と、例えば、カルボン酸、カルボン酸塩、カルボン酸
無水物、カルボン酸エステル、カルボン酸アミドないし
イミド、あるいは、アルデヒド、ケトン等に基づくカル
ボニル基を単独で、あるいはシアノ（−ＣＮ）基；ヒド
ロキシ基；エーテル基；オキシラン環；等との組合せで
有するエチレン系不飽和単量体の１種または２種以上と
の共重合体である。このような３層若しくはそれ以上の
多層の共押出には、マルチマニホールド型若しくはフィ
ードブロック型の共押出機が使用できるが、特にフィー
ドブロック型は層厚み等の制御が容易で、本発明による
化粧シート１０の製造に好適に使用可能である。本発明
によるエンボス化粧シート１０の基材シート１における
各層の厚みは、１０〜１００μｍの範囲にあって、Ｔ−
ダイ直前に設けられるフィードブロックの調整によって
この各層の厚み及び全体厚みの制御が可能である。一旦
Ｔ−ダイから押し出された基材シート１は、図２に示す
ように、冷却ロールを兼ねたエンボスロールＥとニップ
ロールＮ（圧胴あるいはバックアップロールとも呼称さ
れている）に挟まれて成膜されると同時に表面層３側が
エンボスされて凹陥部７を含むエンボス模様が形成さ
れ、ガイドロールＧによって引き出される。さらに、好
ましくは、このようにして押出成形並びに同時エンボス
された基材シート１の表面層３側のエンボス模様の凹陥
部７には、次の工程で粘度及び濃度の比較的高い着色イ
ンキ８がワイピング等によって埋め込まれて、充填され
る。なお、図２の例では、共押出成形とエンボス成形と
を同時にインラインで行っているが、エンボス成形は、
必ずしも同時に行う必要はなく、一旦巻き取った基材シ
ート１に対してオフラインで行うようにしてもよい。凹
凸模様としては、凹凸形状それ自体で所望の凹凸を再現
する場合は、木目導管溝、ヘアライン、万線条溝、砂
目、梨地、皮絞等が挙げられる。また、絵柄の濃度階調
を再現する場合については後述する。そして、最後に耐
磨耗性、耐擦傷性のある保護層９を設けて完成させる。
但し、保護層９がなくても、所望の表面物性を満たす場
合は、保護層９を省略してもよい。

【０００８】図３は、本発明による化粧シートの連続濃
度階調を有するエンボス模様の説明図である。図３
（ａ）は、本発明による化粧シート基材シート１の表面
層３に連続濃度階調のあるエンボス模様が形成された場
合の部分的な断面図であり、図３（ｂ）は表面層側から
見た平面図である。エンボスによって形成される凹凸形
状（凹凸模様）の凹陥部７は、図３に示すように、互い
に孤立し、且つ木目等の再現すべき絵柄の濃度階調に応
じた連続的に変化する深さ及び／又は開口面積を有し、
前記凹陥部７に充填された着色インキ８の充填量及び／
又は充填面積の度合いに応じて、該凹陥部が連続的に変
化する濃度階調を持つ網点となり、この網点の集合によ
って再現すべき絵柄が表現されている。図３（ｂ）にお
ける、図（イ）は、凹陥部７がオフセット網点状に配列
した場合であり、図（ロ）は、ダイレクトグラビア印刷
網点状に配列した場合である。これらの凹陥部７の大き
さ（通常対角線長で評価される）は、実際には目視でき
ない１０〜３００μｍ程度であるので、充填される着色
インキ８の面積（開口部における面積）の大小による濃
度連続階調が形成される。また、図３（ｂ）における図
（ハ）は、コンベンショナルグラビア印刷網点状の凹陥
部７が配列した場合で、凹陥部８に充填される着色イン
キ８の面積よりはむしろ充填インキ量（体積あるいは充
填深さ）によって濃度階調を持つ網点となり、この網点
の集合によって再現すべき絵柄が表現されている。エン
ボス模様が有する連続濃度階調は、図３（ｂ）に示すい
ずれの配列によってもよい。また、これら凹陥部７の形
状及び配置は、所望の再現すべき絵柄を公知の写真製版
法によって、絵柄の網度を網点乃至はセルの面積や深さ
の情報に変換し、その情報に基づいて、公知のエンボス
版の製（刷）版法によって、エンボス版を製造すること
によって得られる。無論、エンボス版においては、凹陥
部７に対応する部分は、突出部となる。再現すべき絵柄
（画像）としては、例えば、木目、石目、布目、皮絞、
幾何学模様、文字等が挙げられる。

【０００９】このような、連続的に凹陥部７の深さある
いは面積が変化するエンボス版の製造は、天然の木目柄
等の再現しようとする連続濃度階調画像をＣＥＰＳ（CO
LORELECTRONIC PREPRESS SYSYTE）装置の製版スキャナ
ーによってスキャニングして光電変換し、デジタル信号
化して読み取って一旦ハードディスク等の記憶装置にと
りこみ、レタッチ、切り抜き、階調補正等の前処理を施
しておく。次に、この画像をＣＥＰＳ装置のディスプレ
ーに取り出しエンボスシリンダーの円周に合わせたエン
ドレス修正を行っておく。次に、予め用意した鉄芯表面
に銅メッキを施してなる金属製のエンボスシリンダーに
感光性レジスト液を塗布して感光面を形成し、レーザー
ビーム走査による直接露光方式製版装置を使用して、前
述のエンドレス画像データを光学的に感光面に対してオ
フセット網点配列、あるいはドットグラビア網点配列の
いずれかによって網点出力して焼き付ける。次いで、エ
ンボスシリンダー面の現像を行い、レジスト以外の部分
を腐食して、通常のグラビア印刷版の画像部である網点
乃至セル部相当部分が逆に突出した凹凸面を有するエン
ボス版を作成し、必要であれば最後に凹凸面にクロムメ
ッキを施してエンボス版を仕上げる。エンボス版の作成
方法は、以上のように、画像データを感光性をもたせた
版面に直接レーザービームで出力して網点画像とする代
わりに、従来のダイレクトグラビア印刷版の製作と同じ
ように一旦フィルムに出力した網点画像をシリンダー面
に焼き付けるようにしてもよく、あるいは、カーボンチ
ッシュとグラビアスクリーンを用いてコンベンショナル
グラビア印刷版と同様な製版方法を採用してもよい。本
発明による化粧シート１０におけるエンボス模様は、以
上のようなエンボス版を使用して基材シート１の共押出
と同時に、あるいはオフラインで表面層３側にエンボス
し、それによって形成された凹陥部７にワイピング等の
方法によって着色インキ８を充填することによって得ら
れる。そしてこのエンボス模様は、すでに基材シート１
の中間層２に形成されているランダムな模様と相まって
優れた意匠効果を発揮する。

【００１０】本発明による化粧シート１０の基材シート
に使用される熱可塑性樹脂には、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、オレフィン
系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性
ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポ
リカーボネート、ＡＢＳ樹脂，アクリル樹脂等の熱可塑
性樹脂が好適に使用可能である。なお、上記の中で、使
用後の廃材処理性を良好とし、環境負荷を少なくすると
いう観点から、塩化ビニル系の樹脂の使用よりはポリオ
レフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の使用の方が好
ましい。

【００１１】（実施例１）ランダム共重合タイプのプロ
ピレン共重合体をハードセグメントとし、これにソフト
セグメントとして水素添加されたスチレン−ブタジエン
ゴムを１５重量％、フェノール系酸化防止剤を０．２重
量％、ヒンダードアミン系光安定剤を０．３％，ベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤を０．５重量％を添加した
オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂を使用して、フ
ィードブロック法によるＴダイから１種３層の共押出を
行い、表面層３と裏面層４にはそれぞれ２５μｍ、中間
層２には５０μｍの厚みをもたせ、総厚みが１００μｍ
の基材シート１を得た。この場合、木粉５重量％、炭酸
カルシウム１０重量％をポリエチレン樹脂に予め混練し
たマスターバッチを中間層となる前述の樹脂に対しての
み２：３の重量比でブレンドした。また、この押出と同
時に基材シート１の表面層３側にエンボスを施し、図１
で示すような断面が木目導管溝状であるエンボス模様を
形成した。次いで、エンボス面にコロナ処理を施して、
表面の界面張力を４０ｄｙｎ／ｃｍとしてからエンボス
によって形成された凹陥部７にバインダーである２液硬
化型ウレタン系樹脂（アクリルポリオール１００重量部
に１・６−ヘキサメチレンジイソシアネートを８重量部
添加）に顔料としてカーボンブラック及び弁柄を添加し
てなるダークブラウンの着色インキ８をワイピング法に
よって充填し、さらに、表面にアクリルポリオール１０
０重量部に１・６−ヘキサメチレンイソシアネート８重
量部からなるウレタン樹脂系の塗布液をグラビアコート
法で２μｍの厚みに塗布して保護層９とした。以上の方
法で得られた実施例１のサンプルにおいては、中間層２
のみに木粉等の添加剤を混入することによって、共押出
時に起きるＴダイ先端部のリップの木粉等による目詰ま
りによって起きる基材シート１の長手方向に伸びる筋状
あるいは魚目状の凹凸さらに溝状の傷あるいはスリット
状の孔は見られなかった。また、木粉の不均一な分散に
よる繰り返しのない流線状のランダム模様と木目導管柄
のエンボス模様（繰り返しピッチはあるが、印刷柄ほど
は目立たない）とがマッチングして高度な意匠性をもた
らすことができた。 （実施例２）非結晶ポリエチレンテレフタレート（ＰＥ
Ｔ−Ｇ，イーストマンケミカル社製）にフェノール系酸
化防止剤を０．２重量％、ヒンダードアミン系光安定剤
を０．３％，ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を０．
５重量％を添加した樹脂を使用して、１種３層の基材シ
ート１の共押出を行った。この場合、中間層２の押出成
形に関しては、前記の樹脂に予め弁柄、黄鉛、チタン白
を主体とする顔料を５重量％、木粉を５重量％、及び炭
酸カルシウムを１０重量％それぞれブレンドしたペレッ
トを用意し、これに対して弁柄、カーボンブラックを主
体とする顔料を１５重量％ブレンドしたポリエステル樹
脂からなるマスターバッチ（高濃度着色ペレット）を
３：１の重量比でブレンドして、中間層２用のエクスト
ルーダーで不均一に分散させて、木目年輪に類似した流
線状のランダム模様が形成されるように押出た。この共
押出によって、表面層３と裏面層４はそれぞれ２５μ
ｍ、また中間層２は５０μｍの厚みを有し、総厚みが１
００μｍである基材シート１が得られた。また、この共
押出と同時に、オーク柾目板の木目柄を再現するように
連続濃度階調を持たせて製造されたエンボス版によって
表面層３側にエンボスを施した。なお、エンボス版の作
成にあたって、ＣＥＰＳ装置にＳＣＩＴＥＸ社製、ＰＲ
ＯＳＭＡＸを、レーザービーム露光装置にシンクラボラ
トリー社製レーザーストリーム製版装置をそれぞれ使用
し、凹陥部７の配列には、スクリーン線数１７５線／イ
ンチのオフセット網点配列を採用した。なお、凹陥部７
における最高面積は、５３％、最高深度は、１５μｍに
なるように制御した。次いで、エンボス面にコロナ処理
を施して、表面の界面張力を４０ｄｙｎ／ｃｍとしてか
らエンボス凹陥部７にバインダーである２液硬化型ウレ
タン系樹脂（アクリルポリオール１００重量部に１・６
−ヘキサメチレンジイソシアネートを８重量部添加）に
顔料としてカーボンブラック及び弁柄を添加してなるダ
ークブラウンの着色インキ８をワイピング法によって充
填し、さらに表面にアクリルポリオール１００重量部に
１・６−ヘキサメチレンイソシアネート８重量部からな
るウレタン樹脂系の塗布液をグラビアコート法で略２μ
ｍの厚みに塗布して保護層９とした。以上の方法によっ
て得られた実施例２のサンプルにおいては、中間層２の
みに木粉及び顔料等の添加剤を混入することによって、
共押出時にＴダイ先端部のリップに木粉等による目詰ま
り等によって起きる基材シート１の筋状あるいは魚目状
の凹凸及び長手方向に伸びる溝状の傷あるいはスリット
状の孔は見られなかった。また、中間層２における略均
一な地色と木粉及び顔料の不均一な分散による繰り返し
のないランダム模様に加えて、オーク柾目柄を再現した
連続濃度階調を有するエンボス模様がプラスされて極め
て高度な意匠性をもたらすことができた。

【００１２】

【発明の効果】本発明によれば、木粉も顔料もいづれも
無添加の透明熱可塑性樹脂からなる表面層、前記木粉及
び／又は前記顔料を添加した熱可塑性樹脂からなる中間
層、前記木粉も前記顔料もいづれも無添加の熱可塑性樹
脂からなる裏面層の３層が、共押出成形されてなる基材
シート１が使用されているので、共押出時のＴダイ先端
部のリップに木粉等による目詰まりによって起きる基材
シート１の筋状あるいは魚目状の凹凸及び長手方向に伸
びる溝状の傷あるいはスリット状の孔の発生は見られ
ず、また、中間層２において、木粉及び／又は顔料が、
不均一に分散されて形成される斑紋状乃至は流線状のラ
ンダムな模様に加えて連続濃度階調のあるエンボス模様
を付加することができるので、極めて高度な意匠性のあ
るエンボス化粧シートを提供することができる。さら
に、ランダムな模様によって、大きな面積を有する化粧
材面における模様の繰り返しによる違和感、不自然さを
避けることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるエンボス化粧シートの模式断面図

【図２】本発明によるエンボス化粧シートにおける基材
シートの共押出成形方法の説明図

【図３】本発明による化粧シートの連続濃度階調を有す
るエンボス模様の説明図

【符号の説明】

１ 基材シート ２ 中間層 ３ 表面層 ４ 裏面層 ５ 顔料 ６ 木粉 ７ 凹陥部 ８ 着色インキ ９ 保護層 １０ 本発明によるエンボス化粧シート Ｅ エンボスロール Ｇ ガイドロール Ｎ ニップロール Ｌ リップ Ｔ Ｔ−ダイ

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｂ３２Ｂ 33/00 Ｂ３２Ｂ 33/00 // Ｂ２９Ｋ 101:12 Ｂ２９Ｋ 101:12 Ｂ２９Ｌ 9:00 Ｂ２９Ｌ 9:00 31:58 31:58 (72)発明者 岡本 優 東京都新宿区市谷加賀町一丁目１番１号 大日本印刷株式会社内 Ｆターム(参考） 4F100 AA08 AA37 AK01A AK01B AK01C AK04 AK07J AK51 AK73 AL01 AL09 AP10C BA03 BA07 BA10A BA10B CA05 CA06 CA07 CA13C CC00A DD01A DE01C EH20 GB08 GB48 GB81 HB01 HB21A HB26A HB31A HB40C JB16A JB16B JL00 JN01A JN01B 4F207 AA11 AB12 AF01 AG01 AH48 AH51 KB22 4F209 AA11H AB12 AB25 AF01 AF10 AG01 AG05 AH48 AH51 PA04 PB02 PC03 PC05 PG05 PG12 PJ09

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 木粉も顔料もいづれも無添加の透明熱可
   塑性樹脂からなる表面層、前記木粉及び／又は前記顔料
   を添加した熱可塑性樹脂からなる中間層、前記木粉も前
   記顔料もいづれも無添加の熱可塑性樹脂からなる裏面層
   の３層が、共押出成形されてなる基材シートの前記表面
   層側にエンボス模様が形成されていることを特徴とする
   エンボス化粧シート。
2. 【請求項２】 前記中間層において、前記木粉及び／又
   は前記顔料が、不均一に分散されて、斑紋状乃至は流線
   状のランダムな模様が形成されてなることを特徴とする
   請求項１記載のエンボス化粧シート。
3. 【請求項３】 前記エンボス模様は、エンボスによって
   形成された凹陥部に充填された着色インキにより形成さ
   れてなり、前記凹陥部は互いに孤立し、且つ再現すべき
   絵柄の濃度階調に応じた深さ及び／又は面積を有し、前
   記凹陥部に充填された前記着色インキの充填量及び／又
   は充填面積の度合いに応じて連続濃度階調が表現され
   て、前記着色インキによる絵柄となっていることを特徴
   とする請求項１あるいは２記載のエンボス化粧シート。